説明

環境測定浮遊体及び環境測定システム

【課題】 測定位置を特定しながら環境測定を効率的に行なうことができる環境測定浮遊体及び環境測定システムを提供する。
【解決手段】 浮遊体15の制御部は、投入されるマンホール管102を特定するための投入配管識別子データをメモリに記録した後、マンホール管102に投入される。浮遊体15は、下水道配管100の下水の流れにより移動しながら、3軸加速度センサで測定した加速度データと、温度センサなどで測定した環境測定データとを対応付けてメモリに記録する。下水道施設管理システム40は、回収した浮遊体15のメモリから取得したデータに基づいて浮遊体15の流路を特定し、この流路と、加速度データから算出される距離から、環境測定データに対応する位置を特定して、下水道環境データ記憶部43に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水管などのように流路の環境を測定するための環境測定浮遊体及び環境測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時間経過や使用による構造物の劣化状況を把握するために、定期的な検査が行なわれることがある。しかし、検査が困難な構造物もある。例えば、一般に地中に埋設されている下水道管(管渠)は、時間の経過とともに老朽化が進み、又、地盤の変動等により管体にひび割れや継手部にずれを発生し、本来の機能を果たさなくなる。特に、多様な廃液が流入する下水道配管等においては、場所により管内において汚水に含まれる有機物とバクテリアの生物化学反応から硫化水素が発生する場合があり、スライム層が発生したり、硫酸が生成されたりする。このため、図10に示すように、下水道配管100を構成するコンクリートに、長期に亘る硫酸等の曝露によりコンクリートの腐食・劣化領域500が生じる。このため、埋設管渠内の状況を把握するための検査が定期的に行なわれる。検査方法としては、大口径の管渠では人が管渠内に入り、目視により検査する方法が一般に用いられている。しかし、小口径パイプや鉛直パイプでは人が中に入って検査することは困難である。また、上述のように、硫化水素が発生している場合があり、保守点検作業に影響を与えることがある。
【0003】
そこで、主として、マンホールを備えた下水道管(管渠)等の埋設管を対象として、侵入水や漏水の有無や量を調べる水密性検査方法とその装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では、埋設管の水密性検査方法において、マンホールより下流側の埋設管に任意に設定される検査区間の上流端側と下流端側とにそれぞれ止水栓を施す。そして、マンホールの地上口から挿入される水柱用管を上記検査区間へ接続して当該水柱用管と検査区間とを連通させ、埋設管の検査区間及び水柱用管に水を満たした後、当該水柱用管中の水位変化を測定する。これにより、水密性の検査を行なうことができる。
【0004】
このような下水道管の劣化は、その下水道管を流れる下水の環境、例えば水温や酸濃度などの水質を測定することによって、把握することができる場合がある。水上での環境測定という観点では、ブイを用いて測定する技術がある(例えば、特許文献2参照。)。この技術においては、波浪の高さをブイの動きにより測定する。そして、この測定結果は、GPS(Global Positioning Systems;全地球測位システム)を用いて特定されるブイの位置とともに記録される。
【特許文献1】特開平8−170936号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2004−191268号公報(第1頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の測定方法では、埋設管の漏水量を測定するためにマンホール内での水位変化を測定しているため、その区間の利用を停止させる必要がある。更に、この方法によれば、マンホールから下流側の一連の検査区間毎に、新たな水の注入を毎回必要である。また、保守点検すべき、マンホールは東京都だけでも50万個以上設けられており、都内で約15000Kmにのぼる。
【0006】
一方、特許文献2記載のようにGPSを用いる場合には、人工衛星から送信されるデータをその場所で受信する必要がある。しかし、地中に埋められている下水管内においては
、電波を受信することは困難であり、GPSを用いて測定位置を決定することは難しい。
【0007】
従って、上述のような埋設管に限らず、多様な状況において、効率的に位置を特定しながら環境測定を行なうことができる技術が求められていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、効率的に測定位置を特定しながら環境測定を行なうことができる環境測定浮遊体及び環境測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、環境測定浮遊体が流れる流路に関するデータを記録したマップデータ記憶手段と、前記環境測定浮遊体の環境測定手段により測定された測定結果データを記録する環境データ記憶手段と、データを管理する管理コンピュータとを備えた環境測定システムであって、前記管理コンピュータが、前記環境測定浮遊体に記録されている流路特定データと、前記マップデータ記憶手段に記録されたデータとに基づいて、その環境測定浮遊体の流路を特定する流路特定手段と、前記環境測定手段が環境に関する値を測定したときの前記環境測定浮遊体の移動距離に関するデータと、前記流路特定手段により特定された流路データとから、前記測定結果データを取得した前記環境測定浮遊体の位置を算出する位置算出手段と、前記位置算出手段が算出した位置に関するデータと関連付けて、前記測定結果データを前記環境データ記憶手段に記録する記録手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の環境測定システムにおいて、前記環境測定浮遊体の移動距離測定手段が加速度センサであり、前記位置算出手段は、前記加速度センサの積分値に基づいて、前記環境測定浮遊体の移動距離を算出することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、流れを利用して移動するための浮遊筐体と、この浮遊筐体内に、環境に関する値を測定するための環境測定手段、移動距離に関するデータを測定するための移動距離測定手段、移動する流路を特定する流路特定データを記録するための流路特定データ記憶手段、測定結果データ記憶手段及び制御手段を格納した環境測定浮遊体であって、前記制御手段は、前記移動距離測定手段により測定される移動距離を特定するためのデータに対応付けて、前記環境測定手段の測定結果を前記測定結果データ記憶手段に記録することを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の環境測定浮遊体において、前記移動距離測定手段は加速度センサであることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の環境測定浮遊体において、前記加速度センサは、少なくとも2軸方向の加速度を測定できる加速度センサであることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1つに記載の環境測定浮遊体において、前記流路上のノードを検出するノード検出手段及び補正データ記録手段を更に備え、前記制御手段は、前記移動距離測定手段により測定される移動距離に関連付けて、前記ノード検出手段の出力結果を、前記補正データ記録手段に記録することを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の環境測定浮遊体において、前記環境測定手段は、地中管内の環境を測定する環境センサであり、前記ノード検出手段は、上方空間までの距離を検出する距離センサであり、前記制御手段は、前記距離センサにより所定以上の距離を検出したときの出力結果を前記補正データ記録手段に記録することを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項3〜7のいずれか1つに記載の環境測定浮遊体におい
て、前記制御手段は、前記移動距離測定手段のデータに基づいて移動速度を算出し、この算出した移動速度に基づいて、環境測定手段の測定サンプリング周期を変更することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、管理コンピュータは、環境測定浮遊体の流路特定データと、マップデータ記憶手段に記録されたデータとに基づいて、環境測定浮遊体の流路を特定する。管理コンピュータは、環境測定手段が環境に関する値を測定したときの環境測定浮遊体の移動距離に関するデータと、流路特定手段により特定された流路データとから、環境測定データを取得した前記環境測定浮遊体の位置を算出する。このため、環境測定浮遊体がその測定結果データを得たときの流路上における位置を把握することができる。従って、電波を利用しての位置情報の取得が困難な環境についての測定を、その測定位置を特定しながら効率的に行なうことができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、環境測定浮遊体の移動距離測定手段が加速度センサであり、位置算出手段は、加速度センサの積分値に基づいて、環境測定浮遊体の移動距離を算出する。このため、移動距離を測定する構成を簡単にすることができ、環境測定浮遊体が測定した環境測定位置を、より正確に把握することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、環境測定浮遊体は、流路特定データに基づいて移動した流路を特定し、この流路と、移動距離測定手段により測定される移動距離とから、その環境測定浮遊体の移動位置を特定することができる。このため、移動位置に関連付けて環境測定手段の測定結果を記録していることにより、その測定結果を得たときの環境測定浮遊体の位置を把握することができる。従って、例えば下水道管内の環境など、電波を利用しての位置情報の取得が困難な環境についての測定を、その測定位置を特定しながら効率的に行なうことができる。更に、環境測定に基づいて構造物の劣化を把握することができる場合には、その構造物の劣化位置を効率的に把握することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、加速度センサを用いることにより、環境測定浮遊体の移動距離位置を特定することができる。
請求項5に記載の発明によれば、加速度センサは、少なくとも2軸方向の加速度を特定することができるので、2次元面に展開された移動距離を把握することができる。例えば、環境測定浮遊体が流路上を蛇行して漂流する場合であっても、その流路における移動距離を、より正確に把握することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、移動距離に関連付けてノード検出手段の出力結果を記録する。このため、ノード検出手段の出力結果に基づいて、移動距離測定手段から算出される移動距離を補正することができるので、環境測定を行なった流路上の位置をより正確に特定することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、制御手段は、ノード検出手段として上方空間までの距離を測定する距離センサによる出力結果を記録する。例えば、流路上におけるマンホールの位置は予め判明している。このため、距離センサの出力結果からマンホールを検出し、このマンホールの位置により、環境測定浮遊体の移動距離を補正することができる。従って、環境測定を行なった流路上の位置を、簡単な構成で、より正確に特定することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、環境測定浮遊体の移動速度に応じて環境測定手段の測定サンプリング周期を変更する。このため、環境測定浮遊体が遅く移動しているときには環境測定手段の測定サンプリング周期を長くすることにより、流路上においてほぼ所定間
隔毎に、環境測定を行なうことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率的に測定位置を特定しながら環境測定を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を、図1〜図9に従って説明する。本実施形態では、流路としての下水道配管を流れる下水の環境状態を測定する場合を想定する。
図1の地図Mに示すように、道路の下には、構造物としての下水道配管100が埋設されている。この下水道配管100は、道路に沿って埋設された複数の下水本管101と、下水本管101に接続され、点検を行なうためのマンホール管102とから構成されている。下水本管101は、コンクリート製の管であり、その端部においてマンホール管102に接続できるようになっている。マンホール管102は、本実施形態では、下水本管101が接続されるコンクリート製の管であり、人が地上から下水本管101に入ることができるように構成されている。マンホール管102の上部は、脱着可能なマンホール蓋により覆われている。
【0024】
一方、下水の環境状態を測定するために、図2に示す環境測定浮遊体としての浮遊体15を用いる。この浮遊体15は、円錐台形状をした本体16を有しており、その外周には中空のゴムチューブ17が装着されている。浮遊体15の本体16の下部の外周には、緩衝部材18が装着されており、下水道配管内の衝突時の衝撃を緩和する。ゴムチューブ17及び緩衝部材18により、浮遊体15は、図2に示す状態で水に浮くように構成されている。
【0025】
更に、本体16の底部の中央には、プロペラ19が取り付けられている。このプロペラ19は、耐水性を持たせるために、例えばゴム材で構成される。このプロペラ19は、モータ28に接続される推進力発生手段であり、このモータ28の駆動により推進力が発生するので、例えば浮遊体15が停留した場所から脱出するために駆動される。
【0026】
更に、浮遊体15は、制御手段としての制御部20を備えている。この制御部20は、3軸加速度センサ21、温度センサ22、溶存酸素センサ23、pHセンサ24、タイマ25、メモリ26、インターフェイス部27、モータ28、電源29及びダイオードに接続される。
【0027】
3軸加速度センサ21は、移動距離測定手段として機能し、浮遊体15の3軸方向の加速度を測定する。この3軸加速度センサ21は、浮遊体15の重心位置に取り付けられている。この3軸加速度センサ21は、重心における加速度についての測定信号を制御部20に供給し、これにより制御部20は測定した加速度データをメモリ26に記録する。
【0028】
温度センサ22は、下水の温度を測定するためのセンサである。溶存酸素センサ23は、下水に含まれる酸素の溶解度を測定するためのセンサである。pHセンサ24は、下水に含まれる酸濃度(水素イオン濃度)を測定するためのセンサである。本実施形態では、これら温度センサ22、溶存酸素センサ23及びpHセンサ24が、環境測定手段に相当する。
【0029】
タイマ25は計時手段であり、各センサ21〜24が測定を行なう時刻を決定するために用いられる。
メモリ26はデータ記憶部であり、流路特定データ記憶手段及び移動体測定データ記憶手段として機能する。このメモリ26には、各センサ21〜24が測定したデータや、外部からインターフェイス部27を介して入力されたデータなどが記録される。具体的には
、図3に示すように、投入配管識別子データ領域260、加速度データ領域261及び環境測定データ領域262を有する。
【0030】
投入配管識別子データ領域260には、この浮遊体15の漂流を開始(投入)するマンホール管102を特定するための下水道配管識別子に関するデータが記録される。
加速度データ領域261には、3軸加速度センサ21によって測定された加速度に関するデータが記録される。この加速度データ領域261には、加速度の測定時刻と3軸の加速度(第1軸加速度、第2軸加速度及び第3軸加速度)とに関するデータが記録される。
【0031】
環境測定データ領域262には、この浮遊体15の各センサ22〜24によって測定された環境測定値に関するデータが記録される。この環境測定データ領域262には、環境測定を行った環境測定時刻、この時刻に測定した水温、酸濃度及び溶存酸素量に関するデータが記録される。
【0032】
インターフェイス部27は、外部と制御部20との間で、無線によりデータの送受信を行なうための通信手段である。
電源29は、制御部20、タイマ25、メモリ26及びモータ28を動作させるための電力をそれぞれに供給する。
【0033】
更に、ダイオードは、プロペラ19を駆動させても停留から脱出できない等の異常状況に陥った場合に、制御部20からの信号を受けて発光する。
上述した浮遊体15の制御部20は、図1に示すように、インターフェイス27部を介してモバイル端末30とデータの送受信を行ない、メモリ26に対してデータの書き込みや読み出しを行なう。このモバイル端末30は、図示しないディスプレイやキーボードなどを備え、環境測定を行なう測定者にとって携帯される。また、モバイル端末30は、ネットワークNを介して下水道施設管理システム40に接続可能であり、下水道施設管理システム40とデータの送受信を行なうことができる。
【0034】
下水道施設管理システム40は、管理コンピュータ41を備える。この管理コンピュータ41は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理を行なう。そして、このための所定のプログラムを実行することにより、管理コンピュータ41は、流路特定手段、位置算出手段及び記録手段等として機能する。また、管理コンピュータ41には、マップデータ記憶手段を構成する地図データ記憶部及び下水道配管データ記憶部42と、環境データ記憶手段としての下水道環境データ記憶部43とが接続されている。
【0035】
地図データ記憶部には、住所に関連付けられた地図データが記録されている。この地図データは、モバイル端末30等に送信して、図1に示すように地図Mとともに下水道配管100の位置を表示することができる。
【0036】
下水道配管データ記憶部42には、図4に示すように下水道配管位置データ421及び配管接続データ422が記録されている。
下水道配管位置データ421は、下水本管101やマンホール管102が設置された場所に関するデータであって、下水道配管識別子及び埋設位置に関するデータを含む。下水道配管識別子データ領域には、浮遊体15を漂流させる下水道配管(下水本管101又はマンホール管102)を特定するための識別子に関するデータが記録されている。埋設位置データ領域には、その下水道配管が埋設されている位置を特定するためのデータが記録されている。この埋設位置データとして、本実施形態では、上述した地図データ記憶部に記録されている地図データ上の座標を用いる。
【0037】
また、配管接続データ422は、接続されている下水道配管(下水本管101又はマン
ホール管102)の関係を示すデータであり、接続元配管識別子及び接続先配管識別子に関するデータを含む。接続元配管識別子データ領域には、その接続において上流となる接続元の下水道配管を特定する下水道配管識別子データが記録されている。接続先配管識別子データ領域には、その接続において下流となる接続先の下水道配管を特定する下水道配管識別子データが記録されている。
【0038】
一方、図5に示すように、下水道環境データ記憶部43には、浮遊体15によって測定された下水道の環境測定データ430が記録される。この環境測定データ430には、測定時期、下水道配管識別子、測定位置、水温、酸濃度及び溶存酸素量に関するデータが含まれる。
【0039】
測定時期データ領域には、その環境測定を行なった時期に関するデータが記録される。例えば、浮遊体15を下水道配管100において回収した年月日などに関するデータである。
【0040】
下水道配管識別子データ領域には、その環境測定を行なった下水道配管を特定するための下水道配管識別子データが記録される。
測定位置データ領域には、その環境測定を行なった下水道配管の測定位置を特定するためのデータが記録される。このデータは、例えば、その下水道配管の上流からの距離などに関するデータである。
【0041】
水温データ領域には、その環境測定により得られた下水の温度に関するデータが記録される。
酸濃度データ領域には、その環境測定により得られた下水の酸濃度(pH)に関するデータが記録される。
【0042】
溶存酸素量データ領域には、その環境測定により得られた下水の溶存酸素量に関するデータが含まれる。
次に、上記のように構成されたシステムにおいて、下水道配管100内の環境を測定する場合の処理手順を、図6〜図9に従って説明する。本実施形態では、図6に示すように、下水道配管100内の環境を測定するために上流のマンホール管102に浮遊体15を投入し、それより下流のマンホール管102から浮遊体15を回収する。
【0043】
まず、浮遊体15を漂流させる場合には、浮遊体15のメモリ26に投入配管識別子データを記録する。具体的には、測定者は、モバイル端末30を用いて、測定を開始する位置に関するデータを下水道施設管理システム40に送信する。本実施形態では、測定者は、モバイル端末30と浮遊体15とを携帯し、測定開始場所まで移動する。そして、モバイル端末30のGPS機能を用いて、現在位置に関するデータを下水道施設管理システム40に送信する。
【0044】
下水道施設管理システム40の管理コンピュータ41は、受信した現在位置データと、下水道配管データ記憶部42に記録された下水道配管位置データ421とに基づいて、これから浮遊体15を投入するマンホール管102の下水道配管識別子データを抽出する。そして、管理コンピュータ41は、抽出したデータを、ネットワークNを介してモバイル端末30に送信する。
【0045】
下水道施設管理システム40からデータを受信したモバイル端末30は、取得したマンホール管102の下水道配管識別子データを浮遊体15に送信する。浮遊体15の制御部20は、インターフェイス部27を介して受信した下水道配管識別子データを、メモリ26の投入配管識別子データ領域260に記録する。
【0046】
その後、測定者は、マンホール管102から浮遊体15の漂流を開始する。浮遊体15を下水に着水させると、ゴムチューブ17及び緩衝部材18の浮力により浮遊体15は下水に浮遊する。そして、浮遊体15は、下水道配管100の下水の流れに従って下水道配管100内を漂流する。
【0047】
下水道配管100を漂流している期間に、浮遊体15は、加速度測定処理及び環境測定処理を行なう。なお、本実施形態では、加速度測定処理は、環境測定処理よりも短いサンプリング周期で行なわれる。
【0048】
加速度測定処理において、浮遊体15の制御部20は、図7に示すように、タイマ25の値に基づいて、所定時間毎に3軸加速度センサ21において3軸の加速度を測定して、その測定データをメモリ26に記録する(ステップS1−1)。このとき、浮遊体15の制御部20は、測定した時刻のデータを、加速度データ領域261の測定時刻データとして記録する。更に、制御部20は、この時の加速度データを、加速度データ領域261の第1〜第3軸加速度データとして記録する。
【0049】
そして、制御部20は、メモリ26にデータを記録すると、浮遊体15が停留しているか否かを判断する(ステップS1−2)。具体的には、制御部20は、メモリ26に記録した所定期間の第1〜第3軸加速度の積分演算を行ない、所定速度以上の移動を検知できない場合には停留と判断する。
【0050】
そして、浮遊体15が停留していない場合(ステップS1−2において「NO」の場合)、制御部20は、再びステップS1−1の処理を繰り返して行なう。すなわち、所定時間が経過する毎に、加速度センサで測定し、その測定データをメモリ26に記録する。
【0051】
一方、浮遊体15が停留している場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、制御部20は、モータ28を駆動する(ステップS1−3)。このモータ28の駆動によりプロペラ19が回転し、浮遊体15に推進力が発生する。これにより、浮遊体15は停留している場所から脱出を試みる。そして、再びステップS1−1以降の処理を繰り返して行なう。
【0052】
図8に示すように、環境測定処理において、浮遊体15の制御部20は、所定時間が経過する度に、水温、酸濃度及び溶存酸素量の測定を行ない、その測定結果のデータをメモリ26に記録する。具体的には、制御部20は、タイマ25の値に基づいて、所定時間の経過を検知した場合(ステップS2−1において「YES」の場合)、各センサ22〜24を用いて、下水の水温、酸濃度及び溶存酸素量を測定し、測定したデータとその環境測定時刻データとを環境測定データ領域262に記録する(ステップS2−2)。
【0053】
その後、下水道配管100を漂流した浮遊体15は回収される。具体的には、図6に示すように、浮遊体15が通過するマンホール管102に、浮遊体15を収容するためのネット60を設ける。そして、下水道配管100を漂流してきた浮遊体15をネット60に収容して、浮遊体15を回収する。
【0054】
回収された浮遊体15は、そのメモリ26に記録されたデータが取り出されて、モバイル端末30を介して下水道施設管理システム40の下水道配管データ記憶部42に記録される。具体的には、図9に示すように、測定者は、モバイル端末30を用いて、浮遊体15のメモリ26に記録されている投入配管識別子データ、加速度データ及び環境測定データを取得し、ネットワークNを介して下水道施設管理システム40に送信する。これにより、下水道施設管理システム40の管理コンピュータ41は、浮遊体15からデータを取
得する(ステップS3−1)。
【0055】
次に、管理コンピュータ41は、測定地点の特定を行なう(ステップS3−2)。具体的には、管理コンピュータ41は、まず、浮遊体15から取得した加速度データを2回積分し、所定間隔毎の距離を算出する。次に、管理コンピュータ41は、算出した距離と、環境測定データとに基づいて、環境測定時刻における移動距離及び方向を算出する。
【0056】
そして、管理コンピュータ41は、浮遊体15から取得した投入配管識別子データと、下水道配管データ記憶部42に記録された下水道配管位置データ421及び配管接続データ422とに基づいて、浮遊体15が移動した流路を特定する。次に、管理コンピュータ41は、特定した流路と、算出した環境測定時刻における移動距離及び方向とを比較して、環境測定を行なった下水道配管100の測定地点を特定する。ここで、管理コンピュータ41は、この下水道配管100の位置を、下水道配管識別子データ及びその下水道配管における測定位置により特定する。
【0057】
次に、管理コンピュータ41は、環境測定データを下水道環境データ記憶部43に記録する(ステップS3−3)。具体的には、管理コンピュータ41は、浮遊体15を回収してデータを取得した年月日データと、測定地点として特定した下水道配管識別子及び測定位置に関するデータと、その環境測定時刻において測定した水温、酸濃度及び溶存酸素量に関するデータとを環境測定データ430として下水道環境データ記憶部43に記録する。
【0058】
その後、下水道施設管理システム40は、要求に応じて、下水道環境データ記憶部43に記録した環境測定データ430の出力を行なう(ステップS3−4)。このとき、管理コンピュータ41は、環境測定データ430を、地図データに基づいて表示される地図M中に表示してもよい。
【0059】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態においては、下水道施設管理システム40は、回収された浮遊体15のメモリからデータを取得し(ステップS3−1)、測定地点の特定を行なう(ステップS3−2)。この測定地点の特定において、管理コンピュータ41は、浮遊体15から取得した加速度データと、環境測定データとに基づいて、環境測定時刻における移動距離及び方向を算出する。管理コンピュータ41は、浮遊体15から取得した投入配管識別子データと、下水道配管データ記憶部42のデータとに基づいて浮遊体15が移動した流路を特定する。そして、管理コンピュータ41は、特定した流路と、算出した環境測定時刻における移動距離及び方向とを比較して、環境測定をした下水道配管100の測定地点を特定する。このため、電波を利用しての位置情報の取得が困難な地中に埋設された下水道配管100内の環境測定を、その下水道配管100の測定位置を特定しながら行なうことができる。更に、環境測定に基づいて下水道配管100の劣化を把握することができるので、下水道配管100の劣化状態を場所毎に効率的に把握することができる。
【0060】
・ 本実施形態においては、浮遊体15は、3軸加速度センサ21を用いて測定したデータをメモリ26に記録する。下水道施設管理システム40の管理コンピュータ41は、メモリ26に記録した加速度データに基づいて、浮遊体15の3軸方向の移動距離を算出する。従って、管理コンピュータ41は、2次元面に展開された移動距離を把握できるので、下水道配管100内における浮遊体15の移動を詳細に把握することができる。例えば、下水道配管に段差がある場合や、浮遊体15が蛇行した場合にも、環境測定データを取得した測定位置をより正確に特定することができる。
【0061】
・ 本実施形態においては、浮遊体15は、下水の流れで下水道配管100を移動する
。そして、浮遊体15の制御部20は、3軸加速度センサ21を用いて測定したデータに基づいて停留していると判断した場合(ステップS1−2において「YES」)、モータ28を駆動する(ステップS1−3)。このモータ28の駆動によりプロペラ19が回転して推進力が発生し、浮遊体15は停留している場所から脱出可能となる。このため、浮遊体15は、下水道配管100の下水に澱みなどの停留部分が存在していても、上流から下流へと漂流させることができ、流路において環境測定を効率的に行なうことができる。
【0062】
・ 本実施形態においては、浮遊体15をマンホール管102に投入する際には、浮遊体15のメモリ26に、下水道施設管理システム40から受信した下水道配管識別子データを投入配管識別子データとして記録する。このため、実際に投入するマンホール管102に関するデータを浮遊体15に記録させることができる。従って、浮遊体15が実際に測定した流路をより正確に測定することができる。
【0063】
・ 本実施形態においては、浮遊体15は、ゴムチューブ17及び緩衝部材18により、図2に示す状態で浮遊するように構成されている。従って、下水の温度、溶存酸素及び酸性度をそれぞれ測定するため浸水する必要のある温度センサ22、溶存酸素センサ23、pHセンサ24を底面に配置することにより、各センサ22〜24を浸水状態にすることができる。このため、これらのセンサ22〜24を用いて下水の水質(環境)をより確実に測定することができる。
【0064】
また、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、浮遊体15が漂流した流路を特定する流路特定データとして、メモリ26に記録される投入配管識別子データを用いた。これに代えて、浮遊体15を漂流させる流路になる下水道配管100に関するデータを記録させてもよい。また、浮遊体15を特定する浮遊体識別子データを流路特定データとしても用いてもよい。具体的には、浮遊体15のメモリ26に浮遊体識別子データを記録させる。下水道施設管理システム40は、浮遊体15の流路データと浮遊体識別子データとを関連付けて、データ記憶手段に記録する。そして、下水道施設管理システム40は、下水道配管100を漂流し、回収された浮遊体15から取得した浮遊体識別子データに基づいて、その浮遊体15の流路を特定する。
【0065】
○ 上記実施形態では、下水道施設管理システム40からモバイル端末30を介して取得した投入配管識別子データを、流路特定データとして浮遊体15のメモリ26に記録させた。これに限らず、浮遊体15にGPS機能を持たせ、測定を開始するマンホール管102の位置をメモリ26に記録させてもよい。この場合には、管理コンピュータ41は、浮遊体15のメモリ26に記憶させたマンホール管102の位置のデータからマンホール管102を特定する。
【0066】
○ 上記実施形態では、浮遊体15が着水したときから測定を開始できるようにしてもよい。具体的には、温度センサ22などの変化により気温ではなく水温を測定したと制御部20が判断できる場合に、センサ21〜24のデータをメモリ26に記録するようにしてもよい。また、浮遊体15が漂流する途中の下水道配管100内の環境のみを測定してもよい。この場合には、制御部20が浮遊体15の移動距離を随時演算し、演算した移動距離と、投入された場所から測定を開始するまでの距離とを比較し、浮遊体15が測定開始する位置まで移動したと判断したときに、温度センサ22などの環境センサを用いて測定を開始する。これにより、必要な部分だけの環境を測定することもできる。
【0067】
○ 上記実施形態では、3軸加速度センサ21が測定したデータから浮遊体15の移動方向及び移動距離を取得し、その移動状態から浮遊体15の流路上の移動距離を補正した。これに限らず、3軸加速度センサ21の代わりに2軸加速度センサを設けてもよい。す
なわち、少なくとも2軸以上の加速度を測定できれば、浮遊体15の移動状態を把握できるので、浮遊体15の流路上の移動距離を、より正確に把握することができる。
【0068】
また、これに限らず、浮遊体15に、移動中に3軸加速度センサ21から算出される浮遊体15の位置を補正する補正手段を設け、メモリ26を補正データ記録手段として機能させてもよい。例えば、浮遊体15が移動する流路上のノードに至ったことを検出するノード検出手段を用いてもよい。このとき、浮遊体15の制御部20は、ノード検出手段がノードを検出した検出時刻をメモリ26に記録する。管理コンピュータ41には、流路上のノードと位置とを関連付けて記録しているノード位置データ記録手段を設ける。管理コンピュータ41は、ノード位置データ記憶手段を用いて、浮遊体15のメモリ26に記録された検出時刻に対応するノードの位置から、3軸加速度センサ21から算出される移動距離を補正することにより、浮遊体15が環境を測定した位置を、より的確に把握することができる。
【0069】
ここで、ノード検出手段として、浮遊体15の頂点から上方空間の距離を測定する距離センサを設けてもよい。この場合には、浮遊体15が下水本管101からマンホール管102に至った場合には、上方空間までの距離を測定する距離センサが検出する値が大きく変化する。また、マンホール管102の位置は、下水道施設管理システム40の下水道配管データ記憶部42に記録されている。従って、距離センサが変化を検出した時刻がマンホール管102に至った時刻として浮遊体15の位置を効率よく補正することができる。
【0070】
○ 上記実施形態では、時刻を介して、3軸加速度センサ21により算出される浮遊体15の移動距離と、センサ22〜24により測定された環境測定の測定結果とを対応付けした。移動距離と測定結果とを対応付けする方法はこれに限られない。例えば、制御部20が、下水道配管100を漂流しているときに移動距離を算出し、算出した距離と測定結果を対応付けしてもよい。
【0071】
○ 上記実施形態では、浮遊体15の制御部20は、所定時間毎に、温度センサ22、溶存酸素センサ23、pHセンサ24のデータを取得した。これらのデータを記録する間隔、すなわちサンプリング周期を、3軸加速度センサ21からのデータに基づいて変更してもよい。例えば、制御部20は、算出した移動速度が遅くなっている場合には、センサ22〜24の環境測定間隔(サンプリング周期)を長くし、算出した移動速度が速くなっている場合には、その環境測定間隔(サンプリング周期)を短くしてもよい。具体的には、浮遊体15の制御部20に、浮遊体15の移動速度とサンプリング周期との対応データを記憶させる。そして、制御部20は、3軸加速度センサ21からのデータを取得する度に、浮遊体15の移動速度を算出する。制御部20は、対応データを用いて、算出した移動速度に応じたサンプリング周期で各センサ22〜24のデータを記録する。これにより、浮遊体15が移動する流路上において、下水道配管100内で測定する箇所が疎密にならないように、なるべく平均して測定を行なうことができる。なお、浮遊体15の移動速度に応じたセンサ22〜24のサンプリング周期を複数段階にすれば、より下水道配管100内で平均して環境測定を行なうことができる。
【0072】
○ 上記実施形態では、下水道配管100の下流のマンホール管102において、浮遊体15を回収した。これに限らず、流れに従って他の場所、例えば、下水処理場などで回収してもよい。
【0073】
○ 上記実施形態では、環境測定センサとして、温度センサ22、溶存酸素センサ23及びpHセンサ24を用いた。これに限らず、他の環境測定値、例えば液体に含まれる塩素イオンやアンモニウムイオン、液体の透明度などを測定するセンサを浮遊体15に搭載してもよい。また、液体以外の環境、例えば水面付近の特定気体の濃度などを測定するよ
うなセンサを浮遊体15に搭載してもよい。
【0074】
○ 上記実施形態では、下水道配管100内の環境測定を行なう場合について説明した。これに限らず、例えば山林などを通過する川の環境を測定する場合に用いてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0075】
(a) 前記移動距離測定手段により測定される移動距離に基づいて停留していると前記制御手段が判断した場合に、前記滞留している範囲から脱出するために推進力発生手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の環境測定浮遊体。
【0076】
従って、この(a)に記載の発明によれば、環境測定浮遊体が所定の範囲内に停留してしまい漂流させることができない場合には、推進力を発生させることにより、その停留している流路上の範囲から脱出可能となる。このため、環境測定浮遊体は、流路上に停留する部分が存在したとしても、上流から下流へと漂流させることができ、流路において環境測定を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のシステム概略図。
【図2】実施形態における浮遊体の構造を説明する説明図。
【図3】浮遊体のメモリに記録されるデータの説明図。
【図4】下水道配管データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図5】下水道環境データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図6】浮遊体の使用状態を説明するための説明図。
【図7】加速度測定処理の処理手順を説明するための流れ図。
【図8】環境測定処理の処理手順を説明するための流れ図。
【図9】浮遊体からのデータを記録する処理手順を説明するための流れ図。
【図10】従来技術における下水道配管の内部を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0078】
15…環境測定浮遊体としての浮遊体、16…浮遊筐体としての本体、20…制御部、21…移動距離測定手段としての3軸加速度センサ、22…環境測定手段としての温度センサ、23…環境測定手段としての溶存酸素センサ、24…環境測定手段としてのpHセンサ、26…流路特定データ記憶手段及び測定結果データ記憶手段としてのメモリ、40…環境測定システムとしての下水道施設管理システム、41…管理コンピュータ、42…マップデータ記憶手段を構成する下水道配管データ記憶部、43…環境データ記憶手段としての下水道環境データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境測定浮遊体が流れる流路に関するデータを記録したマップデータ記憶手段と、前記環境測定浮遊体の環境測定手段により測定された測定結果データを記録する環境データ記憶手段と、データを管理する管理コンピュータとを備えた環境測定システムであって、
前記管理コンピュータが、
前記環境測定浮遊体に記録されている流路特定データと、前記マップデータ記憶手段に記録されたデータとに基づいて、その環境測定浮遊体の流路を特定する流路特定手段と、
前記環境測定手段が環境に関する値を測定したときの前記環境測定浮遊体の移動距離に関するデータと、前記流路特定手段により特定された流路データとから、前記測定結果データを取得した前記環境測定浮遊体の位置を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段が算出した位置に関するデータと関連付けて、前記測定結果データを前記環境データ記憶手段に記録する記録手段と
を備えたことを特徴とする環境測定システム。
【請求項2】
前記環境測定浮遊体の移動距離測定手段が加速度センサであり、
前記位置算出手段は、前記加速度センサの積分値に基づいて、前記環境測定浮遊体の移動距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の環境測定システム。
【請求項3】
流れを利用して移動するための浮遊筐体と、
この浮遊筐体内に、環境に関する値を測定するための環境測定手段、移動距離に関するデータを測定するための移動距離測定手段、移動する流路を特定する流路特定データを記録するための流路特定データ記憶手段、測定結果データ記憶手段及び制御手段を格納した環境測定浮遊体であって、
前記制御手段は、前記移動距離測定手段により測定される移動距離を特定するためのデータに対応付けて、前記環境測定手段の測定結果を前記測定結果データ記憶手段に記録することを特徴とする環境測定浮遊体。
【請求項4】
前記移動距離測定手段は加速度センサであることを特徴とする請求項3に記載の環境測定浮遊体。
【請求項5】
前記加速度センサは、少なくとも2軸方向の加速度を測定できる加速度センサであることを特徴とする請求項4に記載の環境測定浮遊体。
【請求項6】
前記流路上のノードを検出するノード検出手段及び補正データ記録手段を更に備え、
前記制御手段は、前記移動距離測定手段により測定される移動距離に関連付けて、前記ノード検出手段の出力結果を、前記補正データ記録手段に記録することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の環境測定浮遊体。
【請求項7】
前記環境測定手段は、地中管内の環境を測定する環境センサであり、
前記ノード検出手段は、上方空間までの距離を検出する距離センサであり、
前記制御手段は、前記距離センサにより所定以上の距離を検出したときの出力結果を前記補正データ記録手段に記録することを特徴とする請求項6に記載の環境測定浮遊体。
【請求項8】
前記制御手段は、前記移動距離測定手段のデータに基づいて移動速度を算出し、この算出した移動速度に基づいて、環境測定手段の測定サンプリング周期を変更することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載の環境測定浮遊体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−329677(P2006−329677A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149981(P2005−149981)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(000229128)日本ゼニスパイプ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】