説明

物品管理システム

【課題】 物品を不適当な場所に格納してしまうことを防止することができ、物品の位置管理を確実に行うことができる物品管理システムを提供する。
【解決手段】 格納部3aの外側に位置する物品2のRFタグに記憶されている当該物品2の識別情報を、格納部3aを視認可能な位置に設けられた通信部9の通信により取得し、識別情報を取得した物品2が格納されるべき格納部3aを示す格納情報を取得する。そして、取得した格納情報により示される格納部3aが、通信部9の通信により識別情報を取得した物品2の格納位置である旨を報知する。これにより、報知された格納部3aを物品2の格納場所として容易に認識することができるので、適当な場所に物品2を格納してしまうことを防止することができ、物品2の位置管理を確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書館やレンタルビデオ店等における物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラックの棚に複数の書籍を格納した状態で、書籍に備えた無線タグ(RFタグ)とアンテナを介して通信し、どのラックのどの位置にどの書籍が格納されているかを認識することができ、格納されている書籍を漏れなく管理することができる物品管理棚及び物品管理システムが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−72919公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の物品管理棚及び物品管理システムは、ラック内に格納されている書籍の位置を記憶することにより、格納されている書籍を漏れなく管理するものである。そのため、ラック内に格納されている書籍の位置が正しいことが大前提となっている。
【0005】
しかしながら、書籍の閲覧後等にその書籍を元の場所に返却する場合に、元の場所が分からなくなってしまうケースがあり、このような場合には不適当な場所に返却してしまうことがある。
【0006】
したがって、特許文献1の物品管理棚及び物品管理システムによれば、このように不適当な場所に返却された書籍の位置を正しい位置として管理してしまうことになるため、管理上の不具合を生じてしまう。
【0007】
本発明は、物品を不適当な場所に格納してしまうことを防止することができ、物品の位置管理を確実に行うことができる物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品管理システムは、装着される物品の識別情報を記憶した非接触で通信可能なRFタグと、前記物品を格納する複数の格納部と、前記格納部を視認可能な位置に設けられ、当該格納部の外側に位置する前記物品の前記RFタグと通信する通信部と、前記物品の識別情報と当該物品が格納されるべき前記格納部を示す格納情報とを対応付けて記憶する格納位置記憶部と、前記通信部の通信により、前記格納部の外側に位置する前記物品の前記RFタグに記憶されている当該物品の識別情報を取得する情報取得手段と、識別情報を取得した前記物品が格納されるべき前記格納部を示す格納情報を取得する格納位置取得手段と、この格納位置取得手段により取得した格納情報により示される前記格納部が、前記通信部の通信により識別情報を取得した前記物品の格納位置である旨を報知する報知手段と、を備えている。
【0009】
したがって、格納部の外側に位置する物品のRFタグに記憶されている当該物品の識別情報が、格納部を視認可能な位置に設けられた通信部の通信により取得され、識別情報を取得した物品が格納されるべき格納部を示す格納情報が取得される。そして、取得した格納情報により示される格納部が、通信部の通信により識別情報を取得した物品の格納位置である旨が報知される。これにより、報知された格納部を物品の格納場所として容易に認識することが可能になるので、物品を適当な場所に格納してしまうことを防止することが可能になり、物品の位置管理を確実に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品を適当な場所に格納してしまうことを防止することができ、物品の位置管理を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態を図1ないし図5に基づいて説明する。本実施の形態の物品管理システムは、図書館における書籍管理システム1に適用されている。
【0012】
図1は、書籍管理システム1の全体構成を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の書籍管理システム1は、図書や資料等の書籍2を格納する格納部である複数の棚部3aを有している複数の書架3と、これらの書架3に接続される情報処理装置4とで構成されている。
【0013】
本実施の形態の書籍2には、RFタグ(図示せず)が各々装着されている。このようなRFタグは、RFID(Radio Frequency IDentification)と称される技術において用いられるものであり、ICタグとも呼ばれているものである。RFタグは、特に図示しないが、この図書館における書籍2の識別情報である書籍番号やその他のデータであるタグ情報を記憶する記憶部を含むICチップと、データを無線で送信できるアンテナとを主体に構成されている。なお、後述するアンテナユニット5,9との間の無線通信方式としては、静電結合方式、電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式等、いずれの方式であってもよい。
【0014】
情報処理装置4は、いわゆるパーソナルコンピュータであって、物品管理システム1全体の制御を受持ち、その電装系は、例えば、図2に示すような構成とされている。情報処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)、起動プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される制御部11を保有し、バス12を介して接続された通信インタフェース13から、ケーブル7を介して複数台の書架3の制御装置6との間で相互に通信を実行し得るように構成されている。すなわち、情報処理装置4からケーブル7を介して送受信される信号は、制御装置6を介して各アンテナユニット5に送られる。また、制御部11にはバス12及びI/O機器制御部14を介して、キーボード15、表示器16、マウス17、ハードディスクドライブ装置(以下、HDDという)18及びプリンタ19が接続されている。HDD18には、制御部11のCPUを動作させるOS(Operating System)やアプリケーション・プログラムの他、書籍管理ファイルF1等が格納されている。図3に示すように、書籍管理ファイルF1には、書籍2毎に、書籍2に関する情報が記憶されている。具体的には、書籍2を識別する識別情報である書籍番号、書籍名、格納場所(書架3の番号及び棚部3aの番号)、貸出状態などが記憶されている。すなわち、書籍管理ファイルF1は、書籍2の識別情報と当該書籍2が格納されるべき棚部3aを示す格納情報とを対応付けて記憶する格納位置記憶部である。一般的に、このような情報処理装置4ではユーザが電源を投入すると、制御部11のCPUはROM内のBIOSに含まれるローダーというプログラムを起動させ、HDD18からOSをRAMに読み込む。OSは起動すると、ユーザの操作に応じてアプリケーション・プログラムの起動、情報の読み込み、保存等をサポートする。
【0015】
書架3の棚部3aには、RFタグとの通信を行うアンテナユニット5がそれぞれ配設されている。加えて、書架3の外面にも、RFタグとの通信を行う通信部であるアンテナユニット9が配設されている。なお、アンテナユニット9は、少なくとも書架3の棚部3aを視認可能な位置に設けられていればよく、書架3の外面に限るものではない。また、書架3には、情報処理装置4にケーブル7を介して接続される制御装置6がそれぞれ備えられており、この制御装置6には各棚部3aのアンテナユニット5及びアンテナユニット9が接続されている。さらに、書架3の各棚部3aには、発光部であるLED8が複数配設されている。制御装置6は、図4に示すように、CPU、ROM、RAM等で構成される制御部21を保有し、バス22を介して接続された通信インタフェース23からケーブル7を介して情報処理装置4との間における信号の送受信を制御するように構成されている。また、制御部21には、信号を送受信する棚部3aのアンテナユニット5を切替える棚切替部24がバス22を介して接続されている。さらに、制御部21には、各LED8の発光を制御する発光制御部25がバス22を介して接続されている。
【0016】
このような構成により、情報処理装置4から通信インタフェース23に入力された信号は、制御装置6で受信制御し、棚切替部24で切替指定された棚部3aのアンテナユニット5及びアンテナユニット9に送信される。棚切替部24で切替指定された棚部3aのアンテナユニット5は、当該棚部3aに格納された書籍2に装着されているRFタグと通信を行う。また、アンテナユニット9は、書架3の近傍に位置する書籍2に装着されているRFタグと通信を行う。RFタグはタグ情報(書籍番号等)を返信し、これをアンテナユニット5で受信して情報処理装置4に送信する。なお、1つのアンテナユニット5またはアンテナユニット9の通信領域中に複数の書籍2が存在することにより複数のRFタグが送信を行っても、情報処理装置4側で弁別処理されて個々のRFタグのタグ情報(書籍番号等)を読み取ることができる。
【0017】
ここで、情報処理装置4に内蔵された制御部11のCPUがHDD18に記憶されている各種プログラムに従って動作することにより実行する機能のうち、本実施の形態の情報処理装置4が備える特長的な機能である返却案内処理について説明する。
【0018】
図5は、返却案内処理の流れを示すフローチャートである。返却案内処理は、各書架3の制御装置6を介して書架3の外面のアンテナユニット9を動作させる一連の動作を、一定周期で繰り返して行う。図5に示すように、来館者が書籍2を手に持って書架3の近傍を歩くことにより、書籍2に装着されているRFタグとアンテナユニット9とが交信状態になると(ステップS1のY)、当該書籍2に装着されているRFタグに格納されている書籍番号を取得し(ステップS2:情報取得手段)、取得した書籍番号と交信状態にある書架3の番号とをRAMに一時記憶する(ステップS3)。
【0019】
次いで、取得した書籍番号に対応付けられて書籍管理ファイルF1に記憶されている格納場所を取得し(ステップS4:格納位置取得手段)、取得した格納場所と交信状態の書架3が一致しているか否かを判断する(ステップS5:判定手段)。
【0020】
取得した格納場所と交信状態の書架3が一致していない場合には(ステップS5のN)、取得した格納場所とされている書架3の棚部3aに配設されているLED8を発光させる(ステップS6:報知手段)。一方、取得した格納場所と交信状態の書架3が一致している場合には(ステップS5のY)、取得した格納場所とされている書架3の棚部3aに配設されているLED8を点滅させる(ステップS7:報知手段)。このように、取得した格納場所と交信状態の書架3が一致しているか否かにより報知内容を変えることにより、格納場所を確実に伝達することができる。
【0021】
これにより、来館者が書籍2を返却しようとしている場合において、返却場所が分からないような場合には、LED8が発光している書架3の棚部3aを探せば良い。また、返却場所の書架3のアンテナユニット9が交信状態になった場合には、当該書架3の所定の棚部3aに配設されているLED8が点滅するので、その棚部3aを返却場所として容易に認識することができるので、適当な場所に返却してしまうことを防止することができ、書籍の位置管理を確実に行うことができる。また、報知手段としては、音声による報知や画面表示による報知等でも良い。
【0022】
なお、取得した格納場所とされている書架3の棚部3aに配設されているLED8の発光(点滅)は、書籍2が正しい位置(書架3の棚部3a)に返却された場合(ステップS8のY)、または、LED8の発光(点滅)開始から一定時間が経過した場合に(ステップS9のY)、終了する(ステップS10)。書籍2が正しい位置(書架3の棚部3a)に返却されたか否かの判断は、正しい位置(書架3の棚部3a)のアンテナユニット5を動作させて、正しい位置(書架3の棚部3a)に格納されている書籍2のRFタグに格納されている書籍番号を取得し、取得した書籍番号の中にステップS2で取得した書籍番号が含まれているか否かで判断可能である。また、LED8の発光(点滅)開始から一定時間が経過した場合にも終了するようにしたのは、返却するため以外の目的で来館者が書籍2を手に持って歩いている場合を排除するためである。
【0023】
このように本実施の形態によれば、書架3の棚部3aの外側に位置する書籍2のRFタグに記憶されている当該書籍2の識別情報(書籍番号)が、書架3の棚部3aを視認可能な位置に設けられたアンテナユニット9の通信により取得され、取得した書籍2の識別情報(書籍番号)に基づいて書籍管理ファイルF1が探索され、当該書籍2が格納されるべき書架3の棚部3aを示す格納情報が取得される。そして、取得した格納情報により示される書架3の棚部3aが、アンテナユニット9の通信により識別情報(書籍番号)を取得した書籍2の格納位置である旨が報知される。これにより、報知された書架3の棚部3aを書籍2の格納場所として容易に認識することが可能になるので、不適当な場所に書籍2を格納してしまうことを防止することが可能になり、書籍2の位置管理を確実に行うことが可能になる。
【0024】
なお、本実施の形態では、各種プログラムをHDD18に格納するようにしたが、これに限るものではなく、フレキシブルディスク、磁気テープ等のような磁気的な記憶媒体、MOのような光磁気的な記憶媒体、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等のような光学的な記憶媒体、半導体メモリ等の各種方式のメディアを記憶媒体として用いるようにしても良い。なお、CD−ROMやDVD−ROMなどの各種の光学的な記憶媒体、各種の光磁気的な記憶媒体、フレキシブルディスクなどの各種の磁気的な記憶媒体等は、情報処理装置4に固定的に設けられておらず、単体で取り扱える交換自在な記憶媒体としての形態を備え、各メディアに適応した各種プログラム読取装置(CD−ROMドライブ等)を用いてプログラムを読み出すことで各種処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態の書籍管理システムの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】情報処理装置を構成する電装系を示すブロック図である。
【図3】書籍管理ファイルを示す模式図である。
【図4】制御装置を構成する電装系を示すブロック図である。
【図5】返却案内処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1…物品管理システム、2…物品、3a…格納部、8…発光部、9…通信部、F1…格納位置記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着される物品の識別情報を記憶した非接触で通信可能なRFタグと、
前記物品を格納する複数の格納部と、
前記格納部を視認可能な位置に設けられ、当該格納部の外側に位置する前記物品の前記RFタグと通信する通信部と、
前記物品の識別情報と当該物品が格納されるべき前記格納部を示す格納情報とを対応付けて記憶する格納位置記憶部と、
前記通信部の通信により、前記格納部の外側に位置する前記物品の前記RFタグに記憶されている当該物品の識別情報を取得する情報取得手段と、
識別情報を取得した前記物品が格納されるべき前記格納部を示す格納情報を取得する格納位置取得手段と、
この格納位置取得手段により取得した格納情報により示される前記格納部が、前記通信部の通信により識別情報を取得した前記物品の格納位置である旨を報知する報知手段と、
を備えている物品管理システム。
【請求項2】
前記格納部毎に設けられた発光部を備え、
前記報知手段は、前記格納位置取得手段により取得した格納情報により示される前記格納部に設けられている前記発光部を発光させる、
請求項1記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記格納位置取得手段により取得した格納情報により示される前記格納部が前記物品の識別情報を取得した前記通信部が対応する前記格納部と一致するか否かを判定する判定手段を備え、
前記報知手段は、前記格納位置取得手段により取得した格納情報により示される前記格納部と前記物品の識別情報を取得した前記通信部が設けられている前記格納部とが一致するか否かにより、報知内容を変える、
請求項1または2記載の物品管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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