説明

物質の測定方法および物質測定用キット

【課題】より短時間で、測定対象物質を定量測定することが可能な物質の測定方法を提供する。
【解決手段】 光導波路表面に測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質を固定化する工程;および前記光導波路表面に被測定検体溶液および被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を同時にもしくは被測定検体溶液を先に滴下して微粒子の第2物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、光導波路と未反応の微粒子との間で第1、第2の物質を特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;を含むことを特徴とする物質の測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質の測定方法および物質測定用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抗原抗体反応を利用した免疫測定システムにおいては、通常、被測定検体中のタンパク質等に対応する一次抗体をウエル状の基材表面に固定化し、そのウエル内に各々所定量の被測定検体溶液、二次抗体液、発色試薬、それぞれに対する所定の洗浄液を、測定者が秤量しつつ加え、かつ排出するという複雑な手順で行われている。この免疫測定システムにおいて、被測定検体の容量は5μL〜25μL程度必要である。
【0003】
一方、本出願人が出願した特許文献1には必要最小の被測定検体の量が1μLである上、被測定検体の容量が不正確でも被測定検体の測定対象物質の濃度測定が可能な濃度測定方法、センサチップが開示されている。
【特許文献1】WO2005/022155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した特許文献1の発明をさらに改良し、より短時間で測定対象物質を定量測定することが可能な物質の測定方法を提供しようとするものである。
【0005】
また本発明は、前述した特許文献1の発明をさらに改良し、より短時間で測定対象物質を定量測定することが可能な物質測定用キットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によると、光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質を固定化する工程;および
前記光導波路表面に被測定検体溶液および被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を同時にもしくは被測定検体溶液を先に滴下して微粒子の第2物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、光導波路と未反応の微粒子との間で第1、第2の物質を特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法が提供される。
【0007】
本発明の第2態様によると、光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する工程;および
前記光導波路表面に被測定検体溶液および前記第1物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を滴下して光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法
本発明の第3態様によると、光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する工程;
前記光導波路表面に被測定検体溶液を滴下して光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させる工程;および
前記光導波路表面に前記第1物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を滴下して光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法が提供される。
【0008】
本発明の第4態様によると、光導波路と、この光導波路に所望のギャップをあけて対向して配置され、被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質がその対向面に固定化された構造体とを備える光導波路型センサチップ;および
被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定された微粒子の分散液を収容した包装体;
を組み合わせたことを特徴とする物質測定用キットが提供される。
【0009】
本発明の第5態様によると、前記被測定検体の測定対象物質測定用キットの使用において、
平面光導波路と構造体の間のギャップで形成された測定域に被検体溶液および包装体内の微粒子の分散液を供給し、構造体の第1物質と微粒子の第2物質とを被検体溶液の測定対象物質を介して特異的に反応させると共に、この反応に関与しない残りの微粒子を平面光導波路表面に吸着させ、光導波路表面の微粒子による光学的変化を検出する工程;を含むことを特徴とする物質の測定方法が提供される。
【0010】
本発明の第6態様によると、請求項5記載の被測定検体の測定対象物質測定用キットの使用において、
光導波路と構造体の間のギャップで形成された測定域に被検体溶液を供給し、構造体の第1物質と被検体溶液の測定対象物質とを特異的に反応させる工程;および
前記測定域に包装体内の微粒子の分散液を供給し、構造体の第1物質と特異的に反応した被検体溶液の測定対象物質に微粒子の第2物質を特異的に反応させると共に、この反応に関与しない残りの微粒子を光導波路表面に吸着させ、光導波路表面の微粒子による光学的変化を検出する工程;を含むことを特徴とする物質の測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より短時間で、測定対象物質を定量測定することが可能な物質の測定方法を提供できる。
【0012】
また本発明によれば、より短時間で、測定対象物質を定量測定することが可能な物質測定用キットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る物質の測定方法および物質測定用キットを詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、光導波路の一例として平面光導波路を用い、この平面光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質を固定化する。
【0015】
ここで測定対象物質としては、例えば血液、血清、血漿、生体試料、食品等の中に含まれる蛋白質、ペプチド、遺伝子等が挙げられる。具体的には、例えば、インスリン、カゼイン、β―ラクトグロブリン、オボアルブミン、カルシトニン、C−ペプチド、レプチン、β−2−ミクログロブリン、レチノール結合タンパク、α−1−ミクログロブリン、α−フェトプロテイン、癌胎児性抗原、トロポニン−I、クルカゴン様ペプチド、インスリン様ペプチド、腫瘍増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板成長因子、上皮増殖因子、コルチゾール、トリヨードサイロニン、サイロキシン等のハプテンホルモン、ジゴキシン、テオフィリン等の薬物、細菌、ウイルス等の感染性物質、肝炎抗体、IgEの他、そばの主要タンパク質複合体、落花生のArah2を含む可溶性タンパク質等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、以下の第2実施形態から第5実施形態における測定対象物質も同様なものが用いられる。
【0016】
平面光導波路は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂または無アルカリガラスから形成することができる。詳細には、ここで用いる材料とは、所定の光の透過性を有する材料であって、特に、ポリスチレンを主たる構造とするエポキシ樹脂等であることが好ましい。平面光導波路への被測定検体の測定対象物質と等価的な第1物質の固定化は、例えば平面光導波路の疎水性相互作用により固定化する。
【0017】
なお、被測定検体の測定対象物質と等価的な第1物質は、前記測定対象物質と同一物質であってもよい。
【0018】
次いで、前記平面光導波路表面に被測定検体溶液および被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を同時にもしくは被測定検体溶液を先に滴下して微粒子の第2物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、平面光導波路と未反応の微粒子との間で第1、第2の物質を特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子によるエバネッセント光の変化を検出する。
【0019】
微粒子は、例えばラテックスビーズのような樹脂ビーズもしくは金コロイドのような貴金属コロイド、または酸化チタン粒子のような無機酸化物粒子等を用いることができる。特に、ラテックスビーズ、貴金属コロイドが好ましい。ラテックスビーズ中で、後述する光導波路を伝播させる光が赤色レーザの場合、青色ラテックスビーズが好ましい。
【0020】
微粒子は、50nm〜10μmの径を有することが好ましい。
【0021】
微粒子への被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質の固定化は、例えば物理吸着またはカルボキシル基、アミノ基を介した化学結合により行うことができる。
【0022】
このような第1実施形態において、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路に滴下する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていないと、平面光導波路の第1物質に対して微粒子の第2物質が特異的に反応して微粒子が平面光導波路表面に固定化され、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が大きくなり、結果として測定される光強度の低下率が大きくなる。
【0023】
一方、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路に滴下する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていると、被検体溶液の測定対象物質と微粒子の第2物質とが特異的に反応し、平面光導波路の第1物質と特異的に反応する微粒子の第2物質の量が少なくなる。その結果、平面光導波路表面に固定化される微粒子の量が少なくなり、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が被検体溶液に測定対象物質が含まれていない(またはその測定対象物質の量が少ない)場合に比べて小さくなり、測定される光強度の低下率が小さくなる。したがって、光強度の低下率に基づいて測定対象物質の濃度を測定することが可能になる。
【0024】
次に、第1実施形態に係る物質の測定方法を図1に示す光導波路型センサチップおよび図2の(A)〜(C)を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1において、例えば屈折率1.52の無アルカリガラス基板1の主面の両端部には入射側グレーティング2aおよび出射側グレーティング2bが設けられている。これらのグレーティング2a,2bは、例えば屈折率が2.2〜2.4である酸化チタンをスパッタリングにより厚さ50nmの酸化チタン膜を成膜し、リソグラフィーとドライエッチングにより形成することができる。グレーティング2a,2bは、酸化チタン(TiO2)の他に、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、ガリウム砒素(GaAs)、インジウム錫酸化物(ITO)、ポリイミド等から形成することができる。例えばエポキシ樹脂、またはフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂からなる厚さが30μmで、屈折率は1.56の平面光導波路3は、グレーティング2a,2bを含む基板1主面に形成されている。この平面光導波路3は、例えば熱硬化性樹脂をスピンコートおよび焼成により形成することができる。例えば市販されている旭硝子株式会社製のサイトップ(登録商標)のポリ(パーフルオロブテニルビニルエーテル)のような屈折率が1.34の低屈折率樹脂膜4が、平面光導波路3上に被覆されている。低屈折率樹脂膜4には、グレーティング2a,2b間に位置する平面光導波路3の一部が露出するよう開口して例えば矩形状の反応ホール5を形成している。このような反応ホール5を有する低屈折率樹脂膜4は、例えば低屈折率樹脂溶液を平面光導波路3上にスクリーン印刷し、乾燥することにより形成することができる。枠状のセル壁6は、平面光導波路3を露出させる反応ホール5を囲むように低屈折率樹脂膜4上に形成されている。なお、図1に示す光導波路型センサチップにおいて反応ホール5に露出する平面光導波路3でのエバネッセント光の変化を測定するために入射側グレーティング2aに光を入射させるレーザ発振器(例えば赤色レーザダイオード)21を設置し、出射側グレーティング2bから出射される光を受光する光電変換素子(フォトダイオード)22を設置する。
【0026】
また、赤色レーザダイオードから放射される波長655nmのレーザ光を吸収する粒径210nmの青色ラテックスビーズの表面に抗インスリン抗体を固定化し、水に分散して青色ラテックスビーズの分散液を調製した。
【0027】
図1および図2の(A)に示すように反応ホール5から露出する平面光導波路3表面に被測定検体の測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質(タンパク質であるラットインスリン)11を疎水性相互作用により固定化する。
【0028】
次いで、反応ホール5内の平面光導波路3表面に被測定検体溶液および予め調製した青色ラテックスビーズの分散液を滴下する。このとき、滴下した被測定検体溶液中にラテックスビーズの抗インスリン抗体と特異的に反応する測定対象物質(ラットインスリン)が存在しないと、図2の(B)に示すように反応ホール5内の溶液12においてラテックスビーズ13の抗インスリン抗体14は平面光導波路3表面のラットインスリン11と特異的な反応により結合する。
【0029】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の滴下直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に対して固定化されているため、ラテックスビーズ13がエバネッセント光領域に存在することになる。すなわち、ラテックスビーズ13がエバネッセント光の吸収や散乱に関与するため、エバネッセント光の強度の減衰が起きる。その結果、出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化されたラテックスビーズ13の影響によって時間の経過に伴って低下する。
【0030】
一方、滴下した被測定検体溶液中にラットインスリンが存在すると、図2の(C)に示すようにラットインスリン15は同時に滴下した分散液中のラテックスビーズ13の抗インスリン抗体14と特異的に反応して結合する。すなわち、ラテックスビーズ13はその抗インスリン抗体14が被測定検体溶液中のラットインスリン15と特異的に反応するため、平面光導波路3表面のラットインスリン11との特異的な反応、結合の割合が減少し、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量が低下する。
【0031】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の滴下直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に対して固定化されているため、前述したように出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化された微粒子13の影響によって時間の経過に伴って低下する。ただし、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量は被測定検体溶液中にラットインスリンが存在しない場合に比べて少なくなるため、レーザ光強度の低下率が小さくなる。
【0032】
このようにフォトダイオード22で受光したレーザ光強度の低下率は、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量に比例するものの、固定化されるラテックスビーズ13の量はラテックスビーズ13の抗インスリン抗体との反応に関与する被測定検体溶液中のラットインスリン濃度に反比例する。
【0033】
したがって、ラットインスリン濃度が既知の被測定検体溶液において時間の経過に伴うレーザ光強度の低下曲線を作成し、この曲線の所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、ラットインスリン濃度とレーザ光強度の低下率との関係を示す検量線を予め作成する。前記方法で測定した時間とレーザ光強度の低下曲線から所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、このレーザ光強度の低下率を前記検量線と照合させることにより、被測定検体溶液中のラットインスリン濃度を測定できる。
【0034】
以上、第1実施形態によれば洗浄作業を必要とせず、平面光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質を固定化する操作、被測定検体溶液の滴下、微粒子の分散液の滴下の3回の操作、つまり短時間かつ迅速な操作で被測定検体の測定対象物質の濃度を定量することが可能な被測定検体の測定対象物質の測定方法を提供することができる。
【0035】
なお、第1実施形態において被測定検体溶液を先に平面光導波路に滴下し、この後微粒子の分散液を平面光導波路に滴下しても同様に測定対象物の濃度測定を行うことができる。
【0036】
(第2実施形態)
まず、光導波路の一例として平面光導波路を用い、この平面光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する。
【0037】
次いで、前記平面光導波路表面に被測定検体溶液および前記第1物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を滴下して平面光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、平面光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子によるエバネッセント光の変化を検出する。
【0038】
平面光導波路、微粒子は、前記第1実施形態と同様なものを用いることができる。
【0039】
このような第2実施形態において、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路に滴下する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていないと、平面光導波路の第1物質に対して微粒子の第2物質が特異的に反応して微粒子が平面光導波路表面に固定化され、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が大きくなり、結果として測定される光強度の低下率が大きくなる。
【0040】
一方、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路に滴下する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていると、平面光導波路の第1物質と被検体溶液の測定対象物質とが特異的に反応し、微粒子に固定化された第2物質は平面光導波路の第1物質に特異的に反応する量が抑えられ、微粒子の平面光導波路に固定化される量が被検体溶液に測定対象物質が含まれていない(または測定対象物質の量が少ない場合)に比べて低下する。すなわち、平面光導波路表面に固定化される微粒子の量が少なくなり、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が被検体溶液に測定対象物質が含まれていない(またはその測定対象物質の量が少ない)場合に比べて小さくなり、測定される光強度の低下率が小さくなる。したがって、光強度の低下率に基づいて測定対象物質の濃度を測定することが可能になる。
【0041】
次に、第2実施形態に係る被測定検体の測定対象物質の測定方法を図3に示す光導波路型センサチップおよび図4の(A)〜(C)を参照して具体的に説明する。なお、図3に示す光導波路型センサチップ構造は第1実施形態で説明した図1のセンサチップと同様で、反応ホール5に露出する平面光導波路3でのエバネッセント光の変化を測定するために入射側グレーティング2aに光を入射させるレーザ発振器(例えば赤色レーザダイオード)21を設置し、出射側グレーティング2bから出射される光を受光する光電変換素子(フォトダイオード)22を設置する。また、赤色レーザダイオードから放射される波長655nmのレーザ光を吸収する粒径210nmの青色ラテックスビーズの表面に、抗インスリン抗体の抗体である第2物質(抗IgG抗体)を固定化し、水に分散して青色ラテックスビーズの分散液を調製した。
【0042】
まず、図3および図4の(A)に示すように反応ホール5から露出する平面光導波路3表面に被測定検体の測定対象物質(例えば、ラットインスリン)の抗体である第1物質(抗インスリン抗体)16を疎水性相互作用により固定化する。
【0043】
次いで、反応ホール5内の平面光導波路3表面に被測定検体溶液および予め調製した抗IgG抗体が固定化された青色ラテックスビーズの分散液を滴下する。このとき、滴下した被測定検体溶液中に測定対象物質(例:あラットインスリン)が存在しないと、図4の(B)に示すように反応ホール5内の溶液12においてラテックスビーズ13の抗IgG抗体17は平面光導波路3表面の抗インスリン抗体16と特異的な反応により結合する。
【0044】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の滴下直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に対して固定化されているため、ラテックスビーズ13がエバネッセント光領域に存在することになる。すなわち、ラテックスビーズ13がエバネッセント光の吸収や散乱に関与するため、エバネッセント光の強度の減衰が起きる。その結果、出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化されたラテックスビーズ13の影響によって時間の経過に伴って低下する。
【0045】
一方、滴下した被測定検体溶液中にラットインスリンが存在すると、図4の(C)に示すようにラットインスリン15は表面光導波路3に固定された抗インスリン抗体16と特異的な反応により結合する。その結果、ラテックスビーズ13の抗IgG抗体17と平面光導波路3表面の抗インスリン抗体16との特異的な反応、結合の割合が減少し、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量が低下する。
【0046】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の滴下直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に対して固定化されているため、前述したように出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化された微粒子13の影響によって時間の経過に伴って低下する。ただし、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量は被測定検体溶液中にラットインスリンが存在しない場合に比べて少なくなるため、レーザ光強度の低下率が小さくなる。
【0047】
このようにフォトダイオード22で受光したレーザ光強度の低下率は、平面光導波路3表面に対して固定化されるラテックスビーズ13の量に比例するものの、固定化されるラテックスビーズ13の量は平面光導波路3の抗インスリン抗体16との特異的な反応に関与する被測定検体溶液中のラットインスリン濃度に反比例する。
【0048】
したがって、ラットインスリン濃度が既知の被測定検体溶液において時間の経過に伴うレーザ光強度の低下曲線を作成し、この曲線の所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、ラットインスリン濃度とレーザ光強度の低下率との関係を示す検量線を予め作成する。前記方法で測定した時間とレーザ光強度の低下曲線から所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、このレーザ光強度の低下率を前記検量線と照合させることにより、被測定検体溶液中のラットインスリン濃度を測定できる。
【0049】
以上、第2実施形態によれば洗浄作業を必要とせず、平面光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する操作、被測定検体溶液および微粒子の分散液の滴下の2回の操作、つまり短時間かつ迅速な操作で被測定検体の測定対象物質の濃度を定量することが可能な被測定検体の測定対象物質の測定方法を提供することができる。
【0050】
なお、第2実施形態において被測定検体溶液を先に平面光導波路に滴下しして平面光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させ、この後微粒子の分散液を平面光導波路に滴下して測定対象物と特異的に反応されない平面光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させて微粒子を平面光導波路に固定してもよい。この方法によれば、被測定検体溶液および微粒子の分散液を同時に滴下する方法に比べてより正確な測定対象物質の濃度定量が可能になる。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る被測定検体の測定対象物質測定用キットは光導波路型センサチップと被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定された微粒子の分散液を収容した包装体とを組み合わせた構成を有する。光導波路型センサチップには、光導波路の一例として平面光導波路が用いられており、この平面光導波路に所望のギャップをあけて対向して配置され、被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質がその対向面に固定化された構造体とを備える。
【0052】
平面光導波路、微粒子は、前記第1実施形態と同様なものを用いることができる。
【0053】
次に、前記被測定検体の測定対象物質測定用キット使用による被測定検体の測定対象物質の測定方法を説明する。
【0054】
平面光導波路と構造体の間のギャップで形成された測定域に被検体溶液および包装体内の微粒子の分散液を供給し、構造体の第1物質と微粒子の第2物質とを被検体溶液の測定対象物質を介して特異的に反応させると共に、この反応に関与しない残りの微粒子を平面光導波路表面に吸着させ、光導波路表面の微粒子によるエバネッセント光の変化を検出する。
【0055】
このような方法において、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路と構造体の間の測定域に供給する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていないと、平面光導波路に供給した微粒子が物理的に吸着され、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が大きくなり、結果として測定される光強度の低下率が大きくなる。
【0056】
一方、被検体溶液および微粒子の分散液を平面光導波路と構造体の間の測定域に供給する際、被検体溶液に測定対象物質が含まれていると、構造体の第1物質と微粒子の第2物質とを被検体溶液の測定対象物質を介して特異的に反応し、平面光導波路と物理的に吸着する微粒子の量が少なくなる。すなわち、平面光導波路表面に吸着される微粒子は前記測定対象物質との特異的な反応で構造体側に固定された微粒子量に相当する量低下し、エバネッセント光の微粒子による吸収または散乱が被検体溶液に測定対象物質が含まれていない(またはその測定対象物質の量が少ない)場合に比べて小さくなり、測定される光強度の低下率が小さくなる。したがって、光強度の低下率に基づいて測定対象物質の濃度を測定することが可能になる。
【0057】
なお、第3実施形態において被測定検体溶液を先に平面光導波路に滴下し、この後微粒子の分散液を平面光導波路に滴下しても同様に測定対象物の濃度測定を行うことができる。
【0058】
次に、第3実施形態に係る被測定検体の測定対象物質測定用キットを図5を参照して具体的に説明する。
【0059】
図5に示す光導波路型センサチップは、第1実施形態で説明したセンサチップと同様にガラス基板1、入射側、出射側のグレーティング2a,2b、平面光導波路3、反応ホール5を有する低屈折率樹脂膜4および枠状のセル壁6を備える。例えば有機系樹脂からなる構造体7は、枠状のセル壁6に固定されている。構造体7は、反応ホール5と対向する面(下面)に凹凸8が形成されている。なお、露出する平面光導波路3と構造体7の間のギャップには、前記反応ホール5を含む測定域9が形成される。被測定検体溶液および微粒子の分散液を導入・排出するための穴(図示せず)がその上面から枠状のセル壁6の内面近傍の測定域9に向かって穿設されている。被測定検体の測定対象物質(例えばラットインスリン)と特異的に反応する第1物質(例えば抗インスリン抗体)18は、構造体7の凹凸8面に固定化されている。
【0060】
被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質(抗インスリン抗体)が固定化された微粒子(例えば青色ラテックスビーズ)の分散液を収容した例えばポリエチレン製の包装体(図示せず)は、前記光導波路型センサチップと組み合わされてキットを構成している。
【0061】
次に、前述したキットを使用して被測定検体の測定対象物質の測定方法を図6の(A)〜(C)を参照して説明する。なお、図5に示す光導波路型センサチップにおいて測定域に露出する平面光導波路でのエバネッセント光の変化を測定するために入射側グレーティング2aに光を入射させるレーザ発振器(例えば赤色レーザダイオード)21を設置し、出射側グレーティング2bから出射される光を受光する光電変換素子(フォトダイオード)22を設置する。
【0062】
まず、図5および図6の(A)に示すように構造体7の凹凸8の面に被測定検体の測定対象物質(例えばラットインスリン)と特異的に反応する例えば抗インスリン抗体18を固定化した光導波路型センサチップを用意する。
【0063】
次いで、被測定検体溶液および包装体中の青色ラテックスビーズの分散液を構造体7の穴(図示せず)を通して測定域9内に供給する。このとき、供給した被測定検体溶液中に構造体7の凹凸8面の抗インスリン抗体18と特異的に反応する測定対象物質(ラットインスリン)が存在しないと、図6の(B)に示すように測定域9内の溶液において抗インスリン抗体14が固定化されたラテックスビーズ13は平面光導波路3表面に物理的に吸着する。
【0064】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の供給直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に吸着されているため、ラテックスビーズ13がエバネッセント光領域に存在することになる。すなわち、ラテックスビーズ13がエバネッセント光の吸収や散乱に関与するため、エバネッセント光の強度の減衰が起きる。その結果、出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化されたラテックスビーズ13の影響によって時間の経過に伴って低下する。
【0065】
一方、供給した被測定検体溶液中にラットインスリンが存在すると、図6の(C)に示すように構造体7の凹凸8面の抗インスリン抗体18とラテックスビーズ13の抗インスリン抗体14とがラットインスリン15を介して特異的に反応して結合する。すなわち、ラテックスビーズ13はその抗インスリン抗体14が被測定検体溶液中のラットインスリン15を介して構造体7の凹凸8面の抗インスリン抗体18と特異的に反応、固定化されるため、平面光導波路3表面に物理的に吸着する量が低下する。
【0066】
被測定検体溶液およびラテックスビーズ13の分散液の滴下直後に赤色レーザダイオード21から赤色レーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その平面光導波路3を伝播させて表面(反応ホール5での露出表面)付近にエバネッセント光を発生させると、ラテックスビーズ13が平面光導波路3表面に対して固定化されているため、前述したように出射側グレーティング2bから出射される赤色レーザ光をフォトダイオード22で受光した際、そのレーザ光強度が固定化されたラテックスビーズ13の影響によって時間の経過に伴って低下する。ただし、平面光導波路3表面に吸着されるラテックスビーズ13の量は被測定検体溶液中にラットインスリンが存在しない場合に比べて少なくなるため、レーザ光強度の低下率が小さくなる。
【0067】
このようにフォトダイオード22で受光したレーザ光強度の低下率は、平面光導波路3表面に吸着されるラテックスビーズ13の量に比例するものの、吸着されるラテックスビーズ13の量はラテックスビーズ13の抗インスリン抗体14と構造体7の凹凸8面の抗インスリン抗体18との間の反応に関与する被測定検体溶液中のラットインスリン濃度に反比例する。
【0068】
したがって、ラットインスリン濃度が既知の被測定検体溶液において時間の経過に伴うレーザ光強度の低下曲線を作成し、この曲線の所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、ラットインスリン濃度とレーザ光強度の低下率との関係を示す検量線を予め作成する。前記方法で測定した時間とレーザ光強度の低下曲線から所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、このレーザ光強度の低下率を前記検量線と照合させることにより、被測定検体溶液中のラットインスリン濃度を測定できる。
【0069】
以上、第3実施形態の被測定検体の測定対象物質測定用キットおよびこのキットの使用による測定対象物質の測定方法によれば、洗浄作業を必要とせず、平面光導波路表面が露出する測定域への被測定検体溶液の虚球および微粒子の分散液の供給の最大2回の操作、つまり短時間かつ迅速な操作で被測定検体の測定対象物質の濃度を定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態における物質の測定に用いられる光導波路型センサチップを示す断面図。
【図2】第1実施形態における物質の測定工程を示す概略図。
【図3】第2実施形態における物質の測定に用いられる光導波路型センサチップを示す断面図。
【図4】第2実施形態における物質の測定工程を示す概略図。
【図5】第3実施形態の物質測定用キットの光導波路型センサチップを示す断面図。
【図6】第3実施形態における物質の測定工程を示す概略図。
【符号の説明】
【0071】
1…ガラス基板、2a,2b…グレーティング、3…平面光導波路、5…反応ホール、7…構造体、9…測定域、11…ラットインスリン、13…青色ラテックスビーズ、14,17,18…抗IgG抗体、15…測定対象物質(例:ラットインスリン)、16…抗インスリン抗体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路表面に測定対象物質と等価的な性質を持つ第1物質を固定化する工程;
および前記光導波路表面に被測定検体溶液および被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を同時にもしくは被測定検体溶液を先に滴下して微粒子の第2物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、光導波路と未反応の微粒子との間で第1、第2の物質を特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法。
【請求項2】
光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する工程;および
前記光導波路表面に被測定検体溶液および前記第1物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を滴下して光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させると共に、光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法。
【請求項3】
光導波路表面に被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質を固定化する工程;
前記光導波路表面に被測定検体溶液を滴下して光導波路の第1物質と被測定検体の測定対象物質とを特異的に反応させる工程;および
前記光導波路表面に前記第1物質と特異的に反応する第2物質が固定化された微粒子の分散液を滴下して光導波路の第1物質と微粒子の第2物質とを特異的に反応させ、光導波路表面に固定化された微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法。
【請求項4】
前記測定対象物質が抗原で、前記光導波路表面および前記微粒子に固定化された前記抗原と特異的に反応する第1、第2物質が抗体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の物質の測定方法。
【請求項5】
光導波路と、この光導波路に所望のギャップをあけて対向して配置され、被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質がその対向面に固定化された構造体とを備える光導波路型センサチップ;および
被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質が固定された微粒子の分散液を収容した包装体;
を組み合わせたことを特徴とする物質測定用キット。
【請求項6】
請求項5記載の被測定検体の測定対象物質測定用キットの使用において、
光導波路と構造体の間のギャップで形成された測定域に被検体溶液および包装体内の微粒子の分散液を供給し、構造体の第1物質と微粒子の第2物質とを被検体溶液の測定対象物質を介して特異的に反応させると共に、この反応に関与しない残りの微粒子を光導波路表面に吸着させ、光導波路表面の微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする被測定検体の測定対象物質の測定方法。
【請求項7】
請求項5記載の物質測定用キットの使用において、
光導波路と構造体の間のギャップで形成された測定域に被検体溶液を供給し、構造体の第1物質と被検体溶液の測定対象物質とを特異的に反応させる工程;および
前記測定域に包装体内の微粒子の分散液を供給し、構造体の第1物質と特異的に反応した被検体溶液の測定対象物質に微粒子の第2物質を特異的に反応させると共に、この反応に関与しない残りの微粒子を光導波路表面に吸着させ、光導波路表面の微粒子による光学的変化を検出する工程;
を含むことを特徴とする物質の測定方法。
【請求項8】
前記光導波路は、厚さ3〜300μmの有機系樹脂であることを特徴とする請求項1,2,3,6または7いずれか記載の物質の測定方法。
【請求項9】
前記微粒子は、有機系樹脂ビーズであることを特徴とする請求項1,2,3,6または7いずれか記載の物質の測定方法。
【請求項10】
前記微粒子は、貴金属コロイドであることを特徴とする請求項1,2,3,6または7いずれか記載の物質の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−115665(P2009−115665A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290208(P2007−290208)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】