説明

物品管理システムおよび物品棚卸装置

【課題】管理対象となる物品の利用履歴情報に基づいて適切な時期に棚卸を促して、管理状況情報に基づくサービスの最適化を図ること。
【解決手段】据置型リーダ110は、物品Bの保管室150の入口に設置され、保管室150の入口を通過する人タグTmや物品タグTbからタグ識別情報を読み取る。据置型リーダ110は、読み取ったタグ識別情報を貸出管理サーバ130に送信する。貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110から送信されるタグ識別情報に基づいて、物品Bが貸出中や保管中などの現在状態を示す管理状況情報を記憶する。貸出管理サーバ130は、管理状況情報の利用履歴情報から物品Bの棚卸が必要と判断されると、ハンディリーダ120に棚卸対象物品情報(棚卸リスト)を送信する。その後、貸出管理サーバ130またはハンディリーダ120の報知機能によって棚卸が必要である旨の報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を管理するための物品管理システムおよび物品棚卸装置に関し、特に、貸出返却対象となる物品の棚卸を実行可能な物品管理システムおよび物品棚卸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、貸出や返却の対象となる物品に、その物品の識別番号などが記録されたRFID(RadioFrequency Identification )タグが貼付されている。そして、管理者や利用者は、物品の貸出、返却や棚卸などの際に、RFIDリーダによってRFIDタグに記録された物品の識別情報を読み取らせて物品の管理をおこなう。
【0003】
具体的には、たとえば、物品の管理は、物品の貸出や返却(以下、貸出と返却の区別をしない場合、「貸出返却」ともいう)の際に読み取られる物品の識別情報や物品の貸出返却の際に入力される利用者情報や日時情報をデータベース上の管理台帳に記録する。また、物品の管理は、物品の棚卸の際に読み取られた物品の識別情報から実際の在庫状況を確認して、データベース上の管理台帳と、実際の在庫状況との乖離を把握する。
【0004】
物品の管理者は、管理対象の物品に関する管理台帳と、実際の在庫状況との乖離に基づいて必要な措置を講じる。すなわち、管理者は、実際の在庫状況に合わせた管理台帳の更新や利用者に対する貸出返却処理の催促などをおこない、管理台帳と在庫状況との乖離をなくすようにする。物品の利用者は、管理台帳に基づいて、物品の貸出返却や検索など各種サービスの提供を受けることとなる。
【0005】
近年では、棚卸の実施日が経過した場合に棚卸情報の入力を促す画面を表示して、棚卸情報の入力をおこなう資産管理装置が提案されている(特許文献1)。具体的には、この従来技術による資産管理装置は、物品の棚卸をおこなう棚卸実施日を予め登録しておき、現在の日時が棚卸実施日を経過したか否かを判断する。資産管理装置は、現在の日時が棚卸実施日を経過したと判断した場合、棚卸によって入力されるべき項目を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−31748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の従来技術では、現在の日時が、予め登録された棚卸実施日を経過した場合に物品の棚卸を促す構成である。したがって、従来技術では、予め登録された棚卸実施日よりも前に、管理台帳が実際の在庫状況から乖離した場合であっても棚卸実施日までは棚卸を促すことはなかった。
【0008】
管理台帳と在庫状況との乖離は、たとえば、貸出返却が大量になされた場合に生じやすい。換言すれば、貸出返却など管理対象の物品の利用頻度が高まるのに伴って、管理台帳と在庫状況との乖離は大きくなる。
【0009】
上述した従来技術では、棚卸実施日の前に管理台帳と在庫状況との乖離が大きくなった場合でも棚卸がおこなわれずに、在庫状況から大きく乖離した管理台帳によって物品の貸出返却や検索など各種サービスがおこなわれてしまう。
【0010】
具体的には、物品の貸出返却サービスにおける管理台帳が在庫状況と乖離している場合、貸出返却対象の物品の検索が正確におこなえないという問題が一例として挙げられる。さらに、物品の販売サービスにおける管理台帳が在庫状況と乖離している場合、物品の販売目標の設定や発注業務などの販売管理が正確におこなえない。
【0011】
すなわち、上述した従来技術では、利用者は、適切なサービスの提供を受けることができなかった。換言すれば、上述した従来技術では、管理者(サービス提供者)は、適切なサービスを利用者に提供することができないという問題があった。
【0012】
この発明は、上述した問題を解決するため、管理対象となる物品の利用履歴情報に基づいて適切な時期に棚卸を促すことで管理台帳などの管理状況情報の精度を向上させ、管理状況情報に基づくサービスの最適化を図ることができる物品管理システムおよび物品棚卸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる物品管理システムは、管理対象物品の利用に応じて前記管理対象物品の識別情報を取得し、データベースに登録された前記管理対象物品の管理状況情報を更新する物品管理システムであって、前記管理状況情報から、前記管理対象物品が利用された履歴に関する利用履歴情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された利用履歴情報に基づいて、所定条件のしきい値によって前記管理対象物品の棚卸の要否を判断する判断手段と、前記判断手段によって前記棚卸が要であると判断された場合、前記棚卸を促す報知をおこなう報知手段と、を備えることを特徴とする
【0014】
請求項2の発明にかかる物品管理システムは、請求項1に記載の発明において、前記判断手段によって、前記棚卸が要であると判断された前記管理対象物品に基づいて、前記管理対象物品の棚卸をおこなう棚卸リストを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された前記棚卸リストを、前記棚卸をおこなう物品棚卸装置に出力する出力手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明にかかる物品管理システムは、請求項1または2に記載の発明において、前記検出手段は、前記利用履歴情報として単位期間における前記管理対象物品の利用頻度を検出し、前記判断手段は、前記所定条件としての前記利用頻度が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明にかかる物品管理システムは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記検出手段は、前記利用履歴情報として前記管理対象物品を利用した利用者数を検出し、前記判断手段は、前記所定条件としての前記利用者数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明にかかる物品管理システムは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記検出手段は、前記利用履歴情報として同一のタイミングに所定数量以上の前記管理対象物品が利用された同時利用回数を検出し、前記判断手段は、前記所定条件としての前記同時利用回数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明にかかる物品管理システムは、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記検出手段は、前記利用履歴情報として、前記管理状況情報において利用開始処理がされていない場合に利用終了処理がされた回数および/または、利用終了処理がされていない場合に利用開始処理がされた回数を含む不整合回数を検出し、前記判断手段は、前記所定条件としての前記不整合回数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明にかかる物品管理システムは、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記検出手段は、前記利用履歴情報として、前記管理対象物品の利用候補者のうち、前記管理対象物品の利用開始処理および/または利用終了処理をおこなわなかった未処理利用人数を検出し、前記判断手段は、前記所定条件としての前記未処理利用人数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明にかかる物品管理システムは、請求項2〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記検出手段は、前記管理対象物品の収納場所毎における前記利用履歴情報を検出し、前記判断手段は、前記収納場所毎に前記棚卸の要否を判断し、前記生成手段は、前記収納場所毎に前記棚卸リストを生成することを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明にかかる物品棚卸装置は、棚卸の対象となる物品の棚卸リストに基づいて、前記物品の棚卸をおこなう物品棚卸装置であって、管理対象物品の利用に応じて前記管理対象物品から取得した識別情報に基づいて更新された前記管理対象物品の管理状況情報を記憶する記憶手段と、前記管理状況情報から、前記管理対象物品が利用された履歴に関する利用履歴情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された利用履歴情報に基づいて、前記管理対象物品の棚卸の要否を判断する判断手段と、前記判断手段によって前記棚卸が要であると判断された場合、前記管理状況情報から前記棚卸の対象となる前記管理対象物品の前記棚卸リストを生成して、前記棚卸を促す報知をおこなう報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明にかかる物品管理システムは、請求項9に記載の発明において、前記検出手段は、前記管理対象物品の収納場所毎における前記利用履歴情報を検出し、前記判断手段は、前記収納場所毎に前記棚卸の要否を判断し、前記生成手段は、前記収納場所毎に前記棚卸リストを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる発明によれば、管理対象物品の利用履歴情報に基づいて、棚卸が必要と判断される場合に棚卸を促す報知をおこなうことができるため、棚卸を実行させる時期について最適化を図ることができる。
【0024】
請求項2にかかる発明によれば、棚卸が必要と判断された管理対象物品について、棚卸リストを生成し、生成した棚卸リストを物品棚卸装置に出力して棚卸を実行させることができるため、棚卸の迅速化および正確化を図ることができる。
【0025】
請求項3にかかる発明によれば、単位期間に対する管理対象物品の利用頻度が所定のしきい値を超えた場合に棚卸が必要であると判断することができる。したがって、管理対象物品の利用回数が増加して、在庫状況に対して管理状況情報の乖離が増大していると判断して棚卸を実行させることができ、管理状況情報の精度を維持させることができる。
【0026】
請求項4にかかる発明によれば、管理対象物品の利用者数が所定のしきい値を超えた場合に棚卸が必要であると判断することができる。したがって、管理対象物品の利用者数が増加して、在庫状況に対して管理状況情報の乖離が増大していると判断して棚卸を実行させることができ、管理状況情報の精度を維持させることができる。
【0027】
請求項5にかかる発明によれば、管理対象物品が所定数量以上同一タイミングで利用された同時利用回数が所定のしきい値を超えた場合に棚卸が必要であると判断することができる。具体的には、同時に複数の管理対象物品を利用する場合における、物品や利用者の識別情報の取得に不具合(たとえば、RFIDタグの読み漏らし)が発生して、在庫状況に対して管理状況情報の乖離が増大していると判断して棚卸を実行させることができ、管理状況情報の精度を維持させることができる。
【0028】
請求項6にかかる発明によれば、管理対象物品の利用開始処理と利用終了処理に関する不整合回数が所定のしきい値を超えた場合に棚卸が必要であると判断することができる。具体的には、管理状況情報では利用開始処理がされていない物品の利用終了処理(たとえば、貸出処理がされてない物品の返却処理)がされた場合や、利用終了処理がされていない物品の利用開始処理(たとえば、返却処理がされていない物品の貸出処理)がされた場合などの不整合回数が増加して、在庫状況に対して管理状況情報の乖離が増大していると判断して棚卸を実行させることができ、管理状況情報の精度を維持させることができる。
【0029】
請求項7にかかる発明によれば、管理対象物品の利用候補者のうち、利用開始処理や利用終了処理をおこなわなかった未処理利用人数が所定のしきい値を超えた場合に棚卸が必要であると判断することができる。具体的には、管理対象物品が管理されている部屋へ入室などをおこなった利用者候補のうち、利用開始処理や利用終了処理をおこなわずに退室した未利用者人数について、利用開始処理や利用終了処理の不具合(処理時のRFIDタグの読み漏らし)が発生して、在庫状況に対して管理状況情報の乖離が増大していると判断して棚卸を実行させることができ、管理状況情報の精度を維持させることができる。
【0030】
請求項8にかかる発明によれば、管理対象物品の収納場所毎に、棚卸リストを生成し、生成した棚卸リストを物品棚卸装置に出力して棚卸を実行させることができるため、棚卸の迅速化および正確化を図ることができる。
【0031】
請求項9にかかる発明によれば、管理対象物品の利用履歴情報に基づいて、棚卸が必要と判断される場合に棚卸を促す報知をおこなうことができるため、棚卸を実行させる時期について最適化を図ることができる。
【0032】
請求項10にかかる発明によれば、管理対象物品の収納場所毎に、棚卸リストを生成し、生成した棚卸リストを物品棚卸装置に出力して棚卸を実行させることができるため、棚卸の迅速化および正確化を図ることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明にかかる物品管理システムおよび物品棚卸装置によれば、管理対象となる物品の利用履歴情報に基づいて適切な時期に棚卸を促すことで管理台帳などの管理状況情報の精度を向上させ、管理状況情報に基づくサービスの最適化を図ることができる物品管理システムおよび物品棚卸装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムの機能的構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる貸出管理サーバの処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態1にかかる貸出返却回数の設定回数の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態1にかかる棚卸対象物品情報の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態1にかかるハンディリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態2にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態3にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる物品管理システムおよび物品棚卸装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0036】
(実施形態1)
(貸出管理システムの概要)
図1を用いて、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムをプリンタやファクシミリなどのOA(Office Automation)機器の貸出返却サービスに適用した場合について説明する。図1は、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムの一例を示す説明図である。なお、本実施形態1では、OA機器などの物品Bの貸出返却および棚卸などの際に読み取られる、ユーザMや物品Bの識別情報(詳細には、人タグTmや物品タグTbに記憶されたタグ識別情報)に基づいて、物品Bの貸出返却サービスを提供する貸出管理システム100によって、本発明にかかる物品管理システムを実現する場合について説明する。
【0037】
図1において、貸出管理システム100は、OA機器などの物品Bの貸出返却の際に、ユーザMが保持する人タグTmや物品Bに貼付された物品タグTbから、ユーザMや物品Bを示すタグ識別情報を読み取る据置型リーダ110と、物品Bの棚卸の際に、物品Bに貼付された物品タグTbからタグ識別情報を読み取るハンディリーダ120と、物品Bの貸出返却や棚卸の際に読み取られたユーザMや物品Bを示すタグ識別情報、ユーザMと物品Bとの前記タグ識別情報を関連付けた情報に基づく物品Bの管理状況情報を記憶する貸出管理サーバ130と、据置型リーダ110、ハンディリーダ120および貸出管理サーバ130を結ぶLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワークNWとから構成されている。
【0038】
据置型リーダ110は、物品Bの保管室150の入口に設置されている。具体的には、たとえば、据置型リーダ110は、ゲートタイプのリーダで構成され、ユーザMや物品Bが保管室150の入口を通過すると人タグTmや物品タグTbからタグ識別情報を読み取る。据置型リーダ110は、読み取ったタグ識別情報をネットワークNWを介して貸出管理サーバ130に送信する。
【0039】
貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110から送信されるタグ識別情報に基づいて、物品Bについて貸出中や返却済(保管中)などの現在の状態を示す管理状況情報を記憶部237(図2参照)に記憶する。管理状況情報は、たとえば、物品Bの貸出返却処理をおこなったユーザMのユーザ名、貸出返却処理の際に入力される日時情報、累積回数などが、各物品Bのタグ識別情報と関連付けられた情報である。
【0040】
なお、貸出管理サーバ130は、たとえば、据置型リーダ110から送信されるタグ識別情報に人か物かを示すフラグに付与されていたり、貸出管理サーバ130にタグ識別情報が人か物かを判断するためのテーブルなどが記憶されていたりして、ユーザMのタグ識別情報か物品Bのタグ識別情報かを判別可能としている。
【0041】
また、据置型リーダ110は、保管室150の入口の外側と内側とにアンテナ212(図2参照)を備えている。貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して送信されるタグ識別情報について、タグ識別情報が読み取られたアンテナ212の順序に応じて、入室(外側のアンテナから内側アンテナ)や退室(内側アンテナから外側アンテナ)を判断して、管理状況情報として記憶する。
【0042】
さらに、貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して送信されるタグ識別情報について、据置型リーダ110が同時に読み取ったタグ識別情報(保管室150の入口を一緒に通過したユーザMや物品B)に基づいて、物品Bの貸出か返却を判断して、管理状況情報として記憶する。
【0043】
具体的には、貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して送信されるタグ識別情報に基づいて、ユーザMが物品Bと同時に入室した後、同一のユーザMが物品Bを持たずに退室した場合、ユーザMは物品Bの返却をおこなったと判断する。
【0044】
また、貸出管理サーバ130は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して送信されるタグ識別情報に基づいて、ユーザMが物品Bを持たずに入室した後、同一のユーザMが物品Bと同時に退室した場合、ユーザMは物品Bの貸出をおこなったと判断する。特に詳細は説明しないが、貸出管理サーバ130は、たとえば、複数の物品Bの貸出返却や、返却および貸出を連続しておこなったことなども判断可能な構成である。
【0045】
ハンディリーダ120は、物品Bの管理者に保持されており、管理者による操作に応じ、保管室150に保管されている物品Bの棚卸をおこなう。物品Bの棚卸は、たとえば、貸出管理サーバ130からネットワークNWを介してハンディリーダ120に送信される棚卸の実行を促す信号に基づいておこなわれる。
【0046】
より具体的には、棚卸の実行を促す信号は、貸出管理サーバ130によって、予め定められた一定期間ごとに送信されたり、物品Bの利用履歴情報に基づいて送信されたりする構成である。詳細は図4および図5を用いて説明するが、利用履歴情報は、たとえば、管理状況情報から検出される、物品Bの貸出返却処理がおこなわれた貸出返却回数などである。すなわち、利用履歴情報は、管理状況情報における日時情報と累積回数とに基づいて、貸出返却回数として任意の期間(たとえば、カウント開始からクリアまでの期間)で検出される。
【0047】
棚卸の実行を促す信号は、管理者に対する棚卸が必要である旨の報知として、棚卸の対象となる物品Bの棚卸対象物品情報(棚卸リスト)を含む。すなわち、管理者は、棚卸対象を選択決定しなくても、棚卸が必要なタイミングになると、棚卸対象物品情報が貸出管理サーバ130からハンディリーダ120に入力されることとなる。
【0048】
ハンディリーダ120は、入力された棚卸対象物品情報に基づいて、物品Bの棚卸をおこなう。ハンディリーダ120は、棚卸によって読み取られたタグ識別情報を、ネットワークNWを介して貸出管理サーバ130へ送信する。貸出管理サーバ130は、ハンディリーダ120から送信されるタグ識別情報に基づいて、管理状況情報の更新をおこなうなどして、管理状況情報と実際の在庫状況と乖離をなくす。
【0049】
また、ハンディリーダ120は、物品Bの探索に用いられる構成でもよい。すなわち、ハンディリーダ120は、ユーザMが保管室150に保管された物品Bを探索する場合、ユーザMから探索対象の物品名の入力を受け付ける。ハンディリーダ120は、ユーザMから入力された物品名をネットワークNWを介して貸出管理サーバ130に送信する。
【0050】
貸出管理サーバ130は、管理状況情報を参照して、ハンディリーダ120から送信された物品名に関連付けられた物品Bのタグ識別情報(物品Bを示すタグ識別情報)を抽出し、ネットワークNWを介してハンディリーダ120へ送信する。ハンディリーダ120は、貸出管理サーバ130から探索対象となる物品Bのタグ識別情報をネットワークNWを介して受信すると、探索対象となる物品Bのタグ識別情報に基づいて物品Bの探索をおこなう。
【0051】
(機能的構成)
ここで、図2を用いて、貸出管理システム100の機能的構成について説明する。図2は、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムの機能的構成の一例を示す説明図である。以下、人タグTmおよび物品タグTbを特に区別をしない場合は、「無線タグTm,Tb」として説明する。
【0052】
図2において、無線タグTm,Tbは、自身が貼付された物品BやユーザMを示すタグ識別情報を記憶する記憶部257と、制御部251の制御に従って据置型リーダ110,ハンディリーダ120と無線通信をおこなうアンテナ252と、無線タグTm,Tb全体の制御をおこなう制御部251と、から構成されている。
【0053】
具体的には、制御部251は、アンテナ252を介して据置型リーダ110,ハンディリーダ120から質問信号を受信する。制御部251は、質問信号に応じて記憶部257に記憶されたタグ識別情報を含む応答信号を、アンテナ252を介して据置型リーダ110,ハンディリーダ120に送信する。
【0054】
据置型リーダ110は、据置型リーダ110全体の制御をおこなう制御部211と、ユーザMが保持する人タグTmや物品Bに貼付された物品タグTbと無線通信をおこなうアンテナ212と、アンテナ212を介して無線タグTm,Tbとの無線通信を制御する無線タグ通信制御部213と、外部装置との通信を制御する通信I/F214と、各種情報の入力を受け付けて制御部211へ出力する入力部215と、表示用データの表示をおこなう表示部216と、各種情報を記憶する記憶部217と、を備えている。また、据置型リーダ110の各構成部は、バス210によってそれぞれ接続されている。
【0055】
制御部211は、据置型リーダ110全体の制御を司る。具体的には、制御部211は、CPU(セントラルプロセッシングユニット)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)などによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0056】
無線タグ通信制御部213は、制御部211の制御に従って、アンテナ212を介して無線タグTm,Tbと無線通信をおこなう。無線タグ通信制御部213は、ユーザMが物品Bの貸出や返却をおこなう際に、物品Bの物タグTbやユーザMが保持する人タグTmが所定の範囲内に近接すると、アンテナ212を介して無線タグTm,Tbとの無線通信を開始する。
【0057】
無線タグ通信制御部213は、物品Bの貸出返却や棚卸の際、無線タグTm,Tbから物品Bを示すタグ識別情報やユーザMを示すタグ識別情報を読み取ると、制御部211へ各タグ識別情報を出力する。
【0058】
また、アンテナ212は、保管室150の入口の外側と内側とに備えられている。無線タグ通信制御部213は、アンテナ212を介してタグ識別情報を読み取ると、貸出管理サーバ130にタグ識別情報を読み取ったアンテナ212の順序を送信するために、タグ識別情報を読み取ったアンテナ212の順序(内側から外側、あるいは外側から内側)を制御部211に出力する。
【0059】
通信I/F214は、通信回線を通じてLANやインターネットなどのネットワークNWに接続され、このネットワークNWを介して貸出管理サーバ130などの他の外部装置に接続される。また、通信I/F214は、ネットワークNWと据置型リーダ110内部のインターフェースを司り、外部装置に対するデータの入出力を制御する。通信I/F214には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0060】
通信I/F214は、制御部211の制御に従って、無線タグ通信制御部213によって読み取られたユーザMや物品Bのタグ識別情報をネットワークNWを介して貸出管理サーバ130へ送信する。
【0061】
通信I/F214は、制御部211の制御に従って、ユーザMが保管室150へ入退室をおこなった際、タグ識別情報を読み取ったアンテナ212(保管室150の外側または内側)の順序や、入力部215によって入力された貸出返却に関する情報を送信する。
【0062】
入力部215は、管理者やユーザMなどから各種情報の入力を受け付ける。具体的には、入力部215は、タッチパネルやマウスやキーボードなどによって構成され、日時情報など貸出や返却に関する情報の入力を受け付ける構成でもよく、入力された信号は、制御部211へ出力される。
【0063】
表示部216は、制御部211の制御に従って各種情報の表示をおこなう。具体的には、表示部216は、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどによって構成され、文書や画像などによって貸出物品の貸出返却に関する画面を表示する。
【0064】
記憶部217は、制御部211の制御に従って、各種情報の記憶をおこなう。具体的には、記憶部217は、据置型リーダ110が設置されている保管室150の場所を示す場所情報を記憶する構成でもよく、記憶された場所情報は、通信I/F214を介して送信される上述のタグ識別情報などに関連して貸出管理サーバ130に送信される。
【0065】
ハンディリーダ120は、据置型リーダ110とほぼ同様の構成を備えており、据置型リーダ110と同様の機能については説明を省略する。すなわち、制御部221は制御部211と、アンテナ222はアンテナ212と、無線タグ通信制御部223は無線タグ通信制御部213と、通信I/F224は通信I/F214と、入力部225は入力部215と、表示部226は表示部216と、記憶部227は記憶部217と、バス220はバス210とほぼ同様の機能である。
【0066】
無線タグ通信制御部223は、管理者が物品Bの棚卸をおこなう際には制御部221の制御に従って、後述する棚卸対象物品情報(棚卸リスト)に基づいて、アンテナ222を介して棚卸対象物品情報で指定される物品Bのタグ識別情報を読み取る。
【0067】
通信I/F224は、貸出管理サーバ130から棚卸が必要である旨の報知として、棚卸の対象となる物品Bの棚卸対象物品情報(棚卸リスト)を受信すると、受信した棚卸対象物品情報を記憶部227へ出力する。
【0068】
表示部226は、通信I/F224によって貸出管理サーバ130から棚卸対象物品情報が受信された場合、制御部221の制御に従って、棚卸が必要である旨の報知としての表示をおこなう。
【0069】
棚卸が必要である旨の報知は、たとえば、表示画面上に「棚卸をおこなってください」のような警告メッセージや、棚卸リストなどの表示をおこなってもよい。また、棚卸が必要である旨の報知は、赤色点滅などの警告ランプなどでもよい。より詳細には、棚卸が必要である旨の報知は、棚卸対象物品情報が受信された後に管理者がハンディリーダ120の電源を入れた際におこなう。
【0070】
記憶部227は、制御部221の制御に従って、各種情報の記憶をおこなう。具体的には、記憶部227は、制御部221の制御に従って、貸出管理サーバ130から通信I/F224を介して受信された棚卸対象物品情報を記憶する。制御部221は、棚卸対象物品情報が記憶されると、記憶された棚卸対象情報に基づいて、棚卸が必要である旨を報知したり、管理者の操作(棚卸開始の指示)に基づいて物品Bの棚卸をおこなったりする。
【0071】
貸出管理サーバ130は、貸出管理サーバ130全体の制御をおこなう制御部231と、外部装置との通信を制御する通信I/F234と、各種情報の入力を受け付けて制御部231へ出力する入力部235と、各種情報の表示をおこなう表示部236と、物品Bの管理状況情報を記憶する記憶部237と、を備えている。また、貸出管理サーバ130の各構成部は、バス230によってそれぞれ接続されている。
【0072】
制御部231は、管理サーバ130全体の制御を司る。具体的には、制御部231は、CPU、ROM、RAMなどによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0073】
通信I/F234は、通信回線を通じてLANやインターネットなどのネットワークNWに接続され、このネットワークNWを介して据置型リーダ110,ハンディリーダ120などの他の外部装置に接続される。また、通信I/F234は、ネットワークNWと貸出管理サーバ130内部のインターフェースを司り、外部装置に対するデータの入出力を制御する。
【0074】
通信I/F234は、制御部231の制御に従って、据置型リーダ110,ハンディリーダ120から送信されたタグ識別情報を受信して、受信されたタグ識別情報を記憶部237へ出力する。具体的には、制御部231は、受信されたタグ識別情報に基づいて、記憶部237に物品Bの現在の状態を示す管理状況情報を記憶させる。
【0075】
より具体的には、制御部231は、物品Bのタグ識別情報を受信すると、記憶部237に記憶されている管理状況情報を参照して、貸出返却の対象となる物品Bを特定する。制御部231は、ユーザMのタグ識別情報を受信すると、ユーザMのタグ識別情報とユーザ名とが関連付けられた図示しないユーザ一覧を参照して、物品Bの貸出返却をおこなったユーザ名を特定する。制御部231は、物品Bの貸出返却をおこなったユーザ名を、管理状況情報として物品Bに関連付けて記憶部237に記憶させる。
【0076】
制御部231は、タグ識別情報を読み取ったアンテナ212の順序や据置型リーダ110が同時に読み取ったタグ識別情報の組みわ合せに基づいて、物品Bの貸出か返却かを判断する。制御部231は、判断結果に応じたて貸出がされた場合は貸出中、返却がされた場合には返却済とする物品Bの状態を、管理状況情報として物品Bに関連付けて記憶部237に記憶させる。
【0077】
制御部231は、物品Bの貸出返却の際に入力される日時情報から、貸出返却をおこなった貸出/返却日時を、管理状況情報として物品Bに関連付けて記憶部237に記憶させる。なお、日時情報は、入力部215,225によって入力された情報を用いることとしているが、図示しないタイマから情報を取得することとしてもよい。
【0078】
また、制御部231は、物品Bのタグ識別情報を受信すると、物品Bが最初に貸出返却されてからの累積の貸出返却回数である累積回数を、管理状況情報として物品Bに関連付けて記憶部237に記憶させる。
【0079】
さらに、制御部231は、物品Bのタグ識別情報を受信すると、前回棚卸が実施されてから、物品Bの貸出返却がおこなわれた利用履歴を示す回数である貸出返却回数を、管理状況情報として物品Bに関連付けて記憶部237に記憶させる。なお、本実施形態1では、貸出と返却を区別せずに説明するが、貸出回数および貸出の累積回数、返却回数および返却の累積回数を区別する構成でもよい。
【0080】
通信I/F234は、制御部231の制御に従って、ハンディリーダ120を保持する管理者に対して棚卸が必要である旨の報知をおこなう。詳細は図4および図5を用いて説明するが、制御部231は、タグ識別情報が受信されて記憶部237の管理状況情報が更新(新たに管理状況情報が記憶)されると、管理状況情報における利用履歴情報である貸出返却回数から物品Bの棚卸が必要であるか否かを判断する。
【0081】
そして、制御部231は、物品Bの棚卸が必要であると判断された場合に、通信I/F234を制御して、管理者に対して棚卸が必要である旨の報知として、棚卸の対象となる物品Bの棚卸対象物品情報(棚卸リスト)を含む信号を送信する。棚卸対象物品情報における物品Bは、たとえば、1つの物品に限ることはない。すなわち、同一種の物品B(すなわち、物品群)やグループ化された複数の物品Bなどである。
【0082】
より具体的には、保管室150内の物品Bがそれぞれ複数台のファクシミリ、プリンタ、スキャナなであれば、ファクシミリ全体の利用履歴情報からファクシミリ全体の棚卸について必要か否かを判断することとなる。さらに、ファクシミリ、プリンタ、スキャナを一つのグループとすると、すべての利用履歴情報から保管室150内の物品Bの棚卸について必要か否かを判断することとなる。
【0083】
入力部235は、タッチパネルやマウスやキーボードなどによって構成され、管理者などから各種情報の入力を受け付ける。表示部236は、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどによって構成され、制御部211の制御に従って各種情報の表示をおこなう。
【0084】
記憶部237は、制御部231の制御に従って各種情報の記憶をおこなう。具体的には、たとえば、記憶部237は、制御部231の制御に従って、通信I/F234を介して据置型リーダ110,ハンディリーダ120から受信されたタグ識別情報に基づいて、物品Bについて貸出中や返却済などの現在の状態を示す管理状況情報を記憶する。
【0085】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示した制御部231によって本発明にかかる検出手段、判断手段および生成手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部221が表示部226を制御することによって、本発明にかかる報知手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部231が通信I/F234を制御することによって、本発明にかかる出力手段の機能を実現する。
【0086】
(貸出管理システムの処理の内容)
図3〜図7を用いて、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システム100の処理の内容について説明する。図3は、本発明の実施形態1にかかる貸出管理サーバの処理の内容を示すフローチャートであり、貸出管理システム100の電源が投入された際に実行される。図3のフローチャートにおいて、まず、制御部231は、物品Bの棚卸実施条件を設定する(ステップS301)。
【0087】
棚卸実施条件は、たとえば、所定条件のしきい値として入力部235を管理者が操作して入力される。入力された棚卸実施条件は、制御部231のRAMなどに記憶され、ステップS302における催促条件の判定処理の際に制御部231によって読み出される。棚卸実施条件は、定期的に棚卸を実行する間隔や、物品Bの棚卸が必要になる棚卸催促指標としての貸出返却回数(利用頻度)である。なお、本実施形態1では、ステップS301において、定期的な棚卸の間隔を1ヶ月、貸出返却回数を100回に設定する。詳細は後述するが、貸出返却回数は、定期的あるいは必要に応じた棚卸が実行されるまで初期値の0から1ずつ加算(インクリメント)され、棚卸が実行されるとクリアされて0に戻る。また、設定回数である100回は、管理者が入力部235を操作することで任意に設定する構成や、物品Bの種類、新しさ、利用頻度などによって重み付けされて設定する構成としてもよい。
【0088】
制御部231は、ステップS301において設定された棚卸実施条件に基づいて、棚卸の催促条件の判定処理をおこなう(ステップS302)。催促条件の判定処理は、記憶部237に記憶されている管理状況情報を参照して、利用履歴情報としての貸出返却回数が棚卸実施条件を満たしたり、定期的な棚卸の間隔が1ヶ月を超えたりした場合に、棚卸実施の催促(棚卸が必要な旨の報知)が必要であると判定する。
【0089】
ここで、図4を用いて、本発明の実施形態1にかかる貸出管理サーバ130における催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)について説明する。図4は、本発明の実施形態1にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、制御部231は、記憶部237に記憶される管理状況情報に基づく利用履歴情報としての貸出返却回数を0に設定(初期化)する(ステップS401)。
【0090】
制御部231は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して受信されるタグ識別情報から、物品Bの貸出返却があったか否かを判断する(ステップS402)。具体的には、制御部231は、通信I/F234を介して、据置型リーダ110から物品Bのタグ識別情報を受信すると、前述したようにタグ識別情報を読み取ったアンテナ212の順序やタグ識別情報の組み合わせなどから物品Bの貸出や返却があったと判断する。
【0091】
なお、据置型リーダ110の処理の内容については、特に図示しないが、電源が入った状態で通信待機状態となり、ユーザMや物品Bが保管室150の入口を通過すると、アンテナ212を介して、人タグTmや物品タグTbからタグ識別情報を読み取る。そして、据置型リーダ110は、読み取ったタグ識別情報を通信I/F214を介して貸出管理サーバ130に送信する構成である。
【0092】
ステップS402において、物品Bの貸出返却がない場合(ステップS402:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS406)。
【0093】
ステップS402において、物品Bの貸出返却があった場合(ステップS402:Yes)は、制御部231は、管理状況情報の累積回数とともに利用履歴情報である貸出返却回数をインクリメントする(ステップS403)。
【0094】
制御部231は、ステップS403においてインクリメントされた貸出返却回数が設定回数を超えているか否かを判断する(ステップS404)。具体的には、設定回数は、図3に示したステップS301において設定された貸出返却回数の100回である。
【0095】
ここで、図5を用いて、本発明の実施形態1にかかる催促条件の判定処理における設定回数に関する判断について説明する。図5は、本発明の実施形態1にかかる貸出返却回数の設定回数の一例を示す説明図である。
【0096】
図5(a)では、定期的な棚卸の間隔である1ヶ月の間におこなわれた貸出返却の回数を累積的に示したグラフである。図5(a)では、定期的な棚卸の間隔に到達する前に、貸出返却回数が100回を超えている。すなわち、図5(a)では、貸出管理サーバ130は、制御部231によって、定期的な棚卸の間隔に到達する前であっても、貸出返却回数が100回を超えた段階で棚卸が必要であると判断されることとなる。
【0097】
図4に戻って、ステップS404において、貸出返却回数が設定回数を超えていると判断された場合(ステップS404:Yes)は、制御部231は、棚卸対象物品情報を取得して(ステップS405)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。具体的には、制御部231は、貸出返却回数が設定回数を超えた物品Bのタグ識別情報を棚卸対象物品情報(棚卸リスト)として記憶部237から取得して(ステップS405)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0098】
ステップS404において、貸出返却回数が設定回数を超えていない場合(ステップS404:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS406)。
【0099】
ステップS406において、定期的な棚卸時期でない場合(ステップS406:No)は、図3に示したステップS304へ移行する。また、ステップS406において、定期的な棚卸時期である場合(ステップS406:Yes)は、制御部231は、定期的な棚卸の対象となる物品Bのタグ識別情報を棚卸対象物品情報(棚卸リスト)として記憶部237から取得して(ステップS405)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0100】
図3に戻って、制御部231は、通信I/F234を介して、ステップS302の催促条件の判定処理において取得された棚卸対象物品情報を、棚卸をおこなうための棚卸リストとしてハンディリーダ120に出力する(ステップS303)。
【0101】
ここで、図6を用いて、本発明の実施形態1にかかる棚卸対象物品情報について説明する。図6は、本発明の実施形態1にかかる棚卸対象物品情報の一例を示す説明図である。図6において、棚卸対象物品情報は、ステップS302の催促条件の判定処理によって取得され、棚卸が必要とされた物品Bのタグ識別情報と、物品Bの物品名とが対応付けられたテーブルである。
【0102】
棚卸対象物品情報は、貸出管理サーバ130から棚卸が必要である旨の報知として、ハンディリーダ120に出力される。貸出管理サーバ130から、棚卸リストとしての棚卸対象物品情報が出力されると、ハンディリーダ120は、出力された棚卸対象物品情報における物品Bのタグ識別情報を指定して、物品Bの棚卸を実施する。
【0103】
ここで、図7を用いて、本発明の実施形態1にかかるハンディリーダ120の処理の内容について説明する。図7は、本発明の実施形態1にかかるハンディリーダの処理の内容を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、まず、制御部221は、通信I/F224を介して、貸出管理サーバ130から棚卸対象物品情報を受信したか否かを判断する(ステップS701)。
【0104】
ステップS701において、棚卸対象物品情報を受信しない場合(ステップS701:No)は、ステップS703へ移行する。また、ステップS701において、棚卸対象物品情報を受信した場合(ステップS701:Yes)は、制御部221は、表示部226を制御して、棚卸が必要である旨の報知として棚卸実施の催促をおこなう(ステップS702)。
【0105】
具体的には、制御部221は、ステップS701において受信された棚卸対象物品情報(棚卸リスト)を記憶部227に記憶するとともに、表示部226に「棚卸をおこなってください」のような警告メッセージや、棚卸リストなどの表示をおこなわせる。また、棚卸が必要である旨の報知は、赤色点滅などの警告ランプなどでもよい。
【0106】
制御部221は、入力部225を管理者が操作して、棚卸が実施されたか否かを判断する(ステップS703)。具体的には、棚卸は、入力部225を操作して管理者が棚卸開始の指示をおこない、物品Bのタグ識別情報を読み取ることによって実施される。棚卸は、ステップS701において受信された棚卸対象物品情報に基づいて、棚卸対象の物品Bからタグ識別情報を読み取ったり、管理者が自発的(棚卸実施の催促や定期的な間隔とは無関係)に棚卸として物品Bのタグ識別情報を読み取ったりする。
【0107】
ステップS703において、棚卸が実施されない場合(ステップS703:No)は、ステップS701へ戻って処理を繰り返す。また、ステップS703において、棚卸が実施された場合(ステップS703:Yes)は、制御部221は、棚卸によって読み取られた物品Bのタグ識別情報を、通信I/F224を介して貸出管理サーバ130へ棚卸データとして出力する(ステップS704)。そして、制御部221は、ハンディリーダ120を棚卸前の状態とする初期化処理をおこない(ステップS705)、ステップS701へ戻って処理を繰り返す。
【0108】
図3に戻って、制御部231は、ステップS303において棚卸対象物品情報が出力されると、ハンディリーダ120によって棚卸が実施されたか否かを判断する(ステップS304)。具体的には、制御部231は、図7に示したステップS704においてハンディリーダ120から送信される、棚卸が実施された旨を示す棚卸データを通信I/F234を介して受信した場合に棚卸が実施されたと判断することとなる。
【0109】
ステップS304において、棚卸が実施されていない場合(ステップS304:No)は、図4に示したステップS402へ移行して処理を繰り返す。また、ステップS304において、棚卸が実施された場合(ステップS304:Yes)は、制御部231は、ステップS302へ戻って処理を繰り返す。すなわち、ステップS401へ戻って、記憶部237に記憶される管理状況情報に基づく利用履歴情報としての貸出返却回数をクリア(貸出返却回数=0)して以降の催促条件の判定処理をおこなう。
【0110】
ここで、図5(b)を用いて、本発明の実施形態1にかかる棚卸催促指標のクリアについて説明する。図5(b)では、貸出管理サーバ130は、貸出返却回数が100回を超えた段階で、棚卸実施の催促として、図3に示したステップS303における棚卸対象物品情報の出力をおこなっている(図5(a)参照)。
【0111】
棚卸実施の催促がおこなわれた後、実際に棚卸が実施されたと判断されると、ステップS401へ戻って、制御部231は、インクリメントしていた貸出返却回数を0に設定(すなわち、棚卸催促指標をクリア)することとなる。そして、貸出返却回数は、新たに棚卸がおこなわれるまでインクリメントされる。
【0112】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態1の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS302における制御部231の処理によって、本発明にかかる検出手段、判断手段および生成手段の処理が実行される。ステップS702における制御部221および表示部226の処理によって、本発明にかかる報知手段の処理が実行される。ステップS303における制御部231および通信I/F234の処理によって、本発明にかかる出力手段の処理が実行される。
【0113】
以上説明したように、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムによれば、物品の貸出返却回数が設定回数を超えた場合に、棚卸が必要である旨を報知することで、実際の物品の在庫状況と管理状況情報とが乖離する前に棚卸を催促することができる。すなわち、貸出管理システムによれば、在庫状況と管理状況情報との乖離が大きくなるのを未然に防ぐことができる。
【0114】
また、本発明の実施形態1にかかる貸出管理システムによれば、棚卸が必要である旨の報知として、棚卸が必要である物品について棚卸リストをハンディリーダに出力することができる。したがって、ハンディリーダは、受け取った棚卸リストとしての棚卸対象物品情報に基づいて、迅速かつ正確に棚卸が必要な物品に対して棚卸を実施することができる。
【0115】
(その他の一部の変形例)
なお、本発明の実施形態1では特に、図4に示した催促条件の判定処理において、貸出返却回数が設定回数を超えた場合に、ステップS405において取得された棚卸対象物品情報を、ステップS303においてハンディリーダ120に出力することで棚卸を促すこととしているが、これに限ることはない。
【0116】
すなわち、ハンディリーダ120が棚卸対象物品を取得しなくても、管理者に対して保管室150内の棚卸が必要であることを報知することとしてもよい。このような構成によれば、処理の簡略化が図ることができ、保管室50内の物品Bが同一種や少量であった場合に特に有用である。
【0117】
また、本発明の実施形態1では特に、図4に示した催促条件の判定処理において、貸出返却回数がインクリメントされると、ステップS404において貸出返却回数が設定回数を超えているかの判断結果に応じて、棚卸を催促するための棚卸対象物品情報を取得する構成としたが、これに限ることはない。
【0118】
すなわち、棚卸の催促を所定期間(たとえば、1日や3日など)おきにおこなう構成とすれば、貸出返却回数がインクリメントされてから棚卸の催促に関する所定期間を超えた場合に、貸出返却回数が設定回数を超えているか判断を判断してもよい。
【0119】
このようにすれば、貸出返却回数がインクリメントされる都度、貸出返却回数が設定回数を超えているかを判断しなくてもよいため、貸出管理サーバ130の処理の簡素化を図ることができる。さらに、所定期間ごとに判断がなされるため、管理者は、貸出返却がおこなわれるタイミングを把握していなくても、棚卸の催促を確認すべきタイミングがわかり、確実に棚卸の要否を判断することができる。
【0120】
また、本発明の実施形態1では特に、図3におけるフローチャートで、ステップS301において棚卸実施条件を設定すると、以降は処理を継続する構成としているが、これに限ることはない。すなわち、管理者によって新たな棚卸実施条件の設定がされる場合には、貸出管理サーバ130によって処理の終了を選択可能にし、新たに設定される棚卸実施条件によって処理を再開する。このようにすれば、様々な棚卸実施条件を適用することができる。
【0121】
また、本発明の実施形態1では特に、物品Bの貸出と返却とを区別せずに貸出返却回数を棚卸催促指標に用いることとして説明したが、これに限ることはない。すなわち、貸出回数や返却回数のいずれかを棚卸催促指標に用いてもよい。
【0122】
貸出回数や返却回数の双方を棚卸催促指標に用いる場合、単に合計回数を用いる代わりに、貸出回数と返却回数の設定回数に差異をつけることとしてもよい。このようにすれば、在庫状況と、管理状況情報とに乖離が発生しやすい処理(貸出あるいは返却)に重みをつけて、棚卸催促時期の最適化を図ることができる。
【0123】
また、本発明の実施形態1では特に、物品Bの貸出返却回数を棚卸催促指標に用いることとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、物品Bの貸出返却の際にユーザMのタグ識別情報を受信すると、物品Bの貸出返却をおこなったユーザMの数(利用者数)を管理状況情報の利用履歴情報として記憶部237に記憶する。そして、ステップS301において設定される利用者数のしきい値を棚卸催促指標に用いてもよい。すなわち、物品Bの貸出返却をおこなったユーザMの数が所定のしきい値を超えた場合に物品Bの棚卸を催促する構成としてもよい。
【0124】
ユーザMの数を棚卸催促指標として用いる場合、物品Bの種類によらず、保管室150内にある物品B全体について貸出返却をおこなったユーザMの数を用いてもよい。実施形態1で説明した貸出返却回数とユーザMの数の双方を棚卸催促指標として用いてもよく、このようにすれば棚卸の催促時期の最適化を図り、汎用性の高いシステムを提供することができる。
【0125】
また、本発明の実施形態1では特に、棚卸が必要である旨の報知として、貸出管理サーバ130からハンディリーダ120に対して棚卸対象物品情報を出力する構成としたが、これに限ることはない。すなわち、貸出管理サーバ130は、物品Bの棚卸が必要であると判断した場合、通信I/F234を介して、棚卸を実施する管理者が保持するPC端末や電話端末などに電子メールや電話などによって棚卸が必要である旨を報知する。このようにすれば、管理者がハンディリーダ120を保持していなくても、確実に管理者に対して棚卸が必要であることを伝えることができる。
【0126】
また、本発明の実施形態1では特に、ハンディリーダ120の表示部226によって棚卸実施の催促をおこなう構成としたが、これに限ることはない。すなわち、ハンディリーダ120にスピーカなどを備える構成とすれば、音声によって棚卸を催促してもよい。このように、音声や表示など棚卸を催促する手段にバリエーションを持たせることで、管理者に対して、棚卸の必要性を確実に伝えることができる。
【0127】
また、本発明の実施形態1では特に、図7に示したステップS702およびステップS703において棚卸実施の催促をおこなってから、実際に棚卸が実施されなかった場合は、ステップS701へ戻って処理を繰り返すこととしたが、これに限ることはない。すなわち、棚卸実施の催促をおこなってから、一定期間経過しても棚卸が実施されなかった場合に再度棚卸の催促をおこなうこととしてもよい。
【0128】
具体的には、たとえば、ステップS301において、貸出管理サーバ130は、管理者の入力に基づいて、棚卸実施条件として棚卸催促指標とともに棚卸催促の間隔を設定する。貸出管理サーバ130は、棚卸対象物品情報と、棚卸催促の間隔をハンディリーダ120に送信する。ハンディリーダ120は、ステップS703に棚卸が実施されなかった場合は、ステップS701へ戻らずに、棚卸催促の間隔が経過後に再度棚卸の催促をおこなうこととする。このようにすれば、ハンディリーダ120は、棚卸対象物品情報を一旦受信すると、棚卸が実施されるまで催促を継続することができるため、管理者に対して、棚卸の必要性を確実に伝えることができる。
【0129】
また、本発明の実施形態1では特に据置型リーダ110と、ハンディリーダ120と、貸出管理サーバ130とによって貸出管理システム100を構成したがこれに限ることはない。具体的には、貸出管理サーバ130を、PC端末とデータベースサーバに分けた構成としてもよい。
【0130】
また、据置型リーダ110と、ハンディリーダ120とを1台のリーダとしてもよい。具体的には、ハンディリーダ120を据置型リーダ110の機能も併せ持つ構成としてもよい。据置型リーダ110の機能も併せ持つハンディリーダ120は、たとえば、据置型リーダ110としての管理モードと、ハンディリーダ110としての棚卸モードとを切替可能とする。
【0131】
すなわち、ハンディリーダ120は、棚卸モード保管室150の入口に設置されている場合は管理モードを起動させて、ユーザMが入退室する際に無線タグTm,Tbをアンテナ221にかざすようにユーザMに促す。そして、ハンディリーダ120は、管理者が把持(管理者による操作入力)によって、棚卸モードを起動させて、棚卸対象となる物品Bの棚卸を実施する。
【0132】
また、据置型リーダ110、ハンディリーダ120および貸出管理サーバ130を1台のリーダとしてもよい。具体的には、ハンディリーダ120を据置型リーダ110および貸出管理サーバ130の機能も併せ持つ構成としてもよい。据置型リーダ110および貸出管理サーバ130の機能も併せ持つハンディリーダ120は、本発明にかかる物品棚卸装置の機能を実現する。このように、本発明の実施形態1によれば、据置型リーダ110、ハンディリーダ120および貸出管理サーバ130の各機能を実現する構成であれば、機器の台数を限定しなくてもよく、機器構成の簡略化を図ることができる。
【0133】
また、本発明の実施形態1では特に、本発明にかかる物品管理システムに貸出管理システム100を適用する場合について説明したが、これに限ることはない。具体的には、本発明にかかる物品管理システムは、物品の販売を管理する販売管理システムに適用するなど汎用性に富んだシステムである。販売管理システムでは、たとえば、棚卸催促指標として、来客数や販売物品数や販売金額などを用いて棚卸の催促を判断することとなる。
【0134】
(実施形態2)
(貸出管理システムの概要)
つぎに、本発明の実施形態2ついて説明する。本発明の実施形態2は、実施形態1で説明した利用履歴情報の棚卸催促指標として同一のタイミングに所定数量以上の物品が利用された同時利用回数を用いた場合について説明する。なお、本発明の実施形態2にかかる貸出管理システムの概要、機能的構成については、実施形態1に示した図1および図2とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0135】
本実施形態2においては、同時利用回数は、ユーザMが複数の物品Bの貸出返却を同一のタイミングでおこなった回数であり、管理状況情報の利用履歴情報として記憶部237に記憶される。具体的には、同時利用回数は、一度に複数個以上の物品B(たとえば、3台以上のOA機器)の貸出をおこなった回数である。換言すれば、一人のユーザMによって、3台以上のOA機器の貸出がおこなわれた回数である。物品Bの同時利用は、ユーザMの人タグTmおよび複数の物品Bの物品タグTbを同一タイミングで読み取って処理をおこなうため、無線タグTm,Tbの読み漏らしなどによって管理状況情報と実際の在庫状況とに乖離が生じやすい。特に、同時利用回数の利用は、同時利用されるケースが多い書籍などの小物の物品Bの貸出返却サービスに有用である。
【0136】
(貸出管理システムの処理の内容)
ここで、本発明の実施形態2にかかる貸出管理システムの処理の内容について説明する。なお、本発明の実施形態2にかかる貸出管理サーバ130の処理については、図3に示したフローチャートのうち、ステップS301における棚卸実施条件の設定について、貸出返却回数を設定する代わりに同時利用回数を設定し、設定された同時利用回数を用いてステップS302における催促条件の判定処理をおこなう以外の処理は図3とほぼ同様であり、ハンディリーダ120の処理については図7とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0137】
ここで、図8を用いて、本発明の実施形態2にかかる貸出管理サーバ130における催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)について説明する。図8は、本発明の実施形態2にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、まず、制御部231は、記憶部237に記憶される管理状況情報に基づく利用履歴情報としての同時利用回数を0に設定(初期化)する(ステップS801)。
【0138】
制御部231は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して受信されるタグ識別情報から、物品Bの貸出返却があったか否かを判断する(ステップS802)。ステップS802において、物品Bの貸出返却がない場合(ステップS802:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS807)。
【0139】
ステップS802において、物品Bの貸出返却があった場合(ステップS802:Yes)は、制御部231は、ステップS802においておこなわれた物品Bの貸出返却について所定数量以上の同時利用か否かを判断する(ステップS803)。同時利用の判断は、たとえば、据置型リーダ110から送信されるタグ識別情報ついて、所定数量以上の物タグTbのタグ識別情報が含まれているか否かによって判断する。
【0140】
ステップS803において、同時利用でない場合(ステップS803:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS807)。また、ステップS803において、同時利用である場合(ステップS803:Yes)は、制御部231は、管理状況情報の利用履歴情報である同時利用回数をインクリメントする(ステップS804)。
【0141】
制御部231は、ステップS804においてインクリメントされた同時利用回数が設定回数を超えているか否かを判断する(ステップS805)。ステップS805において、同時利用回数が設定回数を超えていると判断された場合(ステップS805:Yes)は、制御部231は、棚卸対象物品情報を取得して(ステップS806)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0142】
ステップS805において、同時利用回数が設定回数を超えていない場合(ステップS805:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS807)。
【0143】
ステップS807において、定期的な棚卸時期でない場合(ステップS807:No)は、図3に示したステップS304へ移行する。また、ステップS807において、定期的な棚卸時期である場合(ステップS807:Yes)は、制御部231は、定期的な棚卸の対象となる物品Bのタグ識別情報を棚卸対象物品情報(棚卸リスト)として記憶部237から取得して(ステップS806)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0144】
以上説明したように、本発明の実施形態2にかかる貸出管理システムによれば、物品の同時利用回数が設定回数を超えた場合に、棚卸が必要である旨を報知することで、実際の物品の在庫状況と管理状況情報とが乖離する前に棚卸を催促することができる。本発明の実施形態2にかかる貸出管理システムによれば、棚卸催促指標に同時利用回数を用いることで、在庫状況と管理状況情報との乖離が生じやすい状況を未然に判断することができる。
【0145】
(その他の一部の変形例)
なお、本発明の実施形態2では特に、同時利用回数について、所定数量以上の物品Bが同一のタイミングで利用された場合について説明したがこれに限ることはない。すなわち、同時利用回数については、同時に利用する物品Bの数量が多いほど在庫状況と管理状況情報とに乖離が生じやすくなる。したがって、同時に利用する物品Bの数量に応じて設定回数を変えることとしてもよい。具体的には、上述の例では、同時に利用する数量が10個の場合も5個の場合も、3個以上であることに変わりはないため同じように扱っていたが、同時利用について、10個の物品Bならば設定回数を3回、5個の物品Bならば8回のように、数量に応じて可変としてもよい。このようにすれば、在庫状況と管理状況情報との乖離が生じやすい状況を的確に判断することができる。
【0146】
(実施形態3)
(貸出管理システムの概要)
つぎに、本発明の実施形態3ついて説明する。本発明の実施形態3は、実施形態1で説明した利用履歴情報の棚卸催促指標として物品の利用開始や利用終了が正常におこなわれていない場合に、利用開始や利用終了がなされる不整合回数を用いた場合について説明する。なお、本発明の実施形態3にかかる貸出管理システムの概要、機能的構成については、実施形態1に示した図1および図2とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0147】
本実施形態3においては、不整合回数は、ユーザMが物品Bの貸出返却をおこなう際に、前回の貸出返却が正常になされていなかった回数であり、管理状況情報の利用履歴情報として記憶部237に記憶される。具体的には、不整合回数は、前回の返却の際、物品Bのタグ識別情報が読み取られていないにもかかわらず(管理状況情報では保管室150に物品Bが不存在)保管室150に物品Bが存在する場合に、ユーザMが物品Bの貸出をおこなう場合に生じる。また、前回の貸出の際、物品Bのタグ識別情報が読み取られていないにもかかわらず(管理状況情報では保管室150に物品Bが存在)、ユーザMが物品Bの返却をおこなう場合に生じる。不整合が多く発生している場合は、無線タグTm,Tbの読み漏らしや不正をおこなうユーザMが多いなどの理由によって管理状況情報と実際の在庫状況とに乖離が生じやすい。
【0148】
(貸出管理システムの処理の内容)
ここで、本発明の実施形態3にかかる貸出管理システムの処理の内容について説明する。なお、本発明の実施形態3にかかる貸出管理サーバ130の処理については、図3に示したフローチャートのうち、ステップS301における棚卸実施条件の設定について、貸出返却回数を設定する代わりに不整合回数を設定し、設定された不整合回数を用いてステップS302における催促条件の判定処理をおこなう他は図3とほぼ同様であり、ハンディリーダ120の処理については図7とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0149】
ここで、図9を用いて、本発明の実施形態3にかかる貸出管理サーバ130における催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)について説明する。図9は、本発明の実施形態3にかかる催促条件の判定処理(図3に示したステップS302)の内容を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、制御部231は、記憶部237に記憶される管理状況情報に基づく利用履歴情報としての同時利用回数を0に設定(初期化)する(ステップS901)。
【0150】
制御部231は、据置型リーダ110からネットワークNWを介して受信されるタグ識別情報から、物品Bの貸出返却があったか否かを判断する(ステップS902)。ステップS902において、物品Bの貸出返却がない場合(ステップS902:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS907)。
【0151】
ステップS902において、物品Bの貸出返却があった場合(ステップS902:Yes)は、制御部231は、ステップS902において貸出返却がおこなわれた物品Bについて、前回の貸出返却が正常だったか否かを判断する(ステップS903)。前回の貸出返却に関する判断は、たとえば、据置型リーダ110から送信されるタグ識別情報について、記憶部237に記憶された管理状況情報を参照しておこなう。すなわち、管理状況情報において貸出中(未だ返却されていない)の物品Bの貸出がおこなわれる場合や、保管中(返却されているはず)の物品Bの返却がおこなわれる場合などに前回の貸出返却が正常でなかったと判断する。
【0152】
ステップS903において、前回の貸出返却が正常である場合(ステップS903:Yes)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS907)。また、ステップS903において、前回の貸出返却が前回の貸出返却が正常でない場合(ステップS903:No)は、制御部231は、管理状況情報の利用履歴情報である不整合回数をインクリメントする(ステップS904)。
【0153】
制御部231は、ステップS904においてインクリメントされた不整合回数が設定回数を超えているか否かを判断する(ステップS905)。ステップS905において、不整合回数が設定回数を超えていると判断された場合(ステップS905:Yes)は、制御部231は、棚卸対象物品情報を取得して(ステップS906)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0154】
ステップS905において、不整合回数が設定回数を超えていない場合(ステップS905:No)は、制御部231は、図示しないタイマなどを参照することで、現在日時が定期的な棚卸時期か否かを判断する(ステップS907)。
【0155】
ステップS907において、定期的な棚卸時期でない場合(ステップS907:No)は、図3に示したステップS304へ移行する。また、ステップS907において、定期的な棚卸時期である場合(ステップS907:Yes)は、制御部231は、定期的な棚卸の対象となる物品Bのタグ識別情報を棚卸対象物品情報(棚卸リスト)として記憶部237から取得して(ステップS906)、一連の催促条件の判定処理を終了し、図3に示したステップS303へ移行する。
【0156】
以上説明したように、本発明の実施形態3にかかる貸出管理システムによれば、物品の利用に関して不整合回数が設定回数を超えた場合に、棚卸が必要である旨を報知することで、実際の物品の在庫状況と管理状況情報とが乖離する前に棚卸を催促することができる。本発明の実施形態3にかかる貸出管理システムによれば、棚卸催促指標に不整合回数を用いることで、在庫状況と管理状況情報との乖離が生じやすい状況を未然に判断することができる。
【0157】
(その他の一部の変形例)
なお、本発明の実施形態3では特に、不整合回数を棚卸催促指標に用いることとして説明したが、これに限ることはない。具体的には、保管室150に入室したにもかかわらず、物品Bの貸出返却をおこなったユーザMの数である未処理利用者数を管理状況情報の利用履歴情報として記憶部237に記憶する。そして、ステップS301において設定される未処理利用者数のしきい値を棚卸催促指標に用いてもよい。すなわち、管理状況情報では物品Bの貸出返却をおこなわなかったとされるユーザMの数が所定のしきい値を超えた場合に物品Bの棚卸を催促する。未処理利用者数を棚卸催促指標として用いることで、物タグTbからのタグ識別情報の読み取り漏れによって発生する在庫状況と管理状況情報との乖離にも対処できる。
【0158】
また、物品Bの利用がなかった期間が所定期間を超えた場合に棚卸催促をおこなうこととしてもよい。このような構成によれば、据置型リーダ110の不具合などによって在庫状況と管理状況情報との乖離した場合にも対処することができる。
【0159】
また、上述した説明では、実施形態1、実施形態2、実施形態3および一部の変形例について別々の例として説明したが、これに限ることはない。すなわち、それぞれを組み合わせた構成として、棚卸催促指標に複数の指標を用いるなどして、実施形態1、実施形態2、実施形態3および一部の変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【符号の説明】
【0160】
M ユーザ
B 物品
NW ネットワーク
Tm 人タグ
Tb 物タグ
100 貸出管理システム
110 据置型リーダ
120 ハンディリーダ
130 貸出管理サーバ
150 保管室
211,221,231,251 制御部
212,222,252 アンテナ
213,223 無線タグ通信制御部
214,224,234 通信I/F
215,225,235 入力部
216,226,236 表示部
217,227,237,257 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象物品の利用に応じて前記管理対象物品の識別情報を取得し、データベースに登録された前記管理対象物品の管理状況情報を更新する物品管理システムであって、
前記管理状況情報から、前記管理対象物品が利用された履歴に関する利用履歴情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された利用履歴情報に基づいて、所定条件のしきい値によって前記管理対象物品の棚卸の要否を判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記棚卸が要であると判断された場合、前記棚卸を促す報知をおこなう報知手段と、
を備えることを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記判断手段によって、前記棚卸が要であると判断された前記管理対象物品に基づいて、前記管理対象物品の棚卸をおこなう棚卸リストを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記棚卸リストを、前記棚卸をおこなう物品棚卸装置に出力する出力手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記利用履歴情報として単位期間における前記管理対象物品の利用頻度を検出し、
前記判断手段は、前記所定条件としての前記利用頻度が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記検出手段は、前記利用履歴情報として前記管理対象物品を利用した利用者数を検出し、
前記判断手段は、前記所定条件としての前記利用者数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記検出手段は、前記利用履歴情報として同一のタイミングに所定数量以上の前記管理対象物品が利用された同時利用回数を検出し、
前記判断手段は、前記所定条件としての前記同時利用回数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の物品管理システム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記利用履歴情報として、前記管理状況情報において利用開始処理がされていない場合に利用終了処理がされた回数および/または、利用終了処理がされていない場合に利用開始処理がされた回数を含む不整合回数を検出し、
前記判断手段は、前記所定条件としての前記不整合回数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の物品管理システム。
【請求項7】
前記検出手段は、前記利用履歴情報として、前記管理対象物品の利用候補者のうち、前記管理対象物品の利用開始処理および/または利用終了処理をおこなわなかった未処理利用人数を検出し、
前記判断手段は、前記所定条件としての前記未処理利用人数が所定のしきい値を超えた場合、前記棚卸が要であると判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の物品管理システム。
【請求項8】
前記検出手段は、前記管理対象物品の収納場所毎における前記利用履歴情報を検出し、
前記判断手段は、前記収納場所毎に前記棚卸の要否を判断し、
前記生成手段は、前記収納場所毎に前記棚卸リストを生成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の物品管理システム。
【請求項9】
棚卸の対象となる物品の棚卸リストに基づいて、前記物品の棚卸をおこなう物品棚卸装置であって、
管理対象物品の利用に応じて前記管理対象物品から取得した識別情報に基づいて更新された前記管理対象物品の管理状況情報を記憶する記憶手段と、
前記管理状況情報から、前記管理対象物品が利用された履歴に関する利用履歴情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された利用履歴情報に基づいて、所定条件のしきい値によって前記管理対象物品の棚卸の要否を判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記棚卸が要であると判断された場合、前記管理状況情報から前記棚卸の対象となる前記管理対象物品の前記棚卸リストを生成して、前記棚卸を促す報知をおこなう報知手段と、
を備えることを特徴とする物品棚卸装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記管理対象物品の収納場所毎における前記利用履歴情報を検出し、
前記判断手段は、前記収納場所毎に前記棚卸の要否を判断し、
前記生成手段は、前記収納場所毎に前記棚卸リストを生成することを特徴とする請求項9に記載の物品棚卸装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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