説明

環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法

【課題】高純度の環状ジアミノ化合物誘導体を工業的に生産可能な簡便な操作で製造する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】


(ここで、mおよびnはそれぞれ1から3の整数を意味する。)で表される環状ジアミノ化合物に、有機溶媒存在下で一般式(2)
【化2】


(ここで、Rは、i)炭素数が1〜6のアルキル基、ii)炭素数が2〜6のアルケニル基、iii)炭素数が7〜10のアラルキル基を示す。)で表される二炭酸ジエステル類を反応させて一般式(3)
【化3】


(ここで、mおよびnは一般式(1)と、Rは一般式(2)と同じ。)で表される環状ジアミノ化合物誘導体を製造する際に、70℃から130℃に加熱することを特徴とする環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ジアミノ化合物の環内アミノ基を選択的に保護すること特徴とする環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法であり、環状ジアミノ化合物誘導体は医薬などの合成原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
アミノ化合物のアミノ基を二炭酸ジエステル類を用いて保護する反応は、原料である二炭酸ジエステル類や反応で生成する生成物の熱的な安定性を考慮して、通常50℃以下の低温でおこなわれる。また、分子内にアミノ基が複数個存在するような化合物の特定位置のアミノ基を保護する反応は、選択性を向上させるためにさらに低温でおこなわれ、通常は50℃以上の高温では反応をおこなわない。
【0003】
本発明の目的物である、環状ジアミノ化合物の環内アミノ基を選択的に保護して環状ジアミノ化合物誘導体を製造する方法としては、例えば一当量の酸塩に、プロトン性溶媒存在下で二炭酸ジエステル類を反応させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この方法はワンパスでの収率が高く優れた方法である。しかしながら、異性体である環外アミノ基が反応してできた不純物の副生率が高く、このものの除去が難しいために化学純度の低い製品しか得られないという問題がある。また、反応液から生成物を単離するために、(1)プロトン性溶媒を留去する操作、(2)環内アミノ基と環外アミノ基の両方が反応してできた不純物を有機溶媒で抽出して除去する操作、(3)予め反応に際して添加した酸を中和する操作、(4)目的物を有機溶媒で抽出したのち濃縮する操作等の繁雑な操作が必要であり、また種々の薬品を使用するために、工業的に有利な方法とは言い難い。
【特許文献1】特開2002−275155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、工業的に生産可能な簡便な操作で、環状ジアミノ化合物の環内アミノ基を選択的に保護した高純度の環状ジアミノ化合物誘導体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、環状ジアミノ化合物に、有機溶媒存在下で二炭酸ジエステル類を反応させて環状ジアミノ化合物誘導体を製造する際に、反応を阻害する副生炭酸ガスを系外に除去するために反応液を加熱するか、あるいは高温で反応させることによって環状ジアミノ化合物の環外アミノ基が反応してできる副生物を著しく低減できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
1.一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(ここで、mおよびnはそれぞれ1から3の整数を意味する。)で表される環状ジアミノ化合物に、有機溶媒存在下で一般式(2)
【0011】
【化2】

【0012】
(ここで、Rは、i)炭素数が1〜6のアルキル基、ii)炭素数が2〜6のアルケニル基、iii)炭素数が7〜10のアラルキル基を示す。)で表される二炭酸ジエステル類を反応させて一般式(3)
【0013】
【化3】

【0014】
(ここで、mおよびnは一般式(1)と、Rは一般式(2)と同じ。)で表される環状ジアミノ化合物誘導体を製造する際に、70℃から130℃に加熱することを特徴とする環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【0015】
2.一般式(1)で表される環状ジアミノ化合物が3−アミノピロリジンであることを特徴とする1記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【0016】
3.一般式(2)で表される二炭酸ジエステル類が二炭酸ジ−tert−ブチルであることを特徴とする1または2記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【0017】
4.加熱する方法が、反応途中に反応液を加熱する方法、または加熱した環状ジアミノ化合物の溶液に二炭酸ジエステル類を添加する方法のいずれかであることを特徴とする1〜3のいずれか記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異性体である環外アミノ基が反応してできる不純物の副生を抑制でき、また、原料として環状ジアミノ化合物と二炭酸ジエステル類、および溶媒以外に使用しないために低コストで高純度の環状ジアミノ化合物誘導体が製造することができる。また、反応液から簡便な方法で収率良く高純度の環状ジアミノ化合物誘導体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を具体的に述べる。
【0020】
原料の環状ジアミノ化合物は、前記一般式(1)で表されるものが使用できるが、市販のものを用いるか、公知の方法により得たものを使用することができる。例えば3−アミノピロリジンは市販のもの使用することができる(東レ・ファインケミカル(株)製)。また、これら環状ジアミノ化合物はラセミ体、光学活性体のいずれも使用することができる。
【0021】
環状ジアミノ化合物と二炭酸ジエステル類を反応させる際に、加熱をする温度は、70〜130℃であり、好ましくは80℃〜120℃である。
【0022】
加熱をする方法としては、反応途中に反応液を加熱する方法、または加熱した環状ジアミノ化合物の溶液に二炭酸ジエステル類を添加する方法のいずれかが採用できる。
【0023】
反応途中において反応液を加熱する温度は70〜130℃であり、好ましくは80℃〜120℃である。反応液を加熱する方法としては、たとえば、原料環状ジアミノ化合物を溶媒に溶かし、室温以下の低温で二炭酸ジエステル類を環状ジアミノ化合物に対して約0.5倍モル添加して反応させ、反応液を70〜130℃、好ましくは80℃〜120℃で加熱して副生した炭酸ガスを系外に除去したのち、再び室温以下に冷却して二炭酸ジエステル類を約0.25倍モル添加して反応させる等の反応と加熱による脱炭酸を繰り返す方法が採用できる。また、70〜130℃、好ましくは80℃〜120℃の高温で、環状ジアミノ化合物を溶媒に溶かした溶液に二炭酸ジエステル類を添加することによって脱炭酸ガスと反応を同時におこなう方法や、室温以下の低温で二炭酸ジエステル類を環状ジアミノ化合物に対して約0.5倍モル添加したのち、70〜130℃、好ましくは80℃〜120℃で更に二炭酸ジエステル類を添加して反応させる方法が採用できる。
【0024】
反応終了後、反応液を濃縮して溶媒と未反応の環状ジアミノ化合物を留去したのち蒸留することによって高純度の環状ジアミノ化合物誘導体が収率良く得ることができる。
【0025】
環状ジアミノ化合物としては、たとえば一般式(1)
【0026】
【化4】

【0027】
(ここで、mおよびnはそれぞれ1から3の整数を意味する。)で表されるものが使用でき、3−アミノピロリジンが好適に使用できる。
【0028】
二炭酸ジエステル類としては、たとえば一般式(2)
【0029】
【化5】

【0030】
(ここで、Rは、i)炭素数が1〜6のアルキル基、ii)炭素数が2〜6のアルケニル基、iii)炭素数が7〜10のアラルキル基を示す。)で表される二炭酸ジエステル類が使用できる。たとえば、二炭酸ジ−tert−ブチル、二炭酸ジアリル等であり、二炭酸ジ−tert−ブチルが好適に使用できる。その使用量は、原料である環状ジアミノ化合物に対して0.5倍モル以上が好ましく、より好ましくは0.8〜1.1倍モルである。
【0031】
反応溶媒としては水、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類が好ましく使用できる。これらは、単独でも、あるいは混合溶媒としても使用できる。特に好ましくは、水、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物である。その使用量に制限は無いが、環状ジアミノ化合物に対して2〜20倍重量が好ましい。使用量が多いと反応終了後の濃縮操作で除去する溶媒の量が多くなり、生産性が低下するので好ましくない。
【0032】
かくして得られた反応液を70〜130℃、好ましくは80〜120℃で加熱して炭酸ガスを除去したのち、溶媒を留去させ、次いで単蒸留することによって環内アミノ基が保護された高純度の環状ジアミノ化合物誘導体が取得できる。
【0033】
本法によれば、高純度の環内アミノ基が保護された環状ジアミノ化合物誘導体が工業的に生産可能な簡便な操作で製造できる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例で詳しく説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。なお、実施例において、反応液の組成や蒸留品の純度はHPLCで分析した。分析に際し、サンプルにトリエチルアミンと無水酢酸を加えてアミノ基をアセチル化した。HPLC分析条件を記載する。
HPLC分析条件
カラム :Mightysil(関東化学(株)) RP−18 GP 150mm−4.6mmφ (5μm)
移動相 :A液 KHPO1.74g/水1000ml
B液 アセトニトリル
A/B 90/10−(45分)→50/50
流量 :1.0ml/min
検出器 :UV 200nm
分析時間:45min
温度 :30℃
【0035】
実施例1
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)とn−ブタノール58mlを仕込み100℃に加熱した。フラスコ内を95〜105℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル25.3g(0.12モル)とn−ブタノール45mlの混合溶液を滴下ロートを用いて3.3時間かけて添加した。添加終了後、反応液をHPLC分析した結果、反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン75.9モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン0.3モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン10.1モル%、3−アミノピロリジン13.7モル%であった。
【0036】
反応液を約100℃で約0.4kPaになるまで濃縮したのち、残留物を約135℃、約0.4kPaで単蒸留して1−Boc−3−アミノピロリジン15.5gを得た。収率72%。化学純度99.2%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.3%、1-Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.5%。光学純度99.5%e.e.以上。
【0037】
実施例2
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量1000mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン64.6g(光学純度99.5%e.e.以上、水分0.3%、0.75モル)とn−ブタノール306mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル81.8g(0.37モル)とn−ブタノール119mlの混合溶液を滴下ロートを用いて3時間かけて添加した。
【0038】
添加終了後、反応液を95〜105℃で2時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0039】
炭酸ガスを除去した液を約5℃に冷却したのち、フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル40.9g(0.19モル)とn−ブタノール59mlの混合溶液を滴下ロートを用いて1.5時間かけて添加した。
【0040】
添加終了後、反応液を95〜105℃で2時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0041】
炭酸ガスを除去した液を約5℃に冷却したのち、フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル22.9g(0.11モル)とn−ブタノー33mlの混合溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて添加した。
【0042】
添加終了後、反応液を95〜105℃で1時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0043】
反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン75.6モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン0.2モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン4.2モル%、3−アミノピロリジン20.0モル%であった。
【0044】
炭酸ガスを除去した液を内液が約100℃で約0.4kPaになるまで濃縮した。残留物を約135℃、約0.4kPaで単蒸留して1−Boc−3−アミノピロリジン99.6gを得た。収率71%。化学純度99.4%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.2%、1-Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.4%。光学純度99.5%e.e.以上。
【0045】
実施例3
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)とn−ブタノール58mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル12.6g(0.058モル)とn−ブタノール23mlの混合溶液を滴下ロートを用いて2.0時間かけて添加した。添加終了後、反応液を95〜105℃で2時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0046】
炭酸ガスを除去した液を95〜105℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル12.6g(0.058モル)とn−ブタノール23mlの混合溶液を滴下ロートを用いて2.0時間かけて添加した。
【0047】
添加終了後、反応液を95〜105℃で更に1時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0048】
反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン80.2モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン0.3モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン8.5モル%、3−アミノピロリジン11.0モル%であった。
【0049】
炭酸ガスを除去した液を内液が約100℃で約0.4kPaになるまで濃縮した。残留物を約135℃、約0.4kPaで単蒸留して1−Boc−3−アミノピロリジン16.4gを得た。収率75.7%。化学純度99.4%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.3%、1-Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.3%。光学純度99.5%e.e.以上。
【0050】
実施例4
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)と2−プロパノール58mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル12.6g(0.058モル)と2−プロパノール23mlの混合溶液を滴下ロートを用いて1.6時間かけて添加した。添加終了後、反応液を80〜90℃で3時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0051】
炭酸ガスを除去した液を約5℃に冷却したのち、フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル6.3g(0.029モル)とn−ブタノール11mlの混合溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて添加した。
【0052】
添加終了後、反応液を80〜90℃で3時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0053】
炭酸ガスを除去した液を約5℃に冷却したのち、フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル3.2g(0.014モル)とn−ブタノー6mlの混合溶液を滴下ロートを用いて0.5時間かけて添加した。
【0054】
添加終了後、反応液を80〜90℃で2時間加熱して炭酸ガスを除去した。
【0055】
反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン72.4モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン0.3モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン5.0モル%、3−アミノピロリジン22.3モル%であった。
【0056】
炭酸ガスを除去した液を内液が約100℃で約0.4kPaになるまで濃縮した。残留物を約135℃、約0.4kPaで単蒸留して1−Boc−3−アミノピロリジン14.0gを得た。収率65%。化学純度99.5%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.2%、1-Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン含有率0.3%。光学純度99.5%e.e.以上。
【0057】
比較例1
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)と水116mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル25.7g(0.12モル)とメタノール92mlの混合溶液を滴下ロートを用いて2.7時間かけて添加した。添加終了後、反応液をHPLC分析した結果、反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン60.3モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン1.5モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン14.9モル%、3−アミノピロリジン23.3モル%であった。
【0058】
比較例2
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)、トリエチルアミン12.9g(0.13モル)、n−ブタノール116mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル25.7g(0.12モル)とn−ブタノール92mlの混合溶液を滴下ロートを用いて2.7時間かけて添加した。添加終了後、反応液をHPLC分析した結果、反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン33.7モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン0.1モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン30.4モル%、3−アミノピロリジン35.8モル%であった。
【0059】
比較例3
攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを装着した容量200mlの4口フラスコに、(S)−3−アミノピロリジン11.0g(光学純度99.5%e.e.以上、水分9.5%、0.12モル)、1N−塩酸水溶液116mlを仕込み約3℃に冷却した。フラスコ内を0〜7℃に保ちながら、二炭酸ジ−tert−ブチル28.0g(0.13モル)とメタノール100mlの混合溶液を滴下ロートを用いて3.6時間かけて添加した。添加終了後、反応液をHPLC分析した結果、反応液の組成は1−Boc−3−アミノピロリジン85.8モル%、3−(Boc−アミノ)ピロリジン2.4モル%、1−Boc−3−(Boc−アミノ)ピロリジン8.0モル%、3−アミノピロリジン3.8モル%であった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明により製造された環状ジアミノ化合物誘導体は、医薬原料などとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(ここで、mおよびnはそれぞれ1から3の整数を意味する。)で表される環状ジアミノ化合物に、有機溶媒存在下で一般式(2)
【化2】

(ここで、Rは、i)炭素数が1〜6のアルキル基、ii)炭素数が2〜6のアルケニル基、iii)炭素数が7〜10のアラルキル基を示す。)で表される二炭酸ジエステル類を反応させて一般式(3)
【化3】

(ここで、mおよびnは一般式(1)と、Rは一般式(2)と同じ。)で表される環状ジアミノ化合物誘導体を製造する際に、70℃から130℃に加熱することを特徴とする環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)で表される環状ジアミノ化合物が3−アミノピロリジンであることを特徴とする請求項1記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【請求項3】
一般式(2)で表される二炭酸ジエステル類が二炭酸ジ−tert−ブチルであることを特徴とする請求項1または2記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。
【請求項4】
加熱する方法が、反応途中に反応液を加熱する方法、または加熱した環状ジアミノ化合物の溶液に二炭酸ジエステル類を添加する方法のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の環状ジアミノ化合物誘導体の製造方法。