説明

環境パラメータファイルと設計書のチェック方法及びシステム

【課題】環境パラメータファイルの値と設計書の値が一致していることを機械的にチェックすることで工数と労力を減らし、設定ミスの早期発見を可能にする。
【解決手段】環境パラメータファイルと実設定値の列番号と区切り文字とを指定する情報を入力され、区切り文字毎に認識した設定項目と実設定値を含む文字列とをパラメータファイルデータベースに順番に格納し、読み込んだ定数設計書の設定項目を定数設計データベース及びチェック結果データベースの双方に格納するとともに、定数設計書の設計設定値を該当する設定項目の設計設定値として格納し、定数設計データベースとパラメータファイルデータベースに一致する設定項目が有る場合は、その設定項目のレコードの中から指定された列番号に該当する実設定値を取得して格納し、設計設定値と実設定値とが一致するか否かを比較して比較結果を表示するシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバの構築作業やその環境変更作業で設定する環境パラメータファイルの設定値が設計書の設定値と一致していることを確認する、環境パラメータファイルと設計書との間のチェック方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サーバの構築作業やその環境変更作業では、サーバインフラを担当するシステムエンジニア(SE)が、直接サーバ上の環境パラメータファイルを更新するため、環境パラメータファイルの設定誤りにより、システムの誤作動や業務停止を引き起こすリスクがある。この回避策として、SEの作業を二人一組で実施する方法を採っている。具体的には、一名がサーバ上の環境パラメータファイルを更新する作業を実施し、もう一名が環境パラメータファイルにおける実際の設定値(以下、「実設定値」と称する)と設計書における設計上の設定値(以下、「設計設定値」と称する)が一致していることをチェックする、といった内容である。
【0003】
特許文献1には、データベースへのアクセスプログラムの変更によるレコードへの影響を確認するシステムが開示されている。当該システムでは、更新前後のレコードを比較してレコード差分を出力し、レコード差分の判定結果をレポートに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−237639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の二人一組で実施する方法では、環境パラメータファイルの実設定値と設計書の設計設定値のチェックが、目視にて行われるため、チェック漏れが発生する危険性がある。
【0006】
これまでの二人一組での作業では、実設定値と設計設定値の一致のチェック漏れにより、環境パラメータファイルの修正作業が追加で発生する場合がある。また、二人一組での作業により、構築作業の工数がこれまでよりもかかっている。さらに、目視での確認により正しい作業結果と判断するので、その労力もかかる。
【0007】
本発明は、環境パラメータファイルにおける実設定値と設計書における設計設定値が一致していることを機械的にチェックすることで、構築作業にかかる工数と労力を減らすとともに、設定ミスの早期発見を可能にする環境パラメータファイルと設計書のチェック方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の環境パラメータファイルと設計書のチェック方法は、中央処理装置が、チェック対象の環境パラメータファイルと、前記環境パラメータファイルにおけるチェック対象の実設定値の列番号と、区切り文字とを指定する情報の入力処理を行うステップと、指定された前記環境パラメータファイルを1レコードずつ読み込み、読み込んだレコード中の先頭から改行コードまでの文字列を、指定された前記区切り文字毎に1つの文字列としてそれぞれ認識し、先頭の文字列である設定項目と実設定値を含む他の文字列とを、パラメータファイルデータベースの1レコードの各フィールドに先頭から順番に格納するステップと、定数設計書を読み込み、前記定数設計書の設定項目を、定数設計データベース及びチェック結果データベースの双方の設定項目としてそれぞれ格納するとともに、前記定数設計書の設計設定値を、前記定数設計データベース及び前記チェック結果データベースの双方の該当する設定項目の設計設定値としてそれぞれ格納するステップと、前記定数設計データベースから1レコードずつ読み込み、読み込んだレコードの設定項目に基づいて前記パラメータファイルデータベースを検索し、一致する設定項目が有るか無いかを判断するステップと、前記パラメータファイルデータベースに一致する設定項目が有る場合は、その設定項目のレコードの中から、前記指定された列番号に該当する列の実設定値を取得し、前記チェック結果データベースの該当する設定項目の実設定値として格納するステップと、前記チェック結果データベースの設定項目毎に、格納された設計設定値と実設定値とが一致するか否かを比較して比較結果を該チェック結果データベースに格納するステップと、前記比較結果を表示するステップと、を行うものである。
【0009】
また、本発明の環境パラメータファイルと設計書のチェックシステムは、中央処理装置が、環境パラメータファイルと設計書のチェックシステムは、中央処理装置が、チェック対象の環境パラメータファイルと、前記環境パラメータファイルにおけるチェック対象の実設定値の列番号と、区切り文字とを指定する情報の入力処理を行う手段と、指定された前記環境パラメータファイルを1レコードずつ読み込み、読み込んだレコード中の先頭から改行コードまでの文字列を、指定された前記区切り文字毎に1つの文字列としてそれぞれ認識し、先頭の文字列である設定項目と実設定値を含む他の文字列とを、パラメータファイルデータベースの1レコードの各フィールドに先頭から順番に格納する手段と、定数設計書を読み込み、前記定数設計書の設定項目を、定数設計データベース及びチェック結果データベースの双方の設定項目としてそれぞれ格納するとともに、前記定数設計書の設計設定値を、前記定数設計データベース及び前記チェック結果データベースの双方の該当する設定項目の設計設定値としてそれぞれ格納する手段と、前記定数設計データベースから1レコードずつ読み込み、読み込んだレコードの設定項目に基づいて前記パラメータファイルデータベースを検索し、一致する設定項目が有るか無いかを判断する手段と、前記パラメータファイルデータベースに一致する設定項目が有る場合は、その設定項目のレコードの中から、前記指定された列番号に該当する列の実設定値を取得し、前記チェック結果データベースの該当する設定項目の実設定値として格納する手段と、前記チェック結果データベースの設定項目毎に、格納された設計設定値と実設定値とが一致するか否かを比較して比較結果を該チェック結果データベースに格納する手段と、前記比較結果を表示する手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、環境パラメータファイルの実設定値と設計書の設計設定値とが一致していることを機械的にチェックすることを実現し、構築作業にかかる工数と労力を減らすとともに、設定ミスの早期発見が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の、環境パラメータファイルと設計書のチェックシステムを実現するためのシステム構成図である。
【図2】図1の各処理部により実行される本システムの処理フロー図である。
【図3】本システムの入力情報を定義する入力画面である。
【図4】本システムの入力情報の一つとなる環境パラメータファイルの例である。
【図5】本システムの入力情報の別の一つとなる定数設計書の例である。
【図6】本システムにより作成されるパラメータファイルDBのデータ構造の例である。
【図7】本システムにより作成される定数設計DBのデータ構造の例である。
【図8】本システムにより作成されるチェック結果DBのデータ構造の例である。
【図9】本システムの出力情報となるチェック結果の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の、環境パラメータファイルと設計書のチェックシステムを実現するためのシステム構成図を概略的に示したものである。本システムによるチェックでは、環境パラメータファイルにおける実設定値と設計書における設計設定値が一致するか否かを、双方のデータの突き合わせにより確認する。このシステムは、環境パラメータファイル400、定数設計書500、パラメータファイルデータベース(DB)600、定数設計データベース(DB)700、チェック結果データベース(DB)800と、入力内容や処理結果を表示する表示装置10、データを入力するキーボード20及びポインティングデバイスのマウス30と、必要な演算処理及び制御処理等を行う中央処理装置40と、を備える。
【0013】
中央処理装置40は、読み込み処理部100と、設定項目検索処理部110と、設定値チェック処理部120と、チェック結果登録処理部130と、表示処理部140とを有する。これらの各処理部の機能は、中央処理装置40の具備するCPUが適宜のプログラムをメモリに読み込み実行することにより実現される。
【0014】
図2は、図1の各処理部により実行される本システムの処理フロー図である。図3は、本システムの入力情報を定義する入力画面である。図4は、本システムの入力情報の一つとなる環境パラメータファイルの例である。図5は、本システムの入力情報の別の一つとなる設計書すなわち定数設計書の例である。図6は、本システムにより作成されるパラメータファイルDBのデータ構造の例である。図7は、本システムにより作成される定数設計DBのデータ構造の例である。図8は、本システムにより作成されるチェック結果DBのデータ構造の例である。図9は、本システムの出力情報となるチェック結果の表示例である。これらの図3〜図9を参照して、図1の各処理部の機能及び図2の処理フローを説明する。
【0015】
図1の読み込み処理部100は、図2のステップ201、202、203を実行する機能である。読み込み処理部100は、図3の入力画面300を用いた入力処理を行う。入力画面300では、チェック対象である環境パラメータファイルのパスをテキストボックス310にて指定する。また、環境パラメータファイルの区切り文字が、スペース、タブまたは文字列のいずれであるかをラジオボタン320、330または340から選択する。さらに、チェック対象である実設定値が格納される図6のパラメータファイルDB600における列番号をテキストボックス360にて指定する。なお、ラジオボタン340(区切り文字が文字列)を選択した場合は、所定の区切り文字列をテキストボックス350にて指定する。入力画面300で実行ボタン370を押下すると、必要な入力項目が指定されているか、またラジオボタンが選択されているかの入力内容の確認処理を実行する(ステップ201)。
【0016】
ステップ201の入力内容の確認処理が正常終了したところで、図3のテキストボックス310にて指定した環境パラメータファイル400を読み込み、図6のパラメータファイルDB600に格納する処理を実行する(ステップ202)。
【0017】
具体的には、図4の環境パラメータファイル400のレコード410を1レコード(1行)ずつ読み込み、図3の入力画面300で指定された区切り文字に基づいて、読み込んだレコード中の先頭から最初の区切り文字までの文字列、1つの区切り文字から次の区切り文字までの文字列、または最後の区切り文字から改行コードまでの文字列をそれぞれ1つのデータとして認識する。このように区切り文字毎に認識した各文字列のデータを、図6のパラメータファイルDB600の1つのレコードの各フィールドに先頭から順番に格納する(ステップ202)。格納する際に、環境パラメータファイル400の設定項目にあたる先頭から最初の区切り文字までの文字列は、先頭の「設定項目」フィールド610に格納される。
【0018】
次に、図5の定数設計書を読み込み、図7の定数設計DBと図8のチェック結果DBにそれぞれ格納する処理を実行する(ステップ203)。
【0019】
具体的には、ステップ202の環境パラメータファイルの読み込み処理が正常終了したことを受けて、図5の定数設計書500を読み込む。定数設計書500の「設定項目」フィールド510を、図7の定数設計DB700の「設定項目」フィールド710と、図8のチェック結果DB800の「設定項目」フィールド810の双方にそれぞれ格納する。さらに、定数設計書500の「設計設定値」フィールド520を、図7の定数設計DB700の該当する「設定項目」710における「設計設定値」フィールド720と、図8のチェック結果DB800の該当する「設定項目」810における「設計設定値」フィールド820の双方にそれぞれ格納する。
【0020】
定数設計DB700とチェック結果DB800への格納処理が完了すると、図1の設定項目検索処理部110と設定値チェック処理部120とチェック結果登録処理部130が、図7の定数設計DB700に格納されたレコード数分、以下の繰り返し処理を実行する(ステップ204〜209)。
【0021】
この繰り返し処理では、先ず、図7の定数設計DB700のレコードを1レコードずつ順番に読み込み(ステップ204)、定数設計DB700の「設定項目」フィールド710と一致するデータを、図6のパラメータファイルDB600の「設定項目」フィールド610から検索する(ステップ205)。
【0022】
この時、先ず図7の「設定項目」フィールド710と一致するデータが図6の「設定項目」フィールド610に有るか無いかを判断する(ステップ206)。ステップ206において、該当する「設定項目」フィールド610が有る場合は、図6のパラメータファイルDB600の該当レコードのフィールドの中から、図3の入力画面300の「テキストボックス360で指定した列番号の数値に基づいて先頭からカウントした該当する実設定値のフィールド620のデータを取得する。続いて、取得したデータを、図8のチェック結果DB800の該当する「設定項目」フィールド810の「実設定値」フィールド830に格納する(ステップ207)。次に、図8のチェック結果DB800の「設計設定値」フィールド820と「実設定値」フィールド830の値を比較し、値が一致する場合は「チェック結果」フィールド840を“OK”の文字列に更新し、値が一致しない場合は「チェック結果」フィールド840を“NG” の文字列に更新する(ステップ208)。
【0023】
ステップ206で、図6のパラメータファイルDBに該当する「設定項目」フィールド610が無い場合は、図8のチェック結果DB800の「実設定値」フィールド830の更新は行わず、「チェック結果」フィールド840を“未設定” の文字列に更新する(ステップ209)。
【0024】
図9は、環境パラメータファイルと設計書のチェックシステムによる処理結果の表示例であり、図7の定数設計DB700のレコード数分、設定項目検索処理部110と設定値チェック処理部120とチェック結果登録処理部130の実行が終了したところで、表示処理部140が実行する(ステップ210)。
【0025】
具体的には、表示処理部140が表示装置10上に結果表示画面900を表示し、図8のチェック結果DB800の「実設定値」フィールド830を「実設定値」910にて、また、「チェック結果」フィールド840を「判定」920にて表示する。図9の表示例では、図5の定数設計書の内容も併せて表示されている。
【符号の説明】
【0026】
10 表示装置
20 キーボード
30 マウス
40 中央処理装置
300 入力画面
400 環境パラメータファイル
500 定数設計書
600 パラメータファイルデータベース
700 定数設計データベース
800 チェック結果データベース
900 結果表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央処理装置により環境パラメータファイルと設計書のチェックを行う方法であって、前記中央処理装置が、
チェック対象の環境パラメータファイルと、前記環境パラメータファイルにおけるチェック対象の実設定値の列番号と、区切り文字とを指定する情報の入力処理を行うステップと、
指定された前記環境パラメータファイルを1レコードずつ読み込み、読み込んだレコード中の先頭から改行コードまでの文字列を、指定された前記区切り文字毎に1つの文字列としてそれぞれ認識し、先頭の文字列である設定項目と実設定値を含む他の文字列とを、パラメータファイルデータベースの1レコードの各フィールドに先頭から順番に格納するステップと、
定数設計書を読み込み、前記定数設計書の設定項目を、定数設計データベース及びチェック結果データベースの双方の設定項目としてそれぞれ格納するとともに、前記定数設計書の設計設定値を、前記定数設計データベース及び前記チェック結果データベースの双方の該当する設定項目の設計設定値としてそれぞれ格納するステップと、
前記定数設計データベースから1レコードずつ読み込み、読み込んだレコードの設定項目に基づいて前記パラメータファイルデータベースを検索し、一致する設定項目が有るか無いかを判断するステップと、
前記パラメータファイルデータベースに一致する設定項目が有る場合は、その設定項目のレコードの中から、前記指定された列番号に該当する列の実設定値を取得し、前記チェック結果データベースの該当する設定項目の実設定値として格納するステップと、
前記チェック結果データベースの設定項目毎に、格納された設計設定値と実設定値とが一致するか否かを比較して比較結果を該チェック結果データベースに格納するステップと、
前記比較結果を表示するステップと、を行うことを特徴とする
環境パラメータファイルと設計書のチェック方法。
【請求項2】
中央処理装置により環境パラメータファイルと設計書のチェックを行うシステムであって、前記中央処理装置が、
チェック対象の環境パラメータファイルと、前記環境パラメータファイルにおけるチェック対象の実設定値の列番号と、区切り文字とを指定する情報の入力処理を行う手段と、
指定された前記環境パラメータファイルを1レコードずつ読み込み、読み込んだレコード中の先頭から改行コードまでの文字列を、指定された前記区切り文字毎に1つの文字列としてそれぞれ認識し、先頭の文字列である設定項目と実設定値を含む他の文字列とを、パラメータファイルデータベースの1レコードの各フィールドに先頭から順番に格納する手段と、
定数設計書を読み込み、前記定数設計書の設定項目を、定数設計データベース及びチェック結果データベースの双方の設定項目としてそれぞれ格納するとともに、前記定数設計書の設計設定値を、前記定数設計データベース及び前記チェック結果データベースの双方の該当する設定項目の設計設定値としてそれぞれ格納する手段と、
前記定数設計データベースから1レコードずつ読み込み、読み込んだレコードの設定項目に基づいて前記パラメータファイルデータベースを検索し、一致する設定項目が有るか無いかを判断する手段と、
前記パラメータファイルデータベースに一致する設定項目が有る場合は、その設定項目のレコードの中から、前記指定された列番号に該当する列の実設定値を取得し、前記チェック結果データベースの該当する設定項目の実設定値として格納する手段と、
前記チェック結果データベースの設定項目毎に、格納された設計設定値と実設定値とが一致するか否かを比較して比較結果を該チェック結果データベースに格納する手段と、
前記比較結果を表示する手段と、を備えたことを特徴とする
環境パラメータファイルと設計書のチェックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−190212(P2012−190212A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52457(P2011−52457)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】