説明

球体の的である捕捉器

【課題】球技の球や遊技銃の弾丸の飛散を防止することが可能な的である捕捉器を提供する。
【解決手段】球体衝突面の前方に、複数の線状体を飛来する球体8Aの直径未満の間隔で張り渡した球体通過面2を配置し、飛来する球体8Aが通過する際、球体8Aの運動エネルギーを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体捕捉器に関し、ことに球体を捕捉することによる遊戯銃の弾丸及び、球技や遊戯に使用するボールの的とした遊具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記捕捉する球体である遊戯銃の弾丸とは、合成樹脂素材で作られた一般に「BB弾」と称する球形の弾丸などが想定される。また上記ボールとは、例えば一般に流通している野球、ソフト、テニス、卓球、ゴルフのボールなどや玩具であるカラーボールや模倣球技用ボールなどを想定する。
【0003】
従来からある上記遊戯銃の球形弾丸を受ける的には、特許文献1の特開平2006−336986号公報のような、発砲スチロール樹脂製の箱状の容器の内部にウレタンフォームの緩衝材を配し、飛弾を受ける面をウレタンフォームに短冊状の切込みを入れスクリーン状にして、その前面の紙製印刷物を吊るし、打ち抜くことで命中位置の確認と飛散防止をするものや、特許文献2の実用新案登録第3132905号公報のように、箱状に形成された箱の内部に垂幕状に緩衝面を配し、前面に弾丸が貫通する材質の標的面を配して、標的面を打ち抜くことで命中位置の確認ができ、飛散を防止する標的箱などのようなものが提案されている。
【0004】
また、特許文献3の実開平6−30696号公報は、背面に衝撃吸収材の層を持ち、表面に粘着材の層を配しこの層に飛来した弾丸が貼り付く事で、命中位置の確認と飛散を防止するものなども考案されている。
【0005】
ところで、遊戯銃に使用する弾丸である「BB弾」と呼ばれるものは、塩化ビニル等の通常「プラスチック」と呼ばれる素材で作られた球形の弾丸で、6mm〜8mm程度の直径を有し、重さが0.12〜0.43グラムのものが生産されている。
【0006】
遊戯銃の特に18歳以上向けの遊戯銃の電動ガンなどは、運動エネルギー値は改正銃刀法により0.989J(ジュール)以下に基準が定められてはいるが、大きさ直径6mm、重さ0.2gの標準的なBB弾を発射した場合、飛弾の初速は約99メートル毎秒のスピードとなる事から、その威力は大きく破壊力も大きい。この様な飛弾を受け止め命中位置の確認ができる従来からある的は、頻繁に消耗品を出すものが多い。また遊戯銃の中には電動のガン等にフルオート機能という連射機能を備え、毎秒約15発程度のBB弾を連射できる物がある。更に数百個のBB弾を供給できるマガジンという装置を装着して使用する事ができる。この様な遊戯銃から大量に放たれたBB弾の飛散を防止して捕捉する的は従来からある頻繁に消耗品を出すものでは不向きといえる。
【0007】
例えば、特許文献2特開平2006−336986号公報や、特許文献3実用新案登録第3132905号公報などの的は、箱状の的体の前方に、紙面に黒点を中心に同心円を描いた物を標的として設置するものである。その紙面を打ち抜き弾痕を付ける事で命中位置の確認をするものであるが、このように紙面を撃ち抜く的では数十発のBB弾に撃ち抜かれる事で、紙面は大きく破損する。また弾痕が増えるにつれ命中位置の確認もし難いため頻繁に紙面の交換が必要となる。
【0008】
特許文献3の実開平6−30696号公報の的は、遊戯銃から放たれたBB弾を受ける面が、粘着物質で出来た面となっており、この粘着面にBB弾が衝突して貼り付く事で命中位置の確認が出来るものである。この様な的は、粘着面に異物、埃などが貼り付く事により粘着能力の低下、劣化なども考えられる。また、弾速99m毎秒の強いエネルギーを持った弾丸の衝撃や、連射による、数百発もの弾丸を受け止めるだけの粘着力が持続することは通常流通している粘着テープ等の粘着力から判断しても、その機能の継続や耐久性が優れているとはいえない。
【0009】
また、空き缶や小物等をターゲットとして置き、撃つ事がある。ターゲットに当たったり、はずれたりしたBB弾は方々に飛散することになる。屋内においては、BB弾のような小さい球体が散乱すると、片付けるのは大変面倒な事となる。屋外の場合、散乱したBB弾の回収はかなり困難といえるため、放置せざるを得ないが、いくら小さな物体でも、プラスチック樹脂のBB弾を放置することは環境面においても良いとはいえない。
【0010】
そして、紙面などに黒点を中心に同心円を描いた標的は、撃ち抜かれ破損することで、その都度、消耗品として使い捨てにされていることや、交換しなければならず、細かい屑なども出るため、片付けに手間が掛かり、面倒なものであり、紙などの資源も勿体無いといえる。
【0011】
また、球技用のボールの的としては、特許文献4第3063804号公報のように、外枠の中をいくつかの内枠で仕切り、その内枠に番号の付いたボードを取り付け、ボールを当てることでボードを打ち抜く方式の的当て遊具が、幾つか提案されているが、例えば時速100キロを超える球速の投球がボードを打ち抜いた場合そのボード及びボールは的の近傍に止まるものでは無く、方々に散乱するなどの安全性を考えると、容易に一般家庭で扱える遊具とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2006−336986号公報
【特許文献2】登録実用新案第3132905号公報
【特許文献3】実開平6−30696号公報
【特許文献4】登録実用新案第3063804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は簡易な構成で球体を確実に捕捉することで、遊戯銃の球形弾丸や球技用のボールの飛散の防止ができる的(まと)である捕捉器により解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
具体的には、下記の方法により、上記課題を解決する。
(1) 球技又は遊戯で投打又は発射された球体の的である捕捉器において、前記球体の飛来方向を前記捕捉器の前方として、前方側に前記球体の直径未満の間隔にて並列して張り渡された複数本の線状体により構成された球体通過面を有するとともに、前記球体通過面の後方側に球体衝突面を有しており、前記球体衝突面に向かって放たれた前記球体が、前記球体通過面に衝突することにより、前記線状体を撓らせながら、前記間隔を押し広げて前記球体通過面を通過し、前記球体衝突面に衝突し、前記球体通過面の前記球体が通過した部位の前記間隔が元に戻ることにより、前記球体が前記球体通過面の前方部に脱出することを阻止して前記球体を前記球体衝突面と前記球体通過面との間に捕捉することを特徴とした捕捉器により、上記課題を解決する。
【0015】
(2)前記球体衝突面に、緩衝部材から成る衝撃緩衝部を備えたことを特徴とする(1)記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0016】
(3)前記球体通過面と球体衝突面を当接又は前記球体の直径未満の距離内に近接した位置に設置し、前記球体通過面を通過した前記球体を、前記球体衝突面と前記球体通過面との間に挟み捕捉することを特徴とする(1)又は(2)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0017】
(4)前記球体通過面を複数層重畳的に設けたことを特徴とする(1)乃至(3)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0018】
(5)複数層設けられた前記球体通過面は、各々の線状体の材質又は/及び太さ又は/及び張力の何れか又は全てを違いにしている事を特徴とする(4)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0019】
(6)複数層設けられた前記球体通過面が、前記球体通過面に対して略直角方向の線状体により、互いに連結されたことを特徴とする(4)又は(5)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0020】
(7)前記球体通過面と前記球体衝突面を配置する間隔を変更する調節機構を設けたことを特徴とする(1)乃至(5)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0021】
(8)少なくとも一面に開口部を有する容器の開口部に前記球体通過面を設け、容器内に前記球体衝突面を設けたことを特徴とする(1)乃至(7)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0022】
(9)遊戯銃から発射された球形弾丸を捕捉することを目的とした(1)乃至(8)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【0023】
(10)投打された球技用のボールを捕捉することを目的とした(1)乃至(8)に記載の捕捉器により、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、運動エネルギーを持ち飛来した球体を、線状体から成る球体通過面を通過させることで、捕捉器内に取り込み、捕捉器内部で球体の運動エネルギーを放出及び消失させることで、前記球体を捕捉器内に捕捉する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】球体通過面2と球体衝突面3を有した捕捉器の斜視図
【図2】球体通過面2と衝撃緩衝部5を有した捕捉器の斜視図
【図3】球体通過面2と衝撃緩衝部5が当接又は近接した捕捉器の斜視図
【図4】複数の球体通過面2を設置した捕捉器の斜視図
【図5】複数の球体通過面2と衝撃緩衝部5が当接又は近接した捕捉器の断面図および斜視図
【図6】運動エネルギーを消失させる捕捉器の断面図
【図7】複数の球体通過面2を有した捕捉器の断面図
【図8】複数の球体通過面2が容器の前方側に設置された捕捉器の断面図
【図9】球体通過面2の構成の図
【図10】衝撃緩衝部5の構成の図
【図11】球体8の通過動作を説明する図
【図12】(図2)に記載の捕捉器による捕捉動作を説明する図
【図13】(図3)に記載の捕捉器による捕捉動作を説明する図
【図14】上記捕捉器による捕捉動作を説明する図
【図15】箱状の「的」に構成した捕捉器の図
【図16】球体通過面v,wの説明の図
【図17】受動的に動く構成の捕捉器の図
【図18】卓球ボールの捕捉器の図
【図19】野球のボールの捕捉器の図
【図20】ゴルフボールの捕捉器の図
【図21】硬球の捕捉動作を説明する図
【図22】連結線状体7を用いた捕捉動作を説明する図
【図23】球体通過面2のボールの通過動作を説明する図
【図24】複数の球体通過面2による捕捉動作を説明する図
【図25】衝立型の捕捉器を説明する図
【図26】機械的な形式の捕捉器を説明する図
【図27】調節機構を説明する図
【図28】壁掛型の捕捉器を説明する図
【図29】スクリーン形式の捕捉器を説明する図
【図30】球体通過面2の構成を説明する図
【図31】吊る形式の捕捉器を説明する図
【図32】スクリーン形式の捕捉器の使用例を説明する図
【図33】スクリーン形式の捕捉器の使用例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の捕捉器は、球技又は遊戯で投打又は発射された球体を捕捉することを目的とした、的(まと)である。(図1)において、球体8は遊戯銃から発射された弾丸や、球技や遊戯での使用により投打されたボールであり、本捕捉器が捕捉する対象物である。
【0027】
本発明に係る捕捉器の形状は、運動エネルギーを与えられた球体8が飛来する方向に向かって前方側に球体通過面2を有し、後方側に球体衝突面3を有する事で、前記球体通過面2と前記球体衝突面3との間に球体8を止める事及び留める事ができるものである。
【0028】
(図1)に記載の捕捉器1は、立方体の形状をした容器である。球体8の飛来方向を、容器の前方側として説明すると、容器前方側の一面に開口部Kを有した容器は、その開口部Kに線状体6から成る球体通過面2を有し、容器内部の後方側に球体衝突面3を有している。前記球体通過面2と前記球体衝突面3の間の空間部をVとする。容器の周囲は捕捉された球体が、外部にこぼれない壁1Aで囲まれた構成である。
【0029】
捕捉器1を構成する容器の材質は、捕捉を対象とした球体8が飛来して接触した際に、そのエネルギーにより破損しない強度があるものが好ましい。捕捉の対象とする球体8に合わせてスチール、アルミ、セラミック、プラスチック、木枠など様々の素材が使用できる。
【0030】
球体通過面2の構成を(図9)により説明すると、外側が設置枠4であり、その端縁4Aから対面する方向に複数の線状体6が張り渡された面である。線状体6と線状体6の隙間Hが捕捉の対象とする球体8の直径未満の間隔に並列配列されている。設置枠4の端縁4Aと線状体6で形成されている隙間Hも、捕捉の対象とする球体8の直径未満で形成されている。
【0031】
上記球体通過面2は、球体8が通過する際に線状体6と接触する事で起こる摩擦により、球体8の威力(球速及び運動エネルギー、)を弱める減速装置である。このとき飛来する球体8に起こる回転(スピン)を軽減する効果もある。
【0032】
更に、上記球体通過面2は、捕捉器内に進入した球体8が外部に脱出する事を阻止する脱出防止装置となる。
【0033】
減速装置並び脱出防止装置である球体通過面2を構成する線状体6の材質は、球体の衝撃を繰り返し受ける為、捕捉の対象とする球体8の種類、素材により、通過時に起こる摩擦などを考慮して選定されるが、耐磨耗性などの耐久性にすぐれたものが良く、天然繊維又は化学繊維からできる糸や、撚糸、などが使用できる。捕捉の対象とする球体8の種類や、与えられる運動エネルギーの大きさを考慮して選定することが好ましい。
【0034】
球体通過面2を構成する設置枠4の材質は、線状体6を張るため、穴を開けることや溝を彫るなどの加工が可能であり、線状体6の張力により過度の変形を抑制でき、球体8の衝突により破損しないものが好ましく、スチール、アルミ、セラミック、プラスチック、木枠など様々の素材が使用できる。
【0035】
(図2)に記載の捕捉器1は、(図1)で述べた容器内部の後方側に有する球体衝突面3に衝撃緩衝部5を備えた構成である。この場合、衝撃緩衝部5は球体衝突面3となる。これにより運動エネルギーを持ち飛来した球体が、減速装置である球体通過面2を通過した後に、衝撃緩衝部5に衝突することで、そのエネルギーを効率よく放出、消失させることを目的とするものである。
【0036】
衝撃緩衝部5の構成を(図10)で説明すると、内部に球体の衝撃を吸収する緩衝材9を有し、その外部を革や布などで覆った緩衝材外面10として、飛来した球体8を受ける面を緩衝材外面10Aとしたものである。
【0037】
衝撃緩衝部5を構成する緩衝材9の材質は、球体8の衝突による衝撃力を十分に和らげる事ができる低反発性の素材が良く、例えば天然又は化学素材からできる綿状、粒状、スポンジ状、ゲル状の物質等を使用する事が好ましい。その外側を構成する緩衝材外面10の材質は、球体8の繰り返しの衝突により破損や磨耗が起こりにくい丈夫な素材が好ましく、球体8が衝突した際に十分に沈む軟らかさがあることを考慮して、天然又は化学素材で出来た目の細かい布状のものや革状のものを使用する。
【0038】
衝撃緩衝部5を構成する材質を選定するにあたり、飛行球体の運動を妨げ抵抗する力は摩擦であるので、球体8が良く食い込み、球体8の面を包み込む様に凹む柔らかな材質で構成することが好ましい。
【0039】
例えば、緩衝材9は球体8が衝突したことで、良く凹み反発の起こり難い、化学繊維からできた綿にして、緩衝材外面10は天然革や人工革が加工されたもので、ムートン状の物を使用し、その毛並みを球体8の直径より短く刈り込んだものを使用すると、衝突時に緩衝材外面10Aは球体を包み込む様になる。その結果として、球体の運動エネルギーが放出され、消失する。
【0040】
また、一部の捕捉器の衝撃緩衝部5は、内部をエアーマット状の構成にすることや球体を通さない目の細かなネットや、布などを垂れ幕状に設置しても球体の衝突時に、その運動エネルギーを放出させる事が出来る。
【0041】
(図3)に示した捕捉器1は、上述した容器に設置された球体通過面2と衝撃緩衝部5を、触れ合う位置(この位置を当接とする)に設置するか、球体の直径未満の距離内の近接位置に設置する構成の捕捉器である。
【0042】
以上の(図1)(図2)(図3)を基本的な構成とした捕捉器により、以下、球体8の捕捉について説明する。
【0043】
運動エネルギーを与えられ、飛来する球体8には、質量の小さな遊戯銃の弾丸であるBB弾や、これに比べ質量の大きい野球のボールなどがあり、また、捕捉器に衝突するその衝撃により、球体の外面が一時的に変形し易いものと、し難いボールなどの様々な球体がある。
【0044】
それらの様々な球体8を捕捉する構成について説明するにあたり、球体8が多種類であるため、捕捉の対象とする球体8を、小さな球体の、遊戯銃の弾丸をBB弾8Aとする。前記8Aに比較して寸法および質量が大きい野球の硬球を硬球8Bとする。更に、本捕捉器を説明する上で登場するボールを卓球ボール8C、ゴルフボール8Dとして、その他の野球の軟球や、テニスボール、ソフトボールそして、玩具であるカラーボールや模倣球技用ボール等など様々な、質の違った球体をボール8Eとする。
【0045】
8A乃至8Eの捕捉について、以下実施例により説明する。
【0046】
まず、実施する形態を遊戯銃の弾丸のBB弾8Aを捕捉の対象とする事により、本発明の捕捉器の基本的な構成による、球体の捕捉について説明する。
【0047】
対象とするBB弾8Aは、主にプラスチック製の直径6mmと8mmの球形弾丸があり、6mmのBB弾が多く流通している。重量も0.12g・0.20g・0.25g・0.30gなど質量の違う物が生産されている。
【0048】
そして、遊戯銃はエアソフトガン、モデルガン、その他の銀玉鉄砲などの3種に区別されている。この中で弾丸を発射することができるものはエアソフトガンと銀玉鉄砲である。
【0049】
銀玉鉄砲の弾速は弱く、純粋に子供向けの玩具とみなされている。エアソフトガンのなかで10歳以上を対象とした遊戯銃は、青少年育成条例により、発射されたBB弾の運動エネルギー値が、直径6mmのBB弾の場合、単位面積あたり0.135J(ジュール)以下と設定されている。しかし、エアソフトガンであっても18歳以上を対象にしたものは改正銃刀法により0.989J以下に基準が定められている。
【0050】
前記0.989JのBB弾の速度は直径6mm、重量0.20gのBB弾の場合、約99メートル毎秒となる。
【0051】
上述した、子供向けのものから、18歳以上を対象とする遊戯銃より放たれたBB弾を捕捉する構成について、実施例により説明する事とする。
【実施例1】
【0052】
(図1)に記載した捕捉器1は、遊戯銃から放たれたBB弾8Aの飛来方向である容器の前方側の開口部Kを球体通過面2で塞ぎ、BB弾8Aが容器内に進入して衝突する容器の後方側を球体衝突面3とし、球体通過面2と球体衝突面3の間を空間部Vとした構成である。
【0053】
球体通過面2を(図9)により説明する。球体通過面2は、設置枠4に複数の線状体6を張り、その設置間隔をBB弾8Aの直径6mmに対して、2mm〜5mm程度の隙間Hを空け並行配列されたものである。設置枠4の端縁4Aと線状体6の隙間Hも、BB弾8Aの直径未満に構成されたものである。
【0054】
球体通過面2は、遊戯銃から与えられるBB弾8Aの運動エネルギーに合わせて、BB弾8Aが通過出来るように、隙間Hの間隔幅や設置枠4に線状体6を張る力を考慮して、構成することが好ましい。
【0055】
設置枠4の材質は、線状体6を張るため穴を開けることや、プレスするなどの加工ができ、BB弾8Aが接触した際にそのエネルギーにより破損しない強度と、線状体6を張る力により過度の変形が起こらない強度がある事が好ましく、例として軽金属のアルミの枠とする。
【0056】
線状体6の材質は、BB弾8Aの繰り返しの衝撃による磨耗や破損の少ない丈夫さを考慮して選定する事が好ましく、例として、釣り等で使用するテグスのナイロン糸10号、直径約0.52mmのものを使用する。
【0057】
上述した(図1)に示した構成の捕捉器1が、BB弾8Aの捕捉する動作につき(図11)を用いて説明する。
【0058】
(図11)は、球体8が球体通過面2を通過する過程を示している。
(図11A)に表すように、運動エネルギーを持ち飛来したBB弾8Aが球体通過面2に衝突する事で、(図11B)に表すように、球体通過面2を形成する線状体6はBB弾8Aの衝突するエネルギーにより、BB弾8Aの球体面に沿って撓り、隙間Hは押し広げられ、BB弾8Aは球体通過面2を通り抜ける。このときに線状体6と接触する事で起こる摩擦により、BB弾8Aは減速され容器の内部に進入する。略同時に(図11C)に表すように、線状体6の撓りは元に戻り、前記隙間HはBB弾8Aの直径未満に戻る事で、BB弾8Aが容器内に進入した経路を塞ぐ。
【0059】
一方で、容器内部に進入したBB弾8Aは、容器内の後方側の球体衝突面3に衝突することで、進入した時に比べ、運動エネルギーを弱めて跳ね返るが、容器内から球体通過面2に衝突しても、線状体6の張力から成る抵抗によって容器外へ脱出する事は出来ない。球体通過面2により行く手を阻まれたBB弾8Aは容器内の空間部Vに留まり捕捉される構成である。
【0060】
上述した構成の捕捉器1でBB弾8Aを捕捉するためには、BB弾8Aが球体通過面2を通過する際に減速するほか、容器内後方側の球体衝突面3に衝突することで、運動エネルギーを放出させ、容器内部で消失させることが重要であるため、その方式を(図6)により説明する。
【0061】
(図6)に示したものは、捕捉器1を側方から見た断面図を表している。(図6A)に表したように、容器前方側の球体通過面2と容器後方側の球体衝突面3の設置距離Nが近いと、BB弾8Aが球体衝突面3に衝突して跳ね返った後の運動エネルギーにより球体通過面2を逆に通過して容器外部に脱出することが考えられる。
【0062】
したがって、(図6B)に表すように、前記球体通過面2と球体衝突面3の設置距離Nを離して設置することで、空間部Vの奥行きによる距離を長くして、球体衝突面3に衝突して球体通過面2方向へ跳ね返るBB弾8Aの運動エネルギーを、空間部V内の移動中に弱めて、球体通過面2により脱出を防止する構成にするものである。
【0063】
(図6C)に表した捕捉器1は、容器の後方側の球体衝突面3の設置角度を変え、球体衝突面3に衝突したBB弾8Aが、球体通過面2の方向に直に跳ね返ることを防ぎ、空間部Vにおいてエネルギーを消失させ捕捉するものである。(図6D)に表したように、設置角度Lを鋭角に設置したものと、(図6C)のように設置角度Lを鈍角に設置したものではBB弾8Aの跳ね返る角度が違うことから、対象とする遊技銃の機能に合わせて設置角度Lを設置することが好ましい。
【0064】
また、上述した捕捉器1の構成に加えて、容器前方側に設置する(図9)に示した、球体通過面2の線状体6を配列する間隔幅から出来る隙間Hと、線状体6を張る力の加減も、BB弾8Aの運動エネルギーの消失に関係するため、対象とする遊技銃の機能に合わせて構成とすることが好ましい。
【0065】
この構成の捕捉器は、球体衝突面3に衝突するエネルギーにより、プラスチック製のBB弾8Aが破損する事の無い、比較的、威力の弱い子供向け玩具銃を対象とする捕捉器に好ましい。
【実施例2】
【0066】
(図2)に記載の捕捉器1は(図1)に記載の捕捉器1の容器後方側の球体衝突面3に衝撃緩衝部5を備えた構成のものでる。前記構成にする事により、実施例1で詳述したように、球体通過面2を通過し容器内に進入したBB弾8Aが、衝撃緩衝部5に衝突することで、BB弾8Aの運動エネルギーを効率よく消失させる構成である。
【0067】
(図12)により(図2)に例示する捕捉器1によって球体が捕捉される模様を説明する。(図12A)に表すように、BB弾8Aは球体通過面2を通過した後に、容器の後方側の衝撃緩衝部5に衝突して衝撃緩衝部5から球体通過面2の方向へ跳ね返る。前記衝撃緩衝部5にBB弾8Aが衝突した模様を(図12B)により説明する。
【0068】
(図12B)に示したものは、BB弾8Aが衝撃緩衝部5に衝突した模様を表している。BB弾8Aは衝撃緩衝部5に衝突することによりエネルギーを放出して威力を弱め、容器内部において降下する。しかしながら、遊戯銃の種類や射撃距離の違い、又は衝撃緩衝部5の材質や構成等により衝撃緩衝部5から球体通過面2方向へBB弾8Aは撥ね返るが、容器内に進入する時に比べエネルギーはかなり弱くなっているため、容器内部で球体通過面2に衝突に衝突しても、(図12A)に表すように、線状体6の張力から起こる抗力により行く手を阻まれ、容器外部、つまり球体通過面2の前方部に脱出すること無く捕捉器1内部の空間部Vに留まり捕捉となる構成である。
【0069】
上記空間部VにBB弾8Aを留め捕捉する捕捉器1を構成する衝撃緩衝部5を(図10)を用いて説明する。緩衝材9の材質は化学繊維の綿とし、緩衝材外面10の材質は、革を使用して、革の裏面が、緩衝材外面10Aと成るようにして、緩衝材9を覆ったもので、厚さは10〜30mm程度とすることが好ましい。
【0070】
この捕捉器1の衝撃緩衝部5の材質は、緩衝材9は柔らかく衝撃により良く沈む素材が好ましく、天然繊維又は化学繊維からできる綿、合成樹脂でできた粒上物質やスポンジ状のものなどから選定することが好ましい。
緩衝材外面10は、BB弾8Aの衝撃により貫通しない、目の細かい天然繊維や化学繊維で出来た布などを使用する事が好ましく、繰り返しBB弾8Aが衝突することで、破損しない耐久性を考慮する必要がある。
【0071】
容器内部でBB弾8Aの運動エネルギーを消失させる工夫として、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間の空間部Vの広さを変えたり、衝撃緩衝部5の設置角度Lにより、跳ね返る方向を変えたり、(図9)に示した、球体通過面2を成す線状体6の張力と、線状体6と線状体6の隙間Hの間隔幅を変えることで、威力の違う遊戯銃や射撃距離などから起こるBB弾8Aの運動エネルギーの差に対応するものである。
【0072】
なお、上記BB弾8Aを容器内部に留め捕捉する的においては、容の形状等により、衝撃緩衝部5は、例えば、サッカーのゴールネットの様に、球体が貫通しないネットや布などを、垂幕状に容器内に設置しても、BB弾8Aのエネルギーは放出できる。
【実施例3】
【0073】
(図3)は、上述した容器に設置した球体通過面2と衝撃緩衝部5が、当接又は近接位置に設置された捕捉器1を表している。この構成の捕捉器1は、(図1),(図2)の捕捉器と違い空間部Vを有さない構成の(図15A)に表すような、前後奥行きの浅い形の捕捉器1を構成する事が出来る。
【0074】
この捕捉器1に、BB弾8Aが飛来して、球体通過面2を通過し、衝撃緩衝部5に衝突する。当該捕捉器1はその衝撃で出来る凹変形部と球体通過面2を成す線状体6の間に挟み、BB弾8Aを衝撃緩衝部5の球体衝突位置に止めることができ、命中位置の確認が出来る構成である。
【0075】
(図3)に示した、捕捉器1によるBB弾8Aが捕捉される模様を、(図13)の捕捉器1を側方から見た断面図を用いて説明する。
【0076】
(図13A)に表したものは、実施例1,2で詳述のように、BB弾8Aが球体通過面2を通過し、捕捉器1の中に進入し、当接する衝撃緩衝部5に衝突した模様である。
【0077】
飛来したBB弾8Aは、線状体6を撓らせて、(図13B)に表すように、当接位置の衝撃緩衝部5に衝突して、このことで起こる衝撃緩衝部5の凹変形部位において動きが止まる。これは、緩衝材9によって、運動エネルギーを放出し、緩衝材外面10Aに包み込まれるようにBB弾8Aが沈み、エネルギーを消失するものである。
【0078】
これと略同時に線状体6は撓り戻り原状へ回復し、押し広げられた隙間Hは狭まり、凹変形部に居るBB弾8Aを球体通過方向の後方部より押さえこむことにより、(図13C)に表すように、衝撃緩衝部5と球体通過面2を成す線状体6に挟み、衝突部位に止める。
【0079】
この構成は、衝撃緩衝部5の衝突部位においてBB弾8Aの運動エネルギーを放出及び消失することが好ましいため、緩衝材9は柔らかく、衝撃により良く沈む素材が良く、天然又は人口の繊維から出来た綿などから選定することが好ましい。緩衝材外面10の素材は、耐久性のある、天然又は人工の革のムートン様の毛を、BB弾8Aの直径以下の長さに短く刈り込んだものを使用することで、衝突時に、緩衝材外面10AはBB弾8Aを包み込む様になることで、反発し難い。
【0080】
この衝撃緩衝部5が球体通過面2と当接する捕捉器1の構成を、更に詳述すると(図13B)で表すように、BB弾8Aが衝撃緩衝部5に衝突した際にエネルギーを放出することと、硬い物体であるBB弾8Aの面が、衝撃緩衝部5の柔らかい面に食い込むことにより生じる摩擦により、BB弾8Aの運動エネルギーを消失させることで、球体の動きを止めるもので、球体の運動を妨げ、抵抗する力は摩擦であり、BB弾8Aと緩衝材外面10Aとが接する表面積を大きくすることで、摩擦力が大きくなるため、BB弾8Aのエネルギーを消失することができ、BB弾8Aは衝突部位である凹変形部に一時的に止まる。
【0081】
これと略同時に(図13C)に表したように、線状体6は撓り戻り、一時的に止まったBB弾8Aを球体通過方向後方部より押さえ込み、その後に起こるBB弾8Aの動きを止める。BB弾8Aは、衝撃緩衝部5と球体通過面2を成す線状体6から受ける圧力により起こる相互作用により、衝突部位である凹変形部で捕捉となる。
【0082】
この構成の捕捉器1は、衝撃緩衝部5と、球体通過面2を成す線状体6の張力、線状体6間の隙間Hの幅を変更することで、様々な遊戯銃に対応する捕捉器ができる。衝突位置にBB弾8Aを止めることができ、命中位置の確認が出来る(図15A)に表した箱状の的ができるものである。
【0083】
(図14)に表した捕捉器1の断面図により、衝撃緩衝部5と球体通過面2が、近接位置に設置された場合を説明すると(図14A)に表したように、BB弾8Aが衝突した後に、衝撃緩衝部5に圧されることで、球体通過面2を成す線状体6に挟まれる事で、衝突部位に止まるため、衝撃緩衝部5と球体通過面2の設置距離Nは、BB弾8Aの直径未満で半径程度の距離に設置する構成が好ましい。
【0084】
そして、球体通過面2を成す、線状体6の向きは、BB弾8Aのような質量の小さな球体で有れば、縦方向でも可能ではある。しかしながら、球体の静止エネルギーを止め、落下を防ぐには(図14B)のように、線状体6の向きが、水平に成るように設置することが好ましい。
【0085】
この衝撃緩衝部5と球体通過面2が、近接する構成の捕捉器1は、BB弾8Aに与えるエネルギーでは衝撃緩衝面を十分に凹ませる力の比較的弱い、背少年育成条例により規制されている、10歳以上を対象とした遊戯銃の的に好ましいといえる。
【0086】
以上、(図3)に示した捕捉器1を構成するにあたり、BB弾8Aの持つ、運動エネルギーの大きさと、それを受ける衝撃緩衝部5の材質などにより球体の捕捉される位置が変わる事を考慮する。球体通過面2を成す線状体6は、BB弾8Aが衝突することで、球体進行方向にも撓り、衝撃緩衝部5の緩衝材外面10Aとの接触も起こるため、この摩擦も考慮して、当接や近接位置に設置することが好ましい。
【0087】
尚、上記、実施例により説明した(図1)(図2)の構成により、容器内の空間部Vに捕捉されたBB弾8Aは、容器の壁1Aに取出し口を設置することで取り出せる。一方(図3)の構成の捕捉器は(図15A)に表すように、空間部を持たない浅い箱状の捕捉器1となるため、(図15B)に表すように、衝突位置に止まったBB弾8Aを衝撃緩衝部5の後方から球体通過面2の方向に圧すことで球体通過面2の前方部、つまり容器外部へ簡単に取り出す事ができる。
【0088】
一方、18歳以上を対象にした遊戯銃のエアソフトガンは、フロンガスやグリーンガスの圧縮ガスを利用するガスガンや、電動機械装置で連続的に空気を圧縮する電動ガンなどがある。電動ガンにおいては、コッキング動作をモーター駆動で行う事により、フルオート射撃という連射ができる。連射速度も秒間15発程度と十分に速く、銃にBB弾を供給するマガジンには200〜600発もしくはそれ以上が収められる物もある。
【0089】
直径6mm重量0.20gのBB弾の場合、与えられる運動エネルギー値が、改正銃刀法により0.989J以下である。しかし、弾の速度は98〜99メートル毎秒という速度となり、その威力は至近距離で厚さ5mm程度の段ボールを撃つと、貫通するほど強いものである。この大きなエネルギーを持った大量のBB弾8Aを受ける捕捉器には、更なる構成が必要である。
【0090】
実施例4により、18歳以上を対象にした遊戯銃から発射される的とした捕捉器の構成と特徴を説明する。
【実施例4】
【0091】
(図4)における捕捉器1は、前記記載の(図1),(図2),(図3)で示した構成の球体通過面2を、容器の内部に複数の層に重畳的に設置することで、容器内に進入したBB弾8Aの運動エネルギーを減少させ、容器内で跳ね返ったBB弾8Aのエネルギーを消失させる構成である。
【0092】
上記複数の層に設置する球体通過面2を成す線状体7の向きは、前記記載の(図1)(図2)に示した、BB弾8Aを容器内の空間部Vに捕捉し留める構成の捕捉器の場合どの方向を向いていても、BB弾8Aの通過には差し支え無い。
【0093】
また、使用する線状体が有色な材質であれば、これにより構成される球体通過面2の面は、カラフルなものになることから、デザイン的にも良い構成となる。
【0094】
(図4)に表した捕捉器1において、BB弾8Aの捕捉について説明をする上で、容器の内部に複数の層に設置された球体通過面2を、BB弾8Aが、飛来して、通過する順番に、球体通過面2a,2b,2c,・・・と、して球体通過面2の設置する距離を設置距離Mとして説明する。
【0095】
(図7)に表したものは、複数の層の球体通過面2を容器内に設置して、(図4)の構成の球体衝突面3に衝撃緩衝部5を備えた構成の捕捉器1である。この捕捉器1によるBB弾8Aの捕捉の模様を(図7A)で説明する。
【0096】
(図7A)に表した模様は、18歳以上を対象とした遊戯銃から発射されたエネルギーの強いBB弾8Aが飛来して、容器前方側に設置された球体通過面2aを通過して容器内に進入し、容器内部に設置された球体通過面2b、2c・・・の順番に、通過を繰り返すことで、線状体6との間に起こる摩擦により、そのエネルギーを徐々に弱めて往き、容器後方側部の衝撃緩衝部5に衝突して跳ね返る。この時点でBB弾8Aの運動エネルギーは、相当に消失しているため、球体通過面2を成す線状体6の張力から起こる抗力により行く手を阻まれ、エネルギーを失い捕捉される。
【0097】
(図7B)に表したものは、エネルギーの比較的弱い遊戯銃のBB弾8Aが、球体通過面2aを通過して、容器内に進入し、容器内部に設置された球体通過面2b、2c・・・により運動エネルギーを消失して、何れかの設置間隔Mの間か、設置距離Nの間の空間部Vで捕捉となった模様である。
【0098】
このように、球体通過面2を容器内に複数の層に設置することで、BB弾8Aの運動エネルギーは、容器内部で確実に消失できる。その結果として、力の弱い銃から強い銃まで様々な遊戯銃に対応できる捕捉器が構成できるものである。
【0099】
尚、前記捕捉器1の場合、容器内部に設置する球体通過面2b、2c・・・などは(図7C)に表すように、設置枠4の隅を少し開けて、BB弾8Aが容器内を移動できる構成にするか、容器の壁1Aを加工してBB弾8Aが移動できるような構成にすることでBB弾8Aは取り出しやすくなる。
【0100】
(図8)に表したものは、複数の球体通過面2が、容器の前方側に集中して設置された構成の捕捉器1を側方から見た断面図である。(図8A)に表したように、容器内の空間部Vを大きくして、球体衝突面3又は衝撃緩衝部5から跳ね返ったBB弾8Aのエネルギーを弱め、容器内に多数のBB弾8Aを捕捉できるため、電動ガンの連射による数百発のBB弾8Aも捕捉可能である。
【0101】
また、(図8B)に表したものは、上記の構成の捕捉器1の空間部Vを更に広く設けて、ここに標的となる物体Xを置くことが可能な捕捉器1である。物体Xを組立式の構造物にして、これを標的として撃つと、図に表したように物体X及びBB弾8Aは共に外部に飛散することが無いため、屋内においては部屋を散らかすことがない。
【0102】
屋外において、空き缶などを標的にして撃つことがあるが、高速度で標的に当たった弾は予期しない方向に跳ね返ることがあり、周囲に危険を及ぼすこともある。また飛び散ったBB弾8Aは寸法が6mmと小さい事もあり回収は困難といえる。そこで、上記捕捉器1を用いて物物体Xを空き缶などの標的物とする。射撃によるBB弾8Aは容器内部で跳ね、外部に飛散しないことで屋内外を問わず射撃を楽しむことができる。
【実施例5】
【0103】
(図5)に示したものは、実施例3で述べた(図3)の構成の捕捉器の球体通過面2が複数の層に、衝撃緩衝部5の前方の当接から近接位置に設置された構成の捕捉器1を表している。
【0104】
(図5A)に表したものは、捕捉器1を側方から見た断面図である。飛来したBB弾8Aが捕捉器1に進入することで、実施例3で詳述したように、強いエネルギーを持ち飛来したBB弾8Aは(図5B)に表したように、衝撃緩衝部5にできる凹みと当接位置の球体通過面2を成す線状体6の間に挟まれ静止する。比較的弱いエネルギーを持ち飛来したBB弾8Aは(図5C)に表したように、複数層に設置された球体通過面2を成す線状体6の間に挟まれ捕捉される構成の的である。
【0105】
この構成による、複数の層に設置する球体通過面2は、線状体6の間でBB弾8Aを挟むことで、球体を止める構成も含まれるため、BB弾8Aの落下を防ぐように、線状体6の向きを、水平方向に設置することが好ましい。
【0106】
(図5D)に表したものは、この構成の捕捉器1にBB弾8Aが捕捉された模様である。この球体通過面2を複数の層に設置する構成にすることで、様々の遊戯銃より発射されるBB弾8Aの運動エネルギーを受け止め、衝突位置に8Aを止めることで、命中地点の確認ができる的ができるもので、衝撃緩衝部5の緩衝材外面10Aに、絵や、模様を書くことにより、目標を定めることができ、銃の照準器や、ライフル型銃のスコープなどの調整に使用する的に好ましい。
【実施例6】
【0107】
(図16)に表したものは、球体通過面2を形成する線状体6を、一つの設置枠4の中に、複数使用して構成したものである。(図16A)に表したものは、一つの設置枠4の中に球体通過面2を形成する線状体6を、縦方向と横方向に格子状に見えるように設置した球体通過面2vである。
【0108】
球体通過面2vは、縦方向に張られた線状体6と横方向の線状体6が交差している事で、線状体6を一方向に配列した球体通過面2に比べて、飛来したBB弾8Aが通過する際に抵抗が大きくなり、BB弾8Aのエネルギーを減衰させる効果と、容器内で撥ね返ったBB弾8Aが外部に脱出することを防止する効果を大きくする事ができる構成である。
【0109】
(図16B)に表したものは、線状体6が複数本となっている球体通過面2wである。
【0110】
図16Bに示す球体通過面2wを側方から見た断面図(図16C)により説明すると、球体通過面2を構成する線状体6が3本の線状体6a,6b,6cにより構成されている模様を表したものである。
【0111】
この球体通過面2wにBB弾8Aが衝突すると、複数本束ねた状態に張った線状体6が撓り動くため、線状体間の接触により起こる摩擦や8Aとの接触により起こる摩擦は、線状体が1本の場合よりも大きくなるため、飛来したBB弾8Aの運動エネルギーを減衰させる効果や捕捉器内に侵入したBB弾8Aの脱出防止効果も上げられる。
【0112】
前記球体通過面2v,2wを用いた捕捉器1は、弾速が100メートル毎秒に近いエネルギーを持ち、10秒間に約150発もの大量のBB弾8Aを発射する、連射機能を備えた電動ガン等による、屋内における狭い空間で発射された弾を受ける的に好ましい。
【実施例7】
【0113】
上記、実施例1乃至6で述べた、捕捉器1を用いて、(図17)に表した様な、転倒式(図17A)や回転式(図17B)などの捕捉器ができる。前記捕捉器はBB弾8Aが衝突した際に動くことで、固定された捕捉器に比べ、球体衝突部からの反発が少ないため(図17A)に表すような簡素な小さな捕捉器の構成にできる。また(図17C)のように、捕捉器1を上部から吊るすことで、ゴンドラの様にして機械仕掛けで動かすことで、クレーン射撃の標的などにすることができる。
【0114】
BB弾8Aが衝突した衝撃により、その力で容器が可動する構成のものは、捕捉器の大きさ、重さ、容器を立てる脚部などを考慮することで、前述した実施例1,乃至3で述べた構成でも、大きなエネルギーを与る事のできる遊戯銃にも対応する的が出来るものである。
【0115】
以上実施例1乃至7で述べた構成を同じとして、球技用のボールを捕捉することにより、ボールの捕捉による的当てゲームや、ボールの回収器を以下に提案する。
【実施例8】
【0116】
(実施例1及び実施例2で述べた図1),(図2)の構成の捕捉器による使用例を、(図18)で説明する。卓球の練習器具に、卓球ボール8Cを自動的に発射する機械が現存する。この機械をマシーンGとして説明すると(図18A)に表すように、マシーンGを相手にボールを打ち返すことで、卓球ボール8CはマシーンGの周囲に散乱する事や、マシーンGに当たり、跳ね返り、卓球台の上に散乱する事が考えられる。
【0117】
そのマシーンGに、(図18B)に表すように、(図1)(図2)の構成の捕捉器1を設置する。マシーンGから発射された卓球ボール8Cを打ち返すと、卓球ボール8Cは容器内に捕捉されるため、練習の邪魔にならず、ボールの回収も容易となる。
【0118】
また、野球やソフトのボールなどの投球を受ける的とした捕捉器を説明する。(図19)に表したものは、投球を受けるキャチャーの守備範囲に合わせて捕捉器1を置いた模様である。(図19A)に表したものは、守備範囲に合わせて、捕捉器1を16室に小分けして設置した構成である。この捕捉器1により簡単は、投球のストライク、アウトの判断や、ボールの通過ゾーンの確認が出来るものである。
【0119】
(図19B)に表したものは、捕捉器1の球体通過面2を縦2a、横2bと、二層に設置したものである。この構成の捕捉器1でボールを捕捉して飛散を防止することは元より、ボールが球体通過面2を通過することで、必ず線状体6に接触することを利用して(図19C)に表すように、球体通過面2を成す、其々の線状体6にボールが接触することで反応するセンサー機能を付けた装置とする。
【0120】
この装置により、(図19C)に示すように、球体通過面2を成す夫々の線状体6に記号を付け説明する。飛来した硬球8Bが図に表したように、[縦d・e][横4・5]の線状体6に触れる所を通過すると、センサーが反応する事で通過コースを表示させる事も可能となる。その結果として、通過地点の確認ができる装置付の捕捉器となる。
【実施例9】
【0121】
(図20)に表したものは、ゴルフボール8Dの捕捉器として、ピッチングウエッヂなどのアプローチにより、放物線状に飛行してきたゴルフボール8Dを、受ける的である。(図20A)のように捕捉器1を斜めに置くことで、捕捉器1内に侵入したゴルフのボール8Dを、競技者の方向へ返す構成の捕捉器1である。
【0122】
(図20B)に表したものは、捕捉器1内部の衝撃緩衝部5と球体通過面2を当接又は近接させた構成の捕捉器1を床面に置き、アプローチによるゴルフボール8Dを落下地点に止めることが出来るため、屋内で練習をすることが出来るものである。
【0123】
また、捕捉器1内の空間部Vに捕捉された、球技用のボール等は、容器内部で一箇所に集める工夫を施せば、電気仕掛けでリーターンさせる事も可能であり、投げたボールを手元に返す器具などもでき便利である。
【0124】
以上のように、球体8を捕捉器内の空間部Vに止める構成のものであれば、様々な球技のボールを捕捉できる上、捕捉動作に付随してコース確認を行うなど、更に利便性を向上させることができる。
【0125】
一方で、野球で使用する硬球8Bの場合、BB弾8Aは直径6mm・重さ0.2gであるのに対して、直径、約73mm・重さ約145gであることから、BB弾8Aより、はるかに質量が大きいため、運動エネルギーを効率よく消失することが必要である。また、衝突位置に硬球8Bを止めるには、質量も大きいため静止エネルギーによる落下を防ぐ必要がある。
【0126】
また、ボールの中には、飛来して衝突することでボール自体に変形を起こす、柔らかなボールもある。たとえば、野球の軟球やテニスの硬式ボール、軟式ボールのような様々なボール8Eがある。夫々に違いのあるボールを、衝突位置に止める為には、球体通過面2の配置や、球体通過面2を形成する線状体6の加工などが必要となるため、その構成を野球の硬球8Bを捕捉する中で説明する。
【0127】
尚、以上で述べた実施例の説明の中で、球体8を捕捉する基本的な構成は、詳述してあるため、以下、実施例10乃至12による説明は、球体を衝突位置に止めるための球体通過面2の使用例による構成の説明とする。
【0128】
以下の、実施例10乃至12の捕捉器は、複数の層の球体通過面2を使用する構成であることから、球体8である各種のボールを、衝突位置に止める事を目的とした捕捉器であるため、説明上、複数の層に設置される球体通過面2を、球体の通過方向から順番に球体通過面2a,2b,2c・・・とすることで説明する。
【実施例10】
【0129】
例として、野球の硬球8Bの捕捉器を(図3)の構成により説明すると、容器と球体通過面2を形成する設置枠4の材質を木製とし、球体通過面2を形成する線状体6はナイロン糸の30号、直径約0.91mmを使用して、硬球8Bの直径は約73mmに対して、隙間Hの間隔幅を30mm〜60mm程度として球体通過面2を形成することが好ましい。
【0130】
衝撃緩衝部5の構成は、飛球の運動を妨げ抵抗する力は摩擦であり、摩擦力は面間に働く圧力が関係することを考慮して、緩衝材9が、硬球8Bが衝突したことで、良く凹み、硬球8Bが緩衝材外面に良く食い込み、緩衝材外面10が、硬球8Bの面を包み込む様な、柔らかな材質で構成することが好ましい。
【0131】
(図21)は、上記(図3)の構成の捕捉器を、実施例5で詳述した(図5)の構成の捕捉器を基本として、その捕捉器の内部を、BB弾8Aに比べ質量の大きい野球の硬球8Bを捕捉する構成に変えたものである。
【0132】
上記硬球8Bは、大きさ、直径約73mm、重さ約145gであ。この質量を支えるために、衝撃緩衝部5の前方に複数の層に球体通過面2を設置したもので、複数の層に配置した球体通過面2の設置間隔Mを10mm程度にして、線状体6の向きを水平方向に設置した模様を表している。
【0133】
(図21A)に表したものは、硬球8Bが球体通過面2aを通過して容器内に進入して、球体通過面2b,2c・・・の順に通過を繰り返し、運動エネルギーを徐々に弱めて往く模様である。
【0134】
(図21B)に表したものは、硬球8Bが衝撃緩衝部5に衝突して、その運動エネルギーを放出して、進行方向に働く運動エネルギーを失い動きが止まり捕捉された模様である。(図21C)は、衝撃緩衝部5に食い込まないエネルギーの硬球8Bの捕捉の模様である。複数の球体通過面2を成す、水平方向に設置された線状体6が、硬球8Bを挟み、捕捉したもので、硬球8Bの下の複数の線状体6が、硬球8Bの静止エネルギーによる落下を防ぐ構成である。
【0135】
(図21E)に表したものは、球体通過面2を形成する線状体6の向きを、球体通過面2aは垂直、球体通過面2bは水平、2cを垂直方向2は・・・と、交互に設置された構成のものである。このような構成にしても、球体にかかる抵抗は大きくなるが、ボールは通過する。
【0136】
その模様を前方から見ると(図21D)に表すような状態で、球体通過面2の間に挟まれ、線状体6と硬球8Bの相互作用により止まり捕捉となる。
【0137】
この構成の捕捉器1は、ボールの質量を考慮して、球体通過面2の設置間隔Mを狭くして、球体通過面2の設置数を増やすことや、ボールの直径に対して、線状体6の向きを水平方向に数本設置するようにすることで、球体の落下を防ぎ、球体を到達位置に止めるものである。
【実施例11】
【0138】
(図22)に表したものは、(図21)に示した、捕捉器1内部の複数の層に設置する球体通過面2を、硬球8Bの半径程度の間隔を開けて配置したものである。前記複数の層に設置した球体通過面2を成す線状体6を新たな線状体である連結線状体7を用いて連結した構成の捕捉器である。
【0139】
(図22A)により上記構成を説明すると、球体通過面2を形成する線状体6の向きを水平方向にして、球体通過面2a,2b,2c,2d,・・・と、複数の層に設置された球体通過面2を、硬球8Bの直径約73mmに対して、設置間隔Mを30mm〜40mm程に設置して、球体通過面2aを成す線状体6と、球体通過面2bを成す線状体6、更に2cの線状体6・・・と、設置間隔Mの間を、連結線状体7で連結したものである。
【0140】
連結線状体7は、球体通過面2に対して略直角になるように、各球体通過面2の線状体6を連結して行くと、(図22B)に表すように線状体6と連結された連結線状体7によって、枡目状に成るように構成したものである。
【0141】
この構成による硬球8Bの捕捉の模様を(図22)により説明すると(図22A)に表したように、球体通過面2aに硬球8Bが飛来して衝突すると(図22B)に表したように、球体通過面2aの線状体6は硬球8Bにより押し広げられ球体通過面2を通過して進み、この時点で硬球8Bは容器内に進入したことになる。
【0142】
この状態から(図22C)のように、更に球体通過面2bの線状体6を押し拡げて進んで往く、これを繰り返すことで、硬球8Bは減速して往き更に上記(図21B)に表した様に、容器後方側に設置した衝撃緩衝部5に衝突してエネルギーを放出する。硬球8Bはその威力の大きさによっては衝撃緩衝部5から撥ね返るが、エネルギーが弱まっているため、球体通過面2を逆に通過することでエネルギーを消失して(図22D)に表すように、球体通過面2を成す線状体6と連結線状体7の間で止まる構成である。
【0143】
上記構成による連結線状体7の役割は、質量が大きい硬球8Bが、球体通過面と球体通過面の間で挟まれた場合、硬球8Bの重さにより、
ボールを挟んでいる下方の線状体6が広がり、硬球8Bが落下する事や硬球8Bの重さで、線状体6が撓み硬球8Bが横に転がり移動することを防止するものである。
【0144】
(図23)に表したものは、(図22)に示した球体通過面2を構成する線状体6の向きを、球体通過面2aは垂直、球体通過面2bは水平、2cを垂直方向・・・と、交互に設置したものである。
【0145】
このような構成にしても、球体通過面2の面に対して直角になるように連結線状体7で連結しても、硬球8Bの進入方向は、塞がれることは無いため、飛来した硬球8Bは捕捉器内部へと進入する事で捕捉できる構成である。
【0146】
前記構成による捕捉器内において、球体通過面2を硬球8Bが通過する模様を(図23)を用いて説明すると、(図23A)に表すように、最前面に設置された球体通過面2aを通過して、次に(図23B)のように球体通過面2bを通過し、(図23C)に表したように球体通過面2cと、順に複数の層に設置した球体通過面2を通過して往く。その後は(図22)を用いて説明した事と同様に捕捉となる構成である。
【0147】
なお、線状体6と連結線状体7は同一部材で構成し一体にしても構わないが、
連結線状体7は、球体通過面2を球体8が通過するに伴い、線状体6の撓みにより動き、固定の仕方によっては、連結された線状体6と互いに引き合うために、きつく張るか、緩めて張るかは、球体に与える抵抗を考慮して設置することが好ましい。
【0148】
以上において硬球8B等のように外面が硬い球体8を捕捉する構成を説明したが、球体8には外面の質が柔らかなボール8E等がある。硬球8Bのように外面の硬い球体は飛来して球体通過面2に衝突した際に球体自体の変形は少なく線状体6を撓らせ捕捉器の内部へ侵入できるが、テニスボールの特に軟式のボール等の様な質の柔らかなボール8Eは球体通過面2に衝突する事で、球体自体に変形が起こり反発するため硬球8B等を捕捉する構成の球体通過面2では線状体6の張力によって撥ね返され捕捉器の内部に侵入する事が出来ない事態となる。
【0149】
以下、実施例12において柔らかなボール8Eを捕捉する構成を説明する。
【実施例12】
【0150】
(図24)に示したものは、柔らかなボール8Eを捕捉する事を容易にする構成の捕捉器1を側方から見た断面図である。(図24A)により説明すると、線状体6の張力や、太さ、材質を夫々変えた構成の球体通過面2を夫々、球体通過面2a,2b,2c,2d・・・として、捕捉器1の内部に複数の層に重畳的に設置する構成のものを表している。
【0151】
上記構成の一例を説明すると、球体の飛来方向最前面に設置する球体通過面2aを成す線状体6の素材に柔らかなボール8Eが衝突した際にボール自体に変形を起こす事の無いゴム紐を使用する事で、柔らかなボール8Eを捕捉器1の内部へ進入し易くする。次に衝突する球体通過面2bの素材も、柔らかなボール8Eを通過し易い物とする。更に球体通過面2cの素材も通過し易い物とする事で、球体通過面2a<2b<2c<2d・・・と、球体が進む方向に向かい抵抗を徐々に大きくして行く構成である。例えば、球体通過面2aの素材はゴム紐、球体通過面2cはナイロン素材のテグス、球体通過面2cはフロロカーボン素材のテグス、球体通過面2dは金属製の細いワイヤー等・・・とする事やその張力を変える事で、柔らかなボール8Eを挟み捕捉する物である。
【0152】
上記捕捉器1による柔らかなボール8Eの捕捉の模様を説明する。(図24B)に表すように、球体通過面2aを弱い抵抗にする事で、柔らかなボール8Eは通過し易くなり、容易に捕捉器内に進入することになる。
【0153】
捕捉器内に進入した球体8は、(図24C)に表すように、球体通過面2bを通過することで、エネルギーを弱め、(図24D)に表すように、更に抵抗を強くした構成の2c,2dと進むに従い、強い抗力を受けることで運動エネルギーを消失し、(図24E)に表すように、球体通過面2dの線状体6と球体通過面2eの線状体6との間に挟まれ、柔らかなボール8Eと線状体6の間に起こる相互作用により静止することで捕捉となる構成である。
【0154】
上記捕捉器1は、(図24E)に表した様に、柔らかなボール8Eを、球体通過面2を構成する線状体6により四方から押さえ込み捕捉する構成で有る為に、線状体6が四方から柔らかなボール8Eに接触する距離に設置する事が好ましい。
【0155】
以上の実施例10乃至12で述べた構成であれば、球体通過面2の構成を球体8の、質に合わせて変更することにより、衝突することでボール自体に変形の起こるボール8Eなども、球体通過面2の到達位置に捕捉することができる事で命中位置の確認ができる遊具となる。
【0156】
以上の球体8を捕捉する的である捕捉器を構成する球体通過面2は線状体6を直接容器の壁1Aに設置する構成もあり、この場合、容器は球体8の運動エネルギーにより破損しない強度と、壁1Aは線状体6を張るための加工ができ、線状体の張力による過度の変形を抑制できる強度のあることが好ましい。
【0157】
また、上述した捕捉器は、立体的な形であれば、幾何学的な形状の他、動物や植物などのデザイン的な要素を加味した様々な形態が考えられ、容器内部の球体衝突面、衝撃緩衝部に押されて反応するスイッチを設置する事によりライトが点灯するものや、音を発声する射的遊具ができるものである。
【0158】
以上実施例1乃至12により、様々の球体の捕捉について述べてきたが、以下、実施例13においては実施例3で説明した捕捉器の応用例として、特に遊戯銃の的として最適なものを説明する。
【実施例13】
【0159】
遊戯銃から放たれたBB弾8Aは、捕捉器に衝突すると、実施例3で説明した図3に表した捕捉器の構成により、球体通過面2と衝撃緩衝部5の当接から近接の位置内に鋏まれ(図13)及び(図14)に表したように球体衝突位置に止まる。
【0160】
このBB弾8Aは(図15B)に示した様に、衝撃緩衝部5の後方から手指で押すことで取り出せる。しかしながら、其の都度BB弾8Aを取り出す事は面倒であり便利なものとはいえない。したがって面倒な手間を軽減しBB弾8Aを取り出す方式を以下に説明する。
【0161】
(図25)に示したものは衝立型に構成した捕捉器1の外形と右側方から見た断面を表している。(図25A)に表したものは実施例3において詳述した球体通過面2と衝撃緩衝部5が、当接又は近接した位置に配置された捕捉器1の下部に捕捉器の転倒を防ぐ為の足と成る部位を設け、衝立型に構成した物である。前記足と成る部位をトレーeとする。前記トレーeは、捕捉したBB弾8Aを集めることができる空間を有する。
【0162】
遊戯銃から発射されたBB弾8Aは、実施例3で詳述したように、(図25A)に示した球体通過面2と衝撃緩衝部5の間で挟まれ止る。この部位にあるBB弾8Aは、(図25B)に表すように、球体通過面2を上方に開くか、(図25C)に表すように、左右どちらかに開く事でBB弾8Aは捕捉器1の下方へ落下して、トレーeの中へ溜まる。
【0163】
上述した様に球体通過面2を片開きする事で、衝突位置に止まったBB弾8Aを一度に全て取り除く事ができる。その後、球体通過面2を元の位置に戻すことで、繰り返し命中位置の確認が出来る方式である。
【0164】
前記方式は、衝撃緩衝部5を開く方式でも可能であり、手動又は電動により機械的に動かすことができる。また、トレーeの底部を斜面にする事でBB弾8Aを一方向に集める事が出来るためBB弾8Aの回収も楽である。
【0165】
また上記機械的に動かす捕捉器の一例として、モーターを使用して電動形式により球体通過面2と衝撃緩衝部5の間を平行移動させることで、衝突部位に止まったBB弾8Aを取り除く方式について(図26)を用いて説明する。
【0166】
(図26)に示したものは、モーターmとネジgを使用して、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間を平行移動させるための方式を表している。(図26A)に表すようにネジgは、ナットnを回転しない状態にして、ボルトvを正転方向に回す事で閉まって行き、逆転する事で開いて行く事を利用して、
(図26B)に示すように、球体通過面2の枠外にボルトvの螺旋状のネジ山が通過するナットnと同様の穴を設けボルトvを貫通させる。ボルトvの先端は衝撃緩衝部5の外枠に当たり貫通する事の無い構成にする。モーターmによりボルトvを正転、逆転させると図に表すように球体通過面2と衝撃緩衝部5の間が開いたり閉じたりする構成である。
【0167】
(図26C)に示したものは、上記構成により球体通過面2と衝撃緩衝部5の間にBB弾8Aが挟まり捕捉された状態の捕捉器1の断面を表している。モーターmとボルトvは捕捉器1の下方部に設けたトレーeの中に設置することが出来る。
【0168】
(図26D)に表すように、捕捉されたBB弾8Aは球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hをBB弾8Aの直径以上に開くことで捕捉器1の下方へ落下してトレーeの中へ集まる方式である。
【0169】
上記方式による球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hを特にBB弾8Aの直径以内において微調整する事で、遊戯銃から発射されるBB弾8Aを適確に止めるための調節機構となる。
【0170】
その調節機構の使用例を(図27)により説明する。18歳以上を対象とした威力の強い遊戯銃aにより約1メートルの至近距離から発射されたBB弾8Aは(図27A)に示すように、衝撃緩衝部5に深く食い込むため、その反発を抑えるため球体通過面2は衝撃緩衝部5に当接した位置にする事が好ましい。しかし、同遊戯銃aで約10メートル離れた位置から発射した場合、至近距離から発射されたBB弾8Aに比べ弾速が落ちる事から衝撃緩衝部5への食い込みも浅くなる。その場合(図27B)に表すように球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hをBB弾8Aの直径以内の近接位置に広げる事で、BB弾8Aは球体通過面2と衝撃緩衝部5の間に挟まれて止まる様に調節できる。
【0171】
上述した様に、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hを広げたり狭めたりする調節機構を備える事で、夫々の遊戯銃の持つ能力や、飛距離の違いなどから起こる、捕捉器に到達する飛弾のエネルギーの差に合わせて調節ができる事で、的確にBB弾8Aを命中位置に止める事ができる。
【0172】
更に(図27C)に表すように、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hを、BB弾8Aの直径以上に大きく広げることで、実施例4で詳述した(図8)に表したような捕捉器となり、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hの空間にBB弾8Aを留める捕捉器1になる。
【0173】
また上記構成の捕捉器1は、(図28A)に表すような壁掛型の捕捉器1にする事も出来る。
【0174】
上記壁掛型の捕捉器1は(図28B)に表すように、前述したモーターmを使用する方式や、クランクkを回す方式で、連動したネジを動かし球体通過面2と衝撃緩衝部5の間hの間隔を調節できる捕捉器1となる。そのほか(図28C)に表すように、モーターmやクランクkを使用して、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間を片開きする事で、挟まれて止まったBB弾8Aを取り除く事ができる。
【0175】
更に、モーターmを使用する方式の捕捉器1に、リモートコントロール機構を装備する事で、射撃位置から移動する事無く、調節機構を操作する事や、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間に挟まったBB弾8Aを取り除く事が手元で出来る。
【0176】
従来から或る的の様に、紙面などを撃ち抜く事で付いた弾痕により命中位置の確認をするものとは違い消耗品を出す事も無い。また、周囲へのBB弾の飛散も無い事で後片付けも簡単であり、安全に効率よく遊戯銃で射撃を楽しむ事ができる的となる。
【0177】
実施例1乃至13においては箱状の容器で構成された捕捉器について説明したが、実施例14ではスクリーン形式に構成する捕捉器により、BB弾8Aの飛散を防止する方式について説明する。
【実施例14】
【0178】
上記実施例1乃至13において説明した捕捉器1は、球体通過面2及び球体衝突面3が箱状に一体となったものである。しかし、スクリーン形式の捕捉器1は球体通過面2及び球体衝突面3である衝撃緩衝部5が夫々独立した構成となる。
【0179】
(図29)に示したものが、スクリーン形式の捕捉器11の外形を表したものである。前記スクリーン形式の捕捉器1の構成には、(図29A)に示すような、床に衝立状に構成した球体通過面2と衝撃緩衝部5を置く形式のものや、(図29B)に示すような、スクリーン状に構成した球体通過面2と衝撃緩衝部5を上方から吊る形式のものがある。
【0180】
まず(図29A)に示した、置く形式の捕捉器1を説明すると、縦、約120センチ、横、約120センチの衝立状に構成した衝撃緩衝部5を床面に立てて設置して、球体通過面2をその前方に間隔を置いて衝立状に置く形式である。
【0181】
前記衝立状に置く形式の球体通過面2は(図29A)に表すように、四方が設置枠4で囲まれており、実施例1において詳述した様に構成される。
【0182】
(図30)に示したものは、前記球体通過面2を構成する線状体6の張り渡された方向を表している。(図30A)に表すように、縦方向に張ったもの、これを(図30B)に表すように横方向に設置する物や縦横に組み合わせる事で(図30C)に表すような格子状と、するもの(図30D)に表す様に、斜めに並行配列したものを交互に組合わせて(図30E)の様に、網目状にしたものなどとなる。
【0183】
上記球体通過面2は前述したように、飛弾が通過する際の減速装置であり、通過したBB弾を逆に通過させない脱出防止装置と成るため、前記組合わせや、設置する線状体6の張力を遊戯銃の種類や使用する環境などを考慮して加減する事が好ましい。
【0184】
次に、(図29B)により、スクリーン状に構成した球体通過面2と衝撃緩衝部5を上方から吊る形式の捕捉器1について説明する。前記球体通過面2は(図29B)に表したように、上方と下方の二方向に設置枠4が有り、この上、下方向の設置枠4に線状体6を張り渡した方式のものである。
【0185】
上記吊る方式の捕捉器1を構成する球体通過面2を(図31)により説明する。吊る方式の球体通過面2は上方の設置枠4を壁や天井などに固定し、スダレ状に下方に垂らして球体通過面2を構成する線状体6に張力を与える構成である。その構成には、(図31A)に表すように、下方の設置枠4に錘qを吊り、この錘qの重さを変える事で、線状体6の張力を加減する方式や、(図31B)に表すような、下方の設置枠4を紐pで床に固定する時に床方向への締め付ける力を加減する事で線状体6の張力を加減する方式である。
【0186】
また、(図31C)に表すようなロールスクリーン形式にする事で、下方の設置枠4を固定して、上方の設置枠4をスクリーン巻上機構rとする事で、球体通過面2を構成する線状体6を巻き上げる力を調節出来る方式とする。前記方式により上方に巻き上げる力を調節する事で線状体6の張力を加減するものである。
【0187】
前記吊る形式の球体通過面2を構成する下方の設置枠4の材質は、線状体6に満遍なく張力を与えるため柔軟性がある事と飛弾により破損しない強度を備えたものが好ましく、例えば強化プラスチックや硬質ゴム等が考えられる。また設置枠4をチューブ状にして内部に砂鉄など入れ、錘qとすることで線状体6に与える張力を加減する構成もある。
【0188】
上述したスクリーン形式に構成した捕捉器1の衝撃緩衝部5は、置く形式及び吊る形式の捕捉器1共に、実施例2において詳述した構成のものや、上方の設置枠4から下方向に垂れ幕状に布やBB弾8Aが貫通しない目の細かなネットを垂らして、幕状に構成したものである。その素材は、BB弾80Aが衝突した際にそのエネルギーを十分吸収でき反発の少ないものを使用して、飛弾のエネルギーにより破損しない強度と耐久性を備えたものが好ましく、天然又は化学繊維で出来たものを使用する事ができる。
【0189】
上述した球体通過面2と衝撃緩衝部5を使用してスクリーン形式に構成した捕捉器1の使用例を(図32)により説明する。(図32A)に表す様に、衝撃緩衝部5の前方に球体通過面2を、間隔を置いて設置して、下方の床面に撃たれて落下したターゲットuとBB弾8Aの受け皿と成るトレーeを置く。前記衝撃緩衝部5の表面に、(図32B)に表すような棚tを、面ファスナー等で設置出来る様に構成し、脱着可能なものとする。棚tには、コインや小物を標的(ターゲット)uとして置くことができる。
【0190】
棚tの素材も飛弾の衝撃を吸収でき、破損しないものを使用する事が好ましい。
【0191】
(図32C)に表す様に、球体通過面2と衝撃緩衝部5の間隔sの周囲は、BB弾8Aが通過出来ない細かな網や破損しない各種繊維から出来るシートcで被う事で、BB弾8A及び撃ち弾かれたターゲットuの飛散は防止できる。
【0192】
また、上述した方式の一部品である球体通過面2は、(図33A)に示すように、一般のカーテンkを衝撃緩衝部5として利用する事ができる。カーテンkの前方に間隔sを置き衝撃緩衝部5を設置して、下方の床面にトレーeを置く事で、簡易的な射撃空間を造る事が出来る。
【0193】
従来からある遊戯銃の的は箱型の物が多く、その大きさは数十センチ程度の物である。しかし、上述したスクリーン形式の捕捉器1の構成にする事で、箱型の容器を有する的に比べ簡素な構成で大きな捕捉器1にする事ができる。例えば(図33B)に表わす様な趣味の部屋を創造した場合、部屋の壁zにスクリーン形式の捕捉器1を設置する事で、壁面に大きな射撃空間を造る事が出来る。(図33C)に表すように、捕捉器1の内部の空間iに市販されている各種のターゲット、例えば、撃たれ倒れた標的が起き上がるターゲットや、組み立てブロック形式のターゲット等を置く事や、鈴を上方から吊るして標的にするなど様々な物体をターゲットuとして置くことができ独自の射的場になる。また空間iの広さを活かして(図33D)に表すように、前記空間iの中にコインxなどを転がす仕組みを施せば、転がり動くコインxを撃ち落とす事で、クレーン射撃の様なゲームなどもBB弾8Aを飛散させる事無く出来る。
【符号の説明】
【0194】
1 捕捉器を形成する容器
1A 容器の壁
2 捕捉器を形成する球体通過面
(球体が通過する順番に容器の前方から2a,2b・・と、する)
3 球体衝突面
4 設置枠
4A 設置枠4の端縁
5 衝撃緩衝部
6 線状体
7 連結線状体
8 球体
8A BB弾
8B 野球の硬球
8C 卓球ボール
8D ゴルフボール
8E その他のボール(野球の軟球、テニスボール、ソフトボール、玩具のカラーボール、模倣球技用ボール、質の柔らかいボールなど)
9 緩衝材
10 緩衝材外面
10A 緩衝材外面の球体8を受ける面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
球技又は遊戯で投打又は発射された球体の的である捕捉器において、前記球体の飛来方向を前記捕捉器の前方として、前記捕捉器前方側に前記球体の直径未満の間隔にて並列して張り渡された複数本の線状体により構成された球体通過面を有するとともに、前記球体通過面の後方側に球体衝突面を有しており、前記球体衝突面に向かって放たれた前記球体が、前記球体通過面に衝突することにより、前記線状体を撓らせながら、前記間隔を押し広げて前記球体通過面を通過し、前記球体衝突面に衝突し、前記球体通過面の前記球体が通過した部位の前記間隔が元に戻ることにより、前記球体が前記球体通過面の前方部に脱出することを阻止して前記球体を前記球体衝突面と前記球体通過面との間に捕捉することを特徴とした捕捉器。
【請求項2】
前記球体衝突面に、緩衝部材から成る衝撃緩衝部を備えたことを特徴とする請求項1記載の捕捉器。
【請求項3】
前記球体通過面と球体衝突面を当接又は前記球体の直径未満の距離内に近接した位置に設置し、前記球体通過面を通過した前記球体を、前記球体衝突面と前記球体通過面との間に挟み捕捉することを特徴とする請求項1又は2に記載の捕捉器。
【請求項4】
前記球体通過面を複数層重畳的に設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の捕捉器。
【請求項5】
複数層設けられた前記球体通過面は、各々の線状体の材質又は/及び太さ又は/及び張力の何れか又は全てを違いにしている事を特徴とする請求項4に記載の捕捉器。
【請求項6】
複数層設けられた前記球体通過面が、前記球体通過面に対して略直角方向の線状体により、互いに連結されたことを特徴とする請求項4又は5に記載の捕捉器。
【請求項7】
前記球体通過面と前記球体衝突面を配置する間隔を変更する調節機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至5に記載の捕捉器。
【請求項8】
少なくとも一面に開口部を有する容器の開口部に前記球体通過面を設け、容器内に前記球体衝突面を設けたことを特徴とする請求項1乃至7に記載の捕捉器。
【請求項9】
遊戯銃から発射された球形弾丸を捕捉することを目的とした請求項1乃至8に記載の捕捉器。
【請求項10】
投打された球技用のボールを捕捉することを目的とした請求項1乃至8に記載の捕捉器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−15956(P2011−15956A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131304(P2010−131304)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(307048974)
【Fターム(参考)】