説明

玩具セット、この玩具セットに使用される立体部品又は配置部品

【課題】容易に立体模型が形成でき、少量の水分でも高い接着力が得ることができ、乾燥時間を極めて短くすることができる玩具セットを提供する。
【解決手段】立体模型を構成する立体部品10,20と、立体部品を所望の配列で配置するための配置部品30とを有し、立体部品の少なくとも表面は湿潤状態にされると溶解し接触面が乾燥する過程で接着力が生じさせられる材料からなり、立体部品はほぼ平行な平面を備えた立体からなり、立体部品10のように平行な一面に凹部10bが形成され他面に凹部が嵌合する凸部10aが形成され、立体部品20のように一面に凹部が形成され他面は平面のままであり、配置部品には、立体部品形成された凹部が嵌合させられる嵌合凸部が多数形成され、嵌合凸部の間隔は、立体部品に形成された凹部を嵌合させた際に立体部品の側面がほぼ面接触する状態となる位置になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に精度よく配置するための配置部品とを一組のセットにした玩具セット及びこの玩具セットに使用される立体部品又は配置部品に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる玩具セットとしては、下記特許文献1に記載した実用新案登録第3131292号に示されるものがある。このものは、湿潤状態とされると表面が溶解し、溶解した部分を接触させて乾燥させると相互に接着力が生じさせられる球形のビーズ(立体部品)と、このビーズを所望の配列に配置するための保持トレー(配置部材)をセットにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3131292号
【特許文献2】特開2009−125232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に表示した実用新案登録第3131292号に示された玩具セットにおいては、以下のような解決すべき課題があった。
(1)接着される複数のビーズは球形であるがゆえに、相互の接触部分は点状となり接着力が弱く、立体模型などを作成するにはかなりの困難を伴う。この困難を解決すべく、上記特許文献2に記載した特開2009−125232号公報に示されるような組立治具を用いる必要があった。
(2)ビーズの接触部分は点状で接着強力が弱いこと対する対応としては、十分に湿潤状態となるように多めの水を塗布してより多くの部分を溶解させて接触面積を広げる方法が有効であるが、多めの水分で溶解させる部分を大きくなるので乾燥させる時間が非常に長くなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、容易に立体模型を作成することができ、極めて少量の水分でも接着力を高く保持することができ、乾燥時間を極めて短くすることができる玩具セットを提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような手段を採用した。
(1)本発明の玩具セットは、立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有し、
前記立体部品の少なくとも表面は、湿潤状態にされると表面が溶解して溶解した面を接触させて乾燥させる過程で相互に接着力が生じさせられる材料から形成され、
前記立体部品は、ほぼ平行な平面を備えた立体からなり、これら平行な一の平面に凹部が形成されるとともに平行な他の平面に当該凹部が嵌合する凸部が形成されたものと、一の平面に凹部が形成され他の平面は平面のままに形成されたものの少なくとも2種を有し、
前記配置部品には、前記立体部品の平行な平面に形成された凹部が嵌合させられる嵌合凸部が多数形成され、当該嵌合凸部の間隔は、前記立体部品に形成された凹部を嵌合させた際に隣接する前記立体部品の側面がほぼ面接触する状態となる位置に形成されていることを特徴とする。
(2)本発明の玩具セットに使用される立体部品は、立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有する玩具セットに使用される立体部品であって、
前記立体部品の少なくとも表面は、湿潤状態にされると表面が溶解して溶解した面を接触させて乾燥させる過程で相互に接着力が生じさせられる材料から形成され、
前記立体部品は、ほぼ平行な平面を備えた立体からなり、これら平行な一の平面に凹部が形成されるとともに平行な他の平面に当該凹部が嵌合する凸部が形成されたものと、一の平面に凹部が形成され他の平面は平面のままに形成されたものの少なくとも2種を有することを特徴とする。
(3)本発明の玩具セットに使用される配置部品は、立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有する玩具セットに使用される配置部品であって、
前記配置部品には、前記立体部品の平行な平面に形成された凹部が嵌合させられる嵌合凸部が多数形成され、当該嵌合凸部の間隔は、前記立体部品に形成された凹部を嵌合させた際に隣接する前記立体部品の側面がほぼ面接触する状態となる位置に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の玩具セットによれば、以下のような効果を奏する。
(1)立体部品を、その凹部を配置部品に形成した嵌合凸部に嵌合させて配置することにより立体模型の一層分の立体部品群を形成することができる。立体模型の各層毎に同様な操作を行うことにより各層に対応する立体部品群を形成することができる。
(2)立体部品を配置する際に立体部品の側面は相互にほぼ面接触するので、接合したい側面にごく少量の水分を塗布して溶解状態にした後、相互に接触させて乾燥させて所望の接着力を持たせて相互に接着することができる。しかも、少量の水分を塗布すればよいので、乾燥時間は極めて短時間とすることができる。
(3)形成された複数層は、嵌合凸部が規則正しく形成された配置部品を用いているので、精度良く形成することができる。
(4)各層の立体部品群は、立体部品の平面に形成された凸部又は凹部を嵌合させて相互に一体化することができ、全部の層の立体部品群を組み立てることにより立体模型を完成させることができる。
(5)立体模型の最外部に位置する立体部品には平面に凹部又は凸部が形成されていないで平面のままのものを使用すれば表面に凸部が形成されることが無く、見栄えがよく体裁がよい立体模型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の一形態に係る玩具セットに使用される立体部品の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る玩具セットに使用される立体部品の他の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る玩具セットに使用される配置部品の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る玩具セットを用いて作製される立体模型の一例を示す図である。
【図5】図4に示す立体模型の作製する一の工程を示す図である。
【図6】図4に示す立体模型の組立状態を斜め上方から見た図である。
【図7】図4に示す立体模型の組立状態を斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る玩具セットについて、図面を参照して説明する。本玩具セットは、主として単位ユニットとしての立体部品を複数個組み合わせて立体模型とする玩具として使用されるものである。
【0010】
図1及び図2は、本玩具セットに使用される立体部品10,20を示す図であり、図3は、本玩具セットに使用される配置部品30を示す図であり、図4は、本玩具セットを用いて作製される立体模型40を示す図であり、図5は、立体模型40の作製する一の工程を示す図であり、図6は、立体模型40の組立状態を斜め上方から見た図であり、図7は、立体模型40の組立状態を斜め下方から見た図である。
【0011】
本発明の玩具セットは、立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品10,20と、当該立体部品10,20を所望の配列に高精度で配置するための配置部品30とを有して概略構成される。
【0012】
立体部品10,20は、湿潤状態にされると表面が溶解し溶解した面を接触させて乾燥させると相互に接着力が生じさせられて相互に一体化させられる材料(例えばポリビニルアルコール(PVA))から形成されている。
【0013】
立体部品10,20としては、図1及び図2に示す2種類のものが用意されている。立体部品10は基本形状として立方体形状をなしており、図1(a)に示すように、平行な2面の一方に立方体状の凸部10aが形成され、同(b)に示すように、他方の面に立方体形状の凹部10bが形成されている。立体部品20は基本形状として立方体形状をなしており、図2(a)に示すように、平行な2面の一方に立体部品10と同様な立方体状の凹部20bが形成され、同(b)に示すように、他の面は平面20cのままにされている。
【0014】
前記配置部材30は、溶解した立体部品と接着しない材料(例えば、ABS樹脂)から形成されており、図3に示すように、板状のベース部30bの上面に多数の嵌合凸部30aをマトリックス状に配置して形成されている。当該各嵌合凸部30aは、前記立体部品10,20を配置部品30に配置する際に当該立体部品10,20の凹部10b,20b内にほぼ密着状態で挿入されるように寸法が設定されている。各嵌合凸部30a間の間隔は、立体部品10,20をその凹部10b,20bを嵌合凸部30aに被せて配置した場合に立体部品10,20の側面がほぼ密着状態となるように設定されている。
【0015】
次に、本発明の実施の一形態に係る玩具セットを用いて、図4に示すような立体模型40を製作する方法について説明する。なお、立体模型40は水平面と平行な複数の層(図4では5層)の立体部品群から構成されている。
【0016】
各層の立体部品群の配置については、立体模型40の形状データをパソコン上でモデリングするソフトウェアを用いて各層の配置パターンを得ておくことが便利であるが、人間の頭脳だけで各層の断面配置パターンを創出することも可能である。
【0017】
図5は、立体模型40の下から2層目の立体部品群40aを形成する過程を示すものである。配置部品30の嵌合凸部30a内に立体部品10,20の凹部10b,20bを収納するように立体部品10,20を配置していく。例えば、図4に示した立体模型40の2層目の立体部品10,20に識別のための符号10−1,20−1,20−2,20−3を付し、図5中でも該当する立体部品に同一の符号10−1、20−1,20−2,20−3を付して対応関係を示す。上に重なる立体部品が有る部分では、立体部品10(例えば10−1)が配置され、上に重なる立体部品が無い部分では、立体部品20(例えば、20−1,20−2,20−3)が配置される。
【0018】
立体部品10,20を配置部品30上に設置していく場合に、隣接して接触する部分(例えば、図中20−1−c)に水で湿した綿棒やスポンジなどにより水分を塗布して湿潤状態とした後配置する。これにより、溶解部分の乾燥過程で隣接する立体部品10,20は接着させられて一体化される。少量の水分の塗布なので乾燥時間は極めて短いものとなる。しかも、面接触になるので高い接着力を得ることができる。
【0019】
同様な方法により、立体部品10,20を配置部品30上で配置して、前記立体模型40の各層の立体部品群を形成する。そして、図6又は図7に示すように、最下層から上層に向かって上下方向に積層させることにより、立体模型40を完成させる。各層の分解を許容する場合であれば、単に凸部10aと凹部20bとの嵌合だけでよいが、分解を許容しない場合には、各層の積層過程で凸部10aや凹部20bなどの接合部分に、上述と同様に、水分を含ませた綿棒により水分を塗布して湿潤状態として積層させれば、各層の立体部品群を相互に接着した状態とすることができる。
【0020】
なお、上記玩具セットでは、立体部品10,20に形成した凹部10b,20bは立方体形状になっているが、円柱状形状であってもよい。この場合、立体部品10,20に形成した凹部を円柱形状とした場合には、配置部品30の嵌合凸部30aは、円柱形状にする。
【0021】
また、上記玩具セットでは、立体部品10,20を立方体形状としているが、平行する2面を有する立体であれば、例えば、直方体、角柱のような適宜の形状のものも使用することができる。この場合には、配置部品30の嵌合凸部30aの間隔は上記適宜の形状とした立体部品の側面が相互に接触するような間隔寸法に設定される。
【0022】
さらに、上記玩具セットでは、立体部品10,20の全体を湿潤状態とした場合に溶解する材料から形成したが、少なくとも立体部品10,20の表面のみが湿潤状態で溶解する材料が形成されていればよい。
【符号の説明】
【0023】
10 立体部品
10a 凸部
10b 凹部
20 立体部品
20b 凹部
30 配置部品
30a 嵌合凸部
30b ベース部
40 立体模型
40a 立体模型40における下から2層目の立体部品群
10−1,20−1,20−2,20−3 立体部品を区別するための符号
20−2−c 接触面(水分塗布面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有する玩具セットであって、
前記立体部品の少なくとも表面は、湿潤状態にされると表面が溶解して溶解した面を接触させて乾燥する過程で接着力が生じさせられる材料から形成され、
前記立体部品は、ほぼ平行な平面を備えた立体からなり、これら平行な一の平面に凹部が形成されるとともに平行な他の平面に当該凹部が嵌合する凸部が形成されたものと、一の平面に凹部が形成され他の平面は平面のままに形成されたものの少なくとも2種を有し、
前記配置部品には、前記立体部品の平行な平面に形成された凹部が嵌合させられる嵌合凸部が多数形成され、当該嵌合凸部の間隔は、前記立体部品に形成された凹部を嵌合させた際に隣接する前記立体部品の側面がほぼ面接触する状態となる位置に形成されていることを特徴とする玩具セット。
【請求項2】
立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有する玩具セットに使用される立体部品であって、
前記立体部品の少なくとも表面は、湿潤状態にされると表面が溶解して溶解した面を接触させて乾燥する過程で接着力が生じさせられる材料から形成され、
前記立体部品は、ほぼ平行な平面を備えた立体からなり、これら平行な一の平面に凹部が形成されるとともに平行な他の平面に当該凹部が嵌合する凸部が形成されたものと、一の平面に凹部が形成され他の平面は平面のままに形成されたものの少なくとも2種を有することを特徴とする玩具セットに使用される立体部品。
【請求項3】
立体模型を構成する単位ユニットとしての立体部品と、当該立体部品を所望の配列に配置するための配置部品とを有する玩具セットに使用される配置部品であって、
前記配置部品には、前記立体部品の平行な平面に形成された凹部が嵌合させられる嵌合凸部が多数形成され、当該嵌合凸部の間隔は、前記立体部品に形成された凹部を嵌合させた際に隣接する前記立体部品の側面がほぼ面接触する状態となる位置に形成されていることを特徴とする玩具セットに使用される配置部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−232002(P2012−232002A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103329(P2011−103329)
【出願日】平成23年5月3日(2011.5.3)
【出願人】(505016159)
【Fターム(参考)】