特装車
【課題】粉体状(乾式)又は液体状(湿式)の産業廃棄物の吸引回収及び圧力排出を一台の特装車で可能にするとともにそのための搭載設備を簡素化する。
【解決手段】吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、コンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載した特装車である。圧送排出手段5は、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10を備えている。
【解決手段】吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、コンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載した特装車である。圧送排出手段5は、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特装車に関し、詳しくは、吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物を吸引回収し、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の回収物を圧送して排出する特装車に関し、更に詳しくは、粉体状(乾式)又は液体状(湿式)の産業廃棄物の吸引回収及び圧力排出を一台の特装車で可能にするとともにそのための搭載設備を簡素化しようとする技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
セメント工場、製鉄所、自動車工場、及び、火力発電所等より排出される集塵灰、塵埃及び汚水等の産業廃棄物は回収され、含まれている有用成分を資源として再利用され、又、有害成分の廃棄処分がおこなわれる。工場等より排出される集塵灰、塵埃及び汚水等の産業廃棄物は特装車によって吸引回収され、有用成分の抽出、分解等をおこなう施設に搬入される。
【0003】
従来の特装車は、吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物(乾式)を吸引回収する吸引回収手段と、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の粉塵を圧送して排出する圧送排出手段とを搭載している(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1においては、コンプレッサーからの圧力エアーによって回収した粉塵を中継ホースを使ってサイロ等に圧力輸送して、特装車からサイロ等に粉塵を投入するときに、微粉塵が飛散することを防止している。ところで、特許文献1においては、吸引回収した粉塵(乾式)を圧力エアーによって圧力輸送して排出するものであって、汚水やヘドロ等の湿式回収物を圧力エアーによって圧力排出することはできないものである。特許文献1の特装車は乾式専用である。
【0005】
一方、湿式回収をおこなう特装車として、タンク車両がある(例えば、特許文献2、3)。
【0006】
特許文献2、3においては、汚水やヘドロ等の湿式回収物を吸引回収し、圧力輸送をし、回収箇所を洗浄水にて洗浄するものであり、集塵灰、粉塵、礫、及び砂等の吸引回収をおこない、乾式回収物を圧力エアーによって圧力輸送して排出することができない。特許文献2、3の特装車は湿式専用である。
【特許文献1】実用新案登録第2528608号公報
【特許文献2】特開平7−313995号公報
【特許文献3】実開平6−16138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、集塵灰、粉塵、及び、礫等の乾式の産業廃棄物又は汚水、ヘドロ等の湿式の産業廃棄物の吸引回収及び圧力輸送(排出)ができ、一台で二役の作業が可能となる特装車を提供すること、及び、そのための搭載装備を簡素化することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、コンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載した特装車であって、圧送排出手段5は、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、粉体状の回収物を回収する場合で、これを圧力エアーを使って排出するとき、又は、液体状の回収物を回収する場合で、これを圧力エアーを使って排出するときに、一つのコンプレッサー4よりの圧力エアーを粉体排出用圧力エアー経路9又は液体排出用圧力エアー経路8に切替えて供給することによって、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きが可能となる。
【0010】
しかも、一台のコンプレッサー4よりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら、搭載設備を簡素化する。
【0011】
請求項2に係る発明は、レシーバータンク2の内部においてコンプレッサー4よりの圧力エアーの供給を受けて粉体排出口7より粉体排出をおこなう粉体排出路11に粉体フィルター12を設け、粉体フィルター12に液体が被るのを防止する液除けカバー13を着脱自在に設けていることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成によれば、粉体フィルター12に液除けカバー13を被せておくことで、液体状の回収物の吸引回収時に液体が粉体フィルター12に被るのを防止でき、液体状の回収物の吸引回収・圧力輸送(排出)ができ、液除けカバー13を外すことで、粉体状の回収物の圧力輸送がおこなえ、結果、圧力輸送経路を共用化できて搭載設備を簡素化する。
【0013】
請求項3に係る発明は、液体排出口6に液体排出弁14を開閉自在に設け、液体排出弁14の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する液体用インジェクターノズル15を設け、粉体排出口7に粉体排出弁16を開閉自在に設け、粉体排出弁16の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する粉体用インジェクターノズル25を設けていることを特徴とするものである。
【0014】
このような構成によれば、各排出弁14、16の下流側に液体用インジェクターノズル15又は粉体用インジェクターノズル25から圧力エアーを注入して液体状又は粉体状の回収物の圧力輸送力(排出)を高める。
【0015】
請求項4に係る発明は、レシーバータンク2の後部に大口径排出口17を形成し、大口径排出口17に大口径ハッチ18を開閉自在に設け、大口径ハッチ18に小口径排出口19を形成し、小口径排出口19に小口径蓋20を開閉自在に設け、小口径蓋20の内側に粉体フィルター12を着脱自在に設けていることを特徴とするものである。
【0016】
このような構成によれば、大口径ハッチ18を開き、レシーバータンク2をダンプアップすることでヘドロを含んだ多量の回収物を排出でき、小口径蓋20を開くことで、液体状の回収物の排出ができ、排出効率を高め、特に、小口径蓋20には粉体フィルター12が着脱自在に取り付けられていて、粉体フィルター12のメンテナンスが容易となり、かつ、粉体フィルター12に被せた液避けカバー13の脱着も容易となり、特装車の仕様の変更作業が容易となる。
【0017】
請求項5に係る発明は、小口径蓋20の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路9を接続していることを特徴とするものである。
【0018】
このような構成によれば、小口径蓋20の内側に取付けている粉体フィルター12をレシーバータンク2内に容易に臨ませることができ、しかも、粉体フィルター12を粉体排出用圧力エアー経路9に都合よく臨ませることができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、大口径排出口17に周方向の所定角度だけ往復回転する締付けリング21を設け、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転可能にし、締付けリング21と大口径ハッチ18との間に締付けリング21の往復回転によって結合・離脱する手段26を形成し、締付けリング21の締付け方向への駆動回転にて大口径ハッチ18を締付けリング21側に引き寄せる増締めカム面23を締付けリング21と大口径ハッチ18との間に形成していることを特徴とするものである。
【0020】
このような構成によれば、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転させて、増締めカム面23によって、大口径ハッチ18を締付けリング21側に強力に引き寄せることができ、大口径ハッチ18の閉じ力を高めることができ、圧力輸送(排出)時に漏洩が生じない。
【0021】
請求項7に係る発明は、大口径ハッチ18に小口径蓋20を解除自在にボルト24にて締結していることを特徴とするものである。
【0022】
このような構成によれば、簡単な構成及び容易な作業で、小口径蓋20を大口径ハッチ18に強力に締結できて圧力輸送(排出)時に漏洩が生じない。
【発明の効果】
【0023】
要するに本発明は、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きができる。しかも、一台のコンプレッサーよりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら搭載設備を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の特装車の系統図、図2は全体側面図、図3は全体平面図である。
【0025】
特装車Aは、図1に示すように、車輌のエンジンにて必要に応じて駆動される動力取出軸31によって駆動される吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、車輌に搭載のコンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載している。
【0026】
吸引回収手段3は、レシーバータンク2に対してサイクロン形の2次キャッチャー27、バグフィルター28を備えた3次キャッチャー29、ルーツ形の吸引ブロア1、最終的に吸引エアーを清浄化する4次キャッチャー30がこの順に吸引回収路34にて接続されて構成されている。動力取出軸31の回転にて吸引ブロア1が駆動され、レシーバータンク2内を負圧にしてレシーバータンク2の吸引口32より延出されたサクションホース33(図4)より産業廃棄物(回収物)が吸引回収されるようにしている。
【0027】
2次キャッチャー27と吸引ブロア1との間で3次キャッチャー29の前後の吸引回収路34には、乾湿切替弁35、36、切替弁69が設けられて3次キャッチャー29を通過させる粉塵回収路37と、3次キャッチャー29を通過させないバイパス路38を切替えて、粉体回収仕様(図5)又は液体回収仕様(図4)に対応できるようにしている。
【0028】
4次キャッチャー30は吸引ブロア1より排気された空気を水に潜らせることにより、清浄化、及び、消音を図るようにしている。また、給水路40により水を循環させ、吸引ブロア1の冷却と吸引ブロア1の高真空を得て効率を高めるために吸引ブロア1の気密を図るようにしている。符号76は水タンクである。
【0029】
このようにして、湿式吸引時には乾湿切替弁35、36が切替えられて図4に示す系統図のように2次キャッチャー27と吸引ブロア1との間にバイパス路38が形成される。吸引ブロア1の駆動によって、湿式の回収物がレシーバータンク2に吸引回収され、吸引エアーに混じった微粉塵が2次キャッチャー27にて捕捉され、相当に清浄化された吸引エアーが吸引ブロア1を通過し、4次キャッチャー30を通過して清浄化された吸引エアーが排気口41より吐出される。
【0030】
乾式吸引時には、乾湿切替弁35、36が切替えられて図5に示す系統図のように粉塵回収路37が形成され、3次キャッチャー29のバグフィルター28にて微粉塵が捕捉され、湿式吸引仕様と同様に清浄化された吸引エアーが排気口41より吐出される。この場合、3次キャッチャー29の筒状のバグフィルター28に目詰まりが生じると、必要に応じて小型コンプレッサー63よりのエアーにて逆洗電磁弁39を作動させ、小型コンプレッサー63よりのエアーにてバグフィルター28を逆洗して洗浄することができるようにしている(図6)。符号64はエアータンクである。以上のような吸引ブロア1による吸引の流れを図7において白抜き矢印にて示している。
【0031】
本発明においては、レシーバータンク2に回収された湿式回収物又は乾式回収物は、コンプレッサー4よりの圧力エアーを使って圧力排出される。以下に圧送排出手段5を詳述する。
【0032】
図1に示すように、圧送排出手段5は、車輌に装備の動力取出軸31にて必要に応じて駆動されるコンプレッサー4、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を圧力排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を圧力排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10によって構成される。
【0033】
コンプレッサー4よりの圧力エアー経路42は切替え手段10を構成する切替弁43、44にて液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とに切替え可能に構成され、液体排出用圧力エアー経路8がレシーバータンク2のフロー口45に接続され、粉体排出用圧力エアー経路9が粉体排出口7を先端に形成した曲がり管47の下端に間隔を隔てて接続され、レシーバータンク2の内部において曲がり管47の下端と粉体排出用圧力エアー経路9との間の粉体排出路11に粉体フィルター12を設けている。
【0034】
このようにして、切替弁43、44の切替えによって、図8に白抜き矢印にて示す粉体圧送状態と図9に白抜き矢印にて示す液体圧送状態とに切替えることができるようにしている。このような圧送状態においては、レシーバータンク2のフロー口45に近い切替弁46は閉じられている。
【0035】
粉体排出口7に粉体排出弁16を開閉自在に設け、粉体排出弁16の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する粉体用インジェクターノズル25を接続している。また、液体排出口6に液体排出弁14を開閉自在に設け、液体排出弁14の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する液体用インジェクターノズル15を接続している。
【0036】
このようにして、図8に示す粉体圧送状態においては、コンプレッサー4よりの圧力エアーが粉体排出用圧力エアー経路9より粉体フィルター12を通過し、粉体フィルター12に間隔を隔てて対向している曲がり管47を経て粉体排出口7より粉体を噴出するのであり、この場合、粉体排出口7の近傍の粉体用インジェクターノズル25よりも圧力エアーが注入されて、一層、乾式回収物の圧力輸送(排出)力を高めるのである。粉体排出口7に中継ホース(図示せず)を接続して乾式回収物をサイロ(図示せず)等に投入するのである。
【0037】
図9に示す液体圧送状態においては、コンプレッサー4よりの圧力エアーが液体排出用圧力エアー経路8よりフロー口45を経てレシーバータンク2内に吹き込まれて回収物の液面を加圧し、液体排出口6より液体を吐出するのであり、この場合、液体排出口6の近傍の液体用インジェクターノズル15より圧力エアーが注入されて、一層、回収した液体の圧力輸送(排出)力を高めるのである。液体排出口6に必要ならば中継ホースを接続して回収した液体をサイロ等に投入する。安全なものであれば川や池等に放流してもよい。
【0038】
このように、粉体状の回収物を回収した場合で、これを圧力エアーを使って排出するとき、又は、液体状の回収物を回収した場合で、これを圧力エアーを使って排出するときに、一つのコンプレッサー4よりの圧力エアーを粉体排出用圧力エアー経路9又は液体排出用圧力エアー経路8に切替えて供給することによって、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きが可能となる。しかも、一台のコンプレッサー4よりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら、搭載設備を簡素化できる。
【0039】
ところで、図10は吸引ブロア1による液体排出状態を示し、負荷解放弁67、乾湿切替弁35、切替弁68、46を開き、切替弁65、69、乾湿切替弁36、切替弁66を閉じ、吸引ブロア1の駆動によって白抜き矢印のように負荷解放弁67より外気を導入し、ブロア排気路70よりフロー口45を経てレシーバータンク2内に外気を吹き込み、回収物液面を加圧して液体排出口6より液体を流出するのである。この場合、コンプレッサー4は駆動されない。因みに、吸引ブロア1による吸引力を利用する液体圧送力に比べてコンプレッサー4による圧送力は約4倍程度高くなるように設定されている。また、以上のような弁操作は、操作パネル71における押しボタン操作により連動されておこなわれる。以上のような弁の切替えは小型コンプレッサー63よりの圧力エアーによっておこなわれる。
【0040】
図2、3及び図19に示すように、レシーバータンク2の後部には大口径排出口17を形成してあり、大口径排出口17に大口径ハッチ18を開閉自在に設けている。図12に示すように、大口径ハッチ18に形成した小口径部材77に小口径排出口19を形成している。小口径排出口19に小口径蓋20を開閉自在に設けている。小口径蓋20の内側に図11に示すフェルト製の粉体フィルター12を図14(a)(b)に示す押さえリング48によってボルトにて着脱自在に取付けている。粉体フィルター12の上から図17に示す液除けカバー13をボルト78にて小口径蓋20に着脱自在に取付けている。液除けカバー13には取っ手49が形成され、液除けカバー13の着脱を容易にしている。図18は液除けカバー13の裏面に配設されて水密シールを図るパッキン62を示している。
【0041】
このように、粉体フィルター12に液除けカバー13を被せておくことで、液体状の回収物の吸引回収時に液体が粉体フィルター12に被るのを防止することができるのであり、液体状の回収物の吸引回収及び圧力輸送(排出)ができ、液除けカバー13を外すことで、粉体状の回収物の圧力輸送が円滑におこなえるのである。この結果、粉体状又は液体状の回収物の吸引回収及び圧力輸送を良好におこなえるのである。
【0042】
ところで、コンプレッサー4の駆動を停止して圧力輸送用の圧力エアーの供給を止めている状態で、大口径ハッチ18を開き、レシーバータンク2をダンプシリンダー50の伸張によってダンプアップすることでヘドロを含んだ多量の回収物を排出できるのである。小口径蓋20を開くことで、レシーバータンク2の底部より液体状の回収物の排出できるのであり、排出効率を高めることができる。
【0043】
特に、小口径蓋20には粉体フィルター12が着脱自在に取り付けられていて、小口径蓋20を大口径ハッチ18に対して回転軸51の廻りに回転させて開くことで、粉体フィルター12の着脱が容易にでき、メンテナンスが容易となり、かつ、粉体フィルター12に被せた液避けカバー13の脱着も容易となり、特装車Aの仕様(乾式と湿式)の変更作業が容易となる。更に、小口径蓋20の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路9を接続して、小口径蓋20の内側に取付けている粉体フィルター12をレシーバータンク2の内部に容易に配置することができ、粉体フィルター12に粉体排出用圧力エアー経路9を都合よく臨ませることができる。
【0044】
図19に示すように、レシーバータンク2の円筒状の胴板52の後端にフランジ53が溶接されて大口径排出口17が形成され、フランジ53に凹所が形成されて環状のパッキン54が嵌め込まれている。大口径ハッチ18を形成している鏡板55の周部にフランジ56が溶接され、フランジ56の内面に環状の突条57が形成されて突条57がパッキン54に当接して気密・水密シールを図るようにしている。
【0045】
図19乃至図23に示すように、大口径ハッチ18のフランジ56の外周には周方向に間隔を隔てて係合爪58が突出している。レシーバータンク2の大口径排出口17の外周部には断面コ字状の締付けリング21がレシーバータンク2のフランジ53に周方向に摺接して回転自在に設けている。符号79は摺接リブである。締付けリング21の大口径ハッチ18側(外側)の縁部より内周方向に間隔を隔てて締付け片59が内方に延出されている。隣接する締付け片59、59間に大口径ハッチ18の係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を軸60(図3)の廻りに回転させて大口径排出口17を閉じることができるようにしている。締付けリング21の外周には周方向に間隔を隔てて複数個の連結片61が設けられ、レシーバータンク2側にボトム側を固定した油圧シリンダー22のシリンダーロッド側が連結片61に連結してあり、油圧シリンダー22の伸縮にて締付けリング21を所定角度だけ往復回転できるようにしている。
【0046】
締付けリング21の締付け片59と大口径ハッチ18の係合爪58との摺接面には図21に示すように、油圧シリンダー22による締付けリング21の締付け方向イへの駆動回転によって大口径ハッチ18を締付けリング21側に引き寄せる増締めカム面23を形成している。
【0047】
このようにして、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転させて、増締めカム面23によって、大口径ハッチ18を締付けリング21側、つまり、レシーバータンク2側に強力に引き寄せることができ、大口径ハッチ18の閉じ力を高めることができ、圧力輸送時に漏洩が生じないものである。
【0048】
大口径ハッチ18を開くには、油圧シリンダー22を収縮させて締付けリング21を緩め方向に回転させ、ハッチ開閉シリンダー75を伸張させ、大口径ハッチ18を軸60の廻りに回転させ、締付け片59、59間に係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を開くことができる。このように、締付け片59、59間に係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を開閉するとともに締付けリング21と大口径ハッチ18とを結合・離脱する構成(手段26)は種々設計変更することができる。
【0049】
更に、図12に示すように、大口径ハッチ18に形成した小口径排出口19の周方向に間隔を隔ててボルト24が軸72の廻りに回動自在に設けられ、小口径蓋20に周方向に間隔を隔てて切欠き73が形成され、小口径蓋20を回転軸51の廻りに回転させて小口径排出口19を閉じた後、ボルト24を軸72の廻りに回転させて切欠き73に係合し、その後、ナット74を締めることで、小口径蓋20を小口径排出口19に解除自在に締付けていて、簡単な構成及び容易な作業で、小口径蓋20を大口径ハッチ18に強力に締結できて圧力輸送時に漏洩が生じないものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の一形態の系統図である。
【図2】同上の全体側面図である。
【図3】同上の全体平面図である。
【図4】同上の湿式吸引時の説明図である。
【図5】同上の乾式吸引時の説明図である。
【図6】同上の3次キャッチャーの説明図である。
【図7】同上の吸引ブロアによる吸引の流れを示す系統図である。
【図8】同上のコンプレッサーによる粉体圧送の流れを示す系統図である。
【図9】同上のコンプレッサーによる液体圧送の流れを示す系統図である。
【図10】同上の吸引ブロアによる液体排出の流れを示す系統図である。
【図11】(a)は同上の粉体フィルターの正面図、(b)は側面図である。
【図12】(a)は同上の粉体フィルターが取り付けられている小口径蓋の側面図、(b)は小口径蓋を大口径ハッチに形成した小口径排出口に固定するボルトの正面図である。
【図13】同上の部分断面図である。
【図14】(a)は同上の粉体フィルターを小口径蓋に取り付ける押さえリングの部分正面図、(b)は断面図である。
【図15】同上の小口径蓋の裏面図である。
【図16】同上の小口径蓋の正面図である。
【図17】(a)は同上の液除けカバーの正面図、(b)は側面図である。
【図18】(a)は同上の液除けカバーと粉体フィルターとの間の水密シールを図るパッキンの正面図、(b)は側面図である。
【図19】同上の大口径ハッチの結合・離脱手段及び締付けリングを示す断面図である。
【図20】同上の締付けリングの締付け片と大口径ハッチ側のフランジの係合爪との関係を示す側面図である。
【図21】同上の増締カム面を示す説明図である。
【図22】同上の締付けリングの正面図である。
【図23】同上の大口径ハッチ側のフランジの正面図である。
【図24】同上の締付けリングに油圧シリンダーを連結した正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 吸引ブロア
2 レシーバータンク
3 吸引回収手段
4 コンプレッサー
5 圧送排出手段
6 液体排出口
7 粉体排出口
8 液体排出用圧力エアー経路
9 粉体排出用圧力エアー経路
10 切替え手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、特装車に関し、詳しくは、吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物を吸引回収し、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の回収物を圧送して排出する特装車に関し、更に詳しくは、粉体状(乾式)又は液体状(湿式)の産業廃棄物の吸引回収及び圧力排出を一台の特装車で可能にするとともにそのための搭載設備を簡素化しようとする技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
セメント工場、製鉄所、自動車工場、及び、火力発電所等より排出される集塵灰、塵埃及び汚水等の産業廃棄物は回収され、含まれている有用成分を資源として再利用され、又、有害成分の廃棄処分がおこなわれる。工場等より排出される集塵灰、塵埃及び汚水等の産業廃棄物は特装車によって吸引回収され、有用成分の抽出、分解等をおこなう施設に搬入される。
【0003】
従来の特装車は、吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物(乾式)を吸引回収する吸引回収手段と、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の粉塵を圧送して排出する圧送排出手段とを搭載している(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1においては、コンプレッサーからの圧力エアーによって回収した粉塵を中継ホースを使ってサイロ等に圧力輸送して、特装車からサイロ等に粉塵を投入するときに、微粉塵が飛散することを防止している。ところで、特許文献1においては、吸引回収した粉塵(乾式)を圧力エアーによって圧力輸送して排出するものであって、汚水やヘドロ等の湿式回収物を圧力エアーによって圧力排出することはできないものである。特許文献1の特装車は乾式専用である。
【0005】
一方、湿式回収をおこなう特装車として、タンク車両がある(例えば、特許文献2、3)。
【0006】
特許文献2、3においては、汚水やヘドロ等の湿式回収物を吸引回収し、圧力輸送をし、回収箇所を洗浄水にて洗浄するものであり、集塵灰、粉塵、礫、及び砂等の吸引回収をおこない、乾式回収物を圧力エアーによって圧力輸送して排出することができない。特許文献2、3の特装車は湿式専用である。
【特許文献1】実用新案登録第2528608号公報
【特許文献2】特開平7−313995号公報
【特許文献3】実開平6−16138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、集塵灰、粉塵、及び、礫等の乾式の産業廃棄物又は汚水、ヘドロ等の湿式の産業廃棄物の吸引回収及び圧力輸送(排出)ができ、一台で二役の作業が可能となる特装車を提供すること、及び、そのための搭載装備を簡素化することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、コンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載した特装車であって、圧送排出手段5は、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、粉体状の回収物を回収する場合で、これを圧力エアーを使って排出するとき、又は、液体状の回収物を回収する場合で、これを圧力エアーを使って排出するときに、一つのコンプレッサー4よりの圧力エアーを粉体排出用圧力エアー経路9又は液体排出用圧力エアー経路8に切替えて供給することによって、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きが可能となる。
【0010】
しかも、一台のコンプレッサー4よりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら、搭載設備を簡素化する。
【0011】
請求項2に係る発明は、レシーバータンク2の内部においてコンプレッサー4よりの圧力エアーの供給を受けて粉体排出口7より粉体排出をおこなう粉体排出路11に粉体フィルター12を設け、粉体フィルター12に液体が被るのを防止する液除けカバー13を着脱自在に設けていることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成によれば、粉体フィルター12に液除けカバー13を被せておくことで、液体状の回収物の吸引回収時に液体が粉体フィルター12に被るのを防止でき、液体状の回収物の吸引回収・圧力輸送(排出)ができ、液除けカバー13を外すことで、粉体状の回収物の圧力輸送がおこなえ、結果、圧力輸送経路を共用化できて搭載設備を簡素化する。
【0013】
請求項3に係る発明は、液体排出口6に液体排出弁14を開閉自在に設け、液体排出弁14の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する液体用インジェクターノズル15を設け、粉体排出口7に粉体排出弁16を開閉自在に設け、粉体排出弁16の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する粉体用インジェクターノズル25を設けていることを特徴とするものである。
【0014】
このような構成によれば、各排出弁14、16の下流側に液体用インジェクターノズル15又は粉体用インジェクターノズル25から圧力エアーを注入して液体状又は粉体状の回収物の圧力輸送力(排出)を高める。
【0015】
請求項4に係る発明は、レシーバータンク2の後部に大口径排出口17を形成し、大口径排出口17に大口径ハッチ18を開閉自在に設け、大口径ハッチ18に小口径排出口19を形成し、小口径排出口19に小口径蓋20を開閉自在に設け、小口径蓋20の内側に粉体フィルター12を着脱自在に設けていることを特徴とするものである。
【0016】
このような構成によれば、大口径ハッチ18を開き、レシーバータンク2をダンプアップすることでヘドロを含んだ多量の回収物を排出でき、小口径蓋20を開くことで、液体状の回収物の排出ができ、排出効率を高め、特に、小口径蓋20には粉体フィルター12が着脱自在に取り付けられていて、粉体フィルター12のメンテナンスが容易となり、かつ、粉体フィルター12に被せた液避けカバー13の脱着も容易となり、特装車の仕様の変更作業が容易となる。
【0017】
請求項5に係る発明は、小口径蓋20の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路9を接続していることを特徴とするものである。
【0018】
このような構成によれば、小口径蓋20の内側に取付けている粉体フィルター12をレシーバータンク2内に容易に臨ませることができ、しかも、粉体フィルター12を粉体排出用圧力エアー経路9に都合よく臨ませることができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、大口径排出口17に周方向の所定角度だけ往復回転する締付けリング21を設け、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転可能にし、締付けリング21と大口径ハッチ18との間に締付けリング21の往復回転によって結合・離脱する手段26を形成し、締付けリング21の締付け方向への駆動回転にて大口径ハッチ18を締付けリング21側に引き寄せる増締めカム面23を締付けリング21と大口径ハッチ18との間に形成していることを特徴とするものである。
【0020】
このような構成によれば、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転させて、増締めカム面23によって、大口径ハッチ18を締付けリング21側に強力に引き寄せることができ、大口径ハッチ18の閉じ力を高めることができ、圧力輸送(排出)時に漏洩が生じない。
【0021】
請求項7に係る発明は、大口径ハッチ18に小口径蓋20を解除自在にボルト24にて締結していることを特徴とするものである。
【0022】
このような構成によれば、簡単な構成及び容易な作業で、小口径蓋20を大口径ハッチ18に強力に締結できて圧力輸送(排出)時に漏洩が生じない。
【発明の効果】
【0023】
要するに本発明は、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きができる。しかも、一台のコンプレッサーよりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら搭載設備を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の特装車の系統図、図2は全体側面図、図3は全体平面図である。
【0025】
特装車Aは、図1に示すように、車輌のエンジンにて必要に応じて駆動される動力取出軸31によって駆動される吸引ブロア1よりの吸引エアーによってレシーバータンク2に回収物を吸引回収する吸引回収手段3と、車輌に搭載のコンプレッサー4よりの圧力エアーによってレシーバータンク2内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段5とを搭載している。
【0026】
吸引回収手段3は、レシーバータンク2に対してサイクロン形の2次キャッチャー27、バグフィルター28を備えた3次キャッチャー29、ルーツ形の吸引ブロア1、最終的に吸引エアーを清浄化する4次キャッチャー30がこの順に吸引回収路34にて接続されて構成されている。動力取出軸31の回転にて吸引ブロア1が駆動され、レシーバータンク2内を負圧にしてレシーバータンク2の吸引口32より延出されたサクションホース33(図4)より産業廃棄物(回収物)が吸引回収されるようにしている。
【0027】
2次キャッチャー27と吸引ブロア1との間で3次キャッチャー29の前後の吸引回収路34には、乾湿切替弁35、36、切替弁69が設けられて3次キャッチャー29を通過させる粉塵回収路37と、3次キャッチャー29を通過させないバイパス路38を切替えて、粉体回収仕様(図5)又は液体回収仕様(図4)に対応できるようにしている。
【0028】
4次キャッチャー30は吸引ブロア1より排気された空気を水に潜らせることにより、清浄化、及び、消音を図るようにしている。また、給水路40により水を循環させ、吸引ブロア1の冷却と吸引ブロア1の高真空を得て効率を高めるために吸引ブロア1の気密を図るようにしている。符号76は水タンクである。
【0029】
このようにして、湿式吸引時には乾湿切替弁35、36が切替えられて図4に示す系統図のように2次キャッチャー27と吸引ブロア1との間にバイパス路38が形成される。吸引ブロア1の駆動によって、湿式の回収物がレシーバータンク2に吸引回収され、吸引エアーに混じった微粉塵が2次キャッチャー27にて捕捉され、相当に清浄化された吸引エアーが吸引ブロア1を通過し、4次キャッチャー30を通過して清浄化された吸引エアーが排気口41より吐出される。
【0030】
乾式吸引時には、乾湿切替弁35、36が切替えられて図5に示す系統図のように粉塵回収路37が形成され、3次キャッチャー29のバグフィルター28にて微粉塵が捕捉され、湿式吸引仕様と同様に清浄化された吸引エアーが排気口41より吐出される。この場合、3次キャッチャー29の筒状のバグフィルター28に目詰まりが生じると、必要に応じて小型コンプレッサー63よりのエアーにて逆洗電磁弁39を作動させ、小型コンプレッサー63よりのエアーにてバグフィルター28を逆洗して洗浄することができるようにしている(図6)。符号64はエアータンクである。以上のような吸引ブロア1による吸引の流れを図7において白抜き矢印にて示している。
【0031】
本発明においては、レシーバータンク2に回収された湿式回収物又は乾式回収物は、コンプレッサー4よりの圧力エアーを使って圧力排出される。以下に圧送排出手段5を詳述する。
【0032】
図1に示すように、圧送排出手段5は、車輌に装備の動力取出軸31にて必要に応じて駆動されるコンプレッサー4、レシーバータンク2の液体排出口6より液体を圧力排出するための液体排出用圧力エアー経路8と、レシーバータンク2の粉体排出口7より粉体を圧力排出するための粉体排出用圧力エアー経路9と、液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とを切替える切替え手段10によって構成される。
【0033】
コンプレッサー4よりの圧力エアー経路42は切替え手段10を構成する切替弁43、44にて液体排出用圧力エアー経路8と粉体排出用圧力エアー経路9とに切替え可能に構成され、液体排出用圧力エアー経路8がレシーバータンク2のフロー口45に接続され、粉体排出用圧力エアー経路9が粉体排出口7を先端に形成した曲がり管47の下端に間隔を隔てて接続され、レシーバータンク2の内部において曲がり管47の下端と粉体排出用圧力エアー経路9との間の粉体排出路11に粉体フィルター12を設けている。
【0034】
このようにして、切替弁43、44の切替えによって、図8に白抜き矢印にて示す粉体圧送状態と図9に白抜き矢印にて示す液体圧送状態とに切替えることができるようにしている。このような圧送状態においては、レシーバータンク2のフロー口45に近い切替弁46は閉じられている。
【0035】
粉体排出口7に粉体排出弁16を開閉自在に設け、粉体排出弁16の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する粉体用インジェクターノズル25を接続している。また、液体排出口6に液体排出弁14を開閉自在に設け、液体排出弁14の排出下流側にコンプレッサー4よりの圧力エアーを注入する液体用インジェクターノズル15を接続している。
【0036】
このようにして、図8に示す粉体圧送状態においては、コンプレッサー4よりの圧力エアーが粉体排出用圧力エアー経路9より粉体フィルター12を通過し、粉体フィルター12に間隔を隔てて対向している曲がり管47を経て粉体排出口7より粉体を噴出するのであり、この場合、粉体排出口7の近傍の粉体用インジェクターノズル25よりも圧力エアーが注入されて、一層、乾式回収物の圧力輸送(排出)力を高めるのである。粉体排出口7に中継ホース(図示せず)を接続して乾式回収物をサイロ(図示せず)等に投入するのである。
【0037】
図9に示す液体圧送状態においては、コンプレッサー4よりの圧力エアーが液体排出用圧力エアー経路8よりフロー口45を経てレシーバータンク2内に吹き込まれて回収物の液面を加圧し、液体排出口6より液体を吐出するのであり、この場合、液体排出口6の近傍の液体用インジェクターノズル15より圧力エアーが注入されて、一層、回収した液体の圧力輸送(排出)力を高めるのである。液体排出口6に必要ならば中継ホースを接続して回収した液体をサイロ等に投入する。安全なものであれば川や池等に放流してもよい。
【0038】
このように、粉体状の回収物を回収した場合で、これを圧力エアーを使って排出するとき、又は、液体状の回収物を回収した場合で、これを圧力エアーを使って排出するときに、一つのコンプレッサー4よりの圧力エアーを粉体排出用圧力エアー経路9又は液体排出用圧力エアー経路8に切替えて供給することによって、粉体状の回収物又は液体状の回収物のそれぞれをサイロ等に圧力輸送することができ、一台で二役の働きが可能となる。しかも、一台のコンプレッサー4よりの圧力エアー経路を切り替えることで、粉体状又は液体状の回収物の圧力輸送ができながら、搭載設備を簡素化できる。
【0039】
ところで、図10は吸引ブロア1による液体排出状態を示し、負荷解放弁67、乾湿切替弁35、切替弁68、46を開き、切替弁65、69、乾湿切替弁36、切替弁66を閉じ、吸引ブロア1の駆動によって白抜き矢印のように負荷解放弁67より外気を導入し、ブロア排気路70よりフロー口45を経てレシーバータンク2内に外気を吹き込み、回収物液面を加圧して液体排出口6より液体を流出するのである。この場合、コンプレッサー4は駆動されない。因みに、吸引ブロア1による吸引力を利用する液体圧送力に比べてコンプレッサー4による圧送力は約4倍程度高くなるように設定されている。また、以上のような弁操作は、操作パネル71における押しボタン操作により連動されておこなわれる。以上のような弁の切替えは小型コンプレッサー63よりの圧力エアーによっておこなわれる。
【0040】
図2、3及び図19に示すように、レシーバータンク2の後部には大口径排出口17を形成してあり、大口径排出口17に大口径ハッチ18を開閉自在に設けている。図12に示すように、大口径ハッチ18に形成した小口径部材77に小口径排出口19を形成している。小口径排出口19に小口径蓋20を開閉自在に設けている。小口径蓋20の内側に図11に示すフェルト製の粉体フィルター12を図14(a)(b)に示す押さえリング48によってボルトにて着脱自在に取付けている。粉体フィルター12の上から図17に示す液除けカバー13をボルト78にて小口径蓋20に着脱自在に取付けている。液除けカバー13には取っ手49が形成され、液除けカバー13の着脱を容易にしている。図18は液除けカバー13の裏面に配設されて水密シールを図るパッキン62を示している。
【0041】
このように、粉体フィルター12に液除けカバー13を被せておくことで、液体状の回収物の吸引回収時に液体が粉体フィルター12に被るのを防止することができるのであり、液体状の回収物の吸引回収及び圧力輸送(排出)ができ、液除けカバー13を外すことで、粉体状の回収物の圧力輸送が円滑におこなえるのである。この結果、粉体状又は液体状の回収物の吸引回収及び圧力輸送を良好におこなえるのである。
【0042】
ところで、コンプレッサー4の駆動を停止して圧力輸送用の圧力エアーの供給を止めている状態で、大口径ハッチ18を開き、レシーバータンク2をダンプシリンダー50の伸張によってダンプアップすることでヘドロを含んだ多量の回収物を排出できるのである。小口径蓋20を開くことで、レシーバータンク2の底部より液体状の回収物の排出できるのであり、排出効率を高めることができる。
【0043】
特に、小口径蓋20には粉体フィルター12が着脱自在に取り付けられていて、小口径蓋20を大口径ハッチ18に対して回転軸51の廻りに回転させて開くことで、粉体フィルター12の着脱が容易にでき、メンテナンスが容易となり、かつ、粉体フィルター12に被せた液避けカバー13の脱着も容易となり、特装車Aの仕様(乾式と湿式)の変更作業が容易となる。更に、小口径蓋20の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路9を接続して、小口径蓋20の内側に取付けている粉体フィルター12をレシーバータンク2の内部に容易に配置することができ、粉体フィルター12に粉体排出用圧力エアー経路9を都合よく臨ませることができる。
【0044】
図19に示すように、レシーバータンク2の円筒状の胴板52の後端にフランジ53が溶接されて大口径排出口17が形成され、フランジ53に凹所が形成されて環状のパッキン54が嵌め込まれている。大口径ハッチ18を形成している鏡板55の周部にフランジ56が溶接され、フランジ56の内面に環状の突条57が形成されて突条57がパッキン54に当接して気密・水密シールを図るようにしている。
【0045】
図19乃至図23に示すように、大口径ハッチ18のフランジ56の外周には周方向に間隔を隔てて係合爪58が突出している。レシーバータンク2の大口径排出口17の外周部には断面コ字状の締付けリング21がレシーバータンク2のフランジ53に周方向に摺接して回転自在に設けている。符号79は摺接リブである。締付けリング21の大口径ハッチ18側(外側)の縁部より内周方向に間隔を隔てて締付け片59が内方に延出されている。隣接する締付け片59、59間に大口径ハッチ18の係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を軸60(図3)の廻りに回転させて大口径排出口17を閉じることができるようにしている。締付けリング21の外周には周方向に間隔を隔てて複数個の連結片61が設けられ、レシーバータンク2側にボトム側を固定した油圧シリンダー22のシリンダーロッド側が連結片61に連結してあり、油圧シリンダー22の伸縮にて締付けリング21を所定角度だけ往復回転できるようにしている。
【0046】
締付けリング21の締付け片59と大口径ハッチ18の係合爪58との摺接面には図21に示すように、油圧シリンダー22による締付けリング21の締付け方向イへの駆動回転によって大口径ハッチ18を締付けリング21側に引き寄せる増締めカム面23を形成している。
【0047】
このようにして、締付けリング21を油圧シリンダー22にて駆動回転させて、増締めカム面23によって、大口径ハッチ18を締付けリング21側、つまり、レシーバータンク2側に強力に引き寄せることができ、大口径ハッチ18の閉じ力を高めることができ、圧力輸送時に漏洩が生じないものである。
【0048】
大口径ハッチ18を開くには、油圧シリンダー22を収縮させて締付けリング21を緩め方向に回転させ、ハッチ開閉シリンダー75を伸張させ、大口径ハッチ18を軸60の廻りに回転させ、締付け片59、59間に係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を開くことができる。このように、締付け片59、59間に係合爪58が通過することで大口径ハッチ18を開閉するとともに締付けリング21と大口径ハッチ18とを結合・離脱する構成(手段26)は種々設計変更することができる。
【0049】
更に、図12に示すように、大口径ハッチ18に形成した小口径排出口19の周方向に間隔を隔ててボルト24が軸72の廻りに回動自在に設けられ、小口径蓋20に周方向に間隔を隔てて切欠き73が形成され、小口径蓋20を回転軸51の廻りに回転させて小口径排出口19を閉じた後、ボルト24を軸72の廻りに回転させて切欠き73に係合し、その後、ナット74を締めることで、小口径蓋20を小口径排出口19に解除自在に締付けていて、簡単な構成及び容易な作業で、小口径蓋20を大口径ハッチ18に強力に締結できて圧力輸送時に漏洩が生じないものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の一形態の系統図である。
【図2】同上の全体側面図である。
【図3】同上の全体平面図である。
【図4】同上の湿式吸引時の説明図である。
【図5】同上の乾式吸引時の説明図である。
【図6】同上の3次キャッチャーの説明図である。
【図7】同上の吸引ブロアによる吸引の流れを示す系統図である。
【図8】同上のコンプレッサーによる粉体圧送の流れを示す系統図である。
【図9】同上のコンプレッサーによる液体圧送の流れを示す系統図である。
【図10】同上の吸引ブロアによる液体排出の流れを示す系統図である。
【図11】(a)は同上の粉体フィルターの正面図、(b)は側面図である。
【図12】(a)は同上の粉体フィルターが取り付けられている小口径蓋の側面図、(b)は小口径蓋を大口径ハッチに形成した小口径排出口に固定するボルトの正面図である。
【図13】同上の部分断面図である。
【図14】(a)は同上の粉体フィルターを小口径蓋に取り付ける押さえリングの部分正面図、(b)は断面図である。
【図15】同上の小口径蓋の裏面図である。
【図16】同上の小口径蓋の正面図である。
【図17】(a)は同上の液除けカバーの正面図、(b)は側面図である。
【図18】(a)は同上の液除けカバーと粉体フィルターとの間の水密シールを図るパッキンの正面図、(b)は側面図である。
【図19】同上の大口径ハッチの結合・離脱手段及び締付けリングを示す断面図である。
【図20】同上の締付けリングの締付け片と大口径ハッチ側のフランジの係合爪との関係を示す側面図である。
【図21】同上の増締カム面を示す説明図である。
【図22】同上の締付けリングの正面図である。
【図23】同上の大口径ハッチ側のフランジの正面図である。
【図24】同上の締付けリングに油圧シリンダーを連結した正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 吸引ブロア
2 レシーバータンク
3 吸引回収手段
4 コンプレッサー
5 圧送排出手段
6 液体排出口
7 粉体排出口
8 液体排出用圧力エアー経路
9 粉体排出用圧力エアー経路
10 切替え手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物を吸引回収する吸引回収手段と、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段とを搭載した特装車であって、圧送排出手段は、レシーバータンクの液体排出口より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路と、レシーバータンクの粉体排出口より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路と、液体排出用圧力エアー経路と粉体排出用圧力エアー経路とを切替える切替え手段を備えていることを特徴とする特装車。
【請求項2】
レシーバータンクの内部においてコンプレッサーよりの圧力エアーの供給を受けて粉体排出口より粉体排出をおこなう粉体排出路に粉体フィルターを設け、粉体フィルターに液体が被るのを防止する液除けカバーを着脱自在に設けていることを特徴とする請求項1記載の特装車。
【請求項3】
液体排出口に液体排出弁を開閉自在に設け、液体排出弁の排出下流側にコンプレッサーよりの圧力エアーを注入する液体排出用インジェクターノズルを設け、粉体排出口に粉体排出弁を開閉自在に設け、粉体排出弁の排出下流側にコンプレッサーよりの圧力エアーを注入する粉体排出用インジェクターノズルを設けていることを特徴とする請求項1記載の特装車。
【請求項4】
レシーバータンクの後部に大口径排出口を形成し、大口径排出口に大口径ハッチを開閉自在に設け、大口径ハッチに小口径排出口を形成し、小口径排出口に小口径蓋を開閉自在に設け、小口径蓋の内側に粉体フィルターを着脱自在に設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の特装車。
【請求項5】
小口径蓋の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路を接続していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【請求項6】
大口径排出口に周方向の所定角度だけ往復回転する締付けリングを設け、締付けリングを油圧シリンダーにて駆動回転可能にし、締付けリングと大口径ハッチとの間に締付けリングの往復回転によって結合・離脱する手段を形成し、締付けリングの締付け方向への駆動回転にて大口径ハッチを締付けリング側に引き寄せる増締めカム面を締付けリングと大口径ハッチとの間に形成していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【請求項7】
大口径ハッチに小口径蓋を解除自在にボルトにて締結していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【請求項1】
吸引ブロアよりの吸引エアーによってレシーバータンクに回収物を吸引回収する吸引回収手段と、コンプレッサーよりの圧力エアーによってレシーバータンク内の回収物を圧送して排出する圧送排出手段とを搭載した特装車であって、圧送排出手段は、レシーバータンクの液体排出口より液体を排出するための液体排出用圧力エアー経路と、レシーバータンクの粉体排出口より粉体を排出するための粉体排出用圧力エアー経路と、液体排出用圧力エアー経路と粉体排出用圧力エアー経路とを切替える切替え手段を備えていることを特徴とする特装車。
【請求項2】
レシーバータンクの内部においてコンプレッサーよりの圧力エアーの供給を受けて粉体排出口より粉体排出をおこなう粉体排出路に粉体フィルターを設け、粉体フィルターに液体が被るのを防止する液除けカバーを着脱自在に設けていることを特徴とする請求項1記載の特装車。
【請求項3】
液体排出口に液体排出弁を開閉自在に設け、液体排出弁の排出下流側にコンプレッサーよりの圧力エアーを注入する液体排出用インジェクターノズルを設け、粉体排出口に粉体排出弁を開閉自在に設け、粉体排出弁の排出下流側にコンプレッサーよりの圧力エアーを注入する粉体排出用インジェクターノズルを設けていることを特徴とする請求項1記載の特装車。
【請求項4】
レシーバータンクの後部に大口径排出口を形成し、大口径排出口に大口径ハッチを開閉自在に設け、大口径ハッチに小口径排出口を形成し、小口径排出口に小口径蓋を開閉自在に設け、小口径蓋の内側に粉体フィルターを着脱自在に設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の特装車。
【請求項5】
小口径蓋の外部から内部に粉体排出用圧力エアー経路を接続していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【請求項6】
大口径排出口に周方向の所定角度だけ往復回転する締付けリングを設け、締付けリングを油圧シリンダーにて駆動回転可能にし、締付けリングと大口径ハッチとの間に締付けリングの往復回転によって結合・離脱する手段を形成し、締付けリングの締付け方向への駆動回転にて大口径ハッチを締付けリング側に引き寄せる増締めカム面を締付けリングと大口径ハッチとの間に形成していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【請求項7】
大口径ハッチに小口径蓋を解除自在にボルトにて締結していることを特徴とする請求項4記載の特装車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−98989(P2007−98989A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288259(P2005−288259)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000222875)東洋電化工業株式会社 (11)
【出願人】(595095629)中電環境テクノス株式会社 (44)
【出願人】(593134287)四電ビジネス株式会社 (4)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000222875)東洋電化工業株式会社 (11)
【出願人】(595095629)中電環境テクノス株式会社 (44)
【出願人】(593134287)四電ビジネス株式会社 (4)
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