説明

現像ユニットおよび画像形成装置

【課題】帯電部材により帯電させた液体現像剤を用いて現像処理を行う現像ユニットおよび該現像ユニットを装備する画像形成装置において、液体現像剤により帯電部材が汚染されるのを防止する。
【解決手段】現現像器支持部50が回動軸56を中心として回動されて現像ローラー51が、当接位置(現像位置)、離間位置(非現像位置)およびメンテナンス位置に位置決めされるが、現像ローラー51がいずれの位置に位置決めされた際にも、現像ローラー51の回転中心から鉛直方向の下方に延びる仮想鉛直面から離れた位置に位置決めされる。このため、現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャリア液体およびトナーを含む液体現像剤で現像する現像ユニットおよび該現像装置を装備する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電している感光体に静電潜像を形成し、キャリア液体にトナーを分散した液体現像剤により静電潜像を現像してトナー像を形成する液体現像方式の画像形成装置が実用化されている。例えば特許文献1に記載の画像形成装置では、荷電部材(本発明の「帯電部材」に相当)を有する現像ユニットが用いられている。この荷電部材は現像ローラーに対向して配置されて現像ローラーに塗布された液体現像剤に電荷を与える機能を有するものである。そして、2枚の側板により荷電部材および現像ローラーは一体的に連結されて一体的に移動し、両者の相対的位置関係は一定に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175425号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の現像ユニットでは、キャリア液体およびトナーを含む液体現像剤を用いているため、現像処理を停止している時やメンテナンス時には、現像ローラーの表面に付着している液体現像剤が現像ローラー表面上を移動して液垂れが発生することがある。したがって、現像ローラーから垂れ落ちた液体現像剤が荷電部材に付着して荷電部材を汚染してしまうことがあり、画像むらの原因ともなる。したがって、荷電部材の汚染を防止することが重要である。しかしながら、現像ローラーを位置決めした際に荷電部材がどのように位置決めされるかについて、十分な検討がなされておらず、上記問題は発生することがあった。
【0005】
この発明にかかるいくつかの態様は、帯電部材により帯電させた液体現像剤を用いて現像処理を行う現像ユニットおよび該現像ユニットを装備する画像形成装置において、液体現像剤により帯電部材が汚染されるのを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様は、現像ユニットであって、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持する現像剤担持体ローラー、及び現像剤担持体ローラーの回転中心を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の下方で現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤を帯電させる帯電部材を有する現像器と、現像器を第1の位置及び第1の位置と異なる第2の位置で支持するとともに、第1の位置及び第2の位置で支持したときに帯電部材を仮想鉛直面と交差しない姿勢で現像器を支持する現像器支持部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明の第2の態様は、画像形成装置であって、潜像が形成される潜像担持体と、潜像担持体を露光して潜像を形成する露光部と、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持する現像剤担持体ローラー、現像剤担持体ローラーの回転中心を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の下方で現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤を帯電させる帯電部材、及び現像剤担持体ローラーと帯電部材とを支持する支持部材を有し、潜像を現像する現像部と、現像器を第1の位置及び第1の位置と異なる第2の位置で支持するとともに、第1の位置及び第2の位置で支持したときに帯電部材を仮想鉛直面と交差しない姿勢で現像器を支持する現像器支持部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(現像ユニットおよび画像形成装置)では、現像器支持部は現像器を第1の位置及び第2の位置で支持するが、いずれの位置でも、帯電部材を仮想鉛直面と交差しない姿勢としている。このため、現像剤担持体ローラーから液体現像剤が垂れて帯電部材に付着して帯電部材を汚染するという問題は発生しない。
【0009】
ここで、画像形成装置が、現像剤担持体に液体現像剤を供給する供給ローラー、供給ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収して搬送する供給ローラークリーニング部材、及び供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の下方に配設されて供給ローラークリーニング部材で搬送された液体現像剤を貯留する回収部を有し、現像器支持部が、現像器を第1の位置及び第2の位置で支持したとき、回収部を供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の下方に位置する姿勢で現像器を支持するように構成してもよい。
【0010】
また、画像形成装置は、現像剤担持体をクリーニングして液体現像剤を回収する現像剤担持体クリーニング部と、一方端部が他方端部よりも鉛直方向で高く配設されるとともに、一方端部は現像剤担持体クリーニング部材の鉛直方向の下方に、他方端部は供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の上方に配設する回収経路部材と、を備えてもよい。
【0011】
また、回収経路部材の他方端部の現像剤担持体ローラーの軸方向の長さが、供給ローラークリーニング部材の現像剤担持体ローラーの軸方向の長さよりも短くなるように構成してもよい。
【0012】
また、画像形成装置は、現像剤担持体ローラーの一方端を軸支する第1側板と、現像剤担持体ローラーの他方端を軸支する第2側板と、一方端部で第1側板を軸支するとともに他方端部で第2側板を軸支して現像器を回動させる回動軸と、現像剤担持体ローラーと回動軸との位置を調整する調整機構と、を備えてもよい。
【0013】
また、調整機構により、回動軸の一方端部を回動軸の回動軸方向に垂直な方向に変位させるように構成してもよい。
【0014】
さらに、第1の位置を、潜像担持体と現像剤担持体ローラーとが当接する位置、つまり現像位置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる現像ユニットの第1実施形態を装備した画像形成装置を示す図。
【図2】帯電部と現像部との配置関係を示す斜視図。
【図3】現像部でのクリーニング機構の概要構成を示す斜視図。
【図4】クリーニング機構により回収される廃液の回収経路を示す模式図。
【図5】当接位置および離間位置への現像部の位置決め動作を示す図。
【図6】メンテナンス位置への現像部の位置決め動作を示す図。
【図7】移動機構および移動規制機構の構成を示す部分拡大斜視図。
【図8】調整機構の構成を示す図。
【図9】本発明にかかる現像ユニットの第2実施形態を装備した画像形成装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明にかかる現像ユニットの第1実施形態を装備した画像形成装置を示す図である。この画像形成装置は、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の下方で、感光体ドラム1に担持される像を1次転写部2のブランケットローラー21に転写し、さらにブランケットローラー21に転写された像を転写紙に転写する、いわゆる下部転写構造を有している。なお、図1の画像形成装置は後述するように単色のトナー像を形成して転写紙に転写するものであり、同装置を複数台、例えば4台配列してカラー印刷システムを構成することが可能である。もちろん、図1の装置は単独でモノクロの画像形成装置としても機能する。
【0017】
この画像形成装置では、感光体ドラム1は、アモルファスシリコン感光体などの感光体材料からなる感光層を表面に有している。そして、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように感光体ドラム1は配置されており、図1中矢印D1の方向に所定速度で回転駆動される。
【0018】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電させる帯電部3と、感光体ドラム1表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光部4と、該静電潜像を液体現像剤で現像してトナー像を形成する現像部5と、第1スクイーズ部6と、第2スクイーズ部7と、1次転写部2のブランケットローラー21と、一次転写後の感光体ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング部8とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム1の回転方向D1(図1では、反時計回り)に沿って配設されている。
【0019】
帯電部3は、6個の帯電器31と帯電器気流ダクト32とを有しており、図1紙面において、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。これらの帯電器31は感光体ドラム1の表面に接触しないものであり、感光体ドラム1の回転方向D1に沿って6個配列されている。帯電器31としては、例えば従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。このように帯電器31によるコロナ放電で感光体ドラム1が帯電されることで、感光体ドラム1の表面の電位が略均一の電位に設定される。また、帯電器気流ダクト32は帯電器31に向けて外気を導入する外気導入経路(図示省略)と、帯電器31での放電により発生する雰囲気を排気する排気経路(図示省略)とを有しており、帯電処理が行われる雰囲気を換気して雰囲気管理を行う。
【0020】
露光部4は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HP上に配されて外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム1表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。本実施形態では、この露光部4として発光素子を主走査方向(図1紙面に垂直な方向)に配列したラインヘッドを用いているが、これ以外に半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの等を用いてもよい。なお、本実施形態では、露光部4を仮想水平面HP上に配しているが、露光部4の配設位置はこれに限定されるものではなく、仮想水平面HPの鉛直方向の上方または鉛直方向の下方に配してもよい。
【0021】
こうして形成された静電潜像に対し、本発明にかかる現像ユニットの第1実施形態たる現像部5から液体現像剤が付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。本実施形態では、絶縁性液体を主成分とするキャリア液体内に、着色された樹脂粒子をトナーとして概略重量比25%程度に分散させた液体現像剤を用いており、トナーは電界中を電気泳動可能なように電荷を有している。なお、この現像剤濃度については、上記25%に限定されるものではなく、10〜30%であってもよい。また、キャリア液体としては、例えばIsopar(エクソン社商標)、シリコンオイル、ノルマルパラフィンオイルなどが使用される。また、電気抵抗値は1010Ω・cm以上、望ましくは1012Ω・cm以上が好ましい。というのも、抵抗が低い場合には、トナーが電気泳動する過程で余剰な電流が流れ、移動に必要な電界が維持できない可能性があるからである。さらに、こうして調製された液体現像剤の粘度は、トナーを構成する樹脂や分散剤・荷電制御剤で左右されるが、50〜500[mPa・s]の粘度を示す液体現像剤を用いることができ、本実施形態では400[mPa・s]の液体現像剤を用いている。なお、現像部5の構成および動作については、後で詳述する。
【0022】
上記液体現像剤により静電潜像が現像される現像位置に対し、感光体ドラム1の回転方向D1の下流側では、第1スクイーズ部6が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部6の下流側に第2スクイーズ部7が配置されている。この実施形態では、第1スクイーズ部6のスクイーズローラー61および第2スクイーズ部7のスクイーズローラー71はいずれも図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に配されている。
【0023】
この第1スクイーズ部6には、不図示のバネにより感光体ドラム1方向に付勢されたスクイーズローラー61が設けられている。そして、スクイーズローラー61が第1スクイーズ位置で感光体ドラム1の表面と当接しながら図示しないモーターにより回転駆動されてトナー像の余剰現像剤を除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー61に対して第1スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第1スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー61の表面に対してクリーニングブレード62が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤は回収部材63に回収される。
【0024】
また、第2スクイーズ部7では、感光体ドラム1の回転方向D1において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー71が感光体ドラム1の表面と当接しながら回転してトナー像の余剰キャリア液体やカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、第1スクイーズ部6と同様に、スクイーズローラー71に対して第2スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第2スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。また、スクイーズローラー71の表面に対してクリーニングブレード72が当接し、ローラー表面に付着する液体現像剤を掻き取る。そして、こうして掻き取られた液体現像剤はガイド部材73により感光体ドラム1から離れる方向に案内され、ガイド部材73の鉛直方向の下方に配置された回収部材74に回収される。
【0025】
なお、本実施形態では2つのスクイーズ部6、7を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0026】
第1および第2スクイーズ部6、7を通過してきた感光体ドラム1には装置外部から与えられた画像信号に対応するトナー像が形成されており、一次転写位置TR1でブランケットローラー21に転写される。このブランケットローラー21を含む転写部2は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。この転写部2は、ブランケットローラー21と、ブランケットローラー21にキャリア液体を塗布するキャリア塗布機構22と、ブランケットローラー21のクリーニング機構23と、二次転写ローラー24と、二次転写ローラー24のクリーニング機構25とを有している。
【0027】
ブランケットローラー21の表面は、鉛直方向での感光体ドラム1の最下位置BPに対し、感光体ドラム1の回転方向D1の上流側で感光体ドラム1の表面と当接して一次転写ニップを形成している。この一次転写ニップの形成位置が一次転写位置TR1となる。また、ブランケットローラー21は図示を省略するモーターと接続されており、図1紙面において時計回りD21に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。こうして感光体ドラム1に担持されるトナー像が一次転写位置TR1でブランケットローラー21に一次転写される。
【0028】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21における一次転写位置TR1の下流側でブランケットローラー21に対し、二次転写ローラー24が当接しながらウィズ回転して二次転写ニップを形成する。この二次転写ニップの形成位置が二次転写位置TR2となる。したがって、図示を省略する搬送部により転写紙が二次転写位置TR2に給紙されて二次転写ニップを通過することでブランケットローラー21に転写されたトナー像が転写紙に二次転写される。こうして、上記した液体現像剤を用いた像が転写紙に印刷される。
【0029】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21において二次転写位置TR2の下流側に、キャリア塗布機構22が配置されて二次転写後のブランケットローラー21の表面にキャリア液体を塗布する。このキャリア液体の塗布処理を行うために、キャリア塗布機構22は、ブランケットローラー21に対してウィズ回転するキャリア塗布ローラー221と、キャリア液体を貯蔵するキャリア貯蔵部材222と、キャリア貯蔵部材222からキャリア液体を汲み上げてキャリア塗布ローラー221に供給するキャリア汲み上げローラー223とを有している。
【0030】
ブランケットローラー21の回転方向D21においてキャリア塗布機構22の下流側でかつ一次転写位置TR1の上流側にクリーニング機構23が配置されて一次転写直前にブランケットローラー21の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構23は、ブランケットローラー21に対してカウンター方向に回転するクリーニングローラー231と、クリーニングローラー231に当接してクリーニングローラー231をクリーニングするクリーニングブレード232と、クリーニングブレード232により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材233とを有している。
【0031】
二次転写ローラー24の回転方向において二次転写位置TR2の上流側でクリーニング機構25が配置されて二次転写直前に二次転写ローラー24の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング機構25は、二次転写ローラー24に当接して二次転写ローラー24をクリーニングするクリーニングブレード251と、クリーニングブレード251により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材252とを有している。
【0032】
感光体ドラム1の回転方向D1において一次転写位置TR1の下流側で、かつ帯電位置の上流側に、感光体クリーニング部8が配置されている。この感光体クリーニング部8は、クリーニングブレード81と、感光体ドラム1の最下位置BPから垂れ落ちる液体現像剤を受ける現像剤受け部材82と、現像剤受け部材に受け止められた現像剤を回収する回収部材83と、これらクリーニングブレード81、現像剤受け部材82および回収部材83を一体的に支持する支持部材84とを有している。そして、この支持部材84は回動軸85を回動中心として回動自在となっている。
【0033】
また、支持部材84にはバネ部材(図示省略)が接続されて図1紙面において反時計回りに支持部材84を付勢し、クリーニングブレード81を感光体ドラム1から離間する方向に作用している。一方、支持部材84の反感光体ドラム側(図1の右側)の端部には係合部841が突設されており、図示を省略する可動片が係合部841を上記付勢力よりも大きな応力で押し下げると、支持部材84は図1紙面において時計回りに回動させられ、これによりクリーニングブレード81は感光体ドラム側に移動してクリーニングブレード81の先端部が感光体ドラム1の鉛直方向の下方で仮想鉛直面VPと交差する位置(以下「最下位置」という)BPと当接する。これにより感光体ドラム1に残留する液体現像剤がクリーニング除去される。なお、こうしてクリーニングブレード81により掻き取られた液体現像剤は感光体ドラム1の最下位置BPの鉛直方向の下方に配置された現像剤受け部材82により受け止められ、さらに現像剤受け部材82の傾斜面に沿って回収部材83の内部に流れ落ちて貯蔵される。
【0034】
次に、現像部5の構成および作用効果について図1ないし図8を参照しつつ説明する。現像部5は、感光体ドラム1に担持される潜像を現像する現像器と、現像器を現像位置、離間位置およびメンテナンス位置で支持する現像器支持部とを有している。なお、ここでは、現像処理を実行する位置に位置決めされた時の現像部5の各部構成を説明した後で、現像処理時、離間時およびメンテナンス時の現像器の位置決め動作について説明する。
【0035】
図2は帯電部と現像部との配置関係を示す斜視図である。現像部5では、同図に示すように、回転軸方向Xで互いに離間して配置された2枚の側板50A、50Bと、側板50A、50Bの上方端部を連結する上方連結部材50Cと、側板50A、50Bの下方端部を連結する下方連結部材50Dとで現像器支持部50が構成されている。そして、現像器支持部50に対し、現像器を構成する主要な構成要素、つまり現像ローラー51、中間塗布ローラー52、アニロックスローラー53、現像剤容器54およびトナー圧縮コロナ発生器55が取り付けられ、図1紙面において感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直面VPに対して右側で、後述する回動軸56を回動中心として画像形成装置の装置本体フレームFM(図7、図8参照)に対して一体的に回動自在となっている。
【0036】
この画像形成装置の現像部5は、現像ローラー51と、中間塗布ローラー52と、アニロックスローラー53とを有する、いわゆる3ローラー構成を有している。これらのローラー51〜53は、いずれも回転軸が感光体ドラム1の回転軸と平行に配置されながら両端部が側板50A、50Bにそれぞれ回転自在に軸支されている。より詳しくは、各ローラー51〜53はそれぞれ以下のように構成されている。
【0037】
現像ローラー51は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー51は現像用モーター(図示省略)に接続され、図1紙面において時計回りD51に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー51は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0038】
また、この現像ローラー51に対して液体現像剤を供給するために中間塗布ローラー52とアニロックスローラー53とが設けられており、アニロックスローラー53から中間塗布ローラー52を介して現像ローラー51へ液体現像剤が供給される。これらのうち中間塗布ローラー52は現像ローラー51と同様に金属製内芯の外周部に弾性層を設けたものであるのに対し、アニロックスローラー53は液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。もちろん、アニロックスローラー53を、現像ローラー51や中間塗布ローラー52と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどを用いてもよい。これら中間塗布ローラー52およびアニロックスローラー53は上記現像用モーターに接続され、図1紙面においてそれぞれ時計回りおよび反時計回り回転される。したがって、中間塗布ローラー52は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、アニロックスローラー53は中間塗布ローラー52に対してウィズ方向に回転する。このように、本実施形態では、いわゆる3ローラー構成により液体現像剤を現像剤容器54から現像ローラー51に供給しているため、液体現像剤がニップを複数回通過することで、液体現像剤を十分に練ることができ、現像ローラー51にて均一な液体現像剤の膜を形成することが可能となる。もちろん、この形態に限らず、アニロックスローラー53から直接現像ローラー51へ液体現像剤を塗布する構成(2ローラー構成)としてもよい。
【0039】
図3は現像ローラーおよび中間塗布ローラーのクリーニング機構の概要構成を示す斜視図である。また、図4はクリーニング機構により回収される廃液の回収経路を示す模式図である。図1、図3および図4に示すように、現像ローラー51に対してクリーニングローラー511が当接されるとともに、このクリーニングローラー511に対してローラークリーニングブレード512が当接されており、現像ローラー51のクリーニング処理を行う。すなわち、現像ローラー51の表面が感光体ドラム1と当接して現像ニップを形成している現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の下流側にクリーニングローラー511が現像ローラー51の表面と当接しながら図3および図4紙面において時計回り回転される。したがって、クリーニングローラー511は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、現像に寄与せずに現像ローラー51に残存する液体現像剤を除去する。また、このクリーニングローラー511の表面にローラークリーニングブレード512が当接して上記液体現像剤を掻き落として除去する。さらに、ローラークリーニングブレード512の下方位置には傾斜部材513が配置されている。この傾斜部材513は、現像ローラー側(図1の左側)の端部が反現像ローラー側(図1の右側)の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかも現像ローラー51から離れるにしたがって下るように傾斜している。そして、現像ローラー側端部がローラークリーニングブレード512の鉛直方向の下方に位置するように傾斜部材513は現像器支持部50に固定されている。このため、ブレード512で掻き落とされた液体現像剤(廃液)は傾斜部材513で受け止められて反現像ローラー側に案内される。なお、回転軸方向Xでの傾斜部材513の両端部では、上方に延びるフェンス513aがそれぞれ形成されており、廃液が傾斜部材513の両端部から溢れるのを防止し、廃液を確実に回収することが可能となっている。
【0040】
また、中間塗布ローラー52に対してクリーニングブレード521が当接されており、現像に寄与せずに中間塗布ローラー52に残存する液体現像剤を中間塗布ローラー52の表面から掻き落として除去する。このクリーニングブレード521の反中間塗布ローラー側(図1の右側)端部は傾斜部材522と接続されている。この傾斜部材522は、中間塗布ローラー側(図1の左側)の端部が反中間塗布ローラー側(図1の右側)の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかも中間塗布ローラー52から離れるにしたがって下るように傾斜している。そして、中間塗布ローラー側端部が傾斜部材513の反現像ローラー側端部の鉛直方向の下方に位置するとともに、反中間塗布ローラー側端部が現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に位置するように、傾斜部材522は現像器支持部50に固定されている。さらに、回転軸方向Xで、傾斜部材522の中間塗布ローラー側端部は傾斜部材513の反現像ローラー側端部よりも長くなっている。つまり、回転軸方向Xでの傾斜部材513の反現像ローラー側端部長さW513および傾斜部材522の中間塗布ローラー側端部長さW522は
W513<W522
の関係を満足している。このため、図4に示すように、ブレード521で掻き落とされた液体現像剤(廃液)は傾斜部材522に沿って反中間塗布ローラー側に案内されるとともに、傾斜部材513に案内されて落下してくる廃液(現像ローラー51からクリーニング除去した液体現像剤)は傾斜部材522の中間塗布ローラー側端部に受け止められて反中間塗布ローラー側に案内される。そして、ブレード512、521で掻き取られた液体現像剤(廃液)が一緒に傾斜部材522から現像剤容器54の回収部位541に流れ落ちて回収される。なお、傾斜部材522も傾斜部材513と同様に、回転軸方向Xでの傾斜部材522の両端部では、上方に延びるフェンス522aがそれぞれ形成されており、廃液が傾斜部材522の両端部から溢れるのを防止し、廃液を確実に回収することが可能となっている。
【0041】
一方、アニロックスローラー53に対して規制部材531が当接されている。この規制部材531として、金属製あるいは表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材を用いることができるが、本実施形態にかかる規制部材531は、アニロックスローラー53の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、規制部材531は、アニロックスローラー53によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚や量などを規制調整し、現像ローラー51に供給する液体現像剤の量を調整する機能を有している。また、規制部材531により掻き取られた液体現像剤は現像剤容器54の貯蔵部位542に戻される。なお、この貯蔵部位542には撹拌部材543が配置されており、図示省略するモーターにより回転し、貯蔵部位542内で液体現像剤を撹拌する。
【0042】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー51は中間塗布ローラー52の表面とは逆方向に移動するように回転すると共に、感光体ドラム1の表面とは同方向に移動するように回転する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー51の回転方向は、その表面が感光体ドラム1の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、中間塗布ローラー52に対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0043】
また、現像位置に対し、現像ローラー51の回転方向D51の上流側にトナー圧縮コロナ発生器55が配置され、現像器支持部50に固定されている。より詳しくは、図4紙面において現像ローラー51の回転軸514から鉛直方向の下方に延びる仮想鉛直面VP5に対して右側で、回転軸514を通る仮想水平面(図示省略)の鉛直方向の下方に配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器55は、現像ローラー51の表面のバイアスを増加させる電界印加手段であり、現像ローラー51によって搬送される液体現像剤のトナーは、このトナー圧縮コロナ発生器55と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。
【0044】
このように現像器の主要構成要素はそれぞれ現像器支持部50に固定されている。また、この回動軸56の一方端部は側板50Aに軸支されるとともに、他方端部は側板50Bに軸支されている。このため、現像器は現像器支持部50に支持されながら回動軸56を回動中心として移動自在となっている。そして、次に説明する移動機構57が、感光体ドラム1と当接して現像を行う当接位置(図5(a):現像位置)と、当接位置から離間して現像を行わない離間位置(図5(b):非現像位置)とに現像ローラー51を移動し、位置決めする。また、現像ローラー51が離間位置に位置決めされた際に、次に説明する移動規制機構58が作用することで現像ローラー51の移動が規制され、また移動規制機構58による規制を解除することで現像ローラー51の移動が許容される。さらに、ユーザーが上方連結部材50Cの上面に固定されたハンドル50Eを操作して回動軸56を回動中心として現像器支持部50を大きく回動させることで、現像部5は、感光体ドラム1から大きく離間させて現像部5の交換などを行うメンテナンス位置(図6)に位置決め可能となっている。このように、本実施形態では、現像部5は互いに異なる3つの位置に位置決め可能となっている。
【0045】
次に、移動機構57および移動規制機構58の構成および動作について図5および図7を参照しつつ説明する。図7は移動機構および移動規制機構の構成を示す部分拡大斜視図である。この移動機構57は、感光体ドラム1の上方位置で装置本体フレームFMに対して回転自在に軸支された回転軸571と、回転軸571に固定されて回転軸571と一体的に回転する離接カム572とを有している。一方、移動規制機構58は回転軸571の端部に固定されて回転軸571を中心に一体的に回転する回転部材581と、装置本体フレームFMに取り付けられて回転部材581に対して進退自在な可動部材ピン582と、可動部材ピン582を進退駆動するソレノイド(図示省略)とを有している。なお、この回転部材581の周縁部には略U字状の切欠部位583が設けられている。
【0046】
この回転軸571は図示を省略するモーターと接続されており、当該モーターにより回転駆動される。そして、図7(a)に示すように離接カム572が側板50Aの内側面に固着されたカムフォロア573から離間している間、現像器支持部50は自重により図5(a)紙面において回動軸56を中心として反時計方向に回動し、現像ローラー51が感光体ドラム1に当接して現像処理が実行可能となっている。こうして、現像ローラー51は当接位置(現像位置)に位置決めされる。なお、別途バネ部材を設け、感光体ドラム1に対する現像ローラー51の当接圧を調整してもよい。また、現像ローラー51を当接位置(現像位置)に位置決めしている際は、図7(a)に示すように、切欠部位583が鉛直方向の下方を向いている。
【0047】
そして、モーターにより回転軸571を180゜回転させると、その回転動作に応じて離接カム572がカムフォロア573に当接し、現像器支持部50を図5(b)紙面において回動軸56を中心として時計方向に回動させて現像ローラー51を感光体ドラム1から離間させる。ここで、モーターの励磁を解除すると、回転軸571が回転して現像ローラー51が感光体ドラム1に当接してしまう。このように現像処理を行わない間、現像ローラー51を感光体ドラム1に当接し続けると、現像ローラー51の表層、つまり弾性層が部分的に変形して液体現像剤の薄層の厚みが不均一となり、良好なトナー像を形成することが困難となる。そこで、本実施形態では、図7(b)に示すように、上記回転軸571の180゜回転により可動部材ピン582の位置まで移動してきた切欠部位583に対してソレノイドにより可動部材ピン582を前進させてピン先端部を挿入し、これによって回転部材581を係止する。その結果、回転軸571の回転が強制的に停止され、現像ローラー51は感光体ドラム1から離間した状態に維持される。
【0048】
なお、現像処理を行う際には、ソレノイドにより可動部材ピン582を後退させて切欠部位583から可動部材ピン582を抜く。これによって回転部材581の係止を解除する。これによって、回転軸571の回転停止が解除され、モーターによる回転軸571の回転に応じて現像ローラー51は感光体ドラム1に近づいて当接状態に戻される。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、現像ローラー51の回転軸514を通る仮想水平面(図示省略)の鉛直方向の下方で現像ローラー51に対向してトナー圧縮コロナ発生器55が配されているため、現像ローラー51から垂れて落下する液体現像剤がトナー圧縮コロナ発生器55に付着すると、画像むらを引き起してしまう。しかしながら、本実施形態では、現像処理段階、つまり図4および図5(a)に示すように現像ローラー51を当接位置に位置決めしている間、トナー圧縮コロナ発生器55は現像ローラー51の回転軸514を通る仮想鉛直面VP5から離れた位置に配されている、つまり仮想鉛直面VP5と交差しない姿勢で現像器支持部50に支持されるため、現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されるのを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、現像器支持部50が回動軸56を中心として回動されて現像ローラー51が、上記現像位置以外に、離間位置やメンテナンス位置にも位置決めされる。例えば現像ローラー51が離間位置に位置決めされた際、図5(b)に示すようにトナー圧縮コロナ発生器55は仮想鉛直面VP5に対して右側に位置しており、仮想鉛直面VP5と交差しない姿勢で現像器支持部50に支持される。現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されることはない。また、現像ローラー51がメンテナンス位置に位置決めされた際、図6に示すようにトナー圧縮コロナ発生器55は仮想鉛直面VP5に対して左側に位置しており、仮想鉛直面VP5と交差しない姿勢で現像器支持部50に支持される。したがって、現像ローラー51から垂れ落ちる液体現像剤によりトナー圧縮コロナ発生器55が汚染されることはない。このように、本実施形態では、現像ローラー51がいずれの位置に位置決めされた際にも、トナー圧縮コロナ発生器55は仮想鉛直面VP5と交差しない姿勢で現像器支持部50に支持されるため、液体現像剤によるトナー圧縮コロナ発生器55の汚染を確実に防止することができ、画像むらを発生することなく、良好な現像処理を行うことができる。
【0051】
また、現像ローラー51を当接位置(現像位置)に位置決めして現像処理を行っている間、図4および図5(a)に示すように、ローラークリーニングブレード512により掻き取った液体現像液は傾斜部材513、522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送され、傾斜部材522の鉛直方向での最下位置BP2から自由落下する。また、クリーニングブレード521により掻き取った液体現像液は傾斜部材522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送され、傾斜部材522の鉛直方向での最下位置BP2から自由落下する。このため、ブレード512、521で掻き取られた液体現像剤(廃液)を現像剤容器54の回収部位541に回収することができ、貯蔵部位542に貯蔵されている新しい液体現像剤と混ざり合うことなく、廃液を回収することができる。
【0052】
また、現像ローラー51が離間位置(図5(b))に位置決めされた時も、現像ローラー51が現像位置に位置決めされた時と同様に、ローラークリーニングブレード512により掻き取った液体現像液は傾斜部材513、522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送され、またクリーニングブレード521により掻き取った液体現像液は傾斜部材522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送される。そして、これらの液体現像剤(廃液)は傾斜部材522の鉛直方向での最下位置BP2から自由落下して現像剤容器54の回収部位541に回収される。
【0053】
さらに、現像ローラー51がメンテナンス位置(図6)に位置決めされた時には、ローラークリーニングブレード512により掻き取った液体現像液は傾斜部材513により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送され、またクリーニングブレード521により掻き取った液体現像液は傾斜部材522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送される。そして、これらの液体現像剤(廃液)は傾斜部材513、522の鉛直方向での最下位置BP1、BP2から自由落下して現像剤容器54の回収部位541に回収される。
【0054】
このように、当接位置および離間位置に位置決めされた際には、2つの傾斜部材513、522により本発明の「回収経路部材」が構成されている。また、メンテナンス位置に位置決めされた際には、傾斜部材513のみにより本発明の「回収経路部材」が構成されている。そして、現像ローラー51がいずれの位置に位置決めされた際にも、現像器支持部50は、傾斜部材522の最下位置BP2(メンテナンス位置ではさらに傾斜部材513の最下位置BP1)が現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に位置する姿勢で支持するため、ブレード512、521で掻き取られた液体現像剤(廃液)を確実に回収することができる。
【0055】
このように、本実施形態では、感光体ドラム1が本発明の「潜像担持体」に相当する。また、中間塗布ローラー52が本発明の「供給ローラー」に相当している。また、現像ローラー51およびトナー圧縮コロナ発生器55がそれぞれ本発明の「現像剤担持体ローラー」および「帯電部材」に相当している。また、現像剤容器54の回収部位541が本発明の「回収部材」に相当し、クリーニングローラー511およびローラークリーニングブレード512が本発明の「現像剤担持体クリーニング部」に相当している。また、クリーニングブレード521が本発明の「供給ローラークリーニング部材」に相当している。
【0056】
ところで、上記実施形態では、回動軸56が、現像ローラー51の回転軸514と平行に、装置本体フレームFMに固定配置されており、この回動軸56を中心に現像器支持部50が一体的に回動自在となっている。そして、この回動軸56から比較的離れた位置で現像ローラー51の回転軸514の両端部が現像器支持部50の側板50A、50Bに軸支されている。このため、側板50A、50Bの剛性を高めるのが望ましいが、両側板50A、50Bの位置同期をとるのが難しく、当接位置で現像ローラー51の片当りが発生したり、離間位置やメンテナンス位置では現像ローラー51に付着する液体現像剤が軸端部に移動して当該軸端部から不要な液垂れが発生するなどの問題が発生することがある。そこで、上記実施形態では、図8に示すように、現像ローラー51の回転軸514と回動軸56との位置を調整する調整機構として以下に説明する2種類の構成が装備されている。
【0057】
調整機構の一つ目として、回動軸56の一方端部が位置調整機構59を介して装置本体フレームFMに固定されている。この位置調整機構59は、図8の右側から突き出しているボルト591により現像ローラー51の回転軸方向と直交する水平方向に回動軸56の一方端部を移動させ、また同図の下側から突き出しているボルト592により鉛直方向に回動軸56の一方端部を移動させる。これによって、回動軸56の一方端部の装置本体フレームFMへの固定位置を調整することが可能となっている。なお、この実施形態では、2軸調整により位置調整しているが、十分な現像ローラー51の当接精度が得られるのであれば、1軸調整により位置調整してもよい。また、回動軸56の他方端部に対しても位置調整機構を設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、調整機構の二つ目として、内側軸受とこれに対し偏心させた外側軸受を有する、いわゆる偏心軸受561を用いている。すなわち、回動軸56の一方端部は偏心軸受561を介して側板50Bを軸支している。したがって、例えば図8(b)に示す状態の偏心軸受561のうち丸マークが付された外側軸受を図面上で反時計回りして図8(c)で示す位置に移動させることで側板50Bの位置を微調整することができる。なお、回動軸56の他方端部については通常の軸受を介して側板50Aを軸支してもよいし、上記と同様に、偏心軸受を介して側板50Aを軸支してもよい。なお、上記実施形態では、位置調整機構59を用いた位置調整と、偏心軸受を用いた位置調整とを併用しているが、いずれか一方のみで位置調整を行うように構成してもよい。
【0059】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、現像ローラー51を当接位置および離間位置に位置決めした際、ローラークリーニングブレード512により掻き取った液体現像液(廃液)は傾斜部材513、522により現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方に搬送しているが、例えば図9に示すように、傾斜部材513を現像剤容器54の回収部位541の鉛直方向の上方まで延設し、ブレード512により掻き取った液体現像液を傾斜部材513から直接回収部位541に落とし込むように構成してもよい。この場合、傾斜部材513のみが本発明の「回収経路部材」に相当し、傾斜部材522の鉛直方向での最下位置BP1が本発明の「回収経路部材の最下位置」に相当している。
【0060】
また、上記実施形態では、いわゆる下部転写構造を有する画像形成装置に対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の上方で、感光体ドラム1に担持される像を転写する、いわゆる上部転写構造を有する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【0061】
さらに、上記実施形態では、ブランケットローラー21を用いているが、これ以外に例えばベルト状の中間転写体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…感光体ドラム(潜像担持体)、 5…現像部(現像ユニット)、50…現像器支持部、 50A、50B…側板、 51…現像ローラー(現像剤担持体ローラー)、 54…現像剤容器(回収部材)、 55…トナー圧縮コロナ発生器(帯電部材)、 56…回動軸、 57…移動機構、 58…移動規制機構、 59…位置調整機構、 511…クリーニングローラー(クリーニング部材)、 512…ローラークリーニングブレード(クリーニング部材)、 513…(第1)傾斜部材、 522…(第2)傾斜部材、 541…(現像剤容器の)回収部位、 561…偏心軸受、 BP1、BP2…最下位置、 VP5…仮想鉛直面、 X…(現像ローラーの)回転軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持する現像剤担持体ローラー、及び前記現像剤担持体ローラーの回転中心を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の下方で前記現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤を帯電させる帯電部材を有する現像器と、
前記現像器を第1の位置及び前記第1の位置と異なる第2の位置で支持するとともに、前記第1の位置及び前記第2の位置で支持したときに前記帯電部材を前記仮想鉛直面と交差しない姿勢で前記現像器を支持する現像器支持部と、
を備えることを特徴とする現像ユニット。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を担持する現像剤担持体ローラー、前記現像剤担持体ローラーの回転中心を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の下方で前記現像剤担持体ローラーに担持された液体現像剤を帯電させる帯電部材、及び前記現像剤担持体ローラーと前記帯電部材とを支持する支持部材を有し、前記潜像を現像する現像部と、
前記現像器を第1の位置及び前記第1の位置と異なる第2の位置で支持するとともに、前記第1の位置及び前記第2の位置で支持したときに前記帯電部材を前記仮想鉛直面と交差しない姿勢で前記現像器を支持する現像器支持部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体に液体現像剤を供給する供給ローラー、前記供給ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収して搬送する供給ローラークリーニング部材、及び前記供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の下方に配設されて前記供給ローラークリーニング部材で搬送された液体現像剤を貯留する回収部を有し、
前記現像器支持部は、前記現像器を前記第1の位置及び前記第2の位置で支持したとき、前記回収部を前記供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の下方に位置する姿勢で前記現像器を支持する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体をクリーニングして液体現像剤を回収する現像剤担持体クリーニング部と、
一方端部が他方端部よりも鉛直方向で高く配設されるとともに、前記一方端部は前記現像剤担持体クリーニング部材の鉛直方向の下方に、前記他方端部は前記供給ローラークリーニング部材の鉛直方向の上方に配設する回収経路部材と、
を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収経路部材の前記他方端部の前記現像剤担持体ローラーの軸方向の長さは、前記供給ローラークリーニング部材の前記現像剤担持体ローラーの軸方向の長さよりも短い請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体ローラーの一方端を軸支する第1側板と、
前記現像剤担持体ローラーの他方端を軸支する第2側板と、
一方端部で前記第1側板を軸支するとともに他方端部で前記第2側板を軸支して前記現像器を回動させる回動軸と、
前記現像剤担持体ローラーと前記回動軸との位置を調整する調整機構と、を備える請求項3ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記調整機構は、前記回動軸の一方端部を前記回動軸の回動軸方向に垂直な方向に変位させる請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の位置は、前記潜像担持体と前記現像剤担持体ローラーとが当接する位置である請求項3ないし7のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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