説明

環境再現システム、管理サーバ、環境再現方法及びプログラム

【課題】問題の発生したコンピュータの装置環境を他のコンピュータ上に確実に再現できるようにする。
【解決手段】オリジナルコンピュータ1が、BIOSプリブート環境で動作するアプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータ1のストレージ情報、ファームウェア情報、不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバ2へ送り、管理サーバ2は、オリジナルコンピュータ1から送られてきた装置環境データを記憶装置に登録する。オリジナルコンピュータ1と同一のハードウェア構成を有するクローンコンピュータ3は、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、管理サーバ2が保持しているオリジナルコンピュータ1の装置環境データを取得し、自コンピュータ3上に復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、或るコンピュータの装置環境を他のコンピュータに再現する環境再現技術に関し、特に、BIOS(basic input/output systm)を利用して装置環境を再現する環境再現技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムの評価を行う場合、あるコンピュータで発生した問題を別のコンピュータで再現させたい場合がある。このような場合、問題の発生したコンピュータと同じハードウェア(HW)構成のコンピュータを用いて評価を行うが、HW構成以外にソフトウェア構成も合わせる必要がある。しかし、ソフトウェアの場合には、OSやアプリケーションプログラムのバージョン以外にも、ドライバのバージョン、装置固有の不揮発性メモリの情報、或いはソフトウェアをインストールした順番などにも影響を受ける場合があり、全く同じ装置環境を再現することは難しい。また、人手を介して装置環境を復元するようにすると、情報の収集漏れ等のヒューマンエラーが発生しやすく、同じ装置環境を再現することは難しい。
【0003】
ところで、コンピュータの装置環境を自動的に再現するための従来の技術としては、アプリケーションプログラム開発時の評価フェーズにおいて、評価対象にするアプリケーションプログラムを構成するファイルの組み合わせが変更される毎に(装置環境が変更される毎に)、その組み合わせを示すファイルIDセットを環境データ記憶部に登録しておき、装置環境を再現したい場合は、上記環境データ記憶部の内容に基づいて装置環境を再現するという技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)やユーザデータをバックアップ/復元するための従来の技術としては、バックアップ時には、OSのカーネルが、ディスク上の保護パーティションにOSやユーザデータをコピーし、復元時には、OSのカーネルが、保護パーティション内に記録されているOSやユーザデータを、記録されている元のアドレス情報に従って、ディスク内の適切なアドレスにコピーする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−163131号公報
【特許文献2】特開2004−38931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載されている従来の技術では、アプリケーションプログラムを構成するファイルの組み合わせが変更される毎に、その組み合わせを示すファイルIDセットを環境データ記憶部に登録しておくので、その内容に基づいて、過去に問題が発生したアプリケーションプログラムを構成するファイルの組み合わせを再現することができる。しかし、この特許文献1に記載されている従来の技術は、あるコンピュータで発生した問題を、後刻、同一コンピュータで再現する技術であるため、別のコンピュータで問題を再現する場合には適用できない。即ち、別のコンピュータで問題を再現するためには、アプリケーションプログラムを再現するだけではなく、OS、不揮発性メモリ情報、ファームウェア情報も再現する必要があるため、特許文献1に記載されている従来の技術では、別のコンピュータで問題を再現することはできない。
【0007】
また、特許文献2に記載されている従来の技術も、コンピュータのOSやユーザデータをバックアップしておき、それらを同一コンピュータに復元する技術であるため、問題の発生したコンピュータとは別のコンピュータで問題を再現する場合には、適用できない。
【0008】
〔発明の目的〕
そこで、本発明の目的は、問題の発生したコンピュータの装置環境を他のコンピュータで確実に再現できるようにすることにより、あるコンピュータで発生した問題を別のコンピュータで再現できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる第1の環境再現システムは、
オリジナルコンピュータと、管理サーバと、前記オリジナルコンピュータと同一のハードウェア構成を有するクローンコンピュータとを含む環境再現システムであって、
前記オリジナルコンピュータが、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記管理サーバが、前記オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを保持する構成を有し、
前記クローンコンピュータが、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元する構成を有することを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる第2の環境再現システムは、第1の環境再現システムにおいて、
前記オリジナルコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記クローンコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元する構成を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる第3の環境再現システムは、第2の環境再現システムにおいて、
前記管理サーバが、
前記バックアップ用アプリケーションプログラム及び前記復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置と、
前記オリジナルコンピュータからバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータに対して前記記憶装置に登録されている前記バックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段と、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる第4の環境再現システムは、第3の環境再現システムにおいて、
前記オリジナルコンピュータ上で動作するデータ送信用BIOSが、自コンピュータのモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記バックアップ用アプリケーションプログラムが、装置環境データ、自コンピュータのモデル番号及び前記装置環境データのデータIDを含むデータ登録要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記クローンコンピュータ上で動作するデータ受信用BIOSが、自コンピュータのモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDとを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記管理サーバへ送信する構成を有することを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる第1の管理サーバは、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置と、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信するオリジナルコンピュータから、バックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータに対して前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段と、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元するクローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる第2の管理サーバは、第1の管理サーバにおいて、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記クローンコンピュータへ送信する構成を有することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる第1の環境再現方法は、
オリジナルコンピュータが、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバが、前記オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを保持し、
前記オリジナルコンピュータと同一のハードウェア構成を有するクローンコンピュータが、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる第2の環境再現方法は、第1の環境再現方法において、
前記オリジナルコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信し、
前記クローンコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる第1のプログラムは、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置を備えたコンピュータを、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信するオリジナルコンピュータから、バックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータにバックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元するクローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段として機能させる。
【0018】
本発明にかかる第2のプログラムは、第1のプログラムにおいて、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、且つ、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記クローンコンピュータへ送信する構成を有することを特徴とする。
【0019】
〔作用〕
オリジナルコンピュータは、自コンピュータの装置環境を他のコンピュータ上に再現したい場合、BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信する。管理サーバでは、オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを記憶装置に登録する。オリジナルコンピュータの装置環境を再現するクローンコンピュータは、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、管理サーバが保持しているオリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、問題の発生したオリジナルコンピュータの装置環境をクローンコンピュータ上に確実に再現することが可能になるという効果を得ることができる。その理由は、オリジナルコンピュータが、自コンピュータ上のストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信し、管理サーバが、オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを保持し、クローンコンピュータが、管理サーバが保持しているオリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元するからである。即ち、人手を介さずに、ファームウェア情報、不揮発性メモリ情報及びストレージ情報を丸ごと管理サーバに登録しておくので、クローンコンピュータ上にオリジナルコンピュータの装置環境を確実に再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
〔実施の形態の構成の説明〕
図1は、本発明にかかる環境再現システムの実施の形態の構成例を示すブロック図であり、オリジナルコンピュータ1と、管理サーバ2と、クローンコンピュータ3とから構成され、それらはインターネット等のネットワーク4を介して相互に接続されている。なお、図1においては、オリジナルコンピュータ1及びクローンコンピュータ3を1台ずつしか図示していないが、その台数はこれに限られるものではなく、複数台であっても良い。
【0023】
オリジナルコンピュータ1は、問題発生時の装置環境を示す装置環境データを管理サーバ2へ送信するコンピュータである。管理サーバ2は、オリジナルコンピュータ1から送られてきた装置環境データを管理するサーバである。クローンコンピュータ3は、管理サーバ2で管理されているオリジナルコンピュータ1の装置環境データに基づいて、オリジナルコンピュータ1に問題が発生したときの装置環境を再現するコンピュータであり、オリジナルコンピュータ1と同一のハードウェア構成を有する。
【0024】
図2は、オリジナルコンピュータ1の構成例を示すブロック図であり、CPU11と、フラッシュメモリ12と、メインメモリ13と、ハードディスク装置からなるストレージ装置14と、リモートマネージメントカード15と、送受信部16と、キーボード等の入力部17と、LCD等の表示部18とから構成されている。
【0025】
フラッシュメモリ12には、通常時には、オリジナルBIOSや、BIOSセットアップ情報などの不揮発性メモリ情報が登録され、装置環境データの送信時には、オリジナルBIOSに代えて、後述するデータ送信用BIOSが登録される。
【0026】
ストレージ装置14には、図3に示すように、OSが使用するOS管理領域141と、BIOSが使用するBIOS管理領域142とが設けられている。また、BIOS管理領域142には、フラッシュメモリ12からバックアップしたオリジナルBIOSを格納するためのオリジナルBIOSデータ格納領域143が設けられている。
【0027】
クローンコンピュータ3は、図2に示したオリジナルコンピュータ1と同様の構成を有する。クローンコンピュータ3のフラッシュメモリ12にも、通常時には、オリジナルコンピュータ1と同様に、オリジナルBIOSや、BIOSセットアップ情報などの不揮発性メモリ情報が登録されているが、クローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1の装置環境を再現する場合には、オリジナルBIOSに代えて後述するデータ受信用BIOSが登録される。
【0028】
図4(A),(B)は、それぞれデータ送信用BIOS及びデータ受信用BIOSの構成例を示す図である。
【0029】
データ送信用BIOSは、図4(A)に示すように、CPU、メモリ、ネットワークの初期化を行う最低限の初期化コードと、管理サーバ2から登録データ生成モジュールをダウンロードし、実行するBIOSプリブート環境を実現するためのBIOSプリブート環境用コードとから構成される。BIOSプリブート環境とは、そのコンピュータ上で通常稼働しているOSを起動させずにアプリケーションを実行可能な環境のことであり、このBIOSプリブート環境においては、OSのように複数のプロセスが同時に動作することはなく、プロセスは、常に1個しか実行されない(シングルプロセス)。また、BIOSプリブート環境においては、割り込みは使用されない。
【0030】
データ受信用BIOSは、図4(B)に示すように、データ送信用BIOSと同様の初期化コードと、管理サーバ2からデータ復元シナリオをダウンロードし、実行するBIOSプリブート環境を実現するためのBIOSプリブート環境用コードとから構成されている。
【0031】
図5は管理サーバ2の構成例を示すブロック図であり、送受信手段21と、登録データ生成モジュール管理手段22と、装置環境データ管理手段23と、記憶装置24を備えている。
【0032】
記憶装置24には、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25が設けられている。登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25には、モデル番号に対応付けて、そのモデル番号のコンピュータにおいて使用する登録データ生成モジュールが登録されると共に、そのモデル番号のオリジナルコンピュータにおいて採取された装置環境データが登録されている。モデル番号とは、コンピュータの機種を特定するための番号であり、機種毎に異なる番号が付与されている。なお、本実施の形態では、オリジナルコンピュータ1のモデル番号と、クローンコンピュータ3のモデル番号とは同一であるとする。
【0033】
図6は、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25の内容例を示す図である。同図の例では、モデル番号「A」「B」に対応付けて、モデル番号「A」「B」のコンピュータで使用する登録データ生成モジュール61−1A,61−Bが登録されている。また、モデル番号「A」に対応付けて、モデル番号「A」のオリジナルコンピュータで採取された装置環境データ62−1A,62−2Aが登録され、モデル番号「B」に対応付けて、モデル番号「B」のオリジナルコンピュータで採取されたn個の装置環境データ62−1B〜62−nBが登録されている。装置環境データ62−1Aは、そのデータを一意に識別するためのデータID「GUID1」63と、データ復元シナリオ64と、オリジナルコンピュータにおいて採取されたファームウェア(FW)情報66、不揮発性メモリ(NVRAM)情報68及び圧縮ストレージ情報70と、FW情報66、NVRAM情報68及び圧縮ストレージ情報70をクローンコンピュータ3上に復元するためのFW復元ツール65、NVRAM復元ツール67及びストレージ解凍・復元ツール69を含んでいる。他の装置環境データも、装置環境データ62−1Aと同様の構成を有している。なお、データ復元シナリオ64は、オリジナルコンピュータの装置環境をクローンコンピュータ上に再現する際、FW情報、NVRAM情報、圧縮ストレージ情報をどのような順序で復元するのかを管理し、シーケンシャルに上記各情報の復元ツール(FW復元ツール、NVRAM復元ツール及びストレージ解凍・復元ツール)を起動するためのバッチファイルである。
【0034】
図7は、登録データ生成モジュールの構成例を示す図であり、管理サーバ2にアクセスしてデータIDを取得するデータID取得部71と、FW情報を採取するFWバックアップツール75と、NVRAM情報を採取するNVRAMバックアップツール77と、ストレージ情報を採取し圧縮するストレージバックアップ・圧縮ツール79と、クローンコンピュータ3上にFW情報、NVRAM情報およびストレージ情報を復元する際、どのような順番で復元するのかを示すデータ復元シナリオ74と、クローンコンピュータ3上でFW情報を復元するFW復元ツール76と、クローンコンピュータ3上でNVRAM情報を復元するNVRAM復元ツール78と、クローンコンピュータ3上で圧縮ストレージデータを解凍し復元するストレージ解凍・復元ツール80とを備えている。更に、登録データ生成モジュールは、データID取得部71が管理サーバ2から取得したデータIDと、各バックアップツール75、77、79が採取したFW情報、NVRAM情報、圧縮ストレージ情報と、データ復元シナリオ74と、各復元ツール76、78、80とを含む、図6に示すようなツリー構造を有する装置環境データを生成するデータツリー構築部72と、データツリー構築部72で生成された装置環境データを管理サーバ2へ送信し、登録するデータ登録部73を備えている。
【0035】
送受信手段21は、ネットワーク4を介してデータを送受信する機能を有する。
【0036】
登録データ生成モジュール管理手段22は、オリジナルコンピュータ1からモデル番号を含む登録データ生成モジュール取得要求が送られてきたとき、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に登録されている登録データ生成モジュールの内の、上記モデル番号に対応付けて登録されている登録データ生成モジュールを要求元のオリジナルコンピュータ1へ送信する機能を有する。
【0037】
装置環境データ管理手段23は、オリジナルコンピュータ1から送られてきた装置環境データを登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に登録する機能や、クローンコンピュータ3からモデル番号およびデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、上記モデル番号およびデータIDによって特定されるデータ復元シナリオと、そのデータ復元シナリオに関連するFW情報、NVRAM情報、圧縮ストレージ情報、FW復元ツール、NVRAM復元ツール、ストレージ解凍・復元ツールを要求元のクローンコンピュータ3に送信する機能を有する。今、例えば、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25の内容が図6に示すものであり、クローンコンピュータ3からモデル番号「A」及びデータID「GUID1」を含む装置環境データ取得要求が送られてきたとすると、装置環境データ管理手段23は、データ復元シナリオ64、FW復元ツール65、FW情報66、NVRAM復元ツール67、NVRAM情報68、ストレージ解凍・復元ツール69及び圧縮ストレージ情報70を要求元のクローンコンピュータ3に送信することになる。
【0038】
上記した機能を有する管理サーバ2は、コンピュータによって実現可能であり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータを管理サーバ2として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に送受信手段21、登録データ生成モジュール管理手段22及び装置環境データ管理手段23を実現する。
【0039】
〔実施の形態の動作の説明〕
次に、本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0040】
先ず、オリジナルコンピュータ1の装置環境データを管理サーバ2に登録する場合の動作について説明する。
【0041】
オリジナルコンピュータ1のユーザは、装置環境データを管理サーバ2に登録する場合、準備作業として、先ず、フラッシュメモリ12に登録されているオリジナルBIOSをストレージ装置14のオリジナルBIOSデータ格納領域143に保存し(図8のステップS81)、次いで、フラッシュメモリ12に登録されているオリジナルBIOSを、図4(A)に示す構成を有するデータ送信用BIOSに書き換え(ステップS82)、システムの電源を落とす(ステップS83)。
【0042】
その後、ユーザは、オリジナルコンピュータ1が物理的にネットワーク4に接続可能な状態になっている場合は、直ちにオリジナルコンピュータ1を起動し、そうなっていない場合は、ネットワークケーブルを接続する等して物理的にネットワーク4に接続可能な状態にした後、オリジナルコンピュータ1を起動する。
【0043】
オリジナルコンピュータ1が起動されると、フラッシュメモリ12に登録されているデータ送信用BIOSが起動される。これにより、データ送信用BIOSは、その初期化コードに従ってCPU11、メインメモリ13、ネットワークの初期化を行い(図9のステップS91)、その後、BIOSプリブート環境用コードに従った処理を行う。BIOSプリブート環境用コードは、先ず、オリジナルコンピュータ1のモデル番号を含む登録データ生成モジュール取得要求を管理サーバ2へ送信する(ステップS92)。
【0044】
管理サーバ2内の登録データ生成モジュール管理手段22は、オリジナルコンピュータ1から登録データ生成モジュール取得要求が送られてくると、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25から、上記要求中のモデル番号によって特定される登録データ生成モジュールを取り出し、要求元のオリジナルコンピュータ1へ送信する(ステップS93)。今、例えば、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25の内容が図6に示すものであり、登録データ生成モジュール取得要求にモデル番号「A」が含まれているとすると、登録データ生成モジュール管理手段22は、登録データ生成モジュール61−Aをオリジナルコンピュータ1へ送信することになる。
【0045】
オリジナルコンピュータ1上で動作しているデータ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、管理サーバ2から登録データ生成モジュールが送られてくると、それを利用した処理を行う(ステップS94)。図10は、ステップS94で行われる処理の詳細を示したフローチャートである。同図を参照すると、BIOSプリブート環境用コードは、先ず、データID取得部71を起動する。これにより、データID取得部71は、今回登録する装置環境データのデータIDを取得するために、オリジナルコンピュータ1のモデル番号を含むデータID取得要求を管理サーバ2へ送信する(ステップS101)。
【0046】
管理サーバ2内の装置環境データ管理手段23は、モデル番号を含むデータID取得要求が送られてくると、今回登録される上記モデル番号に関連する装置環境データを一意に識別するためのデータIDを生成し、生成したデータIDを要求元のオリジナルコンピュータ1に返却する(ステップS102)。今、例えば、データID取得要求に含まれているモデル番号が「A」で、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25にモデル番号「A」に対応する装置環境データとして、データID「GUID1」「GUID2」の装置環境データが登録されているとすると、装置環境データ管理手段23は、今回登録される装置環境データを一意に識別するためのデータIDとして例えば「GUID3」を生成することになる。
【0047】
その後、データ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、FWバックアップツール75を起動する。これにより、FWバックアップツール75は、リモートマネージメントカード15等からFW情報を採取し、採取したFW情報を、例えば、メインメモリ13の所定の領域に格納する(ステップS103)。
【0048】
更に、データ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、NVRAMバックアップツール77を起動する。これにより、NVRAMバックアップツール77は、フラッシュメモリ12等の不揮発性メモリからNVRAM情報を採取し、採取したNVRAM情報を、例えば、メインメモリ13の所定領域に格納する(ステップS104)。
【0049】
次いで、データ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、ストレージバックアップ・圧縮ツール79を起動する。これにより、ストレージバックアップ・圧縮ツール79は、ストレージ装置14の内容をイメージとして吸出して圧縮し、圧縮後の圧縮ストレージ情報を、例えば、メインメモリ13の所定領域に格納する(ステップS105)。
【0050】
その後、データ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、データツリー構築部72を起動する。これにより、データツリー構築部72は、データID取得部71が管理サーバ2から取得したデータIDと、各バックアップツール75,77,79が採取したFW情報,NVRAM情報,圧縮ストレージ情報と、データ復元シナリオ74と、FW復元ツール76と、NVRAM復元ツール78と、ストレージ解凍・復元ツール80とを含む、ツリー構造の装置環境データを生成する(ステップS106)。
【0051】
そして、最後にデータ送信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、データ登録部73を起動する。これにより、データ登録部73は、オリジナルコンピュータ1のモデル番号と、データツリー構築部72が生成した装置環境データとを含むデータ登録要求を管理サーバ2へ送信する(ステップS107)。
【0052】
管理サーバ2内の装置環境データ管理手段23は、オリジナルコンピュータ1からデータ登録要求が送られてくると、それに含まれている装置環境データを、それに含まれているモデル番号に対応する装置環境データとして、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に登録する(ステップS108)。
【0053】
以上が、ステップS94で行われる処理の詳細である。ステップS94の処理が終了すると、オリジナルコンピュータ1のユーザは、図9のフローチャートに示すように、フラッシュメモリ12に格納されているデータ送信用BIOSを、オリジナルBIOSデータ格納領域143にバックアップしておいたオリジナルBIOSに書き換え、その後、オリジナルコンピュータ1を再起動する(ステップS95,S96)。これにより、オリジナルコンピュータ1の装置環境は元に戻り、装置環境データを登録する前に行っていた処理(例えば、評価処理)等を続行することができる。
【0054】
次に、クローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1の装置環境を再現する場合の動作について説明する。
【0055】
クローンコンピュータ3のユーザは、予めクローンコンピュータ3のハードウェア構成をオリジナルコンピュータ1と同一にしておく。また、クローンコンピュータ3のユーザは、図4(B)に示す構成を有するデータ受信用BIOSおよびオリジナルコンピュータ1の装置環境を再現する際に使用する装置環境データのデータIDを入手しておく。
【0056】
クローンコンピュータ3のユーザは、クローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1の装置環境を再現する場合、準備作業として、先ず、フラッシュメモリ12に登録されているオリジナルBIOSをストレージ装置14上のオリジナルBIOSデータ格納領域143に保存し(図11のステップS111)、次いで、フラッシュメモリ12に登録されているオリジナルBIOSを、図4(B)に示す構成を有するデータ受信用BIOSに書き換え(ステップS112)、その後、クローンコンピュータ3の電源を落とす(ステップS113)。
【0057】
その後、クローンコンピュータ3のユーザは、クローンコンピュータ3が物理的にネットワーク4に接続可能な状態になっている場合は、直ちにクローンコンピュータ3を起動し、そうなっていない場合は、ネットワークケーブルを接続する等して物理的にクローンコンピュータ3をネットワーク4に接続可能な状態にした後、クローンコンピュータ3を起動する。
【0058】
クローンコンピュータ3が起動されると、フラッシュメモリ12に登録されているデータ受信用BIOSが起動される。これにより、データ受信用BIOSは、その初期化コードに従ってCPU11等の初期化を行い(図12のステップS121)、その後、BIOSプリブート環境用コードに従った処理を行う。BIOSプリブート環境用コードは、先ず、クローンコンピュータ3のモデル番号を含むデータIDリスト取得要求を管理サーバ2へ送信する(ステップS122)。
【0059】
管理サーバ2内の装置環境データ管理手段23は、クローンコンピュータ3からモデル番号を含むデータIDリスト取得要求が送られてくると、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25を参照し、上記モデル番号に対応付けて登録されている装置環境データのデータIDを全て取得する。その後、取得したデータIDを全て含んだデータIDリストを生成し、要求元のクローンコンピュータ3へ送信する(ステップS123)。
【0060】
データ受信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、管理サーバ2からデータIDリストが送られてくると、それを表示部18に表示する(ステップS124)。クローンコンピュータ3のユーザは、データIDリストが表示されると、その中から再現したい装置環境に対応する装置環境データのデータIDを選択する。これにより、データ受信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、ユーザが選択したデータID及びクローンコンピュータ3のモデル番号を含んだ装置環境データ取得要求を管理サーバ2へ送信する(ステップS125)。
【0061】
管理サーバ2内の装置環境データ管理手段23は、クローンコンピュータ3からモデル番号及びデータIDを含んだ装置環境データ取得要求が送られてくると、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25から上記モデル番号及びデータIDによって特定されるデータ復元シナリオと、それに関連する復元ツール及び情報を入力し、それらを要求元のクローンコンピュータ3へ送信する(ステップS126)。今、例えば、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25の内容が図6に示すものであり、クローンコンピュータ3から送られてきた装置環境データ取得要求がモデル番号「A」及びデータID「GUID1」を含んでいたとすると、データ復元シナリオ64、FW復元ツール65、FW情報66、NVRAM復元ツール67、NVRAM情報68、ストレージ解凍・復元ツール69及び圧縮ストレージ情報70をクローンコンピュータ3へ送信することになる。
【0062】
データ受信用BIOSのBIOSプリブート環境用コードは、管理サーバ2からデータ復元シナリオ等が送られてくると、データ復元シナリオを起動する。これにより、データ復元シナリオは、予め定められている順番で、FW復元ツール、NVRAM復元ツール及びストレージ解凍・復元ツールをシーケンシャルに起動する。FW復元ツールは、管理サーバ2から送られてきているFW情報を利用してクローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1と同様のFW情報を再現し、NVRAM復元ツールは、管理サーバ2から送られてきているNVRAM情報を利用してクローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1と同様のNVRAM情報を再現し、ストレージ解凍・復元ツールは、管理サーバ2から送られてきている圧縮ストレージ情報を利用してクローンコンピュータ3上のオリジナルコンピュータ1と同様のストレージ情報を再現する(ステップS127)。
【0063】
すべての情報の再現(復元)が終わったら、クローンコンピュータ3のユーザは、フラッシュメモリ12に登録されているデータ受信用BIOSを、ストレージ装置14上のオリジナルBIOSデータ格納領域143に保存しておいたオリジナルBIOSに書き換える(ステップS128)。これにより、クローンコンピュータ3上にオリジナルコンピュータ1と同一の装置環境が再現される。
【0064】
〔実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、問題の発生したコンピュータの装置環境を他のコンピュータ上に確実に再現することが可能になるという効果を得ることができる。その理由は、オリジナルコンピュータ1が、自コンピュータ1上のストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバ2へ送信し、管理サーバ2が、オリジナルコンピュータ1から送られてきた装置環境データを保持する構成を有し、クローンコンピュータ3が、管理サーバ2が保持しているオリジナルコンピュータ1の装置環境データを取得し、自コンピュータ3上に復元するからである。
【0065】
また、本実施の形態によれば、オリジナルコンピュータ1の不揮発性メモリ情報を確実に採取することが可能になるという効果を得ることができる。その理由は、1つのプロセスしか実行されないBIOSプリブート環境で動作するNVRAMバックアップツール77(バックアップ用アプリケーションプログラム)を使用して、不揮発性メモリ情報を採取するようにしているからである。即ち、複数のプロセスが同時に動作可能なOSを利用して不揮発性メモリ情報を採取するようにした場合は、(1)プロセスAがアクセスするデータの存在するアドレスを指定、(2)プロセスBがアクセスデータの存在するアドレスを指定、(3)プロセスBがデータへアクセス、(4)プロセスAがデータへアクセス、といった順番で、不揮発性メモリ情報がアクセスされる場合があり、このような場合、プロセスAでは正しい不揮発性メモリ情報を取得することができなくなってしまうが、本実施の形態のように、1つのプロセスしか実行されないBIOSプロセス環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを使用すれば、競合が発生することがないので、正しい不揮発性メモリ情報を採取することが可能になる。
【0066】
更に、本実施の形態では、管理サーバ2の登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に、コンピュータの機種を示すモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用する登録データ生成モジュールを登録しておき、オリジナルコンピュータ1からそのコンピュータのモデル番号を含む登録データ生成モジュール取得要求が送られてきたとき、登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に登録されている登録データ生成モジュールの内の、上記モデル番号に対応付けて登録されている登録データ生成モジュールをオリジナルコンピュータ1へ送信するようにしているので、色々な機種のオリジナルコンピュータにおいて、装置環境データを採取し、管理サーバ2にバックアップしておくことができる。
【0067】
また、本実施の形態では、オリジナルコンピュータ1が、装置環境データ、自コンピュータのモデル番号および上記装置環境データのデータIDを含むデータ登録要求を管理サーバ2へ送信し、管理サーバ2内の装置環境データ管理手段23が、オリジナルコンピュータ1からデータ登録要求が送られてきたとき、上記モデル番号と上記データIDとの組み合わせに対応付けて、上記装置環境データを登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25に登録するようにしているので、複数の装置環境データを区別して管理することが可能になるという効果を得ることができる。
【0068】
更に、本実施の形態では、オリジナルコンピュータ1、管理サーバ2及びクローンコンピュータ3がネットワーク4を介して相互に接続されているので、オリジナルコンピュータ1とクローンコンピュータ3とが物理的に離れた位置にあっても、オリジナルコンピュータ1の装置環境をクローンコンピュータ3上に容易に再現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、あるコンピュータ上で発生した問題を他のコンピュータ上に再現して評価を行う場合に適用すると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明にかかる環境再現システムの実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】オリジナルコンピュータ1の構成例を示すブロック図である。
【図3】ストレージ装置14の構成例を示す図である。
【図4】データ送信用BIOS及びデータ受信用BIOSの構成例を示す図である。
【図5】管理サーバ2の構成例を示すブロック図である。
【図6】登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部25の内容例を示す図である。
【図7】登録データ生成モジュールの構成例を示す図である。
【図8】装置環境データをバックアップする際にオリジナルコンピュータ1で行われる準備作業の一例を示すフローチャートである。
【図9】装置環境データをバックアップする際のオリジナルコンピュータ1及び管理サーバ2の処理例を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS94で行われる処理例の詳細を示すフローチャートである。
【図11】装置環境データを復元する際にクローンコンピュータ3で行われる準備作業の一例を示すフローチャートである。
【図12】装置環境データを復元する際のクローンコンピュータ3及び管理サーバ2の処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1…オリジナルコンピュータ
11…CPU
12…フラッシュメモリ
13…メインメモリ
14…ストレージ装置
15…リモートマネージメントカード
16…送受信部
17…入力部
18…表示部
2…管理サーバ
21…送受信手段
22…登録データ生成モジュール管理手段
23…装置環境データ管理手段
24…記憶装置
25…登録データ生成モジュール・装置環境データ記憶部
3…クローンコンピュータ
4…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルコンピュータと、管理サーバと、前記オリジナルコンピュータと同一のハードウェア構成を有するクローンコンピュータとを含む環境再現システムであって、
前記オリジナルコンピュータが、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記管理サーバが、前記オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを保持する構成を有し、
前記クローンコンピュータが、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元する構成を有することを特徴とする環境再現システム。
【請求項2】
請求項1記載の環境再現システムにおいて、
前記オリジナルコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記クローンコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元する構成を有することを特徴とする環境再現システム。
【請求項3】
請求項2記載の環境再現システムにおいて、
前記管理サーバが、
前記バックアップ用アプリケーションプログラム及び前記復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置と、
前記オリジナルコンピュータからバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータに対して前記記憶装置に登録されている前記バックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段と、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段とを備えたことを特徴とする環境再現システム。
【請求項4】
請求項3記載の環境再現システムにおいて、
前記オリジナルコンピュータ上で動作するデータ送信用BIOSが、自コンピュータのモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記バックアップ用アプリケーションプログラムが、装置環境データ、自コンピュータのモデル番号及び前記装置環境データのデータIDを含むデータ登録要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記クローンコンピュータ上で動作するデータ受信用BIOSが、自コンピュータのモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求を前記管理サーバへ送信する構成を有し、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDとを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記管理サーバへ送信する構成を有することを特徴とする環境再現システム。
【請求項5】
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置と、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信するオリジナルコンピュータから、バックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータに対して前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段と、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、
BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元するクローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段とを備えたことを特徴とする管理サーバ。
【請求項6】
請求項5記載の管理サーバにおいて、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記クローンコンピュータへ送信する構成を有することを特徴とする管理サーバ。
【請求項7】
オリジナルコンピュータが、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバが、前記オリジナルコンピュータから送られてきた装置環境データを保持し、
前記オリジナルコンピュータと同一のハードウェア構成を有するクローンコンピュータが、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元することを特徴とする環境再現方法。
【請求項8】
請求項7記載の環境再現方法において、
前記オリジナルコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して前記管理サーバへ送信し、
前記クローンコンピュータが、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元することを特徴とする環境再現方法。
【請求項9】
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録された記憶装置を備えたコンピュータを、
BIOSプリブート環境で動作するバックアップ用アプリケーションプログラムを実行することにより、自コンピュータのストレージ情報、ファームウェア情報及び不揮発性メモリ情報を含んだ装置環境データを採取して管理サーバへ送信するオリジナルコンピュータから、バックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記オリジナルコンピュータにバックアップ用アプリケーションプログラムを送信する登録データ生成モジュール管理手段、
前記オリジナルコンピュータから装置環境データが送られてきたとき、前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、BIOSプリブート環境で動作する復元用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記管理サーバが保持している前記オリジナルコンピュータの装置環境データを取得し、自コンピュータ上に復元するクローンコンピュータから装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている装置環境データ及び復元用アプリケーションプログラムを前記クローンコンピュータへ送信する装置環境データ管理手段として機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムにおいて、
前記管理サーバの前記記憶装置には、コンピュータのモデル番号に対応付けてそのモデル番号のコンピュータにおいて使用するバックアップ用アプリケーションプログラム及び復元用アプリケーションプログラムが登録されると共に、モデル番号とデータIDとの組み合わせに対応付けて装置環境データが登録され、且つ、
前記登録データ生成モジュール管理手段が、前記オリジナルコンピュータからモデル番号を含むバックアップ用アプリケーションプログラム取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されているバックアップ用アプリケーションプログラムを前記オリジナルコンピュータに送信する構成を有し、
前記装置環境データ管理手段が、前記オリジナルコンピュータから装置環境データ、モデル番号及びデータIDを含むデータ登録要求が送られてきたとき、前記モデル番号及び前記データIDに対応付けて前記装置環境データを前記記憶装置に登録し、前記クローンコンピュータからモデル番号及びデータIDを含む装置環境データ取得要求が送られてきたとき、前記記憶装置に登録されている復元用アプリケーションプログラムの内の、前記モデル番号に対応付けて登録されている復元用アプリケーションプログラムと、前記記憶装置に登録されている装置環境データの内の、前記モデル番号と前記データIDとの組み合わせに対応付けて登録されている装置環境データとを前記管理サーバへ送信する構成を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−193400(P2007−193400A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8354(P2006−8354)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】