説明

球体通過センサ

【課題】 連なった状態で球体が通過した場合においても正確に球体通過を検出でき、しかも、小径の偽球などの異物を識別可能な球体通過センサを提案すること。
【解決手段】 球体通過センサ1では、球体Bが球体通過穴3を通過すると、第1、第2の光学式検出部5、6によって球体Bの通過が検出される。また、検出位置が、球体通過穴3の両側に離れているので、球体Bの中心部分が通過する間だけ検出光5c、6cが遮断され、球体の通過方向の先頭側部分あるいは後端側部分が通過する際に検出光が遮断されることがない。よって、連なった状態で球体Bが通過する場合においても、通過する球体の個数を正確に検出できる。また、検出光の光軸間距離Lが球体Bの直径よりも僅かに狭いので、小径の偽球などの異物を確実に識別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉などの球体の通過を検出するための球体通過センサに関し、特に、連なった状態で通過する球体を正確に検出可能な球体通過センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台などの遊技台では、特定の入賞ポケットにパチンコ玉が入ったことを検出するために光学式の球体通過センサが用いられている。下記の特許文献1にはこのような光学式の球体通過センサが開示されており、ここに開示の球体通過センサでは、球体を検出するための光学式の検出部を球体の落下方向に所定の距離だけ離して配置し、これら2組の検出部から時間的にずれた検出信号を出力させ、これにより、誤検出を防止するようにしている。
【0003】
すなわち、図5に示すように、円形の球体通過穴100における直径方向の両端に発光素子101および受光素子102を対向配置した構成の2組の検出部が、落下方向に所定の距離だけずらして配置されている。球体130が通過すると、発光素子101から受光素子102への検出光が一時的に遮断されるので、受光素子102からはそれに対応する光電変換信号を得ることができる。また、2組の検出部を用いているので、外乱などによる誤動作に起因する誤検出を防止できる。
【特許文献1】特開2000−102648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構成の光学式の球体通過センサでは、球体130が連なった状態で連続して球体通過穴100を落下する場合には、球体通過を正確に検出できないことがある。例えば、2個の球体130が連なった状態で球体通過穴100を通過すると、各検出部の検出光は2個の球体130が通過し終えるまで遮断状態となる。この結果、実際には2個の球体130が通過したにも拘わらず、単一の球体が通過した旨の検出信号が出力され、誤検出状態に陥ってしまう。
【0005】
本発明の課題は、連なった状態で球体が通過した場合においても正確に球体通過を検出でき、しかも、径の小さな偽玉などの異物を検出してしまうことのない球体通過センサを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の球体通過センサは、パチンコ玉などの検出対象の球体が通過可能な球体通過穴と、前記球体通過穴を通過する球体を検出するための少なくとも第1および第2光学式検出部と、前記第1光学式検出部から出力される第1検出信号と前記第2光学式検出部から出力される第2検出信号の論理積信号を球体通過信号として出力する論理積回路とを有し、前記第1および第2光学式検出部による球体検出位置は、前記球体通過穴の中心軸線の方向においては同一位置であり、当該中心軸線に直交する方向においては当該球体通過穴の両側に片寄った位置であることを特徴としている。
【0007】
光学式検出部としては一般に透過型のものを用いることができる。この場合には、前記第1および第2光学式検出部は、それぞれ、前記球体通過穴を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備え、前記第1光学式検出部の検出光および前記第2光学式検出部の検出光は平行とされる。また、これらの検出光の光軸間距離は検出対象の球体の直径よりも狭くなるように設定される。
【0008】
この構成の球体通過センサでは、球体が球体通過穴を通過すると、第1、第2の光学式検出部によって球体の通過が検出される。また、検出位置が、球体通過穴の両側に離れているので、球体の中心部分が通過する間だけ検出光が遮断され、球体の通過方向の先頭側部分あるいは後端側部分が通過する際に検出光が遮断されることがない。よって、連なった状態で球体が通過する場合においても、必ず、球体毎に検出光の遮断および通過のサイクルが繰り返される。よって、常に通過する球体を正確に検出できる。
【0009】
さらに、第1および第2光学式検出部の検出位置の間隔を、検出対象の球体直径よりも僅かに狭くしておけば、検出対象の球体よりも小径の偽球あるいは異物の通過を球体が通過したものとして誤検出してしまうことも確実に防止できる。
【0010】
ここで、第1、第2光学式検出部による検出位置を、球体通過穴の中心軸線の方向にずらして配置(通過方向にずらして配置)することも可能である。この場合には、球体通過穴の中心軸線の方向に直交する方向においては、双方の検出部による検出位置を、当該球体通過穴の両側に離れた位置とすればよい。
【0011】
この構成の球体通過センサにおいても、検出位置が、球体通過穴の両側あるいは一方の側に片寄っているので、球体の中心部分が通過する間だけ検出光が遮断される。よって、連なった状態で球体が通過する場合においても、球体毎に検出光の遮断および通過のサイクルが繰り返されるので、通過する球体を正確に検出できる。また、第1および第2光学式検出部の検出位置の間隔を検出対象の球体直径よりも僅かに狭くしておけば、検出対象の球体よりも小径の偽球あるいは異物の通過を球体が通過したものとして誤検出してしまうことも確実に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の球体通過センサでは、第1、第2の光学式検出部による検出位置が球体通過穴の両側に離れているので、球体の中心部分が通過する間だけ検出光が遮断され、球体の通過方向の先頭側部分あるいは後端側部分が通過する際に検出光が遮断されることがない。よって、連なった状態で球体が通過する場合においても、必ず、球体毎に検出光の遮断および通過のサイクルが繰り返される。よって、常に通過する球体を正確に検出できる。
【0013】
また、第1および第2光学式検出部の検出位置の間隔を、検出対象の球体直径よりも僅かに狭くしておけば、検出対象の球体よりも小径の偽球などの異物の通過を球体が通過したものとして検出する誤動作も確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した球体通過センサの一例を説明する。
【0015】
図1(a)および(b)は、本実施の形態に係る球体通過センサを示す外観斜視図および、内部構成を示す説明図である。球体通過センサ1は、扁平な直方体状のケース2を備え、このケース2における先端側の部位には、その厚さ方向に貫通している円形の球体通過穴3が形成されている。ケース2の後端面2aにはコネクタ4が取り付けられており、ここを介して外部から給電が行われ、また、検出信号が外部に出力されるようになっている。
【0016】
ケース2の内部には、球体通過穴3を通過する球体Bを検出するための二組の光透過型の第1検出部5および第2検出部6が組み込まれている。第1検出部5は、赤外光を検出光として発光する発光素子5aと、検出光を受光する受光素子5bを備え、これらが球体通過穴3を挟み対向配置されている。同様に、第2検出部6も、赤外光を検出光として発光する発光素子6aと、検出光を受光する受光素子6bとを備え、これらが球体通過穴3を挟み対向配置されている。これらの配置関係については後述する。
【0017】
また、ケース2の内部には、発光素子5a、6aが搭載された配線基板7と、受光素子5b、6bが搭載された配線基板8とが球体通過穴3の両側位置においてケース長辺方向に平行に配置されており、これらの後端部分の間には、信号処理回路9aが搭載されている制御基板9が配置されている。制御基盤9はコネクタ4に接続されている。
【0018】
図2は球体通過穴3と第1、2検出部5、6の配置位置を示すための平面構成図、そのb−b線で切断した部分を示す部分縦断面図、(c)は(a)のc−c線で切断した部分を示す部分縦断面図である。これらの図を参照して説明すると、球体通過穴3は、検出対象の球体Bの直径D(B)よりも僅かに大きな内径D(3)の円形穴である。第1、第2検出部5、6は、球体通過穴3の中心軸線3aの方向においては、図2(c)から分かるように、同一位置に配置されている。本例では、球体通過穴3の中心軸線3aの方向における中間位置に配置されている。
【0019】
また、中心軸線3aに直交する方向においては、図2(a)、(b)から分かるように、第1検出部5は、球体通過穴3における中心軸線3aに対して、ケース先端側に片寄った位置に配置され、第2検出部6は、逆にケース後端側に片寄った位置に配置されている。本例では、第1、第2検出部5、6は中心軸線3aを中心として対称の位置にあり、それらの検出光5c、6cは平行であり、それらの光軸間隔Lは、球体Bの直径D(B)よりも僅かに狭くなるように設定されている。
【0020】
図3(a)は制御基板9に搭載されている信号処理回路9aを示す概略ブロック図であり、図3(b)は各部の信号波形図である。信号処理回路9aは、第1、第2検出部5、6の受光素子5b、6bから出力される光電変換信号を増幅して波形整形を行って矩形波信号を生成する波形整形部9bと、ここを介して得られる第1および第2の検出信号5S、6Sの論理積信号を球体検出信号9Sとして出力する論理積回路9cとを備えている。球体検出信号9Sはコネクタ4を経由して、上位側の装置に出力される。例えば、パチンコ台などの遊技台の場合には、遊技台に内蔵されている制御部、あるいは、遊技台に対して遊技媒体としてのパチンコ玉などの球体の貸し出し動作を行うために隣接配置されている台間機の制御部に、球体検出信号9Sが出力される。上位の制御部では、球体検出信号9Sに基づき、入賞などを判別して、遊技媒体などの払い出し動作を行う。
【0021】
この構成の球体通過センサ1の球体検出動作を説明する。たとえば、球体通過センサ1は、球体通過穴3の中心軸線3aが垂直となるように配置され、当該球体通過穴3を自然落下する球体Bを検出する。図2を参照して説明すると、球体B1が球体通過穴3を落下すると、一対の検出部5、6の検出光5c、6cが所定期間だけ球体B1によって遮断され、受光素子5b、6bでの受光が遮断される。この結果、波形整形部9bから出力される検出信号5S、6Sには、図3(b)の区間t1に示すように、一定幅のパルスが現れる。論理積回路9cの出力信号9Sにも一定幅のパルス出力が現れ、球体B1の通過が検出される。
【0022】
しかるに、球体B1よりも小径の偽球などの異物が球体通過穴3を落下する場合には、双方の検出光5c、6cが遮断されないか、あるいは、一方の検出光のみが遮断される。例えば、球体通過穴3を、その中心軸線3aに対して一方に片寄った状態で小径の異物が落下する場合には、一方の検出光のみが遮断される。図3(b)の区間t2は検出光5cのみが遮断され、検出信号5Sにのみパルスが現れた状態を示す。このときには、検出信号9Sが立ち上がらないので、球体が通過したと判定されることがない。
【0023】
次に、図2(b)、(c)に示すように連なった状態で複数個、例えば2個の球体B1、B2が落下する場合を説明する。検出部5、6による球体検出位置(検出光の通過位置)は、球体通過穴3における両側である。したがって、連なった状態で落下する球体B1、B2が図2(b)、(c)における位置B’に到る前後においてのみ、すなわち、球体B1、B2の中心部分が検出光の位置を通過する場合にのみ、検出光5c、6cが遮断される。球体B1、B2が位置B’、B”の状態では、検出光5c、6cは遮断されない。よって、この場合においても、図3(b)の区間t3に示すように、2つのパルスが現れ、球体の通過および個数を正確に検出できる。
【0024】
ここで、本例においては、2組の検出部5、6を、球体通過穴3の中心軸線3aの方向においては同一位置に配置してある。2組の検出部5、6を、中心軸線3aの方向において相互に離した位置に配置することも可能である。例えば、図4に示すように、検出部5を中心軸線3aの方向における上側に配置し、検出部6を下側に配置してもよい。この場合においても、検出部5、6は、中心軸線3aに直交する方向においては、球体通過穴3における両側に離れた位置に配置され、それらの検出光5c、6cは平行となるように設定される。この構成によっても、小径の偽球の異物を識別することができ、また、連なった状態で球体Bが通過しても通過した個数を確実に検出できる。
【0025】
(その他の実施の形態)
なお、球体の通過を検出する検出部5、6は、3個以上配置してもよい。また、反射型の光学式検出部を用いることも可能である。
【0026】
さらに、パチンコ台などの遊技台以外の分野において、球体を検出するために本発明の球体通過センサを適用可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)および(b)は、本発明を適用した球体通過センサを示す外観斜視図および、内部構成を示す説明図である。
【図2】(a)は球体通過穴と第1、2検出部の配置位置を示すための平面構成図、(b)はそのb−b線で切断した部分を示す部分縦断面図、(c)は(a)のc−c線で切断した部分を示す部分縦断面図である。
【図3】(a)は制御基板に搭載されている信号処理回路を示す概略ブロック図であり、(b)は各部の信号波形図である。
【図4】球体通過穴と第1、2検出部の配置関係の別の例を示すための平面構成図、(b)はそのb−b線で切断した部分を示す部分縦断面図、(c)は(a)のc−c線で切断した部分を示す部分縦断面図である。
【図5】従来の球体通過センサを示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 球体通過センサ
2 ケース
3 球体通過穴
3a 中心軸線
4 コネクタ
5、6 検出部
5a、6a 発光素子
5b、6b 受光素子
5c、6c 検出光
5S、6S 検出信号
9a 信号処理回路
9c アンド回路
9S 球体通過信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ玉などの検出対象の球体が通過可能な球体通過穴と、
前記球体通過穴を通過する球体を検出するための少なくとも第1および第2光学式検出部と、
前記第1光学式検出部から出力される第1検出信号と前記第2光学式検出部から出力される第2検出信号の論理積信号を球体通過信号として出力する論理積回路とを有し、
前記第1および第2光学式検出部による球体検出位置は、前記球体通過穴の中心軸線の方向においては同一位置であり、当該中心軸線に直交する方向においては当該球体通過穴の両側に離れた位置であることを特徴とする球体通過センサ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1および第2光学式検出部は、それぞれ、前記球体通過穴を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備え、
前記第1光学式検出部の検出光および前記第2光学式検出部の検出光は平行であり、これらの検出光の光軸間距離は検出対象の球体の直径よりも狭いことを特徴とする球体通過センサ。
【請求項3】
パチンコ玉などの検出対象の球体が通過可能な球体通過穴と、
前記球体通過穴を通過する球体を検出するための少なくとも第1および第2光学式検出部と、
前記第1光学式検出部から出力される第1検出信号と前記第2光学式検出部から出力される第2検出信号の論理積信号を球体通過信号として出力する論理積回路とを有し、
前記第1および第2光学式検出部による球体検出位置は、前記球体通過穴の中心軸線の方向においては所定の距離だけ離れた位置であり、当該中心軸線に直交する方向においては前記球体通過穴の両側に離れた位置であることを特徴とする球体通過センサ。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1および第2光学式検出部は、それぞれ、前記球体通過穴を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備え、
前記第1光学式検出部の検出光および前記第2光学式検出部の検出光は平行であり、前記球体通過穴の中心軸線の方向におけるこれらの検出光の光軸間距離は検出対象の球体の直径よりも狭いことを特徴とする球体通過センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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