説明

現金処理機

【課題】現金の出納処理を行う担当者の作業負担を軽減する現金処理機を提供する。
【解決手段】複数の係員を代表して操作する権限を有することを示す係員識別情報をカードからカードリーダ部14で読取ると、その代表係員の操作を操作表示部11で受け付けたつり銭処理手段171が被代表係員毎に交付する所定のつり銭金額の合計金額に相当する現金の出金処理を行い、被代表係員毎にその所定のつり銭交付金額を記憶部16に記憶させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の営業店等の店舗に設置され、現金の出納処理を行う現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の現金処理機は、金融機関の担当者毎に配布しておいたカードからその担当者を認証するための識別子をカード取扱部で読み取り、読取った識別子と操作部から入力されたパスワードを照合して本人認証が行なわれた担当者の操作を受け付けてつり銭の交付等の出金処理、および預金や保険金の受領等を終了したその担当者に交付されたつり銭の返納や受領金の収納等の入金処理を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−213468号公報(段落「0019」〜段落「0022」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、それぞれの担当者が現金処理機を操作してつり銭の交付である出金処理を行う必要があり、また交付を受けたつり銭と受領金とを仕分けて入金処理する必要があるため、担当者に作業の負担がかかるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのため、本発明は、カードに記録された係員を識別する係員識別情報をカードリーダ部で読取り、認証された係員の操作を許可して現金の入金処理および出金処理を行う現金処理機において、複数の係員を代表して操作する権限を有することを示す係員識別情報をカードからカードリーダ部で読取ると、その代表係員の操作を受け付けて、係員毎に交付する所定のつり銭金額の合計金額に相当する現金の出金処理を行うつり銭処理手段と、前記つり銭処理手段が、係員毎に前記所定のつり銭交付金額を記憶させる記憶部とを設けたことを特徴とする。
【0005】
また、前記つり銭処理手段が、係員識別情報をカードからカードリーダ部で読取ると、その係員の操作を受け付けて、該係員の操作により現金の入金処理を行い、その入金処理で受け付けた金額のうち、前記記憶部に記憶された該係員のつり銭交付金額を超えた額を該係員の受入金額として前記記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、担当者の作業負担を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による現金処理機の実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例における現金処理機の構成を示すブロック図である。
図1において、1は現金処理機であり、銀行や郵便局等の金融機関の営業店等に設置され、金融機関の出納担当者や出納責任者等の操作により、出納担当者につり銭を配布するためのつり銭の準備、およびつり銭交付、出納担当者が顧客から受領した受入金の収納、ならびに配布されたつり銭の返納する受入金・つり銭返納の処理等を行うものである。
【0009】
ここで、出納担当者とは現金処理機1でつり銭の交付を受け、渉外活動を行い顧客から受領した受入金や交付されたつり銭を現金処理機1に収納させる者であり、出納責任者とは出納担当者が現金処理機1で行うつり銭の交付、受入金の収納や交付されたつり銭の返納を管理し、また出納担当者が行う現金処理機1の操作を代表して行う権限を有する者である。なお、出納責任者を「代表係員」、出納担当者を「被代表係員」、出納担当者および出納責任者を単に「係員」という。
【0010】
この現金処理機1は通信回線2を介してパーソナルコンピュータ等の他の装置と通信可能に接続されている。
11は操作表示部であり、液晶ディスプレイ等の表示画面とその表示画面上に配置されたタッチパネル等で構成され、営業店の係員が行なう業務選択画面や各種情報の入力を行う入力画面や計数した現金の金額等を表示し、また係員の操作を受け付けるものである。
【0011】
12は入力部であり、通常のキーボードや操作の終了を指示する「完了」キー等のキーで構成された係員の操作を受け付けるものである。
13は現金入出金部であり、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨、ならびに1円硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨入出金部、1万円紙幣、5000円紙幣、2000円紙幣、ならびに1000円紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣入出金部、キャッシュコーナ等に設置される現金自動預払機に装着可能な補充回収カセットに現金の補充および補充回収カセットに収納された現金の回収を行う補充回収部、所定の枚数の紙幣を金種毎に束ねて紙帯等で施封した小束として収納するとともにその小束を払い出す小束支払部、および所定の枚数の硬貨を金種毎に積み重ねて棒状にまとめた棒金を収納するとともにその棒金を払い出す棒金支払部等で構成されたものである。
【0012】
ここで、出金処理とは係員の操作により予め決められた枚数の紙幣および硬貨をそれぞれ紙幣入出金機および硬貨入出金機の金庫から繰り出して計数し紙幣入出金口および硬貨入出金口に搬送して係員に払い出すことである。また、入金処理とは係員により紙幣入出金口に投入された紙幣を紙幣入出金機で計数して金庫に収納し、硬貨入出金口に投入された硬貨を硬貨入出金機で計数して金庫に収納することである。
【0013】
なお、この現金入出金部13は、補充回収部、小束支払部、または棒金支払部を備えない構成としてもよい。
14はカードリーダ部であり、カード読取り機構を備えたものである。このカードリーダ部14は、係員の操作により係員カード141やとりまとめカード142等のカードの磁気ストライプやICチップ等に記録された情報を読取る。
【0014】
ここで、係員カード141とは係員が所属する部署や係員を識別するための係員識別情報が記録されたカードであり、とりまとめカード142とは現金処理機1が有するとりまとめ機能の実行の許可を受けるための情報、すなわち複数の係員を代表して現金処理機1を操作することができる権限を有することを示す情報が記録されたカードである。
係員カード141はそれぞれの係員が所持するものであり、とりまとめカード142は代表係員が所持するものである。
【0015】
なお、いずれの部署にも所属しない代表係員が所持する係員カード141に記録された係員識別情報には所属する部署を識別する情報は含まれないものとする。
また、本実施例では係員カード141、およびとりまとめカード142の2枚のカードを使用したものとして説明するが、とりまとめカード142は、係員カード141に記録される情報も含ませて1枚のカードとするようにしてもよい。
【0016】
15はレシートプリンタ部であり、レシート(明細票)に文字等を印刷する印刷機構を備えたものである。このレシートプリンタ部15は現金処理機1で行ったつり銭準備、つり銭交付、受入金・つり銭返納等の処理の結果をレシートに印刷する。
16は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読取ることができるものである。この記憶部16には自動取引装置1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)、操作表示部11に表示する画面データ、およびつり銭交付金額、つり銭返納金額、および受入れ金額等のカウンタ等を記憶する。
【0017】
17は制御部であり、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段、ならびに制御手段、および処理手段等で構成されたものである。この制御部17は、係員の操作を受け付けて、係員につり銭を配布するためのつり銭の準備処理、つり銭交付処理、係員が顧客から受領した受入れ金の収納および配布されたつり銭の返納する受入金・つり銭返納処理を行うつり銭処理手段171等を備えている。
【0018】
また、制御部17は操作表示部11、入力部12、現金入出金部13、カードリーダ部14、レシートプリンタ部15、記憶部16、および図示しない通信部を含めて現金処理機1全体の動作を記憶部16に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
なお、通信部は通信回線2を介して接続された他の装置と相互にする通信を制御する手段であって、任意の情報を送信および受信することができるものである。
【0019】
このように現金処理機1は操作表示部11、入力部12、現金入出金部13、カードリーダ部14、レシートプリンタ部15、記憶部16、および制御部17等で構成されたものである。
次に、記憶部16に記憶されるカウンタを図2の実施例におけるカウンタの説明図に基づいて説明する。
【0020】
図2において、21は係員識別情報であり、金融機関の各部署に所属するそれぞれの係員を識別するためのものである。なお、この係員識別情報21は係員カード142に記録された係員識別情報と同一なものとする。
22はつり銭交付金額であり、係員識別情報21で識別される係員に現金処理機1が交付したつり銭の金額を記憶するものである。
【0021】
23はつり銭返納金額であり、係員識別情報21で識別される係員に交付したつり銭のうち現金処理機1に返納された金額を記憶するものである。
24は受入金額であり、係員識別情報21で識別される係員が顧客から受領した貯金や保険金等の現金を現金処理機1が受入れた金額を記憶するものである。
このようにカウンタ20は係員識別情報21、つり銭交付金額22、つり銭返納金額23、および受入金額24で構成され、係員識別情報21に関連付けてつり銭交付金額22、つり銭返納金額23、および受入金額24が記憶部16に記憶されるものである。

上述した構成の作用について説明する。
【0022】
まず、係員の操作により現金処理機1で行われるつり銭準備処理を説明する。
図3は実施例におけるつり銭準備処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、以下に説明する各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
【0023】
現金処理機1の制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「係員カードを読取らせてください」等の文言で構成され、係員の操作を待機する待機画面を表示するとともに、カードリーダ部14は係員カード141の読み取りを待機しているものとする。
S1a:係員の操作を受け付けて係員カード141の磁気ストライプ等をカードリーダ部14が読取り係員の認証を行うと制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は各業務を選択することができるメインメニュー画面を表示する。このメインメニュー画面は複数の係員をまとめてつり銭の準備業務やつり銭交付業務等の処理を行うとりまとめ業務を選択することができる「とりまとめメニュー」ボタン等で構成されるものである。
【0024】
S2a:代表係員はとりまとめ業務を選択するため、その「とりまとめメニュー」ボタンを押下するものとする。
S3a:「とりまとめメニュー」ボタンの押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「とりまとめカードを読取らせてください」等の文言で構成された待機画面を表示するとともに、カードリーダ部14はとりまとめカード142の読み取りを待機する。
【0025】
代表係員の操作を受け付けてとりまとめカード142の磁気ストライプ等をカードリーダ部14が読取り代表係員の認証を行うと制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11はとりまとめ業務を選択することができる図5に示すとりまとめメニュー画面50を表示する。このとりまとめメニュー画面50は、つり銭準備業務を選択するための「つり銭準備」ボタン51、つり銭交付業務を選択するための「つり銭交付」ボタン52、つり銭とりまとめ返納業務を選択するための「つり銭とりまとめ返納」ボタン53等で構成されたものである。
【0026】
S4a:代表係員によりその「つり銭準備」ボタン51が押下されるものとする。
S5a:「つり銭準備」ボタン51の押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は図7に示す出金方法選択画面70を表示する。この出金方法選択画面70は係員に交付するつり銭を一括して出金処理することを選択する「一括支払」ボタン71、係員に交付するつり銭を係員毎に分割して出金処理することを選択する「分割支払」ボタン72、およびつり銭を交付する係員の人数を入力する領域73、係員毎に交付するつり銭の金額である「パターン金額」、交付するすべてのつり銭の金額である「合計金額」等で構成されたものである。
【0027】
代表係員の操作により「一括支払」ボタン71、または「分割支払」ボタン72の押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171は押下された出金方法を記憶部16に記憶させる。
なお、本実施例では「つり銭準備」ボタンの押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は出金方法選択画面を表示するようにして説明したが、S1aにおいて読取る係員カード141にいずれの部署にも所属しない代表係員であることが記録されている場合、図6に示す所属選択画面を表示するようにしてつり銭を交付する部署を選択させるものとする。
【0028】
S6a:押下された出金方法を記憶部16に記憶させると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11はつり銭を交付する係員の人数の入力を受け付ける。代表係員は入力部12からその人数を入力するものとする。
係員の人数の入力を受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「合計金額」を表示するとともに入力部12は完了キーの押下を待機する。ここで、例えば「パターン金額 10、010」である場合、係員の人数を「6」と入力すると操作表示部11は合計金額を「60、060」として表示する。
【0029】
S7a:完了キーの押下を検知すると制御部17のつり銭処理手段171の指示により現金入出金部13は係員に交付するつり銭の出金処理を行う。
つり銭処理手段171はS5aにおいて記憶部16に記憶させた出金方法を読み出し、その出金方法にしたがった出金処理、すなわち一括支払、または分割支払を行う指示を現金入出金部13へ通知する。例えば合計金額が60、060であるとき現金入出金部13が一括支払を行う指示を受けた場合、1万円券6枚、および1円硬貨60枚を一括して出金するものとし、分割支払を行う指示を受けた場合、1万円券1枚、および1円硬貨10枚を出金する動作を6回繰り返すものとする。
【0030】
S8a:現金入出金部13が出金処理を終了すると制御部17のつり銭処理手段171は出金処理の内容をレシートに印刷する指示をレシートプリンタ部15へ通知する。通知を受けたレシートプリンタ部15はつり銭準備の内容をレシートに印刷する。
このレシートには、例えば図8に示すように日付、現金処理機1を操作した代表係員の氏名、1人当たりの支払い内訳、内訳合計、支払合計、対象人数、つり銭準備額、つり銭準備残高等を印刷するものとする。
【0031】
S9a:代表係員は出金されたつり銭、および印刷されたレシートを受取り、つり銭準備処理を終了する。

次に、係員の操作により現金処理機1で行われるつり銭交付処理を説明する。
図4は実施例におけるつり銭交付処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0032】
現金処理機1の制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「係員カードを読取らせてください」等の文言で構成され、係員の操作を待機する待機画面を表示するとともに、カードリーダ部14は係員カード141の読み取りを待機しているものとする。
係員の操作を受け付けて係員カード141の磁気ストライプ等をカードリーダ部14が読取り係員の認証を行うと制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は各業務を選択することができるメインメニュー画面を表示する。このメインメニュー画面は複数の係員をまとめてつり銭の準備業務やつり銭交付業務等の処理を行うとりまとめ業務を選択することができる「とりまとめメニュー」ボタン等で構成されるものである。
【0033】
代表係員はとりまとめ業務を選択するため、その「とりまとめメニュー」ボタンを押下するものとする。
S1b:「とりまとめメニュー」ボタンの押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「とりまとめカードを読取らせてください」等の文言で構成された待機画面を表示するとともに、カードリーダ部14はとりまとめカード142の読み取りを待機する。
【0034】
代表係員の操作を受け付けてとりまとめカード142の磁気ストライプ等をカードリーダ部14が読取り代表係員の認証を行うと制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11はとりまとめ業務を選択することができる図5に示すとりまとめメニュー画面50を表示する。このとりまとめメニュー画面50は、つり銭準備業務を選択するための「つり銭準備」ボタン51、つり銭交付業務を選択するための「つり銭交付」ボタン52、つり銭とりまとめ返納業務を選択するための「つり銭とりまとめ返納」ボタン53等で構成されたものである。
【0035】
S2b:代表係員により「つり銭交付」ボタン52が押下されるものとする。
S3b:「つり銭交付」ボタン52の押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は図10に示すつり銭交付画面100を表示する。このつり銭交付画面100はつり銭を交付する係員を指定する「オペレータ指定」ボタン101、つり銭準備処理でつり銭を出金処理した金額を示すつり銭準備額、既に係員に交付したつり銭の金額を示すつり銭交付額、および出金処理されたつり銭のうち未だ係員に交付されていない金額を示すつり銭準備残高等で構成されたものである。
【0036】
例えば、図10に示すように「オペレータ指定」ボタン101、「つり銭準備額 6人 60、060円」、「つり銭交付額 4人 40、040円」、「つり銭準備残高 2人 20、020円」等を表示するものとする。
代表係員の操作により銭交付画面100の「オペレータ指定」ボタン101の押下を操作表示部11が受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は係員の氏名、およびその係員を選択することができる選択ボタン等で構成された係員選択画面を表示し、代表係員の操作によるその選択ボタンの押下を受け付ける。
【0037】
なお、本実施例では「つり銭交付」ボタン52の押下を操作表示部11で受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は図10に示すつり銭交付画面100を表示するようにして説明したが、読取る係員カード141にいずれの部署にも所属しない代表係員であることが記録されている場合、図9に示す所属選択画面を表示するようにしてつり銭を交付する部署を選択させるものとする。
【0038】
選択ボタンの押下を受け付けると制御部17のつり銭処理手段171は選択された係員を識別するための係員識別情報を記憶部16に記憶させるとともに、制御部17のつり銭処理手段171の指示により入力部12は完了キーの押下を待機する。なお、この係員識別情報は係員カード142に記録された係員識別情報と同一なものとする。
S4b:完了キーの押下を検知すると制御部17のつり銭処理手段171は記憶部16に記憶されたカウンタ20の登算処理を行う。
【0039】
このカウンタ20の登算処理は、S3bにおいて記憶部16に記憶された係員識別情報に基づいてカウンタ20の係員識別情報21を検索し、その係員識別情報21に関連付けられたつり銭交付金額22にその係員に交付するつり銭金額を記憶させる処理、すなわち選択された係員毎に交付したつり銭の金額を記憶部16に記憶させる処理である。例えば、つり銭交付金額22にその係員に交付するつり銭金額である10、010円を記憶させる。
【0040】
S5b:カウンタ20の登算処理を行うと制御部17のつり銭処理手段171は指示によりつり銭交付処理の内容をレシートに印刷する指示をレシートプリンタ部15へ通知する。通知を受けたレシートプリンタ部15はつり銭交付処理の内容をレシートに印刷する。
このレシートには、例えば図11に示すように日付、現金処理機1を操作した代表係員の氏名、つり銭を受領する係員の氏名、係員毎に交付するつり銭の金額であるつり銭交付金額、交付人数、交付するつり銭の合計額であるつり銭交付額、未交付のつり銭の合計額であるつり銭準備残高等を印刷するものとする。
【0041】
S6b:代表係員は印刷されたレシートを受取り、つり銭交付処理を終了する。
上述したように現金処理機1でつり銭準備処理、およびつり銭交付処理を行い係員へのつり銭の交付を終了する。

次に、渉外先から戻った係員の操作により現金処理機1で行われる受入金・つり銭返納処理を説明する。
【0042】
図12は実施例における受入金・つり銭返納処理を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
現金処理機1の制御部17のつり銭処理手段171の指示により、操作表示部11は「係員カードを読取らせてください」等の文言で構成され、係員の操作を待機する待機画面を表示するとともに、カードリーダ部14は係員カード141の読み取りを待機しているものとする。
【0043】
S1c:係員の操作を受け付けて係員カード141の磁気ストライプ等をカードリーダ部14が読取り係員の認証を行うと制御部17のつり銭処理手段171は読取った係員を識別するための係員識別情報を記憶部16に記憶させるとともに制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は各業務を選択することができるメインメニュー画面を表示する。このメインメニュー画面は上述した「とりまとめメニュー」ボタンの他に係員が顧客等から受領した受入金を収納、および係員毎に交付されたつり銭の返納を行う「受入金・つり銭返納」ボタン等で構成されるものである。
【0044】
S2c:係員は顧客等から受領した受入金を収納、および係員毎に交付されたつり銭の返納を行うため、「受入金・つり銭返納」ボタンを押下(選択)するものとする。
S3c:「受入金・つり銭返納」ボタンの押下を操作表示部11が受け付けると制御部17のつり銭処理手段171の指示により、現金入出金部13は紙幣入出金口および硬貨入出金口に現金が投入されることを待機する。
【0045】
係員の操作により紙幣入出金口および硬貨入出金口に現金が投入されたことを検知した現金入出金部13は、その現金を計数し、金庫に収納する入金処理を行う。
S4c:入金処理が終了すると制御部17のつり銭処理手段171の指示により操作表示部11は図13に示す受入金・つり銭返納画面130を表示する。この受入金・つり銭返納画面130は交付されたつり銭のうち返納する金額を示す「つり銭返納額」、顧客から受領した受入金の金額を示す「受入金額」、現金入出金部13で計数された金額を示す「現金(機械)」、係員の手作業により計数された金額を示す「現金(手扱)」、その「現金(機械)」と「現金(手扱)」の合計金額を示す「内訳計」、「つり銭返納額」と「受入金額」の合計金額を示す「合計金額」等で構成されるものである。
【0046】
例えば、係員へのつり銭交付金額が10、010円である場合、すなわちカウンタ20のつり銭交付金額22に10、010円が記憶されている場合、20、010円の現金が入金処理されると「つり銭返納額」にはつり銭交付金額と同額である10、010円、「受入金額」にはつり銭交付金額を超えた金額、すなわち入金処理された現金の金額からつり銭返納額を減算した10、000円、「合計金額」には20、010円が表示される。また、「現金(機械)」には現金入出金部13で計数された金額である20、010円が表示される。
【0047】
なお、「現金(手扱)」は現金入出金部13の入金処理で金種を鑑別することができなかった現金等を係員の手作業により計数した金額を表示するものとする。係員が手作業により現金を計数した場合、図14に示すように計数した金種の現金の枚数を入力するとともに、その計数した現金は係員の操作により現金入出金部13の金庫や図示しない収納庫に投入されるものとする。
【0048】
S5c:また、制御部17のつり銭処理手段171は記憶部16に記憶されたカウンタ20の登算処理を行う。
このカウンタ20の登算処理は、S1cにおいて記憶部16に記憶された係員識別情報に基づいてカウンタ20の係員識別情報21を検索し、抽出された係員識別情報21に関連付けられたつり銭返納金額23にS4cで算出した「つり銭返納額」を記憶させる処理、および受入金額24にS4cで算出した「受入金額」を記憶させる処理である。
【0049】
S6c:カウンタ20の登算処理を行うと制御部17のつり銭処理手段171は指示により受入金・つり銭返納処理の内容をレシートに印刷する指示をレシートプリンタ部15へ通知する。通知を受けたレシートプリンタ部15は受入金・つり銭返納処理の内容をレシートに印刷する。
このレシートには、例えば図15に示すように日付、現金処理機1を操作した係員の氏名、収納内訳、収納合計、つり銭返納額、受入金額等を印刷するものとする。
【0050】
S7c:係員は印刷されたレシートを受取り、受入金・つり銭返納処理を終了する。
なお、本実施例では係員が操作して行う受入金・つり銭返納処理を説明したが、代表係員の操作により受入金・つり銭返納処理を行うようにしてもよい。この場合、代表係員の操作により受入金、およびつり銭返納の金額を入力するものとする。
以上説明したように、本実施例では、それぞれの係員に交付するつり銭をとりまとめて処理するようにしたことにより、それぞれの係員は現金処理機を操作してつり銭の交付処理を行う必要がなくなり、また受入金とつり銭の返納をまとめて処理するようにしたことにより、係員が交付を受けたつり銭と受入金とを仕分けて入金処理する必要がなくなり、係員の作業負担を軽減することができるとともに現金の違算を防止することができるという効果が得られる。
【0051】
また、係員毎につり銭交付金額、つり銭返納金額、および受入金額をカウンタとして記憶部に記憶させるようにしたことにより、現金の管理を容易にし、安全性を確保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例における現金処理機の構成を示すブロック図
【図2】実施例におけるカウンタの説明図
【図3】実施例におけるつり銭準備処理を示すフローチャート
【図4】実施例におけるつり銭交付処理を示すフローチャート
【図5】実施例におけるとりまとめメニュー画面の説明図
【図6】実施例における所属選択画面の説明図
【図7】実施例における出金方法選択画面の説明図
【図8】実施例におけるつり銭準備処理の結果を印刷したレシートの説明図
【図9】実施例における所属選択画面の説明図
【図10】実施例におけるつり銭交付画面の説明図
【図11】実施例におけるつり銭交付処理の結果を印刷したレシートの説明図
【図12】実施例における受入金・つり銭返納処理を示すフローチャート
【図13】実施例における受入金・つり銭返納画面の説明図
【図14】実施例における手許入金金額入力画面の説明図
【図15】実施例における受入金・つり銭返納処理の結果を印刷したレシートの説明図
【符号の説明】
【0053】
1 現金処理機
2 通信回線
11 操作表示部
12 入力部
13 現金入出金部
14 カードリーダ部
141 オペレータカード
142 とりまとめカード
15 レシートプリンタ部
16 記憶部
17 制御部
171 つり銭処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録された係員を識別する係員識別情報をカードリーダ部で読取り、認証された係員の操作を許可して現金の入金処理および出金処理を行う現金処理機において、
複数の係員を代表して操作する権限を有することを示す係員識別情報をカードからカードリーダ部で読取ると、その代表係員の操作を受け付けて、係員毎に交付する所定のつり銭金額の合計金額に相当する現金の出金処理を行うつり銭処理手段と、
前記つり銭処理手段が、係員毎に前記所定のつり銭交付金額を記憶させる記憶部とを設けたことを特徴とする現金処理機。
【請求項2】
請求項1の現金処理機において、
前記つり銭処理手段が、係員識別情報をカードからカードリーダ部で読取ると、その係員の操作を受け付けて、該係員の操作により現金の入金処理を行い、その入金処理で受け付けた金額のうち、前記記憶部に記憶された該係員のつり銭交付金額を超えた額を該係員の受入金額として前記記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする現金処理機。
【請求項3】
カードに記録された係員を識別する係員識別情報をカードリーダ部で読取り、認証された係員の操作を許可して現金の入金処理および出金処理を行う現金処理機において、
係員毎に交付したつり銭の金額を示すつり銭交付金額を予め記憶する記憶部と、
係員の操作により行う現金の入金処理で受け付けた金額のうち、前記記憶部に予め記憶された該係員のつり銭交付金額を超えた額を該係員の受入金額として前記記憶部に記憶させるつり銭処理手段とを設けたことを特徴とする現金処理機。
【請求項4】
請求項2または請求項3の現金処理機において、
前記つり銭処理手段が、前記係員の操作により現金の入金処理を行い、その入金処理で受け付けた金額のうち、前記記憶部に記憶された該係員のつり銭交付金額を超えない額をつり銭返納金額として前記記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする現金処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−21261(P2008−21261A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194790(P2006−194790)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】