説明

現金自動取引装置

【課題】装置の奥行きサイズを小さくすることができ、背後から他人に表示内容を見られにくい現金自動取引装置を得る。
【解決手段】現金自動取引装置1の表示機構部4は、タッチパネル等による入力部を有し、紙幣機構部8の紙幣入出金口41及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42の全体を覆うことができるような充分な大きさに構成されて、現金自動取引装置1の筐体に設置されている。表示機構部4は、入力部を用いて利用者が必要な入力操作を行った後、入金または出金を行う際に、現金自動取引装置1の内部に移動させられる。これにより、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42が露出させられ、利用者が紙幣、硬貨の投入、取り出しを行うことが可能となる。また、補助表示機構部14が設けられ、表示機構部4が現金自動取引装置1の内部に移動させられたとき、利用者に対する操作ガイダンス、アナウンス情報等を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動取引装置に係り、特に、表示部と現金入出口とを備える現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動取引装置は、その筐体の前面(接客部分)に、利用者が取引に必要な操作を行うための操作部が設けられて構成されている。操作部には、取引媒体としてのカード及び通帳の挿入口、操作表示パネル、もう1つの取引媒体である紙幣、硬貨の入出金口が配置されている。しかし、それらを平面的に並べた場合、操作部としては、少なくともそれらの合計の面積が必要となり、近年増大している小型化の要求に応じることが困難になってきている。このため、表示部をほぼ垂直に実装したタイプのものが提供されるようになってきている。
【0003】
すなわち、現金自動取引装置には、表示部をほぼ水平に実装したタイプのものと、表示部をほぼ垂直に実装したタイプのものとがある。表示部をほぼ水平に実装したタイプの現金自動取引装置は、装置の奥行きが表示部と現金入出口を有する現金機構との奥行きサイズを加算した大きさとなり、装置全体が大型となるが、背後から他人に表示内容が見られにくいという利点を有している。一方、表示部をほぼ垂直に実装したタイプの現金自動取引装置は、表示部の表示画面を前に向けて現金機構の上に表示部が配置されるため、現金機構と表示機構とを重ねて配置することが可能となるため、装置の奥行きサイズを小さくすることができるという利点を有しているが、表示画面の高さが高く、また、画面が縦になるため、背後から他人に表示内容を見られやすいという欠点を有している。
【0004】
なお、近年、表示部は、LCD等の薄型パネルを使用するものが主流となってきており、今後、有機ELパネル等のさらに薄型・軽量の表示パネルの使用が増加していくものと考えられる。
【0005】
なお、表示部をほぼ水平に実装したタイプの現金自動取引装置の従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られており、また、表示部をほぼ垂直に実装したタイプの現金自動取引装置の従来技術として、例えば、特許文献2等に記載された技術が知られている。
【特許文献1】特開平9−161127号公報
【特許文献2】特開2007−272924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、表示部をほぼ水平に実装したタイプの現金自動取引装置は、装置全体が大型となるという問題点を有し、また、表示部をほぼ垂直に実装したタイプの現金自動取引装置は、背後から他人に表示内容を見られやすいという問題点を有している。
【0007】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、装置全体を小型に構成することができ、かつ、表示画面の表示内容を背後から他の人に見られにくくすることができる現金自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば前記目的は、表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記現金機構の現金入出金口である紙幣入出金口及び硬貨入出金口を前記表示部により覆った状態から前記表示部を装置内部に移動させると共に、取引の内容に応じて、前記紙幣入出金口及び硬貨入出金口のそれぞれを覆うシャッタの少なくとも一方を開いて前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能とすることにより達成される。
【0009】
また、前記目的は、表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記現金機構の現金入出金口を前記表示部により覆った状態から前記表示部を装置内部に移動させることにより、前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能とすると共に、現金入出金口が露出したとき、前記表示部の少なくとも一部が装置の外部に露出していることにより達成される。
【0010】
また、前記目的は、表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記表示部が、前記現金入出金口の紙幣入出金口を覆う表示部と、硬貨入出金口を覆う表示部とにより構成され、前記紙幣及び硬貨の入出金口を覆う2つの表示部が独立して移動させられ、前記現金機構の現金入出金口を前記2つの表示部により覆った状態から、2つの表示部の少なくとも一方の表示部を移動させることにより、前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能としたことにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示部をほぼ水平に実装しても、装置の奥行きサイズを小さくして、装置全体を小型に構成することができ、かつ、表示画面の表示内容を背後から他の人に見られにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による現金自動取引装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態による現金自動取引装置の構成を示すブロック図である。図1に示す現金自動取引装置は、以後に説明する本発明の複数の実施形態で共通の機能構成を示すものである。
【0014】
図1に示すように、現金自動取引装置1は、利用者が要求する種々の取引を自動的に実行する装置であって、表示部2及び表示部2に設けられた入力部3を有する表示機構部4と、カード機構部5と、明細表機構部6と、通帳機構部7と、紙幣機構部8と、硬貨機構部9と、回線部10と、表示機構部の移動制御部11と、制御部12と、電源部13とを備えて構成されている。また、現金自動取引装置1は、図示していないが、CPU、メモリ、ハードディスク等の記憶装置等を備えて構成され、前述の各機構部における各機能は、プログラムとして記憶装置に格納され、これらのプログラムをメモリにロードしてCPUを主な構成要素としている制御部12が前述のプログラムを実行することにより実現されている。
【0015】
前述において、表示部2は、利用者に対する操作ガイダンス、アナウンス情報等の表示を行うLCD等による表示装置である。入力部3は、表示部2に実装され利用者の操作や指で押下された入力を受け付け、その押下を検出するためのタッチパネル等から構成される。これらの表示部2と入力部3とは、一体に構成されて表示機構部4として構成される。後述するが、この表示機構部4は、現金自動取引装置1の装置内部等へ移動することが可能とされている。
【0016】
カード機構部5は、キャッシュカードやクレジットカード等の挿入、排出動作を行い、カードに付加された情報を読み取り、また、書き込む機能を有する。明細票機構部6は、取引内容等を明細票に印字し出力する機能を有する。通帳機構部7は、通帳の読み取り、発行及び取引内容等の印字を行う機能を有する。紙幣機構部8は、紙幣の入出金口を有し、紙幣入出金口への紙幣の入出金を行う機能を有する。硬貨機構部9は、硬貨の入出金口を有し、硬貨入出金口への硬貨の入出金を行う機能を有する。回線部10は、金融機関のセンター等と必要に応じてデータの送受信を行う機能を有する。表示部の移動機構部11は、表示機構部4を装置内部との間で出し入れする機能を有する。制御部12は、前述で説明した各ユニット(表示部、入力部、紙幣機構部等)を制御する機能を有する。電源部13は、前述の各ユニットに必要な電力を供給する機能を有する。
【0017】
通常、現金自動取引装置は、現金入出金口の上部が移動可能なシャッタで覆われており、利用者が取引操作により入金または出金を行う際に前述のシャッタが現金自動取引装置内部に移動させられることにより現金入出金口が露出する構造を有しており、前述のシャッタは、現金自動取引装置の筐体または紙幣機構部、硬貨機構部のいずれかに設置されている。
【0018】
図2Aは本発明の第1の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【0019】
図2A(a)の側面図、図2A(b)の正面図に示すように、第1の実施形態による現金自動取引装置1は、1つの表示機構部4を備えて構成されている。表示機構部4は、紙幣機構部8の紙幣入出金口41及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42の全体を覆うことができるような充分な大きさに構成されており、現金自動取引装置1の筐体に設置されている。そして、表示機構部4は、入力部3を用いて利用者が必要な入力操作を行った後、入金または出金を行う際に図2A(a)に点線と矢印とで示しているように、現金自動取引装置1の内部に移動させられる。これにより、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42が露出させられ、利用者が紙幣、硬貨の投入、取り出しを行うことが可能となる。
【0020】
前述したような表示機構部4の移動は、制御部12からの指示により表示部の移動機構部11が図示しない移動駆動機構を制御することにより行われる。移動駆動機構は、例えば、表示機構部4の両側部に表示機構部4を乗せてスライドさせることができるようにしたレールを設け、モータを含む機構により表示機構部4をスライドさせることができる構成等、どのような駆動機構であってもよく、周知の手段により構成することが可能である。
【0021】
表示機構部4は、床面に対して水平になる角度、あるいは、奥側を僅かに高くして設置される。また、表示機構部4は、前述のようにほぼ水平に設置する以外にも、プライバシーフィルタ等の視野角を制限する製品と組合わせて設置角度をさらに大きくするようにしてもよい。但し、この場合にも、表示機構部4の入力部3を操作する状態で、表示機構部4が、紙幣機構部8の紙幣入出金口41及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42を覆うようにされている必要がある。
【0022】
前述した本発明の第1の実施形態は、表示機構部4が現金自動取引装置1の内部に移動させられた状態のとき、利用者から表示部2が見えなくなってしまい、操作に不慣れな利用者に不安を感じさせることがある。このため、本発明では、図2A(a)、図2A(b)に示しているように、補助表示機構部14を現金自動取引装置1の筐体のカード機構部5と、明細票機構部6と、通帳機構部7等が設けられるほぼ垂直となった正面板に設けるようにすることができる。この補助表示機構部14に、利用者に対する操作ガイダンス、アナウンス情報等を表示しておくことにより、操作に不慣れな利用者に不安を感じさせるようなことを防止することができる。また、この補助表示機構部14にもタッチパネル等による入力部を設けておくことにより、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42が開いている状態で何らかの操作が必要な場合の操作を行わせることも可能となる。
【0023】
前述で説明した本発明の第1の実施形態は、表示機構部4を紙幣機構部8の紙幣入出金口41及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42のシャッタとして利用しているので、表示機構部4が、現金自動取引装置1の内部に移動させられたとき、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42の両方が露出させられることになる。しかし、取引によっては、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42の両方を必要とせず、どちらか一方の入出金口だけ露出すればよい場合もある。
【0024】
図2Bは本発明の第1の実施形態の変形例による現金自動取引装置における表示機構部と現金の入出金口とを説明する図である。図2Bに示す例は、図2B(a)の側面図、図2B(b)の正面図に示すように、紙幣入出金口41、硬貨入出金口42のそれぞれに、紙幣入出金口用シャッタ43、硬貨入出金口用シャッタ44を設けて構成した例である。そして、これらのシャッタ43、44は、表示機構部4が現金自動取引装置1の内部に移動させられて、紙幣入出金口41及び硬貨入出金口42が露出させられるときに、取引の内容に応じて、どちらか一方、あるいは、両方のシャッタを表示機構部4の移動に伴って開くようにしている。
【0025】
図2B(c)に示しているのは、取引が紙幣の入出金だけでよい場合の紙幣入出金口用シャッタ43の状態を示している。この例の場合、紙幣入出金口用シャッタ43が表示機構部4と共に移動して、紙幣入出金口41が開いた状態にされる。一方、硬貨入出金口42は、硬貨入出金口用シャッタ44により塞がれた状態にされる。
【0026】
図2B(d)に示しているのは、前述とは逆に、取引が硬貨の入出金だけでよい場合の硬貨入出金口用シャッタ44の状態を示している。この例の場合、硬貨入出金口用シャッタ44が表示機構部4と共に移動して、硬貨入出金口42が開いた状態にされる。一方、紙幣入出金口41は、紙幣入出金口用シャッタ43により塞がれた状態にされる。
【0027】
図2Bには示していないが、取引が紙幣と硬貨との両方の入出金を要するものである場合、紙幣入出金口用シャッタ43、硬貨入出金口用シャッタ44の両方が、表示機構部4と共に移動させられて、紙幣入出金口41、硬貨入出金口42の両方が開いた状態にされる。
【0028】
図2Bに示して説明した例によれば、表示機構部4の開閉に連動して、かつ、取引の内容に応じて、紙幣機構部8の紙幣入出金口41及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42を覆うシャッタを開閉させているので、利用者が紙幣入出金口41に硬貨を投入したり、逆に、硬貨入出金口42に紙幣を投入しようとするような誤操作を防止することが可能となる。
【0029】
また、後述する本発明の第2の実施形態の場合のように、表示機構部を複数とする場合よりも、全体として表示面積の大きな表示機構部とすることができるため、ソフトウェアにより表示画面の利用方法を容易に変更することができる。
【0030】
図3は本発明の第2の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【0031】
図3(a)の正面図に示すように、第2の実施形態による現金自動取引装置1は、複数(図示例では2つ)の表示機構部を備えて構成されている。すなわち、第2の実施形態による現金自動取引装置1は、紙幣機構部8の紙幣入出金口41を覆う表示機構部21及び硬貨機構部9の硬貨入出金口42を覆う表示機構部22が現金自動取引装置1の筐体に設置されている。これらの表示機構部21、22は、それぞれ独立に移動可能にされており、紙幣の入出金を行う場合、表示機構部21が現金自動取引装置1の内部に移動させられ、硬貨の入出金を行う場合、表示機構部22が現金自動取引装置1の内部に移動させられて、それぞれの入出金口を露出することができる。表示機構部21及び表示機構部22は、前述のように独立して移動する以外にも連動して移動させることも可能である。前述のような表示機構部21及び表示機構部22の移動の制御は、図2A(a)参照して説明した場合と同様に行うことができる。
【0032】
また、本発明の第2の実施形態では、表示機構部21及び表示機構部22を現金自動取引装置1の内部に移動させる以外にも、図3(b)に示しているように、表示機構部21を横方向に移動させて、表示機構部22の上または下に重なるようして、紙幣入出金口41を露出させるように構成することもでき、あるいは、表示機構部22を横方向に移動させて、表示機構部21の上または下に重なるようにして、硬貨入出金口42を露出させるように構成することもできる。
【0033】
なお、この本発明の第2の実施形態において、2つの表示機構部21、22が装置内部に移動させられる場合には、この本発明の第2の実施形態に対しても、第1の実施形態で説明した場合と同様に、補助表示機構部14を設けるようにすることができる。また、図3(b)に示しているように、表示機構部21、22を横方向に移動させて、表示機構部21、22を重なるようした場合には、上になる表示機構部の表示部にガイダンス等の必要な情報を表示させることができ、また、必要により入力を行わせることもできる。
【0034】
前述までに説明した本発明の第1、第2の実施形態において、表示機構部4、21、22は、利用者が入出金口へ紙幣、硬貨を投入あるいは入出金口から紙幣、硬貨を抜き出したことが検出された後、制御部12及び表示部の移動機構部11により制御されて、入出金口41または入出金口42を閉じる方向に移動して利用者が入金または出金操作を行う以前の状態に戻る。
【0035】
図4は本発明の第3の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【0036】
図4に示すように、第3の実施形態による現金自動取引装置1は、前述で説明した第1の実施形態において、紙幣及び硬貨の入出金口を露出させた状態で表示部の一部が装置外部に露出しているように構成した例である。
【0037】
表示機構部4の表示部2は、表示部23及び表示部24により構成されており、表示部23及び表示部24は、それぞれ独立して表示制御され、あるいは、表示部2の全表示可能領域を一括して表示制御することも可能である。表示機構部4は、利用者が入金または出金操作を指定したことを入力部3で検出した後、制御部12による制御により現金自動取引装置1の内部へ移動を開始し、表示機構部4が所定の位置へ移動を完了した状態で、表示部23が現金自動取引装置1の内部にあり、また、表示部24が現金自動取引装置1の内部に収容されず外部に露出した状態となる。
【0038】
そして、外部に露出した状態にある表示部24には、利用者が取引操作を行うための操作ボタンまたは取引に関するガイダンス表示、広告その他の情報表示等を行うことが可能である。また、露出している表示部24は、露出している入力部3の一部により利用者の操作や指で押下された入力を受け付け、その押下を検出することができる。
【0039】
また、表示機構部4は、利用者が入出金口へ紙幣、硬貨を投入あるいは入出金口から紙幣、硬貨を抜き出したことが検出された後、制御部12及び表示部の移動機構部11により制御されて、露出している表示部24が現金自動取引装置1の内部に収容される方向に移動した上で移動方向を替えて、入出金口41または入出金口42を閉じる方向に移動して利用者が入金または出金操作を行う以前の状態に戻る。
【0040】
図5は本発明の第4の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部の清掃を行う清掃部の構成を示す図である。
【0041】
前述までに説明した本発明の第1〜第3の実施形態は、表示機構部を現金自動取引装置1の内部に収納することとしており、本発明の第4の実施形態は、表示機構部を現金自動取引装置1の内部に引き込んだときに、装置内部に設けられた清掃部15により表示機構部の清掃を行うことができるようにしたものである。
【0042】
清掃部15は、現金自動取引装置1の内部に配置され表示部2または入力部3の表面に接する位置に、制御部12により制御される図示しない駆動部により移動することができるように構成される。この清掃部15は、表示機構部が移動する方向に対して直角方向に延びる埃等を吸着する物質で構成されたブラシ等であってよい。
【0043】
前述の清掃部15は、表示機構部の全てが現金自動取引装置1の内部への移動を完了したことが、図示しないセンサ等により検出された後に、制御部12及び前述の図示しない駆動部により制御されて、表示機構部表面の表示部2または入力部3の表面に接する位置へ移動させられる。
【0044】
そして、清掃部15は、表示機構部4が移動する向きを替えて現金自動取引装置1の外部へ移動する動作の間、表示部2または入力部3の表面上に接触した状態とさせられることにより、表示部2または入力部3の表面に付着した異物や埃などを取り除くことができる。
【0045】
なお、表示機構部4の移動動作中には、入力部3での入力の検出を行わず、所定位置への移動の完了を検出した後に入力の検出を再開するようにすることにより、清掃部15の接触による入力の誤検出を防止することができる。
【0046】
図6は本発明の実施形態による現金自動取引装置の全体の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、ここでの処理は、制御部12による制御の下に行われる処理である。
【0047】
(1)現金自動取引装置1は、取引が開始されることを待ち、取引の開始にかかる入力があると、入力部3の操作によるこれから処理する取引にかかる情報(取引種別、暗証番号、出金金額等)の入力を受け付け、必要により、カード機構部5や通帳機構部7で取引に用いるキャッシュカードや通帳等の媒体の挿入を受け付ける(ステップ601、602)。
【0048】
(2)その後、現金自動取引装置1は、回線部10を介して取引の認証要求を図示しないセンタに送信し、センタからの認証結果を受信する。ここでセンタに送信する認証要求には、取引の種別、口座番号、暗証番号、取引金額等のステップ602で入力された情報が含まれている(ステップ603、604)。
【0049】
(3)現金自動取引装置1は、受信した認証結果が、今回の取引を許可するものであるか否かを判定し、認証結果が、今回の取引を許可しないというものであった場合、今回の取引で挿入されたキャッシュカードや通帳等の媒体を利用者に返却する返却処理等を行う。また、明細票にセンタからの取引拒否のメッセージを印字して排出し、ステップ601からの処理に戻って、次の取引のために待機する(ステップ605〜607)。
【0050】
(4)ステップ605の判定で、取引が許可されており、また、取引の種別が入金処理や入金を伴う振込処理であった場合、表示機構部4の入力部3からの入力を無効とすると共に、表示機構部4を現金自動取引装置1の内部に引き込む方向に移動させ、紙幣及び硬貨の入出金口41、42を露出させ、利用者に現金を投入させる(ステップ608〜611)。
【0051】
(5)利用者による現金の投入を終了した後、表示機構部4を現金自動取引装置1の内部から引き出す方向に移動させ、紙幣及び硬貨の入出金口41、42を覆うと共に、入力部3からの入力を有効とし、投入された現金の収納を行う(ステップ612〜614)。
【0052】
(6)ステップ608の判定で、取引の種別が入金処理や入金を伴う振込処理でなく、出金処理であった場合、ステップ609〜614の処理を行うことなく、現金を紙幣及び硬貨の入出金口41、42に放出し、また、ステップ609〜614の処理を行った場合、次に、明細票機構部5において明細票を発行する必要があるか否かを判定する。例えば、今回の取引で通帳が挿入されていれば、取引内容を通帳に印字し、明細票を発行しなくてよい場合がある(ステップ615、616)。
【0053】
(7)ステップ616の判定で、明細票を発行する必要があった場合、明細票機構部5に明細票を発行させた後、あるいは、ステップ616の判定で、明細票を発行する必要がなかった場合、通帳がある場合に通帳への印字を行わせた後、今回の取引で挿入されたキャッシュカードや通帳等の媒体を利用者に返却する返却処理を行うと共に、取引の種別が出金であったか否かを判定し、出金でなく入金であった場合、ここでの処理を終了して、ステップ601からの処理に戻って、次の取引のために待機する(ステップ617〜619)。
【0054】
(8)ステップ619の判定で、取引の種別が出金処理であった場合、表示機構部4の入力部3からの入力を無効とすると共に、表示機構部4を現金自動取引装置1の内部に引き込む方向に移動させ、紙幣及び硬貨の入出金口41、42を露出させ、利用者に現金を取り出させる(ステップ620〜622)。
【0055】
(9)利用者による現金の取り出しが終了した後、表示機構部4を現金自動取引装置1の内部から引き出す方向に移動させ、紙幣及び硬貨の入出金口41、42を覆い、入力部3からの入力を有効とし、ここでの処理を終了して、ステップ601からの処理に戻って、次の取引のために待機する(ステップ623、624)。
【0056】
前述した本発明の実施形態での処理は、プログラムにより構成し、本発明が備えるCPUに実行させることができ、また、それらのプログラムは、FD、CDROM、DVD等の記録媒体に格納して提供することができ、また、ネットワークを介してディジタル情報により提供することができる。
【0057】
前述した本発明の各実施形態によれば、現金自動取引装置の表示部を、現金機構の現金入出金口のシャッタとしているので、前述の表示部をほぼ水平に実装しても、装置の奥行きサイズを小さくして、装置全体を小型に構成することができ、かつ、表示画面の表示内容を背後から他の人に見られにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態による現金自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の第1の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【図2B】図2Bは本発明の第1の実施形態の変形例による現金自動取引装置における表示機構部と現金の入出金口とを説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部を説明する図である。
【図5】本発明の第4の実施形態による現金自動取引装置における表示機構部の清掃を行う清掃部の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態による現金自動取引装置の全体の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 現金自動取引装置
2、23、24 表示部
3 入力部
4、21、22 表示機構部
5 カード機構部
6 明細票機構部
7 通帳機構部
8 紙幣機構部
9 硬貨機構部
10 回線部
11 表示部の移動機構部
12 制御部
13 電源部
14 補助表示機構部
15 清掃部
41 紙幣入出金口
42 硬貨入出金口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記現金機構の現金入出金口である紙幣入出金口及び硬貨入出金口を前記表示部により覆った状態から前記表示部を装置内部に移動させると共に、取引の内容に応じて、前記紙幣入出金口及び硬貨入出金口のそれぞれを覆うシャッタの少なくとも一方を開いて前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能とすることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記現金機構の現金入出金口よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の現金自動取引装置。
【請求項3】
前記表示部は、該表示部と一体となった入力部を有することを特徴とする請求項1記載の現金自動取引装置。
【請求項4】
前記表示部に近接する清掃部を装置内部に備え、前記表示部が装置内部に移動させられるときに、前記表示部の表面が清掃されることを特徴とする請求項1記載の現金自動取引装置。
【請求項5】
補助表示部を有し、現金入出金口を覆う前記表示部が装置内部に移動したときに、前記補助表示部に文言を表示することを特徴とする請求項1記載の現金自動取引装置。
【請求項6】
表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記現金機構の現金入出金口を前記表示部により覆った状態から前記表示部を装置内部に移動させることにより、前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能とすると共に、現金入出金口が露出したとき、前記表示部の少なくとも一部が装置の外部に露出していることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記現金機構の現金入出金口よりも大きいことを特徴とする請求項6記載の現金自動取引装置。
【請求項8】
前記表示部は、該表示部と一体となった入力部を有することを特徴とする請求項6記載の現金自動取引装置。
【請求項9】
前記表示部に近接する清掃部を装置内部に備え、前記表示部が装置内部に移動させられるときに、前記表示部の表面が清掃されることを特徴とする請求項6記載の現金自動取引装置。
【請求項10】
補助表示部を有し、現金入出金口を覆う前記表示部が装置内部に移動したときに、前記補助表示部に文言を表示することを特徴とする請求項6記載の現金自動取引装置。
【請求項11】
表示部と現金入出金口を有する現金機構とを備え、前記表示部が、前記現金入出金口の紙幣入出金口を覆う表示部と、硬貨入出金口を覆う表示部とにより構成され、前記紙幣及び硬貨の入出金口を覆う2つの表示部が独立して移動させられ、前記現金機構の現金入出金口を前記2つの表示部により覆った状態から、2つの表示部の少なくとも一方の表示部を移動させることにより、前記現金入出金口を露出させて現金の投入、取り出しの操作を可能としたことを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項12】
前記紙幣及び硬貨の入出金口を覆う2つの表示部の一方が他方の表示部に重なるように移動させられることを特徴とする請求項11記載の現金自動取引装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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