説明

環境中の生物由来アレルゲンの測定方法および生物由来アレルゲン簡易測定キット

【課題】抗アレルゲン抗体や特殊な基質を用いることなく、簡便かつ安価に環境中の生体由来アレルゲン量を測定することが可能な、生体由来アレルゲン測定方法を提供すること、及びその方法を実施するための生体由来アレルゲン簡易定量キットを提供すること。
【解決手段】被検物と、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む、水溶性ゲルまたは水溶液とを接触させ、前記被検物に含まれる前記プロテアーゼの前記基質に対する作用によって生じた前記水溶性ゲル状または前記水溶液の物性変化を定量化することにより環境中の生物由来アレルゲン量を測定することを特徴とする生物由来アレルゲン測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中の生物由来アレルゲンの測定方法および生物由来アレルゲン簡易測定キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内などの環境中には、ダニ、花粉などが存在し、これらがアレルゲンとなって、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を引き起こすことが知られている。このようなアレルギー疾患に対しては、アレルゲンとの接触を極力回避し、アレルギー反応を軽減することが重要となる。そのため、例えば、室内環境からアレルゲンを除去したり、アレルゲンの室内環境への侵入を防止したりするための各種対応策が提案されているが、アレルゲンとの接触を回避できる程度の効果を奏させるためには、アレルゲンが室内環境にどの程度存在するかを確認することが必要となる。
【0003】
従来、アレルゲンの測定は、測定対象となるアレルゲンを対応抗原とする抗体を用いた免疫測定法により行なわれていた(特許文献1〜5)。しかし、免疫測定法で用いられる抗体、とりわけ測定精度を高めるために用いられるモノクローナル抗体は高価であり、また複雑な工程を経なければならず、簡便かつ安価にアレルゲンを測定することができる測定方法や測定キットが求められている。
【0004】
その改善策として、近年、抗アレルゲン抗体を用いることなく環境中のアレルゲン量を測定する方法がいくつか提案されている(特許文献6、7)。これらの方法では、アレルゲンに含まれるプロテアーゼ活性に着目し、このプロテアーゼによる酵素反応により特定の結合が切断されて色の変化をもたらす基質を用いて測定する方法が採用されている。
しかしながら、これらの方法では、免疫測定法に比べれば、ある程度簡便にアレルゲンの測定は可能であるが、プロテアーゼと反応した結果として発色する色素を結合させた特殊な基質を新たに合成する必要があり、コスト面などにおいて未だに課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−87298号公報
【特許文献2】特開平5−207892号公報
【特許文献3】特開平11−14511号公報
【特許文献4】特開2000−35428号公報
【特許文献5】特開平6−34518号公報
【特許文献6】特開2006−345801号公報
【特許文献7】特開2008−29337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の目的とするところは、抗アレルゲン抗体や特殊な基質を用いることなく、簡便かつ安価に環境中の生体由来アレルゲン量を測定することが可能な、生体由来アレルゲン測定方法を提供すること、及びその方法を実施するための生体由来アレルゲン簡易定量キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む、水溶性ゲルまたは水溶液が、アレルゲンが有するプロテアーゼの基質に対する作用によって、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液の物性が変化し、この物性変化を定量化することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
本発明の第一は、被検物と、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む、水溶性ゲルまたは水溶液とを接触させ、前記被検物に含まれる前記プロテアーゼの前記基質に対する作用によって生じた前記水溶性ゲル状または前記水溶液の物性変化を定量化することにより環境中の生物由来アレルゲン量を測定することを特徴とする生物由来アレルゲン測定方法に関する。
【0009】
本発明では、前記物性変化が前記水溶性ゲルの液化であり、該液化により生じた部分の重量又は容量を定量化することにより、環境中の生物由来アレルゲン量を測定するものであっても良い。この場合、前記水溶性ゲルが、室温でゲル化するタンパク質を含有するのが好ましい。
【0010】
また、本発明では、前記物性変化が、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液のpHの変化であり、当該pHの変化を定量化することにより、環境中の生物由来アレルゲン量を測定するものであっても良い。この場合、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液が、前記アレルゲンが有するプロテアーゼの作用によりpHが変化するタンパク質を含有するのが好ましい。また、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液が、pH指示薬を含むのが好ましい。
【0011】
また、本発明では、前記基質が天然物由来のタンパク質及び/又はタンパク質分解物からなるのが好ましい。
【0012】
さらに、本発明では、前記被検物が、床、壁、窓、窓枠、敷物、寝具類、家具類、粉塵またはハウスダストから採集されるのが好ましい。
【0013】
本発明の第二は、前記の生物由来アレルゲン測定方法に用いる、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液を備える生物由来アレルゲン簡易測定キットに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、抗アレルゲン抗体を用いたり、特殊な基質による色変化などを指標として用いたりすることなく、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む水溶性ゲルや水溶液の物性変化を指標として用いるため、簡便かつ安価に環境中の生体由来アレルゲン量を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における、プロテアーゼ(Der f 1)の濃度と水溶性ゲル(ゼラチンゲル)の減少量(重量基準)との関係を示した図である。
【図2】実施例2における、プロテアーゼ(Der f 1)の濃度と水溶性ゲル(ゼラチンゲル)の減少量(容量基準)との関係を示した図である。
【図3】(a)は、実施例3における各測定サンプルを滴下した後のpH試験紙の色変化を示した図であり、(b)は、pHの値を調整した溶液をpH試験紙に滴下した後の色変化を示した図である。
【図4】(a)は、実施例4の各試験溶液(静置前)を滴下した後のpH試験紙の色変化を示した図であり、(b)は、実施例4の各試験溶液(3日間静置後)を滴下した後のpH試験紙の色変化を示した図である。
【図5】(a)は、実施例5の各サンプルを滴下した直後(静置前)の水溶性ゲルを示した図であり、(b)は、図5(a)における、水溶性ゲルの上部近傍部分の拡大図である。
【図6】(a)は、実施例5の各サンプルを滴下した後(24時間静置後)の水溶性ゲルの色変化を示した図であり、(b)は、図6(a)における、水溶性ゲルの上部近傍部分の拡大図である。
【図7】(a)は、実施例6における測定サンプルとしてダニ飼料のみを用いた時の、24時間静置後のゼラチンゲルの色変化を示した図であり、(b)は、測定サンプルとしてコナヒョウヒダニ培養培地を用いた時の24時間静置後のゼラチンゲルの色変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の生物由来アレルゲン測定方法では、先ず、被検物と、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む水溶性ゲルまたは水溶液とを接触させる。そして、該被検物に生物由来アレルゲンが含まれている場合は、当該アレルゲンに含まれるプロテアーゼが、水溶性ゲルまたは水溶液に含まれる前記プロテアーゼの基質に作用し、その結果、前記水溶性ゲルまたは水溶液の物性変化が引き起こされる。そして、この物性変化を定量化することによって、環境中の生物由来アレルゲン量を測定することができる。前記物性変化は、基質と反応するプロテアーゼの量(比活性)により決定されるため、物性変化を定量または半定量化することにより、プロテアーゼの量(比活性)即ちアレルゲンの量を測定、定量または半定量化することができる。
本発明において「半定量化」とは、アレルゲン量と物性変化の特定量との関係が一義的に定まるような定量的な関係とまではいえないものの、定性的ないし定量的に示される物性変化に対応した相対的なアレルゲン量を提示することを意味する。また、「相対的なアレルゲン量を提示する」とは、基準値にあるいは基準となる検体に対し、測定対象となる被検体におけるアレルゲン量が多い/少ない等の判断が可能であることを意味する。
具体的には、次のようなものを例示できる。一例としては、物性変化が後述する水性ゲルの液化の場合は、液化した特定量ないし特定量の範囲に対応して、予め定めた基準値あるいは基準となる検体に基づきアレルゲン量が「少ない」、「多い」などのように相対的にアレルゲン量を示すことなどが挙げられる。また、他の例としては、後述するpHの変化の場合は、変化した特定のpH値ないし特定のpH値の範囲に対応して、予め定めた基準値あるいは基準となる検体に基づきアレルゲン量が「少ない」、「多い」などのように相対的にアレルゲン量を示すことが挙げられる。さらに、pHの変化をpH試験紙の色の変化に対応させる場合は、特定の色ないし特定の色の範囲に対応して、アレルゲン量を同様に相対的に示したり、pHの変化をpH試薬の色の変化に対応させる場合は、変化した色の濃さに対応して、アレルゲン量を同様に相対的に示したりすることなどが挙げられる。
【0017】
前記物性変化としては、特に限定はないが、定量の容易性の観点から、前記水溶性ゲルの液化や、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液のpHの変化を採用するのが好ましい。これらの物性変化は、アレルゲンに含まれるプロテアーゼが、その基質と反応し、基質が分解、低分子量化されることにより、ゲルが液化したり、基質のプロテアーゼ分解物が塩基性を示したりすることにより生じる。
【0018】
物性変化として、水溶性ゲルの液化を採用する場合は、その液化により生じた部分の重量若しくは容量を定量化することにより、環境中の生物由来アレルゲン量を測定することができる。これらの測定方法としては特に限定はなく、例えば、(i)液化した部分を採取してその重量を電子天秤などで測定する、(ii)液化した部分を採取してその容量をメスシリンダーなどで測定する、(iii)液化した部分を除去して残存するゲルの部分の重量を測定し、予め測定した物性変化前の重量との差を算出する、(iv)液化した部分を除去して残存するゲルの部分の容量を測定し、予め測定した物性変化前の容量との差を算出する、などが挙げられるが、これらに限定されない。
尚、アレルゲン(プロテアーゼ)の量と上記重量/容量とは、アレルゲンの標準物を用いて検量線を作成し、相関関係を予め求めておく。
【0019】
また、物性変化として、水溶性ゲル(プロテアーゼとの反応の結果、液化した場合は、液化した部分を含む)または水溶液のpHの変化を採用する場合は、例えば、次のような方法にて、pHの変化を定量または半定量化することができる。
【0020】
水溶性ゲルの場合は、例えば、液化した部分のpHをpH試験紙、pHメーター、pH指示薬などにより測定することができる。また、水溶性ゲルをカプセル化し、アルカリ性溶液を内包させておくことでpH変化をより顕著にさせることも可能である。
水溶液の場合は、水溶性ゲルの場合と同様に、水溶液のpHをpH試験紙、pHメーター、pH指示薬などにより測定することができる。また、水溶液に予め含有させたpH指示薬の発色、色の変化などによりpHを測定することができる。
尚、アレルゲン(プロテアーゼ)の量とpHの値ないしpHの値に基づく発色とは、標準物を用いて相関関係を予め求めておくことにより、アレルゲン量を定量化または半定量化することができる。
【0021】
環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質としては、タンパク質やタンパク質分解物であり、当該基質であるタンパク質やタンパク質分解物を含有して水溶性ゲルまたは水溶液となり得るものであれば、特に限定はなく、当該タンパク質としては、天然物由来のタンパク質をそのまま使用することができる。但し、天然物由来のタンパク質の混合物などから特定の成分を分離して得られたものも、本発明におけるタンパク質に含まれる。また、タンパク質分解物としては、前記の天然物由来のタンパク質を酵素により分解して得られるジペプチド以上のポリペプチドやアミノ酸から合成したポリペプチドを用いることも可能である。
なお、アレルゲンの種類により、プロテアーゼの基質特異性が異なるため、測定しようとするアレルゲンのプロテアーゼが反応する基質を選択して用いることで、特定のアレルゲンを検出することが可能である。
このように本発明では、例えば特許文献6、7に記載のように、タンパク質やポリペプチドに特定の色素を結合させる必要がない。
【0022】
前記タンパク質の具体例としては、卵タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、トウモロコシタンパク質、乳清タンパク質、ラクトグロブリン、コラーゲン、ベタイン、ムタステイン、氷核タンパク質、ラクトフェリン、ゼラチン、レンネットカゼイン、αs1−カゼイン、β−カゼイン、リゾチーム、ヘモグロビン、ミオグロビン、プレアルブミン、アビジン、モネリン、ミラクリン、繊維状タンパク質、ムチン、レクチン、プロトロンビン、血漿タンパク質、血清タンパク質、糖タンパク質などが挙げられ、これらを単独で、または、複数組合せて用いることができる。
【0023】
水溶性ゲルを構成する常温においてゲル化するタンパク質としては、コスト、入手しやすさなどの観点から、ゼラチンが好ましい。
【0024】
また、水溶液を構成するタンパク質としては、コスト、入手しやすさなどの観点から、ウシ血清アルブミン(BSA)などの血清タンパク質、ゼラチンが好ましい。
【0025】
前記の基質となるタンパク質の水溶性ゲルまたは水溶液中の含有量としては、測定するアレルゲンの量により適宜変更すれば良いが、前記水溶性ゲルでは、概ね、0.01〜0.2g/g−ゲル、前記水溶液の場合は、概ね、0.001〜0.1g/mlである。
【0026】
また、物性変化として、水溶性ゲルまたは水溶液のpHの変化を採用する場合は、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液がpH指示薬を含んでもよい。具体的には、フェノールレッド、ブロモチモールブルー、リトマス、ニュートラルレッド、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、p−ナフトールフタレインなどが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数組合せて用いても良い。複数組合せる場合は、各種試薬の発色範囲や発色の色を考慮すると良い。
pH指示薬の含有量は、その種類や、測定するアレルゲンの量により適宜変更すれば良いが、例えば、前記水溶性ゲルでは、概ね、0.0005〜0.5mg/g−ゲル、前記水溶液の場合は、概ね、0.0005〜0.5mg/mlである。
【0027】
本発明では、水溶性ゲルまたは水溶液に、上記のタンパク質、水溶性溶媒、pH指示薬の他に、任意の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、防腐剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質架橋剤(ゲルの硬度向上)、などが挙げられる。
【0028】
アレルゲンの種類により、プロテアーゼの基質特異性が異なるため、測定しようとするアレルゲンのプロテアーゼが反応する基質を選択して用いる。さらに、プロテアーゼ阻害剤も公知であり、特定のアレルゲンのプロテアーゼ活性を阻害するプロテアーゼ阻害剤を、測定に用いる基質と共存させることにより、当該特定のアレルゲンのプロテアーゼ活性を除外して、対象とするアレルゲンのプロテアーゼ活性を選択的に測定することもできる。プロテアーゼ阻害剤の例としては、p−メタクリ安息香酸、ジイソプロピルフルオロリン酸、シトルフェニルアラニルクロロメチルケトン、ズブチリシンインヒビター、ロイペプチン、アンチパイン、ペプスタチン、エポキシコハク酸誘導体、アプロチニン、ベスタチン、フッ化フェニルメチルスルホニル、EDTA、EGTA、ベンズアミジン等を挙げることができる。このように、適切な基質を選択し、必要により、測定から除外したいアレルゲンのプロテアーゼに対する阻害剤を共存させることにより、測定されるアレルゲンの種類を絞り込むことが可能になる。
【0029】
本発明において用いる水溶性ゲルまたは水溶液は、前記のタンパク質、必要により添加するpH指示薬、添加剤を水溶性溶媒に添加して混合溶液を調製する。水溶性ゲルの場合は、その後定法に従って、混合溶液をゲル化することで得られる。
上記水溶性溶媒としては、プロテアーゼの活性を阻害するものでなければ、特に制限はなく、水、リン酸緩衝液、生理食塩水などを用いることができる。
【0030】
前記被検物としては、プロテアーゼを有する環境中の生物由来アレルゲンを採取可能なものであれば、特に限定はなく、例えば、床、壁、窓、窓枠、敷物(絨毯、畳、マットなど)、寝具類(布団、毛布、枕、マットレスなど)、家具類(椅子、机など)、衣類などの繊維製品、粉塵またはハウスダストなどから採集されたものであるとよい。
また、このように採取した被検物に含まれ得る生物由来アレルゲンは、花粉、カビ、ダニなどの虫体、昆虫由来物質(糞、死骸、破片など)などである。また、花粉、カビ、ダニなどの種類は問わない。尚、例えば各種のダニ(虫体、糞、死骸、破片)由来のプロテアーゼとして機能するものとして、コナヒョウヒダニおよびヤケヒョウヒダニ由来のDer p/f 1、Der p/f 3、Der p/f 6、Der p 9などがあり、これらは、基質である上記タンパク質に作用して、酵素反応を行う。
また採取した被検物は、採取したものをそのままで使用しても良いし、被検物の抽出液としたものを使用しても良い。抽出液は、水、水系緩衝液、生理食塩水などにより調製することができる。
【0031】
本発明の生物由来アレルゲン簡易定量キットは、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む、水溶性ゲルまたは水溶液を必須の構成として含む。また、前記水溶性ゲルまたは水溶液は、所定の容器に封入され、検査時に、前記容器を開封して、被検物と接触させる。
このような容器としては、封入するものの態様(水溶性ゲルか、水溶液か)、被検物との接触方法、上記の物性変化の態様(例えば、重量/容量変化か、pH変化か、など)により、その形状を適宜選択すれば良い。
一例を示せば、水溶性ゲルを用いて、容量変化により物性変化を定量化する場合は、スティック状の透明容器を用いると、水溶性ゲルの減少量をその高さから簡便に定量化が可能となる。
【0032】
本発明の前記キットでは、被検物の採取のため、その採取対象を考慮して、粘着シール、綿棒、フィルタ、布繊維などの被検物採取用の器具を適宜選択して添付しても良い。
また、pHの変化によりアレルゲン量を測定する場合は、必要によりpH試験紙、pH指示薬などを添付しても良い。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。
【0034】
(実施例1)
プロテアーゼの基質としてゼラチンを用い、2%ゼラチン水溶液を試験管(15ml)に8ml入れ、ゲル化させ水溶性ゲルを得た。このゼラチンゲル入り試験管を合計6本調製した。これらの各重量を電子天秤にて測定した。
被検物としてコナヒョウヒダニ粗抽出液(ITEA(株)製、ダニ(Df)粗抽出液)を用いた。アレルゲンはコナヒョウヒダニ、プロテアーゼは、主にコナヒョウヒダニに含まれるDer f 1である。このコナヒョウヒダニ粗抽出液をDer f 1の濃度が、それぞれ、250、500、1000、2500、5000ng/mlとなるように水にて希釈し、測定サンプルとした。尚、Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプルは水を用いた。
先に調製した各ゼラチンゲル入り試験管に、各濃度の測定サンプル1000μlを滴下し、室温にて18時間静置した。
18時間後、各ゼラチンゲル入り試験管を観察したところ、Der f 1の濃度が高くなるにつれて、ゼラチンゲルが減少し、液化していることを目視により確認した。また、液化した部分を除去した後、電子天秤にて測定し、予め測定した重量との差を水溶性(ゼラチン)ゲルの減少量として算出した。その結果を表1および図1に示す。表1および図1より、プロテアーゼであるDer f 1の濃度の増加に従って、ゲルの減少量が増加しており、プロテアーゼ(Der f 1)を指標として、水溶性ゲルの物性変化(液化)を定量化することで、アレルゲン量の定量が可能であることがわかる。
尚、抽出液中のDer f 1の濃度は、抗原抗体反応を利用したELISA法(Indoor社製)にて定量した。
【0035】
【表1】

【0036】
(実施例2)
プロテアーゼの基質としてゼラチンを用い、2%ゼラチン水溶液をスティック状透明容器(外径15mm、高さ150mm)に液高さが約80mmになるように入れ、ゲル化させ水溶性ゲルを得た。このゼラチンゲル入り透明容器を合計6本調製した。また、これらのゼラチンゲルの透明容器中の高さを測定した。
被検物としては、実施例1と同様のコナヒョウヒダニ粗抽出液を用いた。このコナヒョウヒダニ粗抽出液をDer f 1の濃度が、それぞれ、250、500、1000、2500、5000ng/mlとなるようにリン酸緩衝液にて希釈し、測定サンプルとした。尚、Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプルはリン酸緩衝液を用いた。
先に調製した各ゼラチンゲル入りスティック状透明容器に、各濃度の測定サンプル1000μlを滴下し、室温にて18時間静置した。
18時間後、各ゼラチンゲル入りスティック状透明容器を観察したところ、Der f 1の濃度が高くなるにつれて、ゼラチンゲルが減少し、液化していることを目視により確認した。また、液化した部分を除去した後、ゼラチンゲルの高さを測定し、予め測定したゼラチンゲルの高さとの差を水溶性(ゼラチン)ゲルの減少量として算出した。尚、この高さの減少量は実質的に容量の減少量にあたる。算出結果を表2および図2に示す。表2および図2より、プロテアーゼであるDer f 1の濃度の増加に従って、ゲルの減少量が増加しており、プロテアーゼ(Der f 1)を指標として、水溶性ゲルの物性変化(液化)を定量化することで、アレルゲン量の定量が可能であることがわかる。
【0037】
【表2】

【0038】
(実施例3)
実施例1と同様にして、予め調製した各ゼラチンゲル入り試験管に、Der f 1の濃度が0〜5000ng/mlの測定サンプル1000μlをそれぞれ滴下し、室温にて18時間静置した。なお、Der f 1の濃度が5000ng/mlの測定サンプルを1000μl滴下したものをもう一つ用意し、滴下直後のサンプルをpH試験紙(MACHEREY−NAGEL社製、製品名Universal indicator paper。本試験紙は、液が未接触では概ね橙色を呈し、中性では概ね黄緑色を呈し、塩基性になるに従い、緑色が濃くなるように変色する。)に滴下したところ、橙色を示した。
18時間後、各ゼラチンゲル入り試験管を観察したところ、Der f 1の濃度が0ng/mlでは殆ど液化しなかったが、Der f 1を含むサンプルではその濃度が高くなるにつれて、ゼラチンゲルが減少し、液化していることを目視により確認した。また、それぞれ液化した部分をpH試験紙に滴下すると、前記の通り滴下直後のサンプルは橙色であったが、Der f 1のその濃度が高くなるにつれて、pH試験紙の塩基性が高くなることが、pH試験紙の色の変化から目視にて観察された(色の変化とpHの値が対応する)。尚、pH試験紙の変化した後の色とpHの値との関係は、pH値を調整した溶液をpH試験紙に滴下して、予め確認した。この結果を図3(a)、(b)に示す。図3(a)1a−1は、前記の通り、Der f 1の濃度が5000ng/mlの測定サンプルを滴下した直後のサンプルのpH試験紙の色を示したものであり、概ね図の上側の部分が、サンプルが滴下された部分である。1a−2〜1a−7は、Der f 1の濃度がそれぞれ、0、250、500、1000、2500、5000ng/mlのサンプルをそれぞれ滴下し、18時間後の液状部分のpH試験紙の色を示したものである。図3(b)は、pHの値を調整した溶液をpH試験紙に滴下した後の色を示したものであり、概ね図の下側の部分が、サンプルが滴下された部分である。1b−1〜1b−8は、それぞれpHの値が、5.0、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.2、8.5である。図3(a)および(b)との対比から、1a−1および1a−2では、その色が、1b−1ないし1b−2に近似し、pHは概ね5.0ないし6.0であり、1a−3では、その色が、1b−4に近似し、pHは概ね7.0であり、1a−4では、その色が、1b−5に近似し、pHは概ね7.5であり、1a−5では、その色が、1b−6に近似し、pHは概ね8.0であり、1a−6では、その色が、1b−7に近似し、pHは概ね8.2であり、1a−7では、その色が、1b−7に近似し、pHは概ね8.2であった。
このように、Der f 1の濃度が5000ng/mlの測定サンプルを滴下した直後はpH試験紙が橙色を呈し、塩基性でないが、ゼラチンゲルと所定時間反応し、ゼラチンゲルが分解されると、それに伴い、液状部分のpHが塩基性に変化する。さらに、所定時間経過後は、プロテアーゼであるDer f 1の濃度の増加に従って、ゲル状のゼラチンがDer f 1との酵素反応により液化した部分の物性であるpHが変化しており、プロテアーゼ(Der f 1)を指標として、水溶性ゲルの物性変化(pH変化)を定量化することで、アレルゲン量の測定が可能であることが分かる。
【0039】
(実施例4)
プロテアーゼの基質としてBSA(Bovine serum albumin)を用い、1.25%BSA水溶液をガラス容器に1ml入れ、水溶性反応基質とし、これを合計6本調製した。被検物としては、実施例1と同様のコナヒョウヒダニ粗抽出液を用いた。このコナヒョウヒダニ粗抽出液をDer f 1の濃度が、それぞれ、5000、2500、1000、500、250ng/mlとなるように精製水にて希釈し、測定サンプル(2a−1〜2a−5)とした。尚、Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプル(2a−6)は精製水を用いた。
先に調製したBSA水溶液入りガラス容器に、各濃度の測定サンプル500μlを滴下し、試験溶液とした。pH試験紙(MACHEREY−NAGEL社製、製品名Universal indicator paper)にて試験溶液のpHを確認した(図4(a))。尚、図4(a)に示すように、2a−1〜2a−6は、Der f 1の濃度が、それぞれ、5000、2500、1000、500、250、0ng/mlのサンプルを滴下した直後のpH試験紙の色変化を示したものであり、概ね図の下側の部分が変色した部分である。2a−1の変色部分の色が概ね、1b−4に一致しているため、pHは7.0である。
その後、室温にて3日間静置し、試験溶液をpH試験紙に滴下すると、Der f 1の濃度が高くなるにつれて、pH試験紙の塩基性が高くなることが、pH試験紙の色の変化から目視にて観察された(色の変化とpHの値が対応する)(図4(b))。
尚、図4(b)では、2a−1〜2a−6は、Der f 1の濃度が、それぞれ、5000、2500、1000、500、250、0ng/mlのサンプルを滴下した時のpH試験紙の色変化を示したものであり、概ね図の下側の部分が変色した部分である。2a−1の変色部分の色が概ね、1b−6に一致しているため、pHは8.0程度であり、2a−2の変色部分の色が概ね、1b−6に一致しているため、pHは8.0程度であり、2a−3の変色部分の色が概ね、1b−5に一致しているため、pHは7.5程度であり、2a−4の変色部分の色が概ね、1b−4に一致しているため、pHは7.0程度であり、2a−5の変色部分の色が概ね、1b−3に一致しているため、pHは6.5程度であり、2a−6の変色部分の色が概ね、1b−3に一致しているため、pHは6.5程度である。変色の程度は、図4(a)の静置前に比べて強く、Der f 1の濃度に依存した色変化、即ち、pH変化が観察されることが分かる。
このように、プロテアーゼであるDer f 1の濃度の増加に従って、ゲル状のゼラチンがDer f 1との酵素反応により液化した部分の物性であるpHが変化しており、プロテアーゼ(Der f 1)を指標として、水溶性基質の物性変化(pH変化)を定量化することで、アレルゲン量の測定が可能であることがわかる。
【0040】
(実施例5)
プロテアーゼの基質としてゼラチン、pH指示薬としてフェノールレッドを用い、2%ゼラチン水溶液にフェノールレッド(SIGMA−ALDRICH社製、製品名 Phenol Red, A.C.S reagent、変色域pH6.8〜8.2、黄色から赤色に変色)を添加し、スティック状透明容器(外径15mm、高さ150mm)に液高さが約80mmになるように入れ、ゲル化させ水溶性ゲルを得た。このゼラチンゲル入り透明容器を合計6本調製した。
被検物としては、実施例1と同様のコナヒョウヒダニ粗抽出液を用いた。このコナヒョウヒダニ粗抽出液をDer f 1の濃度が、それぞれ500、1000、2000、5000、10000ng/mlとなるように精製水にて希釈し、それぞれ0.5mlを測定サンプル3a−2〜3a−6とした。尚、Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプル(3a−1)は精製水を用いた。
先に調製した各ゼラチンゲル入りスティック状透明容器に、各濃度の測定サンプル500μlを滴下した。滴下直後の色変化を図5(a)、(b)に示す。図5(a)は、スティック状透明容器の全体を示した図であり、図5(b)は、図5(a)における、水溶性ゲルの上部近傍部分の拡大図である。水溶性ゲル上部は、液化した水溶性ゲルとサンプルが混合した状態である。
室温にて24時間静置した後、各ゼラチンゲル入りスティック状透明容器を観察したところ、Der f 1の濃度が高くなるにつれて、ゼラチンゲルが減少し、液化していることを目視により確認した。また、Der f 1の濃度が高くなるにつれて、液化した部分の塩基性が高くなることが、フェノールレッドの色の変化から目視にて観察された(色の変化とpHの値が対応する)。この時の各サンプルの色変化を図6(a)、(b)に示す。図6(a)は、スティック状透明容器の全体を示した図であり、図6(b)は、図6(a)における、水溶性ゲルの上部近傍部分の拡大図である。図6(b)に示すように、液化した水溶性ゲルと測定サンプルの混合部分の赤色への変色の濃さおよび変色部分の高さが、Der f 1の濃度が増加するに従い、大きくなっていることが分かる。
このように、プロテアーゼであるDer f 1の濃度の増加に従って、ゲル状のゼラチンがDer f 1との酵素反応により液化した部分の物性であるpHが変化しており、当該pHの変化に対応する色の濃さや変色部分の高さを定量化、ないし相対的に示し、それに対応するアレルゲン量を予め定量的ないし相対的に把握して、プロテアーゼ(Der f 1)を指標として、水溶性基質の物性変化(pH変化)を定量または半定量化することで、アレルゲン量の測定が可能であると考えられる。
【0041】
(実施例6)
プロテアーゼの基質としてゼラチン、pH指示薬としてフェノールレッドを用い、2%ゼラチン水溶液にフェノールレッド(SIGMA−ALDRICH社製、製品名 Phenol Red, A.C.S reagent)を添加したものを、紙コップに4ml入れ、ゲル化させて、水溶性ゲルを得た。このゼラチンゲル入り紙コップを2つ調製した。
被検物としては、コナヒョウヒダニを培養した培地(すでにダニは生存しておらず、ダニの死骸、破片、糞、ダニ飼料を含む。)0.05gを用いた。尚、Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプルはダニ飼料0.05gを用いた。尚、ダニ飼料は、マウスフード(MF)と乾燥酵母を重量比1:1で混合したものである。
先に調製した各ゼラチンゲル入り紙コップに、測定サンプルを配置し、室温にて24時間静置した。
24時間後、各ゼラチンゲル入り紙コップを観察したところ、コナヒョウヒダニ培養培地を配置した紙コップのみ、ゼラチンゲルが減少し、液化していることを目視により確認した。また、液化した部分の塩基性が高くなることが、フェノールレッドの色の変化から目視にて観察された(色の変化とpHの値が対応する)。図7(a)は、測定サンプルとしてダニ飼料(コップ中央部の濃灰色部分)のみを用いた時の、24時間静置後のゼラチンゲルの色変化を示したものであり、図7(b)は、測定サンプルとしてコナヒョウヒダニ培養培地(コップ中央部の黒色部分)を用いた時の24時間静置後のゼラチンゲルの色変化を示したものである。
図7(a)では、ゼラチンゲルが当初の色である黄色(図7(a)ではコップ底面部の白色部分である。)を呈しており、赤色への変色が見られない。尚、コップ底面中央部の濃灰色部分はダニ飼料を示すが、赤色への変色はない。
一方、図7(b)では、その大部分(図の左半分以上)が赤色(図7(b)ではコップ底面部の黒ないし濃灰色部分である。)へ変色していることが分かる。尚、コップ底面中央部の黒色部分はダニ培養培地を配した部分であるが、この部分は赤色に変色している。
このように、ダニアレルゲン由来のプロテアーゼの酵素反応によりゲル状のゼラチンが液化し、その部分の物性であるpHが変化しており、当該pHの変化に対応する色の濃さや変色部分の広さを定量化、ないし相対的に示し、それに対応するアレルゲン量を予め定量的ないし相対的に把握して、プロテアーゼを指標として、水溶性基質の物性変化(pH変化)を定量または半定量化することで、アレルゲン量の測定が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1a−1 Der f 1の濃度が5000ng/mlのサンプル(直後)が滴下されたpH試験紙
1a−2 Der f 1の濃度が0ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1a−3 Der f 1の濃度が250ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1a−4 Der f 1の濃度が500ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1a−5 Der f 1の濃度が1000ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1a−6 Der f 1の濃度が2500ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1a−7 Der f 1の濃度が5000ng/mlのサンプル(18時間後)が滴下されたpH試験紙
1b−1 pHが5.0の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−2 pHが6.0の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−3 pHが6.5の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−4 pHが7.0の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−5 pHが7.5の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−6 pHが8.0の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−7 pHが8.2の溶液が滴下されたpH試験紙
1b−8 pHが8.5の溶液が滴下されたpH試験紙
2a−1 Der f 1の濃度が5000ng/mlの測定サンプル(2a−1)が滴下されたpH試験紙
2a−2 Der f 1の濃度が2500ng/mlの測定サンプル(2a−2)が滴下されたpH試験紙
2a−3 Der f 1の濃度が1000ng/mlの測定サンプル(2a−3)が滴下されたpH試験紙
2a−4 Der f 1の濃度が500ng/mlの測定サンプル(2a−4)が滴下されたpH試験紙
2a−5 Der f 1の濃度が250ng/mlの測定サンプル(2a−5)が滴下されたpH試験紙
2a−6 Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプル(2a−6)が滴下されたpH試験紙
3a−1 Der f 1の濃度が0ng/mlの測定サンプル(3a−1)が滴下されたゼラチンゲル
3a−2 Der f 1の濃度が250ng/mlの測定サンプル(3a−2)が滴下されたゼラチンゲル
3a−3 Der f 1の濃度が500ng/mlの測定サンプル(3a−3)が滴下されたゼラチンゲル
3a−4 Der f 1の濃度が1000ng/mlの測定サンプル(3a−4)が滴下されたゼラチンゲル
3a−5 Der f 1の濃度が2500ng/mlの測定サンプル(3a−5)が滴下されたゼラチンゲル
3a−6 Der f 1の濃度が5000ng/mlの測定サンプル(3a−6)が滴下されたゼラチンゲル





【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物と、環境中の生物由来アレルゲンが有するプロテアーゼの基質を含む、水溶性ゲルまたは水溶液とを接触させ、前記被検物に含まれる前記プロテアーゼの前記基質に対する作用によって生じた前記水溶性ゲルまたは前記水溶液の物性変化を定量または半定量化することにより環境中の生物由来アレルゲン量を測定することを特徴とする生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項2】
前記物性変化が前記水溶性ゲルの液化であり、該液化により生じた部分の重量又は容量を定量または半定量化することにより、環境中の生物由来アレルゲン量を測定する請求項1記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項3】
前記水溶性ゲルが、室温でゲル化するタンパク質を含有する請求項2記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項4】
前記物性変化が、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液のpHの変化であり、当該pHの変化を定量または半定量化することにより、環境中の生物由来アレルゲン量を測定する請求項1記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項5】
前記水溶性ゲルまたは前記水溶液が、前記アレルゲンが有するプロテアーゼの作用によりpHが変化するタンパク質を含有する請求項4記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項6】
前記水溶性ゲルまたは前記水溶液が、pH指示薬を含む請求項4又は5に記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項7】
前記基質が天然物由来のタンパク質及び/又はタンパク質分解物からなる請求項1〜6の何れかに記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項8】
前記被検物が、床、壁、窓、窓枠、敷物、寝具類、家具類、粉塵またはハウスダストから採集される請求項1〜7のいずれかに記載の生物由来アレルゲン測定方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の生物由来アレルゲン測定方法に用いる、前記水溶性ゲルまたは前記水溶液を備える生物由来アレルゲン簡易測定キット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139136(P2012−139136A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292593(P2010−292593)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】