説明

特定のフェノール性分子から得られた1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルム

本発明は、以下の構造:
【化1】


(式中、Aは、一般式(I):
【化2】


(式中、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基またはニトリル基を示し、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基、フェニル基、ニトロ基またはニトリル基を示す。)
を有する1以上の異なるビフェノールフルオレを示し、
Bは、式
【化3】


(式中、Xは炭素数1〜20を有する2価の炭化水素基を示し、nはポリマーを構成する繰り返しユニットの数であり、20以上の正の整数である。)
を有する1以上の異なるジカルボキシ基を示す。)
で表される1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルムに関する。本発明の光学フィルムは、優れた機械特性および熱特性を有し、高いTgを有し、かつ光源に暴露時に黄変を受けない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のフェノール性分子から得られた1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルムに関する。特に、本発明は、UVおよび可視光に対して優れた安定性を有する1以上のオルトー2置換ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンビスフェノールポリアリーレートを含有する、新規な光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルムは当業者によく知られている。ガラスは、その優れた特性、例えば、可視光範囲での高い透明性および高い温度耐性に起因して、いくつかの光学適用において広範囲に使用されてきた。それにもかかわらず、その高い重量及び高い脆弱性に起因して、光学適用におけるサブレイヤーや支持体としてのガラスの使用は、最終生成物の実現に問題を生じる場合がある。それに加えて、ガラスは可とう性ではないので、連続的な加工に使用することはできず、これにより最終的な生産性が比較的低くなってしまう。これらの理由から、ガラスの代わりに透明なプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートまたはポリカーボネートを用いることが望ましい。たとえこれらの材料が優れた取り扱い特性を有しても、制限された耐熱性および低いガラス転移温度という欠点を有しており、それによりそれらの材料を光学用とに応用することは結果的に非常に制限されている。
【0003】
9,9−ビスー(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンおよびイソフタル酸またはテレフタル酸のポリエステルは当業者に知られている。米国特許3,546,165には、熱的に安定だが、一般的に比較的低い極限粘度数および不満足な機械的特性を有する前記ポリエステルが開示されている。米国特許4,387,209には、9,9−ビスー(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンとイソフタル酸またはテレフタル酸から構成されるグループの少なくとも1つのメンバーとを界面重合方法を用いて反応することによって製造されたポリエステルが開示されている。ポリエステルの極限粘度数はそのモノマーの純度に大きく影響を受け、ジフェノールモノマーの純度における小さな変化でも極限粘度数に大きな変化を与えることがある。米国特許4,401,803の実施例2は、9,9−ビスー(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸アシルクロライドの50:50の混合物とを界面重合方法を用いるポリエステルの調製が開示されている。このポリエステルはアセトンーメタノール混合で沈澱して、極限粘度数1.67dl/gを有する材料を提供する。米国特許4,533,511は9,9−ビスー(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンとイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの混合物とのポリ縮合生成物から得られたファイバーを紡糸する方法を開示する。ジクロロメタンが紡糸溶媒として提案され、沈澱溶媒は好ましくは水と低級鎖アルコールとの混合物である。
【0004】
米国特許4,066,623には、逆界面重合方法により調製されたある種の芳香族、ハロゲン化ポリエステルであって、その方法によれば低分子量分の含有量が少ないポリマーを提供するが、逆に溶媒に関して低い抵抗性を示す。
【0005】
米国特許4,967,306は、低分子量オリゴマーを非常に低レベルで含有し、当該技術分野で公知の低分子量オリゴマー種を含有するコポリマーよりも高い引っ張り強度、伸長、耐化学物質性、温度安定生、耐UV性及び真空安定性を有する9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレン/イソフタル酸及びテレフタル酸のポリエステルを開示する。少量のオリゴマーを含有するフィルムは、紫外線照射に対する限定された暴露によって黄変するか、分解する。
【0006】
9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンおよびイソフタル酸及びテレフタル酸を含有する同じポリアリーレートがJP特許出願57−192432号にも開示されている。しかしながら、樹脂の色はビフェノール成分の構造の為にUV照射に対する暴露で黄変する傾向があり、それがその樹脂を光学用途への応用を難しくする。
【0007】
Journal of Applied Polymer Science,Vol.29,p.35〜43(1984)に報告される9,9−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フルオレン及びイソフタル酸で構成されるポリアリレートから得られる樹脂は、脆すぎ、腐食耐性が不十分であり、フィルム性能も低い。
【0008】
日本特許出願第09−071,640号は、(a)芳香族ジカルボン酸、(b)特定量の置換9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレン及び(c)脂肪族グリコールで構成される樹脂を開示し、この樹脂は、その良好な透明性及び耐熱性のために光学材料に使用される。
【0009】
米国特許4,810,771は、モノ−オルト一置換ビスフェノールと、イソフタル酸及びテレフタル酸のブレンドとから製造されるポリエステルを開示する。
【0010】
欧州特許出願第943,640号は、アルキル(C〜C)基でオルト位において一置換及び二置換されたビスフェノールフルオレンを用いて合成されたポリアリレートを用いて調製されるフィルムを記載する。このようなポリアリレートは、UV照射に対して良好な安定性を有する。
【0011】
9,9−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンビスフェノールモノマーから誘導されるポリアリレートは、ガス分離部材として、PCT特許出願第WO00−33,949号に開示されている。米国特許5,007,945号において、ジカルボン酸クロリド及びフェノール基の全てのオルト位にハロ置換基を有するcardoビスフェノールから得られる種類のポリアリレートが記載されており、このポリアリレートは、ガス混合物の1つ以上の成分を分離するために使用される。このような特許は、ガス分離部材を記載するが、このようなポリマーからなる光学フィルムについては述べていない。
【0012】
当業者に知られている、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンまたはそのオルトモノ置換同族体から構成されるポリアリーレートから得られる樹脂は、良好な高温耐性および機械特性を有しているが、光源に暴露した場合に黄変を受け、光学用途には殆ど使用され得ない。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、 以下の構造:
【化1】

(式中、Aは、一般式(I):
【化2】

一般式(I)
(式中、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基、フェニル基またはニトリル基を示し、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基、フェニル基、ニトロ基またはニトリル基を示す。)
を有する1以上の異なるビフェノールフルオレンを示し、
Bは、式
【化3】

(式中、Xは炭素数1〜20を有する2価の炭化水素基を示し、nはポリマーを構成する繰り返しユニットの数であり、20以上の正の整数である。)
で表される1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルムに関する。本発明の光学フィルムは、優れた機械特性および熱特性を有し、高いTgを有し、かつ光源に暴露時に黄変を受けない。
【0014】
上記式中、RおよびRは水素原子、炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル;ハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素、フッ素;炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基;炭素数1〜20を有するアシル基、例えばアセチル、プロピオニル;フェニル基またはニトリル基を示してもよく、RおよびRは水素原子、炭素数1〜6を好ましくは有する直鎖または分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル;ハロゲン原子、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素;炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基;炭素数1〜20を有するアシル基、例えばアセチル、プロピオニル;フェニル基、ニトロ基またはニトリル基を示してもよく、Xは炭素数1〜20を有する2価の炭化水素基、例えば炭素数6〜20の芳香族基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基またはジフェニレン基)または炭素数1〜20の飽和または不飽和脂肪族基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン)である。
【0015】
好ましくは、本発明は以下の構造:
【化4】

(式中、Aは、一般式(II):
【化5】

一般式(II)
(式中、RおよびRは水素原子、炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、ブチル;ハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素、フッ素を示す。)
を有する1以上の異なるビフェノールフルオレンを示し、
Bは、式
【化6】

(式中、Xは炭素数1〜20を有する2価の炭化水素基、例えば下記基
【化7】

であり、nはポリマーを構成する繰り返しユニットの数であり、20以上の正の整数である。)
で表される1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルムに関する。
【0016】
より好ましくは、本発明の光学フィルムは、一般式:
【化8】

(式(III)中、RおよびRは上記式(II)と同意義であり、nは20より大きい正の整数である。)
で表される1以上の異なる重合性ユニットを含有する1以上のポリアリーレートを含有する。より好ましくは、本発明は一般式(II)の9,9−ビスー(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレン化合物および異なるジカルボキシ化合物、例えばイソフタル酸およびテレフタル酸で表される少なくとも二つの重合性ユニットを含有する1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルムに関する。より好ましくは、異なるジカルボキシ化合物混合物は、イソフタル基20〜80重量%及びテレフタル基80〜20重量%を含む。
【0017】
本発明における場合、用語「基」は、化学化合物又は置換基を記載するために使用され、記載された化学物質は、基、環及び残基、従来の置換基をもつ基、環及び残基を含む。対照的に、用語「単位」が使用される場合、置換されていない化学物質を意図される。例えば、用語「アルキル基」は、アルキル単位、例えば、メチル、エチル、ブチル、オクチル等だけでなく、置換基、例えば、ハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、カルボキシ等を有するこれらの単位を含む。用語「アルキル単位」は、対照的に、メチル、エチル、シクロヘキシル等のみである。
【0018】
本発明に有用なポリアリーレートは必ずしもこれらに限られないが、以下の化合物である。
【0019】
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】

【0020】
本発明に開示されるビスフェノールフルオレンモノマーは、当業者に知られた方法、例えば米国特許5,248,838に記載された方法で得られる。
【0021】
本発明に用いられるポリアリーレートは、当業者に知られた方法で調製されうる。例えば、Ind.Eng.Chem.51,147,1959に記載された溶液重合方法(二官能カルボン酸アシルジハライドが有機溶液中で二官能フェノールと反応する);「溶融」重合方法(JP特許出願38−26299号に記載のように、二官能性カルボン酸および二官能性フェノールを無水酢酸またはジアリルカーボネートの存在下に加熱する);または界面重合方法(J.Polymer Science, XL399、1959およびEP特許出願943,640および396,418に記載しているように、疎水性有機溶媒中に溶解された二官能性カルボン酸ジハライドをアルカリ水溶液中に溶解された二官能性フェノールと混合する)が使用されうる。
【0022】
本発明の光学フィルムは当業者に知られている方法、例えば溶媒被覆法(有機溶媒中でコロジオンと定義されるポリマー溶液を調製し、それをベース、例えば金属、ガラスまたはプラスチック材料上に注型し、フィルムをついでコロジオンの乾燥とベースからの剥離によって得る)で得られる。一般に、有機溶媒、例えばハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジックロロエタン等)または他の溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)が用いられる。
【0023】
本発明のフィルムを得るために用いられる当業者に知られた他の方法は「スピンコーティング」として知られているもので、コロジオンを急速回転ベース上に注型するか、またホット押出またはホットラミネーション法で、溶融ポリマー法に基づく。
【0024】
本発明の光学フィルムの厚さは、0.1〜1000μm、好ましくは1〜1000μmの範囲である。
【0025】
本発明の光学フィルムは高い透明性を有し、それを透過する光照射を妨げない少量の不純物や表面または内部欠点を有しうる。そのような特性を得るために、コロジオンを当業者に知られた方法で、孔径10μm未満、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.1μm未満のフィルターを用いて濾過することが提案される。
【0026】
本発明の光学フィルム物は、そのいくつかの特性、例えば耐溶剤性、ガスや水蒸気透過性、機械特性、表面耐スクラッチ性、耐光性を改善するために、一方または両方の表面上に別の保護層を有しても良い。保護層は有機または無機材料またはそれらの混合物から構成され、当業者に知られている技術、例えば溶媒被覆法(米国特許4,172,065、4,405,550、4,664,859および5,063,138)、真空被覆方法(米国特許4,380,212、4,449,478、4,485,759および4,817,559に記載)、ラミネーション法(米国特許4,844,764、5,000,809、5,208,068および5,238,746)または電子線や紫外線照射を用いる樹脂レティキュレーション(reticulation)(WO出願96−24,924およびJP02−260145)が適用されうる。
【0027】
本発明の光学フィルムは、内部でもまたは別層でも、紫外線照射安定剤、例えばベンゾフェノン化合物(例えば、ヒドロキシドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等)、トリアゾール化合物(例えば、2−フェニルー4−(2’,2’ジヒドロキシベンゾイル)−トリアゾール、置換ヒドロキシフェニルートリアゾール等)、トリアジン化合物(例えば、ヒドロキシフェニルー1,3,5−トリアジン、3,5−ジアルキルー4−ヒドロキシフェニルトリアジン等)、ベンゾエート化合物(例えば、ジフェノールプロパンジベンゾエート、ジフェノールプロパンーt−ブチルベンゾエート等)、立体障害アミンおよび他の米国特許4,061,616および5,000,809に記載された物のような化合物を含んでも良い。
【0028】
本発明の光学フィルムは、内部でもまたは別層でも、フィルム特性を改良するために透明顔料、例えば酸化金属(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄)、金属水酸化物、クロメート、カーボネートや例えば米国特許5,000,809に記載の物を含有しても良い。また、本発明の光学フィルムはまたスリップ剤(例えば、JP特許出願02−260,145に記載の湿潤剤)、および抗酸化および安定化剤、例えば立体障害フェノール抗酸化剤、有機および無機ホスフィット、オルトヒドロキシベンゾトリアゾールまたは静電荷の貯蔵および光学フィルムへの粉体の吸引を減少する帯電防止剤を含んでも良い。
【0029】
本発明の光学フィルムは、その優れた機械的特性、例えば寸法安定性、完全に非晶質で透明で、かつ高い熱およびTg耐性の為に、光学用途の分野、例えば液晶スクリーンの支持体または保護層、エレクトロルミネッセンススクリーン用の支持体または保護層、エレクトロルミネッセンスポリマーに基づくフラットスクリーン用の支持体または保護層、極性透明導電性フィルムおよび同様の用途に広く用いられ得る。
【0030】
本発明を以下の実施例を参考にして更に説明するが、それら実施例は本発明を減縮するものと解してはならない。
【実施例】
【0031】
9,9−ビス(3−フェニル1,4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(化合物1)の合成
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた2000mlの4つ首フラスコに、9−フルオレン(Ruetgers Organics GmbH、純度>98%)130.0g(0.721モル)を2−フェニルフェノール(Aldrich、純度>98%)の251.7g(1.479モル)と共に充填し、トルエン520mlを加えて、混合物を撹拌して、全ての反応体を溶解した。次いで、3−メルカプトプロピオン酸(Aldrich、純度>99%)1.53ml(0.0144モル)およびメタンスルフォン酸(Elf Atochem、純度>98%)94.5ml(0.984モル)をフラスコに充填した。メタンスルフォン酸を反応溶液に2時間滴下した。滴下中に、内部温度は30分で40〜42℃に達した(外部冷却がこの値で内部温度を制限するため必要である)。この発熱段階の終わりに、外部加熱を行い、40℃を維持した。9,9−ビス(3−フェニル1,4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの沈澱が90〜120分後に開始した。反応は18時間後に完結した。室温に1〜2時間冷却後、生成物を濾過し、新鮮なトルエンで洗浄した(各ステップ50mlで2回洗浄した)。粗成生物は白緑色固体の外観を有した。
【0032】
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた6000mlの4つ首フラスコに、得られたトルエン湿潤(160℃での重量損失約10%)粗9,9−ビス(3−フェニル1,4−ヒドロキシフェニル)フルオレン427gを室温でアセトン3500mlに分散した。次いで、分散体を還流温度に加熱し、クリアーなグリーン/オレンジの溶液を得た。反応容器を次いで、0℃に冷却し、この温度で少なくとも4時間保持した。内部温度が50℃に近づいたときに、生成物が沈澱を開始した。次いで、結晶混合物を真空ロートで濾過し、新鮮なアセトンで洗浄し、室温で真空か2時間以上乾燥し、完全に白い生成物を得た。固体を真空オーブン中110℃で一昼夜乾燥した。得られた固体は160℃で重量損失0.1重量%以下であった。最終の収率は74%であった。
【0033】
実施例1
参考フィルムを、化合物1を使用しテレフタル酸(TPA)及びイソフタル酸(IPA)の50モル%の混合物を利用して欧州特許396,418号に記載されるような界面重縮合技術を用いて重合させることによって得た。このようにして得られたポリマーを、このポリマーの10重量%の塩化メチレン溶液を用いて溶媒コーティング技術を用いてコーティングした。次いで、フィルムを25℃の温度で3時間乾燥させ、徐々に温度を上げ最大温度160℃まで加熱した。
【0034】
比較フィルム2〜9を、化合物A〜Hをそれぞれ用いること以外は、同様に得た。
【0035】
次いで、フィルムサンプル1〜6について、D球およびUV源とサンプルの間に挿入された2mm厚のガラスパイレックスフィルターを取り付けたたFusion F300 Lamp System(Fusion UV Systems Inc.によって製造)を用いることによってUV老化テストを行った。
【0036】
サンプルフィルムの黄変を、最も顕著であると同定された400nm(青色吸収)の選択された波長で、暴露前と後でそれらの吸光度を比較することによって測定した。320〜500nmの範囲で作動するPerkin−Elmer Lambda 2光学分光計によって、光学吸光度を測定した。黄変係数(Yc)は、UV照射源及び有効な暴露エネルギーに暴露されたポリマー性フィルムの吸光度の平均変動度の比として定義される。使用される暴露エネルギーは、4.8J/cmまでであった。これより低い値であるほど、よい結果が得られた。
【0037】
結果を以下の表1に要約する。
【0038】
表1

【0039】
表1に報告されたデータは、比較フィルム2〜9が大きくΔAを増大し、それに伴ってYcが増大および不要な強い黄変が起こった。これに対して、本発明のフィルム1はΔAの増加がほとんど無く、Yc非常に小さい。
【化13】


【化14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

(式中、Aは、一般式(I):
【化2】

(式中、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基、フェニル基またはニトリル基を示し、RおよびRは水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基、フェニル基、ニトロ基またはニトリル基を示す。)
を有する1以上の異なるビフェノールフルオレンを示し、
Bは、式
【化3】

(式中、Xは炭素数1〜20を有する2価の炭化水素基を示し、nはポリマーを構成する繰り返しユニットの数であり、20以上の正の整数である。)
で表される1以上のポリアリーレートを含有する光学フィルム。
【請求項2】
該ビスフェノールフルオレンユニットAが式:
【化4】

(式中、RおよびRは水素原子、炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、およびハロゲン原子を示す。)
で表され、該Bが式:
【化5】

(式中、Xは炭素数6〜20の2価の炭化水素基を示す。)
で表される請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】
Xが以下:
【化6】

から選択された基によって表される請求項1記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記1以上のポリアリーレートが式:
【化7】

(式中、RおよびRは水素原子、炭素数1〜6を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、およびハロゲン原子を示し、nは20より大きい正の整数である。)
で表される請求項1記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記1以上のポリアリーレートが少なくとも二つの異なるユニットを含有し、前者がイソフタル酸を包含し、後者がテレフタル酸を包含する、請求項4記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記少なくとも二つの異なるユニットは、イソフタル酸20〜80重量%及びテレフタル酸80〜20重量%を含む請求項5に記載の光学媒体。
【請求項7】
前記1以上のポリアリーレートが以下:
【化8】


【化9】

【化10】

(式中、nは20以上の正の整数である。)
から選択される請求項1記載の光学フィルム。

【公表番号】特表2006−523247(P2006−523247A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504994(P2006−504994)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003580
【国際公開番号】WO2004/090585
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
パイレックス
【出願人】(505379515)フェラーニア・テクノロジーズ・ソシエタ・ペル・アチオニ (4)
【氏名又は名称原語表記】Ferrania Technologies S.p.A.
【Fターム(参考)】