物流容器
【課題】容器本体と蓋体とからなる物流容器として、容器本体の開口部に対する蓋体の嵌合による閉蓋及び開蓋操作が容易で、かつ緩みなく嵌合でき、開閉を繰り返しても嵌合が甘くならず、長期にわたって密閉性良好な閉蓋状態を保持できるようにする。
【解決手段】発泡樹脂製の容器本体10と蓋体20とからなる容器で、蓋体20は、容器本体10の開口部10aにおける嵌合部13に対し嵌合する嵌合壁23を有し、該嵌合壁23におけるコーナー部以外の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dを弾性変形できる厚みとし、該嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域を、嵌合面に対して直交する方向の厚みが辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成し、弾性変形に対抗する弾性力を辺領域の壁部よりも大きくする。
【解決手段】発泡樹脂製の容器本体10と蓋体20とからなる容器で、蓋体20は、容器本体10の開口部10aにおける嵌合部13に対し嵌合する嵌合壁23を有し、該嵌合壁23におけるコーナー部以外の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dを弾性変形できる厚みとし、該嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域を、嵌合面に対して直交する方向の厚みが辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成し、弾性変形に対抗する弾性力を辺領域の壁部よりも大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食品や食材等の輸送、保管に使用される保冷容器として好適な物流容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、生活協同組合(以下、生協という)の食品や食材その他の各種商品の物流センターから個人宅への配送や移動、あるいは冷凍食品や食材を保冷しながらの輸送には、断熱性を有する発泡樹脂製の保冷容器が一般に使用されており、通常、輸送対象の食材等を冷媒と共に収容して使用される。生協の商品の配送や移動に使用される容器は、10〜25リットル程度の内容量で、全体が略直方体形状をなすものが多い。
【0003】
かかる容器は、平面が矩形の容器本体と該容器本体の開口部に嵌合され被着される蓋体とからなるものであり、容器本体に対する蓋体の嵌合構造としては、容器本体の側壁上端の開口部に沿って形成された嵌合部に対し、その内側もしくは外側の少なくとも一方に、蓋体の下面に有する矩形の嵌合壁を嵌合するものがある。しかし、材質が発泡樹脂製であること、また蓋体の開閉が何度も繰り返されることから、前記嵌合壁がコーナー部を含む全周にわたって同じ厚みであると、嵌合時に最も力がかかるコーナー部が変形あるいは欠損したりして嵌合状態に緩みが生じ、蓋体の浮きや外れが生じ易くなるばかりか、閉蓋時の密閉性も低下する。そのため、生協の商品の配送等の使用において、容器を屋外に放置しておいた場合には、蓋体が外れたり、ゴミや雨水が侵入する虞がある。そうかと言って、前記嵌合壁の嵌合強度を強くし過ぎると、容易に嵌合できないし、また一旦嵌合すると、容易に抜脱できないことになり、開蓋及び閉蓋操作が行い難くなる。
【0004】
近年、かかる発泡樹脂製の容器において、閉蓋状態を確実にする目的で、容器本体の側壁上端の開口部に上向きの嵌合凸条を周設し、これに対応して蓋体下面に嵌合壁としての内外壁よりなる嵌合凹条を周設して、該嵌合凸条と嵌合凹条を嵌合するようにした構造のものにおいて、前記嵌合凸条の内外側面と前記嵌合凹条の内外壁の側面とに、互いに対応する凹凸形状をなす係止部を形成し、一旦嵌合すると係止状態になって容易に外れないようにした容器が提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、前記提案の容器の場合は、前記の凹凸形状による係止部が前記嵌合凸条及び嵌合凹条の全長にわたって連続しており、かつ前記嵌合凸条の内外両側面に有するものである。このため、前記嵌合凸条と嵌合凹条を嵌合する際には、前記嵌合凸条の進入に伴って、前記嵌合凹条の内外壁のコーナー部を含む全体が弾性変形することになり、それだけ嵌合に対する抵抗が大きく、強い力が必要になり、嵌合し難い上、一旦嵌合されると容易に抜脱できないことにもなる。また、前記嵌合凹条の内壁の弾性変形を規制するリブを設けて外壁のみを弾性変形させるようにした場合は、前記内壁の全体が弾性変形しないことで、かえって嵌合し難くなる。
【特許文献1】特開平8−72944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、主として生協の商品配送用の保冷容器等として使用する発泡樹脂製の物流容器として、容器本体の開口部に有する嵌合部に対し蓋体に有する嵌合壁を嵌合する構造のものにおいて、前記蓋体の嵌合壁の嵌合による閉蓋及び開蓋操作を容易に行え、しかも、前記嵌合壁の各コーナー部の領域により所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと嵌合できるとともに、閉蓋及び開蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な閉蓋状態を保持できる物流容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の物流容器は、上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に対し嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、該嵌合壁におけるコーナー部以外の辺領域の壁部が嵌合による開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できる厚みとされるとともに、該嵌合壁における各コーナー部の領域が、嵌合面に対して直交する方向の厚みが前記辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
この物流容器によれば、蓋体の嵌合壁におけるコーナー部以外の四周の辺領域の壁部では、コーナー部の領域よりも薄肉であって開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できるため、容器本体の嵌合部に対する前記嵌合壁の嵌合及び抜脱による開蓋及び閉蓋操作を容易に行える。しかも、前記嵌合壁の四隅の各コーナー部の領域では、前記辺領域の壁部よりも厚肉で弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないために、前記のように嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合した状態においては、該コーナー部の領域が四隅の支持部としての役目を果たし、これにより所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと緩みなく嵌合できる。また、前記嵌合壁のコーナー部の領域の変形が規制されることで、開蓋及び閉蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない嵌合状態を保持する。
【0009】
前記の物流容器において、前記蓋体の嵌合壁における嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における嵌合面とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなるものとすることができる。これにより、前記嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合した状態において、前記係合用凸部と凹部とが嵌合して係止状態となり、閉蓋状態がさらに安定し、蓋体の緩みや外れ防止を確実になし得る。
【0010】
特に、前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなるものが好ましい。すなわち、閉蓋状態においては、前記のように蓋体を緩みや外れのない安定した被着状態に保持できる上、開蓋操作の際には、前記係合用凸部と凹部が設けられていない他方の対角にあるコーナー部から持ち上げて抜脱するようにすれば、該コーナー部の抜脱をきっかけとして、係合用凸部と凹部が形成されているコーナー部も抜脱でき、以て蓋体全体を容易に抜脱することができる。
【0011】
この際、前記の係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられていると、前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部を、前記切欠部を利用して持ち上げることができ、開蓋操作がさらに容易になる。
【0012】
前記のように、前記係合用凸部と凹部は、前記嵌合壁のコーナー部の領域に近い前記辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する前記嵌合部の嵌合面の個所とに設けられてなるものが好ましい。すなわち、前記嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合する際、前記のように嵌合面より突出する係合用凸部を有していても、前記嵌合壁の辺領域の壁部がコーナー部の領域より薄肉であってある程度弾性変形できるため、該壁部の弾性変形により該凸部に引っ掛かりを生じさせずに問題なく嵌合あるいは抜脱でき、また該凸部の欠損も防止できることにもなる。
【0013】
なお、前記の嵌合壁における一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、前記係合用凸部と凹部を設けたことによる効果は、嵌合壁における各コーナー部が辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成されていない場合にも言える。この場合にも、前記の係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられているのが好ましく、前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部を、前記切欠部を利用して持ち上げることができ、開蓋操作をさらに容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物流容器によれば、蓋体の嵌合壁のコーナー部以外の辺領域の壁部では嵌合及び抜脱操作時にある程度弾性変形できて、容器本体に対する蓋体の嵌合による開蓋及び閉蓋操作を容易に行え、しかも、蓋体の嵌合壁のコーナー部の領域では弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないため、各コーナー部で所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと緩みなく嵌合でき、閉蓋状態での密閉性を良好に保持できる。また、前記嵌合壁の嵌合による閉蓋及び開蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な嵌合状態を保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の物流容器の容器本体と蓋体を分離した斜視図、図2は閉蓋状態の斜視図、図3は容器本体の平面図、図4は蓋体の底面図、図5は前図の一部の拡大図、図6は容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断正面図、図7は容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断側面図、図8は蓋体を容器本体の開口部に嵌合した状態の断面図、図9(a)(b)は係合用凸部と凹部を有する個所の嵌合前と嵌合後の一部の拡大断面図である。
【0017】
この物流容器Aは、発泡樹脂製の容器であって、図に示すように、上方に開口する平面矩形の容器本体10と、該容器本体10の開口部10aに対し嵌合自在な蓋体20とよりなる。
【0018】
前記容器本体10は、発泡樹脂により一体に成形されてなるもので、底部11と、四周の側壁12a,12b,12c,12dとの箱形をなしており、該側壁の上端部がその内周面を嵌合面14とする蓋体嵌合のための嵌合部13として形成されている。13a,13b,13c,13dは前記嵌合部13のコーナー部を示す。前記嵌合部13としては、側壁上端部の内側又は外側を切欠形成して、前記側壁12a,12b,12c,12dより薄肉の凸壁状、例えば側壁の厚みの1/2前後の厚みの凸壁状に形成する場合もある。
【0019】
図の場合、四周の側壁12a,12b,12c,12dのうち、短辺側の相対向する両側壁12a,12cの外面が凹設されるとともに、該側壁12a,12cの内面に凸面部15が形成され、長辺側の相対向する両側壁12b,12dの内面には、収容物との間に通気用の空隙を確保できるように、所要の間隔で並列する多数の縦方向の凸条リブ16が形成されている。また、前記底部11には、収容物を受ける多数の凸部17が縦横に並列して形成されている。
【0020】
前記蓋体20は、前記同様の発泡樹脂により一体に成形されてなるもので、その下面には前記容器本体10の開口部10aの上端面に当接する周縁部20aの内縁に沿って、前記嵌合部13の内側に嵌合する矩形の嵌合壁23を有してなる。
【0021】
前記嵌合壁23は、四隅のコーナー部23a,23b,23c,23dと、該コーナー部23a,23b,23c,23d以外の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dとよりなる。そして、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚み、特には前記嵌合部13との嵌合面24に対して直交する方向の厚みT1が、前記容器本体10の嵌合部13に対する嵌合による閉蓋操作時に前記嵌合面24に作用する圧力で素材の持つ具有弾性力に抗して厚み全体として僅かに内方へ屈曲するように弾性変形できる厚みとされる。
【0022】
また、前記嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dの所定の領域が、前記嵌合面24に対して直交する方向の厚みT2が前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1より大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dよりも大きく形成されて容易に変形しないようになっており、該コーナー部23a,23b,23c,23dで前記嵌合部13に対する必要な嵌合強度を保持できるように形成されている。
【0023】
すなわち、前記嵌合壁23については、容器本体10の嵌合部13に対する嵌合及び抜脱操作の容易性のためには、素材となる発泡樹脂の持つ具有弾性力に抗して僅かに弾性変形できて、しかも嵌合状態を良好に保持できるものが望ましい。
【0024】
そのため、前記嵌合壁23おける辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1については、閉蓋操作時(嵌合操作時)に前記嵌合面24に作用する圧力で厚み全体として僅かに弾性変形できるように設定するものであり、例えば、プッシュプルゲージ(今田製作所製、型式PSS)のプッシュ側に直径12mmのジグを取り付け、2.5kgf(24.5N)の力で押した時(0.022kgf/mm2)、1mm程度が弾性変形(変位)できるように設定する。またこのため、材質や発泡倍率によっても異なるが、例えば、素材が発泡倍率45倍の発泡ポリスチレンである場合、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1は、前記嵌合壁23の突出寸法に対して0.5〜1.2倍の厚み、好ましくは前記突出寸法と同じか、やや小さく形成される。
【0025】
そして、前記嵌合壁23の各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域の厚みT2については、前記のように、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚みT1より大きく、好ましくは前記厚みT1の2.0〜4.0倍程度の厚みにして、弾性変形に対抗する弾性力を大きくし、前記容器本体10の嵌合部13に対して充分な嵌合強度を確保するように形成している。
【0026】
なお、前記嵌合壁23の前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの内方に、図4及び図5において鎖線で示すように、前記壁部の弾性変形を許容するための所定幅の溝状の凹部26を保有して隣接するコーナー部25a,25b,25c,25d間に渡る凸壁部27を設ける場合があり、さらに、前記凸壁部27より内方部の蓋体20の下面を、該凸壁部27の下面と同一面をなすように形成しておく場合もある。また、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの長さが長い場合は、過度の弾性変形を規制するために、該壁部の長さ方向の中央部等の所要の個所の内側に補強リブ(図示せず)を設けることもできる。
【0027】
さらに、前記蓋体20の嵌合壁23における嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における嵌合面14とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部31と凹部32が設けられている。特に、図示する実施例の場合は、前記嵌合壁23における四隅のコーナー部23a,23b,23c,23dの領域のうち、点対称位置の一方の対角にある二つのコーナー部、例えばコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13におけるコーナー部13a,13b,13c,13dのうち、前記嵌合壁23と同じ対角にある(閉蓋時に合致する)二つのコーナー部、例えばコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、容器本体10に対する蓋体20の嵌合時に互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32が設けられている。図は、前記蓋体20の嵌合壁23の嵌合面24の側に係合用凸部31を設け、容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の側に係合用凹部32を設けた場合を示している。
【0028】
これにより、前記嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13に嵌合した状態において、前記係合用凸部31と凹部32とが嵌合して係止状態となり、閉蓋状態を安定性よく保持できることになる。しかも、開蓋操作の際には、前記係合用凸部31と凹部32が設けられていない他方の対角にあるコーナー部23b,23dから持ち上げて抜脱するようにすれば、該コーナー部23b,23dの抜脱をきっかけとして、蓋体20全体を容易に抜脱することができる。
【0029】
前記係合用凸部31と凹部32とは、前記の対角にあるコーナー部付近の嵌合面であれば、どの位置にあっても構わないが、前記凸部31の欠損防止及び嵌合の容易性の点からは、図示する実施例のように、前記蓋体20の嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域に近い前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの各嵌合面24の個所と、これに対応する前記容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の個所とに設けておくのが好ましい。
【0030】
すなわち、前記嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域の嵌合面24と、これに対応する前記嵌合部13の嵌合面14との一方に前記係合用凸部31が設けられていると、前記コーナー部23a又は23cの領域が厚肉部として形成されていて嵌合面24と直交する方向には殆ど弾性変形しないために、前記嵌合部13に対し前記嵌合壁23を嵌合する際、前記凸部31が引っ掛かり、該凸部31が欠損する虞があるが、前記のように辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの各嵌合面24の個所と、これに対応する前記容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の個所の一方に前記係合用凸部31が設けられていると、前記壁部25d,25a又は25b,25cが弾性変形できることで、前記係合用凸部31を他方の前記凹部32に対して比較的容易に嵌合できることになり、ひいては前記凸部31の欠損を防止できることにもなる。
【0031】
前記係合用凸部31と凹部32の形状や位置等は、前記の効果を考慮して形成する。例えば、前記凸部31の位置については、前記嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域の端部位置(前記コーナー部の領域と辺領域の境界)から、前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの長さの1/3程度の位置までの間に、好ましくは前記コーナー部の領域の端部位置から前記凸部31の端部までの距離が0〜30mm、特に好ましくは5〜20mmの位置に配設する。また、前記凸部31の形状については、円形や楕円形あるいは角形等の種々の形状による実施が可能であるが、図の場合は、凹部32との嵌合状態での係止効果や強度等の点から、突出高さを1.5〜3.0mm、好ましくは2.0mm程度とし、該凸部を正面より見て辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの長さ方向に長さ10〜50mm程度、好ましくは20〜40mmの長方形をなしている。さらに、前記凸部31の断面形状は、全体が同じ厚みの凸形あるいは台形状をなすものであってもよいが、図のように、その上下部が傾斜面をなして基部においてアール曲面で前記嵌合面24に滑らかに連続する例えば断面山形状をなすものが、嵌合操作の際に引っ掛かり生じず嵌合抵抗が小さくなり、かつ欠けも発生し難いため、より好ましい。
【0032】
前記係合用凸部31は、前記嵌合壁23の前記コーナー部23a又は23cに連なる辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cのいずれか一方のみの点対象位置に設けておくこともできるが、嵌合状態の安定性の点から前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの双方に設けて実施するのが好ましい。
【0033】
図示する実施例の物流容器Aの場合、前記蓋体20の上面は前記容器本体10の底部11の下面の凸部19が嵌まる凹部29が形成されており、閉蓋状態の容器Aを段積みする際に動きを規制できるようになっている。また、前記容器本体10の短辺側の側壁12a,12cの上端外側に凹欠部18が形成され、開蓋操作の際に蓋体20に指をかけることできるようになっている。前記凹欠部18に代えて、蓋体20の短辺側外面の下端側に切欠部(図示せず)を形成しておくこともできる。
【0034】
また、前記嵌合壁23における一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における前記嵌合壁23と同じ対角にある二つのコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32が設けられている場合において、図10及び図11の実施例のように、前記係合用凸部31又は凹部32が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部分における蓋体20外周の下面側又は容器本体10外周の上面側(図は蓋体外周の下面側)に、指掛け用の切欠部28を設けておくことができる。この場合、容器本体10に嵌合した蓋体20を抜脱して開ける際、前記切欠部28に指を掛けて該コーナー部から蓋体20を持ち上げることができ、抜脱操作を容易に行える。
【0035】
さらに、図12に示すように、前記容器本体10の嵌合部13に対して嵌合する蓋体の嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dが辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚みより大きい厚肉部としては形成されていない場合においても、前記と同様に、嵌合壁23における一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における前記嵌合壁23と同じ対角にある二つのコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32を設けて実施することができる。また、前記係合用凸部31又は凹部32が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部分における蓋体20外周の下面側又は容器本体10外周の上面側(図は蓋体外周の下面側)に、指掛け用の切欠部28を設けておくことができ、前記同様の効果を奏し得る。
【0036】
前記容器本体10及び蓋体20の構成材である発泡樹脂としては、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。また、前記発泡体の発泡倍率は10〜70倍が好ましい。
【0037】
スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体の成形品は、同じ発泡倍率のポリプロピレン系樹脂ビーズの成形品に比べて強度があり、また、深さが500mmを越える容器を成形した場合の収縮率が低く寸法精度もよい。さらに、スチレン系樹脂ビーズの発泡成形品に比べて擦れによる粉が出難い長所もある。
【0038】
上記した実施例の物流容器Aによれば、運搬移動の対象となる食材等を容器本体10内に収容した状態において、該容器本体10の開口部10aの嵌合部13の内側に、蓋体20の嵌合壁23を嵌合して閉蓋する。この閉蓋操作の際、蓋体20の嵌合壁23におけるコーナー部以外の四周の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dでは、コーナー部23a,23b,23c,23dの領域よりも薄肉であって開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できるため、図示する実施例のように、前記嵌合壁23の対角の二つのコーナー部13a,13c付近の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの嵌合面14と、これに対応する前記嵌合部13の嵌合面14とに係合用凸部31と凹部32とが設けられていても、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの弾性変形を利用して、前記嵌合壁23を前記容器本体10の嵌合部13の内側に容易に嵌合できる。
【0039】
しかも、前記嵌合壁23の四隅の各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域では、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dよりも厚肉で弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないために、前記のように嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13に嵌合した状態においては、該コーナー部23a,23b,23c,23dの領域が四隅の支持部としての役目を果たし、これにより所定の嵌合強度を保有でき、容器本体10の嵌合部13に対して強固に緩みなく嵌合できる。特に、図示する実施例のように、前記嵌合壁23と前記嵌合部13の両者の嵌合面24,14に前記係合用凸部31と凹部32が設けられている場合には、前記の嵌合壁23の嵌合と同時に前記係合用凸部31と凹部32も嵌合して係止状態となるため、一層安定性のよい閉蓋状態に保持でき、密閉性も良好に保持できる。また、前記嵌合壁23のコーナー部23a,23b,23c,23dの領域が厚肉とされて変形が規制されることで、開蓋及び閉蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な閉蓋状態を保持できる。
【0040】
さらに、開蓋操作も、前記同様に、辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの弾性変形を利用して容易に行える。特に、前記のように、蓋体20の嵌合壁23と、容器本体10嵌合部13の、一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c;13a,13c付近の嵌合面24,14に、前記係合用凸部31と凹部32が設けられている場合は、前記蓋体20を前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部23b,23の側から持ち上げるようにすることで、蓋体20全体を容易に抜脱することができる。
【0041】
なお、上記した実施例においては、蓋体20の嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13の内側に嵌合する場合について説明したが、前記蓋体の嵌合壁を容器本体の嵌合部に対して外側に嵌合する場合においても、上記した実施例と同様に、コーナー部以外の辺領域の壁部について、開蓋及び閉蓋操作時に嵌合面に作用する圧力で弾性変形できる厚みとし、さらに各コーナー部の領域について、嵌合面に対して直交する方向の厚みを前記辺領域の壁部より大きい厚肉部として形成し、弾性変形に対抗する弾性力を前記辺領域の壁部よりも大きくし、嵌合強度を前記コーナー部で保持するようにして実施することができる。
【0042】
この場合にも、点対象位置の対角にあるコーナー部付近の嵌合面、特には辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する容器本体の嵌合部の嵌合面の個所とに、蓋体嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部を形成して、上記同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の物流容器は、生協の商品の物流センターから個人宅への配送や移動用の保冷容器として、あるいは冷凍食品や食材を保冷しながら輸送するコンテナ等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る物流容器の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【図2】同上の閉蓋状態の斜視図である。
【図3】容器本体の平面図である。
【図4】蓋体の底面図である。
【図5】前図の一部の拡大図である。
【図6】容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断正面図である。
【図7】容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断側面図である。
【図8】蓋体を容器本体の開口部に嵌合した状態の断面図である。
【図9】(a)(b)のそれぞれ係合用凸部と凹部を有する個所の嵌合前と嵌合後の一部の拡大断面図である。
【図10】本発明の物流容器の他の実施例の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【図11】同上の閉蓋状態の斜視図である。
【図12】本発明の物流容器の他の実施例の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
A…物流容器、10…容器本体、10a…開口部、11…底部、12a,12b,12c,12d…四周の側壁、13…嵌合部、13a,13b,13c,13d…コーナー部、14…嵌合面、15…凸面部、16…凸条リブ、17…凸部、18…凹欠部、19…下面の凸部、20…蓋体、20a…周縁部、23…嵌合壁、23a,23b,23c,23d…コーナー部、24…嵌合面、25a,25b,25c,25d…辺領域の壁部、26…溝状の凹部、27…凸壁部、28…切欠部、29…凹部、31…係合用凸部、32…係合用凹部、T1…辺領域の壁部の厚み、T2…コーナー部の厚み。
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食品や食材等の輸送、保管に使用される保冷容器として好適な物流容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、生活協同組合(以下、生協という)の食品や食材その他の各種商品の物流センターから個人宅への配送や移動、あるいは冷凍食品や食材を保冷しながらの輸送には、断熱性を有する発泡樹脂製の保冷容器が一般に使用されており、通常、輸送対象の食材等を冷媒と共に収容して使用される。生協の商品の配送や移動に使用される容器は、10〜25リットル程度の内容量で、全体が略直方体形状をなすものが多い。
【0003】
かかる容器は、平面が矩形の容器本体と該容器本体の開口部に嵌合され被着される蓋体とからなるものであり、容器本体に対する蓋体の嵌合構造としては、容器本体の側壁上端の開口部に沿って形成された嵌合部に対し、その内側もしくは外側の少なくとも一方に、蓋体の下面に有する矩形の嵌合壁を嵌合するものがある。しかし、材質が発泡樹脂製であること、また蓋体の開閉が何度も繰り返されることから、前記嵌合壁がコーナー部を含む全周にわたって同じ厚みであると、嵌合時に最も力がかかるコーナー部が変形あるいは欠損したりして嵌合状態に緩みが生じ、蓋体の浮きや外れが生じ易くなるばかりか、閉蓋時の密閉性も低下する。そのため、生協の商品の配送等の使用において、容器を屋外に放置しておいた場合には、蓋体が外れたり、ゴミや雨水が侵入する虞がある。そうかと言って、前記嵌合壁の嵌合強度を強くし過ぎると、容易に嵌合できないし、また一旦嵌合すると、容易に抜脱できないことになり、開蓋及び閉蓋操作が行い難くなる。
【0004】
近年、かかる発泡樹脂製の容器において、閉蓋状態を確実にする目的で、容器本体の側壁上端の開口部に上向きの嵌合凸条を周設し、これに対応して蓋体下面に嵌合壁としての内外壁よりなる嵌合凹条を周設して、該嵌合凸条と嵌合凹条を嵌合するようにした構造のものにおいて、前記嵌合凸条の内外側面と前記嵌合凹条の内外壁の側面とに、互いに対応する凹凸形状をなす係止部を形成し、一旦嵌合すると係止状態になって容易に外れないようにした容器が提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、前記提案の容器の場合は、前記の凹凸形状による係止部が前記嵌合凸条及び嵌合凹条の全長にわたって連続しており、かつ前記嵌合凸条の内外両側面に有するものである。このため、前記嵌合凸条と嵌合凹条を嵌合する際には、前記嵌合凸条の進入に伴って、前記嵌合凹条の内外壁のコーナー部を含む全体が弾性変形することになり、それだけ嵌合に対する抵抗が大きく、強い力が必要になり、嵌合し難い上、一旦嵌合されると容易に抜脱できないことにもなる。また、前記嵌合凹条の内壁の弾性変形を規制するリブを設けて外壁のみを弾性変形させるようにした場合は、前記内壁の全体が弾性変形しないことで、かえって嵌合し難くなる。
【特許文献1】特開平8−72944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、主として生協の商品配送用の保冷容器等として使用する発泡樹脂製の物流容器として、容器本体の開口部に有する嵌合部に対し蓋体に有する嵌合壁を嵌合する構造のものにおいて、前記蓋体の嵌合壁の嵌合による閉蓋及び開蓋操作を容易に行え、しかも、前記嵌合壁の各コーナー部の領域により所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと嵌合できるとともに、閉蓋及び開蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な閉蓋状態を保持できる物流容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の物流容器は、上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に対し嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、該嵌合壁におけるコーナー部以外の辺領域の壁部が嵌合による開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できる厚みとされるとともに、該嵌合壁における各コーナー部の領域が、嵌合面に対して直交する方向の厚みが前記辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
この物流容器によれば、蓋体の嵌合壁におけるコーナー部以外の四周の辺領域の壁部では、コーナー部の領域よりも薄肉であって開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できるため、容器本体の嵌合部に対する前記嵌合壁の嵌合及び抜脱による開蓋及び閉蓋操作を容易に行える。しかも、前記嵌合壁の四隅の各コーナー部の領域では、前記辺領域の壁部よりも厚肉で弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないために、前記のように嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合した状態においては、該コーナー部の領域が四隅の支持部としての役目を果たし、これにより所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと緩みなく嵌合できる。また、前記嵌合壁のコーナー部の領域の変形が規制されることで、開蓋及び閉蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない嵌合状態を保持する。
【0009】
前記の物流容器において、前記蓋体の嵌合壁における嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における嵌合面とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなるものとすることができる。これにより、前記嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合した状態において、前記係合用凸部と凹部とが嵌合して係止状態となり、閉蓋状態がさらに安定し、蓋体の緩みや外れ防止を確実になし得る。
【0010】
特に、前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなるものが好ましい。すなわち、閉蓋状態においては、前記のように蓋体を緩みや外れのない安定した被着状態に保持できる上、開蓋操作の際には、前記係合用凸部と凹部が設けられていない他方の対角にあるコーナー部から持ち上げて抜脱するようにすれば、該コーナー部の抜脱をきっかけとして、係合用凸部と凹部が形成されているコーナー部も抜脱でき、以て蓋体全体を容易に抜脱することができる。
【0011】
この際、前記の係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられていると、前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部を、前記切欠部を利用して持ち上げることができ、開蓋操作がさらに容易になる。
【0012】
前記のように、前記係合用凸部と凹部は、前記嵌合壁のコーナー部の領域に近い前記辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する前記嵌合部の嵌合面の個所とに設けられてなるものが好ましい。すなわち、前記嵌合壁を容器本体の嵌合部に嵌合する際、前記のように嵌合面より突出する係合用凸部を有していても、前記嵌合壁の辺領域の壁部がコーナー部の領域より薄肉であってある程度弾性変形できるため、該壁部の弾性変形により該凸部に引っ掛かりを生じさせずに問題なく嵌合あるいは抜脱でき、また該凸部の欠損も防止できることにもなる。
【0013】
なお、前記の嵌合壁における一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、前記係合用凸部と凹部を設けたことによる効果は、嵌合壁における各コーナー部が辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成されていない場合にも言える。この場合にも、前記の係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられているのが好ましく、前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部を、前記切欠部を利用して持ち上げることができ、開蓋操作をさらに容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物流容器によれば、蓋体の嵌合壁のコーナー部以外の辺領域の壁部では嵌合及び抜脱操作時にある程度弾性変形できて、容器本体に対する蓋体の嵌合による開蓋及び閉蓋操作を容易に行え、しかも、蓋体の嵌合壁のコーナー部の領域では弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないため、各コーナー部で所定の嵌合強度を保有できて、容器本体の嵌合部に対してかっちりと緩みなく嵌合でき、閉蓋状態での密閉性を良好に保持できる。また、前記嵌合壁の嵌合による閉蓋及び開蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な嵌合状態を保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の物流容器の容器本体と蓋体を分離した斜視図、図2は閉蓋状態の斜視図、図3は容器本体の平面図、図4は蓋体の底面図、図5は前図の一部の拡大図、図6は容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断正面図、図7は容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断側面図、図8は蓋体を容器本体の開口部に嵌合した状態の断面図、図9(a)(b)は係合用凸部と凹部を有する個所の嵌合前と嵌合後の一部の拡大断面図である。
【0017】
この物流容器Aは、発泡樹脂製の容器であって、図に示すように、上方に開口する平面矩形の容器本体10と、該容器本体10の開口部10aに対し嵌合自在な蓋体20とよりなる。
【0018】
前記容器本体10は、発泡樹脂により一体に成形されてなるもので、底部11と、四周の側壁12a,12b,12c,12dとの箱形をなしており、該側壁の上端部がその内周面を嵌合面14とする蓋体嵌合のための嵌合部13として形成されている。13a,13b,13c,13dは前記嵌合部13のコーナー部を示す。前記嵌合部13としては、側壁上端部の内側又は外側を切欠形成して、前記側壁12a,12b,12c,12dより薄肉の凸壁状、例えば側壁の厚みの1/2前後の厚みの凸壁状に形成する場合もある。
【0019】
図の場合、四周の側壁12a,12b,12c,12dのうち、短辺側の相対向する両側壁12a,12cの外面が凹設されるとともに、該側壁12a,12cの内面に凸面部15が形成され、長辺側の相対向する両側壁12b,12dの内面には、収容物との間に通気用の空隙を確保できるように、所要の間隔で並列する多数の縦方向の凸条リブ16が形成されている。また、前記底部11には、収容物を受ける多数の凸部17が縦横に並列して形成されている。
【0020】
前記蓋体20は、前記同様の発泡樹脂により一体に成形されてなるもので、その下面には前記容器本体10の開口部10aの上端面に当接する周縁部20aの内縁に沿って、前記嵌合部13の内側に嵌合する矩形の嵌合壁23を有してなる。
【0021】
前記嵌合壁23は、四隅のコーナー部23a,23b,23c,23dと、該コーナー部23a,23b,23c,23d以外の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dとよりなる。そして、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚み、特には前記嵌合部13との嵌合面24に対して直交する方向の厚みT1が、前記容器本体10の嵌合部13に対する嵌合による閉蓋操作時に前記嵌合面24に作用する圧力で素材の持つ具有弾性力に抗して厚み全体として僅かに内方へ屈曲するように弾性変形できる厚みとされる。
【0022】
また、前記嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dの所定の領域が、前記嵌合面24に対して直交する方向の厚みT2が前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1より大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dよりも大きく形成されて容易に変形しないようになっており、該コーナー部23a,23b,23c,23dで前記嵌合部13に対する必要な嵌合強度を保持できるように形成されている。
【0023】
すなわち、前記嵌合壁23については、容器本体10の嵌合部13に対する嵌合及び抜脱操作の容易性のためには、素材となる発泡樹脂の持つ具有弾性力に抗して僅かに弾性変形できて、しかも嵌合状態を良好に保持できるものが望ましい。
【0024】
そのため、前記嵌合壁23おける辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1については、閉蓋操作時(嵌合操作時)に前記嵌合面24に作用する圧力で厚み全体として僅かに弾性変形できるように設定するものであり、例えば、プッシュプルゲージ(今田製作所製、型式PSS)のプッシュ側に直径12mmのジグを取り付け、2.5kgf(24.5N)の力で押した時(0.022kgf/mm2)、1mm程度が弾性変形(変位)できるように設定する。またこのため、材質や発泡倍率によっても異なるが、例えば、素材が発泡倍率45倍の発泡ポリスチレンである場合、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの前記厚みT1は、前記嵌合壁23の突出寸法に対して0.5〜1.2倍の厚み、好ましくは前記突出寸法と同じか、やや小さく形成される。
【0025】
そして、前記嵌合壁23の各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域の厚みT2については、前記のように、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚みT1より大きく、好ましくは前記厚みT1の2.0〜4.0倍程度の厚みにして、弾性変形に対抗する弾性力を大きくし、前記容器本体10の嵌合部13に対して充分な嵌合強度を確保するように形成している。
【0026】
なお、前記嵌合壁23の前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの内方に、図4及び図5において鎖線で示すように、前記壁部の弾性変形を許容するための所定幅の溝状の凹部26を保有して隣接するコーナー部25a,25b,25c,25d間に渡る凸壁部27を設ける場合があり、さらに、前記凸壁部27より内方部の蓋体20の下面を、該凸壁部27の下面と同一面をなすように形成しておく場合もある。また、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの長さが長い場合は、過度の弾性変形を規制するために、該壁部の長さ方向の中央部等の所要の個所の内側に補強リブ(図示せず)を設けることもできる。
【0027】
さらに、前記蓋体20の嵌合壁23における嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における嵌合面14とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部31と凹部32が設けられている。特に、図示する実施例の場合は、前記嵌合壁23における四隅のコーナー部23a,23b,23c,23dの領域のうち、点対称位置の一方の対角にある二つのコーナー部、例えばコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13におけるコーナー部13a,13b,13c,13dのうち、前記嵌合壁23と同じ対角にある(閉蓋時に合致する)二つのコーナー部、例えばコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、容器本体10に対する蓋体20の嵌合時に互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32が設けられている。図は、前記蓋体20の嵌合壁23の嵌合面24の側に係合用凸部31を設け、容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の側に係合用凹部32を設けた場合を示している。
【0028】
これにより、前記嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13に嵌合した状態において、前記係合用凸部31と凹部32とが嵌合して係止状態となり、閉蓋状態を安定性よく保持できることになる。しかも、開蓋操作の際には、前記係合用凸部31と凹部32が設けられていない他方の対角にあるコーナー部23b,23dから持ち上げて抜脱するようにすれば、該コーナー部23b,23dの抜脱をきっかけとして、蓋体20全体を容易に抜脱することができる。
【0029】
前記係合用凸部31と凹部32とは、前記の対角にあるコーナー部付近の嵌合面であれば、どの位置にあっても構わないが、前記凸部31の欠損防止及び嵌合の容易性の点からは、図示する実施例のように、前記蓋体20の嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域に近い前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの各嵌合面24の個所と、これに対応する前記容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の個所とに設けておくのが好ましい。
【0030】
すなわち、前記嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域の嵌合面24と、これに対応する前記嵌合部13の嵌合面14との一方に前記係合用凸部31が設けられていると、前記コーナー部23a又は23cの領域が厚肉部として形成されていて嵌合面24と直交する方向には殆ど弾性変形しないために、前記嵌合部13に対し前記嵌合壁23を嵌合する際、前記凸部31が引っ掛かり、該凸部31が欠損する虞があるが、前記のように辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの各嵌合面24の個所と、これに対応する前記容器本体10の嵌合部13の嵌合面14の個所の一方に前記係合用凸部31が設けられていると、前記壁部25d,25a又は25b,25cが弾性変形できることで、前記係合用凸部31を他方の前記凹部32に対して比較的容易に嵌合できることになり、ひいては前記凸部31の欠損を防止できることにもなる。
【0031】
前記係合用凸部31と凹部32の形状や位置等は、前記の効果を考慮して形成する。例えば、前記凸部31の位置については、前記嵌合壁23のコーナー部23a又は23cの領域の端部位置(前記コーナー部の領域と辺領域の境界)から、前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの長さの1/3程度の位置までの間に、好ましくは前記コーナー部の領域の端部位置から前記凸部31の端部までの距離が0〜30mm、特に好ましくは5〜20mmの位置に配設する。また、前記凸部31の形状については、円形や楕円形あるいは角形等の種々の形状による実施が可能であるが、図の場合は、凹部32との嵌合状態での係止効果や強度等の点から、突出高さを1.5〜3.0mm、好ましくは2.0mm程度とし、該凸部を正面より見て辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの長さ方向に長さ10〜50mm程度、好ましくは20〜40mmの長方形をなしている。さらに、前記凸部31の断面形状は、全体が同じ厚みの凸形あるいは台形状をなすものであってもよいが、図のように、その上下部が傾斜面をなして基部においてアール曲面で前記嵌合面24に滑らかに連続する例えば断面山形状をなすものが、嵌合操作の際に引っ掛かり生じず嵌合抵抗が小さくなり、かつ欠けも発生し難いため、より好ましい。
【0032】
前記係合用凸部31は、前記嵌合壁23の前記コーナー部23a又は23cに連なる辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cのいずれか一方のみの点対象位置に設けておくこともできるが、嵌合状態の安定性の点から前記辺領域の壁部25d,25a又は25b,25cの双方に設けて実施するのが好ましい。
【0033】
図示する実施例の物流容器Aの場合、前記蓋体20の上面は前記容器本体10の底部11の下面の凸部19が嵌まる凹部29が形成されており、閉蓋状態の容器Aを段積みする際に動きを規制できるようになっている。また、前記容器本体10の短辺側の側壁12a,12cの上端外側に凹欠部18が形成され、開蓋操作の際に蓋体20に指をかけることできるようになっている。前記凹欠部18に代えて、蓋体20の短辺側外面の下端側に切欠部(図示せず)を形成しておくこともできる。
【0034】
また、前記嵌合壁23における一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における前記嵌合壁23と同じ対角にある二つのコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32が設けられている場合において、図10及び図11の実施例のように、前記係合用凸部31又は凹部32が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部分における蓋体20外周の下面側又は容器本体10外周の上面側(図は蓋体外周の下面側)に、指掛け用の切欠部28を設けておくことができる。この場合、容器本体10に嵌合した蓋体20を抜脱して開ける際、前記切欠部28に指を掛けて該コーナー部から蓋体20を持ち上げることができ、抜脱操作を容易に行える。
【0035】
さらに、図12に示すように、前記容器本体10の嵌合部13に対して嵌合する蓋体の嵌合壁23における各コーナー部23a,23b,23c,23dが辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの厚みより大きい厚肉部としては形成されていない場合においても、前記と同様に、嵌合壁23における一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c付近の嵌合面24と、前記容器本体10の嵌合部13における前記嵌合壁23と同じ対角にある二つのコーナー部13a,13c付近の嵌合面14とにのみ、互いに嵌合し係止する係合用凸部31と凹部32を設けて実施することができる。また、前記係合用凸部31又は凹部32が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部分における蓋体20外周の下面側又は容器本体10外周の上面側(図は蓋体外周の下面側)に、指掛け用の切欠部28を設けておくことができ、前記同様の効果を奏し得る。
【0036】
前記容器本体10及び蓋体20の構成材である発泡樹脂としては、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。また、前記発泡体の発泡倍率は10〜70倍が好ましい。
【0037】
スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体の成形品は、同じ発泡倍率のポリプロピレン系樹脂ビーズの成形品に比べて強度があり、また、深さが500mmを越える容器を成形した場合の収縮率が低く寸法精度もよい。さらに、スチレン系樹脂ビーズの発泡成形品に比べて擦れによる粉が出難い長所もある。
【0038】
上記した実施例の物流容器Aによれば、運搬移動の対象となる食材等を容器本体10内に収容した状態において、該容器本体10の開口部10aの嵌合部13の内側に、蓋体20の嵌合壁23を嵌合して閉蓋する。この閉蓋操作の際、蓋体20の嵌合壁23におけるコーナー部以外の四周の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dでは、コーナー部23a,23b,23c,23dの領域よりも薄肉であって開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できるため、図示する実施例のように、前記嵌合壁23の対角の二つのコーナー部13a,13c付近の辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの嵌合面14と、これに対応する前記嵌合部13の嵌合面14とに係合用凸部31と凹部32とが設けられていても、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの弾性変形を利用して、前記嵌合壁23を前記容器本体10の嵌合部13の内側に容易に嵌合できる。
【0039】
しかも、前記嵌合壁23の四隅の各コーナー部23a,23b,23c,23dの領域では、前記辺領域の壁部25a,25b,25c,25dよりも厚肉で弾性変形に対抗する弾性力が大きく容易に変形しないために、前記のように嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13に嵌合した状態においては、該コーナー部23a,23b,23c,23dの領域が四隅の支持部としての役目を果たし、これにより所定の嵌合強度を保有でき、容器本体10の嵌合部13に対して強固に緩みなく嵌合できる。特に、図示する実施例のように、前記嵌合壁23と前記嵌合部13の両者の嵌合面24,14に前記係合用凸部31と凹部32が設けられている場合には、前記の嵌合壁23の嵌合と同時に前記係合用凸部31と凹部32も嵌合して係止状態となるため、一層安定性のよい閉蓋状態に保持でき、密閉性も良好に保持できる。また、前記嵌合壁23のコーナー部23a,23b,23c,23dの領域が厚肉とされて変形が規制されることで、開蓋及び閉蓋操作を繰り返しても嵌合が容易に甘くならず、長期にわたって緩みを生じない密閉性良好な閉蓋状態を保持できる。
【0040】
さらに、開蓋操作も、前記同様に、辺領域の壁部25a,25b,25c,25dの弾性変形を利用して容易に行える。特に、前記のように、蓋体20の嵌合壁23と、容器本体10嵌合部13の、一方の対角にある二つのコーナー部23a,23c;13a,13c付近の嵌合面24,14に、前記係合用凸部31と凹部32が設けられている場合は、前記蓋体20を前記係合用凸部と凹部が設けられていないコーナー部23b,23の側から持ち上げるようにすることで、蓋体20全体を容易に抜脱することができる。
【0041】
なお、上記した実施例においては、蓋体20の嵌合壁23を容器本体10の嵌合部13の内側に嵌合する場合について説明したが、前記蓋体の嵌合壁を容器本体の嵌合部に対して外側に嵌合する場合においても、上記した実施例と同様に、コーナー部以外の辺領域の壁部について、開蓋及び閉蓋操作時に嵌合面に作用する圧力で弾性変形できる厚みとし、さらに各コーナー部の領域について、嵌合面に対して直交する方向の厚みを前記辺領域の壁部より大きい厚肉部として形成し、弾性変形に対抗する弾性力を前記辺領域の壁部よりも大きくし、嵌合強度を前記コーナー部で保持するようにして実施することができる。
【0042】
この場合にも、点対象位置の対角にあるコーナー部付近の嵌合面、特には辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する容器本体の嵌合部の嵌合面の個所とに、蓋体嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部を形成して、上記同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の物流容器は、生協の商品の物流センターから個人宅への配送や移動用の保冷容器として、あるいは冷凍食品や食材を保冷しながら輸送するコンテナ等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る物流容器の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【図2】同上の閉蓋状態の斜視図である。
【図3】容器本体の平面図である。
【図4】蓋体の底面図である。
【図5】前図の一部の拡大図である。
【図6】容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断正面図である。
【図7】容器本体と蓋体の分離状態の半部縦断側面図である。
【図8】蓋体を容器本体の開口部に嵌合した状態の断面図である。
【図9】(a)(b)のそれぞれ係合用凸部と凹部を有する個所の嵌合前と嵌合後の一部の拡大断面図である。
【図10】本発明の物流容器の他の実施例の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【図11】同上の閉蓋状態の斜視図である。
【図12】本発明の物流容器の他の実施例の容器本体と蓋体を分離した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
A…物流容器、10…容器本体、10a…開口部、11…底部、12a,12b,12c,12d…四周の側壁、13…嵌合部、13a,13b,13c,13d…コーナー部、14…嵌合面、15…凸面部、16…凸条リブ、17…凸部、18…凹欠部、19…下面の凸部、20…蓋体、20a…周縁部、23…嵌合壁、23a,23b,23c,23d…コーナー部、24…嵌合面、25a,25b,25c,25d…辺領域の壁部、26…溝状の凹部、27…凸壁部、28…切欠部、29…凹部、31…係合用凸部、32…係合用凹部、T1…辺領域の壁部の厚み、T2…コーナー部の厚み。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に対し嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、
前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、該嵌合壁におけるコーナー部以外の辺領域の壁部が開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できる厚みとされるとともに、該嵌合壁における各コーナー部の領域が、嵌合面に対して直交する方向の厚みが前記辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部よりも大きいことを特徴とする物流容器。
【請求項2】
前記蓋体の嵌合壁における嵌合面と、前記容器本体の嵌合部の嵌合面とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなる請求項1に記載の物流容器。
【請求項3】
前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなる請求項1に記載の物流容器。
【請求項4】
前記係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられてなる請求項3に記載の物流容器。
【請求項5】
前記係合用凸部と凹部が、前記嵌合壁のコーナー部の領域に近い前記辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する前記嵌合部の嵌合面の個所とに設けられてなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の物流容器。
【請求項6】
上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、
前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなることを特徴とする物流容器。
【請求項7】
前記係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられてなる請求項6に記載の物流容器。
【請求項1】
上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に対し嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、
前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、該嵌合壁におけるコーナー部以外の辺領域の壁部が開蓋及び閉蓋操作時に弾性変形できる厚みとされるとともに、該嵌合壁における各コーナー部の領域が、嵌合面に対して直交する方向の厚みが前記辺領域の壁部の厚みより大きい厚肉部として形成され、弾性変形に対抗する弾性力が前記辺領域の壁部よりも大きいことを特徴とする物流容器。
【請求項2】
前記蓋体の嵌合壁における嵌合面と、前記容器本体の嵌合部の嵌合面とに、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなる請求項1に記載の物流容器。
【請求項3】
前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなる請求項1に記載の物流容器。
【請求項4】
前記係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられてなる請求項3に記載の物流容器。
【請求項5】
前記係合用凸部と凹部が、前記嵌合壁のコーナー部の領域に近い前記辺領域の壁部の嵌合面の個所と、これに対応する前記嵌合部の嵌合面の個所とに設けられてなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の物流容器。
【請求項6】
上方に開口する平面矩形の容器本体と、該容器本体の開口部に嵌合自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の容器であって、
前記蓋体は、容器本体の開口部に設けられた嵌合部に対して嵌合する矩形の嵌合壁を有し、前記蓋体の嵌合壁における四つのコーナー部のうち、一方の対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面と、前記容器本体の嵌合部における前記嵌合壁と同じ対角にある二つのコーナー部付近の嵌合面とにのみ、嵌合時に互いに嵌合する係合用凸部と凹部が設けられてなることを特徴とする物流容器。
【請求項7】
前記係合用凸部又は凹部が設けられていない他方の対角の二つのコーナー部の蓋体外周の下面側又は容器本体上面側に指掛け用の切欠部が設けられてなる請求項6に記載の物流容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−87812(P2008−87812A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269699(P2006−269699)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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