説明

特性向上マイクロカプセル含有印刷インク

【課題】
【解決手段】基材に適用された場合、選択的に向上させた特性を付与する改良印刷インク。特に、前記改良インクには、例えば、身分証明書類などの基材上の印刷されたインクの品質、耐久性、および/またはセキュリティを改善するためにマイクロカプセルを使用する。前記マイクロカプセルは、印刷前、印刷中または印刷完了後に、前記カプセルから放出される特性向上化学成分を含む。前記特性向上成分は、インク基材界面で、印刷インク組成物中、および/または印刷インク表面で、物理的相互作用および/または化学反応を起こすことにより、例えば、印刷されたインクの接着性、耐摩耗性、耐化学性、および粘着力のうち少なくとも一つを向上させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、データカード社(DataCard Corporation)の名でPCT国際出願として出願中であり、2006年3月27日に出願された「特性向上マイクロカプセル含有印刷インク」という名称の米国仮特許出願第60/786,412号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、改良された印刷インク、とくに各種身分証明書類に使用する印刷インク組成物に関するものであり、前記印刷インク組成物は、向上した耐久性および/またはセキュリティといった改善された特性を有する。
【背景技術】
【0003】
身分証明書、クレジットカードおよび運転免許証のようなプラスチックカードならびにパスポートなどの身分証明書類への印刷に使用される多くの印刷技術では、前記書類の通常の使用における耐久性が低い。この欠陥のある印刷技術には、感熱印刷、色素拡散熱転写(D2T2)印刷、インクジェット印刷、インデント印刷、およびエンボス加工後そのエンボス印字をトッピングする技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0004】
これらの印刷技術における欠陥は、使用されるインクにあることが多い。インクの出発形態は、その化学的および物理的性質の点から、これらの技術で印刷することができるようなインクに限定するといった制限のある場合がある。インクジェット印刷のように液体インクを必要とする技術は、粘性、腐食性、成分の化学的性質、安定性などに関して制約がある。感熱印刷、D2T2、インデント印刷およびエンボス/トッピング印刷のような、印刷にリボンを使用する他の技術は、インクコーティング厚、インク粘着性、すなわちタック(tack)、不透明度、乾燥度、薄膜性、放出性、使用期限などに制約がある。
【0005】
より一般的には、印刷をより容易にする特性は、耐久性を低下させる傾向にあり、その逆に、より堅固なインクコーティング、架橋型インク、高強度高分子量樹脂などの耐久性をより高くする特性は、印刷の容易さおよび品質を阻害する傾向にある。
【0006】
別の例は、クレジットカードのインデント印刷の際に使用される現行のインデントリボンである。インデント印刷法は、通常、常温転写リボンとインデントパンチを用いて行われる。リボンを介してパンチがカード表面に衝突すると、インクがリボンからカードの目的領域に転写される。この方法は、タイプライターのメカニズムに幾分似ている。インデント印刷に際し、インクがリボンからカードに転写されるためには、リボンのインクコーティングは、十分薄く、脆弱かつ柔軟であるのが好ましい。インクは、カードのインデントされた領域に転写されるが、経時的に使用に際しかなり容易に剥がれ落ちやすくなり、インデント印字は読みにくくなる。耐久性における同様の欠点は、他の印刷技術でも見られる場合がある。
【0007】
インデント印刷に使用されるインクが直面する別の問題は、例えば、ポリ塩化ビニルのようなプラスチックなど一般に使用される身分証明書基材に対して、従来のインクが付着困難なことである。クレジットカードなどのプラスチックカードの場合、インデント印刷は通常、これらカードの多くの裏面にある署名欄上に行われる。この署名欄は、そのカード基材の残りの部分とは異なる材料でできている。インデント印刷に使用されるインクは、署名欄の材料に付着するように開発されている。例えば、通常、署名欄は、ポリ塩化ビニルなどのカード基材の材料よりも、紙またはインク受容性コーティングといった多孔性および吸着性のより高い材料である。結果として、そのようなインクは、カード基材の残りの部分よりも署名欄によく付着する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、署名欄領域外のプラスチックカード基材上に直接インデント印刷を用いることに対する要望が高まっている。このような場合、署名欄材料に付着するように開発された従来のインデント印刷インクは、カード基材に適切には付着せず、したがって耐久性が低くなるおそれがある。
【0009】
その他の印刷技術においても、同様の欠点が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、印刷の容易さ、印刷の品質、ならびにインクの保存および取扱いにとって重要なインクの主要特性に悪影響を与えることなく、印刷の耐久性およびセキュリティを改善するための新規概念および方法について説明する。基材に適用された場合、選択的に向上させた特性を付与する改良印刷インク組成物について説明する。とくに、これらの改良インク組成物には、基材上への印刷の耐久性を改善するためにマイクロカプセルを使用する。これらの改良印刷インク組成物は、例えば、各種身分証明書類など数多くの基材上に使用し、印刷耐久性の向上ならびに改ざんもしくは不正行為に対するセキュリティの増強など、改善された特性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
そのような身分証明書類のいくつかの例としては、運転免許証、デビットカードおよびクレジットカードといった本人証明および金融カードなどのプラスチックカード、または、国民身分証明カードおよびパスポートといったその他の本人証明書類が挙げられる。本明細書に記載されたインクを使用することのできるその他の例としては、テレホンカードおよびその類似物といった書類、または他の紙書類が挙げられ、また、カード所有者に特有の情報および/または他のカードもしくは書類情報を含むその他の書類も挙げ得る。
【0012】
前記の改良インク組成物には、特性を向上させる化学成分を含むマイクロカプセルを使用する。この特性向上成分は、これらのマイクロカプセルに封入され、印刷前、印刷中、または印刷完了後の所望の時期にカプセルから放出される。この特性向上成分は、放出されると、インク基材界面で、および/または、印刷されたインクの任意の部分において、物理的相互作用および/または化学反応を起こし、その結果、印刷耐久性またはセキュリティといった特性を向上させることができる。印刷されたインクのいくつかの顕著な特性向上としては、接着性、強靭化、耐摩耗性、耐化学性、粘着力、色変化などの改善が挙げられる。
【0013】
マイクロカプセルを使用することにより、例えば、インクおよび/またはリボンの製造中および/または保存中などに、特性向上化学物質がインクと時期尚早に相互作用することを防ぐ。すなわち、マイクロカプセルの使用により、印刷の容易さおよび/または品質を向上させるために実際に使用されるまでは、所望の向上特性を抑制することができる。マイクロカプセル内に存在するこれらの成分のインク中への放出は、そのような成分を放出させるのに適した様々な機構を用いて所望の時期に行われる。マイクロカプセル内のこれらの成分は、いくつかの単なる例として、衝撃、圧力、せん断、熱、放射線、レーザーなど、およびこれらの組合せによって放出させてもよい。
【0014】
基材に適用された場合など、印刷されるインクの、例えば、改善された接着性、耐摩耗性、耐化学性および凝集性など、選択的に向上させた特性を付与するためにマイクロカプセルを使用する改良印刷インク組成物について説明する。本明細書で使用する場合、用語「マイクロカプセル」は、カプセルまたはその他のシェル様封入体を含むことを意図する。これらマイクロカプセルのサイズは、球状であれば直径、カプセルが球状でなければその最大寸法が、約1ナノメーター〜約200ミクロンであってもよいが、これに限定されるものではない。当然のことながら、これらのマイクロカプセルは、いかなるサイズおよび/または形状にも限定されるものではない。さらに、当然のことながら、これらのマイクロカプセルのサイズおよび/または形状は適宜変えてもよく、また、得たい、選択的に向上させる一特性(または複数の特性)、使用する印刷技術、および印刷インクを適用する書類の最終用途によって決めてもよい。
【0015】
前記改良印刷インク組成物を使用することのできる基材は、各種身分証明書類を含むが、これに限定されるものではない。そのような身分証明書類としては、運転免許証、デビットカードおよびクレジットカードといった本人証明および金融カードなどのプラスチックカード、または、国民身分証明カードおよびパスポートといったその他の本人証明書類が、いくつかの例として挙げられる。本明細書に記載されたインク組成物を使用し得るその他の例としては、テレホンカードおよびその類似物といった書類または他の紙書類が挙げられ、また、カード所有者に特有の情報および/または他のカードもしくは書類情報を含むその他の書類も挙げ得る。基材が身分証明書類である場合、前記インク組成物は、身分証明書類上において、インクの向上した耐久性およびセキュリティといった改善された特性を付与することができる。いくつかの例として、基材材料は、プラスチック、紙、コート紙、合成紙、ガラス、織物、金属無機物またはセルロース系物質から成る。この基材は、印刷の前または後に、コーティング、塗装めっきまたは表面処理してもよい。
【0016】
前記マイクロカプセルは、インクの特性を向上させるためおよび/またはインク組成物と基材との相互作用を向上させるため、好ましくは、少なくとも一種の特性向上化学成分を含む。この特性向上成分は、マイクロカプセル内に封入され、印刷前、印刷中または印刷完了後にカプセルから放出される。当然のことながら、マイクロカプセルに使用される成分のいずれも、純粋な形態で、溶液として、分散液として、乳濁液として、または他の不活性成分との混合物として含まれていてもよい。放出されると、前記特性向上成分は、インク基材界面でおよび/またはインク組成物内でおよび/または印刷されたインクの露出表面上のみで、物理的相互作用および/または化学反応を起こし、その結果、基材上の印刷耐久性など、一つ以上の特性を向上させることができる。一例として、特性向上成分が放出されると、その特性向上成分は、成分同士、インク材料と、および/または基材と、物理的相互作用および/または化学反応を起こし得る。空気、熱、湿気、UVまたは他の放射線といった他の要因を採用し、特性向上成分の所望の相互作用を引き起こしてもよい。別の例として、マイクロカプセル内の特性向上成分は、基材への付着性を促進するために放出される接着剤の例におけるように、基材と物理的相互作用を起こすことができる。
【0017】
特性向上成分に由来する他の典型的な特性向上としては、印刷されたインクの接着性、耐摩耗性、耐化学性、耐湿性、粘着力および視覚的品質、耐光性、改ざん証拠、ならびに改ざんまたは不正行為に対する印字のセキュリティの改善が挙げられるが、これらに限定されるものではない。セキュリティの向上としては、印刷前、印刷中、もしくは印刷後または印字改ざんの企て中に、染料の放出、色の変化、フォトクロミックの放出、UV蛍光発光、相転移または感温成分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような向上は、書類改ざんの企てがあった際、印刷物の自己破壊を引き起こすものであってもよい。特性向上はまた、次のものに限定されはしないが、輝度、色および光沢などの特性を含むインクの視覚的品質に関しても達成し得る。
【0018】
マイクロカプセルを使用することにより、インクまたはリボンの製造中および保存中に、特性向上成分がインクまたはその他の成分と時期尚早に相互作用することを防ぎ、使用時まで所望の特性を維持し温存させるようにする。インクを印刷する前の所望の期間、特性向上成分とインクまたは他の成分との相互作用が生じることなく、マイクロカプセルがインク内に保持されることが、望まれることの一つである。例えば、マイクロカプセルは、インクを印刷しなければ、最長約1〜7年間インク内で元の状態を保持するよう設計することができる。すなわち、一実施形態においては、マイクロカプセル自体が保存カプセルの役割を果たす。
【0019】
マイクロカプセルからインク内への特性向上成分の放出は、マイクロカプセルを破壊し特性向上成分を放出させるため、次のものに限定されはしないが、衝撃、圧力、せん断、熱、放射線、レーザーなど、およびこれらの組合わせといった放出に適した機構を用いて所望の時期に行い得る。一実施形態では、印刷の作業中および/または印刷後、特性向上成分を放出するためにマイクロカプセルの破壊が生じる。
【0020】
インクおよびマイクロカプセルに使用される成分のいくつかの例にいく前に、一般に使用されるインクは、通常、着色剤、その着色剤に結合する樹脂および添加剤を含むことが知られている。インクがリボンの形態である場合、一般に、着色剤、樹脂および添加剤から構成されるインク溶液を担体に塗布することにより製造される。そして、このインクを乾燥させ、前記担体上にコーティングを形成する。インクリボンは、次のものに限定されはしないが、放出層、接着層、サイジングコート(sizing coats)、下塗剤、磨耗被膜(wear coat)、バックコートなどの他の層も備えていてもよい。当然のことながら、そのような更なる層は、インクと担体との間に、または、インクを担体上に配置した後に配置してもよい。そして、そのようなコーティングを施した担体は、プリンターでの使用に望ましい形態に適宜加工してもよい。
【0021】
担体を使用する場合、所望の最終要件に基づいて担体を選択してもよい。前記担体の材料の一例は、ポリエステルフィルムである。次のものに限定されはしないが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンナフタレート)などのポリエステルが、担体の最も好ましい材料として挙げられる。その他の物質を、担体の材料として採用してもよい。そのような材料としては、次のものに限定されはしないが、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリエーテル類、ポリカーボネート類、ポリ(塩化ビニル)、ポリフッ化物、セルロース系材料、アクリル類、ウレタン類、アセテート類、これらの共重合体、紙類、剥離紙類などが挙げられ、担体に使用し得る。当然のことながら、担体は、選択した印刷技術に要求される、必要な熱安定性、伝熱性、機械的強度、厚さおよび表面特性を備えている。上述の通り、担体がより印刷技術に利用しやすくなるように、バックコートまたは剥離コートなどの更なる層を担体に付加してもよい。
【0022】
印刷インク組成物中のインク材料およびマイクロカプセルの成分のいくつかの例を以下に記載するが、この場合、特性向上成分を含むそのようなマイクロカプセルを使用することにより、一般に使用されるインクを改良し得る。
【0023】
インク材料としては、着色剤、その着色剤を結合する樹脂、インク溶剤、任意数の添加剤および加工剤を含む。前記着色剤としては、様々な色の顔料または染料、有機または無機材料、カラーシフトインク、金属インク、名前入りの書類を識別するためのセキュリティ性を付与することのできるタガントなどのセキュリティインク、反射インク、反射ビーズ、カラーシフトインク、蛍光インクおよびそのような材料の任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、用語「インク」は、色があるものであっても、インク材料として適用するか、または、インク材料と併せて適用してもよい透明被膜材料のように色のないものであってもよく、広義に解釈されるものとする。一実施形態において、無色インクとしては、ニス、上塗り塗料、透明塗料、下塗剤または接着剤が挙げられる。
【0024】
樹脂の例としては、アクリル類、ビニル類、ポリエステル、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリオレフィン類、炭化水素類、アルキド類、天然および合成材料、ゴム類、ポリウレタン類、エポキシ類、尿素、尿素ホルムアルデヒド類、アセテート類、ポリビニルアルコール類、共重合体、ポリオール類、モノマー類、ワックス類、シリコン類、セルロース系材料およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
インク溶剤は、次のものに限定されはしないが、水、有機溶媒類、油類、モノマー類、可塑剤およびそれらの混合物などの溶媒であってもよい。インク材料用の添加剤としては、表面活性剤、可塑剤、消泡剤、潤滑剤、ワックス類、粘着付与剤、安定剤、酸化防止剤およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
マイクロカプセルは、少なくとも一つの特性向上成分を含む。通常、この特性向上成分は、非反応性成分または反応性成分の少なくとも一つであり、両者の組合せを含んでいてもよい。この非反応性成分は、物理的に、インク材料の特定の特性を向上させ、且つ/またはインク材料と、インク材料を適用する基材との相互作用を向上させることができ、また、セキュリティのために視覚的変化をもたらす場合もある。前記反応性成分は、インク材料、インク成分、および/もしくは他のマイクロカプセル成分と、または空気、熱および/もしくは放射線と化学的に反応し、インク材料の特定の特性を向上させ、および/またはインク材料と基材との相互作用を向上させてもよい。当然のことながら、二種類以上の反応性成分および/または非反応性成分は、別個のカプセルに含まれていてもよい。放出されると、これらの成分は、それぞれ互いにおよび/またはインク材料の他の成分と相互作用および/または反応し得る。これらのマイクロカプセルは、印刷インク組成物全体の任意の一層/複数層に存在していてもよい。
【0027】
マイクロカプセルのサイズは、球状カプセルの場合は直径、非球状カプセルの場合はその最大寸法が、約1ナノメーター〜200ミクロンであってもよい。しかし、当然のことながら、そのような範囲は単なる例示にすぎず、所望の特性向上成分のカプセルへの封入や、所望のインク適用方法における使用に適切および/または必要なものとして、他のサイズおよび形状を採用してもよい。さらに、当然のことながら、マイクロカプセルのサイズは、マイクロカプセルを破壊するために使用する手段、インクの形態、マイクロカプセル壁材料の特性などのような多数の要因によって決まる場合もある。
【0028】
コーティングしたリボンの例では、マイクロカプセルの平均サイズは、コーティング厚未満であることが望ましい場合もある。例えば、インク厚が12ミクロンのプリンターリボンは、マイクロカプセルの最大平均サイズが12ミクロンであってもよい。インク粒子サイズおよびマイクロカプセルサイズは、所望の印字解像度によっても左右され得る。より細かい解像度を得るために、より細いサイズのマイクロカプセルを使用してもよい。さらに別の例において、インパクトプリンターは、そのプリンターの衝撃力で最大破壊を得られるようにマイクロカプセルサイズを選択してもよい。
【0029】
壁厚がマイクロカプセルの関連要因である、さらに別の例においては、極限の環境におけるように、壁が厚いほうがカプセル材料の安定性はより良くなる傾向にある。よって、そのような構成においては、壁がより厚い場合、より大きなマイクロカプセルを必要とする場合もある。マイクロカプセルの壁が厚くなれば、さらに、圧力により破壊されにくくなり得るが、その一方で、小さなマイクロカプセルは、圧力/衝撃により破壊しにくい場合もある。したがって、圧力がマイクロカプセルを破壊する手段である例においては、使用する壁厚とマイクロカプセルのサイズとの間のバランスが必要な場合もある。さらに別の例では、インクコーティング厚もマイクロカプセルサイズを決定するのに一役買うことがある。例えば、12ミクロン厚のドライインクコーティング厚が望ましい場合、最大マイクロカプセルサイズは約12ミクロンであろう。当然のことながら、様々な厚さをインクコーティングに採用してもよいが、インク被膜が厚くなると、印字された文字は、はがれやすくエッジ解像度が劣りやすい場合もある。よって、マイクロカプセルサイズ、壁厚および材料は、それらが使用される特定の用途に対し、特性向上成分の最大の利点を得るよう、正しく選択されなくてはならないであろう。
【0030】
一実施形態において、マイクロカプセルは、次のものに限定されはしないが、アクリル系、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル、アクリルアミド、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ、フェノール系、ポリスチレン、ポリ尿素、ロジン、デンプン、グルテン、セルロース系、ゼラチンまたはこれらの組合わせなどのシェル材料を含む。当然のことながら、マイクロカプセルは、当該技術分野において周知の各種材料により製造してもよく、また、当業者は、本明細書に記載された新規構成成分のいずれかをカプセルに封入するための使用に適したシェル材料を選択することができるであろう。
【0031】
例えば、液体カプセルにおいては、1950年代および1960年代に開発された二つの方法である尿素ホルムアルデヒドおよびゼラチンカプセルが今なお広く使用されている。いくつかの周知の例としては、3Mのスクラッチ・アンド・スニフ(Scratch and Sniff)製品およびノーカーボン紙に使用されるカプセルに封入されたインクなどが挙げられる。これらの場合、その製品は、非混合性液体材料のコアと、尿素ホルムアルデヒドまたは架橋ゼラチンのシェルとで構成されている。このようにして調製されたマイクロカプセルは、カプセル中最高85%まで液体を充填した、8ミクロンという小さなものである得る。この液体は、圧力、せん断または熱により、そのシェルを物理的に破壊することによって放出される。充填材料としては、油類、ワックス類、炭化水素溶媒系インクおよび樹脂が挙げられる。
【0032】
いくつかのさらなる例として、マイクロカプセルを調製する方法が、例えば、米国特許第4,087,376号、第4,001,140号、第4,273,672号、第5,961,804号、第6,375,872号、第6,592,990号明細書に開示されている。ミネソタ州ウッドベリー(Woodbury、MN)のアヴェカ社(Aveka Inc.)は、これらマイクロカプセル材料のそのような製造業者の一つである。アヴェカ社は、造粒および噴霧乾燥などの他の処理によりマイクロカプセル材料を製造することもできる。これらの方法で収容できる充填材はより少量であり、その充填材は、コア/シェル構成中ではなく粒子全体に分散している。そのほかに、多様な用途用のマイクロカプセルの製造を専門とする、オハイオ州デイトン(Dayton、Ohio)のマイクロテック・ラボラトリーズ・アンド・ロナルド・T・ドッジ社(Microtek Laboratories and Ronald T. Dodge Company)およびネバダ州ヘンダーソン(Henderson、Nevada)のティース・テクノロジー(Thies Technology)などの会社がある。
【0033】
当然のことながら、カプセル壁材料は、カプセルに封入された特性向上物質と反応せず、且つ、同物質中に溶解しないように選択される。さらに当然のことながら、カプセル材料はまた、化学薬品に対し、または、液体、リボンなどあらゆる形態のインク製造の、熱、圧力、せん断などの処理パラメータに対して耐性を有するべきである。また、当然のことながら、マイクロカプセルがいったん破壊されると、マイクロカプセル壁の材料は、印刷されたインク組成物とともに不活性充填材として残留する場合もある。
【0034】
一実施形態において、印刷インク組成物におけるインク材料に対するマイクロカプセルの濃度は、カプセルサイズ、使用されるインク材料の種類、使用する向上化合物の種類および所望のまたは目標とする向上、印刷技術、ならびに、熱、放射線、圧力および保存時間といった利用可能な他の条件によって決めることができる。前記濃度は、約95%から約1%のあいだで変化してもよい。
【0035】
別の例として、マイクロカプセル濃度は、10〜50%の間であってもよい。一定の用途においては、これ以上の濃度の場合、インクは不透明性を失い望ましくないインクとなる場合もあるが、5%未満の場合は、セキュリティのためにタガントまたは他の痕跡化合物を添加するという唯一の目的のために使用されるのでなければ、あまりにも少量のため効果がない場合もある。タガントまたは他の痕跡化合物をセキュリティのために添加するような構成においては、約0.2%以下の濃度でじゅうぶんであろう。当然のことながら、これらの濃度は、用途によっては前記の範囲外で変化させてもよい。
【0036】
さらに別の非限定的な例として、適用されるインクの種類によって、異なるマイクロカプセル濃度が必要となることもある。例えば、衝撃によって厳密に適用されるインデントリボンインクは、耐久性を得るために、例えば、熱および圧力によって陽刻文字に適用されるトッピングフォイルとは異なったカプセルおよび量を必要とすることがある。
【0037】
一実施形態において、マイクロカプセル内に使用し得るセキュリティ向上物質の例としては、ロイコ染料、UV蛍光剤、フォトクロミック染料および/または相転移ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。セキュリティ向上物質の使用により、より少量のタガント材料の使用で、所望の最終的なセキュリティ向上効果を提供することを可能にし得る。また、そのようなセキュリティ向上物質を使用することにより、コーティングされたフィルムの特定の層にタガント材料を配置することが可能となる。
【0038】
マイクロカプセルに封入された非反応性の向上成分のいくつかの例を下記に示す。前記非反応性成分は、好ましくは化合物であり、以下の接着剤、粘着付与剤、溶媒、可塑剤およびワックス類の一つ以上を含んでいてもよい。そのような材料は、基材の接触面を軟化、エッチングまたは溶解することなどにより、インクの基材への付着を増強することができる。これらの構成成分は、インク材料に粘着性を付与し、基材から剥がれ落ちにくくすることも可能である。一実施形態において、ワックス類は、とくにインク材料の耐擦過性を改善することができる。いくつかの採用し得る接着剤としては、次のものに限定されはしないが、アクリル類、ウレタン類、炭化水素類、ビニル類、ポリエステル類、ゴム系材料、シリコン類、ポリビニルアルコール類、エチレンビニルアセテート(EVA)、スチレンブロック共重合体(SBC)、ポリイソブチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ビニルトルエン/ブタジエン共重合体、ビニルトルエン/アクリレート共重合体、スチレン/アクリレート共重合体およびこれらの組合せなどの感圧接着剤(PSA)が挙げられる。接着剤は、インクの密着性および粘着性を改善することができる。
【0039】
粘着付与剤のいくつかの例としては、次のものに限定されはしないが、ポリアミド類、ポリエステル、シリコン類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ロジンエステル類、その他の樹脂類、ロジン類および炭化水素類、テルペン類、フェノール類、ポリエステル、その他の重合体、ならびにこれらの組合せなどの物質が挙げられる。
【0040】
溶媒のいくつかの例としては、ケトン類、エステル類、アルコール類、グリコール類、アセテート類、炭化水素類およびこれらの組合せなどの有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
ワックス類のいくつかの例としては、天然もしくは合成の物質および/またはこれらの組合わせが含まれる。一般に、粘着付与剤、溶媒および可塑剤は、印刷された基材に対するインクの接着性を改善する。ワックスは、磨耗または損傷耐性をさらに向上させることができる。
【0042】
マイクロカプセルに封入される反応性成分のいくつかの例を下記に示す。これらの反応性成分は、好ましくは化合物であり、以下の樹脂、架橋剤、硬化剤および触媒のうちいずれか一つ以上を含んでいてもよい。反応性樹脂は、例えば、水素結合のような物理的相互作用または化学反応のための部位を提供することができる。架橋剤および硬化剤は、反応性樹脂のための共反応物質として含まれていてもよく、その場合、これらの物質は所望の反応に関与する。触媒は、引っかき耐性、磨耗耐性、衝撃耐性、UV分解耐性ならびに耐湿性および耐化学性などのようなインクの特性を向上させる反応の促進を助けることができる。
【0043】
当然のことながら、用語「樹脂」は、天然および合成樹脂も、合成高分子も含むよう意図されており、それぞれの反応性および非反応性の両タイプを含んでいてもよい。記載したように、架橋剤は、反応性樹脂に添加され、その反応または架橋を助ける物質であるが、触媒はその反応または架橋を促進することができる。
【0044】
樹脂のいくつかの例としては、カルボキシ末端ポリエステル樹脂、ヒドロキシル末端ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウラルキド樹脂、ならびにコンゴ、コーパル、ダマールおよびカウリなどの天然樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、エステルガム、フェノール樹脂材料、ロジン、エポキシ、イソシアネート類、メタクリル化オリゴマー類、アクリル化メラミン−ホルムアルデヒド、アクリル化モノマー類、チオレン脂環式エポキシド類、ビニルエーテル類、スチレン、セルロース系材料、ポリビニルアルコール、シリコン類、シアノアクリレート類、スチレン無水マレイン酸(SMA)といった例も挙げられる。
【0045】
架橋剤または硬化剤のいくつかの例としては、エポキシ樹脂、2−ヒドロキシアルキルアミド類、テトラメトキシメチルグリセリル、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、イソシアネート類、ブロック化イソシアネート類、トリグリセリド類、グリセロールエポキシエステル類および脂肪酸のトリエステル類などの乾性油、脂肪族アミン類、フェノール類、ポリイソシアネート類、アミン類、尿素、カルボン酸類、アルコール類、ポリエーテル類、尿素ホルムアルデヒド、メラミン類、アルデヒド類、多価アニオン類の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
触媒のいくつかの例としては、アルコール類、フェノール類、弱酸類、アミン類、金属塩類、ウレタン類、キレート類、有機金属材料、光開始剤、フリーラジカル開始剤、強酸類のオニウム塩類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
当然のことながら、樹脂、架橋剤および触媒として列挙したような物質は、単なる例示に過ぎず、その他の物質も、インク材料の特性向上性またはインク材料と基材との相互作用を得るのに適したものとなるよう採用してもよい。
【0048】
さらに、当然のことながら、樹脂、架橋剤および触媒という用語は、物理的形態および濃度に基づいて互換的に使用してもよい。例えば、樹脂は、一般に比較的高い分子量の化合物または高分子化合物とみなされている。一般に、架橋剤または触媒は、低分子量化合物である。しかし、樹脂は、触媒または架橋剤のように作用するよう適切な官能基で修飾することができる。硬化剤は、低分子量化合物として、または樹脂としての役割を果たすことのできる多量体型にて入手可能である。さらに別の例において、反応性化合物はさらに、いかなる架橋剤も触媒も使用することなく互いに反応することのできる1種類以上の樹脂を含んでいてもよい。
【0049】
さらに、当然のことながら、反応性成分のいずれも、マイクロカプセルの内部および/またはインク中などのマイクロカプセル外部の成分中に存在していてもよい。一例として、反応が望まれるまで反応性物質を分離しておくように、マイクロカプセル内部または別の層内の反応性物質と反応する反応性物質を、マイクロカプセル外部に採用してもよい。例えば、イソシアネートがポリオールと反応する場合、ポリオールはインク材料の一部であってもよく、また、イソシアネートはカプセル内に封入するか、またはインク材料の層の上部もしくはその下の別のコーティング内に存在してもよい。さらに別の例において、非反応性成分もインク材料の層の中に存在していてもよく、適切な場合には、放出および/または接着層内にさらなる非反応性成分も存在していてもよい。
【0050】
当然のことながら、少なくとも一つの反応性成分および/または非反応性成分がマイクロカプセル内にある限り、反応性および非反応性物質は、マイクロカプセル外部にあってもよい。いくつかの実施形態において、第二または第三の反応性成分をカプセルに封入してもよいが、第二の反応性成分をカプセルに封入することを必要としない実施形態もあり、また、第二の反応性成分をまったく使用しない実施形態もある。
【0051】
さらに別の実施形態においては、使用する各反応性成分を、別個のマイクロカプセルに含有させ、そのインク組成物が異なる種類のマイクロカプセルを有するようにしてもよい。例えば、リボン形態の基材のような担体を使用する場合、異なった種類のマイクロカプセルが、所望の比率で、リボンの様々な層内の所望の位置に存在していてもよい。本明細書に説明するように、当然のことながら、担体を使用する場合、マイクロカプセルは、インク層に、または、接着層もしくは放出層などの別の層に存在していてもよく、あるいは、三層すべてに存在してもよい。放出されると、反応性成分は相互におよび/またはインク材料と反応し、所望の特性向上をもたらすことができる。
【0052】
下記の表1は、マイクロカプセル内に存在し得る反応性化合物用の樹脂、架橋剤および触媒の組合せのいくつかの例を示す。当然のことながら、これらの組合せは、単なる例示にすぎず、他の組合せも所望の特性向上を達成するために必要に応じて採用してもよい。前述のように、樹脂、架橋剤または触媒という用語は互換的に使用してもよい。
【0053】
【表1】

【0054】
例えば、リボン形態の担体のような担体を採用する場合、マイクロカプセルは様々な構成でインク材料に対して位置するか、または、配置される。図1〜図4は、様々な印刷インク材料における、インク材料14およびマイクロカプセル16の様々な組成物についていくつかの典型的な構成を示す。当然のことながら、下記の印刷インク組成物構成、すなわち、インク材料14、マイクロカプセル16、および/または担体12は、上記概念のいずれを採用してもよい。さらに、当然のことながら、マイクロカプセル16は、下記の典型的な構成におけるように、印刷インク組成物の特定の層にある樹脂またはその他の添加剤などの他の成分中に分散していてもよい。
【0055】
図1は印刷インク材料10を示す。この印刷インク材料10は、インク材料14およびマイクロカプセル16を有する組成物を含み、マイクロカプセル16は、担体12とは反対の外側に個別の層として位置する。インク材料14およびマイクロカプセル16は、適切な基材(例えば、身分証明書類)上に、示した矢印の方向に印刷されるよう構成されている。放出が望まれるまでマイクロカプセル16をそれぞれの層内に保持するために、バインダー樹脂を採用してもよい。インク材料14は、マイクロカプセル16の層と担体との間の個別の層に配置される。担体12は、マイクロカプセル16の層およびインク材料14の層ならびにその組成物に使用し得る他の成分を担持するように構成されたリボン材料などの適切な基材であればよい。
【0056】
図2は、印刷インク材料10Aを示し、これは、担体12側に個別の層として位置する、マイクロカプセル16が示されている組成物を含む。図示のように、マイクロカプセル16は、担体12とインク材料14との間の層内にある。組成物10の場合と同様、放出が望まれるまでマイクロカプセル16をそれぞれの層内に保持するために、バインダー樹脂を採用してもよい。担体12は、マイクロカプセル16の層およびインク材料14の層ならびにその組成物に使用し得る他の成分を担持する。図2は、担体12と反対の外側に、個別の層に配置されたインク材料14を示している。インク材料14およびマイクロカプセル16は、適切な基材(例えば、身分証明書類)上に、示した矢印の方向に印刷されるよう構成されている。
【0057】
図3は、印刷インク材料10Bを示し、これは、同一層内に分散したマイクロカプセル16およびインク材料14が示されている組成物を含む。この構成において、マイクロカプセル16およびインク材料14は、同一層内で混合している。しかし、当然のことながら、これらのカプセルは、例えば、印刷インク組成物10Bの適用後など、放出が望まれるまでマイクロカプセル内の化合物の放出が起こらないように元の状態を保持する。図3は、インク材料14でマイクロカプセル16を分散させた単一層を示す。さらに、当然のことながら、各層がマイクロカプセル16をインク材料14に分散させた個別の層である、複数の層を使用してもよい。インク材料14およびマイクロカプセル16は、適切な基材(例えば、身分証明書類)上に、示した矢印の方向に印刷されるように構成されている。
【0058】
図1〜図3に示した矢印は、印刷インク組成物が、基材上に印刷される場合に対面する方向を示す。当然のことながら、上記図1〜図3に示した構成の組合せは、所望の特性向上効果を達成するのに適したものとして採用してもよい。
【0059】
図4は、印刷インク組成物10Cに関するさらに別の実施形態を示し、インク材料14およびマイクロカプセル16はともに分散しているか、または混合しているが、担体担持はない。そのような構成において、印刷インク組成物10Cは、従来のリボンまたはフィルムとは別の供給(delivery)機構によって基材に適用され得る。そのような供給機構としては、例えば、加圧噴霧技術、すなわち、インクジェット、流体供給装置、グラビア印刷、スポンジまたはパッドのアプリケーター、スクリーン印刷、はけ塗り、スピンコーティング、ディップコーティングなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。印刷インク組成物10Cは、容器内で保存してもよく、また、加圧容器内に入れてもよい。当然のことながら、基材(例えば、カード)上に印刷インク組成物10Cを噴霧する適切な速度を採用することにより、マイクロカプセル16内の化合物を基材との衝突により放出させることができる。次のものに限定されはしないが、熱、圧力、せん断、衝撃、放射線などのようなその他の手段も、カプセル内にある成分を放出させるために採用してもよい。
【0060】
図5Aは、印刷インク材料10Dのさらに別の実施形態の幅を示す概略図である。印刷インク材料10Dは、上面図に示されている、担体12により担持されている印刷インク組成物を含む。図示のように、この印刷インク材料は、印刷インク組成物を有する部分を含み、また、印刷インク組成物を担持していない部分18を含む。部分18は、印刷インク組成物を担持していない、担体12の「フリー」または「ブランク」領域である。部分18は、マイクロカプセル16を阻害または破壊しないように担体基材の領域を切断できるようにする。そのような構成においては、複数の印刷インク組成物の製造作業中、すなわち、切断/加工(slitting/converting)作業中など、マイクロカプセル内にある化合物の時期尚早の放出を防止することができ、インク材料を含まない領域が、スリッターナイフがこの実施形態を切断する場所となるであろう。
【0061】
この構成は、より幅の広い印刷インク材料が、担体12のより広い領域上に多数の印刷インク組成物を用いて製造される製造段階において、特に有益であり得る。図5Bに示すように、より幅の広い印刷インク材料に対しては、複数の部分18が、複数の印刷インク組成物を分離し得るため、複数の印刷インク組成物を製造することができる。
【0062】
図5Cは、図5Bに示した印刷インク材料10Dの部分的断面を示す。図5Aおよび図5Bは、部分18が、印刷インク材料10Dの長さに沿って延びている「フリー領域」の条片であり得ることを示している。図5Aから図5Bは、例示のみを目的として、印刷インク組成物がその上に印刷される、図3の構成と類似の基材に対面する層内でマイクロカプセル16がインク組成物14と混合している上面図であり、図5Cはその断面図である。
【0063】
図6は、インク材料14およびマイクロカプセル16を含む印刷インク組成物を有する印刷インク材料10Eのさらに別の実施形態の概略断面図を示す。印刷インク材料10Eは、放出層20および接着層22も有する。一例として、放出層20は、担体12と、インク材料14およびマイクロカプセル16の組成物との間に配置される。放出層20は、インク材料14およびマイクロカプセル16の担体12からの放出を促進させるために構成されている。
【0064】
接着層22は、インク材料14とマイクロカプセル16の組成物の外側であって、担体12の反対側に配置される。接着層22は、印刷インク組成物が印刷されるかまたは適用される基材に対面するように構成されている。接着層22はさらに、基材(すなわち、カード)への印刷インク組成物の接着を促進し得る。図示した矢印は、基材への印刷インク組成物の印刷が望まれる場合に、印刷インク組成物が対面する方向を示している。図6は、図1と同様に、インク材料14およびマイクロカプセル16の層構成を示している。しかし、当然のことながら、図1〜図5Cで説明した印刷インク組成物構成のいずれにおいても、放出層および接着層も採用し得る。
【0065】
図7および図8は、それぞれ、印刷インク組成物10Fおよび10Gのさらに別の実施形態を示す。図7は、組成物10Gの別個の層に配置されている、担体12から離れた最も外側の方に面している、異なったマイクロカプセル16Aおよびマイクロカプセル16Bを示している。当然のことながら、マイクロカプセル16Aおよび16Bがそれぞれ存在する層は、所望または必要に応じて入れ替えてもよく、また、所望または必要であれば、図示されている各層内で混合してもよい。一実施形態において、マイクロカプセル16Bは、組成物10Fの接着層22内に配置されてもよく、マイクロカプセル16Aは、組成物10Fのインク層14内に配置される。
【0066】
図8は、組成物10Gの別個の層に配置されている異なったマイクロカプセル16Aおよびマイクロカプセル16Bを示しており、マイクロカプセル16Bは、担体12から離れた最も外側の方に面しており、マイクロカプセル16Aは、担体と、マイクロカプセル16Bが配置されている層とのあいだの層に配置されている。一実施形態において、マイクロカプセル16Aは、組成物10Gの放出層20に配置されてもよく、マイクロカプセル16Bは、組成物10Gのそれら自身の層に配置される。組成物10Fの場合と同様に、当然のことながら、組成物10Gにおいて、マイクロカプセル16Aおよび16Bがそれぞれ存在する層は、所望または必要に応じて入れ替えてもよく、また、所望または必要であれば、図示されている各層内で混合してもよい。
【0067】
さらに、当然のことながら、図1〜図3および図6〜図8で説明した構成のいずれも、図5A〜図5Cに示した部分18と同様に、「フリー」または「ブランク」領域を備えた担体上に適宜採用してもよい。すなわち、図1〜図3および図6〜図8の印刷インク組成物のいずれも、インク材料およびマイクロカプセルからなる一つ以上の組成物構成を、非連続的形態の担体上に選択的に適用することにより使用してもよい。
【0068】
以下は、図面で説明した構成のうちいくつかについて採用し得る使用可能な印刷インク組成物の、さらなる非限定的な例である。
【0069】
実施例A−図1:特性向上成分としての感圧接着剤:
次の組成のインク材料を調製した。
【0070】
【表2】

【0071】
このインクを、0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させ、#15マイヤーロッドで計量した。このインクを、200°Fで20秒間乾燥させることにより、この実施形態は、接着剤被膜のための準備が整った。
【0072】
次の組成の接着剤を調製した。
【0073】
【表3】

【0074】
上記接着剤を前記インク被覆フィルム上に付着させ、#10マイヤーロッドで計量した。この被覆フィルムを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0075】
実施例B−図3;特性向上成分としての感圧接着剤:
次の組成のインクを調製した。
【0076】
【表4】

【0077】
このインクを、0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させ、#20マイヤーロッドで計量した。このインクを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、この実施形態は、印刷リボンへの加工の準備が整った。
【0078】
実施例C−図3;特性向上成分としての空気乾燥アルキド:
次の組成のインクを調製した。
【0079】
【表5】

【0080】
このインクを、0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させ、#24マイヤーロッドで計量した。このインクを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、この実施形態は、印刷リボンへの加工の準備が整った。
【0081】
実施例D−図1;特性向上成分としての粘着付与剤:
次の組成のインクを調製した。
【0082】
【表6】

【0083】
このインクを、0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させ、#15マイヤーロッドで計量した。このインクを、200°Fで20秒間乾燥させることにより、この実施形態は、接着剤被膜のための準備が整った。
【0084】
次の組成の接着剤を調製した。
【0085】
【表7】

【0086】
前記接着剤を、前記インク被覆フィルム上に付着させ、#10マイヤーロッドで計量した。この被覆フィルムを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0087】
実施例E−図6;特性向上成分としてのイソシアネート:
次の組成のインクを調製した。
【0088】
【表8】

【0089】
このインクを、95三重らせんグラビアシリンダーを用いる直接グラビア印刷によって、0.48ミルの放出被覆したポリエステルフィルム(このフィルムの放出側上に被膜)上に付着させた。このインクを、200°Fで20秒間乾燥させることにより、この実施形態は、接着剤被膜のための準備が整った。
【0090】
次の組成の接着剤を調製した。
【0091】
【表9】

【0092】
前記接着剤を、直接グラビア印刷法および140三重らせんグラビアシリンダーを用いて前記インク被覆フィルム上に付着させた。この被覆フィルムを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0093】
実施例F−図7;インク被膜における特性向上成分としてのUVモノマーおよび接着剤被膜における特性向上成分としての粘着付与剤:
次の組成のインクを調製した。
【0094】
【表10】

【0095】
このインクを、95三重らせんグラビアシリンダーを用いる直接グラビア印刷によって0.48ミルの放出被覆したポリエステルフィルム(このフィルムの放出側上に被膜)上に付着させた。このインクを、200°Fで20秒間乾燥させることにより、この実施形態は、接着剤被膜のための準備が整った。
【0096】
次の組成の接着剤を調製した。
【0097】
【表11】

【0098】
前記接着剤を、直接グラビア印刷法および140三重らせんグラビアシリンダーを用いて前記インク被覆フィルム上に付着させた。この被覆フィルムを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0099】
実施例G−図8;放出被膜における特性向上成分としてのUVモノマーおよびインク被膜における別の特性向上成分:
次の組成の放出コーティングを調製した。
【0100】
【表12】

【0101】
前記の放出コーティングを、直接グラビア印刷法および140三重らせんグラビアシリンダーによって、0.48ミルの未処理ポリエステルフィルム上に配置した。
【0102】
次の組成のインクを調製した。
【0103】
【表13】

【0104】
このインクを、95三重らせんグラビアシリンダーを用いる直接グラビア印刷によって前記被覆フィルムの放出側上に付着させた。このインクを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、この実施形態は、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0105】
実施例H−図4;特性向上成分としてのUV硬化性樹脂:
次の組成のインクを調製した。
【0106】
【表14】

【0107】
このインクを、基材上に噴霧またはインクジェットで付着させ、つぎに外部からの手段、すなわち熱、圧力などによってマイクロカプセルを乾燥させ活性化した後、UV硬化させる。
【0108】
実施例I−図5;特性向上成分としての感圧接着剤:
次の組成のインクを調製した。
【0109】
【表15】

【0110】
このインクを、0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させ、直接グラビアコーティング法によって95三重らせんシリンダーを用いて計量した。このグラビアシリンダーには、インクを含まないフィルムの細路がウエブ全体にあるように細路が彫られていた。このインクを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、この実施形態は、印刷リボンへの加工の準備が整った。
【0111】
実施例J−図2;インク被膜における特性向上成分としてのエポキシおよび接着剤被膜における特性向上成分としての粘着付与剤:
次の組成のマイクロカプセル混合物を調製した。
【0112】
【表16】

【0113】
前記のマイクロカプセル混合物を、直接グラビア法および120三重らせんグラビアシリンダーを用いて0.6ミルの未処理ポリプロピレンフィルム上に付着させた。
【0114】
次の組成のインクを調製した。
【0115】
【表17】

【0116】
このインクを、95三重らせんグラビアシリンダーを用いて直接グラビア印刷によって前記フィルムの被覆側の上記被覆フィルム上に付着させた。このインクを、200°Fで30秒間乾燥させることにより、印刷工程用のリボンへの加工の準備が整った。
【0117】
説明した印刷インク組成物および材料は、多様な印刷用途に有用である。印刷インク組成物および材料が有用である特定の一例は、インデント印刷用途におけるものである。本明細書で説明した技術を利用し得る他の印刷技術としては、感熱印刷、インパクト印刷、ホットスタンピング、ローラー塗布、エンボス印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スプレー印刷、スポンジまたはパッド印刷およびラミネート印刷などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で説明したような印刷インク組成物は、従来のインクが適切に付着しないか、または、印刷後に望ましい特性を付与しない場合もある任意の基材表面にインクを適用するのに有益となり得る。
【0118】
以上の説明に関して、特に、採用した構成材料、ならびに成分のサイズ、濃度および配置に関しては、本発明の範囲を逸脱することなく、細部にわたって変更し得ることを理解されたい。本明細書および示した実施形態は例示に過ぎず、本発明の真の範囲および精神は、クレームの広範な意味により示されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、印刷インク組成物の一実施形態の概略断面図であり、その組成物は担体に担持されている。
【図2】図2は、印刷インク組成物の別の実施形態の概略断面図であり、その組成物は担体に担持されている。
【図3】図3は、印刷インク組成物のさらに別の実施形態の概略断面図であり、その組成物は担体に担持されている。
【図4】図4は、印刷インク組成物の別の実施形態の概略図であり、その組成物は、担体を用いることなく互いに混合されたインクおよびマイクロカプセルを含む。
【図5A】図5Aは、印刷インク組成物のさらに別の実施形態の概略上面図であり、その組成物は、インク組成物を含まない担持領域を有する担体に担持されている。
【図5B】図5Bは、印刷インク組成物の別の実施形態の概略上面図であり、この印刷インク組成物を含まない複数のブランク担持領域を有する単一の担体上にある複数の印刷インク組成物を示している。
【図5C】図5Cは、図5Bに示した印刷インク組成物の部分断面を示す。
【図6】図6は、印刷インク組成物のさらに別の実施形態の概略断面図であり、接着層および放出層の一実施形態を示している。
【図7】図7は、印刷インク組成物のさらに別の実施形態を示し、その組成物は担体に担持されている。
【図8】図8は、印刷インク組成物のさらに別の実施形態を示し、その組成物は担体に担持されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク材料と、前記インク材料で分散させた複数のマイクロカプセルとを含み、前記複数のマイクロカプセルが、前記マイクロカプセル内に存在する少なくとも一つの選択的特性向上成分を含み、前記の少なくとも一つの特性向上成分が、物理的に相互作用する成分および化学反応性成分のうち少なくとも一つである、印刷インク組成物であって、
前記特性向上成分が、前記印刷インク組成物の印刷前、前記印刷インク組成物の印刷中、および前記印刷インク組成物の印刷後のうち少なくとも一つの時期に、前記マイクロカプセルから放出されるように構成されている、印刷インク組成物。
【請求項2】
放出されると、前記少なくとも一つの特性向上成分が、前記インク材料が基材上に印刷される場合、インク基材界面で物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすように、または、前記印刷インク組成物内で物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすことにより、一つ以上の特性を向上させるように、または、前記印刷インク表面において物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすことにより、一つ以上の特性を向上させるように構成されている、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項3】
前記少なくとも一つの特性向上成分が、接着性、耐摩耗性、耐化学性、耐湿性、粘着力、視覚的品質、耐光性、改ざん証拠、およびセキュリティなどの前記インク材料の改善された特性のうちいずれか一つ以上を有する、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項4】
前記マイクロカプセル中に存在する複数の特性向上成分のうち一つ以上が、同一の前記マイクロカプセル中に共に存在するか、または前記複数の特性向上成分が、存在している他の特性向上成分のいずれとも別個のマイクロカプセル中に存在する前記特性向上成分のうち一つ以上を有する構成で、前記特性向上成分が前記複数の特性向上成分を含む、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項5】
前記少なくとも一つの特性向上成分が、衝撃、圧力、せん断、熱、放射線、レーザー、およびこれらの組合わせのうちいずれか一つ以上により前記複数のマイクロカプセルから放出されるように構成されている、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項6】
前記複数のマイクロカプセルが、約1〜7年まで保存されるように構成されている、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項7】
前記マイクロカプセルが、アクリル系、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル、アクリルアミド、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ、フェノール系、ポリスチレン、ポリ尿素、ロジン、デンプン、グルテン、セルロース系、ゼラチン、およびこれらの組合わせのうちいずれか一つ以上から構成されるシェル材料を含む、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項8】
前記インク材料で分散させた前記複数のマイクロカプセルは、インク材料に対するマイクロカプセルの濃度が、約95%〜約1%の範囲にある、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項9】
前記物理的に相互作用する成分が、接着剤、粘着付与剤、溶媒、可塑剤、およびワックス類、ならびにこれらの組合わせのうちいずれか一つ以上を含み、前記化学反応性成分が、樹脂、架橋剤、硬化剤、触媒、およびこれらの組合わせのうちいずれか一つ以上を含み、これら成分はいずれも、純粋な形態で、または、溶液、分散液、乳濁液として、または他の不活性成分との混合物として存在し得る、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項10】
前記インク材料および複数のマイクロカプセルは、加圧噴霧、インクジェット、流体供給装置、グラビア印刷、スクリーン印刷、はけ塗り、スピンコーティング、ディップコーティング、スポンジまたはパッドのアプリケーターなどのいずれか一つ以上の技術により、基材に供給されるように構成されている、請求項1に記載の印刷インク組成物。
【請求項11】
担体と、
インク材料および複数のマイクロカプセルを含む印刷インク組成物と
を含み、
前記インク材料および前記マイクロカプセルの少なくとも一方が、前記担体上に第一の層として配置され、前記インク材料および前記マイクロカプセルの他方が、前記第一の層上に第二の層として配置されるか、または前記インク材料および前記マイクロカプセルが共に、一つの層として前記担体上に配置され、
前記複数のマイクロカプセルが、前記マイクロカプセル中に存在する少なくとも一つの選択的特性向上成分を含み、前記少なくとも一つの特性向上成分が、物理的に相互作用する成分および化学反応性成分のうち少なくとも一つであり、
前記特性向上成分が、前記印刷インク組成物の印刷前、前記印刷インク組成物の印刷中、および前記印刷インク組成物の印刷後のうち少なくとも一つの時期に、前記マイクロカプセルから放出されるように構成されている、印刷インク材料であって、
前記インク材料および前記複数のマイクロカプセルが、前記印刷インク組成物の印刷前、前記印刷インク組成物の印刷中、および前記印刷インク組成物の印刷後のうち少なくとも一つの時期に、前記担体から放出されるように構成されている、印刷インク材料。
【請求項12】
放出されると、前記少なくとも一つの特性向上成分が、前記インク材料が基材上に印刷される場合、インク基材界面で物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすように、または、前記印刷インク組成物内で物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすことにより、一つ以上の特性を向上させるように、または、前記印刷インク表面において物理的相互作用および化学反応の少なくとも一方を起こすことにより、一つ以上の特性を向上させるように構成されている、請求項11に記載の印刷インク材料。
【請求項13】
前記マイクロカプセル中に存在する複数の特性向上成分のうち一つ以上が、同一の前記マイクロカプセル中に共に存在するか、または前記複数の特性向上成分が、存在している他の特性向上成分のいずれとも別個のマイクロカプセル中に存在する前記特性向上成分のうち一つ以上を有する構成で、前記特性向上成分が前記複数の特性向上成分を含む、請求項11に記載の印刷インク材料。
【請求項14】
さらに、前記印刷インク組成物が配置されていない担体上の部分を含む、請求項11に記載の印刷インク材料。
【請求項15】
前記部分が、前記印刷インク組成物が配置されている前記担体の部分と交互に配置された条片として構成されている、請求項14に記載の印刷インク材料。
【請求項16】
マイクロカプセル中に存在する少なくとも一つの選択的特性向上成分を含み、前記少なくとも一つの特性向上成分が、物理的に相互作用する成分および化学反応性成分のうち少なくとも一つである印刷インク組成物用マイクロカプセルであって、
前記特性向上成分が、前記印刷インク組成物の印刷前、前記印刷インク組成物の印刷中、および前記印刷インク組成物の印刷後のうち少なくとも一つの時期に、前記マイクロカプセルから放出されるように構成されている、印刷インク組成物用マイクロカプセル。
【請求項17】
インク材料と、少なくとも一つの特性向上成分を含む複数のマイクロカプセルとを含む印刷インク組成物を基材に対面させる工程と、
前記インク材料と複数のマイクロカプセルとを前記基材上に適用する工程と、
前記少なくとも一つの特性向上成分が、インク基材界面で物理的相互作用および化学反応のうち少なくとも一方を起こすように、または、前記印刷インク組成物内もしくは前記印刷インク表面において、物理的相互作用および化学反応のうち少なくとも一方を起こすように構成されており、前記少なくとも一つの特性向上成分を、前記複数のマイクロカプセルから放出させる工程とを含む、基材上にインク組成物を印刷する方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの特性向上成分を、前記複数のマイクロカプセルから放出させる工程が、前記印刷インクの適用前、前記印刷インク組成物の前記基材への適用中、または前記印刷インク組成物が前記基材に適用された後に、前記少なくとも一つの特性向上成分を前記複数のマイクロカプセルから放出させる工程のうち少なくとも一つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも一つの特性向上成分を、前記複数のマイクロカプセルから放出させる工程が、衝撃、圧力、せん断、熱、放射線、レーザー、およびこれらの組合わせのうち少なくとも一つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記印刷インク組成物を使用に先立ち1〜7年間まで保存することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記印刷インク組成物を適用する前記基材が、身分証明書類、書類保有者に特有の情報を含む他の書類、および特有の書類情報を含む他の書類のうちいずれか一つ以上を含む書類である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−531532(P2009−531532A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503220(P2009−503220)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/065050
【国際公開番号】WO2007/112401
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】