説明

物理量検出器の製造方法

【課題】検出感度、検出精度などの物理量検出特性を向上させることが可能な物理量検出器の製造方法の提供。
【解決手段】ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、ベース部10と可動部12とに継ぎ手部11を跨いで架け渡された加速度検出素子13と、を備えた加速度検出器1の製造方法であって、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、を一体で形成する素子支持体(101)形成工程と、加速度検出素子13をベース部10及び可動部12に対して位置決めする位置決め部102a,102bを、加速度検出素子13と一体で形成する加速度検出素子体(102)形成工程と、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡し、位置決め部102a,102bを用いて位置決めし、ベース部10と可動部12とに固定する加速度検出素子体固定工程と、位置決め部102a,102bを除去する位置決め部除去工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量検出器としては、加速度の印加によって変位しない固定部材、及び固定部材に梁にて支持され、加速度の印加によって変位する可動部材を備えた素子支持部材と、応力感応部及び応力感応部の両端部にそれぞれ一体化された固定端を有した応力感応素子と、を備え、応力感応素子が素子支持部材の固定部材と可動部材とによって両固定端をそれぞれ支持された構成の加速度検知ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記加速度検知ユニットは、検出軸方向の加速度が印加されると、応力感応素子としての、例えば、双音叉型圧電振動片に加速度の程度に応じた応力が発生し、双音叉型圧電振動片の共振周波数が変化する現象を利用して、この共振周波数の変化から加速度検知ユニットに印加される加速度を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−43926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、上記加速度検知ユニットは、製造工程において、素子支持部材と応力感応素子との位置合わせを、両者の外形輪郭(外郭)を一致させることにより行っている。
しかしながら、この方法では、加速度検知ユニットの素子支持部材の外形サイズと応力感応素子の外形サイズとを同じにしなければならない制約がある。
これにより、加速度検知ユニットは、例えば、加速度の検出感度向上のための質量増加策として素子支持部材を大きくしようとすると、それに連動して応力感応素子も大きくしなければならず、具体的には、応力感応素子の両固定端を必要以上に大きくしなければならないことになる。
この結果、加速度検知ユニットは、応力感応素子の必要以上に大きくなった両固定端にスプリアス(不要振動)が生じる虞がある。
このスプリアスの発生によって、加速度検知ユニットは、応力感応素子の共振周波数が本来の値から変化し、検出感度、検出精度などの加速度検出特性が劣化する虞がある。
【0006】
加えて、加速度検知ユニットは、応力感応素子の必要以上に大きくなった両固定端を素子支持部材に固定するための、例えば、接着剤などの塗布範囲が必然的に広くなる。
この結果、加速度検知ユニットは、応力感応素子及び素子支持部材に生じる熱応力(温度変化による膨張や収縮を外部的な拘束によって妨げられたときに、物体内部に生じる応力)が大きくなる。
この熱応力の増大によって、加速度検知ユニットは、周囲の温度変化に伴う応力感応素子の共振周波数の変化量が増加することから、検出感度、検出精度などの温度特性が劣化する虞がある。
【0007】
また、加速度検知ユニットは、例えば、検出感度向上のための別の質量増加策として、錘部を設けようとしても、最も効果的な場所である可動部材の自由端側のスペースが、応力感応素子の固定端によって占領されている状態にある。
この結果、加速度検知ユニットは、錘部を自由端から離れた、応力感応部と固定端と梁とに囲まれたスペースに設けざるを得ないことになる。
これにより、加速度検知ユニットは、錘部による検出感度向上策を効果的に実施することができない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例にかかる物理量検出器の製造方法は、平板状のベース部と、継ぎ手部を介して前記ベース部に接続された平板状の可動部と、を含んで構成された片持ち梁部と、前記ベース部と前記可動部とに前記継ぎ手部を跨いで架け渡された物理量検出素子と、を備えた物理量検出器の製造方法であって、前記片持ち梁部を用意する工程と、前記物理量検出素子から平面視において一体化して突出した形状の位置決め部を備えた前記物理量検出素子を用意する工程と、前記物理量検出素子を前記ベース部と前記可動部とに架け渡した状態で、前記位置決め部を前記ベース部及び前記可動部に対して位置決めし、前記ベース部と前記可動部とに固定する工程と、前記物理量検出素子を前記ベース部と前記可動部とに固定後、前記位置決め部を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、ベース部(固定部材に相当)と、継ぎ手部(梁に相当)と、可動部(可動部材に相当)と、が一体で形成された片持ち梁部(素子支持部材に相当)を用意する工程と、物理量検出素子(応力感応素子に相当)をベース部及び可動部に対して位置決めする位置決め部を備えた物理量検出素子を用意する工程と、物理量検出素子をベース部と可動部とに架け渡して位置決め部を用いて位置決めし、固定する工程と、物理量検出素子を固定後、位置決め部を除去する工程と、を有する。
【0011】
これにより、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子を固定後、位置決め部を除去することから、物理量検出素子の固定部分(固定端に相当)を必要以上に大きくしなくてもよいことになる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子の固定部分の、例えば、スプリアスを抑制することができる。
これにより、物理量検出器の製造方法は、物理量検出器の検出感度、検出精度などの物理量検出特性を向上させることができる。
【0012】
また、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子の固定部分を必要以上に大きくしなくてもよいことから、物理量検出素子の固定部分を、ベース部及び可動部に固定するための、例えば、接着剤などの塗布範囲が、特許文献1の従来構成と比較して狭くできる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子とベース部及び可動部とに生じる熱応力を抑制することができる。
これにより、物理量検出器の製造方法は、物理量検出器の検出感度、検出精度などの温度特性を向上させることができる。
【0013】
また、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子を固定後、位置決め部を除去することから、物理量検出素子の固定部分と可動部の自由端との間にスペースを設けることができる。
これにより、物理量検出器の製造方法は、例えば、検出感度向上のための質量増加策として錘部を設ける場合、最も効果的な場所である可動部の自由端周辺に、錘部を設けることが可能になる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、物理量検出器の錘部による検出感度向上策を効果的に実施することができる。
【0014】
[適用例2]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記物理量検出器は、錘部を更に備え、前記位置決め部を除去した後の前記可動部に、前記錘部を配置して固定する工程を、更に有することが好ましい。
【0015】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、位置決め部を除去した後の可動部に、錘部を配置して固定する工程を有することから、物理量検出器の錘部による検出感度向上策を可動部のスペースの効率的活用により実施することができる。
【0016】
[適用例3]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記物理量検出素子の前記ベース部及び前記可動部に対する位置決めを、前記位置決め部の外郭の少なくとも一部と、前記ベース部及び前記可動部の外郭の少なくとも一部とを一致させることにより行うことが好ましい。
【0017】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子のベース部及び可動部に対する位置決めを、位置決め部の外郭の一部と、ベース部及び可動部の外郭の一部とを一致させることにより行う。
このことから、物理量検出器の製造方法は、例えば、位置決め部の外郭の一部と、ベース部及び可動部(以下、継ぎ手部を含めて片持ち梁部、素子支持体ともいう)の外郭の一部とを、互いに重ねたときに一致するように形成することで、位置決め部と一体の物理量検出素子(以下、物理量検出素子体ともいう)と、素子支持体とを重ねて載置することにより、上記外郭の一部が一致し両者の位置決めができる簡易な位置決め装置を用いることが可能となる。
【0018】
[適用例4]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記位置決め部の前記外郭の一部、及び、前記ベース部及び前記可動部の前記外郭の一部は、角部であることが好ましい。
【0019】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、位置決め部の外郭の一部、及び、ベース部及び可動部の外郭の一部が、角部であることから、例えば、位置決め部の外郭の角部と素子支持体の外郭の角部とを、互いに重ねたときに一致するように形成することで、物理量検出素子体と、素子支持体とを重ねて載置することにより、上記角部が一致し両者の位置決めがより確実にできる簡易な位置決め装置を用いることが可能となる。
【0020】
[適用例5]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記位置決め部は、前記ベース部及び前記可動部と重ねた平面視において、前記ベース部及び前記可動部の少なくとも一方の前記外郭の外側に突出する突出部を有することが好ましい。
【0021】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、位置決め部に突出部を有することから、物理量検出素子体と素子支持体とが重なった状態における位置決め部の除去作業を、例えば、突出部をつかんで位置決め部を持ち上げるようにして折り取るなどにより容易に行うことができる。
【0022】
[適用例6]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記ベース部及び前記可動部の少なくとも一方に、前記位置決め部と重ねた平面視において、前記位置決め部の前記外郭の内側に切り欠かれた切り欠き部を有することが好ましい。
【0023】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、ベース部及び可動部の少なくとも一方に、切り欠き部を有することから、物理量検出素子体と、素子支持体とが重なった状態における位置決め部の除去作業を、例えば、切り欠き部に除去用治具を差し込んで位置決め部を持ち上げるようにして折り取るなどにより容易に行うことができる。
【0024】
[適用例7]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記物理量検出素子を、前記ベース部と前記可動部とを結ぶ方向に沿って延びる少なくとも1つ以上の振動梁を有する物理量検出部と、該物理量検出部の両端に接続された一対の基部と、を備えて構成し、前記位置決め部は、前記基部の互いに対向する側とは反対側に連結した構成であることが好ましい。
【0025】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子を、少なくとも1つ以上の振動梁を有する物理量検出部と、物理量検出部の両端に接続された一対の基部と、を備えて構成し、位置決め部を、基部の互いに対向する側とは反対側に連結して形成する。
このことから、物理量検出器の製造方法は、例えば、加わる加速度による可動部の変位に応じて振動梁が伸縮し、この際に生じる引っ張り応力または圧縮応力による振動梁の振動周波数(共振周波数)の変化を加速度に変換するという簡易な構成で、検出感度、検出精度の良好な物理量検出器が製造可能となる。
そして、物理量検出器の製造方法は、位置決め部を、基部の互いに対向する側とは反対側に連結して形成することから、例えば、可動部において、位置決め部を除去したあとの自由端側の空きスペースに錘部を設けることができる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、検出感度が向上した物理量検出器を提供することができる。
【0026】
[適用例8]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記位置決め部は、該位置決め部及び前記物理量検出素子よりも薄い連結部を介して前記物理量検出素子と一体であることが好ましい。
【0027】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、位置決め部が、位置決め部及び物理量検出素子よりも薄い連結部を介して物理量検出素子と一体であることから、例えば、連結部を折り取る(切断する)ことによって位置決め部の除去を容易に行うことができる。
【0028】
[適用例9]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記連結部に括れ部を備えたことが好ましい。
【0029】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部に括れ部を備えたことから、括れ部によって、連結部をより容易に折り取る(切断する)ことができる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、位置決め部の除去を、より容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態の物理量検出器としての加速度検出器の概略構成を示す部分展開模式斜視図。
【図2】本実施形態の加速度検出器の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図3】加速度検出器の動作について説明する模式断面図であり、(a)は、可動部が紙面下方(−Z方向)に変位した状態を示す断面図、(b)は、可動部が紙面上方(+Z方向)に変位した状態を示す断面図。
【図4】加速度検出器の製造工程の一例を示すフローチャート。
【図5】素子支持体形成工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図6】加速度検出素子体形成工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図7】加速度検出素子体固定工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図8】位置決め部除去工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図9】変形例1の加速度検出器の製造方法を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図10】変形例2の加速度検出器の製造方法を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
(実施形態)
最初に、物理量検出器としての加速度検出器の構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態の加速度検出器の概略構成を示す部分展開模式斜視図である。図2は、図1の加速度検出器の概略構成を示す模式平断面図である。図2(a)は、平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。なお、説明の便宜上、各配線は省略してあり、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0033】
図1、図2に示すように、加速度検出器1は、矩形平板状のベース部10と、一方の端部(固定端)が継ぎ手部11を介してベース部10に接続された矩形平板状の可動部12と、から構成された片持ち梁部と、ベース部10と可動部12とに継ぎ手部11を跨いで架け渡された物理量検出素子としての加速度検出素子13と、を備えている。
【0034】
可動部12には、平板の表裏面に相当する両主面12a,12bの他方の端部(自由端)側に一対の錘部(質量部)15が配置されている。錘部15は、接合材16を介して主面12a,12bに接合されている。
ベース部10、継ぎ手部11、可動部12は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて一体で略平板状に形成されている。
ベース部10、継ぎ手部11、可動部12の外形形状は、フォトリソグラフィー、エッチングなどの技術を用いて精度よく形成されている。
【0035】
継ぎ手部11は、可動部12の両主面12a,12b側(ベース部の両主面10a,10b側)からのハーフエッチングによって、ベース部10と可動部12とを区切るように、ベース部10と可動部12とを結ぶ方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に沿って有底の溝部11aが形成されている。
溝部11aにより、継ぎ手部11のY軸方向に沿った断面形状(図2(b)の形状)は、略H字状に形成されている。
この継ぎ手部11により、可動部12は、主面12a(12b)と交差する方向(Z軸方向)に加わる加速度に応じて、継ぎ手部11を支点(回転軸)にして主面12aと交差する方向(Z軸方向)に変位(回動)可能となっている。
【0036】
錘部15は、可動部12の主面12a(12b)側に突出する円柱状(円板状)の凸部15aを有し、凸部15aの先端部が、可動部12の主面12a(12b)に接合材16を介して接合(固定)されている。
なお、凸部15aは、熱応力の抑制の観点から、可動部12への接合に必要な面積を確保しつつ、平面サイズを極力小さくすることが好ましい。また、錘部15は、接合時の傾き回避の観点から、平面視において、錘部15の重心が凸部15a内に収まることが好ましい。
錘部15は、加速度検出器1の感度向上を図るべく平面サイズを極力大きくするために、可動部12における継ぎ手部11側とは反対側の自由端側から、加速度検出素子13を避けて二股状で継ぎ手部11近傍まで延び、平面視において、略U字状に形成されている。
錘部15には、例えば、Cu(銅)、Au(金)などの金属に代表される比較的比重の大きい材料が用いられている。なお、錘部15の凸部15aは、接合材16の塗布範囲を所定の範囲内に管理できれば、なくてもよい。
接合材16には、弾性に優れたシリコーン系樹脂(変成シリコーン樹脂など)を含む接着剤である、例えば、シリコーン系熱硬化型接着剤が用いられている。
【0037】
加速度検出素子13は、ベース部10と可動部12とを結ぶ方向(Y軸方向)に沿って延びる少なくとも1つ以上(ここでは2つ)の角柱状であって、X軸方向に屈曲振動をする振動梁13a,13bを有する加速度検出部13cと、加速度検出部13cの両端に接続された一対の基部13d,13eと、を備えている。
加速度検出素子13は、圧電材料を用いて2つの振動梁13a,13bと一対の基部13d,13eとで二組の音叉を構成することから、双音叉型圧電振動片(双音叉型圧電振動素子、双音叉素子)とも呼ばれている。
加速度検出素子13は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて、加速度検出部13cと基部13d,13eとが一体で略平板状に形成されている。また、加速度検出素子13の外形形状は、フォトリソグラフィー、エッチングなどの技術を用いて精度よく形成されている。
【0038】
加速度検出素子13は、一方の基部13dが可動部12の主面12a側に、例えば、低融点ガラス、共晶接合可能なAu/Sn合金被膜、接着剤などの接合部材17を介して固定され、他方の基部13eがベース部10の主面10a側(可動部12の主面12aと同じ側)に接合部材17を介して固定されている。
なお、加速度検出素子13と、ベース部10の主面10a及び可動部12の主面12aとの間には、可動部12の変位時に加速度検出素子13とベース部10及び可動部12とが互いに接触しないように、所定の隙間が設けられている。この隙間は、本実施形態では、接合部材17の厚さで管理されている。
【0039】
加速度検出素子13は、振動梁13a,13bの図示しない励振電極(駆動電極)から基部13eに引き出された引き出し電極13f,13gが、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合された導電性接着剤(例えば、シリコーン系導電性接着剤)18によって、ベース部10の主面10aに設けられた接続端子10c,10dと接続されている。
詳述すると、引き出し電極13fは、接続端子10cと接続され、引き出し電極13gは、接続端子10dと接続されている。
ベース部10の接続端子10c,10dは、図示しない配線によって、ベース部10の主面10aの反対側の主面10bに設けられた図示しない外部接続端子と接続されている。なお、励振電極、引き出し電極13f,13g、接続端子10c,10d、外部接続端子は、例えば、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成となっている。
【0040】
ここで、加速度検出器1の動作について説明する。
図3は、加速度検出器の動作について説明する模式断面図である。図3(a)は、可動部が紙面下方(−Z方向)に変位した状態を示し、図3(b)は、可動部が紙面上方(+Z方向)に変位した状態を示す。
【0041】
図3(a)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度+Gに応じた慣性力によって、可動部12が、継ぎ手部11を支点にして−Z方向に変位した場合、加速度検出素子13には、Y軸方向に基部13dと基部13eとが互いに離れる方向の引っ張り力が加わり、加速度検出部13cの振動梁13a,13bに引っ張り応力が生じる。
これにより、加速度検出器1は、例えば、巻き上げられた弦楽器の弦のように、加速度検出部13cの振動梁13a,13bの振動周波数(以下、共振周波数ともいう)が高くなる方に変化する。
【0042】
一方、図3(b)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度−Gに応じた慣性力によって、可動部12が、継ぎ手部11を支点にして+Z方向に変位した場合、加速度検出素子13には、Y軸方向に基部13dと基部13eとが互いに近づく方向の圧縮力が加わり、加速度検出部13cの振動梁13a,13bに圧縮応力が生じる。
これにより、加速度検出器1は、例えば、巻き戻された弦楽器の弦のように、加速度検出部13cの振動梁13a,13bの共振周波数が低くなる方に変化する。
【0043】
加速度検出器1は、この共振周波数の変化を検出可能な構成となっている。Z軸方向に加わる加速度(+G、−G)は、この検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
【0044】
次に、加速度検出器1の製造方法の一例について説明する。
図4は、加速度検出器の製造工程の一例を示すフローチャートであり、図5〜図8は、各主要製造工程を説明する模式平断面図である。
【0045】
図4に示すように、加速度検出器1の製造方法は、片持ち梁部を用意する素子支持体形成工程S1と、位置決め部を備えた加速度検出素子を用意する加速度検出素子体形成工程S2と、加速度検出素子体固定工程S3と、位置決め部除去工程S4と、錘部固定工程S5と、を有している。
【0046】
[素子支持体形成工程S1]
まず、図5に示すように、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて、フォトリソグラフィー、ウエットエッチングなどの技術により、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、を一体で形成する。説明の便宜上、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、が一体で形成された片持ち梁部を素子支持体101という。
ここで、素子支持体101は、平面視形状が長さL1、幅W1の矩形に形成されている。なお、素子支持体101の各部分の厚さの一例としては、ベース部10及び可動部12が200μm〜400μm程度、継ぎ手部11が20μm程度である。なお、継ぎ手部11は、両主面12a,12b側(両主面10a,10b側)からのハーフエッチングによって形成する。
【0047】
[加速度検出素子体形成工程S2]
ついで、図6に示すように、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて、フォトリソグラフィー、ウエットエッチングなどの技術により、加速度検出素子13と、加速度検出素子13から突出した形状であって、加速度検出素子13をベース部10及び可動部12(素子支持体101)に対して位置決めする位置決め部102a,102bと、を一体で形成する。
詳述すると、紙面上下方向に長い矩形形状の位置決め部102aを、位置決め部102a及び加速度検出素子13よりも薄い梁状の連結部102cにより加速度検出素子13の基部13dに連結し、加速度検出素子13と一体で形成する。
一方、紙面上下方向に長い矩形形状の位置決め部102bを、位置決め部102b及び加速度検出素子13よりも薄い梁状の連結部102dにより加速度検出素子13の基部13eに連結し、加速度検出素子13と一体で形成する。
これにより、位置決め部102a,102bは、基部13d,13eの互いに対向する側とは反対側に連結して形成されていることになる。
【0048】
なお、位置決め部102a,102bと基部13d,13eとの間には、段差Dを設ける。段差Dは、基部13d,13eを固定する接合部材17の所定の厚さと同一であることが好ましい。これにより、接合部材17の厚さ管理が容易となる。
なお、連結部102cには、基部13d近傍に括れ部102eを形成し、連結部102dには、基部13e近傍に括れ部102fを形成することが好ましい。
説明の便宜上、位置決め部102a,102b(連結部102c,102dを含む)と加速度検出素子13とが一体で形成された状態の加速度検出素子を加速度検出素子体102という。
【0049】
図6に示すように、加速度検出素子体102は、位置決め部102aの紙面上辺と位置決め部102bの紙面上辺とを直線で繋ぎ、位置決め部102aの紙面下辺と位置決め部102bの紙面下辺とを直線で繋いだときの平面視における外郭形状が、長さL2、幅W2の矩形に形成されている。
ここで、加速度検出素子体102の長さL2は、素子支持体101の長さL1と同一であり(L2=L1)、加速度検出素子体102の幅W2は、素子支持体101の幅W1と同一である(W2=W1)。
これにより、素子支持体101と加速度検出素子体102とを互いに重ねたときには、素子支持体101の外郭の少なくとも一部(例えば、四隅部、換言すれば四つの角部)と、加速度検出素子体102の外郭の少なくとも一部(例えば、四隅部、換言すれば四つの角部)と、が一致することになる。
【0050】
[加速度検出素子体固定工程S3]
ついで、図7に示すように、位置決め装置30の載置面31に素子支持体101を載置する。このとき、素子支持体101の四隅部を位置決め装置30のL字状(逆L字状)の位置決め突起部32により位置決めする。この位置決め突起部32は、それぞれ紙面上下方向、紙面左右方向に移動可能な構成であって、素子支持体101のサイズのばらつきに応じて微調整できることが好ましい。
ここで、位置決め突起部32の高さは、素子支持体101の厚さよりも高く形成され、素子支持体101及び加速度検出素子体102の位置決めを行うのに十分な高さに構成されている。
【0051】
ついで、素子支持体101の上に加速度検出素子体102を重ねて載置し、加速度検出素子13を素子支持体101のベース部10と可動部12とに架け渡し、位置決め部102a,102bにより位置決めする。
ここで、上述したように、素子支持体101の四隅部と加速度検出素子体102の四隅部とは、互いに重ねたときに一致するように形成されている。したがって、位置決め突起部32で位置決めされた素子支持体101の上に、加速度検出素子体102を載置することにより、位置決め突起部32で加速度検出素子体102が位置決めされ、素子支持体101の四隅部と加速度検出素子体102の四隅部とが互いに重なり合い確実に一致する。
これにより、加速度検出素子13がベース部10と可動部12とに対して正確に位置決めされたことになる。
【0052】
ついで、加速度検出素子体102(加速度検出素子13)を素子支持体101(ベース部10及び可動部12)に固定する。
詳述すると、加速度検出素子13の基部13dを、可動部12の主面12aに、例えば、低融点ガラス、共晶接合可能なAu/Sn合金被膜、接着剤などの接合部材17を介して固定(接合)し、基部13eを、ベース部10の主面10aに接合部材17を介して固定する。
【0053】
この際、前述したように、加速度検出素子13と、ベース部10の主面10a及び可動部12の主面12aとの間には、可動部12の変位時に加速度検出素子13とベース部10及び可動部12とが互いに接触しないように、所定の隙間を設ける必要がある。この隙間は、本実施形態では、接合部材17の厚さで管理している。
ここで、加速度検出素子体102には、位置決め部102a,102bと基部13d,13eとの間に段差Dが設けられている。この、段差Dは、前述の接合部材17の所定の厚さと同一(所定の隙間と同一)である。
これにより、位置決め部102a,102bが密着するように、加速度検出素子体102全体を素子支持体101に押圧して基部13d,13eを固定することで、接合部材17の厚さを所定の厚さに管理することが可能となる。
【0054】
ついで、加速度検出素子13の引き出し電極13f,13gを、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合された導電性接着剤(例えば、シリコーン系導電性接着剤)18を介して、ベース部10の主面10aに設けられた接続端子10c,10dと接続する。
詳述すると、まず、引き出し電極13fと接続端子10cとに跨るように導電性接着剤18を塗布し、引き出し電極13gと接続端子10dとに跨るように導電性接着剤18を塗布する。
ついで、導電性接着剤18を加熱して硬化させ、引き出し電極13fと接続端子10cとを電気的に接続し、引き出し電極13gと接続端子10dとを電気的に接続する。
なお、この工程では、導電性接着剤18に代えて金属ワイヤーを用いて、ワイヤーボンディングによって引き出し電極13f,13gと接続端子10c,10dとを電気的に接続してもよい。
【0055】
[位置決め部除去工程S4]
ついで、図8に示すように、加速度検出素子体102の位置決め部102a,102bを除去する。
具体的には、連結部102cを括れ部102eで折り取る(切断する)ことにより位置決め部102aを除去し、連結部102dを括れ部102fで折り取る(切断する)ことにより位置決め部102bを除去する。
【0056】
[錘部固定工程S5]
ついで、図2に戻って、可動部12の主面12aの位置決め部102aを除去した空きスペースに錘部15を接合材16を介して固定(接合)する。また、可動部12の主面12bにも同様に錘部15を接合材16を介して固定する。
具体的には、まず、錘部15の凸部15aの先端部平面に、弾性に優れたシリコーン系樹脂(変成シリコーン樹脂など)を含む、例えば、シリコーン系熱硬化型接着剤が用いられた接合材16を、ディスペンサーなどの塗布装置で所定量塗布する。
ついで、錘部15を凸部15aが可動部12の主面12a(12b)側になるようにして位置合わせし、可動部12に配置する。
ついで、接合材16を加熱して硬化させ、錘部15を可動部12の主面12a(12b)に固定する。この際、前述したように、錘部15の傾き回避の観点から、平面視において、錘部15の重心が凸部15a内に収まっていることが好ましい。
【0057】
上記各工程などを経て、図1、図2に示すような、加速度検出器1を得る。
なお、上記各工程は、支障のない範囲で順番を適宜入れ換えてもよい。例えば、素子支持体形成工程S1と、加速度検出素子体形成工程S2とは、互いに入れ換えてもよく、別々のラインで同時進行させてもよい。
また、準備工程、検査工程、調整工程など上記以外の工程は、上記各工程の前後などに適宜行うものとする。
【0058】
上述したように、本実施形態における加速度検出器1の製造方法は、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、を一体で形成する素子支持体形成工程S1と、加速度検出素子13をベース部10及び可動部12に対して位置決めする位置決め部102a,102bを、加速度検出素子13と一体で形成する加速度検出素子体形成工程S2と、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して位置決め部102a,102bを用いて位置決めし、固定する加速度検出素子体固定工程S3と、加速度検出素子13を固定後、位置決め部102a,102bを除去する位置決め部除去工程S4と、を有する。
【0059】
これにより、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13を固定後、位置決め部102a,102bを除去することから、加速度検出素子13の基部13d,13e(固定部分、固定端に相当)を必要以上に大きくしなくてもよい。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13の基部13d,13eの、例えば、スプリアスを抑制することができる。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13の検出感度、検出精度などの加速度検出特性を向上させることができる。
【0060】
また、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13の基部13d,13eを必要以上に大きくしなくてもよいことから、加速度検出素子13の基部13d,13eを、ベース部10及び可動部12に固定するための、接合部材17の範囲を、特許文献1の従来構成と比較して狭くできる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13とベース部10及び可動部12とに生じる熱応力を抑制することができる。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13の検出感度、検出精度などの温度特性を向上させることができる。
【0061】
また、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13を固定後、位置決め部102a,102bを除去することから、加速度検出素子13の基部13d,13eと可動部12の自由端との間にスペースを設けることができる。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、検出感度向上のための質量増加策として錘部15を設ける場合、最も効果的な場所である可動部12の自由端周辺に、錘部15を設けることが可能になる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13の錘部15による検出感度向上策を効果的に実施することができる。
【0062】
また、加速度検出器1の製造方法は、位置決め部102a,102bを除去した後の可動部12の空きスペースに、錘部15を配置して固定する錘部固定工程S5を有することから、加速度検出素子13の錘部15による検出感度向上策をスペースの効率的活用により実施することができる。
【0063】
また、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13のベース部10及び可動部12に対する位置決めを、位置決め部102a,102bの外郭の一部である角部(加速度検出素子体102の四隅)と、ベース部10及び可動部12の外郭の一部である角部(素子支持体101の四隅)とを一致させることにより行う。
このことから、加速度検出器1の製造方法は、素子支持体101と加速度検出素子体102とを重ねて載置面31に載置し、両者の角部が一致するように位置決め突起部32で両者を位置決めすることにより、加速度検出素子13のベース部10及び可動部12に対する位置決めが確実に行える簡易な構成の位置決め装置30を用いることが可能となる。
【0064】
なお、位置決め部102a,102bの外郭の一部、及び、ベース部10及び可動部12の外郭の一部は、角部に限定されるものではなく、例えば、外形から内側に切りかかれた切り欠き部でもよく、外形から外側に突出した突出部でもよい。
【0065】
また、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13を、少なくとも1つ以上(ここでは2つ)の振動梁13a,13bを有する加速度検出部13cと、加速度検出部13cの両端に接続された一対の基部13d,13eと、を備えて構成し、位置決め部102a,102bを、基部13d,13eの互いに対向する側とは反対側に連結して形成する。
このことから、加速度検出器1の製造方法は、例えば、加わる加速度による可動部12の変位に応じて振動梁13a,13bが伸縮し、この際に生じる引っ張り応力または圧縮応力による振動梁13a,13bの振動周波数の変化を加速度に変換するという簡易な構成で、検出感度、検出精度の良好な加速度検出器1が製造可能となる。
そして、加速度検出器1の製造方法は、位置決め部102a,102bを、基部13d,13eの互いに対向する側とは反対側に連結して形成することから、可動部12において、位置決め部102a,102bを除去したあとの自由端側のスペースに錘部15を設けることができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、検出感度が向上した加速度検出器1を提供することができる。
【0066】
また、加速度検出器1の製造方法は、位置決め部102a,102bを、位置決め部102a,102b及び加速度検出素子13よりも薄い連結部102c,102dを介して加速度検出素子13と一体で形成することから、例えば、連結部102c,102dを折り取ることによって位置決め部102a,102bの除去を容易に行うことができる。
【0067】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部102c,102dに括れ部102e,102fを形成することから、括れ部102e,102fによって連結部102c,102dをより容易に折り取ることができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、位置決め部102a,102bの除去を、より容易に行うことができる。
加えて、加速度検出器1の製造方法は、括れ部102e,102fを基部13d,13eの近傍に形成することにより、位置決め部102a,102bの除去時の基部13d,13e側に残った括れ部102e,102fの残部の突出量を低減できる。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、括れ部102e,102fの残部と他部材との干渉を回避することができる。
【0068】
なお、加速度検出素子体102の、位置決め部102a,102bと基部13d,13eとの間の段差Dは、なくてもよい。つまり、加速度検出素子体102は、略平坦な平板状に形成してもよい。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、接合部材17の厚さ管理が重要になるが、例えば、ベース部10及び可動部12(素子支持体101)と加速度検出素子13(加速度検出素子体102)との間に、所定の隙間に相当する厚さに形成されたスペーサーを挟んだ状態で、ベース部10及び可動部12と加速度検出素子13とを接合部材17によって固定し、接合部材17の硬化後にスペーサーを除去することで、隙間を所定の範囲内に管理することができる。
なお、加速度検出器1の製造方法は、連結部102c,102dの切断に支障がなければ、括れ部102e,102fを形成しなくてもよい。
【0069】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
(変形例1)
図9は、変形例1の加速度検出器の製造方法を説明する模式図である。図9(a)は、平面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A線での断面図である。
図9に示すように、変形例1の加速度検出器の製造方法では、加速度検出素子体202の位置決め部202a,202bに、素子支持体101と重ねた平面視において、ベース部10及び可動部12の外郭の外側に突出する突出部202g,202hを形成する。
【0070】
これによれば、変形例1の加速度検出器の製造方法は、位置決め部202a,202bに突出部202g,202hを形成することから、加速度検出素子体202と素子支持体101とが重なった状態における位置決め部202a,202bの除去作業を、例えば、突出部202g,202hをつかんで位置決め部202a,202bを矢印のように持ち上げて、括れ部102e,102fで折り取ることにより容易に行うことができる。
なお、突出部202g,202hは、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0071】
(変形例2)
図10は、変形例2の加速度検出器の製造方法を説明する模式図である。図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、図10(a)のA−A線での断面図である。
図10に示すように、変形例2の加速度検出器の製造方法では、ベース部310及び可動部312に、素子支持体301と加速度検出素子体102とを重ねた平面視において、位置決め部102a,102bの外郭の内側に向けて、例えば、円弧状に切りかかれた切り欠き部310e,312cを形成する。
【0072】
これによれば、変形例2の加速度検出器の製造方法は、ベース部310及び可動部312に、切り欠き部310e,312cを形成することから、加速度検出素子体102と、素子支持体301とが重なった状態における位置決め部102a,102bの除去作業を、例えば、切り欠き部310e,312cに除去用治具を差し込んで位置決め部102a,102bを矢印のように持ち上げて、括れ部102e,102fで折り取ることにより容易に行うことができる。
なお、切り欠き部310e,312cは、いずれか一方のみを設けてもよい。また、変形例2の加速度検出器の製造方法は、変形例1と組み合わせてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態及び各変形例において、素子支持体101,301の材料は、水晶に限定するものではなく、ガラス、またはシリコンなどの半導体材料であってもよい。
また、加速度検出素子体102,202の材料は、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料を被膜として備えたシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【0074】
以上、物理量検出器として加速度検出装器を例に挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、加速度検出結果から力、速度、距離などを検出する物理量検出器にも適用できる。
【符号の説明】
【0075】
1…物理量検出器としての加速度検出器、10…ベース部、10a,10b…主面、10c,10d…接続端子、11…継ぎ手部、11a…溝部、12…可動部、12a,12b…主面、13…物理量検出素子としての加速度検出素子、13a,13b…振動梁、13c…物理量検出部としての加速度検出部、13d,13e…基部、13f,13g…引き出し電極、15…錘部、15a…凸部、16…接合材、17…接合部材、18…導電性接着剤、30…位置決め装置、31…載置面、32…位置決め突起部、101…素子支持体、102…加速度検出素子体、102a,102b…位置決め部、102c,102d…連結部、102e,102f…括れ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のベース部と、継ぎ手部を介して前記ベース部に接続された平板状の可動部と、を含んで構成された片持ち梁部と、前記ベース部と前記可動部とに前記継ぎ手部を跨いで架け渡された物理量検出素子と、を備えた物理量検出器の製造方法であって、
前記片持ち梁部を用意する工程と、
前記物理量検出素子から平面視において一体化して突出した形状の位置決め部を備えた前記物理量検出素子を用意する工程と、
前記物理量検出素子を前記ベース部と前記可動部とに架け渡した状態で、前記位置決め部を前記ベース部及び前記可動部に対して位置決めし、前記ベース部と前記可動部とに固定する工程と、
前記物理量検出素子を前記ベース部と前記可動部とに固定後、前記位置決め部を除去する工程と、
を有することを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記物理量検出器は、錘部を更に備え、
前記位置決め部を除去した後の前記可動部に、前記錘部を配置して固定する工程を、更に有することを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記物理量検出素子の前記ベース部及び前記可動部に対する位置決めを、前記位置決め部の外郭の少なくとも一部と、前記ベース部及び前記可動部の外郭の少なくとも一部とを一致させることにより行うことを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記位置決め部の前記外郭の一部、及び、前記ベース部及び前記可動部の前記外郭の一部は、角部であることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記位置決め部は、前記ベース部及び前記可動部と重ねた平面視において、前記ベース部及び前記可動部の少なくとも一方の前記外郭の外側に突出する突出部を有することを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記ベース部及び前記可動部の少なくとも一方に、前記位置決め部と重ねた平面視において、前記位置決め部の前記外郭の内側に切り欠かれた切り欠き部を有することを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記物理量検出素子を、前記ベース部と前記可動部とを結ぶ方向に沿って延びる少なくとも1つ以上の振動梁を有する物理量検出部と、該物理量検出部の両端に接続された一対の基部と、を備えて構成し、
前記位置決め部は、前記基部の互いに対向する側とは反対側に連結した構成であることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記位置決め部は、該位置決め部及び前記物理量検出素子よりも薄い連結部を介して前記物理量検出素子と一体であることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記連結部に括れ部を備えたことを特徴とする物理量検出器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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