説明

特定のStaphylococcus種の分析のためのペプチド核酸プローブ

本発明は、(必要に応じてサンプル中に存在する)特定のStaphylococcus種の分析のためのペプチド核酸(PNA)プローブに関する。本発明はまた、(必要に応じてサンプル中に存在する)特定のStaphylococcus種の分析のためのPNAプローブセットに関する。本発明はまた、(必要に応じてサンプル中に存在する)特定のStaphylococcus種の分析のための方法に関する。本発明は、そのようなPNAプローブを含む診断キットにさらに関する。本発明は、そのようなPNAプローブセットを含む診断キットにさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年4月25日に出願した米国特許出願第11/740,112号の利益を主張する。この米国特許出願の内容全体が、この言及によって本明細書中にて援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、特定のStaphylococcus種(必要に応じて、サンプル中に存在する)の分析のための、ペプチド核酸(PNA)プローブ、PNAプローブセット、および方法に関する。本発明は、そのようなPNAプローブまたはPNAプローブセットを含む、診断キットにさらに関する。本発明の方法およびキットは、S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種およびS.aureusの同時分析のために特に有用である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
Staphylococcus aureusは、外科部位感染、血流感染(BSI)および他の深刻な感染に関連する、周知のヒト病原体である。対照的に、皮膚において一般的に見出される他のStaphylococcus種(例えば、特に、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus lugdenensis、Staphylococcus saprophyticus、およびStaphylococcus simulans)は、カテーテル関連感染以外は、臨床的には稀にしか重要ではない。さらに、BSIがS.aureus以外のStaphylococcus種によって引き起こされる場合において、しばしば、それらの生物とS.aureusとの間に、抗生物質感受性または生存能の差が存在する。従って、S.aureus以外のStaphylococcus種と、S.aureusとの間の区別が、適切な患者治療および患者管理を指示するためには非常に重要である。
【0004】
臨床標本におけるStaphylococcus種の存在は、グラム染色および顕微鏡分析によりグラム陽性球菌クラスター(GPCC)の存在によって慣用的に決定される。しかし、S.aureusと他のStaphylococcus種との間の区別は、継代培養、一晩インキュベーションと、その後の生化学的分析(例えば、コアグラーゼ試験およびラテックス凝集試験)またはより最近では分子試験を待たなければならない。他のStaphylococcus種の存在は、しばしば、試験管コアグラーゼ試験の陰性の結果に基づいて決定され、代表的には、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)として報告されている。これは、GPCC陽性の血液培養ビンの分析のために特に問題である。なぜなら、GPCC陽性血液ビンのうちのわずか20%〜30%しか、S.aureusに起因しないからである(非特許文献1)。従って、大多数の場合において、医師は、陰性の試験結果(例えば、S.aureusの不在)に基づいて判断を行わなければならない。
【0005】
Staphylococcus aureusおよびすべてのStaphylococcus種の分析のためのDNAプローブ(属特異的プローブ)が、記載されており(特許文献1、非特許文献2)、同様に、S.aureusの分析のためのPNAプローブも、記載されている(特許文献2、非特許文献3)。これらのプローブは、すべて、種特異的または属特異的のいずれかである配列を標的とする。
【0006】
リボソームRNA(rRNA)配列またはそのrRNAに対応するゲノムDNA配列(rDNA)の比較分析は、細菌種間の系統発生的関係を確立するための広く受け入れられた方法となっている(非特許文献4)。結果的に、Bergey’s Manual of systematic bacteriologyが、rRNA配列比較またはrDNA配列比較に基づいて修正された。近縁種間でのリボソームRNA配列またはrDNA配列の差によって、微生物同定のための種特異的プローブの設計が可能になり、それによって、診断微生物学は、伝統的微生物学におけるような一連の表現型マーカーではなく単一の遺伝子マーカーに基づくことが可能になる(非特許文献5)。しかし、種コホートを標的とするプローブの設計は、特に問題があり、非常に特異的なプローブ構築物と独特な標的配列との組み合わせを必要とする。
【0007】
PNAは、種サブセットを標的とするプローブを開発する場合の有用な研究候補である。なぜなら、PNAは、DNAプローブと比較して増加した配列特異性で核酸にハイブリダイズするからである。従って、先行技術はまた、Mycobacterium tuberculosis以外のマイコバクテリアを標的とするPNAプローブの例(特許文献3)およびEnterococcus faecalis以外の腸球菌を標的とするPNAプローブの例(非特許文献6)を包含する。
【0008】
その名前にも関わらず、ペプチド核酸(PNA)は、ペプチドでも核酸でもなく、酸でさえない。PNAは、天然に存在しないポリアミドであり、これは、Watson−Crick塩基対形成規則に従って配列特異性を備えて核酸(DNAおよびRNA)にハイブリダイズし得る(特許文献4および非特許文献7を参照のこと)。しかし、核酸は、生存種の一生において遺伝子伝達および遺伝子発現の作用因子として中心的役割を果たす生物学的物質であるが、PNAは、最近開発された全体的に人工の分子であり、化学者の頭脳において着想され合成有機化学を使用して作製された。PNAはまた、核酸とは構造的に異なる。両方とも、一般的な核酸塩基(A、C、G、TおよびU)を使用し得るが、これらの分子の骨格は、構造的に多岐にわたる。RNAの骨格およびDNAの骨格は、反復するホスホジエステルリボース単位および2−デオキシリボース単位から構成される。対照的に、最も一般的なPNAの骨格は、(アミノエチル)−グリシンサブユニットから構成される。さらに、PNAにおいて、その核酸塩基は、さらなるメチレンカルボニル部分によってその骨格に接続される。従って、PNAは、酸ではなく、従って、荷電酸性基(例えば、DNAおよびRNA中に存在する荷電酸性基)を含まない。その非荷電骨格によって、PNAプローブは、DNAおよびRNAに対しては不安定な条件下でハイブリダイズ可能である。そのような属性によって、PNAプローブは、DNAプローブに接近不能であることが公知である標的(例えば、高度に構造化されたrRNAおよび二本鎖DNA)に接近可能である(非特許文献8を参照のこと)。PNAプローブは、構造においても機能においても、核酸プローブの等価物ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第0066788号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6664045号明細書
【特許文献3】米国特許第6753421号明細書
【特許文献4】米国特許第5,539,082号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Karlowskyら、Ann Clin Microbiol Antimicrob(2004)3:7
【非特許文献2】Kempfら、J.Clin.Microbiol(2000)38:830〜838
【非特許文献3】Oliveiraら、J.Clin.Microbiol.(2002)40:247〜251
【非特許文献4】Woese、Microbiol.Rev.(1987)51:221〜271
【非特許文献5】Delongら、Science(1989)342:1360〜1363
【非特許文献6】Oliveiraら、Abstract #D−2003,Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2002,September 27〜30,San Diego,CA
【非特許文献7】Egholmら、Nature(1993)365:566〜568
【非特許文献8】StephanoおよびHyldig−Nielsen,IBC Library Series Publication #948,International Business Communication,Southborough,1997,MA,pp.19〜37
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の積極的同定は、多くの場合において有利である。Staphylococcus aureusおよび他のStaphylococcus種の同時分析が、理想的である。なぜなら、S.aureusまたは他のStaphylococcus種のいずれかの存在についての処置判断は、常に、陽性の試験結果に基づくからである。この特徴はまた、S.aureusと他のStaphylococcus種との混合物が存在する場合に、有意な利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、(必要に応じて、対象サンプル中に存在する)特定のStaphylococcus種(好ましくは、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種)の分析のために有用な、PNAプローブもしくはPNAプローブセット、およびそれらの使用ならびにキットに関する。特許請求の範囲に従って、上記PNAプローブは、リボソームRNA(rRNA)、またはそのrRNAもしくはその相補体に対応するゲノム配列(rDNA)に関する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、Staphylococcus aureus以外のあるStaphylococcus種(例えば、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus lugdenensis、Staphylococcus saprophyticus、およびStaphylococcus simulansであるが、これらに限定されない)の分析のためのPNAプローブに関する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、S.aureus以外の2種以上のStaphylococcus種の分析のためのPNAプローブに関する。
【0015】
一局面において、本明細書中に提供されるのは、S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析に適切な核酸塩基配列を含むPNAプローブである。
【0016】
一局面において、本明細書中に提供されるのは、S.aureus以外の二つ以上のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列を含むPNAプローブである。
【0017】
別の実施形態において、Staphylococcus種の標的配列は、rRNA、rDNAまたはrRNAもしくはrDNAの相補体(complement)を含む。
【0018】
一実施形態において、Staphylococcus epidermidisの分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus epidermidis rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0019】
別の実施形態において、Staphylococcus simulansの分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus simulans rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0020】
一実施形態において、Staphylococcus haemolyticusの分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus haemolyticus rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0021】
別の実施形態において、Staphylococcus lugdunensisの分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus lugdunensis rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0022】
一実施形態において、Staphylococcus saprophyticusの分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus saprophyticus rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0023】
一実施形態において、Staphylococcus epidermidis、およびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus epidermidis rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0024】
別の実施形態において、Staphylococcus simulans、およびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus simulans rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0025】
一実施形態において、Staphylococcus haemolyticus、およびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus haemolyticus rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0026】
一実施形態において、Staphylococcus lugdunensis、およびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus lugdunensis rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0027】
別の実施形態において、Staphylococcus saprophyticus、およびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列は、Staphylococcus saprophyticus rRNAまたはrDNAまたはその相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む。
【0028】
一実施形態において、前記プローブの少なくとも一部は、以下の配列:AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、GCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)から選択される核酸塩基配列またはその相補体と少なくとも約86%同一である。
【0029】
別の実施形態において、前記プローブの少なくとも一部は、以下の配列:AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、GCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)から選択される。
【0030】
一実施形態において、前記プローブ配列は、約8〜17サブユニットの間の長さである。
【0031】
一実施形態において、前記プローブは、少なくとも一つの検出可能な部分で標識されている。
【0032】
一実施形態において、前記検出可能な部分(単数または複数)は、結合体、分枝型検出系、発色団、フルオロフォア、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステル、および発光化合物からなる群より選択される。
【0033】
一実施形態において、前記プローブは、自己報告(self−reporting)プローブである。別の実施形態において、前記プローブは、PNA Linear Beaconである。一実施形態において、前記プローブは、非標識である。一実施形態において、前記プローブは、支持体に結合している。別の実施形態において、前記プローブはさらに、スペーサーまたはリンカーを含む。
【0034】
一実施形態において、インサイチュハイブリダイゼーションが、S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析ために用いられる。
【0035】
一局面において、本明細書中で提供されるPNAプローブセットは、請求項1〜24に記載の一つ以上のPNAプローブおよびS.aureusの分析のための少なくとも一つのPNAプローブである。
【0036】
一実施形態において、前記プローブは、二つ以上のStaphylococcus種の独立した分析のために異なった標識をされる。
【0037】
一局面において、請求項1〜24に記載の一つ以上のPNAプローブおよびS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析のための少なくとも一つのPNAブロッキングプローブを含むPNAプローブセットが本明細書中で提供される。
【0038】
別の実施形態において、前記プローブセットはさらに、S.aureusの分析のためのPNAブロッキングプローブを含む。
【0039】
一局面において、サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の分析のための方法が、本明細書中で提供されるが、該方法は、
a)請求項1〜18に記載のPNAプローブのうちの少なくとも一つのPNAプローブを該サンプルに接触させる工程、
b)該PNAプローブを該サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の標的配列にハイブリダイズさせる工程、および
c)該ハイブリダイゼーションを検出する工程であって、該ハイブリダイゼーションの検出は、該サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の存在、実体および/または量を示す工程、を含む方法である。
【0040】
一局面において、二つ以上のStaphylococcus種の分析のための方法が本明細書中で提供されが、該方法は、
a)請求項1〜18に記載のPNAプローブを前記サンプルに接触させる工程、
b)該PNAプローブを該サンプル中のStaphylococcus種の標的配列にハイブリダイズさせる工程、および
c)該ハイブリダイゼーションを検出する工程であって、該ハイブリダイゼーションの検出は、該サンプル中のStaphylococcus種の存在、実体および/または量を示す工程、を含む方法である。
【0041】
一実施形態において、二つ以上のStaphylococcus種が、S.aureusおよび、S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種である。
【0042】
一実施形態において、前記プローブセットは、S.aureus以外のStaphylococcus種のコホートの分析のために用いられる。
【0043】
一実施形態において、前記検出されたS.aureus以外のStaphylococcus種のコホートは、コアグラーゼ陰性Staphylococcus、臨床的に重要なコアグラーゼ陰性Staphylococcus、または臨床的に重要なコアグラーゼ陰性Staphylococcusの部分集合である。
【0044】
別の実施形態において、前記プローブは、独立して検出可能であるか非独立的に検出可能であるか、または独立して検出可能であるものと非独立的に検出可能であるものとの組み合わせであり、ここで該プローブは、わずか一塩基だけ互いに異なり、そして系統発生的に関連する生物の部分的に保存された標的領域に対して相補的であるかまたは実質的に相補的である。
【0045】
一実施形態において、プローブまたはプローブセットが、Staphylococcus aureus特異的プローブとStaphylococcus scheiferi標的の間の交差ハイブリダイゼーションを排除または減少するために使用される。
【0046】
一実施形態において、S.aureusおよびS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種が、同時に独立して検出される。
【0047】
一実施形態において、前記分析はインサイチュで行われる。別の実施形態において、該分析は、インサイチュハイブリダイゼーションにおいて蛍光により行われる。
【0048】
一実施形態において、前記方法は、標的配列を含む核酸を検出するために用いられ、ここで該核酸は一つの反応において合成または増幅されたものである。
【0049】
一実施形態において、好ましい核酸合成または核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)、転写媒介性増幅(Transcription−Mediated Amplification)(TMA)、ローリングサークル増幅(Rolling Circle Amplification)(RCA)、およびQβレプリカーゼ(Q beta replicase)からなる群より選択される。
【0050】
一実施形態において、前記方法は、非標的配列へのPNAプローブのハイブリダイゼーションを減少または排除するために、少なくとも一つのブロッキングプローブを加える工程をさらに含む。
【0051】
別の実施形態において、前記標的配列は、表面に固定される。一実施形態において、前記PNAプローブは、表面に固定される。一実施形態において、前記PNAプローブは、アレイの一構成成分である。一実施形態において、前記サンプルは、生物学的サンプルである。別の実施形態において、前記生物学的サンプルは、血液、尿、分泌物、汗、痰、糞便、粘液、またはそれらの培養物である。
【0052】
一局面において、サンプル中のS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析のためのアッセイを実施するために適切なキットが本明細書中で提供され、該キットは、a)請求項1〜24に記載のPNAプローブ、およびb)該アッセイを実施するために必要な他の試薬または組成物を含む。
【0053】
一実施形態において、サンプル中に任意に存在するS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種および少なくとも1種の他の微生物が、独立して検出、同定および/または定量される。
【0054】
一実施形態において、サンプル中に任意に存在するS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種およびS.aureusが、独立して検出、同定および/または定量される。
【0055】
別の実施形態において、サンプル中に任意に存在するS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種が、検出、同定および/または定量され、そして抗菌剤に対する感受性が決定される。
【0056】
一実施形態において、検出されるS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種は、コアグラーゼ陰性Staphylococcus、臨床的に重要なコアグラーゼ陰性Staphylococcus、または臨床的に重要なコアグラーゼ陰性Staphylococcusの部分集合である。
【0057】
別の実施形態において、前記キットは、インサイチュハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用される。
【0058】
一実施形態において、前記キットは、S.aureus以外の1種以上の(one more)Staphylococcus種およびS.aureusとの、同時の独立した(多重(multiplex))同定のための蛍光インサイチュハイブリダイゼーションアッセイである。
【0059】
一実施形態において、前記キットは、リアルタイムPCRアッセイのために使用される。
【0060】
一実施形態において、前記キットは、臨床標本またはその培養物などの、臨床サンプルを検査するために使用される。
【0061】
他の実施形態が以下に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0062】
(発明の詳細な説明)
(1.定義)
本明細書中に記載される場合、用語「核酸塩基」とは、核酸技術を利用するかまたはペプチド核酸技術を利用することによって、核酸に配列特異的に結合し得るポリマーを作製する者にとって一般的に公知である、天然に存在する複素環式部分および天然に存在しない複素環式部分を意味する。
【0063】
本明細書において使用される場合、用語「核酸塩基配列」とは、核酸塩基含有サブユニットを含むポリマーの任意のセグメントを意味する。適切なポリマーまたはポリマーセグメントの非限定的例としては、オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド核酸、核酸アナログ、核酸模倣物、および/またはキメラが挙げられる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「標的配列」とは、アッセイにおいて検出されるべき核酸塩基配列を意味する。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「プローブ」とは、対象生物の標的分子の標的配列に対して配列特異的にハイブリダイズするように設計されたプロービング核酸塩基配列を有する、ポリマー(例えば、DNA、RNA、PNA、キメラ、または連結ポリマー)を意味する。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」とは、2つ以上のPNAサブユニット(残基)を含む、任意のオリゴマー、連結ポリマー、またはキメラオリゴマーを意味し、米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、同第6,107,470号、および同第6,357,163号においてペプチド核酸として言及または特許請求されているポリマーのいずれをも包含する。最も好ましい実施形態において、PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合を介してN−[2−(アミノエチル)]グリシン骨格のアザ窒素に結合した、天然に存在する核酸塩基または天然に存在しない核酸塩基からなる。
【0067】
本明細書において使用される場合、用語「標識」および「検出可能な部分」は、互換可能であり、そしてこれらの用語は、プローブに結合されることによってそのプローブを器具または方法によって検出可能にし得る、部分を指す。
【0068】
本明細書における「Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種」に対する言及または関連する語句は、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus属の本質的に1種以上のStaphylococcus種を意味する。少数の例外として、Staphylococcus
aureus以外のStaphylococcus種は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(これは、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種についての医学的表現である)と等価である。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種のコホートとは、Staphylococcus aureus以外の2種以上のStaphylococcus種を本質的には意味し、これは、すべてのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、臨床的に重要なコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、またはこれらの部分集合を包含し得る。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種としては、例えば、S.capitis、S.cohnii、S.epidermidis、S.saprophyticus、S.intermedius、S.hyicus、S.haemolyticus、S.hominis、S.lugdunensis、S.saccharolyticus、S.schleiferi、S.sciuri、S.simulans、S.warneri、および/またはS.xylosusが挙げられ得る。
【0069】
用語「サンプル」とは、本明細書中で使用される場合、検出用分析物を含み得る、任意の生物学的サンプルまたは臨床サンプルを指す。好ましくは、この生物学的サンプルは、液体形態であるかまたは組織サンプルとして存在する。最も好ましくは、そのサンプルは、血液培養物由来である。液体サンプルとしては、臨床サンプル(例えば、尿、血液、創傷、痰、咽頭スワブ、胃洗浄物、気管支洗浄物、吸引物、血清、鼻分泌物、汗、血漿、精液、脳脊髄液、涙、膿、羊水、唾液、肺吸引物、胃腸内容物、膣分泌物、尿道分泌物、吐出物、およびそれらの培養物が挙げられる。好ましい組織サンプルまたはその培養物としては、絨毛膜絨毛標本、皮膚上皮、生殖器上皮、歯肉上皮、咽頭上皮、毛、および生検が挙げられる。組織サンプルは、新たに調製されてもよいし、または特定の期間の間、固定剤(例えば、エタノール、メタノール、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ホルマリン、パラフィン、ホルムアルデヒド、ホルムアミド、またはそれらの混合物であるが、これらに限定されない)中に保存されてもよい。非臨床サンプルとして、食物、飲料、水、薬学的製品、パーソナルケア製品、日用品、または環境サンプル、およびそれらの培養物が挙げられる。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「多重アッセイ」とは、複数の標的が検出および同定される可能性があり得るアッセイを包含する。同定は、具体的(例えば、特定の微生物種)または包括的(例えば、特定の微生物属)であり得る。包括的同定はまた、微生物種のコホートの同定を包含し、このコホートは、規定された種群の1種以上のメンバーを含む。規定された種群の一例は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌である。
【0071】
本明細書中で使用される場合、独立的かつ同時の検出は、1つよりも多い標的について一度に同定結果を生じ得るアッセイを含む。例えば、Staphylococcus aureus以外の1種以上のStaphylococcusと、Staphylococcus aureusとの検出は、各プローブについて独特の標識を用いて同時に行われ得、それによって、独立的かつ同時の検出がもたらされる。
【0072】
このアッセイを実施するために必要な他の試薬または組成物(例えば、洗浄溶液、スライドガラス、カバーガラス、本発明に従う1種以上のPNAプローブ、培養容器、スライドガラス加温器、インキュベーター、封入液、ならびにPCR成分(酵素および緩衝液を含む))が、含められ得る。
【0073】
PNAプローブ(元々、米国特許第5,539,082号およびEgholmら、Nature 365:566〜568(1993)(本明細書に参考として添付される)に記載される)は、天然に存在する核酸プローブと比較した場合の固有の物理化学的特徴/化学的特徴を有し、その特徴によって、迅速かつ正確なアッセイの設計が可能である。PNAプローブは、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)アッセイにおいて適用された場合に、核酸プローブを超える別の利点を提供する。この利点は、PNAプローブによる、グラム陽性細菌(例えば、Staphylococcus種)の強固な細胞壁の改良された細胞浸透に起因する。核酸プローブが、架橋剤および/または酵素による固定および透過化処理を必要とする(例えば、Kempfら、J.Clin.Microbiol 38:830〜838(2000)を参照のこと)場合、PNAプローブは、実施例1において例証されるような塗抹標本調製の後に直接適用され得る。
【0074】
好ましい実施形態において、PNAプローブは、比較的短い核酸塩基配列(例えば、実施例1に記載されるような15核酸塩基)を有する。天然に存在する核酸プローブは、PNAプローブよりも弱いその安定性および低いその融解温度(Tm)が原因で、代表的には、少なくとも18ヌクレオチド長である(例えば、Kempfら、J.Clin.Microbiol 38:830〜838(2000)を参照のこと)。核酸プローブよりも高いPNAプローブの特異性は、密接に関連するStaphylococcus種のrRNAまたはrDNAの分析のために必要とされるような、一核酸塩基の差もしくはほんの少数の核酸塩基の差しかない密接に関連する非標的配列を、核酸プローブよりも良好に識別する。
【0075】
本発明に従う例示的なPNAプローブ核酸塩基配列としては、AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、およびGCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)が挙げられる。
【0076】
なお別の実施形態において、上記PNAプローブは、Staphylococcus aureus以外の2種以上のStaphylococcus種の分析のための2種以上のPNAプローブを含むか、またはStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のための少なくとも1種のPNAプローブとStaphylococcus aureusの分析のためのPNAプローブとを含む、PNAプローブセットの一部であり得る。すなわち、本発明のいくつかのPNAプローブは、Staphylococcus aureus以外の2種以上のStaphylococcus種に対して特異的である。好ましくは、PNAプローブセット内のPNAプローブは、2種以上のStaphylococcus種の独立した分析のために別々に標識される。この実施形態の改変形において、そして実施例1および2において例証されるように、複数のプローブが、特定のStaphylococcus種またはStaphylococcus種コホートを検出するために同じように標識され得、一方、必要に応じた他のプローブが、第二の種または種コホートの分析のために別々に標識される。
【0077】
本発明に従う方法は、サンプルを、上記のPNAプローブのうちの1つ以上と接触させる工程を包含する。この方法によると、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の存在、不在、および/または数が、適切なハイブリダイゼーション条件下での標的配列に対する上記プローブのプロービング核酸塩基配列のハイブリダイゼーションを相関付けることによって、検出、同定、および/または定量される。結果的に、この分析は、決定的な結果を伴う単一のアッセイに基づく。対照的に、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の決定的分析のための現行の慣用的方法は、複数の試験を含む複数の表現型特徴に基づく。
【0078】
別の実施形態において、上記PNAプローブは、Staphylococcus aureusと、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種との同時分析のために、並列反応または同一反応(多重反応)のいずれかにおいて、Staphylococcus aureusの分析のための以前に公開されたPNAプローブ(Oliveiraら、J.Clin.Microbiol.40:247〜251(2002)を参照のこと)と同時に適用される。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の存在がStaphylococcus aureus特異的シグナルの不在によってさらに支持され、逆もまた同様であるこの様式においては、そのような最終的試験結果は、ポジティブな反応およびネガティブな反応の両方に基づいて解釈される。従って、上記PNAプローブセットは、別個のコントロール実験を実施する必要性を排除する内部コントロールを提供する。好ましくは、上記2種のPNAプローブは、その分析が1つの反応(多重反応)において実施されるように、独立して標識される。同時分析はまた、Staphylococcus aureusと、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種との両方の混合物を含む標本にとって、有利である。そのような場合、FISHのための上記PNAプローブの使用は、単一細胞検出という利点を提供し、その結果、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種と、Staphylococcus aureusとの両方の細胞が、下記に例証されるような特異的標識によって同時に観察され得かつ区別され得る。対称的に、他の技術は、さらなるコントロール実験を実施することなく、混合培養物を擬陽性反応から区別することはできない。
【0079】
なお別の実施形態において、本発明は、(必要に応じてサンプル中に存在する)Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus aureus種を検出、同定、および/または定量するアッセイを実施するため、ならびに/あるいは抗生物質耐性の決定のために適切な、キットに関する。本発明のキットは、1種以上のPNAプローブと、アッセイを実施するように選択されるかまたはそうでなければアッセイの実施を簡単にするように選択される他の試薬もしくは組成物とを、含む。特に、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus aureus種と、Staphylococcus aureusとの組み合わせ分析は、GPCC陽性血液培養ビンの慣用的試験(複数のPNAプローブの使用が二次的に内部コントロールとして役立つ)のために充分に適している。
【0080】
複数のPNAプローブの使用に由来する別の利点は、ブロッキングプローブの使用である。この好ましい実施形態において、ブロッキングプローブストラテジーが、密接に関連する生物における保存された標的分子の類似領域にプローブが指向されている多重アッセイにおける使用のためのプローブの設計において、使用される。例えば、核酸塩基配列およびTmが実質的に類似している独立して検出可能な一対のプローブが、標的核酸塩基配列が1塩基だけ異なる2つの標的の非常に保存された領域に対してハイブリダイズするように設計され得る。この場合、第一プローブが第二プローブの相補的標的に対して非特異的にハイブリダイズする傾向は、第二プローブ/標的ハイブリッドの存在および相対的安定性によって妨害される。同様に、独立して検出可能であるかまたは非独立的に検出可能であるか、または独立して検出可能であるものと非独立的に検出可能であるものとの組み合わせであるかのいずれかである、複数のプローブが、設計され得、これらの複数のプローブは、すべて、わずか一塩基だけ互いに異なり、これらの複数のプローブは、系統的に関連する生物の部分的に保存された標的領域に対して相補的であるかまたは少なくとも実質的に相補的である。標的部位に対する競合は、より高いプローブ特異性を生じ得ると同時に交差ハイブリダイゼーションの可能性を低下させ得る。
【0081】
当業者は、適切なPNAプローブが、本明細書において有効であると記載されるこれらのプロービング核酸塩基配列を正確に有する必要はないが、特定のアッセイ条件に従って改変され得ることを、認識する。例えば、ハイブリッドの安定性が改変されてそのTmを低下させかつ/またはストリンジェンシーについて調節する必要がある場合に、その核酸塩基配列の短縮によって、より短いPNAプローブが調製され得る。同様に、その核酸塩基配列は、区別する核酸塩基がそのPNAプローブの配列中に残る限り、一端において短縮され得、もう一端において伸長され得る。本明細書中に記載されるパラメーター内における上記プロービング核酸塩基配列のそのような変化は、本発明の実施形態であると考えられる。
【0082】
当業者はまた、相補的プロービング配列が、標的配列としてのrDNAに対して指向されているアッセイ(例えば、リアルタイムPCRであるが、これに限定はされない)のために等しく適切であることを、認識する。
【0083】
(2.説明)
(1.一般)
(PNA合成)
PNAの化学的構築のための方法は、周知である(米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、および同第6,107,470号を参照のこと)。
【0084】
(PNA標識)
PNAを標識するための好ましい非限定的方法は、米国特許第6,110,676号、同第6,361,942号、および同第6,355,421号、これらの明細書の実施例部分において記載されているか、またはそうではなければ、PNA合成およびペプチド合成の分野において周知である。
【0085】
(標識)
本発明の実施において使用されるPNAプローブを標識するために適切な検出可能な部分(標識)の非限定的例としては、デキストラン結合体、分枝型核酸検出系、発色団、フルオロフォア、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステル、および発光化合物が挙げられる。
【0086】
他の適切な標識試薬および好ましい付着方法は、PNA合成、ペプチド合成、または核酸合成の当業者によって認識される。
【0087】
好ましいハプテンとしては、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、およびビオチンが挙げられる。
【0088】
好ましい蛍光色素(フルオロフォア)としては、5(6)−カルボキシフルオレセイン(Flu)、テトラメチル−6−カルボキシローダミン(tamra)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)、Cyanine 2(Cy2)Dye、Cyanine 3(Cy3)Dye、Cyanine 3.5(Cy3.5)Dye、Cyanine 5(Cy5)Dye、Cyanine 5.5(Cy5.5)Dye、Cyanine 7(Cy7)Dye、Cyanine 9(Cy9)Dye(Cyanine色素2、Cyanine色素3、Cyanine色素3.5、Cyanine色素5およびCyanine色素5.5は、Amersham(Arlington Heights,IL)からNHSエステルとして入手可能である)、JOE、Tamara、またはAlexa色素シリーズ(Molecular Probes,Eugene,OR)が挙げられる。
【0089】
好ましい酵素としては、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ、Klenow PNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Sequenase、DNAポリメラーゼ1、およびΦ29ポリメラーゼ)、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が挙げられ、最も好ましくは、ダイズペルオキシダーゼ(SBP)が挙げられる。
【0090】
(非標識プローブ)
本発明の実施のために使用されるプローブは、本発明の方法において有効であるためには検出可能な部分で標識される必要はない。例えば、本発明のプローブは、固体支持体に付着され得、これによって、本発明のプローブは、公知のアレイ技術によって検出可能になる。
【0091】
(自己指示(self−indicating)プローブ)
Beaconプローブは、ドナー部分とアクセプター部分とを備える自己指示プローブの例である。そのドナー部分およびアクセプター部分は、そのアクセプター部分がドナー部分から移動したエネルギーを受容するかまたはそうでなければドナー部分からのシグナルをクエンチングするように、作動する。上記に列挙されたフルオロフォア(適切なスペクトル特性を有する)はまた、エネルギー移動アクセプターとして作動し得るが、好ましくは、そのアクセプター部分は、クエンチャー部分である。好ましくは、そのクエンチャー部分は、非蛍光芳香族部分または非蛍光複素芳香族部分である。好ましくは、クエンチャー部分は、4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(ダブシル)である。好ましい実施形態において、その自己指示Beaconプローブは、米国特許第6,485,901号においてより充分に記載されるPNA Linear Beaconである。
【0092】
別の実施形態において、本発明の自己指示プローブは、WIPO特許出願WO97/45539に記載される型である。これらの自己指示プローブは、シグナルを生成するためにはレポーターが核酸と相互作用しなければならないという点が主に、Beaconプローブと比較して異なる。
【0093】
(スペーサー/リンカー部分)
一般的には、スペーサーは、嵩高い標識試薬がプローブのハイブリダイゼーション特性に対して有し得る有害作用を最小にするために使用される。本発明の核酸塩基ポリマーのための好ましいスペーサー/リンカーは、1つ以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロン酸)、アミノ酸の側鎖(例えば、リジンの側鎖またはオルニチンの側鎖)、天然アミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二酸(例えば、コハク酸)、アルキルオキシ二酸(例えば、ジグリコール酸)、またはアルキルジアミン(例えば、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)からなる。
【0094】
(ハイブリダイゼーション条件/ハイブリダイゼーションストリンジェンシー)
核酸ハイブリダイゼーションの当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを付与または制御するために一般的に使用される要因としては、ホルムアミド濃度(もしくは他の化学的変性試薬)、塩濃度(例えば、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pH、およびカオトロープの存在または不在が挙げられることを認識する。プローブ/標的配列の組み合わせについての最適なストリンジェンシーが、上記のストリンジェンシー要因のうちのいくつかを固定し、その後、単一のストリンジェンシー要因を変化させる影響を決定するという周知技術によって、しばしば見出される。同じストリンジェンシー要因が、調節され、それによって核酸に対するPNAのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御するようにされ得るが、但し、PNAのハイブリダイゼーションは、イオン強度とは全く独立している。アッセイについての最適なストリンジェンシーは、望ましい区別の程度が達成されるまで、各ストリンジェンシー要因の検討によって経験的に決定され得る。
【0095】
(適切なハイブリダイゼーション条件)
一般的には、核酸混入物の原因となるバックグラウンドが標的配列に対して密接に関連しているほど、ストリンジェンシーはより注意深く制御されなければならない。ブロッキングプローブもまた、ストリンジェンシー要因の最適化によって可能な限界を上回って区別を改善するための手段として使用され得る。従って、適切なハイブリダイゼーション条件は、望ましい区別の程度が達成されて、アッセイが正確(そのアッセイのための望まれる許容範囲内にある)かつ再現可能な結果を生じるようになる条件を包含する。
【0096】
慣用的に過ぎない実験および本明細書中にて提供される開示により補助されて、当業者は、本明細書中に記載される方法および組成物を利用するアッセイを実施するための適切なハイブリダイゼーション条件を容易に決定可能である。適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件またはPCR条件は、インサイチュハイブリダイゼーションまたはPCR手順を実施するために適切な条件を包含する。従って、適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件またはPCR条件は、さらなる慣用的実験を伴ってかまたは伴うこともなく、本明細書中にて提供される開示を使用して、当業者にとって明らかになる。
【0097】
(ブロッキングプローブ)
ブロッキングプローブは、非標的配列に対するプロービングポリマーのプロービング核酸塩基配列の結合を抑制するために使用され得る、核酸プローブまたは非核酸プローブである。好ましいブロッキングプローブは、PNAプローブ(米国特許第6,110,676号を参照のこと)である。ブロッキングプローブは、非標的配列に対するハイブリダイゼーションによって作動し、それによって、そのプロービング核酸塩基配列と非標的配列との間のハイブリダイゼーションにより形成されるよりも熱力学的に安定な複合体を形成すると考えられる。そのより安定かつ好ましい複合体の形成を介して、プロービング核酸塩基配列と非標的配列との間の、より安定ではなく好ましくはない複合体が、形成するのを防止される。従って、ブロッキングプローブは、存在し得かつそのアッセイの実施を妨害し得る非標的配列に対するそのプローブの結合を抑制するために、本発明の方法、キット、および組成物とともに使用され得る。
【0098】
(プロービング核酸塩基配列)
本発明のプローブのプロービング核酸塩基配列は、その構築物の特定配列認識部分である。従って、そのプロービング核酸塩基配列は、特定の標的配列にハイブリダイズするように設計された核酸塩基配列であり、その標的配列の存在、不在、または量が、サンプル中の対象生物の存在、不在、または数を直接的もしくは間接的に検出するために使用され得る。結果的に、選択されたアッセイ形式のためのプローブの要件を考慮して、そのプローブのプロービング核酸塩基配列の長さおよび配列組成は、一般的には、安定な複合体が適切なハイブリダイゼーション条件下で標的配列とともに形成されるように選択される。
【0099】
S.aureus以外のStaphylococcus種の分析のための本発明のプローブの好ましい核酸塩基配列は、AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、GCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)、およびそれらの相補体である。
【0100】
本発明は、同定されたこれらのプロービング核酸塩基配列における変化もまた、S.aureus以外のStaphylococcus種の分析のために適切なプローブを提供することを企図する。本明細書中に記載されるパラメーター内でのプロービング核酸塩基配列のこのような変化は、本発明の一実施形態であると考えられる。一般的な変化としては、欠失、挿入、およびフレームシフトが挙げられる。さらに、より短いプロービング核酸塩基配列が、上記で同定された配列の短縮によって作製され得る。
【0101】
本発明のプローブは、一般的には、標的配列と正確に相補的であるプロービング核酸塩基配列を有する。あるいは、実質的に相補的なプロービング核酸塩基配列が、使用され得る。なぜならば、プローブと標的配列との間に1つ以上の点変異(塩基ミスマッチ)が存在するプローブを利用する場合に、より優れた配列区別が得られることが、実証されているからである(Guoら、Nature Biotechnology 15:331〜335(1997)を参照のこと)。結果的には、そのプロービング核酸塩基配列は、上記で同定されたプロービング核酸塩基配列に対してほんの86%程度しか相同でないものであり得る。上記のパラメーター内にある実質的に相補的なプロービング核酸塩基配列は、本発明の一実施形態であると考えられる。
【0102】
そのプロービング核酸塩基配列の相補体は、本発明の一実施形態であると考えられる。なぜなら、検出されるべき標的配列が増幅またはコピーされ、それによって同定された標的配列に対する相補体を作製した場合には、適切なプローブを作製することが可能であるからである。
【0103】
(検出、同定、および/または計数)
「検出」によって、(必要に応じて、サンプル中に存在する)生物の存在または不在についての分析が意味される。「同定」によって、属名、属および種名、または対象生物を分類するために役立つ他の適切なカテゴリーによる、生物の正体の確立が意味される。「定量」によって、サンプル中の生物の計数が意味される。いくつかのアッセイ形式は、同時の検出、同定、および計数を提供し(例えば、Stender,H.ら、J.Microbiol.Methods 45:31〜39(2001)を参照のこと)、他のアッセイ形式は、検出および同定を提供し(例えば、Stender,H.ら、Int.J.Tuberc.Lung Dis.3:830〜837(1999)を参照のこと)、なお他のアッセイ形式は、同定だけを提供する(例えば、Oliveira,K.ら、J.Clin.Microbiol.40:247〜251(2002)を参照のこと)。
【0104】
(独立的かつ同時の検出)
本発明の好ましい実施形態において、多重アッセイが、標識されたプローブを用いて1つの標的を検出すると同時に、別々に標識されたプローブを用いて別の標的を検出するように、設計される。本発明のより好ましい実施形態において、それらの標的は、2つ以上のStaphylococcus種由来のrRNAまたはrDNAの構成要素である。最も好ましい実施形態において、上記アッセイは、Staphylococcus aureus以外の1種以上のStaphylococcusと、Staphylococcus aureusとを検出するように設計された、PNA FISHアッセイである。
【0105】
(抗生物質耐性)
抗生物質に対する耐性の決定によって、特定の遺伝子もしくは遺伝子産物、または抗菌剤に対する耐性もしくは感受性に関連する変異に基づく、抗生物質に対する生物の感受性の分析が意味される。
【0106】
(II.本発明の好ましい実施形態)
(a.PNAプローブ)
一実施形態において、本発明は、PNAプローブに関する。本発明のPNAプローブは、(必要に応じてサンプル中に存在する)Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種を検出、同定、および/または定量するために適切である。その分析のために適切なPNAプローブの一般的特徴(例えば、長さ、標識、核酸塩基配列、リンカーなど)は、本明細書中にて上記されている。本発明のPNAプローブの好ましいプロービング核酸塩基配列が、表1において列挙される。
【0107】
【表1】

本発明のPNAプローブは、プロービング核酸塩基配列(本明細書中に上記される)のみを含んでもよいし、またはさらなる部分を含んでもよい。さらなる部分の非限定的例としては、検出可能な部分(標識)、リンカー、スペーサー、天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、または他のPNAサブユニット、DNAサブユニット、もしくはRNAサブユニットが挙げられる。さらなる部分は、アッセイにおいて機能的であっても機能的でなくてもよい。しかし、一般的には、さらなる部分は、そのPNAプローブが使用されるべきアッセイの設計において機能的であるように選択される。本発明の好ましいPNAプローブは、フルオロフォア、酵素、およびハプテンからなる群より選択される、1つ以上の検出可能な部分で標識される。
【0108】
好ましい実施形態において、本発明のプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)アッセイおよび蛍光インサイチュハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用される。ISHアッセイまたはFISHアッセイにおいて使用される過剰なプローブは、代表的には、特異的に結合したプローブの検出可能な部分が、依然として存在するがハイブリダイズはしていないプローブから生じるバックグラウンドシグナルを超えて検出され得るように除去されなければならない。一般的には、過剰なプローブは、サンプルが一定期間プローブとともにインキュベートされた後に洗い流される。しかし、自己指示プローブの使用は、本発明の好ましい実施形態である。なぜなら、検出可能なバックグラウンドを自己指示プローブがほとんどまたは全く生じないので、過剰な自己指示プローブがサンプルから完全に除去される(洗い流される)必要がないからである。ISHアッセイまたはFISHアッセイに加えて、本明細書中に記載される選択されたプロービング核酸塩基配列を含む自己指示プローブは、すべての種類の均質アッセイ(例えば、リアルタイムPCR)において特に有用であるか、または自己指示デバイス(例えば、側流(lateral flow)アッセイ)または自己指示アレイとともに有用である。
【0109】
(b.PNAプローブセット)
本発明のプローブセットは、2つ以上のPNAを含む。一実施形態において、そのセットのPNAプローブのうちのいくつかは、ブロッキングプローブであり得る。他の実施形態において、そのプローブセットは、Staphylococcus aureus以外の2種以上のStaphylococcus種を分析するために、または、Staphylococcus aureus以外の1種以上のStaphylococcus種と、Staphylococcus aureusとの分析のために、使用され得る。
【0110】
(c.方法)
別の実施形態において、本発明は、(必要に応じてサンプル中に存在する)Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のために適切な方法に関する。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のために適切なPNAプローブの一般的特徴および特殊な特徴が、本明細書中に上記されている。好ましいプロービング核酸塩基配列は、表1に列挙されている。
【0111】
サンプル中のStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のための方法は、そのサンプルを、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種に対して特異的な標的配列に対するハイブリダイゼーションのために適切な1種以上のPNAプローブと、接触させる工程を包含する。この方法によると、その後、そのサンプル中のStaphylococcus
aureus以外のStaphylococcus種が、検出、同定、および/もしくは定量されるか、またはその抗生物質耐性が、決定される。これは、適切なハイブリダイゼーション条件下または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件下での、検出されるよう努力されるStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の標的配列に対するPNAプローブのプロービング核酸塩基配列のハイブリダイゼーションを、そのサンプル中のStaphylococcus aureus生物以外のStaphylococcus種の存在、不在、もしくは数と相関付けることによって可能になる。代表的には、この相関性は、上記プローブ/標的配列ハイブリッドの直接的検出または間接的検出によって可能になる。好ましい実施形態において、PNAプローブセットが、別々に標識されたPNAプローブを使用する、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種とStaphylococcus aureusとの同時分析のために使用される。
【0112】
(蛍光インサイチュハイブリダイゼーションおよびリアルタイムPCR)
本発明のPNAプローブ、方法、キット、および組成物は、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の迅速なプローブベースの分析のために、特に好ましい。この分析は、好ましくは、2種以上のStaphylococcus種の同時分析のためのPNAプローブセットを使用する。好ましい実施形態において、インサイチュハイブリダイゼーションまたはPCRが、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のためのアッセイ形式として使用される。最も好ましくは、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(PNA
FISH)またはリアルタイムPCRが、そのアッセイ形式である(Stenderら、J.Microbiol.Methods 48:1〜17(2002)により概説されている)。好ましくは、PNA FISH分析のための塗抹標本は、ハイブリダイゼーション前には架橋剤でも酵素でも処理されない。
【0113】
一実施形態において、上記方法は、サンプルから、例えば核酸増幅によって、核酸を合成する工程を包含する。好ましい核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)、転写媒介性増幅(Transcription−Mediated Amplification)(TMA)、ローリングサイクル増幅(Rolling Circle Amplification)(RCA)、およびQβレプリカーゼ(Q beta replicase)からなる群より選択される。
【0114】
本発明の実施は、そうではないと示されない限りは、当業者の範囲内にある、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術および説明を使用し得る。そのような従来技術としては、ポリマーアレイ合成、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、および標識を使用するハイブリダイゼーションの検出が挙げられる。適切な技術の具体的な例示は、本明細書中下記の実施例を参照することによって得られ得る。しかし、他の等価な従来の手順もまた、当然、使用され得る。そのような従来技術および説明は、標準的な実験室マニュアルにおいて見出され得る。そのようなマニュアルは、例えば、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series(Vol.I〜IV)、Using Antibodies:A Laboraoty Manual、Cells:A Laboratory Manual、PCR Primer:A Laboratory Manual、およびMolecular Cloning:A Laboratory Manual(すべて、Cold Spring Harbor Laboratory Pressより)、Stryer,L.(1995)Biochemistry(第4版)である。ポリマー(タンパク質を含む)アレイ合成に適用可能な方法および技術は、米国特許出願第09/536,841号、WO00/58516、米国特許第5,143,854号、同第5,242,974号、同第5,252,743号、同第5,324,633号、同第5,384,261号、同第5,405,783号、同第5,424,186号、同第5,451,683号、同第5,482,867号、同第5,491,074号、同第5,527,681号、同第5,550,215号、同第5,571,639号、同第5,578,832号、同第5,593,839号、同第5,599,695号、同第5,624,711号、同第5,631,734号、同第5,795,716号、同第5,831,070号、同第5,837,832号、同第5,856,101号、同第5,858,659号、同第5,936,324号、同第5,968,740号、同第5,974,164号、同第5,981,185号、同第5,981,956号、同第6,025,601号、同第6,033,860号、同第6,040,193号、同第6,090,555号、同第6,136,269号、同第6,269,846号、および同第6,428,752号、PCT出願番号PCT/US99/00730(国際公開番号WO99/36760)およびPCT/US01/04285において記載されている。これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される。具体的な実施形態において合成技術を記載する特許としては、米国特許第5,412,087号、同第6,147,205号、同第6,262,216号、同第6,310,189号、同第5,889,165号、および同第5,959,098号が挙げられる。PCR方法について、例えば、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(H.A.Erlich編、Freeman Press,NY,N.Y.,1992);PCR Protocols:A Guide to Methods and Appplcations(Innisら編、Academic Press,San Diego,Calif.,1990);Mattilaら、Nucleic Acids Res.19:4967(1991);Eckertら、PCR Methods and Applications 1,17(1991);PCR(McPhersonら編、IRL Press,Oxford);ならびに米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、および同第5,333,675号を参照のこと。これらは各々、すべての目的のためにその全体が参考として本明細書中に援用される。上記サンプルは、アレイ上で増幅され得る。例えば、米国特許第6,300,070号および米国特許出願第09/513,300号を参照のこと。これらは、参考として本明細書中に援用される。本発明において有用な核酸アレイとしては、Affymetrix(Santa Clara,Calif.)から市販されている核酸アレイが挙げられる。他の適切な増幅方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、WuおよびWallace,Genomics 4,560(1989)、Landegrenら、Science 241,1077(1988)、ならびにBarringerら、Gene 89:117(1990))、転写増幅(Kwohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1173(1989)およびWO88/10315)、自己保持配列複製(Guatelliら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87,1874(1990)およびWO90/06995)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許第6,410,276号)、コンセンサス配列プライムドポリメラーゼ連鎖反応(CP−PCR)(米国特許第4,437,975号)、アービトラリリープライムド(arbitrarily primed)ポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)(米国特許第5,413,909号、同第5,861,245号)、ならびに核酸ベースの配列増幅(NABSA)(米国特許第5,409,818号、同第5,554,517号、および同第6,063,603号(これらは各々、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと)が挙げられる。使用され得る他の増幅方法は、米国特許第5,242,794号、同第5,494,810号、同第4,988,617号、および米国特許出願第09/854,317号(これらは各々、本明細書中に参考として援用される)において記載される。
【0115】
さらなるサンプル調製方法および核酸サンプルの複雑度を減少するための技術が、Dongら、Genome Reserach 11,1418(2001)、米国特許第6,361,947号、同第6,391,592号、ならびに米国特許出願第09/916,135号、同第09/920,491号、同第09/910,292号、および同第10/013,598号に記載されている。
【0116】
ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイを実施するための方法は、当該分野において充分に開発されている。ハイブリダイゼーションアッセイの手順および条件は、その適用に依存して変化し、そして公知の一般的結合方法に従って選択される。そのような公知の一般的結合方法としては、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor,N.Y.,1989);BergerおよびKimmel,Methods in Enzymology,Vol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques(Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.,1987);YoungおよびDavism,P.N.A.S.80:1194(1983)において言及される方法が挙げられる。反復的な制御されたハイブリダイゼーション反応を実行するための方法および装置が、米国特許第5,871,928号、同第5,874,219号、同第6,045,996号および同第6,386,749号、同第6,391,623号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0117】
(例示的なアッセイ形式)
PNA FISHを実施するための例示的な方法は、Oliveiraら、J.Clin.Microbiol.40:247〜251(2002);Rigbyら、J.Clin.Microbiol.40:2182〜2186(2002);Stenderら、J.Clin.Microbiol.37:2760〜2765(1999);Perry−O’Keefeら、J.Microbiol.Methods 47:281〜292(2001)において見出され得る。一方法に従って、サンプル(例えば、陽性血液培養物であるが、これに限定されない)の塗抹標本が、顕微鏡スライドガラス上で調製され、ハイブリダイゼーション緩衝液中にある1滴の蛍光標識PNAプローブでカバーされる。カバーガラスが、その塗抹標本上に配置されて均一な被覆が確保される。その後、そのスライドガラスは、55℃のスライドガラス加温器またはインキュベーターに90分間配置される。ハイブリダイゼーションの後、予熱したストリンジェントな洗浄溶液中にそのスライドガラスを浸漬することによって、そのカバーガラスは取り外される。そのスライドガラスは、30分間洗浄される。その塗抹標本は、最終的には、1滴の封入液を用いて封入され、カバーガラスで覆われ、蛍光顕微鏡によって検査される。
【0118】
本発明のキット中に含まれるPNAプローブを用いて分析され得る、(必要に応じてサンプル中に存在する)Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種が、数種の器具によって評価され得る。そのような器具は、例えば、顕微鏡(例えば、Oliveiraら、J.Clin.Microbiol.40:247〜251(2002)を参照のこと)、放射線感光フィルム(例えば、Perry−O’Keefeら、J.Appl.Microbiol.90:180〜189(2001)を参照のこと)、カメラおよびインスタントフィルム(例えば、Stenderら、J.Microbiol.Methods 42:245〜253(2000)を参照のこと)、照度計(例えば、Stenderら、J.Microbiol.Methods.46:69〜75(2001)を参照のこと)、レーザー走査デバイス(例えば、Stenderら、J.Microbiol.Methods.45:31〜39(2001)を参照のこと)、またはフローサイトメーター(例えば、Wordonら、Appl.Environ.Microbiol.66:284〜289(2000)を参照のこと)であるが、これらに限定されない。自動スライドガラススキャナーおよびフローサイトメーターが、対象サンプル中に存在する微生物の数を迅速に定量するために特に有用である。
【0119】
自己報告(self−reporting)PNAプローブを使用してリアルタイムPCRを実施するための例示的方法が、Fiandacaら、Abstract,Nucleic Acid−Based technologies,DNA/RNA/PNA Diagnostics,Washington,DC,May 14−16,2001;およびPerry−O’Keefeら、Abstract,International Conference on Emerging Infectious Diseases,Atlanta,2002において見出され得る。
【0120】
(d.キット)
なお別の実施形態において、本発明は、アッセイを実施するために適切なキットに関する。このアッセイは、(必要に応じてサンプル中に存在する)Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種を分析する。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のために適切なPNAプローブの一般的特徴および好ましい特徴が、本明細書中に上記されている。好ましいプロービング核酸塩基配列は、表1において列挙されている。さらに、サンプル中にあるStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種を分析するためにPNAプローブを使用するのに適切な方法が、本明細書中に上記されている。
【0121】
本発明のキットは、サンプル中のStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種を分析するために、1種以上のPNAプローブと、アッセイを実施するようにかそうでなければ用いられるアッセイの実施を簡単にするように選択される、他の試薬もしくは組成物とを備える。好ましい実施形態において、上記キットは、独立して検出可能なPNAプローブを使用してStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種とStaphylococcus aureusとを同時分析するための、PNAプローブを備える。
【0122】
(e.本発明を使用するための例示的適用)
本発明のPNAプローブ、方法、およびキットは、臨床サンプル(例えば、尿、血液、創傷、痰、咽頭スワブ、胃洗浄物、気管支洗浄物、生検、吸引物、吐出物(expectorate))中、ならびに食物、飲料、水、薬学的製品、パーソナルケア製品、日用品、または環境サンプル、ならびにそれらの培養物において、Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析のために特に有用である。好ましい実施形態において、上記PNAプローブは、Staphylococcus aureusの分析のためのPNAプローブも含むPNAプローブセットにおいて適用される。
【0123】
本発明の好ましい実施形態が記載されているが、本明細書中に記載される概念を組み込む他の実施形態が使用され得ることが、今や当業者にとって明らかになる。従って、これらの実施形態は、開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されるべきであると思われる。
【実施例】
【0124】
(実施例1)
(蛍光インサイチュハイブリダイゼーションによるStaphylococcus aureus以外のStaphylococcus種の分析)
【0125】
【化1】

(注記:このPNAプローブの末端を示すために使用される従来の術語;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;TXR=Texas Red)。
【0126】
(細菌株)
Staphylococcus種(Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、および他の関連する種を含む)の参照株(American Type Culture Collection,(ATCC)Manassas,VA、Agricultural Research Service Culture Collection(NRRL)Peoria,IL)の一晩培養物を調製した。
【0127】
(塗抹標本の調製)
各株について、テフロン(登録商標)コートした顕微鏡用スライドガラス(AdvanDx,Woburn,MA)の直径8mmのウェルに、培養液1滴と1%(v/v)Triton X−100を含むリン酸緩衝化生理食塩水1滴とを混合することにより、塗抹標本を調製した。その後、そのスライドガラスを、55℃のスライドガラス加温器の上に20分間配置した。その時点で、塗抹標本が乾燥した。その後、その塗抹標本を、96%(v/v)エタノール中へ5分間〜10分間浸漬することによって殺菌し、風乾した。
【0128】
(蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH))
塗抹標本を、1滴のハイブリダイゼーション溶液(10%(w/v)硫酸デキストラン、10mM NaCl、30%(v/v)ホルムアミド、0.1%(w/v)ピロリン酸ナトリウム、0.2%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.2%(w/v)フィコール、5mM EDTA二ナトリウム塩、1%(v/v)Triton X−100、50mM Tris/HCl(pH7.5)ならびに250nM CNS16S09b/txr(セットA)またはCNS16S16g/txr(セットB)を含む)で覆った。カバーガラスをその塗抹標本上に静置して、ハイブリダイゼーション溶液によって均一に被覆されていることを確実にした。その後、そのスライドガラスを、スライドガラス加温器(Slidemoat,Boekel,Feasterville,PA)に配置し、55℃で90分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション後に、スライドガラス1枚当たり約20mlの予熱した25mM Tris(pH10)、137mM NaCl、3mM KClの中へ55℃の水浴中でそのスライドガラスを浸漬することによって、そのカバーガラスを取り外し、そのスライドガラスを30分間洗浄した。最後に、各塗抹標本を、1滴の封入剤(AdvanDx、Woburn、MA)を使用して顕微鏡標本作製し、各塗抹標本をカバーガラスにより被覆した。顕微鏡による検査を、FITC/Texas Redデュアルバンドフィルターセットを装備する蛍光顕微鏡を用いて行った。Staphylococcus aureus以外のStaphylococcus種を、赤色蛍光球菌により同定した。
【0129】
【表2】

表2に関して、該表は実施例1由来のデータを、ヘッダー行(行A)によって示したように、種の同定を列1に、種のID番号を列2に、プローブセットAの結果を列3に、そしてプローブセットBの結果を列4に表す。記号「−」は、陰性の結果を、記号「+」は、陽性の結果を示す。陽性の結果は、赤色蛍光または緑色蛍光のどちらかの、サンプル中の蛍光細胞の観察により得点をつけた。表2の列3のプローブセットAについての結果に関しては、赤色蛍光(「赤色陽性」)で陽性と判定されたStaphylococcus epidermidisおよびStaphylococcus haemolyticus(行LおよびN)、ならびに赤色蛍光で両方とも弱い陽性であったStaphylococcus saprophyticusおよびStaphylococcus schleiferi(行PおよびR)を除く、全ての種が陰性(−)と判定された。表2の列4のプローブセットBについての結果に関しては、赤色陽性と判定されたStaphylococcus gallinarium、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus saprophyticus、およびStaphylococcus schleiferi(行M〜PおよびR)を除く、全ての種が陰性(−)と判定された。したがって、実施例により、プローブセットAおよびBは、特定の種で弱いシグナルが観察されたとはいえ、S.aureus以外の特定のStaphylococcus種の検出のために、両方とも有用であり、そしてS.aureus以外の全てのStaphylococcus種の検出のためにはどちらのプローブセットも有用ではないことを示す。Staphylococcus aureus、およびいくつかの他のグラム陽性球菌(例えば、Enterococcus faecalis、およびStreptococcus pyogenes)が、両方のプローブセットで陰性の結果を有したことは注目する価値がある。
【0130】
(実施例2: プローブセットの評価)
【0131】
【化2】

(注意:PNAプローブの末端を示すために慣習的な名称を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;TXR=Texas Red;Flu=カルボキシ−フルオレセイン)
試験は部分的に異なる菌株の群で実施されたが、プローブセットは実施例1に記載したとおり正確に試験された。
【0132】
【表3】

プローブセットCは、フルオレセインで標識された第3のS.aureus特異的プローブと組み合わせた、実施例1のプローブセットAおよびB由来のプローブの混合物である。表3に関して、該表は実施例2由来のデータを、ヘッダー行(行A)によって示したように、種の同定を列1に、種のATCC番号を列2に、プローブセットCの結果を列3に、プローブセットDの結果を列4に、そしてプローブセットEの結果を列5に表す。記号「−」は、陰性の結果を、記号「+」は、陽性の結果を示す。陽性の結果は、赤色蛍光または緑色蛍光のどちらかの、サンプル中の蛍光細胞の観察により得点をつける。表3の列3のプローブセットCについての結果に関しては、Staphylococcus aureusが、緑色陽性と判定された。全ての他のサンプルは、緑色蛍光について陰性であった。S.simulansを除く全ての他のStaphylococcus株が、プローブセットCで赤色陽性と判定された。非Staphylococcusは、プローブセットCで赤色陽性または緑色陽性と判定されなかった。列4のプローブセットDに関して、唯一の陽性の結果は、赤色陽性であったS.simulansで観察された。プローブセットDは、単一のTexas Redで標識されたプローブ種を含み、したがって、緑色蛍光が観察されなかったことは驚きではない。表3の列5で見られるプローブセットEは、プローブセットCおよびD由来のプローブの混合物である。列5において、全てのStaphylococcus種が、緑色蛍光(S.aureusのみ)または赤色蛍光(S.aureus以外のStaphylococcus種)のどちらかで検出されたが、非Staphylococcusは、蛍光シグナルで検出されない。
【0133】
Sta16S03プローブは、そのプローブと標的配列とが完全には相補的ではない(Oliveiraら、J.Clin.Microbiol.40:247〜251(2002))が、Staphylococcus schleiferiと安定なハイブリッドを形成することが、上記の実験において実証された。この実施例において、プローブセットCおよびEでのS.schleiferi由来のシグナルは、赤色陽性である。したがって、Sau16S03プローブとともにプローブセットCまたはEの使用は、以前に報告されたSau16S03プローブだけの使用よりも、S.aureusの、より特異的な検出を提供する。
【0134】
これらのデータは、ある1つの蛍光標識により種コホートを検出し、第二の蛍光標識を用いて単一種を検出する、プローブ混合物が作製され得ることを示す。この実験において試験するStaphylococcus種は、最も臨床的に適切であると考えられるが、本明細書中には含めていない他の実験は、他の多くのStaphylococcus種が、プローブセットBを用いて検出され得ることを実証した。プローブセットA、B、C、およびEを用いて試験したすべての種のうち、Staphylococcus aureusのみが、緑色蛍光シグナルを生じた。
【0135】
本明細書中で引用されるすべての参考文献は、それが活字出版形態であろうと、電子媒体形態であろうと、コンピュータ読出し可能記憶媒体形態であろうと、他の形態であろうと、その全体が参考として明示的に援用される。その参考文献としては、要約、論文、雑誌、刊行物、教科書、学術論文、技術データシート、インターネットウェブサイト、データベース、特許、特許出願、および特許公開物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
本発明の多くの実施形態が、記載されている。それにも関わらず、種々の実施形態が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、理解される。従って、他の実施形態が、特許請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列を含むPNAプローブ。
【請求項2】
S.aureus以外の2種以上のStaphylococcus種の分析のために適切な核酸塩基配列を含むPNAプローブ。
【請求項3】
前記Staphylococcus種の標的配列が、rRNA、rDNAまたはrRNAもしくはrDNAの相補体を含む、請求項1〜2に記載のPNAプローブ。
【請求項4】
Staphylococcus epidermidis、simulans、haemolyticus、lugdunensis、またはsaprophyticusの分析のために適切な前記核酸塩基配列が、Staphylococcus epidermidis、simulans、haemolyticus、lugdunensis、もしくはsaprophyticus rRNAまたはrDNAまたはそれらの相補体の標的配列に相補的な一つ以上のPNAプローブを含む、請求項1〜2に記載のPNAプローブ。
【請求項5】
Staphylococcus epidermidis、simulans、haemolyticus、lugdunensis、またはsaprophyticusおよびStaphylococcus aureus以外の1種以上の他のStaphylococcus種の分析のために適切な前記核酸塩基配列が、Staphylococcus epidermidis、simulans、haemolyticus、lugdunensis、もしくはsaprophyticus rRNAまたはrDNAまたはそれらの相補体の標的配列に相補的なPNAプローブを含む、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項6】
請求項1、2、または5に記載のPNAプローブであって、該プローブの少なくとも一部は、以下の配列:
AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、
GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、
GCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)、
から選択される核酸塩基配列またはその相補体に対して少なくとも約86%同一である、PNAプローブ。
【請求項7】
請求項1、2、または5に記載のPNAプローブであって、該プローブの少なくとも一部は、以下の配列:
AGA−CGT−GCA−TAG−T(配列番号1)、
GCT−AAT−ACG−GCG(配列番号2)、
GCT−AAT−ACG−CCG−C(配列番号3)、
から選択される、PNAプローブ。
【請求項8】
請求項1、2、または5に記載のPNAプローブであって、該プローブ配列は、長さが約8サブユニットと約17サブユニットの間である、PNAプローブ。
【請求項9】
請求項1、2、または5に記載のPNAプローブであって、該プローブは、少なくとも1つの検出可能な部分で標識されている、PNAプローブ。
【請求項10】
請求項1または2に記載の一つ以上のPNAプローブ、およびS.aureusの分析のための少なくとも一つのPNAプローブを含むPNAプローブセット。
【請求項11】
請求項1または2に記載の一つ以上のPNAプローブ、およびS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析のための少なくとも一つのPNAブロッキングプローブを含むPNAプローブセット。
【請求項12】
サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の分析のための方法であって、該方法は、
a)請求項1〜9に記載のPNAプローブのうちの少なくとも1つを、該サンプルと接触させる工程、
b)該PNAプローブを、該サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の標的配列に対してハイブリダイズさせる工程、および
c)該ハイブリダイゼーションを検出する工程であって、該ハイブリダイゼーションの検出は、該サンプル中のS.aureus以外のStaphylococcus種の存在、実体、および/または量を示す、工程、
を含む、方法。
【請求項13】
2種以上のStaphylococcus種の分析のための方法であって、該方法は、
a)PNAプローブセットを、前記サンプルと接触させる工程、
b)該PNAプローブを、該サンプル中にあるStaphylococcus種の標的配列に対してハイブリダイズさせる工程、および
c)該ハイブリダイゼーションを検出する工程であって、該ハイブリダイゼーションの検出は、該サンプル中のStaphylococcus種の存在、実体、および/または量を示す、工程、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法であって、前記プローブは、独立して検出可能であるか、非独立的に検出可能であるか、または独立して検出可能であるものと非独立的に検出可能であるものとの組み合わせであり、該プローブは、わずか一塩基だけ互いに異なり、該プローブは、系統発生的に関連する生物の部分的に保存された標的領域に対して相補的であるかまたは実質的に相補的である、方法。
【請求項15】
請求項12または13に記載の方法であって、S.aureusと、S.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種とが、同時かつ独立的に検出される、方法。
【請求項16】
サンプル中のS.aureus以外の1種以上のStaphylococcus種の分析のためのアッセイを実施するために適切なキットであって、該キットは、
a)請求項1〜9に記載のPNAプローブ、および
b)該アッセイを実施するために必要な他の試薬または組成物、
を備える、キット。

【公表番号】特表2010−525814(P2010−525814A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506249(P2010−506249)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/005245
【国際公開番号】WO2008/133917
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509293567)アドバンディーエックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】