説明

特に航空機における構造部分の着脱可能な連結のための装置および方法

本発明は、航空機における構造部分(80,84)の着脱可能な連結のための装置(10)に関し、第1構造部分(80)に関連する固定レバー機構(12)および第2構造部分(84)に関連する固定ピン(14)を備え、固定レバー機構(12)は、第1構造部分(80)における回転軸線(A)の周りに回転可能に取り付けた偏心シャフト(20)と、偏心シャフト(20)に対して偏心して回動可能に取り付けた固定レバー(16)と、および偏心シャフト(20)に対して回転軸線(A)の周りに回転可能に取り付け、また固定レバー(16)にギア連結した駆動ブッシュ(18)と、を有し、固定レバー機構(12)は、解放位置、準備位置およびロック位置の間で変位可能とし、解放位置にある固定レバー(16)は固定ピン(14)を解放し、固定位置にある固定レバー(16)は、偏心シャフト(20)および駆動ブッシュ(20)ならびに固定レバー(16)の相対回転を相互連結ロックするよう、固定ピン(14)に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部分、とくに航空機における構造部分の着脱可能な連結のための装置および方法に関する。最近の航空機では、しばしば、個別の構造要素を迅速に据え付けおよび取り外す必要がある。例えば、旅客航空機においては、特定の設備を一時的に使用することができるようにするために、保管した状態もしくは不使用状態から容易に取り外すことができることが指定されている。このような例としては、航空機乗務員用休憩所、いわゆる航空機乗務員の休憩室がある。とくに長距離輸送のフライトにおいては、このような休憩所は、保管状態から容易に取り外し、背後の領域に航空機乗務員が使用のために容易にアクセスできるようにする。しかしながら、これらの休憩所が再度必要とされる場合には即座に、安全かつ可能な限りスペースをとらない保管状態に、スペースを取らずとくに機械的に安全な方法で戻さなくてはならない。
【背景技術】
【0002】
これまで、バー、スナップ閉止具などのバラの部品が、据え付け可能および取り外し可能な構造要素を固定するのにしばしば使用されてきた。このようなこれまでに使用されてきた連結機構は原則として操作が比較的簡単であったが、多くの欠点があった。すなわち、例えばバータイプの方式は、定常的な振動に対する耐久性がなく、構造要素の信頼性高い恒久的な連結を保証できないことが分かった。その上、バラの部品を含む連結機構は、これらの部品を紛失し、この結果としてもはやこの連結機構を使用できなくなる危険性がある。
【0003】
特許文献1(独国特許出願公開第10138471号)、特許文献2(米国特許第3,565,469号)および特許文献3(米国特許第2,738,211号)には、構造部分の連結するのに用いるロック手段について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10138471号明細書
【特許文献2】米国特許第3,565,469号明細書
【特許文献3】米国特許第2,738,211号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、バラの部品を使わないことにより安全で恒久的な連結を保証し、また高い人間工学的な効率性により特徴付けられた、航空機における構造部分の着脱可能な連結のための装置および方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、航空機における構造部分の着脱可能な連結のための連結装置により達成され、この連結装置は、第1構造部分に関連する固定レバー機構および第2構造部分に関連する固定ピン(支柱)を備え、固定レバー機構は、第1構造部分の回転軸線の周りに回転可能に取り付けた偏心シャフト、この偏心シャフトに対して偏心して回転可能に取り付けた固定レバー、および偏心シャフトに対して回転軸線の周りに回転可能に取り付け、かつ固定レバーに噛合する駆動ブッシュを有するものとし、さらに固定レバー機構は、解放位置、準備位置および固定位置の間で変位することができ、解放位置にある固定レバーは固定ピンを解放し、固定位置にある固定レバーは固定ピンに係合し、偏心シャフトおよび駆動ブッシュならびに固定レバー間の相対回転を相互連結ロックする構成としたことを特徴とする。
【0007】
本発明による連結装置は、駆動ブッシュおよび偏心シャフトによって旋回および並進移動できる固定レバーを有する。このようにして、固定レバーは、結合すべき2個の構造部分を互いに分離することのできる解放位置から、互いに結合すべき2個の構造部分を相対位置決めする準備位置を経て、結合すべき2個の構造部分が互いに強固に固定される固定位置に移行することができる。互いに結合すべき2個の構造部分が互いに支え合い、これにより振動が起きても互いにしっかりと固定されるように、好適には張力状態を生ずることによってこのロックを行う。この連結において生じる張力は固定レバー機構を解放位置から固定位置に変化させることによって生じ、生じる振動により不慮にゆるむことがないように選択する。さらに、固定レバーの固定ピンに対する相互連結した確実係合により、本発明による連結装置の操作に関する信頼性は増大し、さらに本発明による連結装置が不慮にゆるむ危険性が減少する。
【0008】
本発明によると、駆動ブッシュは、偏心シャフトに回転可能に取り付けることができる。また固定レバーは、偏心シャフトの偏心部分の回転軸線に対して偏心させて回転可能に取り付けることができる。さらに本発明において、固定レバーは、偏心シャフトに適合する軸受部分、および固定ピンに相互連結するように係合できる鉤づめ部分または駆動部分を有するものとすることができる。したがって、本発明によると、固定レバーは、偏心シャフトを回転させることにより変位することができる。偏心シャフトの偏心部分に対する固定レバーの係合によって、固定レバーは偏心部分が画定する回動軸線の周りに回転するが、この回動軸線は偏心シャフトの回転軸線とは異なる。
【0009】
本発明の変更した実施形態として、軸受部分は、第1構造部分に設けた対向停止部とともに、固定レバー機構の解放位置を規定する停止手段を有するものとすることができる。停止手段および対向停止部を設けることで、固定レバー機構に明確な解放位置が規定される。本発明の変更実施形態によれば、固定レバー機構は、この解放位置の方向にバネのような手段で張力を付与することができる。
【0010】
鉤づめ部分の構造的形態に関して、本発明の他の実施形態としては、固定位置に達する前の準備位置において固定ピンにある軸受面を有するものとすることができる。この準備位置は予め規定されている。この連結において、後に固定レバーおよび固定ピンの相互連結ロックを生じさせる鉤づめ部分の軸受面および鉤づめ部分の他の機能表面は、本発明によると、固定レバー機構が準備位置から固定位置に移動するとき、固定レバーと固定ピンとの規定された相対位置をとるようにする締め込み傾斜部分を形成するよう構成する。
【0011】
冒頭に既に述べたように、本発明によれば、互いに連結すべき2個の構造部分は予張力の下で結合することが望ましい。これら張力を予め効果的にかつ構造的に簡単に加えることができるようにするために、本発明の他の実施形態においては、軸受部分および鉤づめ部分を、弾性的なばね作用をする連結アームによって連結するものとすることができる。この連結アームは、この実施形態において、準備位置から固定位置への移行中において弾性的に変形し、連結すべき2個の構造部分を固定する。このことを達成するために、弾性的なばね作用をする連結アームは、一方では弾性的に変形する材料で形成する。他方では適切にばね作用をする挙動は、付加的にまたは代替的に、例えば湾曲した固定フープ状に形成することによって達成できる。
【0012】
従って、固定レバー機構が準備位置から固定位置に移動する際に、鉤づめ部分は固定ピンに係合し、連結アームの弾性変形の下で第1構造部分を第2構造部分に固定する。
【0013】
駆動ブッシュおよび固定レバーの連結に関しては、本発明の他の実施形態として、固定レバーは、軸受部分に設けた駆動溝を有するものとすることができる。このことに関連して、さらに、駆動ブッシュは、駆動ブッシュを固定レバーに係合して連結するために、駆動溝に係合する駆動突耳を有するものとすることができる。このことに関連して、偏心シャフトに回転可能に取り付けた駆動ブッシュ、および同様に偏心シャフトに回転可能に取り付けた固定レバーが、偏心シャフトに関する相対回転中に異なる回転軸線の周りに回転すると言える。
【0014】
固定レバーが偏心シャフトの偏心部分に取り付けているために、偏心シャフトに対する固定レバーの回転軸線は、偏心シャフトの回転軸線に対して偏心部分の偏心量だけ異なる。このために、固定レバーと駆動ブッシュとを連結する場合、偏心シャフトに対する相対回転を生ずる場合、軸線のオフセットに起因するこれら2個のコンポーネント間に生じる並進相対移動を考慮することが必要となる。したがって、本発明によれば、固定レバーおよび駆動ブッシュが偏心シャフトに対して相対回転する場合に、駆動突耳が駆動溝内で並進的にも移動ことができる。この並進移動を、摩擦が小さく、および阻害されることなく生ずることができるようにするために、本発明の変更した他の実施形態として、駆動突耳が湾曲した側方スロープを有するものとすることができる。上述の偏心によって駆動突耳と駆動溝との並進移動が生じた際に、駆動突耳の丸みを付けた側方スロープは、駆動溝のサイドスロープ上を低摩擦で摺動する。
【0015】
一方では偏心シャフトと、他方では一体となって移動するコンポーネント、すなわち駆動ブッシュおよび固定レバーとの水平方向の相対的な回動を制限するために、本発明によるとさらに、駆動突耳は、回転軸線に関して半径方向内方に位置し、固定位置において偏心部分に対して阻止するように係合する停止面を有するものとすることができる。このことに関連して、本発明の変更した他の実施形態として、固定レバー機構を準備位置から固定位置に移行させる際に、停止面が偏心部分に衝合する前に、偏心シャフトの偏心部分が駆動ブッシュに対して偏心死点を固定角度だけ越えて移動することができる、停止面を構成することができる。
【0016】
したがって、固定レバー機構が準備位置から固定位置に移行する際の固定レバーの水平方向への回動を、十分広範囲なものとすることができ、これにより、この回転において偏心部分が死点に達するまでは、固定レバーはまず偏心部分の変位に関して強固に固定する。死点に達したとき、固定レバーの弾性変形は最大となる。しかし、この後、偏心シャフトがさらに回転すると、固定レバーの張力は僅かに減少するが、所定レベルに保持される。最終的に、駆動ブッシュの停止面が偏心部分に休止し、これにより、阻止されない回転を生ずる状態が得られなくなるまで、固定レバーは偏心部分に対してさらに回転する。しかし、偏心シャフトの反対方向の回転は、所定の力を加える場合にのみ必要となる。なぜなら、この場合固定レバーは、偏心死点に達するまで、やはり大きく弾性変形しているためである。このようにして、例えば動作中に起こる振動によって不慮にゆるむことを防止することができる。意図的にゆるめる場合、偏心シャフトを、まずこの反力に逆らって偏心死点を越えて移動しなければならない。つぎに偏心死点を超えた場合、固定レバーの張力解放による力タイプの支持の下で、固定位置から準備位置までの移動中、残りのパスを通過させる。
【0017】
人間工学的効率を向上させるために、本発明によれば、偏心シャフトおよび駆動ブッシュにおける装置使用中に見える表面に、位置マークを設けることができる。これにより、固定レバー機構が、「解放位置」、「固定位置」または「準備位置」のいずれの位置にあるか読みとることができる。この場合、操作者は、いつでも本発明による装置がどの位置にあるか正確に知ることができる。
【0018】
構造の観点から、偏心シャフトおよび駆動ブッシュを操作するために、すべての場合において、係合するように輪郭形成した部分、特に六角形輪郭部分を駆動ブッシュに設けることができる。このように、例えば外部六角形輪郭部分を駆動ブッシュに配置することができ、対応する内部六角形輪郭部分を偏心シャフトに設けることができる。これらは、適切に係合することができ、また適切な組み合わせツールにより回転操作することができる。しかし、代案として、本発明によれば、さらに、経済効率を向上させるために、偏心シャフトおよび駆動ブッシュの双方に駆動ブッシュを操作するための操作レバーを設けることもできる。
【0019】
本発明はさらに、上述のタイプの連結装置を使用して航空機における構造部分の着脱可能な連結方法に関し、この連結方法は、
‐互いに連結すべき2個の構造部分を互いに所望の整列状態に位置決めし、固定レバーに解放位置ととらせるステップと、
−駆動ブッシュを回転させて、固定レバーを回転させ、これにより、固定レバー機構が解放位置から準備位置に移動するようにするステップと、
−偏心部分を回転させることにより偏心シャフトを回転させて固定レバーを変位させ、これにより、固定レバー機構が準備位置から固定位置に移動するようにするステップと
を有する。
【0020】
本発明によれば、さらに、固定レバーを固定位置から準備位置を経て解放位置まで移動することによって、構造部分を互いに解放するために、上述のステップを逆に行うことができる。
【0021】
本発明の変更した他の実施形態として、構造部分を連結するならびに分離するとき、駆動ブッシュの回転および偏心シャフトの回転は、それぞれ同一方向への回転で生ずるようにすることができる。
以下、添付図面につき本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】連結すべき構造部分を省略した本発明による装置の斜視図である。
【図2】本発明による偏心シャフトの斜視図である。
【図3】本発明による固定レバーの斜視図である。
【図4】本発明による駆動ブッシュの斜視図である。
【図5】図4に示した駆動ブッシュを右方から見た側面図である。
【図6】連結すべき2個の構造部分の断面図であり、解放位置を示す図である。
【図7】図6と同様の準備位置を示す図である。
【図8】図6,7と同様の固定位置を示す図である。
【図9】図6に相当する位置を示した連結すべき構造部分の側面図である。
【図10】図7に相当する位置を示した連結すべき構造部分の側面図である。
【図11】図8に相当する位置を示した連結すべき構造部分の側面図である。
【図12】図8の断面XXII−XXII線上の断面図である。
【図13】図8の断面−XXIII線上の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、例えば航空機における2つの構造要素などの、2個の構造部分を連結する本発明による装置を、個別に取り出し、全体的に参照符号10で示す。本発明による装置の構造を、以下に図1〜5につき説明する。本発明による装置10は、連結すべき構造部分の一方に配置した固定レバー機構12、および構造部分の他方に配置した固定ピン14を有する。固定レバー機構12は、図1に示したように取り付けた固定レバー16、駆動ブッシュ18および偏心シャフト20を有する。
偏心シャフト20は、図2に単独の部品として斜視図で示す。偏心シャフト20が連結すべき構造部分の第1部分に回転可能に収容する軸受部分24は、フランジ22から延びている。この目的のために、この連結すべき第1構造部分は、図13につき後に説明する対応する収容開口を有する。
【0024】
シャンク部分26が軸受部分24に隣接する。偏心部分28は長手方向軸線Aの方向にシャンク部分26に隣接する。シャンク部分26よりも直径の小さい軸受シャンク30は、偏心部分28より軸線方向に突出する。この軸受シャンク30は、図2における右方端部に、ロックリングを収容するための周方向窪み32を有する。軸受シャンク30の図2における右方前面36には、六角形の内部開口34を設け、この内部開口34は対応する六角形の外部ツールを収容することができる。さらに、偏心シャフト20は前面36にノッチマーク38を有し、このノッチマークの目的は後に詳細に説明する。
【0025】
図2から明らかなように、フランジ22、軸受部分24、シャンク部分26および軸受シャンク30を同軸状に配置し、長手方向軸線Aがこれらの中心を通過する。他方、偏心部分28を偏心させて配置し、その偏心長手方向軸線Eは偏心シャフト20の長手方向軸線Aに平行に延在し、ただし長手方向軸線Aに対して距離Xだけオフセットしている。このことを、図2において、単に線図的に示す。
【0026】
図3は、固定レバー16を単体で示した斜視図である。固定レバー16は、円筒形状の軸受開口42を包囲する軸受部分40を有する。この円筒形状の軸受開口42の内径は、偏心シャフト20の偏心部分28の外径に適合し、固定レバー16が偏心部分28を遊びなく収容するが、軸受開口42内で相対回転可能、にする。
【0027】
アーチ形の連結アーム44を軸受部分40に隣接させ、軸受部分40から接線方向に延在させ、遊端に向けてテーパ付けする。連結アーム44が滑らかに変形した鉤づめ部分46を連結アーム44の端部に形成する。この鉤づめ部分は、軸受面50を設けた停止歯48を有する。図1に示すように、相互連結するように固定ピン14を包囲することができる収容キャビティ52は、軸受面50から安定遷移部を有する。
【0028】
さらに、固定レバー16は、側方スロープ56,58で区切った駆動溝54を有する。最後に、図3に明示するように、停止突耳60を軸受部分40に形成し、この突耳60は、後に詳細に説明するが、解放位置を画定する。
【0029】
図3には、取り付け状態において、図2に示した偏心シャフトの偏心軸線Eに一致する回動する固定レバー16の回動軸線Bが見られる。
【0030】
駆動ブッシュ18を、図4および5に示し、図4は斜視図であり、図4は右方からの側面図である。図4に示すように、駆動ブッシュ18には、長手方向軸線Cに沿って、まずその左方端部に外側の六角形輪郭部分62を形成する。この六角形輪郭部分には軸受部分64が隣接し、この軸受部分64は第1構造部分における対応する窪みに対する軸受として作用し、また偏心シャフト20の軸受部分24とほぼ同じ直径を有する。軸受部分64にはより小さい直径のシャンク部分66が隣接し、このシャンク部分66の遊端にブラケット68を形成する。ブラケット68は傾斜側面を有し、その遊端には駆動突耳70を設け、この駆動突耳70は長手方向軸線Cの方向に突出する。駆動突耳70は丸みを付けた側方スロープ72および74を有する。さらに、駆動突耳は、半径方向内側の領域にやはり丸みを付けかつ非対称に延在する停止面76を有する。停止面76の丸みを付けた輪郭は、偏心シャフト20の偏心部分28における外面の丸みを付けた輪郭にほぼ対応する。
【0031】
駆動ブッシュ18には貫通孔78を設け、この貫通孔78の内径は偏心シャフト軸受シャンク30の外径に適合する。
【0032】
本発明によるレバー機構の第1構造部分80に対する取り付けに関して、図12および13を参照されたい。固定レバー16を偏心シャフト20の偏心部分28に取り付けることがわかる。固定レバーは、図示はしない方法により、偏心部分の下方への摺動を阻止する。偏心シャフト20は、第1構造部分80に挿入し、軸受部分24が第1構造部分80の対応する開口内に位置する。偏心シャフト20は、フランジ22が第1構造部分80の外側に位置する。駆動ブッシュ18は、偏心シャフト20のフランジから離れる側の端部に位置し、ロックリング82により所定位置に保持する。同時に駆動突耳70が駆動溝54に係合し、この結果、駆動ブッシュ18が回転する際に固定レバー16が駆動突耳70に係合する。このことは図1においても見ることができる。固定ピン14は、第2構造部分84に固定し、このことによって第2構造部分84が着脱可能に第1構造部分80に連結されることになる。準備位置において、互いに連結すべき2個の構造部分を、だぼピンによって互いに整列させることができる。
【0033】
本発明による固定レバー機構の動作モードに関して、図6〜11を参照されたい。図6は、解放位置を示す。これに関連して、固定レバー16は、「スイング−イン」位置として示す。このことは、固定レバー16が第1構造部分80に位置し、第1構造部分80の側壁88にある開口86から飛び出していないことを意味する。図6に示す解放位置における固定レバー16の位置は、停止突耳60が内部から側壁88に衝合することにより規定され、これにより、固定レバー16は偏心シャフト20の回転軸Aの周りに反時計方向にこれ以上回転することはできない。
【0034】
図9は、解放位置に相当するが、断面を示していない図である。この図からは、ノッチマーク38、および駆動ブッシュ18における外側の六角形輪郭部分62の前面における他のノッチマーク91が、第1構造部分80に刻まれた位置マーク90に一致していることがわかる。さらに、図9においては固定レバー16が、点線形状で認識できる。
【0035】
駆動ブッシュ18を回転することにより、図6および9に示した状態から図7または10に示した状態に移行する。図7もしくは10は準備状態を示し、外側六角形輪郭部分62を掴んで、図7中に矢印Pで示した方向に時計回りに回転する。この回転動作は、軸受面50が固定ピン14に係合するまで行う。この回転動作において、駆動ブッシュは、駆動突耳70を介して固定レバー16を牽引する。さらに、偏心シャフト20もこの回転動作に同調して牽引する。鉤づめ部分46は固定ピン14を越えて図7に示した位置に達するまで容易に通過できることが分かる。また、2個のマーク38および91が他のマーク92に一致していることが分かる。これは準備位置にあることを示す。
【0036】
図7および10に示した準備位置においては、2個の構造部分80,84はまだしっかりとは互いに連結されていない。しっかりとした固定は、固定レバー機構を準備位置から図8および11に示す固定位置に移行させることによって達成される。同時に偏心シャフト20を六角形ツールによってさらに時計回りに回転する。固定レバー16および駆動ブッシュ18は、固定ピン14が回転動作を阻止するため、この回転動作に追随することはできない。偏心シャフト20を回転させることによって、偏心部分28はそれとともに回転する。この偏心シャフトの回転は、固定レバー16の軸受部分40が、図8中の矢印Qの方向に、「ふらつき」動作の変位量で左方に平行移動することを意味する。このようにして、鉤づめ部分46の収容キャビティ52が、まず固定ピン14の方向に引き込まれ、収容キャビティ52および固定ピン14の確実な相互に連結を生ずる。
【0037】
偏心部分28の回転により起こる、図8中に矢印Qで示した左方への軸受部分40の平行移動変位は十分大きく、したがって、固定レバー16は「伸展(ストレッチ)」する。これにより連結アーム44の弾性変形、ひいては2個の構造部分80および84の互いに対する歪みを生じ、これにより、製造公差は補償される。
【0038】
しかし、偏心シャフト20の時計回りの回転は制限される。駆動ブッシュ18に対する偏心シャフト20の相対的な回転において、偏心部分28が停止面76に衝合する。その停止突耳の非対称な構成のため、駆動ブッシュ18に対する偏心シャフト20のさらなる相対回転、すなわち偏心部分28の回転を阻止する。換言すると、偏心部分28はその外側の表面に衝合すると、駆動ブッシュ18に対してそれ以上回転できなくなる。
【0039】
偏心シャフト20および駆動ブッシュ18の形状は、上述の偏心部分28および停止面76の停止機能が、偏心シャフト20および駆動ブッシュ18の相対的な回転が偏心死点を越えて通過したときにのみ起こるように選択する。偏心死点は図8中で回転軸線Aを含む水平面内にある。偏心死点を越えた回転の範囲は、角度αで与えられる。これは水平面に達したときに、軸受部分の矢印Q方向への固定ピン14からの変位に最大値が存在することを意味する。換言すると、偏心死点に達すると、固定レバー16は弾性的に最大量変形する。偏心シャフト20のさらなる回転の過程で角度領域αを超えることにより、レバー16の張力が部分的に緩和される。時計回り方向には停止面76がさらなる回転を阻止する機能がアクティブになるため、これにより固定レバー機構がしっかりと固定されることが保証され、セルフリリースが防止される。固定レバー16の固定力は、この連結において、反時計回り方向のあらゆる不測の動作に耐える必要がある。
【0040】
図11において、マーク38がマーク94に整合することが分かり、このことは、固定レバー機構全体が固定位置にあることを示す。
【0041】
図11には他の個別の角度を示す。角度αは死点を超えた後における偏心シャフトの回転動作の最大角度である。角度βは、図6に示した解放位置から図7に示した準備位置までの旋回角度を示す。角度γは、準備位置と偏心死点との間の角度を示す。角度δは、準備位置と固定位置との間の角度を示す。
【0042】
この固定レバー機構を解放するために、偏心シャフト20を、まず図8および11に示した固定位置から逆回転させる。2個のコンポーネントは反時計方向に移動し、図6および9に示した初期位置に戻される。
【0043】
本発明により、互いに結合すべきであり、かつ振動および他の外部の影響から保護すべき2個の構造部分の連結を、簡単に達成することができる。この連結は、特に紛失する可能性のあるバラの部品を使用していないという点により特徴づけられる。さらに、この連結は、予備固定状態を固定レバー16の弾性変形により達成しており、製造公差を補償しているため、極めて信頼性が高いという特徴がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
とくに航空機における構造部分(80,84)の着脱可能な連結のための連結装置(10)であって、第1構造部分(80)に関連する固定レバー機構(12)および第2構造部分(84)に関連する固定ピン(14)を備え、固定レバー機構(12)は、第1構造部分(80)に対して回転軸線(A)の周りに回転可能に取り付けた偏心シャフト(20)、この偏心シャフト(20)に対して偏心して回転可能に取り付けた固定レバー(16)、および前記偏心シャフト(20)に対して回転軸線(A)の周りに回転可能に取り付け、かつ固定レバー(16)に噛合する駆動ブッシュ(18)を有するものとし、さらに固定レバー機構(12)は、解放位置、準備位置および固定位置の間で変位することができ、解放位置にある前記固定レバー(16)は前記固定ピン(14)を解放し、固定位置にある前記固定レバー(16)は前記固定ピン(14)に係合し、偏心シャフト(20)および駆動ブッシュ(18)ならびに固定レバー(16)間の相対回転を相互連結ロックする構成としたことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連結装置(10)において、前記駆動ブッシュ(18)を回転可能に前記偏心シャフト(20)に取り付けたことを特徴とする連結装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の連結装置(10)において、前記固定レバー(16)を、前記偏心シャフト(20)の偏心部分(28)で回転軸線(A)に対して偏心させて回転可能に取り付けたことを特徴とする連結装置。
【請求項4】
請求項3に記載の連結装置(10)において、前記固定レバー(16)は、前記偏心シャフト(20)に適合する軸受部分(40)と、前記固定ピン(14)に相互連結するように係合できる鉤づめ部分(46)とを有することを特徴とする連結装置。
【請求項5】
請求項4に記載の連結装置(10)において、前記軸受部分(40)は、前記第1構造部分(80)に設けた対向停止部とともに、前記固定レバー機構(12)の解放位置を規定する停止手段(60)を有することを特徴とする連結装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の連結装置(10)において、前記鉤づめ部分(46)は、固定位置に達する前の準備位置において前記固定ピン(14)に隣接する軸受面(50)を有することを特徴とする連結装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記軸受部分(40)および鉤づめ部分(46)を弾性変形可能な連結アーム(44)により連結したことを特徴とする連結装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記固定レバー構成が準備位置から固定位置に移行する際に、前記鉤づめ部分(46)が前記固定ピン(14)に係合し、連結アーム(44)の弾性変形により第1構造部分(80)を第2構造部分(84)に固定することを特徴とする連結装置。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記固定レバー(16)は、前記軸受部分(40)に設けた駆動溝(54)を有することを特徴とする装置連結。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記駆動ブッシュ(18)は、この駆動ブッシュ(18)を前記固定レバー(16)に係合して連結させるために、前記駆動溝(54)に係合する駆動突耳(70)を有することを特徴とする連結装置。
【請求項11】
請求項10に記載の連結装置(10)において、前記駆動突耳(70)は、丸みを付けた側方スロープ(72、74)を有することを特徴とする連結装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の連結装置(10)において、前記駆動突耳(70)は、前記駆動ブッシュ(18)の回転軸線(C)に関して半径方向内側に、固定位置において前記偏心部分(28)と接触するよう係合する停止面(76)を有することを特徴とする連結装置。
【請求項13】
請求項12に記載の連結装置(10)において、前記停止面(76)は、前記固定レバー機構(12)を準備位置から固定位置に移行させる際に、停止面(76)が偏心部分(28)に衝合する前に、前記偏心シャフト(20)の偏心部分(28)が、前記駆動ブッシュ(18)に対して偏心死点を固定角度(α)だけ越えて移動することができるようにしたことを特徴とする連結装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記固定レバー機構(12)が「解放位置」、「固定位置」または「準備位置」のうちいずれの位置にあるかを示す位置マーク(38,91)を、前記偏心シャフト(20)および駆動ブッシュ(18)における装置使用中に見える表面に設けたことを特徴とする連結装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記偏心シャフト(20)および駆動ブッシュ(18)を操作するために、係合するように輪郭形成した部分、とくに六角形輪郭部分を設けたことを特徴とする連結装置。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の連結装置(10)において、前記偏心シャフト(20)および駆動ブッシュ(18)を操作するために、操作レバーを設けたことを特徴とする連結装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の連結装置を用いた、とくに航空機における構造部分の着脱可能な連結方法であって、
‐互いに連結すべき2個の構造部分を互いに所望の整列状態に位置決めし、固定レバーに解放位置をとらせるステップと、
−駆動ブッシュを回転させて、固定レバーを回転させ、これにより、固定レバー機構が解放位置から準備位置に移動するようにするステップと、
−偏心部分を回転させることにより偏心シャフトを回転させて固定レバーを変位させ、これにより、固定レバー機構が準備位置から固定位置に移動するようにするステップと
を有する連結方法。
【請求項18】
請求項17に記載の連結方法において、前記固定レバーを固定位置から準備位置を経て解放位置まで移動することによって構造部分を互いに解放するために、請求項17に記載のステップを逆に行うことを特徴とする連結方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の連結方法において、構造部分を連結するならびに分離するとき、駆動ブッシュの回転および偏心シャフト(20)の回転は、それぞれ同一方向への回転で生ずることを特徴とする連結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−501385(P2010−501385A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524917(P2009−524917)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006572
【国際公開番号】WO2008/022687
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(505115016)エアバス ドイチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (76)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS DEUTSCHLAND GMBH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10, 21129 Hamburg, GERMANY
【Fターム(参考)】