説明

現像剤容器のシール構造、現像剤容器及び画像形成装置

【課題】 トナーの飛散や漏れを防止可能な現像剤容器のシール構造を提供する。
【解決手段】 廃トナー73搬送される搬送経路が接続される現像剤容器50のシール構造において、現像剤容器に形成されていて搬送経路が接続される開口部51に、この開口部を開閉するように形成され搬送経路を開口部内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材61と、搬送経路の外形に密着するように形成されて第1のシール部材62と重ねて配置された第2のシール部材62とで構成されたシール部60を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される現像剤を受ける容器のシール構造とこのシール構造を備えた現像剤容器及び、これらを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体の現像剤を用いる複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置では、現像剤を構成する補給用のトナーを現像剤搬送経路で現像装置に、廃棄する廃トナーを廃トナー搬送経路で廃トナーを収容する廃トナー容器へ搬送している。
【0003】
現像装置や廃トナー容器には供給口や回収口となる開口部がそれぞれ形成されていて、現像剤搬送経路や廃トナー搬送経路を構成する管材が挿入されるように構成されている。これら開口部の周部には、開口部と管材との間の気密性を確保するためにシール部材が設けられている。シール部材としては、開口部の内周面または管材の外周面に装着する環状のシール部材や、開口部を塞ぐシール部材が知られている。開口部を塞ぐシール部材には、例えば、特許文献1に記載のように、管材を挿入するために十字スリットが弾性部材に形成されたものや、特許文献2に記載のように、縦スリットと穴が形成されたものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−72650号公報
【特許文献2】特開2002−169439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように十字スリットを形成したシール部材を複数用いるものにおいては、管材挿入時にはスリットを通って管材が開口部内に挿入され、管材を回収口から外した場合にはスリットが戻るので開口部を閉じることはできるが、管材が挿入されている状態においては、スリットが開かれるので、管材との間に隙間ができてしまう。このため、管材を挿入する容器が画像形成装置に装着されている状態においては、同装置内部の気流によって発生する負圧により容器内のトナーが隙間から吸い出されて飛散し、管材だけでなく、その周辺部位も汚してしまうことがある。
特許文献2においては、シール部材に管材を挿通する穴が形成されているので、管材挿入時においては開口部の気密性を確保できるが、管材を開口部から外してしまうと容器内と外部とが連通して容器内のトナーが開口部から洩れることがあり、管材を着脱する部位へのシール構造には不向きである。
【0006】
画像形成装置においては、プリンター、複写機の高画質化に伴い、小粒径トナーあるいは重合トナーの搭載が要望されているので、トナーがより飛散し易い状況となっている。すなわち、従来は、1つの容器に対して1つの形態のシール構造しか採用されていないので、シール性に対する異なる要求を満たすことができなかった。
また、近年の画像形成装置は、パーソナル化が進み、メンテナンスフリー化やメンテナンスを容易にするために作像系をユニット化した所謂プロセスカートリッジを備えたものが主流となっている。このため、補給用のトナー収容器や廃トナー容器等もユーザー自身が交換する形態が多く、トナー飛散が発生することでユニット交換時にユーザーの手などをトナーで汚すことになるため、確実に防止することが求められる。
本発明は、トナーの飛散や漏れを防止可能な現像剤容器のシール構造、現像剤容器及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、粉体の現像剤が搬送される搬送経路が接続される現像剤容器のシール構造において、現像剤容器に形成され搬送経路が接続される開口部に異なる方式で構成されたシール部を設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の現像剤容器のシール構造において、シール部は、開口部を開閉するように形成され、搬送経路を開口部内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材と、搬送経路の外形に密着するように形成されて第1のシール部材と重ねて配置された第2のシール部材とを少なくとも有することを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の現像剤容器のシール構造において、第1のシール部材は、弾性変形可能であって搬送部材を挿通するスリットが形成され、第2のシール部材は、弾性変形可能であって、搬送経路の外形よりも小さい穴が形成されていることを特徴としている。
請求項2または3記載の現像剤容器のシール構造において、第1及び第2のシール部材は、スポンジ部材で構成されていることを特徴としている。
請求項2ないし4の何れか記載の現像剤容器のシール構造において、第1及び第2のシール部材が、その外観が同一形状に形成されていることを特徴としている。
請求項2ないし5の何れかに記載現像剤容器のシール構造において、第1及び第2のシール部材は、同一材料で構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項7の発明では、粉体の現像剤が搬送される搬送経路が接続される開口部が形成され、その内部に現像剤が収容可能な現像剤容器において、開口部の近傍に、請求項1ないし6の何れかに記載のシール構造を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項8の発明は、少なくとも像担持体を備えた1以上のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、画像形成後の前記像担持体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナーを収納する容器として請求項7に記載の現像剤容器を有することを特徴としている。
【0012】
請求項9の発明は、少なくとも像担持体を備えた1以上のプロセスカートリッジと、像担持体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備えた画像形成装置において、画像形成後の像担持体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナー及び画像転写後の前記中間転写体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナーを収納する容器として請求項7に記載の現像剤容器を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像剤が搬送される搬送経路が接続される現像剤容器に形成された開口部に、異なる方式で構成されたシール部を設けたので、開口部と搬送経路との接続部のシール性を高められ、トナーの飛散や漏れとともに、現像剤容器やその周辺の汚れを防止することができる。
【0014】
シール部が、開口部を開閉するように形成され、搬送経路を開口部内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材と、搬送経路の外形に密着するように形成されて第1のシール部材と重ねて配置された第2のシール部材とを少なくとも有する場合には、搬送部材が開口部内に挿入されている場合には第2シール部材が搬送経路と密着し、搬送経路を開口部から抜いた場合に第1のシール部材で開口部が塞がれるので、現像剤容器に対する搬送経路の装着/離脱の有無に係わらず現像剤容器のシール性が確保されるのでトナーの飛散や漏れとともに現像剤容器やその周辺の汚れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。本形態において、画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタ(以下「プリンター」と記す)である。
【0016】
図1を用いてプリンターとしての基本構成とその動作について説明し、この後に本形態特有の構成部分について説明する。図1に示すプリンターは、装置本体1の下部に記録材としての用紙29が収納される給紙部2が配設され、その上方に画像形成部3を配置した構成となっている。画像形成部3には、像担持体としての感光体ドラム10Y,10C,10M,10Kを備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット8Y,8C,8M,8Kを備えた作像部8と、複数のローラ4,5,6と、これらローラに巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された中間転写体としての中間転写ベルト7aとを有する中間転写ユニット7と、各像担持体に光書込みを行う光書込み部としての光書き込みユニット15と、用紙29にトナー像を定着する定着手段22とが設けられている。
【0017】
作像ユニット8Y,8C,8M,8Kと中間転写ユニット7は、装置本体1に対して着脱自在とされている。給紙部2から定着手段11までの間には、画像形成部3で画像を形成された用紙29を搬送する搬送経路Rが形成されている。用紙29に対する転写部(二次転写部)を構成するローラ6は搬送経路Rに臨んで配置されている。搬送経路Rの端部は、装置本体1の上部に形成された積載部としての排紙トレイ25に向かって開放されている。この端部には、搬送されてくる用紙29を排紙トレイ25に向かって排出する排出装置30が設けられている。
【0018】
中間転写ベルト7aのローラ4とローラ5間は、このベルトの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト7aには、ローラ6と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ20が搬送経路Rに臨むように配設されている。ローラ4と対向する部位には、中間転写ベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置21が配設されている。ベルトクリーニング装置21は、図2に示すように、中間転写ベルト表面に接触してベルト表面の残留トナーを取り除くクリーニングローラ21Aと、クリーニングローラ21Aで取り除かれたトナーを廃トナーとして現像剤容器となる廃トナー回収容器50へと搬送する搬送経路を構成するトナー移送パイプ21Cと、トナー移送パイプ21C内に設けられていて、廃トナーを搬送する搬送スクリュー21Bとを備えている。
【0019】
作像装置8Y,8C,8M,8Kは、図2に示すように、それぞれ感光体ドラム10Y,10C,10M,10K、これに作用するプロセス手段として、各感光体ドラムを帯電する帯電装置11Y,11C,11M,11K、各感光体ドラム表面に残留した現像剤である未転写トナーなどの廃トナーを除去するクリーニング手段13Y,13C,13M,13K、各感光体ドラムに形成された潜像を現像する現像装置12Y,12C,12M,12Kが一体的に構成されて、図3に示すプロセスカートリッジとしてそれぞれ構成されている。
【0020】
中間転写ユニット7は、図2に示すように、中間転写ベルト7a、この転写ベルト7aを回転可能に支持する複数のローラ4,5,6、各感光体ドラムに形成されたトナー像を中間転写ベルト7に転写する一次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kを備えている。一次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kは、各感光体ドラムが中間転写ベルト7aに接する位置の、中間転写ベルト7aの内側にはそれぞれ設けられている。
【0021】
クリーニング手段13Y,13C,13M,13Kは、各感光体ドラムに接触してこれら感光体ドラム表面の残留トナーを取り除くクリーニング部材としてのクリーニングローラ131Y,131C,131M,131Kと、廃トナー回収容器50へと回収したトナーを搬送する搬送経路を構成する移送パイプ40Y,40C,40M,40Kとが設けられている。クリーニング部材としてはローラではなく、周知のブレードであっても良い。
【0022】
トナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの内部には、図2,図3に示すように、廃トナーを搬送する搬送スクリュー132Y,132C,132M,132Kが設けられている。現像装置12Y,12C,12M,12Kには、トナーが減ると装置本体1の上部に配設されたトナー補給ボトルT1,T3,T3,T4から補給用のトナーがそれぞれ図示しない補給トナー搬送経路を介して供給されるように構成されている。
【0023】
図1に示すように、光書き込みユニット15は、光変調されたレーザ光Lを各感光体ドラムの表面に照射して、感光体表面に色毎の潜像を形成するものであり、本形態では、作像部8の下方に配置されている。
【0024】
このプリンターでは、画像形成動作が開始されると、各作像ユニットの感光体ドラム10Y,10C,10M,10Kが図示しない駆動装置によって時計方向に回転駆動され、各感光体ドラムの表面が帯電装置11Y,11C,11M,11Kによって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラムの表面には、光書き込みユニット15からレーザ光Lがそれぞれ照射されて、それぞれの表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラムに露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像は、感光体ドラム10Y,10C,10M,10Kと現像装置12Y,12C,12M,12Kの間を通るとき、各現像装置から供給されるトナーによってトナー像として可視像化される。
【0025】
プリンターでは、中間転写ベルト7aが巻きかけられた複数のローラ4,5,6のうち、1つのローラが図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、これにより中間転写ベルト7aが矢印で示す反時計周り方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト7aには、イエローのトナーを有する現像装置12Yを具備する作像ユニット8Yで形成されたイエロートナー像が転写ローラ14Yによって転写される。その転写されたイエロートナー像には、作像ユニット8C,8M及び8BKで形成されたシアントナー像、さらにマゼンタトナー像及びブラックトナー像が転写ローラ14C、14M、14Kによって順次重ね転写され、かくして中問転写ベルト7aはその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0026】
トナー像が転写された後の各感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置13Y,13C,13M,13Kによって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0027】
給紙部2から給紙される用紙29は、搬送経路Rに送り込まれ、図1に示す2次転写ローラ20よりも給紙側に配設されたレジストローラ対24によって給紙タイミングを計られて、ローラ6と2次転写ローラ20とが対向する2次転写部に給送される。このとき2次転写ローラ20には、中問転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト7aの表面のトナー像が用紙29上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙29は、定着手段22へと搬送され、定着手段22を通過する際に熱と圧が加えられてトナー像が溶融されて定着される。トナー像が定着された用紙29は、搬送経路Rの端部に配設された排出装置30へと搬送され、排紙トレイ25へと排出される。トナー像を用紙29に転写後の中間転写ベルト7aは、このベルトに残留したトナーがベルトクリーニング装置21より除去される。
【0028】
クリーニング装置13Y,13C,13M,13Kの廃トナーは、搬送スクリュー132Y,132C,132M,132Kが図示しない駆動源によって回転されることで、トナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの内部を通って廃トナー回収容器50へと搬送されて回収される。ベルトクリーニング装置21の廃トナーは、搬送スクリュー21Bが図示しない駆動源によって回転されることで、トナー移送パイプ21Cの内部を通って廃トナー回収容器50へと搬送されて回収される。
【0029】
このように構成されたプリンターは、4個の作像ユニット8Y,8M,8C及び8Kを中間転写ベルト7aに対向して設け、中間転写ベルト7aに順次各色のトナー像を重ね転写するため、作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ね転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて作像時間を大幅に短縮することができる。また、装置本体1の上部に排紙トレイ25が形成されているので、装置本体1から排紙トレイ25が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなる。
【0030】
以上の説明は、用紙29上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、このプリンターは、作像部8の作像ユニットの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、本形態のプリンターを用いてモノクロ印刷をする場合には、作像ユニット8Kの感光体ドラム10K上にのみ静電潜像を形成し、同ユニットによって現像して用紙29に転写し、定着手段22で定着すればよい。
【0031】
次に、廃トナー回収容器50とそのシール構造について説明する。
廃トナー回収容器50は、その内部に現像剤としての廃トナーを収納する容器であって、図4、図5に示すように、搬送経路を構成するトナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kが接続される円形の開口部51が、各パイプと対向する部材にそれぞれ形成されている。トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの先端には、内部を搬送される廃トナー70の排出口71がそれぞれ形成されている。廃トナー回収容器50は、装置本体1に対して着脱自在であって、装置本体1への装着時に、各開口部51にトナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの先端に形成した排出口71がそれぞれ挿入されるように配置されている。
【0032】
各開口部51の周囲には、トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kが各開口部に挿入/離脱可能な異なる方式の複数のシール部60が設けられている。各シール部60は、各開口部51を開閉するように形成され、トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kをそれぞれ各開口部51内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材61と、トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの外形に密着するように形成されていて第1のシール部材61と重ねて配置された第2のシール部材62とを備えている。本形態において、トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kは、筒状のパイプ材で構成されている。
【0033】
本形態において、第1のシール部材61には、トナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kを挿通可能とする十字状のスリット610が形成されている。第2のシール部材62には、図6(a)に示すようにトナー移送パイプ21C及びトナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの外形となる直径Rよりも小さい直径R1となる穴620が形成されている。第1及び第2のシール部材61、62は、スポンジ材で構成されている。このため、第1のシール部材61においては弾性スリット610が弾性変形可能とされ、第2のシール部材62においては穴620が弾性変形して各トナー搬送パイプの外形に密着するようになっている。
【0034】
第1のシール部材61と第2のシール部材62とは、スリット610の開閉が阻害されないように図示しない接着剤によって互いに重合されて接着されている。第1及び第2のシール部材61,62は、その概観が円盤状とされていて、輪郭部が同一形状に形成されているとともに、同一材料で構成されている。このため、互いを接着する際に位置決めがし易いとともに、その接着性も良好となり、さらに、コスト・加工性の面でも有利となる。
【0035】
スリット610と穴620は、第1及び第2のシール部材61,62を重ね合わせたときに同一中心となるように形成されている。本形態において、シール部60は、第1のシール部材61が開口部51の周部に接着され、第2のシール部材62が各トナー移送パイプの挿入側、すなわちシール部60の最外側に配置されており、かつ、開口部51と同一中心となるように開口部51の周囲に接着されて配置されている。このため、廃トナー回収容器50にシール部60を取り付ける際の精度が向上し、シール部60の貼り付けの位置ずれによる隙間の発生を防止することができる。
【0036】
本形態では、トナー移送パイプ40Y,40C,40M,40Kの外径を12mm、これに対応するシール部60を構成する第2のシール部材62の穴620の挿入前の直径を10mmとしている。また、トナー移送パイプ21Cの外径を18mm、これに対応するシール部60を構成する第2のシール部材62の穴620の挿入前の直径を16mmとしている。
【0037】
このような構成のシール構造によると、各トナー搬送パイプがシール部60に挿入されていて状態においては、第2のシール部材62の穴620が空いているが、第1のシール部材61のスリット610は閉じられている。このため、開口部51は、シール部材51によって閉じられているので、装置本体1から離脱して際や、各トナー搬送パイプが抜かれたときでもシール性能が確保されるため、廃トナー70の洩れや飛散を防止できる。
【0038】
廃トナー回収容器50の開口部51に、それぞれ各トナー搬送パイプを挿入すると、図6(b)に示すように、各トナー搬送パイプは穴620を通ってスリット610を押し広げてシール部60を貫通して排出口71が廃トナー回収容器50に位置される。このため、第1のシール部材61と各トナー搬送パイプの外周面との間には構造的に隙間611が形成されるが、第2のシール部材62の穴620が各トナー搬送パイプの外周面に弾性変形して密着する。このため、シール部60は、廃トナー回収容器50の内部に対しては開放されるが、装置本体1側に対しては隙間が無く、装置本体1内の気流によって廃トナー回収容器50の開口部51から廃トナーが吸い出されてトナー飛散することを確実に防止できる。また、第2のシール部材62が各トナー搬送パイプの外周面にそれぞれ密着されているので、廃トナー回収容器50を装置本体1から外す際に、各穴320の内周面によって各トナー搬送パイプの外周面が拭き取られることになり、各トナー搬送パイプの汚れを少なくすることができる効果も期待できる。
【0039】
図7、図8はシール部材61を単独で使用した従来の構成を示す。このようにスリット610を有するシール部材61を単独で廃トナー回収容器50の各開口部51の周部にそれぞれ装着した場合、各トナー搬送パイプが挿入されない状態、すなわち廃トナー回収容器50を装置本体1から離脱した状態においては、スリット610が図8(a)に示すように閉じた状態にあるので、容器内からの廃トーの洩れを防止することはできる、しかし、図8(b)に示すように、装置本体1に装着して各トナー搬送パイプが挿入されると、各スリット610が各パイプでそれぞれ押し広げられるので、隙間611が生じてしまう。しかし、本発明によれば、このように隙間611を異なるシール方式となる第2のシール部材62を第1のシール部材61に重合させてシール部60を構成しているので、廃トナー回収容器50を装置本体1に装着した状態や、装置本体1から離脱した状態であっても、良好にシール性を確保することができる。
【0040】
本形態において、開口部51を円形としたので第1及び第2のシール部材61,62の外形も円形としたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、各トナー搬送パイプを角形のパイプで構成して開口部51も合わせて其れに角形とした場合、第1及び第2のシール部材61,62の外形も角形とし、穴620の形状もパイプ外形よりも小さい角形の穴とすればよい。
【0041】
本形態において、クリーニング装置13Y,13C,13M,13K及びベルトクリーニング装置21で回収した廃トナーは、各トナー搬送パイプを介して直接、廃トナー回収容器50に搬送するようにしているが、クリーニング装置13Y,13C,13M,13K及びベルトクリーニング装置21で回収した廃トナーを一旦、装置本体1に受けた図示しない廃トナー搬送経路に排出してから廃トナー回収容器50に搬送するようにしてもよい。この場合、本発明のシール部材は、廃トナー回収容器50と廃トナー搬送経路との間に適用されることになる。
【0042】
上記形態においてシール構造は、廃トナー回収容器50とこれに接続される搬送部材との間に適用されているが、例えば現像装置12Y,12C,12M,12Kとこれに補給トナーを供給する図示しない補給トナー搬送経路との間に適用しても良い。この場合、搬送経路が各補給トナー搬送経路となり、これらが接続される現像剤容器が各現像装置に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジと中間転写ユニットの構成を示す拡大図である。
【図3】プロセスカートリッジと現像剤容器への現像剤の搬送経路の構成を示す拡大図である。
【図4】本発明の要部となるシール構造を示す拡大断面図である。
【図5】現像剤容器に搬送経路が接続されたときのシール構造の状態を示す拡大断面図である。
【図6】(a)はシール部を構成する第1及び第2のシール部材の構成を示す拡大平面視図、(b)はシール部に搬送経路が挿入された状態を示す拡大図である。
【図7】(a)は従来のシール構造を示す拡大断面図、(b)は現像剤容器に搬送経路が接続されたときの従来のシール構造の状態を示す拡大断面図である。
【図8】(a)は従来のシール部材の構成を示す拡大平面視図、(b)は従来のシール部材に搬送経路が挿入された状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0044】
7a 中間転写体
8(Y,C,M,K) プロセスカートリッジ
10(Y,C,M,K) 像担持体
21C 搬送経路
40(Y,C,M,K) 搬送経路
50 現像剤容器
51 開口部
60 シール部
61 第1のシール部材
62 第2のシール部材
73 廃トナー
610 スリット
620 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の現像剤が搬送される搬送経路が接続される現像剤容器のシール構造において、
前記現像剤容器に形成され、前記搬送経路が接続される開口部に異なる方式で構成されたシール部を設けたことを特徴とする現像剤容器のシール構造。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤容器のシール構造において、
前記シール部は、前記開口部を開閉するように形成され、前記搬送経路を前記開口部内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材と、前記搬送経路の外形に密着するように形成されて第1のシール部材と重ねて配置された第2のシール部材とを少なくとも有することを特徴とする現像剤容器のシール構造。
【請求項3】
請求項2記載の現像剤容器のシール構造において、
第1のシール部材は、弾性変形可能であって、前記搬送部材を挿通するスリットが形成され、
第2のシール部材は、弾性変形可能であって、前記搬送経路の外形よりも小さい穴が形成されていることを特徴とする現像剤容器のシール構造。
【請求項4】
請求項2または3記載の現像剤容器のシール構造において、
第1及び第2のシール部材は、スポンジ部材で構成されていることを特徴とする現像剤容器のシール構造。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか記載の現像剤容器のシール構造において、
第1及び第2のシール部材は、その外観が同一形状に形成されていることを特徴する現像剤容器のシール構造。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れかに記載現像剤容器のシール構造において、
第1及び第2のシール部材は、同一材料で構成されていることを特徴とする現像剤容器のシール構造。
【請求項7】
粉体の現像剤が搬送される搬送経路が接続される開口部が形成され、その内部に現像剤が収容可能な現像剤容器において、
前記開口部の近傍に、請求項1ないし6の何れかに記載のシール構造を備えたことを特徴とする現像剤容器。
【請求項8】
少なくとも像担持体を備えた1以上のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
画像形成後の前記像担持体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナーを収納する容器として請求項7に記載の現像剤容器を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
少なくとも像担持体を備えた1以上のプロセスカートリッジと、前記像担持体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備えた画像形成装置において、
画像形成後の前記像担持体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナー及び画像転写後の前記中間転写体上の残留トナーをクリーニングした後の廃トナーを収納する容器として請求項7に記載の現像剤容器を有することを特徴とする画像形成層装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−145873(P2006−145873A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336308(P2004−336308)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】