説明

現金管理サーバ、現金管理サーバの現金管理方法、現金自動預払装置及び現金自動預払装置の現金管理方法

【課題】本発明は、カセットの交換時期の間隔を長く設定し、且つ、現金の不整合を管理することのできる現金管理サーバ、現金管理サーバの現金管理方法、現金自動預払装置及び現金自動預払装置の現金管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】現金自動預払装置が有する複数のカセットに収納された現金を管理する現金管理サーバ4であって、カセット交換に伴って現金自動預払装置2から取り外されるカセット毎の現金額と、カセット交換に伴って現金自動預払装置2から取り外されるカセット内の現金をカセット毎に計数した計数額と、現金自動預払装置の入出金情報から算出される現金自動預払装置内の算出額を現金理論額として記憶する記憶部41と、カセット交換に伴って現金自動預払装置に取り付けられる複数のカセットにおける現金額の総額と計数額の総額とを算出し、算出した現金額の総額と、算出した計数額の総額と、現金理論額とを照合する制御部42と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金管理サーバ、現金管理サーバの現金管理方法、現金自動預払装置及び現金自動預払装置の現金管理方法に関し、特に、現金自動預払装置(ATM:Automatic teller machine)に収納されている現金カセットを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、簡便性の観点から、現金自動預払装置が普及している。現金自動預払装置には、現金(紙幣及び/又は硬貨)の種類毎に収納可能な現金カセット(以下、カセットという。)が内部に複数備えられている。現金自動預払装置を管理する管理者が、定期的にカセットの交換を行うことで、現金自動預払装置内に収納する現金総額を調整している。カセットの交換を行う際、管理者は、現金自動預払装置の記憶部から、交換する直前の現金総額を読み出し、該現金総額をレシートに印刷し、回収したカセットと一緒に持ち帰る。
【0003】
管理センタに運ばれたカセットの現金総額は、現金計算機で計数され、管理センタのコンピュータによって、この現金計数額と、レシートに印刷された現金総額とが照合される。そして、この照合結果を、管理者が金融機関に報告している。
【0004】
例えば、特許文献1には、カセット交換の時期よりも早い時期に、実際の現金の入出金を示す増減値と、ATMで管理する現金の入出金を示す増減理論値とを照合し、不一致の照合結果を現金不整合情報として生成するATM現金不整合管理システムが開示されている。特許文献1によれば、生成した現金不整合情報を利用することで、カセット交換時期よりも早い早期に照合結果が不一致だった場合の原因を発見している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−357435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、現金の不整合を発見できる回数は増えるものの、違算の回避や管理のし易さの観点から、現金自動預払装置が有する全てのカセットを交換しなければならない。このため、カセット交換に際して、管理者は、現金を装填した新しいカセットを予め多く用意する必要がある。このように、カセットの交換個数が多ければ多いほど、交換時に要する現金を予め金融機関で多めに保有していなければならず、カセットの交換に伴う諸費用(運搬費、人件費、維持費等の費用)が嵩んでしまっていた。
【0007】
また、カセットの交換を行う間隔は、最長でも数ヶ月と短く、管理者は頻繁にカセット交換を行わなければならなかった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、カセットの交換時期の間隔を長く設定し、且つ、現金の不整合を管理することのできる現金管理サーバ、現金管理サーバの現金管理方法、現金自動預払装置及び、現金自動預払装置の現金管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明において、現金管理サーバの一態様は、現金自動預払装置が有する複数のカセットに収納される現金を管理する現金管理サーバであって、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外されるカセット毎の現金額と、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外されるカセット内の現金をカセット毎に計数した計数額と、現金自動預払装置の入出金情報から算出される現金自動預払装置内の算出額を現金理論額として記憶する記憶部と、カセット交換に伴って現金自動預払装置に取り付けられる複数のカセットにおける現金額の総額と計数額の総額とを算出し、算出した現金額の総額と、算出した計数額の総額と、現金理論額とを照合する制御部と、を有する。
【0010】
また、現金自動預払装置は、複数設けられ、記憶部は、回収対象のカセットを有する所定の現金自動預払装置と、所定の現金自動預払装置から回収されたカセットを利用して現金取引を行う他の現金自動預払装置と、を対応付ける対応情報を記憶し、制御部は、対応情報に基づいて、対応付けられた現金自動預払装置毎の現金額の総額と、計数額の総額と、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金理論合計額とを算出し、算出した現金額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金合計額を算出し、算出した計数額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の計数合計額を算出し、算出した現金合計額と、算出した計数合計額と、算出した現金理論合計額とを照合する。
【0011】
また、記憶部は、カセット内の現金違算を検出するイベント毎にイベント情報を記憶し、制御部は、照合が不一致であると判断した場合に、イベント情報に基づいて、不一致の理由を示す不一致情報を抽出する。
【0012】
さらに、現金自動預払装置は、現金管理サーバと通信可能に接続されており、制御部は、現金自動預払装置が、該装置に設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額と、カセットに設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出された現金額とを、現金自動預払装置から受信し、受信したそれぞれの現金額を照合することが好ましい。
【0013】
また、本発明において、現金管理サーバにおける現金管理方法の一態様は、現金自動預払装置が有する複数のカセットに収納される現金を管理する現金管理サーバの現金管理方法であって、サーバは、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外されるカセット毎の現金額と、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外されるカセット内の現金をカセット毎に計数した計数額と、現金自動預払装置の入出金情報から算出される現金自動預払装置内の算出額を現金理論額として記憶するステップと、カセット交換に伴って現金自動預払装置に取り付けられる複数のカセットにおける現金額の総額と計数額の総額とを算出し、算出した現金額の総額と、算出した計数額の総額と、現金理論額とを照合するステップと、を実行する。
【0014】
また、現金管理サーバは、複数設けられる現金自動預払装置のうち、回収予定のカセットを有する所定の現金自動預払装置と、所定の現金自動預払装置から回収されたカセットを利用して現金取引を行う他の現金自動預払装置と、を対応付ける対応情報を記憶するステップと、対応情報に基づいて、対応付けられた現金自動預払装置毎の現金額の総額と、計数額の総額と、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金理論合計額とを算出するステップと、算出した現金額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金合計額を算出するステップと、算出した計数額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の計数合計額を算出するステップと、算出した現金合計額と、算出した計数合計額と、算出した現金理論合計額とを照合するステップと、を実行する。
【0015】
さらに、現金管理サーバは、カセット内の現金違算を検出するイベント毎にイベント情報を記憶するステップと、照合が不一致であると判断した場合に、イベント情報に基づいて、不一致の理由を示す不一致情報を抽出するステップと、を実行することが好ましい。
【0016】
また、現金管理サーバは、現金自動預払装置が、該装置に設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額と、前記カセットに設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額とを、現金管理サーバと通信可能に接続されている現金自動預払装置から受信するステップと、受信したそれぞれの現金額を照合するステップと、を実行する。
【0017】
本発明において、現金自動預払装置の一態様は、現金が収納されるカセットを複数有し、且つ、現金を管理する現金管理サーバと通信可能に接続される現金自動預払装置であって、カセット内の現金量を調整するATM制御部を備え、ATM制御部は、外部から指定される、移動対象の現金が収納されている移動元カセットと、移動元カセットから移動される現金を収納する移動先カセットとの情報に基づき、移動元カセットに収納されている現金を、移動先カセットに移動し、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外される移動元カセット及び/又は移動先カセットの現金額を現金管理サーバに送信する。
【0018】
また、現金自動預払装置における現金管理方法の一態様は、現金が収納されるカセットを複数有し、且つ、現金を管理する現金管理サーバと通信可能に接続される現金自動預払装置の現金管理方法であって、現金自動預払装置は、外部から指定される、移動対象の現金が収納されている移動元カセットと、移動元カセットから移動される現金を収納する移動先カセットとの情報を受け付けるステップと、受け付けた情報に基づいて、移動元のカセットに収納されている現金を、移動先カセットに移動するステップと、カセット交換に伴って現金自動預払装置から取り外される移動元カセット及び/又は移動先カセットの現金額を現金管理サーバに送信するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、個別のカセット交換を可能にした。個別のカセット交換に伴い、現金管理サーバが、個別に回収されたカセット内の現金額に関するデータを管理することで、カセット内の現金額の不整合を回避できるとともに、各カセットに収納されている現金量を個別に調整することができる。これにより、全てのカセットを交換する時期の間隔を従来に比して長く設定することができる。
【0020】
また、本発明によれば、現金管理サーバは、カセット交換が行われる度に、カセット内の現金額に関するデータを管理するだけでなく、全てのカセットを交換した際に該データを利用して、カセット内の現金額を照合するので、カセットの現金額の不整合が生じた場合であっても、不整合の原因を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による現金管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】現金自動預払装置の外観斜視図である。
【図3】現金自動預払装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】カウンタテーブルの一例を示す表である。
【図5】現金管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
【図6A】照合テーブルを構成するAデータテーブルの一例を示す表である。
【図6B】照合テーブルを構成するBデータテーブルの一例を示す表である。
【図6C】照合テーブルを構成するCデータテーブルの一例を示す表である。
【図7】調査テーブルの一例を示す表である。
【図8】所定のカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図9】所定のカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図10】管理画面の一例を示す模式図である。
【図11】管理画面の一例を示す模式図である。
【図12】管理画面の一例を示す模式図である。
【図13】管理画面の一例を示す模式図である。
【図14】レシート形式でステータス情報が出力された場合のイメージ図である。
【図15】全てのカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図16】照合の一例を示すイメージ図である。
【図17】全てのカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図18】第2実施形態において、現金自動預払装置の利用関係を示す模式図である。
【図19】利用テーブルの一例を示す表である。
【図20】第2実施形態において、所定のカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図21】第2実施形態において、所定のカセットを交換する際の、現金管理システムが実行するシーケンスの一例である。
【図22】第2実施形態において、レシート形式でステータス情報が出力された場合のイメージ図である。
【図23】第2実施形態における照合の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0023】
1.第1実施形態
(1)現金管理システムの構成
図1は、本発明の一実施形態に係る現金管理システムの概略を示すブロック図である。同図に示すように、現金管理システム1は、複数の現金自動預払装置(ATM)2、計数管理センタサーバ3、及び現金管理センタサーバ4が、通信ネットワーク5を介して通信可能に構成されている。
【0024】
現金自動預払装置2は、銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストア等の店舗、駅構内等に設置され、現金の預け入れや引き出し、振り込み等のATM取引を利用者に提供する装置である。現金自動預払装置2は、ATM取引の提供に伴って変動する各カセット内の現金額と、カセットIDとを、現金情報として記憶装置21に記憶する。現金自動預払装置2は、所定のタイミングで、この現金情報を現金管理センタサーバ4に送信する。なお、記憶装置21は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の記憶媒体を用いて実現することができる。
【0025】
各カセットの現金情報には、第1カウンタ部26(図3参照)が検知したカウンタ値によって各カセット内の現金額を示す現金情報と、第2カウンタ部27(図3参照)が検知したカウンタ値によって各カセット内の現金額を示す現金情報と、が含まれている。第1カウンタ部及び第2カウンタ部の詳細な説明は後述する。
【0026】
計数管理センタサーバ3は、現金自動預払装置2の現金管理を委託された警備会社等において、回収されたカセットの現金を計数した情報を管理するコンピュータである。具体的には、計数管理センタサーバ3は、現金計算機で計数した計数額とカセットIDとを管理するコンピュータである。計数額とカセットIDは、計数情報として計数管理センタデータベース31に記憶される。計数管理センタサーバ3は、所定のタイミングで、計数情報を現金管理センタサーバ4に送信する。
【0027】
現金管理センタサーバ(現金管理サーバ)4は、現金管理システム1における現金自動預払装置2の入出金情報を管理するコンピュータであり、現金管理センタサーバ4の動作を統括的に制御する制御部及び現金管理センタデータベース(記憶部)41を含んで構成されている。現金管理センタサーバ4の詳細は後述する。
【0028】
通信ネットワーク5は、複数の現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4との間で、ATM取引に関する情報を伝送する。具体的には、通信ネットワーク5は、複数の現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4との間で、現金自動預払装置2に対する所定の命令を伝送し、現金自動預払装置2でカウントされた現金情報、現金自動預払装置2の入出金情報及び計数管理センタサーバ3で計数された現金情報を伝送する。
【0029】
なお、各現金自動預払装置2は、同一銀行に属する必要はなく、また、同一銀行が保守・運用・管理する装置でなくてもよい。また、計数管理センタサーバ3、及び現金管理センタサーバ4は、これらの役割を担う1台のコンピュータであってもよい。
【0030】
(2)現金自動預払装置の構成
(2−1)外観構成
図2は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払装置2を示す斜視図であり、内部の機構が見えるように扉209が開いた状態で示している。同図に示すように、現金自動預払装置2は、例えば、筐体20の正面に形成されたタッチパネルディスプレイ201、テンキー202、インターフォン203、カード受付機構204、明細票印字機構205、現金出入機構206、制御機構207、及び現金収納機構208を備える。
【0031】
タッチパネルディスプレイ201は、ガイダンスや必要な情報を表示する画面を有し、当該画面に表示された内容に応じて、利用者や警備員のタッチ操作による入力を受け付けるタッチセンサーを有する。テンキー202は、利用者によって操作される複数のボタンからなり、タッチパネルディスプレイ201に代えて、又は補助入力手段として用いられる。
【0032】
インターフォン203は、利用者や警備員が、店舗内やコールセンタ内のオペレータと直通通話をするための受話器を含んで構成される。
【0033】
カード受付機構204は、カード挿入口を含んで構成される。カード受付機構204は、タッチパネルディスプレイ201に表示されたガイダンスに従って、利用者が差し込んだカードを受け付けるとともに、ATM取引の提供後、カードを排出して利用者に返却する。
【0034】
明細票印字機構205は、明細票排出口を含んで構成される。明細票印字機構205は、ATM取引の提供後、利用者の入出金情報が印字された明細票を排出口から排出する。また、明細票印字機構205は、カセット交換の際に、現金管理センタサーバ4から送信されるカセット211のステータス情報をレシート形式で排出する。
【0035】
現金出入機構206は、筐体20の正面に形成された開口部2061に対応する位置に設けられている。現金出入機構206は、現金の出し入れに応じて開閉する開閉蓋を備えた出入口2062、及び出入口2062の近傍に設けられた現金額をカウントするためのカウンタ(図示せず)を含む。現金出入機構206は、利用者によって投入される紙幣等の現金を受け入れ、また、利用者に払い出す現金を返却する。
【0036】
制御装置207は、現金自動預払装置2の動作を統括的に制御する回路基盤を含む。これにより、制御装置207は、現金出入機構206を介して現金自動預払装置2に対する現金の出し入れを制御し、また、現金収納機構208を介してカセット211に対する現金の出し入れを制御することができる。
【0037】
現金収納機構208は、例えば、筐体20内の下部に設けられる。同図では、現金収納機構208が筐体20から引き出された状態が示されている。現金収納機構208は、例えば、現金を種類毎に収納する複数のカセット211、現金の出し入れが行われる出入口212、カセット211を収納する収納ボックス213、及び出入口212の近傍に設けられた現金額をカウントするためのカウンタ(図示せず)を含む。複数のカセット211のそれぞれは、例えば、ICのような記憶媒体を有し、そこに個々のカセット211を一意に識別するための識別番号(カセットID)を記憶している。カセットIDは、現金自動預払装置2の識別番号(ATM ID)とともに現金管理センタサーバ4で管理されている。
【0038】
(2−2)機能構成
図3は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払装置2の機能的要素を示すブロック図である。即ち、同図は、機能的な観点で抽出される現金自動預払装置2の要素間の関係を示すものである。いくつかの機能的要素は、個々に又は他と相まって、図2で示した現金自動預払装置2の部材と関連付けることができる。
【0039】
即ち、同図に示すように、現金自動預払装置2は、例えば、制御装置207の機能的要素を示すATM制御部22、ユーザインターフェース(UI)部23、カード受付部24、印刷票出力部25、第1カウンタ部26、第2カウンタ部27、及び通話部28を含む。
【0040】
ATM制御部22は、現金自動預払装置2の動作を統括的に制御する。例えば、ATM制御部22は、プロセッサがその役割を担い、記憶装置21に記憶された各種のプログラムを実行し、これにより、制御装置207は所定の機能を実現する。また、ATM制御部22は、カード受付部24、印刷票出力部25、第1カウンタ部26、及び第2カウンタ部27とやり取りを行ってATM取引を遂行する役割、記憶装置21に対して情報の入出力を行ってATM取引を管理する役割、さらには、現金管理センタサーバ4や計数管理センタサーバ3と通信を行う通信インターフェースの役割も担っている。
【0041】
また、ATM制御部22は、第1カウンタ部26で計数した現金に基づき、カセット211内の現金額を計算するとともに、第2カウンタ部27で計数した現金に基づき、カセット211内の現金額を計算する。ATM制御部22は、それぞれの現金額を後述するカウンタテーブル210に登録する。さらに、ATM制御部22は、カセット211内の現金量を調整し、カセット211間において現金の移動を行う。
【0042】
ユーザインターフェース部23は、上述したタッチパネルディスプレイ201及びテンキー202を含んで構成され、利用者に対してインタラクティブ環境を提供する。
【0043】
カード受付部24は、利用者によって差し込まれるカードを受け付ける。カード受付部33はまた、ATM制御部22の制御の下、受け付けたカードを利用者に返却すべく排出する。
【0044】
印刷票出力部25は、ATM制御部22の下、利用者の入出金情報を印刷票に印字する処理を行い、印字した印刷票を排出する。また、印刷票出力部25は、ATM制御部22の下、現金管理センタサーバ4から送信されるカセット交換に関する通知に基づき、所定のカセットに対するステータス情報をレシートに印字する処理を行い、印字したレシートを排出する。
【0045】
第1カウンタ部26は、ATM制御部22の制御の下、利用者との間で紙幣等の現金を受け渡しするための機構を含んで構成される。第1カウンタ部26は、例えば、利用者により現金の入金を受け付けた場合は、入金された現金を鑑別、計数し、ATM制御部22に入金情報を通知し、ATM制御部22の制御の下、入金された現金を第2カウンタ部27に送出する。また、利用者による出金指示を受け付けた場合は、第1カウンタ部26は、ATM制御部22の制御の下、第2カウンタ部27から取り出される現金を計数し、セットする。
【0046】
第2カウンタ部27は、ATM制御部22の制御の下、カセットから現金の出し入れを行うための機構を含んで構成される。第2カウンタ部27は、例えば、利用者により現金の入金を受け付けた場合は、第1カウンタ部26で鑑別、計数し終えた現金を受け付け、現金の種類に応じたカセットに現金を送出する。また、利用者による出金指示を受け付けた場合は、第2カウンタ部27は、ATM制御部22の制御の下、現金の種類に応じたカセットから現金を取り出し、第1カウンタ部26に送出する。
【0047】
通話部28は、インターフォン203を含んで構成され、図示しない専用回線を介して、利用者とコールセンタ内のオペレータとの間の通話機能を提供する。
【0048】
なお、本実施形態では、第1カウンタ部26と第2カウンタ部27とを分けて説明したが、特に制限されず、例えば、現金自動預払装置2に備えた1つのカウンタが、これらの役割を担ってもよい。
【0049】
(2−3)テーブル構成
記憶装置21に保持されるカウンタテーブル210について説明する。
【0050】
カウンタテーブル210は、ATM取引に基づく、各カセット211の現金情報を記憶するテーブルであり、現金自動預払装置2の記憶装置21に保持される。カウンタテーブル210は、第1カウンタ部26が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額と、第2カウンタ部27が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額との違算を検知するために使用される。各カセット211の現金情報には、第1カウンタ部26が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額を含む現金情報(以下、Aデータという。)と、第2カウンタ部27が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額を含む現金情報(以下、A’データという。)と、が含まれている。なお、カウンタテーブル210は、第1カウンタ部26で計数した現金枚数と、第2カウンタ部27で計数した現金枚数とを記憶してもよい。
【0051】
より具体的には、カウンタテーブル210は、例えば、図4に示すように、各カセット211及びこれらカセット211を有する現金自動預払装置2に対応して、各欄が構成されており、Aデータを示す「第1カウンタ部に基づく現金額」欄2101、A’データを示す「第2カウンタ部に基づく現金額」欄2102、AデータとA’データとの不整合枚数を示す「不整合枚数」欄2103、及びAデータとA’データとの不整合回数を示す「不整合回数」欄2104を含む。
【0052】
現金管理センタサーバ4は、現金自動預払装置2から送信されたAデータとA’データとを照合し、照合結果を現金自動預払装置2に送信する。現金自動預払装置2は、照合結果を受信すると、カウンタテーブル210の「不整合枚数」欄2103及び「不整合回数」欄2104に登録する。照合の結果、AデータとA’データとが不一致の場合に、現金管理センタサーバ4は、カセット211に収納された現金に違算が生じたと判断する。
【0053】
(3)現金管理センタサーバの構成
(3−1)ハードウェア構成
現金管理センタサーバ4は、プロセッサ、メモリ、キーボード、及び画面など、通常のコンピュータ装置と同様のハードウェアを備えている。現金管理センタサーバ4は、物理的には、専用化したシステム、あるいは汎用の情報処理装置のいずれであってもよい。
【0054】
(3−2)機能構成
図5は、本発明の一実施形態に係る現金管理センタサーバ4の機能的要素を示すブロック図である。同図に示すように、現金管理センタサーバ4は、プロセッサの機能的要素を示す制御部42、メモリの機能的要素の一部を示す現金管理センタデータベース(記憶部)41、入力部43及び出力部44を含む。
【0055】
制御部42は、現金管理センタサーバ4の動作を統括的に制御する。例えば、制御部42は、メモリに記憶された各種のプログラムを実行し、これにより、プロセッサは所定の機能を実現する。また、制御部は、現金自動預払装置2や計数管理センタサーバ3と通信を行う通信インターフェースの役割も担っている。
【0056】
また、制御部42は、現金自動預払装置2に対する入出金の経過を監視し、ATM取引の提供に伴って変動する現金自動預払装置2の入出金情報やインベント情報を取得する。なお、イベント情報には、例えば、カセット交換情報、入出金情報、紙幣移動情報等、カセット211内の現金額が変動する情報を含むことができる。制御部42は、取得した入出金情報に従って算出した現金理論額と、現金自動預払装置2から受信した現金自動預払装置2のIDとを、現金理論情報として現金管理センタデータベース41に記憶させる。
【0057】
さらに、制御部42は、警備員によって現金自動預払装置2に収納された所定のカセットが回収されると、現金自動預払装置2から送信された現金額の総額、計数管理センタサーバ3から送信された計数額の総額、及び現金管理センタデータベース41から読み出した現金自動預払装置2の現金理論額をそれぞれ照合し、現金自動預払装置2に取り付けられたカセット内における現金の整合性を判断する。
【0058】
現金管理センタデータベース41には、各種情報が記憶されている。各種情報は、例えば、テーブル形式で保持されており、現金管理センタデータベース41に、照合テーブル411及び調査テーブル412が保持されている。各テーブルの詳細は後述する。
【0059】
入力部43は、管理者からの入力情報を受け付け、受け付けた入力情報を制御部42に送出する。
【0060】
出力部44は、制御部42によって処理された各種情報を管理者に表示する。
【0061】
(3−3)照合テーブルの構成
次に、現金管理センタデータベース41に保持される照合テーブル411について説明する。照合テーブル411は、カセット211に収納された現金の違算を検出するために使用されるテーブルである。図6A〜図6Cは、照合テーブル411の一例を示している。
【0062】
照合テーブル411は、図6Aに示すような、現金自動預払装置2から送信されたAデータを記憶したAデータテーブル411A、図6Bに示すような、現金管理センタサーバ4が管理する現金自動預払装置2の現金理論情報(以下、Bデータという。)を記憶したBデータテーブル411B、及び、図6Cに示すような、計数管理センタサーバ3から送信された各カセット211の計数情報(以下、Cデータという。)を記憶したCデータテーブルを含んで構成される。
【0063】
Aデータテーブル411Aは、イベント毎に変動する各カセットの現金額と、カセットIDとを記憶したテーブルであり、カセット211の識別番号と、イベントに対応した該カセット211の現金情報と、を含むことができる。また、Aデータテーブル411Aは、回収されたカセットの現金額を記憶する。このAデータは、現金自動預払装置2から現金管理センタサーバ4に送信される。例えば、図6Aに示すカセット「00001」には、当初500万円(1万円札が500枚)の現金が収納されていたが、該カセットの回収時には、50万円(1万円札が50枚)の現金が収納されていることが示されている。
【0064】
Bデータテーブル411Bは、イベント毎に変動する現金自動預払装置の現金理論額と、現金自動預払装置2のIDとを記憶したテーブルであり、現金自動預払装置2の識別番号と、イベントに対応した該現金自動預払装置2の現金情報とが登録される。Bデータテーブル411Bは、現金自動預払装置2の入出金情報に伴って変動する現金自動預払装置2内の現金理論額の他、現金自動預払装置2のイベント情報に伴って変動する現金自動預払装置2内の現金理論額が登録される。例えば、個別のカセット交換に伴って、現金自動預払装置2に新たなカセット211が取り付けられた場合、新たなカセット211内の現金額に基づいて、現金理論額が算出される。また、全てのカセットの交換に伴って、現金自動預払装置2の全てのカセット211が取り外された場合、回収された全てのカセット211内の現金総額に基づいて、現金理論額が算出される。
【0065】
Cデータテーブル411Cは、イベント時にカセット内の現金を計数した現金額と、カセットIDとを記憶したテーブルであり、カセットの識別番号と、イベント時における該カセットの現金を計数した現金情報とを含むことができる。
【0066】
現金管理センタサーバ4は、各テーブル411A,411B,及び411Cに基づいて、回収時のAデータの総額、回収時のBデータ、及び回収時のCデータの総額を照合し、照合不一致の場合に、カセット211に収納された現金に違算が生じたと判断する。
【0067】
(3−4)調査テーブルの構成
図7は、調査テーブル412の一例を示している。調査テーブル412は、現金自動預払装置2毎に作成されるものであり、現金管理センタサーバ4がカセット211に収納された現金違算を検出した場合、検出した違算の原因を調査するために使用されるテーブルである。
【0068】
調査テーブル412は、カセット内の現金違算が生じる可能性を有したイベント毎に発生した各種情報を記憶するテーブルである。各種情報には、例えば、障害発生情報、違算情報、取引履歴情報、照合結果情報、及びカセット211の交換情報等、カセット交換に伴ってカセット内の現金が変動するイベント情報やカセット211に対して特定の操作が行われたイベント情報等、カセット内の現金違算を検出するイベント情報が含まれる。調査テーブル412は、例えば、図7に示すように、「イベント」欄4121、イベントが発生した「日時」欄4122、カセットを収納している「収納ID」欄4123、「カセットID」欄4124、「カセット交換情報」欄4125、カセットの「ステータス情報」欄4126、及び「照合結果」欄4127、等から構成されている。
【0069】
「カセット交換情報」欄4125は、前回カセットを交換した「前回カセット日時」欄、今回カセットを交換した「カセット交換日時」欄、及びカセット交換が個別交換か全部交換かを示す「交換区分」欄を含むことができる。
【0070】
また、「ステータス情報」欄4126は、カセットに収納される現金量(現金枚数)を調整する「カセットアクセスモード」欄、カセット間での紙幣移動が行われたか否かを示す「カセット間紙幣移動の有無」欄、収納されているカセットの位置を変更したか否かを示す「格納変更位置の有無」欄を含むことができる。
【0071】
カセットアクセスモードには、例えば、現金をバランスよく各カセットに送入又は各カセットから送出するための「均等」モードと、現金を集中して所定のカセットに送入又は所定のカセットから送出するための「片寄せ」モードとがある。現金自動預払装置2は、これらのモードに従って、カセットに収納される現金量を調整することができる。
【0072】
違算の原因を調査する際には、現金管理センタサーバ4は、所定の条件を指定し、調査テーブル412に基づいて所定の条件に合致する不一致情報を抽出する。所定の条件は、アクセスモードの切り替え、カセット間の紙幣移動、格納位置の変更、現金詰まりの発生、AデータとA’データとの不整合発生等、現金の違算が生じ易い情報を含む。不一致情報は、イベント毎に発生した各種情報の中から抽出され、且つ、所定の条件に合致した情報である。
【0073】
なお、上述した各種テーブル211,411,及び412は、一例であり、必ずしもテーブル形式で構成されなくてもよい。
【0074】
(4)シーケンス
上記のように構成された現金管理システムにおいて、現金自動預払装置2に取り付けられたカセットを個別に回収し、その後、該現金自動預払装置2に取り付けられているカセットを全て回収し、回収したカセット内の現金を照合するまでのシーケンスについて、図8乃至図17を用いて説明する。
【0075】
(4−1)カセットの個別交換に伴うシーケンス
まず、現金自動預払装置2に取り付けられている所定のカセットに対してカセット交換が生じた場合のシーケンスについて説明する。
【0076】
現金自動預払装置2は、イベントが生じた場合に、イベントによって変動するAデータを現金管理センタサーバ4に送信する(S1)。
【0077】
現金管理センタサーバ4は、Aデータを受信すると、該Aデータを計数管理センタサーバ3に送信する(S2)。
【0078】
計数管理センタサーバ3は、受信したAデータを参照し、現金自動預払装置2に収納されているカセットのうち、所定のカセットに収納されている現金が閾値を下回り(又は上回り)、所定のカセットに対して交換の必要があると判断した場合には、その旨を警備員に通知する。この通知を受けて、警備員は、新しいカセットに現金を装填し、計数管理センタサーバ3を操作して、新しいカセットのIDと、装填した現金額とを計数管理センタデータベース31に登録する(S3)。そして、計数管理センタサーバ3は、装填された現金額を現金管理センタサーバ4に報告する(S4)。
【0079】
次に、警備員は、カセットを個別に交換するため、現金自動預払装置2に向かうと、現金自動預払装置2のATM取引を一旦休止させる。その後、警備員が回収対象のカセットについて個別交換をすることに伴い、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、連携して個別交換に関連する処理を実行する(S5)。回収対象のカセットとは、現金自動預払装置2に取り付けられているカセットであって、その後、警備員によって回収されるカセットをいう。
【0080】
現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、それぞれ連携して、個別交換に関連する処理を実行した後、新しいカセットを取り付けた現金自動預払装置2はATM取引を再開する(S6)。
【0081】
現金自動預払装置2は、ATM取引が発生する度に、各カセットの現金情報をカウンタテーブル210に記憶する(S7)。具体的には、現金自動預払装置2は、第1カウンタ部26が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額とカセットIDとの現金情報(すなわち、Aデータ)と、第2カウンタ部27が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額とカセットIDとの現金情報(すなわち、A’データ)と、を記憶装置21に記憶する(S7)。
【0082】
現金自動預払装置2は、Aデータと、A’データとを現金管理センタサーバ4に送信する(S8)。また、現金自動預払装置2は、ATM取引が発生する度に、取引情報を現金管理センタサーバ4に送信する(S8)。取引情報には、利用者が現金自動預払装置2に対する入金又は出金情報が含まれる。
【0083】
現金管理センタサーバ4は、受信したAデータと、A’データとを現金管理センタデータベース41に記憶する(S9)。また、現金管理センタサーバ4は、受信した取引情報に基づいて、現金自動預払装置2の現金理論額と、現金自動預払装置2のIDとを、Bデータ(現金理論情報)として現金管理センタデータベース41に記憶する(S9)。
【0084】
現金自動預払装置2及び現金管理センタサーバ4は、所定の時間が経過するまで(S10:NO)、ステップS7及びステップS8を繰り返す。
【0085】
現金管理センタサーバ4は、所定の時間が経過したと判断すると(S10:YES)、AデータとA’データとを照合し、両データが一致しているか否かを判断する(S11)。より具体的には、現金管理センタサーバ4は、同じカセットIDを持つカセットに対して、第1カウンタ部26が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額と、第2カウンタ部27が計数した現金に基づき計算したカセット211内の現金額とを照合する。
【0086】
現金管理センタサーバ4は、照合の結果、両データが一致していると判断すると(S11:YES)、ステップS10に戻る。
【0087】
一方、現金管理センタサーバ4は、照合の結果、両データが一致していないと判断すると(S11:NO)、現金管理センタサーバ4の管理画面に警告の表示を出力する(S12)。
【0088】
(4−2)カセットの個別交換に関連する処理
次に、ステップS5において、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、連携してカセットの個別交換に関連する処理を、図9を用いて説明する。
【0089】
計数管理センタサーバ3を管理する警備員は、回収対象のカセット211を収納している現金自動預払装置2の設置場所に到着すると、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、それぞれ連携して個別交換に関連する処理を開始する。
【0090】
警備員は、現金自動預払装置2のタッチパネルディスプレイ201を操作すると、現金自動預払装置2は、ATM取引を休止させ、管理画面を表示させる(S21)。
【0091】
警備員は、管理画面を操作し、回収対象となるカセット211の現金残量を確認する。警備員は、回収対象となるカセットの現金残量があることを管理画面で確認すると、現金自動預払装置2は、警備員が管理画面を介して入力した指示に従い、当該カセット211が空(又は満杯)になるように、カセット間の現金移動を行う。
【0092】
例えば、警備員が、図10に示すように、管理画面6に表示された「カセット現金移動」ボタンB1を押下すると、現金自動預払装置2は、警備員からの指示を受け、現金残量が視認できるカセット211の図を管理画面6に表示する。警備員は、現金を移動する移動元のカセット211と移動先のカセットを指定し、移動する枚数を指定する。現金自動預払装置2は、この指示を受け、指定されたカセット間の現金移動を行い、その結果を管理画面6に表示する。図11には、第1カセットに収納されていた現金が第2カセットに移動された状態を示している。このように、カセット間の移動が終了すると、移動元のカセット211及び移動先のカセット211のいずれか1つ、またはこれらの両方が、カセット交換の対象となる。
【0093】
また、警備員は、管理画面6を操作することによって、任意にカセット211が収納されている位置を変更することもできる。例えば、警備員が、図12に示すように、管理画面6に表示された「カセット現金移動」ボタンB2を押下すると、現金自動預払装置2は、警備員からの指示を受け、現金残量が視認できるカセット211の図を管理画面6に表示する。警備員は、位置変更の対象となる2つのカセットを指定すると、現金自動預払装置2は、この指示を受け、指定されたカセットの位置変更を行い、その結果を管理画面6に表示する。図13には、現金残量はそのままで、第2カセットと第3カセットの位置が入れ替わった状態を示している。
【0094】
次に、警備員は、現金自動預払装置2のタッチパネル201を操作すると、該操作を受け付けた現金自動預払装置2は、カセットの交換報告通知と、該現金自動預払装置2に取り付けられ、且つ回収対象のカセットのAデータとを現金管理センタサーバ4に送信する(S22)。
【0095】
現金管理センタサーバ4は、カセットの交換通知と、回収対象であるカセットのAデータとを受信すると、回収対象であるカセットのAデータを照合テーブル411に登録する(S23)。例えば、回収対象であるカセットIDが「00001」であり、このカセットに収納されている現金額が「50万」であるAデータの場合には、図6Aに示すように、カセットIDが「00001」の列に、回収時の現金額「50万」が照合テーブル411に登録される。その後、現金管理センタサーバ4は、交換許可の通知を現金自動預払装置2に送信する(S24)。
【0096】
現金自動預払装置2は、現金管理センタサーバ4から交換許可の通知を受信すると、回収対象であるカセットのステータス情報を出力する(S25)。ステータス情報には、交換日時、カセットID、及びカセットに収納されている現金額の情報が含まれている。例えば、図14に示すように、現金自動預払装置2は、ステータス情報をレシート形式で出力することができる。ステータス情報がレシート形式の場合には、警備員は出力されたレシートを回収対象であるカセットに付与する。
【0097】
次に、警備員は、収納ボックス213から交換対象であるカセットを取り外し、空になった収納ボックス213に、準備した新たなカセット211を取り付け、カセット交換を行う(S26)。
【0098】
現金自動預払装置2は、警備員によるカセット交換完了指示を受け、カセットの交換完了通知と、新たに取り付けられたカセットのAデータとを現金管理センタサーバ4に送信する(S27)。
【0099】
現金管理センタサーバ4は、カセットの交換完了通知と、新たに取り付けられたカセットのAデータとを現金自動預払装置2から受信すると、新たに取り付けられたカセットのAデータを照合テーブル411に登録する(S28)。
【0100】
例えば、新たに取り付けられたカセットIDが「00005」であり、該カセット内の現金額が「500万」であるAデータの場合には、図6Aに示すように、カセットID「00005」の列に、現金額が「500万」というイベント情報が照合テーブル411に登録される。また、図6Bに示すように、受信した現金自動預払装置2のIDに該当する照合テーブル411に、カセット交換後に現金自動預払装置2が有する現金額「1160万」(すなわち、「810万」+「500万」)が登録される(S28)。
【0101】
その後、現金管理センタサーバ4は、交換完了の受領通知を現金自動預払装置2に送信する(S29)。現金自動預払装置2は、交換完了の受領通知を受信すると、管理画面から通常のATM取引画面に切り替え、ATM取引を再開する(S6)。
【0102】
現金自動預払装置2が、管理画面を介して、交換完了の受領通知を警備員に表示すると、警備員は、収納ボックス213から取り外されたカセット211を回収する(S30)。
【0103】
その後、警備員が回収されたカセット211を警備会社に持ち帰ると、回収されたカセット211内の現金を、例えば現金計算機で計数する。計数管理センタサーバ3は、計数額とカセットIDとを、計数管理センタデータベース31に登録する(S31)。ここで登録された計数額とカセットIDとがCデータとなる。また、現金金管理センタサーバ3は、Cデータを現金管理センタサーバ4に送信する(S32)。
【0104】
現金管理センタサーバ4は、Cデータを受信すると、Cデータを照合テーブル411に登録する(S33)。例えば、図6Cに示すように、回収されたカセットIDが「00001」であり、該カセット内の現金額が「50万」であるCデータの場合には、「50万」が照合テーブル411に登録される。現金管理センタサーバ4は、Cデータを照合テーブル411に登録すると、この処理を終了する。
【0105】
このように、所定のカセットに対して個別の交換が行われるたびに、現金自動預払装置2及び計数管理センタサーバ3からAデータ及びCデータが収集され、照合テーブル411に蓄積され、また、Bデータが更新されていくことになる。
【0106】
(4−3)全てのカセットを交換するシーケンス
次に、現金自動預払装置2に収納されている全部のカセットに対してカセット交換が生じた場合のシーケンスについて、図15乃至図17を用いて説明する。
【0107】
現金管理センタサーバ4は、所定の現金自動預払装置2に対して所定の期間が経過したと判断すると(S41:YES)、所定の現金自動預払装置2に対し全てのカセットを交換するように、計数管理センタサーバ3に指示を送信する(S42)。
【0108】
なお、所定の期間には、例えば、現金管理センタサーバ4が所定の現金自動預払装置2に対して、所定の現金自動預払装置2に対して全てのカセットを交換してから次に全てのカセットを交換するまでの期間や、1年経過後といったような一定期間等、を含めることができる。また、上述したステップS14のように、所定の期間を経過していなくとも、現金管理センタサーバ4が所定の現金自動預払装置2に対し全てのカセットを交換するように、計数管理センタサーバ3に指示を送信した場合や、現金管理センタサーバ4が全てのカセットに収納されている現金が閾値を下回る又は上回ると判断した場合にも、ステップS43乃至S49の処理が実行される。
【0109】
計数管理センタサーバ3は、所定の現金自動預払装置2に対し全てのカセットを交換する指示を受信すると、それぞれの新しいカセットに現金を装填し、これらのカセットのIDと、各カセットに装填した現金額と、を計数管理センタデータベース31に登録し(S43)、この旨を現金管理センタサーバ4に報告する(S44)。
【0110】
警備員は、全てのカセットを交換する対象の現金自動預払装置2に向かい、現金自動預払装置2のATM取引を一旦休止させる。そして、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4はそれぞれ、全てのカセット交換に関連する処理を実行する(S45)。なお、全てのカセット交換に関連する処理の詳細は後述する。
【0111】
現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、全てのカセットについて、交換に関連する処理を終了すると、現金自動預払装置2は、ATM取引を再開する(S46)。
【0112】
その後、現金管理センタサーバ4は、所定のタイミングで照合テーブル411に基づいて、現金自動預払装置2における現金額の検査を行う(S47)。なお、所定のタイミングとは、交換に関連する処理が終了した後や、交換に関連する処理を終了して数日後、等を含むことができる。
【0113】
まず、現金管理センタサーバ4は、Aデータの中から各カセットの現金額の総額と、Cデータの中から各カセットの現金額の総額とを求める。例えば、図6Aに示すように、IDが「00001」である現金自動預払装置2において、カセットID「00001」〜「00003」を有する各カセットは、それぞれのカセットを個別に交換した際に回収されている。個別に回収された時の各現金額は、「50万」,「0万」,「1000千」である。したがって、個別に回収した際の現金合計額は、50万+0万+1000千=150万である。そして、カセットID「00004」〜「00007」を有する全てのカセットは、今回のカセット交換において、回収されたものである。回収時の各現金額は、「1000千」,「50万」,「500万」,「500千」,である。したがって、全てのカセットを回収した際の現金合計額は、1000千+50万+500万+500千=700万である。これにより、現金管理センタサーバ4は、蓄積されたAデータの現金額の総額が、150万+700万=850万、と求めることができる。
【0114】
また、例えば、図6Cに示すように、IDが「00001」である現金自動預払装置2において、カセットID「00001」を有するカセットを回収した際に計数した計数額は「50万」、カセットID「00002」を有するカセットを回収した際に計数した計数額は「0万」、カセットID「00003」を有するカセットを回収した際に計数した計数額は「1000千」である。したがって、個別に計数した際の計数合計額は、50万+0万+1000千=150万である。そして、カセットID「00004」〜「00007」が付与されたカセットを全て回収した際の各計数額は、「1000千」,「50万」,「500万」,「500千」である。したがって、全てのカセットを回収した際の計数合計額は、1000千+50万+500万+500千=700万である。これにより、現金管理センタサーバ4は蓄積されたCデータの計数額の総額が、150万+700万=850万、と求めることができる。
【0115】
次に、現金管理センタサーバ4は、最終的に全てのカセットが回収された現金額に基づいて、Bデータの更新を行う。例えば、図6Bに示すように、ATMのIDが「00001」において、カセットID「00004」〜「00007」を有するカセットを全て回収した際の各現金額は、「1000千」,「50万」,「500万」,「500千」である。これにより、現金管理センタサーバ4はIDが「00001」である現金自動預払装置2の最終的な現金理論額(現金理論最終額)が「850万」と求めることができる。これにより、現金管理センタサーバ4は、Bデータを「1360万」から「850万」に更新する。
【0116】
現金管理センタサーバ4は、図16に示すように、蓄積されたAデータに含まれる現金額に基づいて算出される現金額の総額と、蓄積されたCデータに含まれる計数額に基づいて算出される計数額の総額と、Bデータの現金理論最終額とを照合し、照合結果が一致したと判断した場合には(S47:YES)、この処理を終了する(S47)。
【0117】
一方、現金管理センタサーバは、照合結果が不一致したと判断した場合には(S47:NO)、不一致の原因を調査する(S48)。現金管理センタサーバ4を操作する管理者は、所定の条件を指定し、現金管理センタサーバ4が該指定を受け付けると、調査テーブル412、及び現金自動預払装置2から取得したログ情報に基づいて所定の条件に合致する情報を検出する。上述の如く、所定の条件には、現金の違算が生じ易い事象が含まれ、ログ情報には、例えば、現金自動預払装置2の利用情報や動作情報が含まれている。例えば、管理者が「カセットアクセスモードの切り替え」という条件を指定した場合、現金管理センタサーバ4は、この指定を受け付け、調査テーブル412に基づいて、カセットアクセスモードの切り替えが行われた現金自動預払装置2のID及びカセットIDを検出する。なお、現金管理センタサーバ4は、検出した現金自動預払装置2のID及びカセットIDを計数管理センタサーバ3に送信し、これらのIDを受信した計数管理センタの警備員が、現金自動預払装置2に向かい、更なる原因を調査してもよい。
【0118】
(4−4)全てのカセット交換に関連する処理
次に、ステップS45において、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4が、それぞれ連携して全てのカセット交換に関連する処理を、図17を用いて説明する。
【0119】
警備員は、回収対象となるカセット211を収納している現金自動預払装置2に到着すると、現金自動預払装置2のタッチパネルディスプレイ201を操作する。現金自動預払装置2は、該操作指示を受けると、ATM取引を休止させて、管理画面を表示させる(S51)。
【0120】
なお、上述した個別のカセット交換に関連する処理と同様に、警備員の指示に基づき、現金自動預払装置2が、適宜、カセット間の現金移動や、カセット格納位置変更を行ってもよい。
【0121】
次に、警備員は、現金自動預払装置2のタッチパネル201を操作すると、該操作を受け付けた現金自動預払装置2は、カセットの交換通知と、回収対象となる各カセットのAデータとを、1つのデータに含めて現金管理センタサーバ4に送信する(S52)。
【0122】
現金管理センタサーバ4は、カセットの交換通知と、回収対象となるカセットのAデータとを受信すると、回収対象となるカセットの全てのAデータを照合テーブル411に登録する(S53)。例えば、Aデータは、回収対象となるカセットIDがそれぞれ「00004」,「00005」,「00006」,「00007」であり、交換直前の現金額がそれぞれ「1000千」,「50万」,「500万」,「500千」である場合には、図6Aに示すように、カセット毎に、Aデータが照合テーブル411に登録される。その後、現金管理センタサーバ4は、交換許可の通知を自動預払装置2にカセット毎に送信する(S54)。
【0123】
現金自動預払装置2は、交換許可の通知を受信すると、カセット毎に、回収対象となるカセットのステータス情報を出力する(S55)。
【0124】
次に、警備員は、収納ボックス213から回収対象となるカセットを全て取り外し、空になった収納ボックス213に新たなカセットを取り付け、全てのカセットについて交換を行う(S56)。
【0125】
警備員は、現金自動預払装置2のタッチパネルディスプレイ201を操作すると、現金自動預払装置2は、カセットの交換完了通知と、全ての新たなカセットについてのAデータとを現金管理センタサーバ4に送信する(S57)。
【0126】
現金管理センタサーバ4は、カセットの交換完了通知と、全ての新たなカセット211のAデータとを受信すると、照合テーブル411を新たに作成する。全ての新たなカセット211についてのAデータ及び新たなカセット211を取り付けた現金自動預払装置2についてのBデータを、新たに作成した照合テーブル411に登録する(S58)。また、現金管理センタサーバ4は、回収されたカセット211を取り付けていた現金自動預払装置2についてのBデータを、照合テーブル411に登録する(S58)。
【0127】
その後、現金管理センタサーバ4は、交換完了の受領通知を現金自動預払装置2に送信する(S59)。
【0128】
現金自動預払装置2が、管理画面上に、交換完了の受領通知を警備員に表示すると、警備員は、収納ボックス213から取り外されたカセットを回収する(S60)。
【0129】
その後、警備員が回収したカセット211を警備会社に持ち帰ると、カセット毎に、回収したカセット211に収納されていた現金を、現金計算機で計数し、この計数額とカセットIDとを、Cデータとして計数管理センタデータベース31に記憶する(S61)。また、計数管理センタサーバ3は、カセット毎に、Cデータを現金管理センタサーバ4に送信する(S62)。
【0130】
現金管理センタサーバ4は、各Cデータを受信すると、各Cデータを照合テーブル411に登録する(S63)。例えば、図6Cに示すように、回収したカセットIDがそれぞれ「00004」,「00005」,「00006」,「00007」であり、計数額がそれぞれ「1000千」,「50万」,「500万」,「500千」であるCデータの場合には、図6Cに示すように、Cデータが照合テーブル411に登録される。現金管理センタサーバ4は、各Cデータを照合テーブル411に登録すると、この処理を終了する。
【0131】
このように、全てのカセットに対して交換が行われると、現金管理センタサーバ4が各Cデータを照合テーブル411に登録終了後、該照合テーブル411を用いて、照合が行われ、一方では、新たに作成された照合テーブル411に、新たなカセット211についての各データが登録されていくことになる。
【0132】
なお、上述した処理の他、例えば、所定の現金自動預払装置2において、紙詰まりや現金が重なってカセット211の出入口212から送出される、等、現金自動預払装置2に対し障害発生の可能性が高い事象が生じた場合には、現金自動預払装置2は、これらの事象を障害予備情報として現金管理センタサーバ4への送信時に、取引の電文に含ませることができる。
【0133】
本実施形態によれば、全てのカセットを回収した際に収納されている現金の整合のみならず、個別に回収されたカセット内の現金の整合を管理できるように、現金管理センタサーバ4が有する照合テーブル411にAデータ、Cデータを蓄積し、Bデータを更新するので、所定の現金自動預払装置2における個別のカセットに対して、カセット交換を行うことができる。このように、個別交換を可能としたので、各カセットに収納されている現金量を個別に調整することが可能となり、全てのカセットを交換する時期の間隔を従来に比して長く設定することができる。
【0134】
また、全てのカセットを交換する期間が到来した場合であっても、現金管理センタサーバ4が所定の現金自動預払装置2に関する各データをリアルタイムで管理し、その後所定のタイミングで照合するので、カセットの現金額の不整合を管理することができる。
【0135】
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態において回収されたカセット211を、他の現金自動預払装置2Bに利用する点で、上記第1実施形態と異なる。上記第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0136】
(1)システム構成
図18は、本第2実施形態の現金管理システムにおける利用関係を示す模式図である。
本第2実施形態における現金管理システムの構成は、第1実施形態と同じであるが、図18に示すように、複数の現金自動預払装置2のうち、1台を利用元の現金自動預払装置2Aとし、複数台を利用先の現金自動預払装置2Bとしている。
【0137】
利用元の現金自動預払装置2Aは、回収対象のカセット211が収納されている現金自動預払装置2である。また、利用先の現金自動預払装置2Bは、利用元の現金自動預払装置2Aから回収されたカセットを利用して、ATM取引を行う現金自動預払装置2である。なお、利用元、利用先を特に区別して説明する場合を除き、現金自動預払装置2と記載する。
【0138】
(2)利用テーブルの構成
また、現金管理センタデータベース41には、利用テーブル413がさらに記憶されている。図19は、利用テーブル413の一例を示している。
【0139】
利用テーブル413は、利用元の現金自動預払装置2Aと利用先の現金自動預払装置2Bとの対応情報を管理するテーブルであり、回収対象のカセットを有する所定の現金自動預払装置2を利用元の現金自動預払装置2Aとし、回収したカセットを利用してATM取引を行う他の現金自動預払装置2を利用先の現金自動預払装置2Bとして、対応付けている。
【0140】
利用テーブル413は、例えば、利用元及び利用先を1つのグループとして管理する「グループID」欄4131、そのグループに属する現金自動預払装置2を示す「ATM ID」欄4132、利用元又は利用先を示す「区分」欄4133、所定のカセットを利用する前にカセット交換が行われた日時を示す「利用前 交換日時」欄4134、所定のカセットを利用した後にカセット交換が行われた日時を示す「利用後 交換日時」欄4135、カセットの交換が行われたか否かを示す「交換区分」欄4136、を含むことができる。
【0141】
(3)回収対象のカセットを個別に交換するシーケンス
本第2実施形態のシーケンスは、第1実施形態と同様、ステップS1乃至S14までを実行するが、ステップS5における詳細な処理が上記第1実施形態と異なる。そこで、本第2実施形態において、ステップS5に代わる、カセットの個別交換に関連する処理を、図20乃至図23を用いて、説明する。
【0142】
まず、ステップS71乃至S73までの処理を、ステップS21乃至S23と同様に実行すると、現金管理センタサーバ4は、回収対象のカセットが、他の現金自動預払装置2に利用可能か否かを閾値に基づいて判断する(S74)。
【0143】
閾値は、例えば、同日中に他の現金自動預払装置2への利用が可能なカセットであること、カセットを利用する回数が1回であること、等を含めることができ、現金管理センタサーバ4が現金管理センタデータベース41内の各種テーブル411,412,413を参照することにより、可変に設定可能である。また、現金管理センタサーバ4及び計数管理センタサーバ3のいずれもが、カセットの選択をすることができる。例えば、現金管理センタサーバ4が現金管理センタデータベース41内の各種テーブル411,412,413を参照し、ある現金自動預払装置2に対して出金傾向が高いと判断した場合には、その現金自動預払装置2のカセットは空になる傾向が高いため、入金傾向が高いと判断した他の現金自動預払装置2に対してこのカセットを利用する、と選択することができる。
【0144】
現金管理センタサーバ4は、受信したカセットIDを有するカセットが、上述した閾値に基づいて、他の現金自動預払装置2に利用可能であると判断すると(S74:YES)、検討結果(利用許可)の通知を現金自動預払装置2に送信する(S77)。
【0145】
現金自動預払装置2は、検討結果の通知を受信すると、回収対象であって且つ利用対象であるカセットのステータス情報を出力する(S78)。ステータス情報には、第1実施形態と同様に、交換日時、カセットID、及びカセットに収納されている現金額の情報の他、利用の可否情報が含まれている。利用可否の情報が「利用可」情報であれば、現金管理センタサーバ4が当該カセットを利用元のカセットであると判断したことになる。また、例えば、図20に示すように、現金自動預払装置2は、ステータス情報をレシート形式で出力することができる。
【0146】
その後、ステップS79乃至S82までの処理は、第1実施形態におけるステップS26乃至29までの処理と同様に行う。なお、現金自動預払装置2が、交換完了の受領通知を受信すると、警備員が取引開始の操作を行う。現金自動預払装置2は、該操作の指示を受け、ATM取引を再開する。
【0147】
現金自動預払装置2が、管理画面を介して、交換完了の受領通知を警備員に表示すると、警備員は、収納ボックス213から取り外したカセットを回収し、回収したカセットを他の現金自動預払装置2まで運搬する(S83)。
【0148】
警備員が、回収したカセットを他の現金自動預払装置2まで運搬すると、回収したカセットを他の現金自動預払装置2に取り付ける。その後、現金管理センタサーバ4及び他の現金自動預払装置2は、それぞれ連携してステップS84乃至S86までの処理を、ステップS71及びステップS73の処理と同様に行う。
【0149】
次に、現金管理センタサーバ4は、他の現金自動預払装置2に取り付けられている回収対象のカセットに対してAデータを登録すると(S86)、その後、交換許可の通知を他の自動預払装置2に送信する(S87)。
【0150】
他の自動預払装置2は、交換許可の通知を受信すると、回収対象であるカセットのステータス情報を出力する(S88)。警備員は、他の現金自動預払装置2の収納ボックス213から回収対象カセットを取り外し、空になった収納ボックス213に利用元の現金自動預払装置2Aから回収したカセットを取り付け、カセット交換を行う(S89)。
【0151】
警備員は、現金自動預払装置2のタッチパネル201を操作すると、他の現金自動預払装置2は、カセットの交換完了通知と、他の現金自動預払装置2の収納ボックス213に取り付けた新たなカセット(利用元の現金自動預払装置2Aから回収したカセット)のAデータとを現金管理センタサーバ4に送信する(S90)。
【0152】
現金管理センタサーバ4は、カセットの交換完了通知と、他の現金自動預払装置2の収納ボックス213に取り付けた新たなカセットのAデータとを受信すると、該カセットのAデータを照合テーブル411に登録する(S91)。
【0153】
また、現金管理センタサーバ4は、利用テーブル413を作成する(S92)。現金管理センタサーバ4は、他の現金自動預払装置2のAデータに基づいて、他の現金自動預払装置2の収納ボックス213に取り付けられたカセットが利用元の自動預払装置2Aから回収してきたカセットであると判断するので、他の自動預払装置2が利用先の現金自動預払装置2Bであると判断して、利用先と利用元との対応付けを行う。その後、現金管理センタサーバ4は、交換完了の受領通知を現金自動預払装置2に送信する(S93)。
【0154】
他の現金自動預払装置2は、交換完了の受領通知を受信すると、管理画面から通常のATM取引画面に切り替え、ATM取引を再開する(S94)。
【0155】
他の現金自動預払装置2が、管理画面上に、交換完了の受領通知を警備員に表示すると、警備員は、収納ボックス213から取り外したカセットを回収する(S95)。
【0156】
その後、警備員が回収したカセットを警備会社に持ち帰ると、回収したカセットに収納されていた現金を、現金計算機で計数し、計数額とカセットIDとを、Cデータとして計数管理センタデータベース31に記憶する(S96)。また、計数管理センタサーバ3は、Cデータを現金管理センタサーバ4に送信する(S97)。
【0157】
現金管理センタサーバ4は、Cデータを受信すると、Cデータを照合テーブル411に登録し(S98)この処理を終了する。
【0158】
このように、現金管理センタサーバ4は、所定の現金自動預払装置2に収納されたカセットが、他の現金自動預払装置2に利用することができるか否かを判断し、利用できると判断すると、所定の現金自動預払装置2に収納されたカセットを他の現金自動預払装置2に取り付け、利用元の現金自動預払装置2Aと、利用先の現金自動預払装置2Bとを対応づけて、これらを1つのグループとして管理する。
【0159】
さらに、本第2実施形態において、全てのカセットを交換する場合には、1つのグループに属する利用元の現金自動預払装置2A及び利用先の現金自動預払装置2Bのそれぞれが、ステップS41乃至S46を実行する。
【0160】
そして、現金管理センタサーバ4がグループに属するAデータ、Bデータ及びCデータに基づいて、それぞれの現金額の照合を行う(S47)。なお、グループに属する最後の現金自動預払装置2がカセット交換を行った際に、現金管理センタサーバ4が、グループに属する現金自動預払装置2の現金額を照合する。
【0161】
具体的には、現金管理センタサーバ4は、第1実施形態と同様に、同一グループ内に属するカセットID及び現金額に基づいて、各現金自動預払装置2の、それぞれの現金額の総額を求め、さらに同一グループ内に属する現金額の総額の合計額(すなわち同一グループ内に属する全ての現金自動預払装置2の現金合計額)を求める。現金管理センタサーバ4は、Cデータについても同様に、同一グループに属するカセットID及び計数額に基づいて、各現金自動預払装置2の、それぞれの計数額の総額を求め、さらに同一グループ内に属する計数額の総額の合計額(すなわち同一グループ内に属する全ての自動預払装置2の計数合計額)を求める。
【0162】
また、現金管理センタサーバ4は、最後に回収された現金自動預払装置2におけるBデータの現金理論最終額を設定する。そして、現金管理センタサーバ4は、Bデータについても同様に、同一グループに属する現金理論最終額の合計額(現金理論合計額)を求める。
【0163】
このように、現金管理センタサーバ4は、同一グループに属する現金自動預払装置2の現金合計額と、同一グループに属する現金自動預払装置2の現金理論額の合計額と、同一グループに属する現金自動預払装置2の計数合計額と、を照合し、照合結果が一致したと判断した場合には(S47:YES)、ステップS41に戻り、照合結果が一致しないと判断した場合には(S47:NO)、不一致の調査を実行する(S48)。
【0164】
なお、ステップ74において、現金管理センタサーバ4は、現金自動預払装置2から回収されたカセットが、他の現金自動預払装置2に利用できないと判断した場合には(S74:NO)、当該検討結果を現金自動預払装置2に通知し(S75)、現金自動預払装置2は、当該カセットを他の現金自動預払装置2に利用することを中止する(S76)。その後、利用中止となったカセットは、警備員によって回収される。
【0165】
本第2実施形態によれば、個別に回収したカセットを他の現金自動預払装置2に利用することができるので、警備員によって最終的に回収されるカセットの交換時期の間隔を従来に比して長く設定することができる。
【0166】
また、全てのカセットを交換する期間が到来した場合であっても、現金管理センタサーバ4がグループ単位で管理しているので、同一グループ内における現金自動預払装置2の現金額を管理し、照合するので、カセット内の現金額の不整合を管理することができる。
【0167】
なお、現金自動預払装置2、計数管理センタサーバ3及び現金管理センタサーバ4は、現金額を管理するとして説明をしたが、現金枚数を管理してもよく、結果として現金額を管理できれば、管理する現金の単位は、特に制限されない。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、銀行等の金融機関の現金自動預払装置に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0169】
1…現金管理システム、2…現金自動預払装置、3…計数管理センタサーバ、4…現金管理センタサーバ、5…管理系ネットワーク、20…筐体、201…タッチパネルディスプレイ、202…テンキー、203…インターフォン、204…カード受付機構、205…明細票印字機構、206…現金出入機構、207…制御機構、208…現金収納機構、209…扉、211…カセット、212…出入口、213…収納ボックス、21…記憶装置、210…カウンタテーブル、22…ATM制御部、23…ユーザインターフェース部、24…カード受付部、25…通帳受付部、26…第1カウンタ部、27…第2カウンタ部、28…カメラ部、29…通話部、31…計数管理センタデータベース、41…現金管理センタデータベース(記憶部)、411…照合テーブル、411A…Aデータテーブル、411B…Bデータテーブル、411C…Cデータテーブル、412…調査テーブル(イベント情報)、413…利用テーブル(対応情報)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金自動預払装置が有する複数のカセットに収納される現金を管理する現金管理サーバであって、
カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外されるカセット毎の現金額と、前記カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外されるカセット内の現金をカセット毎に計数した計数額と、前記現金自動預払装置の入出金情報から算出される現金自動預払装置内の算出額を現金理論額として記憶する記憶部と、
前記カセット交換に伴って前記現金自動預払装置に取り付けられた複数のカセットにおける前記現金額の総額と前記計数額の総額とを算出し、前記算出した現金額の総額と、前記算出した計数額の総額と、前記現金理論額とを照合する制御部と、
を有する現金管理サーバ。
【請求項2】
前記現金自動預払装置は、複数設けられ、
前記記憶部は、回収対象のカセットを有する所定の現金自動預払装置と、前記所定の現金自動預払装置から回収されたカセットを利用して現金取引を行う他の前記現金自動預払装置と、を対応付ける対応情報を記憶し、
前記制御部は、前記対応情報に基づいて、対応付けられた現金自動預払装置毎の前記現金額の総額と、前記計数額の総額と、前記対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金理論合計額とを算出し、
前記算出した現金額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金合計額を算出し、
前記算出した計数額の総額に基づいて、前記対応付けられた複数の現金自動預払装置の計数合計額を算出し、
前記算出した現金合計額と、前記算出した計数合計額と、前記算出した現金理論合計額とを照合する、請求項1記載の現金管理サーバ。
【請求項3】
前記記憶部は、前記カセット内の現金違算を検出するイベント毎にイベント情報を記憶し、前記制御部は、前記照合が不一致であると判断した場合に、前記イベント情報に基づいて、不一致の理由を示す不一致情報を抽出する、請求項1又は2記載の現金管理サーバ。
【請求項4】
前記現金自動預払装置は、前記現金管理サーバと通信可能に接続されており、
前記制御部は、前記現金自動預払装置が、該装置に設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額と、前記カセットに設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出された現金額と、を、前記現金自動預払装置から受信し、受信したそれぞれの現金額を照合する、請求項1乃至3いずれか一項に記載の現金管理サーバ。
【請求項5】
現金自動預払装置が有する複数のカセットに収納される現金を管理する現金管理サーバの現金管理方法であって、
前記現金管理サーバは、
カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外されるカセット毎の現金額と、前記カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外されるカセット内の現金をカセット毎に計数した計数額と、前記現金自動預払装置の入出金情報から算出される前記現金自動預払装置内の算出額を現金理論額として記憶するステップと、
前記カセット交換に伴って前記現金自動預払装置に取り付けられた複数のカセットにおける前記現金額の総額と前記計数額の総額とを算出し、前記算出した現金額の総額と、前記算出した計数額の総額と、前記現金理論額とを照合するステップと、
を実行する現金管理サーバの現金管理方法。
【請求項6】
前記現金管理サーバは、複数設けられる現金自動預払装置のうち、回収対象のカセットを有する所定の現金自動預払装置と、前記所定の現金自動預払装置から回収されたカセットを利用して現金取引を行う他の前記現金自動預払装置と、を対応付ける対応情報を記憶するステップと、
前記対応情報に基づいて、対応付けられた現金自動預払装置毎の前記現金額の総額と、前記計数額の総額と、前記対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金理論合計額とを算出するステップと、
前記算出した現金額の総額に基づいて、対応付けられた複数の現金自動預払装置の現金合計額を算出するステップと、
前記算出した計数額の総額に基づいて、前記対応付けられた複数の現金自動預払装置の計数合計額を算出するステップと、
前記算出した現金合計額と、前記算出した計数合計額と、前記算出した現金理論合計額とを照合するステップと、を実行する請求項5記載の現金管理サーバの現金管理方法。
【請求項7】
前記現金管理サーバは、前記カセット内の現金違算を検出するイベント毎にイベント情報を記憶するステップと、前記照合が不一致であると判断した場合に、前記イベント情報に基づいて、不一致の理由を示す不一致情報を抽出するステップと、を実行する請求項5又は6記載の現金管理サーバの現金管理方法。
【請求項8】
前記現金管理サーバは、前記現金自動預払装置が、該装置に設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額と、前記カセットに設けられた挿入口を介して通過する現金を計数し、該計数した現金に基づいて算出した現金額とを、前記現金管理サーバと通信可能に接続されている前記現金自動預払装置から受信するステップと、受信したそれぞれの現金額を照合するステップと、を実行する請求項5乃至7いずれか一項に記載の現金管理サーバの現金管理方法。
【請求項9】
現金が収納されるカセットを複数有し、且つ、前記現金を管理する現金管理サーバと通信可能に接続される現金自動預払装置であって、
前記カセット内の現金量を調整するATM制御部を備え、
前記ATM制御部は、
外部から指定される、移動対象の現金が収納されている移動元カセットと、前記移動元カセットから移動される現金を収納する移動先カセットとの情報に基づき、前記移動元カセットに収納されている現金を、前記移動先カセットに移動し、
カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外される前記移動元カセット及び/又は前記移動先カセットの現金額を前記現金管理サーバに送信する、
現金自動預払装置。
【請求項10】
現金が収納されるカセットを複数有し、且つ、前記現金を管理する現金管理サーバと通信可能に接続される現金自動預払装置の現金管理方法であって、
前記現金自動預払装置は、
外部から指定される、移動対象の現金が収納されている移動元カセットと、前記移動元カセットから移動される現金を収納する移動先カセットとの情報を受け付けるステップと、
前記受け付けた情報に基づいて、前記移動元のカセットに収納されている現金を、前記移動先カセットに移動するステップと、
カセット交換に伴って前記現金自動預払装置から取り外される前記移動元カセット及び/又は前記移動先カセットの現金額を前記現金管理サーバに送信するステップと、
を実行する現金自動預払装置の現金管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2012−48678(P2012−48678A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192848(P2010−192848)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(501382487)株式会社セブン銀行 (3)
【Fターム(参考)】