説明

現像方法、ハード画像形成デバイス、及び画像部材

現像方法、ハード画像形成デバイス(10)、及び画像(22)部材が説明される。一実施形態によれば、現像方法は、異なる導電率の異なる部分を有する表面(23)を含む画像部材(22)を準備し、それら部分のうちの1つの部分が、画像の画像形成パターン(56)を画定し、画像部材(22)にわたって、複数の帯電した画像粒子(64)と複数の帯電した電荷ディレクタ(62)とを含む現像剤を与え、画像部材(22)にわたって、現像剤を有する画像部材(22)に近接して電界を与え、帯電した電荷ディレクタ(62)及び電界を用いて、帯電した画像粒子を画像部材(22)の表面(23)の部分のうちの1つの部分に誘導して、画像を現像することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、現像方法、ハード画像形成デバイス、及び画像部材に関する。
【0002】
本開示の背景
ハード画像形成の構成の中には、液体トナー画像形成システム、及びドライトナー画像形成システムがある。1つの例示的な電子写真(LEP)プロセスは、液体トナー又はドライトナーのいずれかを用いてハード画像を形成するために、複数の処理ステップを含むことができる。例えば、画像を受け取るのに備えて、感光体を帯電することができる。レーザのような光源を用いて、感光体の帯電した表面部分を選択的に放電することができ、それによって、形成されるべき画像に対応する潜像が与えられる。その潜像は、液体トナー又はドライトナーを用いて現像されることができ、その後、現像された画像は、直接転写、及び/又は中間転写によって、媒体に転写され得る。転写ステップ後に感光体の表面上に残留するトナーは、クリーニングステーションによって除去され得る。
【0003】
上述したプロセスに従って動作する装置は、比較的複雑であり、精巧で及び/又は比較的高価な構成要素を必要とし、画像形成中の位置合わせの問題を欠点として持ち、関連した速度の制限、及び/又は比較的短い耐用年数を有する。
【0004】
本開示の少なくともいくつかの態様は、ハード画像形成動作を実施する、改善された装置及び方法を対象とする。
【0005】
概要
本開示のいくつかの態様に従って、ハード画像形成方法、現像方法、ハード画像形成デバイス、及び画像部材が説明される。
【0006】
一態様によれば、現像方法は、異なる導電率の異なる部分を有する表面を含む画像部材を準備し、それら部分のうちの1つは、画像の画像形成パターンを画定し、画像部材にわたって、複数の帯電した画像粒子と複数の帯電した電荷ディレクタとを含む現像剤を与え、画像部材にわたって、現像剤を有する画像部材に近接して電界を与え、及び帯電した電荷ディレクタ及び電界を用いて、帯電した画像粒子を画像部材の表面の部分のうちの1つに誘導して、画像を現像することを含む。
【0007】
別の態様によれば、ハード画像形成デバイスは、画像形成パターン及び背景領域を含む画像部材であって、画像形成パターンが媒体上に形成されるべき画像のハードバージョンに対応する、画像部材と、画像部材に近接して、複数の帯電した画像粒子及び複数の帯電した電荷ディレクタを含む現像剤を与えるように構成された現像アセンブリであって、帯電した画像粒子は画像部材の画像形成パターンに誘導され、画像形成パターンに対応する画像を現像し、帯電した電荷ディレクタが画像部材の背景領域から帯電した画像粒子を遮蔽するように構成された、現像アセンブリと、画像のハードバージョンを形成するために、現像された画像を媒体に転写するように構成された転写アセンブリとを備える。
【0008】
以下の説明から明らかであるように、他の実施形態及び態様も説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態による1つの例示的なハード画像形成デバイスの機能ブロック図である。
【図2】一実施形態による1つの例示的な画像エンジンの説明図である。
【図3】一実施形態による、現像アセンブリ及び画像部材の説明図である。
【図4】一実施形態による、現像アセンブリと画像部材との中間にある現像剤の説明図である。
【図5】一実施形態による、画像部材の例示的な形成を示す説明図である。
【0010】
詳細な説明
以下でさらに詳細に説明されるように、本開示の少なくともいくつかの態様の例示的な画像形成システム及びプロセスは、紙のような媒体のシート上に画像の複数のハードバージョンを形成するために、その上に実質的に固定された(例えば、消去不可能な)画像を有する画像部材を利用する。一実施形態にすぎないが、液体現像(例えば、マーキング)剤を用いて、その画像を現像し、媒体に転写することができる。他の態様及び実施形態も実現可能であり、それらのいくつかが以下に説明される。
【0011】
図1を参照すると、一実施形態によるハード画像形成デバイス10の1つの例示的な構成が示される。図1のハード画像形成デバイス10は、ハウジング12と、通信インターフェース14と、処理回路16と、ユーザインターフェース18と、画像エンジン20とを含む。それよりも多くの構成要素、少ない構成要素、又は代替的な構成要素を含む、他の構成も実現可能である。
【0012】
通信インターフェース14は、ハード画像形成デバイス10と外部デバイス(図示せず)との通信を実施するように構成される。例えば、通信インターフェース14は、外部コンピューティングデバイス、ネットワーク、又は通信を実現するように構成された任意のデバイスに対して双方向に情報を伝達するように構成され得る。通信インターフェース14は、ネットワークインターフェースカード(NIC)、シリアル接続またはパラレル接続、USBポート、ファイヤーワイヤー(登録商標)インターフェース、フラッシュメモリインターフェース、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、又はハード画像形成デバイス10と通信するのに適した任意の他の構成として実現され得る。一実施形態では、通信インターフェース14を用いて、ハード画像形成デバイス10の動作を制御するためのコマンド、及びハード画像形成デバイス10の動作のステータスが伝達され得る。
【0013】
一実施形態では、処理回路16は、コマンドを受信及び/又は発行し、コマンドを処理し、通信を制御し、及び/又はハード画像形成デバイス10の他の所望の動作を制御するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、処理回路16は、適切な媒体によって提供される所望のプログラミングを実施するように構成された回路を含むことができる。例えば、処理回路16は、プロセッサ、及び/又は、例えば、ソフトウエア命令及び/又はファームウエア命令を含む実行可能な命令を実行するように構成された他の構造、及び/又はハードウエア回路のうちの1つ又は複数として実現され得る。一実施形態では、処理回路は、プロセッサ使用可能媒体からの実行可能命令にアクセスすることができる。例示的な実施形態では、プロセッサ使用可能媒体は、処理回路を含む命令実行システムによって用いるための、又はそのシステムに関連するプログラミング、データ、及び/又はデジタル情報を収容、格納又は保持することができる、任意の製造物又はコンピュータプログラム製品を含む。例えば、例示的なプロセッサ使用可能媒体は、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、電磁気媒体、赤外線媒体又は半導体媒体のような物理的媒体の任意の1つを含むことができる。プロセッサ使用可能媒体のいくつかのさらに具体的な例は、以下に限定はしないが、フロッピー(登録商標)ディスケットのようなポータブル磁気コンピュータディスケット、ジップディスク、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は、プログラミング、データ又は他のデジタル情報を格納することができる他の構成物を含む。
【0014】
処理回路16の例示的な実施形態は、単独で、又はプロセッサと組み合わせて、ハードウェア論理回路、PGA、FPGA、ASIC、ステートマシン及び/又は他の構造物を含む。処理回路16のこれらの例は、例示のためであり、他の構成も可能である。
【0015】
ユーザインターフェース18は、ユーザと対話するように構成され、その対話には、ユーザにデータを伝達すること(例えば、ユーザが見るためのデータを表示すること、ユーザに音声でデータを伝達すること等)、及びユーザから入力(例えば、触覚入力、音声命令等)を受信することが含まれる。従って、1つの例示的な実施形態では、ユーザインターフェースは、視覚情報を示すように構成されるディスプレイ(例えば、陰極線管、LCD等)、並びにキーボード、マウス及び/又は他の入力デバイスを含むことができる。ユーザと対話するのに適している任意の他の装置を利用してもよい。
【0016】
画像エンジン20は、媒体上に1つ又は複数の異なる画像のハードバージョンを形成するように構成される。その画像は、複数枚の紙、透明シート、ラベル、又は現像された画像を受け取ることができる任意の他の基材又は材料を含む、媒体上に形成され得る。画像エンジン20は、現像剤を利用して、画像を現像することができ、現像された画像を媒体に転写するように構成され得る。
【0017】
図2を参照すると、一実施形態による、画像エンジン20の例示的な細部が示される。図示された一実施形態では、画像エンジン20は、画像部材22と、現像アセンブリ24と、転写アセンブリ26とを含む。それよりも多くの構成要素、少ない構成要素、又は代替の構成要素を含む、画像エンジン20の他の実施形態も実現可能である。
【0018】
画像部材22は、現像剤を受け取ると共に、画像を現像するように構成される。画像部材22は、画像形成動作中に、図示されるように、1つの軸を中心にして回転するように構成され得る。図3〜図5の例示的な実施形態に従って以下で説明されるように、画像部材22は、外側表面23上に画像形成パターン(図2には示されない)を含むことができ、これは、現像されるべき画像及び形成されるべきハード画像に対応する。画像形成パターンは、媒体上に同じ画像の複数のハードバージョンを生成するために実質的に固定され得る。一実施形態では、個別の画像部材22は、媒体の異なるシート上に同じ画像のハードバージョンを生成するように構成され得る。一態様では、複数の画像部材22を用いて、単一のハード画像形成デバイス10によって、複数の異なる時点において媒体上に複数の異なるハード画像を形成することができる。別の態様によれば、画像部材22は、複数の異なる時点において媒体上に異なるハード画像を形成するように再構成され得る。
【0019】
別の実施形態では、画像エンジン20は、複数の異なる画像又は色分解を与えるように構成され得る。例えば、複数の画像部材22は、用紙経路(図示せず)に沿って設けることができ、媒体のシート上に同じ画像又は異なる画像(即ち、複数の画像形成部材22が同じ画像形成パターン又は異なる画像形成パターンを有する)及び/又は色分解を形成するように構成され得る。別の実現可能な具現化形態では、相対的に大きな画像部材22を用いて、媒体の1つ又は複数のシート上に、多数の画像及び/又は色分解を与えることができる(例えば、外側表面23は、媒体のシートの長さの約4倍に等しい円周を有すると共に、媒体上にそれぞれ同じ画像若しくは異なる画像及び/又は色を与えるように、同じ画像形成パターン又は異なる画像形成パターンを含むことができる)。他の実施形態も実現可能である。
【0020】
現像アセンブリ24は、画像部材22の外側表面23に隣接して配置される。現像アセンブリ24は、画像部材22に近接して(例えば、表面23上に)現像剤を提供すると共に、画像部材22の表面23上の画像を現像するように構成される。説明される実施形態では、現像アセンブリ24は、液体ベースのマーキング剤を含む現像剤を提供すると共に、画像を現像するように構成される。他の構成又は現像剤も実現可能である。
【0021】
液体の応用形態の場合、現像アセンブリ24は、1つ又は複数のインク噴射器30と、現像ドラム32と、複数のブレード34と、現像剤容器36とを含むことができる。インク噴射器30は、画像部材22と現像ドラム32との間にある間隙33に隣接する画像部材22の表面23上に液体現像剤を導入するように構成される。図2に示される実施形態では、現像ドラム32は、画像形成動作中に個別の軸を中心にして、画像部材22と反対の回転方向に回転するように構成される。現像ドラム32は、以下にさらに詳細に説明されるように、電界を与えて現像動作を支援するように構成された1つの構成では、導電性ドラムを含むことができる。ブレード34は、現像ドラム32上に残留する任意の余分な現像剤を除去し、その現像剤を容器(リザーバ)36に送るように構成される。容器36は、後にインク噴射器30によって画像部材22に塗布するために、現像剤を格納することができる。
【0022】
1つの例示的な液体現像剤は、液体キャリア(例えば、Isopar(R))内に、複数の帯電した画像粒子及び帯電した電荷ディレクタを含むことができる。1つの使用可能な液体現像剤は、「HP Electrolink」, http://h30011.www3hp. com/Products/imaging/electrolink.html(2005年4月)及び「HP Indigo Digital Printing」, Hewlett Packard Company(2003年)において記載されているような、ヒューレット・パッカード社から市販されているエレクトロインキ(ElectroInk(登録商標))であり、それらの教示は参照により本明細書に援用される。 他の実施形態では、他の現像剤を用いることができる。画像粒子を用いて、以下で説明される画像パターン、又は以下で説明されるような、形成されるべき回路(画像パターンに対応する回路)の導線に対応する画像を媒体(例えば、用紙)上に形成することができる。例示的な実施形態では、例示的な帯電した画像粒子は、所望の顔料(単数又は複数)を有する帯電したインク粒子、又は帯電した導電性粒子(例えば、絶縁性樹脂内に封入されるドープされた半導体材料又は金属粒子)を含む。以下の例示的な実施形態において説明されるように、例示的な具現化形態では、インク粒子を用いて画像を形成することができ、導電性粒子を用いて電気回路の導線を形成することができる。
【0023】
一実施形態では、容器36内の液体キャリア内に比較的一定の濃度(例えば、2%濃度)の画像粒子及び電荷ディレクタを維持することが望ましく、ハード画像の形成中に補充するために、画像形成動作中に、追加の画像粒子、電荷ディレクタ及び/又は液体キャリアが容器36に追加され得る。
【0024】
転写アセンブリ26は、画像部材22上の現像された画像の画像粒子を媒体28に転写するように構成される。例示された実施形態では、転写アセンブリ26は、図2に示されるように、それぞれの軸を中心にして回転するようにそれぞれ構成された、中間転写部材ドラム40及び加圧ドラム42を含む。画像形成動作中に、媒体28のシートが、ドラム40と42との間を通過するように構成される。一実施形態では、現像された画像が、画像部材22から中間転写部材ドラム40上で受け取られ、ドラム40を用いて媒体28の複数のシートに転写される。別の実施形態では、ドラム40をなくすことができ、ドラム22が、現像された画像を媒体28に直接的に転写することができる。一実施形態では、ドラム40は、転写を改善するために、比較的柔軟なブランケット(例えば、ゴム)を有することができる。例えば、画像部材22は、絶縁性ウレタン層(例えば、以下の層54)で被覆された柔軟な導電性ウレタン層(例えば、以下の層52)を含むことができる。
【0025】
図3を参照すると、一実施形態による、間隙33における画像の現像に関する例示的な細部が示される。現像ドラム32の表面が、画像部材22の表面23に隣接して示される。例示された実施形態では、画像部材22は、支持部材50と、支持部材50上にある複数の層52、54とを含む。画像部材22の表面23は、媒体28上に形成されるべき画像に対応する画像パターン56を提供する。図3では、画像パターン56の一部(例えば、特徴部分)のみが示される。画像パターン56の例示される部分又は特徴部分は、画像のテキスト、グラフィックス又は他の部分に対応することができる。また、表面23は背景領域58も含む。背景領域58は、現像動作中に現像されない空白部分に対応する。一実施形態では、支持部材50及び層52、54を含む、例示されたアセンブリは、画像部材22のドラム(図3には示されない)の外側表面に巻き付けられることができる。
【0026】
一具現化形態では、層52、54は、同じ画像の複数のコピーを生成するために使用され得る画像パターン56を提供する。図示された層52、54は、支持部材50と共に、画像部材22のドラムから除去されることができ、異なる画像の形成を可能にするために、異なる画像パターン56を画定する、支持部材50及び層52、54を含む別のアセンブリが、そのドラムに巻き付けられることができる。他の実施形態では、異なる画像パターンを既に設けている複数の異なるドラムを、必要に応じて、画像形成デバイス10に対して代わる代わる出し入れして、異なる画像を形成することができる。
【0027】
単なる1つの構成によれば、支持部材50は、約100μmの厚みを有する、ポリマー(例えば、マイラー(登録商標))のような絶縁性基材からなることができる。層52は導電層(例えば、銅又はアルミニウム)からなり、約0.5μm未満の厚みを有することができ、層54はポリマー(例えば、デュポン社から市販されているカプトン(登録商標))からなり、約2μmの厚みを有することができる。
【0028】
一実施形態では、層52、54は異なる導電率を有する。例えば、層52は層54よりも高い導電率を有することができる。一実施形態では、層52は、実質的に導電性であると見なすことができ、層54は実質的に絶縁性であると見なすことができる。従って、一実施形態では、表面23の異なる部分が、画像パターン56及び背景領域58に対応する異なる導電率を有することができる。
【0029】
画像パターン56を設けるために、画像部材22の他の構成も実現可能である。例えば、一実施形態では、層50、52は導電性シリコン基板によって置き換えられることができ、層54は、導電性シリコン基板上に10nm(100オングストローム)の厚みを有する絶縁性SiO層と、SiO層上に200nm(2000オングストローム)の厚みを有する絶縁性Si層とを含む複数の絶縁層によって置き換えられることができる。SiO層は、Si層の引張応力を低減すると共に亀裂を低減するための緩衝層とすることができる。それらの層の両方をエッチングして、画像パターン56に対応する、導電性シリコンの部分を露出させることができる。
【0030】
図4を参照すると、1つの例示的な実施形態による、画像の現像に関するさらなる細部が示される。画像部材22の表面23と、現像ドラム32の表面との間の液体現像剤60が示される。液体マーキング剤60は、液体媒質又はキャリア61(例えば、Isopar(R)油)と、複数の電荷ディレクタ62と、複数の画像粒子64とを含む。図示された実施形態では、負にのみ帯電した電荷ディレクタ62が示される。一実施形態では、正に帯電した電荷ディレクタも存在し(例えば、50%が正、50%が負の電荷ディレクタ)、ドラム32に引き寄せられることができるが、現像動作に影響を及ぼすことはない。
【0031】
図4に示されるように、一実施形態による例示的な現像動作中に、画像粒子64が画像パターン56に誘導され、画像を現像する。上述されたように、例示された電荷ディレクタ62及び画像粒子64は、個別に帯電させることができる。負に帯電した電荷ディレクタ62と共に、電界を利用して、帯電した画像粒子64を画像パターン56に誘導することができる。一実施形態では、約4ミリ秒の現像時間が与えられる。
【0032】
1つの具体的な実施形態によれば、現像ドラム32は、一実施形態においてグランド層と呼ばれ得る層52に対して、負にバイアスをかけられることができる。一実施形態では、グランド層52に対して、現像ドラム32に約−300Vでバイアスをかけ、現像ドラム32の表面と画像部材22の表面23との間の間隙33において約150μmの空間を有することによって、約2V/μmの電界が与えられる。電界は、画像パターン56及び背景領域58を含む、間隙33における画像部材22の表面23の概ね全体にわたって与えられることができる。現像ドラム32が負にバイアスをかけられ、層52が接地される構成において、電界は、画像部材22の外部から与えられるものと考えることができる。他の実施形態では、他のバイアスをかけること及び他の構成要素を任意の適切な態様で用いることによって、適切な電界を与えることができる。
【0033】
生成される電界は、現像電界と呼ばれることがあり、負に帯電した電荷ディレクタ62及び負に帯電した画像粒子64の両方を、画像部材22の表面23に向かって押し付けるか、又は誘導するように作用することができる。電荷ディレクタ62は、粒子64に対してさらに高い移動度を有し、それらのかなりの部分が、画像粒子64より前に、表面23に到着する。背景領域58では、表面23は実質的に絶縁性であり、電荷ディレクタ62は電界を遮蔽し、画像粒子64が背景領域58において現像されないようにする。しかしながら、画像パターン56の場所では、表面23は実質的に導電性であることによって、電荷ディレクタ62が過剰な電子を手放し、それによって中性になる。画像粒子64は、表面23の画像パターン56に向かってのみ移動し続ける。電荷ディレクタ62がその個々の電荷を手放さない場合であっても、層52を基準として、層54に対する電荷ディレクタ62の間隔に比べて、電荷ディレクタ62の層52に対する距離が、近いことに起因して、電界を遮蔽するように作用する遮蔽効果が不十分であるため、依然として現像が行なわれる。
【0034】
一実施形態では、画像粒子64は電荷ディレクタ62よりも大きく(例えば、約1nmに対して約1000nm)、画像粒子64は、その個々の電荷を失うことなく、画像パターン56に固着し、結果として、背景領域58を実質的に現像されないままにしておきながら、画像パターン56に対応する画像が現像される。その後、画像パターン56に対応する現像された画像は、転写アセンブリ26を介して、媒体28に転写され得る。
【0035】
ここで、画像部材22の画像パターン56及び背景領域58を形成する1つの例示的な方法に関する説明に移る。1つの実現可能な具現化形態では、支持部材50が、層52、54で被覆され得る。エキシマレーザは、形成されるべき画像パターン56でプログラミングされることができ、支持部材50、及びその上にある層52、54と位置合わせされて、画像パターン56に対応する層54の部分を除去(ablate:融除)し、画像パターン56を与える層52のそれぞれの部分を露出させることができる。
【0036】
図5を参照すると、別の実施形態に対応する画像パターン56を形成する別の例示的な方法が示される。例えば、支持部材50は、その上に層52を設けられることができる。層54aは、半導体材料を含むことができ、図5に示されるように、層52上に堆積され得る。一実施形態では、層54aは、アモルファスシリコンを含み、1つの実現可能なプロセスでは、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて、層54aを形成することができる。堆積されると、アモルファスシリコンは、シリコンの網状組織が実質的に非導電性又は絶縁性であると見なされるほど十分にランダムであることに起因して、比較的高い電気抵抗を有する。層54aの部分は、実質的に導電性であると見なされ得る結晶化されたシリコンに変換されることができる。一実施形態では、結晶化されたシリコンは数オーム/スクエアであるのに対して、アモルファスシリコンは14kオーム/スクエアのシート抵抗を有することができる。一実施形態では、アモルファスシリコンの部分を、画像パターン56に対応する結晶性シリコンに変換するために、エキシマレーザ80を利用することができる。一実施形態では、アモルファスシリコンを堆積した後に、画像パターン56は、ウエブ構成において形成されてもよい。
【0037】
図5の例示的なプロセスを用いる利点は、要求に応じて、形成されるべき異なる画像パターン56に対応するランダムなパターンを生成することができることである。さらに、比較的薄いアモルファスシリコン層を利用することによって、従来の電子写真の能力を超える、極めて細かい幾何学的形状を形成することが可能になる。例えば、例示的な上記のプロセスを用いる画像パターン56の場合、約5μmの機構サイズを達成できると予想される。
【0038】
本明細書において説明される例に加えて、他の方法を用いて、画像パターン56及び背景領域58を形成することができる。例えば、ランダムにアドレス指定可能なデバイス(インクジェット)を用いることによって、又はグラビア又はインプリント等の接触手段によって、導電層上に絶縁性液相ポリマーを堆積することができる。そのポリマーを紫外光に露光するか、又は硬化させて、背景領域58を形成することができ、その下に画像パターン56を画定することができる。他の実施形態では、他の方法を用いて、所望の画像パターン56を形成してもよい。
【0039】
上述したように、少なくとも1つの実施形態によれば、それぞれの画像部材22に対して、画像パターン56を実質的に固定することができる。ハード画像形成デバイス10の1つの構成では、媒体28上に異なる画像のハードバージョンを生成するために用いることができる個々の異なる画像パターン56を有する、複数の画像部材22を設けることができる。従って、一具現化形態では、媒体上に画像を形成する最初の工程の間に、第1の画像パターン56を有する第1の画像部材22を用いて、1つ又は複数のハード画像を生成することができ、その後、媒体上に異なる画像を形成するための第2の工程の間に、第1の画像部材22を、異なる画像パターン56を有する第2の画像部材22で置き換えることができ、上述のように処理を再開して、1つ又は複数のハード画像を生成することができる。
【0040】
従って、一実施形態では、画像パターン56は、個々の画像部材22に関して永久であると見なされ得る(例えば、画像パターン56が後に、それぞれの画像部材22上で、除去されて置き換えられるか、再形成されるか、又は異なるように画定されない限り)。言い換えると、単なる一実施形態によれば、永久であると称され得る画像パターン56は、感光体を用いる電子写真印刷の場合のように、それぞれの画像部材22上で容易に変更されることはできない。
【0041】
1つの実験によれば、約1μmの層54、及び4mmだけ離れて配置された向かい合った板(例えば、現像ドラム32及び層52に対応する)の2つの導電性表面(酸化インジウムスズ)間にElectroInk(登録商標)現像剤を用いて、5000Vの関連した電界でもって、画像パターンが首尾よく生成され得ることが実証された。例示的なプロセスは、板のうちの一方の露出した表面に対応する棒状の画像パターンを形成することができることを示し、一方、板の残りの部分は、実質的に絶縁性の材料から成る35μmの層によって覆われ、実質的に現像されなかった。
【0042】
上述したように、本開示のいくつかの実施形態は、画像エンジン20を用いて電気回路を生成することを対象とする。画像粒子64は、帯電させることができ、ドープされた半導電性粒子(例えば、ドープされたp型)、又は導電性金属粒子(例えば、帯電することを可能にする絶縁性の樹脂でカプセル封入される1μmの金属粒子又はフレーク)からなることができる。画像パターン56を現像することによって、導電性粒子によって形成される導線を含む回路が提供される。一実施形態において、カプセル封入された金属導電性粒子が用いられる場合には、形成された線を現像後に加熱して、樹脂を除去することができる。
【0043】
開示された実施形態のうちのいくつかの実施形態の利点は、書込みヘッド又はレーザを用いることのない画像形成を含む。従って、そのプロセスは、電子写真の解決法と比べて、より簡単にすることができ、コスト効率をより良くすることができる。さらに、少なくともいくつかの実施形態は、耐久性があり、且つ書込みヘッドのドットサイズ、速度又は幅に関して、他の構成に一般的に関連付けられる制限を有しない画像エンジン20を提供することができる。電子写真システムと関連がある位置合わせ問題は、緩和されるか、又は回避されることができ、さらに帯電ステーション(例えば、スコロトロン)をなくすことができ、画像エンジン20の耐久性を高め、画像エンジン20の速度の制限を低減しながら、さらに単純化し、コストを削減することができる。さらに、画像部材56の寿命も、いくつかの他のシステムに比べて長くすることができる。
【0044】
求められる保護は、単なる例示のために与えられた、開示された実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる導電率の異なる部分を有する表面(23)を含む画像部材(22)を準備し、前記部分のうちの1つの部分が、画像の画像形成パターン(56)を画定し、
前記画像部材(22)にわたって、複数の帯電した画像粒子(64)と複数の帯電した電荷ディレクタ(62)とを含む現像剤を与え、
前記画像部材(22)にわたって、前記現像剤を有する前記画像部材(22)に近接して電界を与え、及び
前記帯電した電荷ディレクタ(62)及び前記電界を用いて、前記帯電した画像粒子(64)を前記画像部材(22)の前記表面(23)の前記部分のうちの1つの部分に誘導して、前記画像を現像することを含む、現像方法。
【請求項2】
前記誘導することが、前記帯電した電荷ディレクタ(62)を用いて、前記画像部材の前記部分の他の部分から、前記帯電した画像粒子(64)を遮蔽することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分のうちの1つの部分が、前記部分のうちの前記他の部分に比べてさらに高い導電率を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像形成パターン(56)が、媒体(28)の複数のシートに前記画像の同じハードバージョンを与えるために実質的に固定される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記現像剤を与えることが、複数の帯電した導電性粒子からなる前記画像粒子(64)を与えることを含み、前記誘導することが、電気回路の複数の導線を含む前記画像を現像する、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
ハード画像形成デバイスの画像部材(22)であって、
第1の導電率を有し、複数の異なる時点において、媒体(28)の複数のシート上に形成されるべき画像の複数のハードバージョンに対応する、画像形成パターン(56)と、
前記第1の導電率とは異なる第2の導電率を含む、前記画像形成パターン(56)上にある背景領域(58)とを含み、
前記画像形成パターン(56)が、前記媒体(28)の複数のシート上に同じ画像を含む、前記画像の複数のハードバージョンを形成するために実質的に固定される、画像部材(22)。
【請求項7】
前記画像形成パターン(56)を設けるように構成された導電層(52)をさらに含む、請求項6に記載の部材。
【請求項8】
前記背景領域(58)に対応する前記導電層(52)の1つの部分を覆うと共に、前記導電層の他の部分を前記画像形成パターン(56)に応じて外部に露出したままにしておく絶縁層をさらに含む、請求項7に記載の部材。
【請求項9】
前記画像形成パターン(56)が、前記背景領域(58)に比べてさらに高い導電率を有する、請求項6、7又は8に記載の部材。
【請求項10】
前記画像形成パターン(56)が実質的に結晶化した半導体材料を含み、前記背景領域(58)が実質的にアモルファス半導体材料を含む、請求項6、7、8又は9に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−542488(P2009−542488A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519469(P2009−519469)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/015559
【国際公開番号】WO2008/005523
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】