説明

環形蛍光ランプ

【課題】照明器具本体への誤った装着を防止するための環形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】環形発光管2と、環形発光管2の両端部に跨って設けられた口金3とを有する環形蛍光ランプ1において、照明器具本体への誤装着を防止するための表示5を有する。この誤装着を防止するための表示5により、環形蛍光ランプ1の照明器具本体への誤った装着を抑止し、口金3の内部に設けられている排気管の破損や、口金3の内部で口金ピン4に接続している2対のリード線のショートといった事故の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環形蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として環形蛍光ランプが広く利用されている。環形蛍光ランプが寿命等により発光しなくなると、利用者は発光しなくなった環形蛍光ランプを新しい環形蛍光ランプに交換する。環形蛍光ランプの口金には、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されているように、ワット数等の情報が記載されている。利用者は照明器具本体の仕様に応じた新しい環形蛍光ランプを用意して、新しい環形蛍光ランプを照明器具本体に装着する。
【0003】
環形蛍光ランプには口金ピンが備えられており、照明器具本体に備えられた給電用のソケットに口金ピンを挿入することで、照明器具本体は環形蛍光ランプに電気を供給する。口金ピンは、通常環形発光ランプの中心軸側に傾いて突設されており、利用者は、口金ピンが照明器具本体の放電点灯装置側を向くように、環形蛍光ランプを照明器具本体に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−004048号公報
【特許文献2】特開平01−264134号公報
【特許文献3】特開2006−252840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、利用者が、環形蛍光ランプを照明器具本体に誤って装着する場合(口金ピンが照明器具本体の放電点灯装置側を向かないように装着する場合)がある。この場合、照明器具本体とソケットを接続するコードが短いことから、口金がコードにより引っ張られ、口金に過度な負荷が加わる。過度な負荷が加わると、口金内部に設置してある排気管の破損や、フィラメント電極と口金ピンを繋ぐ2対のリード線のショートといった事故が起こる場合がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み、照明器具本体への誤った装着を防止するための環形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、環形発光管と、前記環形発光管の両端部に跨って設けられた口金とを有する環形蛍光ランプにおいて、照明器具本体への誤装着を防止するための表示を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る環形蛍光ランプには誤装着を防止するための表示が設けられているため、照明器具本体への誤った装着が抑止され、排気管の破損やリード線のショートといった事故の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】環形蛍光ランプの平面図である。
【図2】環形蛍光ランプの断面図である。
【図3】環形蛍光ランプの拡大図である。
【図4】照明器具本体の断面図である。
【図5】環形蛍光ランプを照明器具本体に装着した状態を示す断面図である。
【図6】環形蛍光ランプを照明器具本体に誤装着したときの断面図である。
【図7】環形発光管と口金に複数表示を設けたときの環形蛍光ランプの拡大図である。
【図8】ランプ支持バネに相応する位置に表示を設けたときの環形蛍光ランプの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態にかかる環形蛍光ランプについて、以下図を参照して説明する。
環形蛍光ランプ1は、図1に示すように、環形発光管2と、口金3と、口金3に設けられた口金ピン4と、口金3の表面に設けられた表示5から構成される。
【0011】
環形発光管2は、環状のガラスバルブを有し、このガラスバルブ内に希ガスおよび水銀から構成される放電媒体が封入されるとともに、ガラスバルブの内壁面には蛍光体層が形成されている。そして、環形発光管2の両端にはフィラメント電極が設けられている。
【0012】
口金3は、環形発光管2の両端部に跨った形で設けられており、4本の口金ピン4と、誤装着を防止するための表示5を備えている。
【0013】
口金ピン4は、図2に示すように、環形蛍光ランプ1の中心軸側に傾いて突設されている。口金ピン4は、4本で四角形をなすように配置されており、それぞれ環形発光管2に設けられたフィラメント電極とリード線を介して電気的に接続されている。
【0014】
表示5は、図3に示すように、口金ピン4が突出している側(環形蛍光ランプ1を図4に示す照明器具本体6に装着した際に照明器具本体6の放電点灯装置7に対向する側)の表面に設けられている。表示5の内容は「器具取り付け側」となっており、利用者はこの表示5を見ることにより、環形蛍光ランプ1を照明器具本体6に装着する際の適切な向きを知る。
【0015】
環形蛍光ランプ1は、図5に示すように、照明器具本体6に取り付けて用いられる。
照明器具本体6は、放電点灯装置7と、ランプ支持ばね8と、給電用のコード9により放電点灯装置7と接続されたソケット10を備えており、通常、天井に取り付けられる。
環形蛍光ランプ1は、ランプ支持ばね8に固定され、さらに、ソケット10に口金ピン4が挿入されることにより、照明器具本体6に装着される。
【0016】
環形蛍光ランプ1が適切な向きに装着された場合、即ち、口金ピン4が照明器具本体6の放電点灯装置7を向くように装着された場合、図5に示すように、コード9には余裕がある。そのため、口金3に過度な負荷が加わることはなく、口金3の内部に設けられている排気管の破損や、口金3の内部で口金ピン4に接続している2対のリード線のショートといった事故は起きない。
【0017】
一方、環形蛍光ランプ1が不適切な向きに装着された場合、即ち、口金ピン4が照明器具本体6の放電点灯装置7に向かないように装着された場合、図6に示すように、口金ピン4はコード9により引っ張られる。そのため、口金3に過度な負荷が加わり、その結果、口金3の内部に設けられている排気管の破損や、口金3の内部で口金ピン4に接続している2対のリード線のショートといった事故が起きる。
【0018】
表示5が設けられている場合、まず、利用者は表示5の内容を見て、環形蛍光ランプ1を照明器具本体6に装着する際の環形蛍光ランプ1の適切な向きを認識する。そして、利用者は、口金ピン4を照明器具本体6の放電点灯装置7に向けて環形蛍光ランプ1を照明器具本体6に装着する。その結果、誤装着は起きず、上述のような事故は発生しない。
【0019】
上述した表示5の内容は「器具取り付け側」となっていたが、この表示5の内容は「器具取り付け側」に限定されない。図7に示すように、照明器具本体6の放電点灯装置7に対向する側に「器具本体側」と表示してもよいし、反対側に「器具反対側」と表示してもよい。通常、照明器具本体は天井に取り付けられ、その下方に環形蛍光ランプが設けられる。そのため、照明器具本体に対向する側に「上側」と表示してもよいし、反対側に「下側」と表示してもよい。
また、表示5は、上記のような文字の他、イラストや記号でもよい。図7の口金3に示したような矢印でもよい。
【0020】
上述の表示5は口金3の表面に設けられていたが、この表示5の位置は口金3の表面に限定されない。図7に示すように、環形発光管2に表示5を設けてもよいし、環形発光管2と口金3の双方に設けてもよい。
【0021】
上述の表示5は環形発光管2や口金3の表面に1つだけ設けられていたが、この表示5は複数あってもよい。図7に示すように、口金3に複数表示5を設けてもよいし、環形発光管2に複数表示5を設けてもよい。環形発光管2と口金3の双方に複数表示5を設けてもよい。
【0022】
また、表示5の表示方法についても限定されない。文字等を環形発光管2や口金3に直接印字してもよいし、文字等をあらかじめ印字したシールや静電吸着フィルムを貼付してもよい。例えば、図7に示したように、環形発光管2や口金3に「上側」や「↑」を印字してもよいし、環形発光管2等に「△」や「器具本体側」と印字したシールや静電吸着フィルムを貼付してもよい。
【0023】
シールを貼付する場合、シールは剥離容易なものにしてもよい。例えば、シールの一部を非粘着部にしたもの、即ち、片面に接着面を有する粘着部と、両面に非接着面を有する非粘着部から構成されるシールであれば、利用者は非粘着部をつかみ、容易にシールを剥離することができる。なお、非粘着部は、粘着部の端を接着面が合わさる形で折り曲げて形成してもよい。
環形発光管2にシールを貼付すると発光時に光が遮断されるおそれがあるが、シールの剥離を容易にしておけば、装着後、利用者がシールを剥離することで光の遮断を防止できる。
【0024】
静電吸着フィルムを貼付する場合も光を遮断するおそれがあるが、静電吸着フィルムは剥離が容易であり、装着後、利用者が静電吸着フィルムを剥離することで光の遮断を防止できる。また、静電吸着フィルムはのり剤を使用していないので、剥離してもよごれが残らないという利点がある。
【0025】
表示5の位置は、環形蛍光ランプ1を照明器具本体6に装着した際のランプ支持バネ8に相応する位置となっていてもよい。例えば、図8に示すように、口金ピン4と表示5の位置関係がランプ支持ばね8とソケット10の位置関係と合致するように、環形発光管2に表示5を設ける。なお、図8の破線は、照明器具本体6を底面側から見たときのランプ支持ばね8とソケット10の位置関係を示したものである。
【0026】
環形蛍光ランプ1はランプ支持バネ8にはめ込む形で取り付けられるので、ランプ支持バネ8に相応する位置に表示5が設けられていれば、利用者は表示5を見落とすことがなくなる。その結果、利用者は確実に表示5を認識して、適正な向きに環形蛍光ランプ1を装着することができる。
【0027】
さらに、利用者は表示5を目安として環形蛍光ランプ1をランプ支持ばね8に固定するので、ソケット10と口金3の位置ずれも防止できる。通常、照明器具本体6は天井に設置されている。天井に照明器具本体6が設置された状態での環形蛍光ランプ1の交換は難しく、環形蛍光ランプ1をランプ支持ばね8に固定する際にソケット10と口金3の位置ずれを起こすことがある。位置ずれを起こした状態での無理なソケット挿入は、口金3へ過度な負荷を与え、ひいては排気管の破損やリード線のショートといった事故を引き起こす。ランプ支持ばね8の位置に合わせて表示5を設けることにより、このような事故の発生を抑制することができる。
【0028】
なお、表示5の位置は必ずしもランプ支持ばね8の位置と合致している必要はない。ランプ支持ばね8の位置から若干ずらした位置に表示5を設けてもよいし、ランプ支持ばね8とランプ支持ばね8の中間位置に表示5を設けてもよい。表示5がシールや静電吸着フィルムの場合、ランプ支持ばね8の位置からずらして表示5を設けることにより、環形蛍光ランプ1装着後、ランプ支持ばね8に妨害されることなく容易に剥離できる。
【符号の説明】
【0029】
1 環形蛍光ランプ
2 環形発光管
3 口金
4 口金ピン
5 表示
6 照明器具本体
7 放電点灯装置
8 ランプ支持ばね
9 コード
10 ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環形発光管と、前記環形発光管の両端部に跨って設けられた口金とを有する環形蛍光ランプにおいて、
照明器具本体への誤装着を防止するための表示を有することを特徴とする環形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記表示が前記環形発光管に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記表示が前記口金に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記表示が前記環形発光管と前記口金の双方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項5】
前記表示が複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項6】
前記表示が照明器具本体のランプ支持ばねの位置に合わせて設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項7】
前記表示が印字によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項8】
前記表示が貼付したシールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項9】
前記表示が貼付した静電吸着フィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−129325(P2011−129325A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285702(P2009−285702)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】