説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像ローラの現像ブラシ繊維層の隙間や現像ブラシ繊維層の外周面に存在するトナーであっても充分に帯電させて、地肌かぶりや濃度ムラの抑制された高品質な画像を得ることのできる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ブラシ繊維層105には、現像ブラシ繊維層105内で現像ブラシ繊維104及びトナーTと摺接するトナー帯電ブラシ部材106が配設されている。このトナー帯電ブラシ部材106は、金属板バネ材料からなる基材106aの表面に帯電ブラシ繊維106bを植毛して形成された帯電ブラシ層106cを備えている。基材106aの一方端106a1を現像ケース107に固定し、もう一方の自由端106a2側に帯電ブラシ繊維106bを植毛した帯電ブラシ層106cを現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105に10〜100N/mの押圧力で圧接させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタやこれら複合機などの画像形成装置に採用される現像装置、特に、一成分系現像剤及び導電性芯材の外周に現像ブラシ繊維層を形成した現像ローラを用いて、像担持体上の静電潜像を現像する現像装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真や静電記録等に採用される乾式現像方法においては、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを含まない一成分系現像剤を用いる方法が有る。前者の方法は、混合攪拌機構を利用してトナーとキャリアを充分に摩擦帯電させることによってトナーに必要な電荷を付与することができるので、比較的安定して良好な画像を得ることができる。ところがその反面、キャリアの劣化及びトナーとキャリアとの混合比の変動等が発生し易く、それらを抑えるために装置が複雑化するなど、維持管理性やコンパクト化に難点が残る。後者の方法は、キャリアの取り扱いに関わる機構を省略できるので、構成が簡単でコンパクト化しやすいという利点があるが、トナー摩擦帯電時にはドクターブレードを現像ローラに押圧し、さらに現像時には感光体ドラムを現像ローラに押圧するため、現像ローラやトナーにかかる物理的負荷が大きく、装置寿命が短いといった難点がある。
【0003】
そこで上記の欠点を改善したファーブラシ現像方法が検討されてきた。例えば、特許文献1には、芯材の外周に、やわらかい動物の毛や合成繊維からなる現像ブラシ繊維層を形成した現像ローラを使用して、当該現像ブラシ繊維層にトナーを保持させたまま、バイアス電圧を印加した状態で静電潜像上を摺擦することによって現像するファーブラシ現像方法について記されている。この現像方法によれば、簡単な構成で、トナーに過剰な負荷を与えることのない、長寿命の現像装置を提供することが可能となる。しかしながら、このファーブラシ現像方法では、トナーへの電荷付与は現像ブラシ繊維とトナーとの摩擦帯電によって行われるが、二成分系現像方式と違ってトナーとキャリアを混合攪拌させる過程がないため、トナーの摩擦帯電は現像ローラ上の現像ブラシ繊維に接触するときだけに限られてしまう。そのためトナー量が多い場合や現像ブラシ繊維の密度が低い場合には、トナーと現像ブラシ繊維との接触する機会が少なくなり、未帯電トナーが増加し、印刷画像の地肌部にかぶりが発生するといった問題点があった。
【0004】
このようなファーブラシ現像方法において未帯電トナー増加に伴う印刷画像の地肌部におけるかぶり(地肌かぶり)の発生を抑制するために、ファーブラシ現像ローラ周囲の現像容器の内壁に、フィルム状のトナー強制帯電用部材を設け、このトナー強制帯電用部材に現像ローラの現像ブラシ繊維を接触させることによってトナーの摩擦帯電を促進する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献3には、現像ブラシ繊維の表面をトナー離型性の高い材料でコーティングしたファーブラシ現像ローラ表面に規制ブレードを押し当てることによって、現像ブラシ繊維に取り込むトナー量を適量に規制する方法が記されている。
ところがこれら特許文献2及び3記載の方法でも、現像ブラシ繊維の隙間に存在するトナーを帯電させることは難しく、十分に地肌かぶり発生を抑制することはできなかった。また、現像ブラシ繊維の外周面で接触したトナーでも、ブラシ繊維との摺擦が充分に行なわれないために、トナーが現像に必要な電荷量に到達できないまま現像され、濃度ムラが発生することもあった。そこで、規制ブレードの押圧力を高めて、現像ブラシ繊維を押さえつけることによって現像ブラシ繊維の隙間を無くし、現像ブラシ繊維とトナーの接触効率を高めていくと、地肌かぶりの程度は小さくなっていったが、現像ブラシ繊維への圧力負荷が増加し、現像ローラのトルクアップや現像ブラシ繊維の抜けなどの問題点が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、現像ローラの現像ブラシ繊維層の隙間や現像ブラシ繊維層の外周面に存在するトナーであっても充分に帯電させて、地肌かぶりや濃度ムラの抑制された高品質な画像を得ることのできる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナーからなる一成分系現像剤を収容する一成分系現像剤収容室と、当該一成分系現像剤収容室内に回転可能に配設され、導電性芯材の外周に現像ブラシ繊維層を形成した現像ローラとを有し、当該現像ローラが前記現像ブラシ繊維層内に前記一成分系現像剤を保持した状態で回転するとともに前記現像ローラから現像バイアスを印加して像担持体表面に形成された静電潜像に前記一成分系現像剤を供給して当該静電潜像をトナー像化する現像装置において、前記一成分系現像剤収容室内に、回転する前記現像ローラの現像ブラシ繊維層と摺接して当該現像ブラシ繊維層内の一成分系現像剤を帯電させる帯電ブラシ層を有する帯電ブラシ部材を配設したことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の現像装置において、前記帯電ブラシ部材の帯電ブラシ層は、前記一成分系現像剤収容室に取り付けられた基材の表面に前記現像ローラの現像ブラシ繊維層内に達する長さを有するブラシ繊維を植毛して形成されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項2記載の現像装置において、前記基材は、金属製板バネで構成され、一端を前記一成分系現像剤収容室に取り付け、他端の自由端に前記帯電ブラシ層を形成して当該帯電ブラシ層を前記現像ローラの現像ブラシ繊維層に圧接させることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1記載の現像装置において、前記帯電ブラシ部材は、前記現像ローラの回転軸と平行な回転軸を有する芯材の外周に、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層内に達する長さを有するブラシ繊維を植毛した帯電ブラシ層を形成して回転可能に前記一成分系現像剤収容室に取り付けられたローラ部材であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の現像装置において、前記帯電ブラシ層の前記ブラシ繊維の植毛密度は、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層の植毛密度と等しいか又はそれ以下に設定されていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の現像装置において、前記帯電ブラシ層のブラシ繊維は、前記現像ローラとの摺接部において、前記現像ローラの回転方向の下流側に倒れるように植毛されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の現像装置において、前記帯電ブラシ層のブラシ繊維は、導電性を付与された樹脂繊維又は金属繊維で構成されていることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7記載の現像装置において、前記樹脂繊維の前記一成分系現像剤を基準としたときの摩擦帯電極性は、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層の摩擦帯電極性と同じ極性であることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項7又は8記載の現像装置において、前記帯電ブラシ部材と前記現像ローラとの間に交番電圧を印加させることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体表面に形成された静電潜像に、トナーからなる一成分系現像剤を供給して当該静電潜像をトナー像化する現像装置を備えた画像形成装置において、前記現像装置は、請求項1乃至9のいずれか1項記載の現像装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一成分系現像剤収容室内に、回転する現像ローラの現像ブラシ繊維層と摺接して当該現像ブラシ繊維層内の一成分系現像剤を帯電させる帯電ブラシ層を有する帯電ブラシ部材を配設したことによって、現像ローラの現像ブラシ繊維層の隙間や現像ブラシ繊維層の外周面に存在するトナーであっても充分に帯電させて、地肌かぶりや濃度ムラの抑制された高品質な画像を得ることのできる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明による第1実施形態に係る現像装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る現像装置のトナー帯電ブラシ部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図4】本発明による第2実施形態に係る現像装置の現像ローラと帯電ブラシ部材との関係を示す一部を切り欠いた断面図である。
【図5】図4で示す現像装置の帯電ブラシ部材の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明による第3実施形態に係る現像装置の現像ローラと帯電ブラシ部材との関係を示す一部を切り欠いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、単色の電子写真複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、フルカラーレーザプリンタに用いられるものであり、図1に示すように、像担持体としてのドラム状感光体2の周囲に、感光体2の表面を一様に帯電させる帯電ローラ3、後述するようにして形成された感光体2の表面上の静電潜像をトナー像化して現像する現像装置1を備えている。
感光体2は、その回転軸2aを中心として矢印A方向に図示しない駆動モータによって回転されるようになっている。このように回転された感光体2の表面に、感光体2の回転によって従動回転する帯電ローラ3から図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を所定電位に一様に帯電する。このように、一様に帯電された感光体2の表面に、図示しない露光手段により画像情報に対応した露光Lに応答して静電潜像が形成される。感光体2に形成された静電潜像に、後述するように、現像装置1から供給されるトナーが、現像バイアス電位のもとで付着することによってトナー像として顕像化される。
【0012】
このようにして、感光体2上に形成されたトナー像は、図示しない支持ローラの回転駆動によって矢印B方向に移送される無端状の中間転写ベルト7上に一次転写ローラ8からの一次転写バイアスが印加されることによって転写される。
このようにしてトナー像を中間転写ベルト7上に転写した感光体2は、その表面に残存するトナーをクリーニング装置5のクリーニングブレード5aで除去、クリーニングされ、再び、帯電ローラ3によって一様に帯電されて初期状態に戻り、同様にして画像形成処理が行なわれる。
この場合、感光体2と帯電ローラ3と現像装置1とクリーニング装置5は、一体に連結されてプロセスカートリッジを構成しており、感光体2と共に、帯電ローラ3と現像装置1とクリーニング装置5とを画像形成装置から容易に着脱可能となっている。そのため、感光体2と帯電ローラ3と現像装置1とクリーニング装置5の保守、交換を容易に行なうことが可能となっている。この実施形態においては、感光体2と帯電ローラ3と現像装置1とクリーニング装置5とを一体に連結したプロセスカートリッジとしているが、感光体2と現像装置1のみを一体に連結したプロセスカートリッジとすることができる。
【0013】
上述のように、感光体2からトナー像が転写された中間転写ベルト7上のトナー像は、レジストローラ6によってタイミングを図って搬送される転写材である用紙P上に、二次転写ローラ9に所定の電圧を印加することにより転写される。このようにして用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置11の加熱定着ローラ11aと加圧ローラ11bとによって加熱、加圧されて、用紙P上に定着されて排出される。
以上のようにして、本実施形態に係る画像形成装置によって所望の画像が適切に形成される。この実施形態に係る画像形成装置においては、一成分系の現像剤が使用されており、この一成分系現像剤によって感光体2上に形成される静電潜像を現像する現像装置1について説明する。
【0014】
図2は、本発明による第1実施形態に係る現像装置の主要部の概略構成を示す図である。図3は、第1実施形態に係る現像装置のトナー帯電ブラシ部材の取り付け状態を示す断面図である。この第1実施形態に係る現像装置1は、図1に示すように、現像ケース107内に一成分系現像剤であるトナーTを収容するトナー収容室101が形成されており、このトナー収容室101内に矢印C方向に回転される現像ローラ102を備えている。
現像ローラ102には、図2に示すように、金属等の導電性芯材103の外周に現像ブラシ繊維104を植毛することによって形成された現像ブラシ繊維層105が形成されており、現像ブラシ繊維層105内にトナーTを取り込んで図示しない駆動モータによって回転軸103aを中心として矢印C方向に回転するようになっている。そして、現像ブラシ繊維層105に取り込まれたトナーTは、現像ケース107の開口107aを通じて感光体2の表面と現像ブラシ繊維層105と摺接することによって感光体2の表面に形成された静電潜像に供給されるようになっている。
現像ブラシ繊維104としては、好ましくは、レーヨン、ナイロン、アクリル等の樹脂製で導電性が付与された繊維で構成されており、太さが0.5〜10デニール、長さが0.5〜5mm、抵抗値が103〜1010Ωのものが選定される。特に、トナーTと逆の極性に帯電しやすい材料であることが望ましい。
【0015】
この第1実施形態においては、使用するトナーTがスチレン−アクリル樹脂からなる負帯電トナーであることから、太さ6デニール、長さ3mmのナイロン繊維を、カーボンブラック等の導電付与剤によって108Ωの抵抗値に調節したものを用いた。
また、現像ブラシ繊維層105には、図2に示すように、現像ブラシ繊維層105内で現像ブラシ繊維104及びトナーTと摺接するトナー帯電ブラシ部材106が配設されている。このトナー帯電ブラシ部材106は、ステンレスまたはリン青銅等の金属板バネ材料からなる基材106aの表面に帯電ブラシ繊維106bを植毛して形成された帯電ブラシ層106cを備えている。そして、図3に示すように、基材106aの一方端106a1を現像ケース107に固定し、もう一方の自由端106a2側に帯電ブラシ繊維106bを植毛した帯電ブラシ層106cを現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105に10〜100N/mの押圧力で圧接させている。従って、このトナー帯電ブラシ層106cの押圧によって現像ローラ102表面に設けられた現像ブラシ繊維層105内に取り込まれるトナー量が規制されると共に、現像ブラシ繊維層105内に保持されたトナーT及び外周面に付着しているトナーTと現像ブラシ繊維104との接触摩擦がより確実に行われて、トナーTを十分に帯電させることが可能となっている。この場合に、トナー帯電ブラシ層106cは、現像ブラシ繊維層105の現像ブラシ繊維104と広範囲に亘って接触することが可能となり、未帯電トナーの発生を抑制することが可能となる。
【0016】
帯電ブラシ繊維106bの材料としては、好ましくは、レーヨン、ナイロン、アクリル等の樹脂製で導電性が付与された繊維または金属繊維であり、太さが0.5〜10デニール、長さが0.5〜5mmのものが選定される。特に、樹脂繊維の場合は現像ブラシ繊維104と同様に、トナーと逆の極性に帯電しやすい材料が好適であり、抵抗値が103〜1010Ωのものを選定することが望ましい。このように、帯電ブラシ繊維106bを現像ブラシ繊維と同様に、トナーと逆極性に帯電しやすい材料を使用することによって、帯電ブラシ繊維とトナーTとの接触摩擦によって、トナーTを帯電させることが可能となり、トナー帯電の均一性を高めることができる。なお、この実施形態においては、使用するトナーがスチレン−アクリル樹脂からなる負帯電トナーであることから、太さ10デニール、長さ2.5mmのナイロン繊維を、カーボンブラック等の導電付与剤によって108Ωの抵抗値に調節したものを用いた。
また、トナー帯電ブラシ層106cの植毛密度は、現像ブラシ繊維層105の植毛密度を越えてしまうと、現像ブラシ繊維104とトナーTとの接触摩擦を妨げてしまい、逆に衝突によるストレスやトルクアップといった弊害が顕著になるため、同等またはそれ以下に設定することが望ましい。この実施形態においては、トナー帯電ブラシ層106cと現像ブラシ繊維層105と共に、平方インチあたり70,000本の植毛密度のものを使用した。
【0017】
現像ローラ102には、図3に示すように、直流電源108から現像バイアスが供給され、感光体2上の静電潜像を現像する。トナー帯電ブラシ層106cには、交流電源109から帯電バイアスが供給される。帯電バイアスは直流電圧である現像バイアスの値に交流電圧を重畳したものであり、現像ローラ102と帯電ブラシ層106cとの間に交番電界を形成する。帯電バイアスの交流成分としては、周波数500〜5000Hz、振幅50〜1000VのSIN(サイン)波または矩形波が適しており、形成された交番電界によって、現像ブラシ繊維層105に取り込まれたトナーTの摩擦帯電が促進される。
このように、トナーTは、現像ブラシ繊維層105とトナー帯電ブラシ層106cとの間で摩擦を受けて帯電される。現像ローラ102は、図2に示すように、矢印C方向に回転し、現像ブラシ繊維層105内に取り込んだトナーTを感光体2との対向位置へと搬送する。感光体2は矢印A方向に回転しており、従って現像ローラ102の表面は、感光体2との対向位置において感光体2の進行方向と同方向に移動する。現像ブラシ繊維層105は、感光体2の表面に接触しており、現像ローラ102には直流電源108から供給された現像バイアスが印加され、トナーTは、現像バイアスと感光体2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体2表面に移動し静電潜像をトナー像化して現像する。
【0018】
次に、本発明による第2実施形態に係る現像装置について、図4に基づいて説明する。図4は、本発明による第2実施形態に係る現像装置の現像ローラと帯電ブラシ部材との関係を示す一部を切り欠いた断面図である。図5は、図4で示す現像装置の帯電ブラシ部材の変形例を示す断面図である。
この第2実施形態に係る現像装置においては、トナー帯電ブラシ部材301は、図4に示すように、ステンレス等の金属基材301aを現像ケース107に取り付けて金属基材301aの表面に帯電ブラシ繊維301bを植毛して帯電ブラシ層301cを形成したものである。そして、現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105から離間した状態で金属基材301aを配置し、帯電ブラシ繊維301bを現像ブラシ繊維層105内に食い込ませる長さとして現像ブラシ繊維層105と接触させている。そのために、金属基材301aが直接現像ブラシ繊維層105を押圧することが抑制されて、現像ブラシ繊維層105の現像ブラシ繊維104の毛倒れを抑制することが可能となる。なお、この第2実施形態に係る現像装置1の帯電ブラシ層301cを形成する帯電ブラシ繊維301bとしては、前述の第1実施形態の現像装置の帯電ブラシ層106cの帯電ブラシ繊維106bと同一材質のものを使用することができる。
【0019】
また、この第2実施形態において、トナー帯電ブラシ層301cは、ステンレス等の金属基材301aの表面に帯電ブラシ繊維301bを植毛したもので形成され、帯電ブラシ繊維301bは、現像ブラシ繊維層105内に食い込ませるように接触させて設けられる。この場合、トナー帯電ブラシ層301cの帯電ブラシ繊維301bの先端を、図5に示すように、現像ローラ102の回転方向(進行方向)下流側に向かって倒れるように形成することが好ましい。このように、帯電ブラシ繊維301bの先端を、現像ローラ102の回転方向(進行方向)下流側に向かって倒れるように形成することによって、現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105の現像ブラシ繊維104と、トナー帯電ブラシ層301cの帯電ブラシ繊維301bとが過剰に衝突することを抑制して現像ローラ102の現像ブラシ繊維104とトナーTへのストレスを抑制することが可能となる。
【0020】
次に、本発明による第3実施形態に係る現像装置について、図6に基づいて説明する。図6は、本発明による第3実施形態に係る現像装置の現像ローラと帯電ブラシ部材との関係を示す一部を切り欠いた断面図である。
この第3実施形態に係る現像装置1においては、図6に示すように、トナー帯電ブラシ部材401として、SUM(ステンレス)等の金属性芯金402の外周表面に帯電ブラシ繊維403を植毛した帯電ブラシ層404を形成したブラシローラを使用している。現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105に近接して金属芯金402を配置し、帯電ブラシ繊維403を現像ブラシ繊維層105内に食い込ませるように接触させている。金属芯金402の回転軸402aは、現像ローラ102の回転軸103aと平行になるように配設されて図示しない駆動手段と連結されていて矢印D方向に回転されるようになっている。
その結果、現像ローラ102の現像ブラシ繊維層105とトナー帯電ブラシ部材401の帯電ブラシ層404の接触部において現像ローラ102の回転方向(C方向)と同方向に移動するように回転するようになっている。そのために、現像ブラシ繊維層105と帯電ブラシ層404のブラシ繊維同士の衝突を和らげて現像ローラ102のストレスや回転トルクを軽減し、現像速度の高速化や長寿命化を図ることが可能となる。
なお、この第3実施形態に係る現像装置1の帯電ブラシ層404を形成する帯電ブラシ繊維403としては、前述の第1実施形態の現像装置の帯電ブラシ層106cの帯電ブラシ繊維106bと同一の材質のものを使用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 現像装置、2 感光体、3 帯電ローラ、5 クリーニング装置、6 レジストローラ、7 中間転写ベルト、8 一次転写ローラ、9 二次転写ローラ、11 定着装置、101 トナー収容室、102 現像ローラ、103 導電性芯材、104 現像ブラシ繊維、105 現像ブラシ繊維層、106、301、401 トナー帯電ブラシ部材、106a、301a 基材、106b、301b、403 帯電ブラシ繊維、106c、301c、404 帯電ブラシ層、107 現像ケース、108 直流電源、109 交流電源、402 芯金、402a 回転軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特公昭63−56989号公報
【特許文献2】特公昭63−56987号公報
【特許文献3】特開平10−207217号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーからなる一成分系現像剤を収容する一成分系現像剤収容室と、
当該一成分系現像剤収容室内に回転可能に配設され、導電性芯材の外周に現像ブラシ繊維層を形成した現像ローラとを有し、
当該現像ローラが前記現像ブラシ繊維層内に前記一成分系現像剤を保持した状態で回転するとともに前記現像ローラから現像バイアスを印加して像担持体表面に形成された静電潜像に前記一成分系現像剤を供給して当該静電潜像をトナー像化する現像装置において、
前記一成分系現像剤収容室内に、回転する前記現像ローラの現像ブラシ繊維層と摺接して当該現像ブラシ繊維層内の一成分系現像剤を帯電させる帯電ブラシ層を有する帯電ブラシ部材を配設したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ部材の帯電ブラシ層は、前記一成分系現像剤収容室に取り付けられた基材の表面に前記現像ローラの現像ブラシ繊維層内に達する長さを有するブラシ繊維を植毛して形成されることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記基材は、金属製板バネで構成され、一端を前記一成分系現像剤収容室に取り付け、他端の自由端に前記帯電ブラシ層を形成して当該帯電ブラシ層を前記現像ローラの現像ブラシ繊維層に圧接させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ部材は、前記現像ローラの回転軸と平行な回転軸を有する芯材の外周に、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層内に達する長さを有するブラシ繊維を植毛した帯電ブラシ層を形成して回転可能に前記一成分系現像剤収容室に取り付けられたローラ部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ層の前記ブラシ繊維の植毛密度は、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層の植毛密度と等しいか又はそれ以下に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ層のブラシ繊維は、前記現像ローラとの摺接部において、前記現像ローラの回転方向の下流側に倒れるように植毛されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ層のブラシ繊維は、導電性を付与された樹脂繊維又は金属繊維で構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記樹脂繊維の前記一成分系現像剤を基準としたときの摩擦帯電極性は、前記現像ローラの現像ブラシ繊維層の摩擦帯電極性と同じ極性であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の現像装置において、
前記帯電ブラシ部材と前記現像ローラとの間に交番電圧を印加させることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体表面に形成された静電潜像に、トナーからなる一成分系現像剤を供給して当該静電潜像をトナー像化する現像装置を備えた画像形成装置において、
前記現像装置は、請求項1乃至9のいずれか1項記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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