説明

現像剤供給装置

【課題】 供給対象に対する現像剤の供給効率が良好な現像剤供給装置を提供する。
【解決手段】 現像剤供給装置は、供給対象に対して現像剤を供給する供給位置を含む現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えた搬送電極基板と、搬送電極基板と現像剤搬送経路を挟んで対向するように搬送電極基板よりも供給対象側に配置された対向電極基板と、を備える。現像剤の搬送方向に沿って見た場合に、供給位置よりも搬送方向における手前側で当該供給位置と隣接する現像剤搬送経路の部分にて、搬送電極基板に印加される多相交番電圧である搬送電圧の位相が、搬送電圧と同一波長の対向電極基板に印加される多相交番電圧である対向電圧の位相よりも、半波長未満の範囲で遅れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を、電界により所定の現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置において、進行波電界を形成するための複数の電極を備えた搬送基板を2つ備えていて、両者を向かい合わせるように配置したものが知られている(例えば、特開2002−287484号公報、特開2002−351218号公報、特開2008−96905号公報、等参照。)。
【特許文献1】特開2002−287484号公報
【特許文献2】特開2002−351218号公報
【特許文献3】特開2008−96905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した構成において、一方の搬送基板と他方の搬送基板とにおける進行波電界の発生状況が適切ではない状態となると、供給対象に対する現像剤の供給効率が良好ではなくなる可能性がある。
【0004】
本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、供給対象に対する現像剤の供給効率が良好な現像剤供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を、電界により所定の現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成されている。具体的には、この現像剤供給装置は、搬送電極基板と、対向電極基板と、を備えている。
【0006】
前記搬送電極基板は、薄板状の部材であって、前記供給対象と対向するように配置されている。この搬送電極基板は、複数の搬送電極を備えている。複数の前記搬送電極は、前記現像剤搬送経路(前記供給対象に対して前記現像剤を供給する供給位置を含む)に沿って配列されている。
【0007】
前記対向電極基板は、薄板状の部材であって、前記搬送電極基板と前記現像剤搬送経路を挟んで対向するように、前記搬送電極基板よりも前記供給対象側に配置されている。この対向電極基板は、複数の対向電極を備えている。複数の前記対向電極は、前記現像剤搬送経路に沿って配列されている。
【0008】
前記現像剤供給装置は、前記供給位置にて、前記現像剤を、当該供給位置における前記現像剤の搬送方向と直交する方向(すなわち当該供給位置にて前記搬送電極基板と前記対向電極基板とが対向する方向)に沿って、前記供給対象に対して供給するように構成され得る。
【0009】
本発明の特徴は、前記搬送方向に沿って見た場合に、前記供給位置よりも前記搬送方向における手前側で当該供給位置と隣接する前記現像剤搬送経路の部分にて、前記搬送電極基板に印加される多相交番電圧である搬送電圧の位相が、前記搬送電圧と同一波長の前記対向電極基板に印加される多相交番電圧である対向電圧の位相よりも、半波長未満の範囲で遅れるようになっていることにある。
【0010】
具体的には、例えば、前記対向電極と同一の電位となる前記搬送電極が、当該対向電極よりも、前記搬送方向と反対側に変位するように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置され得る。
【0011】
あるいは、例えば、前記搬送電極基板と前記対向電極基板とが互いに平行な平板状であり、前記搬送電極及び前記対向電極が前記搬送方向について同一幅で等間隔に設けられている(すなわち、前記搬送方向について、複数の前記搬送電極の幅が略等しく、複数の前記対向電極の幅が略等しく、複数の前記搬送電極が等間隔で設けられ、複数の前記対向電極が前記搬送電極間の間隔と同一の間隔で等間隔に設けられている。)、と仮定した場合に、
同一の電位となる前記搬送電極と前記対向電極との変位量をΔとすると、
0<Δ<Dpp・Np/2
(Dppは前記搬送電極及び前記対向電極の前記搬送方向における電極間ピッチ、Npは前記搬送電圧及び前記対向電圧における電圧相数)
を満たすように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置され得る。
【0012】
あるいは、例えば、前記搬送電極及び前記対向電極が前記搬送方向について同一ピッチで形成され、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が側断面視にて同心円弧状に屈曲して設けられ、前記対向電極基板が前記搬送電極基板よりも外側に配置されている、と仮定した場合に、
前記供給位置よりも前記搬送方向における手前側で当該供給位置と隣接する前記現像剤搬送経路の前記部分が、
kα<θ<(k+1/2)α
(θは同一電位となる前記搬送電極と前記対向電極とが前記同心円弧における半径方向について一致する位置を基準として当該位置から前記搬送方向に向かう前記同心円弧の中心角、αは同一電位となる前記搬送電極と前記対向電極とが前記同心円弧における半径方向についてθ=0の次に一致する位置における前記同心円弧の中心角、kは0以上の整数)
で示されるθの範囲内となるように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置され得る。
【発明の効果】
【0013】
かかる構成を備えた本発明の現像剤供給装置によれば、前記搬送電極基板の表面近傍よりも、当該表面から浮き上がった領域の方が、前記現像剤の存在比率が高くなる(これは計算機シミュレーションによって容易に確認することができる)。これにより、前記供給対象に対する前記現像剤の供給効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。
【0016】
よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0017】
<レーザープリンタの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用されたレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0018】
まず、レーザープリンタ1の全体構成について、図1を参照しつつ説明する。このレーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
【0019】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが、積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを、上述の給紙トレイから排出させるとともに所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送し得るように構成されている。
【0020】
本発明の供給対象としての感光体ドラム3の外周面には、静電潜像担持面LSが設けられている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面状に形成されている。
【0021】
感光体ドラム3は、正電荷分布による静電潜像が静電潜像担持面LS上に形成されるとともに、正極性に帯電した粉末状のトナー(乾式現像剤)が静電潜像に対応した位置に担持されるように構成されている。
【0022】
また、感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動されるようになっている。すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向(典型的には図中x軸方向)に沿って静電潜像担持面LSが移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0023】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像形成前の静電潜像担持面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0024】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調された(画素の有無に対応して発光のON/OFFが制御された)所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するとともに、このレーザービームLBを静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0025】
また、スキャナーユニット5は、帯電器4によって一様に帯電された静電潜像担持面LS上にて、レーザービームLBが結像される位置を前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
【0026】
トナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように配置されている。本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーを帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給し得るように構成されている。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0027】
<レーザープリンタの各部の構成>
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、詳細に説明する。
【0028】
<<用紙搬送機構>>
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0029】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
【0030】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるように構成されている。
【0031】
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナーを用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0032】
<<感光体ドラム>>
図2は、図1に示されている感光体ドラム3とトナー供給装置6とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【0033】
図2を参照すると、感光体ドラム3は、ドラム本体31と、感光層32と、から構成されている。
【0034】
ドラム本体31は、図中z軸と平行な円筒状の部材であって、アルミニウム等の金属から構成されている。このドラム本体31は、電気的には接地されている。
【0035】
感光層32は、ドラム本体31の外周を覆うように設けられている。この感光層32は、所定波長のレーザー光の露光によって電子伝導性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。
【0036】
静電潜像担持面LSは、感光層32の外周面によって構成されている。すなわち、帯電器4(図1参照)によって一様に正帯電された後に、スキャン位置SPにてレーザービームLBが走査されることで、正電荷のパターンからなる静電潜像LIが形成されるように、静電潜像担持面LS(感光層32)が構成されている。
【0037】
<<トナー供給装置>>
上述の通り、トナー供給装置6は、帯電した粉末状のトナーTを、電界によりトナー搬送経路TTPに沿って搬送しつつ、現像位置DPにてトナー搬送経路TTPと直交する方向(現像位置DPにて後述する搬送電極基板63と対向電極基板64とが対向する方向)に沿って飛翔させることで、供給対象としての感光体ドラム3に対して供給するように構成されている。なお、トナー搬送経路TTPは、進行波電界によるトナーTの搬送経路であって、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61の内部にて、現像位置DPを含む側断面視にて略長円形状に形成されているものとする。
【0038】
具体的には、図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部に微粒子状の乾式現像剤としてのトナーTを貯留し得るように構成されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色トナーであるものとする。
【0039】
トナーボックス61における頂板61aは、平面視にて長方形状の平板状部材であって、感光体ドラム3と近接するように配置されている。
【0040】
頂板61aには、トナーTがトナーボックス61の内部から感光層32に向けて図中y軸方向に沿って移動する際に通過し得る貫通孔としての、トナー通過孔61a1が形成されている。このトナー通過孔61a1は、平面視にて、前記主走査方向(図中z軸方向)における感光層32の幅と略同じ長さの長辺を有するとともに前記副走査方向(図中x軸方向)と平行な短辺を有する長方形状に形成されている。
【0041】
トナー通過孔61a1は、頂板61aと感光層32とが最近接している位置の近傍に設けられている。また、トナー通過孔61a1は、その前記副走査方向(図中x軸方向)における中心が、現像位置DPとほぼ一致するように形成されている。
【0042】
トナーボックス61における頂板61aと対向するように、トナーボックス61の内部には、搬送電極基板支持部材62が設けられている。この搬送電極基板支持部材62における、頂板61aと対向する側の表面には、上述の搬送電極基板63が支持されている。すなわち、搬送電極基板63は、トナー搬送経路TTPを挟んで、感光体ドラム3と対向するように設けられている。
【0043】
<<<搬送電極基板・対向電極基板>>>
図3は、図2に示されている搬送電極基板63を拡大した側断面図である。
【0044】
図3を参照すると、搬送電極基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送電極基板63は、搬送電極63aと、搬送電極支持フィルム63bと、搬送電極コーティング層63cと、搬送電極オーバーコーティング層63dと、から構成されている。
【0045】
搬送電極63aは、前記主走査方向と平行な長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。具体的には、搬送電極63aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。また、複数の搬送電極63aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの搬送電極63aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
【0046】
また、搬送電極63aは、トナー搬送経路TTP(図2参照)に面した搬送電極基板63の表面であるトナー搬送面TTSに沿って配置されている。すなわち、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSの近傍にて、トナー搬送経路TTP(図2参照)に沿って配置されている。
【0047】
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極63aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a,電源回路VDに接続された搬送電極63a,電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
【0048】
ここで、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交番電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°(1/4波長)ずつ遅れるようになっている。
【0049】
このように、本実施形態における搬送電極基板63は、各搬送電極63aに対して上述のような4相の搬送電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTを、トナー搬送面TTSと平行なトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0050】
複数の搬送電極63aは、搬送電極支持フィルム63bの表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム63bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0051】
搬送電極コーティング層63cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層63cは、搬送電極支持フィルム63bにおける搬送電極63aが設けられている表面と、搬送電極63aと、を覆うように設けられている。
【0052】
搬送電極コーティング層63cの上には、搬送電極オーバーコーティング層63dが設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層63cは、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極63aとの間に形成されている。
【0053】
そして、上述のトナー搬送面TTSは、搬送電極オーバーコーティング層63dの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0054】
再び図2を参照すると、トナーボックス61の内部には、上述の対向電極基板64が設けられている。対向電極基板64は、トナー搬送経路TTPに面するように、トナーボックス61における頂板61aの内側面に支持されている。すなわち、対向電極基板64は、トナー搬送経路TTPを挟んで搬送電極基板63と対向するように、搬送電極基板63よりも感光体ドラム3側に配置されている。
【0055】
対向電極基板64は、薄板状の部材であって、搬送電極基板63と同様に、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、対向電極基板64は、トナー搬送経路TTPに沿って配列された複数の対向電極64a(図6参照)を備えている。
【0056】
本実施形態における対向電極基板64は、上述の搬送電極基板63と同様に、4相の交番電圧である対向電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTを、トナー搬送面TTSと平行なトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0057】
制御部65は、レーザープリンタ1に備えられている各部(駆動部や電源回路等)と電気的に接続されていて、その動作を制御するように構成されている。
【0058】
本実施形態においては、トナー通過孔61a1よりもトナー搬送方向TTDにおける手前側(上流側)で現像位置DPと隣接する部分(図2におけるトナー通過孔61a1よりも左側の部分)にて、搬送電圧の位相が、対向電圧の位相よりも、半波長未満の範囲で遅れるようになっている(詳細については後述する)。
【0059】
ここで、搬送電圧は、搬送電極基板63に印加される多相交番電圧である。また、対向電圧は、対向電極基板64に印加される多相交番電圧であり、本実施形態においては、搬送電圧と同一波長であるものとする。
【0060】
<レーザープリンタの動作の概要>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0061】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない上述の給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0062】
<<静電潜像担持面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0063】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0064】
帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0065】
図2を参照すると、スキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像LIが形成される。
【0066】
静電潜像担持面LSに形成された静電潜像LIは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0067】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
搬送電極基板63に対して進行波状の搬送電圧が印加されるとともに、対向電極基板64に対して進行波状の対向電圧が印加される。これにより、トナー搬送経路TTPには、所定の進行波状の電界が形成される。この進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、トナー搬送経路TTPに沿って、トナー搬送方向TTDに搬送される。
【0068】
図4は、図3に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図5Aないし図5Cは、図3に示されている搬送電極基板63におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図3にて電源回路VAと接続されている搬送電極63aは、図5Aないし図5Cにおいて、搬送電極63aAと示されている。搬送電極63aBないし搬送電極63aDも同様である。
【0069】
以下、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに搬送される様子について、図4及び図5Aないし図5Cを参照しつつ説明する。
【0070】
図4に示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交番電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
【0071】
図4における時点t1においては、図5Aに示されているように、搬送電極63aAと搬送電極63aBとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向きの電界EF1が形成される。
【0072】
一方、搬送電極63aCと搬送電極63aDとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向きの電界EF2が形成される。
【0073】
また、搬送電極63aBと搬送電極63aCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極63aDと搬送電極63aAとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
【0074】
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。
【0075】
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。
【0076】
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
【0077】
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。
【0078】
同様に、時点t2においては、図5Bに示されているように、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、図5Cに示されているように、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
【0079】
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面TTS上を、トナー搬送方向TTDに移動していく。
【0080】
再び図2を参照すると、上述のように、搬送電極基板63に対して、図4に示されているような搬送電圧が印加されるとともに、対向電極基板64に対しても同様に、上述のような対向電圧が印加される。これにより、トナー搬送経路TTPにて進行波状の電界が形成され、正帯電したトナーTが、トナー搬送面TTSと直交する方向に沿ってホッピングしつつ、トナー搬送方向TTDに搬送される。
【0081】
<<<静電潜像の現像>>>
上述のようにして、正帯電のトナーTが、現像位置DPに供給される。
【0082】
この現像位置DPにて、静電潜像担持面LS上の静電潜像LIが、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像LIにおける正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0083】
<<静電潜像担持面から用紙へのトナー像の転写>>
再び図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0084】
<実施形態の構成による作用・効果>
図6は、図2に示されている搬送電極基板63及び対向電極基板64の、トナー通過孔61a1よりもトナー搬送方向TTDにおける手前側(上流側)にて現像位置DPと隣接する部分を拡大した断面図である。すなわち、図6における対向電極基板64の右側エッジに隣接するように、図2におけるトナー通過孔61a1が設けられている。
【0085】
ここで、図6においては、搬送電極基板63及び対向電極基板64が略平板状に構成されているとともに、搬送電極63a及び対向電極64aが、トナー搬送方向TTDについて同一幅で等間隔に設けられているものとする。また、同一色に塗りつぶされた電極は、同一電位に設定されているものとする。
【0086】
図6中、(i)及び(iii)には、搬送電極63aと対向電極64aとがトナー搬送方向TTDについて同一位置に設けられている場合の構成が示されている。一方、(ii)及び(iv)には、搬送電極63aと対向電極64aとがトナー搬送方向TTDについて互い違いの位置に設けられている場合の構成が示されている。
【0087】
また、同図中、(i)は、トナー搬送方向TTDにおける搬送電圧と対向電圧との位相が一致している場合を示している。一方、(ii)ないし(iv)は、対向電極64aと同一の電位となる搬送電極63aが、当該対向電極64aよりもトナー搬送方向TTDと反対側に変位することで、搬送電圧の位相が対向電圧の位相よりも遅れる場合を示している。
【0088】
図7ないし図11は、図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。図7ないし図11中、電界の向きと大きさが、矢印で示されている。また、白い部分は高電位部分であり、濃度が高くなるほど低電位となるものとする。
【0089】
計算条件は、以下の通りである。
基板間距離:0.5mm
電極幅:100μm
電極間距離:100μm
印加電圧:プラスマイナス300Vの矩形波
電圧周波数:1000Hz
【0090】
ここで、図7は図6における(i)に対応し、図8は同(ii)に対応し、図9は同(iii)に対応し、図10は同(iv)に対応する。図11は、図6における(iv)よりもさらに搬送電極63aがトナー搬送方向TTDと反対側に変位することで、搬送電圧の位相が対向電圧の位相と逆転した場合に対応する。
【0091】
すなわち、図6における(i)及び図7は搬送電圧と対向電圧とのずれがない場合、図6における(ii)及び図8は搬送電圧が1/8波長遅れている場合、図6における(iii)及び図9は搬送電圧が2/8波長遅れている場合、図6における(iv)及び図10は搬送電圧が3/8波長遅れている場合、図11は搬送電圧が4/8波長遅れている場合、にそれぞれ対応する。
【0092】
また、図12Aは、図8の場合のトナーの挙動の様子を示す図である。図12A中、トナーの集合体が楕円形で示されているものとする。
【0093】
正帯電のトナーは、トナー搬送方向TTDに沿って隣り合う、最低電位に設定された電極間の位置に集まる。よって、図7ないし図11に示されている各電極の電位状態になる時刻の直前においては、当該時刻にて低電位から高電位に変化する電極と低電位のまま維持される電極との間の位置であって、搬送電極基板63及び対向電極基板64の表面近傍に、トナーが位置している(図12Aにおける破線の楕円形参照)。
【0094】
上述の時刻になると、トナー搬送方向TTDに沿って隣り合った異なる電位の電極間にて発生する、トナー搬送方向TTDに沿った電界により、当該トナー搬送方向TTDに沿ってトナーが移動(飛翔)する。
【0095】
図7に示されているように、搬送電圧と対向電圧とのずれがない場合であっても、トナー搬送方向TTDに沿って隣り合った異なる電位の電極間にて、トナー搬送方向TTDに向かうとともに搬送電極基板63と対向電極基板64との中間位置にも向かう、斜め方向の電界が生じる。この電界により、搬送電極基板63上のトナーは、図中斜め右上方向に移動する。同様に、対向電極基板64の表面近傍のトナーは、図中斜め右下方向に移動する。
【0096】
この点、図8に示されているように、搬送電圧が1/8波長遅れている場合、搬送電極基板63上のトナーがより上方向に移動するような電界が発生する。すなわち、図8及び図12Aに示されているように、搬送電極基板63上のトナーが移動する方向には、当該トナーを引き寄せるような対向電圧が印加された対向電極64a(図中右上の黒塗りのもの)が存在する。このため、当該トナーは、図7の場合よりも、より上方に飛翔する。
【0097】
一方、対向電極基板64の表面近傍のトナーが移動する方向には、図8及び図12Aに示されているように、当該トナーを斥けるような搬送電圧が印加された搬送電極63a(図中右下の白塗りのもの)が存在する。このため、当該トナーの下方への飛翔度合いは、図7の場合よりも緩和される。
【0098】
したがって、以上のように、図6における(i)及び図8に示されているような、搬送電圧が1/8波長遅れている場合、図7の場合よりも、トナーが、より対向電極基板64側(すなわち図中上方)に位置することとなる。
【0099】
また、図6における(iii)及び図9に示されているような、搬送電圧が2/8波長遅れている場合も、上述と同様に、図7の場合よりも、トナーが、より対向電極基板64側(すなわち図中上方)に位置することとなる。
【0100】
図6における(iv)及び図10に示されているような、搬送電圧が3/8波長遅れている場合は、図7の場合よりも、トナーがより対向電極基板64側(すなわち図中上方)に位置することとなるものの、搬送電極基板63上のトナーが移動する先には、当該トナーを斥けるような対向電圧の影響が若干及ぼされる。よって、搬送電圧が3/8波長遅れている場合は、搬送電圧が1/8ないし2/8波長遅れている場合よりも、トナーがより対向電極基板64側に位置する程度が若干緩和される。
【0101】
図11に示されているような、搬送電圧が4/8波長遅れている場合は、搬送電極基板63上のトナーが移動する方向に、当該トナーを斥けるような対向電圧の影響が強く及ぼされる。よって、当該トナーは上方に行き難くなる。
【0102】
ここで、図12Bに示されているように、搬送電極基板63と対向電極基板64との間の領域(トナー搬送領域)を、搬送電極基板63と対向電極基板64とが対向する方向(図中上下方向)に4等分した場合の、中間領域における下側をArea1、その上側をArea2とする。
【0103】
図13は、トナー粒子挙動シミュレーションの結果を示す図である。この図13においては、Area1及びArea2におけるトナー存在割合が、搬送電圧の遅れの度合い毎に示されている。
【0104】
なお、シミュレーション条件は、上記の計算条件に加えて、以下の通りである。
粒子数:2000個(初期状態:搬送電極基板63上)
粒子半径:5μm
粒子帯電量:5μC
初期状態からの経過時間:8msec
【0105】
図13に示されているように、搬送電圧が対向電圧よりも半波長未満の範囲で遅れる場合、すなわち、トナー通過孔61a1よりもトナー搬送方向TTDにおける手前側(上流側)にて現像位置DPと隣接する部分にて、同一の電位となる搬送電極63aと対向電極64aとのトナー搬送方向TTDと反対方向における変位量をΔとすると、
0<Δ<Dpp・Np/2
(Dppは搬送電極63a及び対向電極64aのトナー搬送方向における電極間ピッチ、Npは搬送電圧及び対向電圧における電圧相数)
を満たすように、搬送電極基板63及び対向電極基板64が構成及び配置されている場合、上側中間領域Area2におけるトナー存在割合が、下側中間領域Area1よりも高くなる。これにより、トナーがトナー通過孔61a1に達した際に、トナーが感光体ドラム3により近い位置まで飛翔することができる。したがって、現像効率が向上する。
【0106】
また、図13に示されているように、搬送電圧が1/10ないし4/10波長遅れていることが、より好適である。
【0107】
図14は、搬送電極基板63及び対向電極基板64が側断面視にて同心円弧状に屈曲して設けられていて、対向電極基板64が搬送電極基板63よりも外側に配置されている場合の概略構成図である。なお、この場合も、搬送電極63a及び対向電極64a(図6参照)は、同一幅及び同一ピッチで形成されているものとする。
【0108】
図14中、θは、搬送電極基板63と対向電極基板64とで印加電圧の位相が前記同心円弧における半径方向について一致する或る位置(角度)を基準(0[rad])とした場合の、トナー搬送方向TTDに向かう当該同心円弧の中心角[rad]である。また、αは、θ=0の次に搬送電極基板63と対向電極基板64とで印加電圧の位相が一致する角度である。
【0109】
θが0ないしθ1の範囲における搬送電極基板63の長さLinは、曲率半径をRinとすると、
Lin=2πRin×θ1/2π
となる。
【0110】
同様に、同範囲における対向電極基板64の長さLoutは、曲率半径をRoutとすると、
Lout=2πRout×θ1/2π
となる。
【0111】
よって、同範囲における搬送電極基板63と対向電極基板64との長さの差ΔLは、
ΔL=Lout−Lin=(Rout−Rin)θ1
となる。
【0112】
ここで、搬送電極基板63及び対向電極基板64における、印加電圧が1周期となる距離をLとする。具体的には、例えば、電極幅:100μm、電極間距離:100μm、搬送電圧及び対向電圧の相数:4相とすると、
L=(100μm+100μm)×4=800μm
となる。
【0113】
θ1=αのときにΔL=Lとなることから、以上の各式より、
α=L/(Rout−Rin)
となる。
【0114】
図14に示された構成の場合に、上述の平板状の構成と同様の効果を得るためには、トナー搬送方向TTDにおける手前側で現像位置DPを含むトナー通過孔61a1(図2参照)と隣接するトナー搬送経路TTPの部分が、
【0115】
kα<θ<(k+1/2)α
で示されるθの範囲内となるように、搬送電極基板63及び対向電極基板64が構成及び配置される。すなわち、かかるθの範囲内に、対向電極基板64におけるトナー通過孔61a1に隣接するエッジが設けられる。
【0116】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0117】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0118】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0119】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0120】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0121】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0122】
(2)図3を参照すると、搬送電極基板63や対向電極基板64の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。
【0123】
例えば、搬送電極オーバーコーティング層63dは省略され得る。あるいは、搬送電極63aが搬送電極支持フィルム63b内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層63c及び搬送電極オーバーコーティング層63dの双方が省略され得る。
【0124】
また、搬送電極63aは、主走査方向と所定の小さな角度(例えば5ないし30度)にて交差するように設けられていてもよい。
【0125】
さらに、隣り合う搬送電極63a間のギャップはである電極間距離は、上述の実施形態のように電極幅と等しくなるように設定されていてもよいし、電極幅と異なるように設定されていてもよい。
【0126】
(3)図4を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。
【0127】
また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0128】
(4)上述の実施形態においては、トナー搬送方向TTDにおける搬送電極63aと対向電極64aとの位置関係を調整することで、搬送電圧と対向電圧との位相関係を調整している。もっとも、本発明は、かかる態様に限定されない。
【0129】
すなわち、例えば、図7、図9、及び図11の対応関係から明らかなように、互いに対向する搬送電極63aと対向電極64aがトナー搬送方向TTDについて略一致するように搬送電極基板63及び対向電極基板64が構成及び配置されていても、搬送電圧と対向電圧との出力タイミングを適宜変更することで、同様の作用・効果を達成することが可能である。
【0130】
(5)その他、際限がないのでいちいち言及しないが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、これら以外の種々の変形が可能である。
【0131】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されている感光体ドラムとトナー供給装置とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送電極基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている電源回路が発生する電圧の波形を示したグラフである。
【図5A】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図5B】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図5C】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。
【図6】図2に示されている搬送電極基板及び対向電極基板の、トナー通過孔よりもトナー搬送方向における手前側(上流側)にて現像位置と隣接する部分を拡大した断面図である。
【図7】図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。
【図8】図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。
【図9】図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。
【図10】図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。
【図11】図6に示されている構成に対応する電界を有限要素法により計算した結果を示す図である。
【図12A】図8の場合のトナーの挙動の様子を示す図である。
【図12B】搬送電極基板と対向電極基板との間の領域であるトナー搬送領域を、搬送電極基板と対向電極基板とが対向する方向に4等分した場合の、上側中間領域及び下側中間領域を示す図である。
【図13】トナー粒子挙動シミュレーションの結果を示す図である。
【図14】搬送電極基板及び対向電極基板が側断面視にて同心円弧状に屈曲して設けられていて、対向電極基板が搬送電極基板よりも外側に配置されている場合の概略構成図である。
【符号の説明】
【0133】
1…レーザープリンタ
2…用紙搬送機構
3…感光体ドラム(供給対象)
4…帯電器
5…スキャナーユニット
6…トナー供給装置(現像剤供給装置)
21…レジストローラ
22…転写ローラ
31…ドラム本体
32…感光層
61…トナーボックス
61a…頂板
61a1…トナー通過孔
62…搬送電極基板支持部材
63…搬送電極基板
63a…搬送電極
63b…搬送電極支持フィルム
63c…搬送電極コーティング層
63d…搬送電極オーバーコーティング層
64…対向電極基板
64a…対向電極
65…制御部
C…中心軸
DP…現像位置(供給位置)
LB…レーザービーム
LI…静電潜像
LS…静電潜像担持面
P…用紙
PP…用紙搬送経路
SP…スキャン位置
T…トナー
TP…転写位置
TTD…トナー搬送方向
TTP…トナー搬送経路
TTS…トナー搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を、電界により所定の現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
前記供給対象と対向するように配置されていて、当該供給対象に対して前記現像剤を供給する供給位置を含む前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えた、薄板状の搬送電極基板と、
前記搬送電極基板と前記現像剤搬送経路を挟んで対向するように前記搬送電極基板よりも前記供給対象側に配置されていて、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の対向電極を備えた、薄板状の対向電極基板と、
を備え、
前記現像剤の搬送方向に沿って見た場合に、前記供給位置よりも前記搬送方向における手前側で当該供給位置と隣接する前記現像剤搬送経路の部分にて、前記搬送電極基板に印加される多相交番電圧である搬送電圧の位相が、前記搬送電圧と同一波長の前記対向電極基板に印加される多相交番電圧である対向電圧の位相よりも、半波長未満の範囲で遅れるように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置であって、
前記供給位置にて、前記現像剤を、当該供給位置における前記搬送方向と直交する方向に沿って、前記供給対象に対して供給するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、現像剤供給装置であって、
前記対向電極と同一の電位となる前記搬送電極が、当該対向電極よりも、前記搬送方向と反対側に変位するように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送電極基板と前記対向電極基板とが互いに平行な平板状であり、前記搬送電極及び前記対向電極が前記搬送方向について同一幅で等間隔に設けられている、
と仮定した場合に、
同一の電位となる前記搬送電極と前記対向電極との変位量をΔとすると、
0<Δ<Dpp・Np/2
(Dppは前記搬送電極及び前記対向電極の前記搬送方向における電極間ピッチ、Npは前記搬送電圧及び前記対向電圧における電圧相数)
を満たすように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送電極及び前記対向電極が前記搬送方向について同一ピッチで形成され、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が側断面視にて同心円弧状に屈曲して設けられ、前記対向電極基板が前記搬送電極基板よりも外側に配置されている、
と仮定した場合に、
前記供給位置よりも前記搬送方向における手前側で当該供給位置と隣接する前記現像剤搬送経路の前記部分が、
kα<θ<(k+1/2)α
(θは同一電位となる前記搬送電極と前記対向電極とが前記同心円弧における半径方向について一致する位置を基準として当該位置から前記搬送方向に向かう前記同心円弧の中心角、αは同一電位となる前記搬送電極と前記対向電極とが前記同心円弧における半径方向についてθ=0の次に一致する位置における前記同心円弧の中心角、kは0以上の整数)
で示されるθの範囲内となるように、前記搬送電極基板及び前記対向電極基板が構成及び配置されていることを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図14】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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