説明

瓶用閉蓋具

【課題】キャップが差込栓から外れることのないようにした瓶用閉蓋具を提供する。
【解決手段】軟質プラスチック製のフランジ2b付きカップ状差込栓2と、差込栓2に下方より嵌め込んでフランジ2bに係止させる硬質プラスチック製係止用リング5と、フランジ2bに係止用リング5を係止させた差込栓2に上方から被嵌されるキャップ4であって、キャップ4下端部に、係止用リング5のリング本体5a外周面が嵌合する嵌合内周面6とリング本体5aの上端面及び差込栓2の上端面が当接する環状の当接端面7とを形成した硬質プラスチック製キャップ4とからなり、キャップ4は、フランジ2bに係止させた係止用リング5のリング本体5aの上端面をキャップ4の環状当接端面7にプラスチック溶接して接合した係止用リング5を介して、差込栓2と連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種瓶の口部に取り付けられる瓶用閉蓋具に関するもので、更に詳しくは、瓶の口部に差し込まれる軟質プラスチック製のカップ状差込栓と、この差込栓に被嵌されるキャップとからなる瓶用閉蓋具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の瓶用閉蓋具として、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることは出来ないが、図7に従来より使用されている瓶用閉蓋具21を示す。この閉蓋具21はカップ状差込栓2とこれに被嵌されるキャップ24とからなり、カップ状差込栓2は、発泡ポリエチレンにより一体成形されたもので、瓶3の口部3aに差し込まれる差込部2aの上端側にフランジ2bが外向きに突設され、このフランジ2bの下部には瓶3の口部3aの開口端部3oに係合する係合段部2cが周設されている。この差込栓2には、上端開口部2dを塞ぐと共に、フランジ3bを被覆するアルミニウム製のカバー25が被着されている。キャップ24は、例えばABS樹脂によって一体成形されたもので、図7の(a) に示す状態から、キャップ24の内周面側及び差込栓2のフランジ2b外周面側に接着剤を塗布して、このキャップ24を差込栓1に嵌め込んで固定し、(b) に示すような閉蓋具21とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の瓶用閉蓋具21によると、キャップ24は、差込栓2に被嵌して接着剤で固定したものであるから、瓶を開けたり閉めたりして、閉蓋具を何回か使用しているうちに、接着剤部分が剥がれてキャップ24が差込栓2から外れてしまう、という問題があった。そこで、本発明は、キャップが差込栓から外れることのないようにした瓶用閉蓋具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の瓶用閉蓋具は、図1から分かるように、上端部外周にフランジ2bを突設し、瓶3の口部3aに差し込まれる軟質プラスチック製のカップ状差込栓2と、差込栓2のフランジ2bに嵌合するリング本体5aとこのリング本体5aの下端部から内向きに突出して前記フランジ2bの下端面2cに当接する内向き鍔部5bとでリング状に形成され、差込栓2にその下方より嵌め込んでフランジ2bに係止させる硬質プラスチック製の係止用リング5と、そのフランジ2bに係止用リング5を係止させた差込栓2に上方から被嵌されるキャップ4であって、キャップ4下端部に、係止用リング5のリング本体5a外周面が嵌合する嵌合内周面6とリング本体5aの上端面5o及び差込栓2の上端面2oが当接する環状の当接端面7とを形成した硬質プラスチック製のキャップ4と、からなり、キャップ4は、差込栓2に嵌め込んでそのフランジ2bに係止させた係止用リング5のリング本体5aの上端面5oをキャップ4の環状当接端面7に対しプラスチック溶接して接合した係止用リング5を介して、差込栓2と連結されていることを特徴とする。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載の瓶用閉蓋具において、キャップ4の環状当接端面7には溶接用の環状突条部8が形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項3は、請求項1又は2に記載の瓶用閉蓋具において、キャップ4の環状当接端面7には差込栓2の上端面2oに圧接してキャップ4と差込栓2との相対回転を阻止するためのキャップ4半径方向に延びる突条部9が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の瓶用閉蓋具において、キャップ4には前記環状当接端面7に隣接する奥部内周壁面10に、周方向に一定ピッチで軸方向に延びる多数のリブ11が突設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の瓶用閉蓋具によれば、キャップ4は、差込栓2のフランジ2bに係止させた係止用リング5のリング本体5aの上端面5oとキャップ4の環状当接端面7とをプラスチック溶接して接合した係止用リング5を介して、差込栓2に連結されているから、瓶3を何回も開け閉めして閉蓋具1を繰り返し使用しても、また差込栓2が瓶3の口部3aに固く閉栓されている状態で開栓しても、差込栓2から外れるようなことがなく、差込栓2を瓶3の口部3aから確実に抜き取ることができる。
【0009】
請求項2に係る発明の瓶用閉蓋具によれば、キャップ4の環状当接端面7に環状突条部8を形成しているから、係止用リング5のリング本体5aの上端面5oとキャップ4の環状当接端面7とのプラスチック溶接を効果的に行わせることができる。
【0010】
請求項3に係る発明の瓶用閉蓋具によれば、キャップ4の環状当接端面7にキャップ4の半径方向に延びる突条部9を形成しているから、係止用リング5リング本体5aの上端面5oとキャップ4の環状当接端面7とを接合する際に、突条部9が差込栓2の上端面2oに食い込んで、差込栓2とキャップ4との相対回転を阻止し、それによって開栓を容易に行うことができる。
【0011】
請求項4に係る発明の瓶用閉蓋具によれば、キャップ4には環状当接端面7に隣接する奥部内周壁面10に、周方向に一定ピッチで軸方向に延びる多数のリブ11が突設されているから、差込栓2を瓶3の口部3aに強く押し込んで閉栓する時に、差込栓2は、リブ11により支持されて、凹窪部12内に落ち込むおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の好適実施形態について図1〜図6を参照しながら説明すると、図1には本発明に係る瓶用閉蓋具1の使用状態を拡大断面図で示している。この瓶用閉蓋具1は、従来より使用されているものと同じカップ状の差込栓2と、この差込栓2に下方より嵌め込まれる係止用リング5と、この係止用リング5を介して差込栓2に被嵌されるキャップ4とから構成される。
【0013】
差込栓2は、図2の(a) 及び(b) に示すように、例えば発泡ポリエチレンによってカップ状に一体成形されたもので、上端部外周にフランジ2bを突設し、このフランジ2bの下方部が瓶3の口部3aに差し込まれる差込部2aを形成し、フランジ2bと差込部2aとの間に、瓶3の口部3aの開口端部3oに係合する係合段部2cを周設している。この差込栓2は、図7に示す従来の差込栓2と同じ構造である。
【0014】
係止用リング5は、図3に示すように、例えばABS樹脂によって一体形成されたもので、差込栓2のフランジ2bに外嵌合するリング本体5aと、このリング本体5aの下端部から内向きに突出して、差込栓2のフランジ2bの下端面に当接する内向き鍔部5bとからなる断面L字形のリング状に形成されていて、図1及び図5に示すように差込栓2にその下方より嵌め込んで差込栓2のフランジ2bに係止させるようになっている。
【0015】
キャップ4は、フランジ2bに係止用リング5を係止させた差込栓2に上方から被嵌されるもので、係止用リング5と同じABS樹脂によって一体形成されている。このキャップ4の下端部には、図1及び図4に示すように、係止用リング5のリング本体5a外周面が嵌合する嵌合内周面6、及びこの嵌合内周面6と直交し、リング本体5aの上端面及び差込栓2の上端面が当接する環状の当接端面7が形成されている。
【0016】
図4の(a) 、(c) 及び(e) に示すように、上記環状当接端面7には、溶接用の環状突条部8が、前記嵌合内周面6に寄った位置に一体に形成されており、また(c) から分かるように環状当接端面7には環状突条部8の内側に、差込栓2の上端面2oに圧接してキャップ4と差込栓2との相対回転を阻止するためのキャップ半径方向に延びる複数の突条部9が周方向に一定間隔をおいた位置に一体形成されている。
【0017】
また図4の(a) 、(c) 及び(e) に示すように、キャップ4の上記環状当接端面7に隣接する奥部内周壁面10には、周方向に一定ピッチで軸方向に延びる多数のリブ11が突設されている。これらのリブ11は、後述するが、瓶用閉蓋具1の使用に際して差込栓2を瓶3の口部3aに押し込んで閉栓する時に、差込栓2が、奥部内周壁面10を形成するキャップ4の凹窪部12内に落ち込むのを阻止するためのものである。
【0018】
また、キャップ4の上端面には、蓋押え用のクランプ金具を係止するための係止溝13が形成されている。
【0019】
次に、上記のように差込栓2と係止用リング5とキャップ4とから構成される瓶用閉蓋具1を組み付ける方法について図5及び図6によって説明する。
【0020】
先ず図5に示すように、係止用リング5を、差込栓2に対しその下方より嵌め込んで、リング本体5aを差込栓2のフランジ2bに外嵌合すると共に、内向き鍔部5bをフランジ2bの下端面2boに当接させた状態で差込栓2に係止させる。こうして差込栓2のフランジ2bに係止させた係止用リング5を、同図5に示すようにキャップ4に嵌合させ、しかして係止用リング5のリング本体5aの上端面とキャップ4の環状当接端面7とを、超音波装置を使用してプラスチック超音波溶接することにより、係止用リング5を介して差込栓2とキャップ4とを引き離し不能に連結する。
【0021】
上記プラスチック超音波溶接にあたっては、図6の(a) 及び(b) に示すように差込栓2のフランジ2bに係止させた係止用リング5をキャップ4に嵌合させる際に、係止用リング5の上端面5oがキャップ4の環状当接端面7から突出する環状突条部8に圧接するように静圧力をその接触面に印加し、この状態で超音波装置の溶接チップ(図示せず)によってキャップ4の環状当接端面7側と係止用リング5の上端面5o側とに所定周波数の振動を与えると、キャップ4の環状突条部8及びその近辺と係止用リング5の上端面5o部分とが加熱されて溶融し、図6の(b) に示すように互いに接合される。その接合部をWで示す。
【0022】
また、この接合時には、キャップ4の環状当接端面7にキャップ4の半径方向に条設されている突条部9が差込栓2の上端面2oに食い込んだ状態となり、その食い込み状態を図6の(b) に破線で示す。
【0023】
上記のように係止用リング5のリング本体5aの上端面5oとキャップ4の環状当接端面7とをプラスチック超音波溶接して、係止用リング5とキャップ4とを一体に接合することにより、係止用リング5を介してキャップ4と差込栓2とを引き離し不能に確実に連結することができる。この場合、差込栓2は、係止用リング5及びキャップ4に対しては溶接されていないため、これら係止用リング5及びキャップ4に対し回転可能であるが、キャップ4側の突条部9が差込栓2の上端面2oに食い込んでいるから、この突条部9によって、係止用リング5とキャップ4との相対回転が阻止される。
【0024】
また、キャップ4の環状当接端面7に環状突条部8を突設したことによって、係止用リング5のリング本体5aの上端面5oとキャップ4の環状当接端面7とのプラスチック超音波溶接を効果的に行わせることができる。この実施形態では、環状突条部8をキャップ4の環状当接端面7に一つしか設けていないが、二つ以上設けてもよい。尚、プラスチック溶接は、超音波溶接方式に限らず、これ以外の他の適当な溶接方式を採用することができる。
【0025】
上記のようにして組み付けられた瓶用閉蓋具1の使用にあたっては、差込栓2の差込部2aを図1に示すように瓶3の口部3aに差し込めば、この差込部2aとフランジ2bとの間の係合段部2cが口部3aの開口端部3oに密着係合して閉栓される。これだけでは、差込栓2部分が瓶3の口部3aから抜けるおそれがある場合には、図1に示すように、蓋押えクランプ金具14を使用すればよい。
【0026】
蓋押えクランプ金具14は、周知のもので、円弧状操作杆15の両端部に連設した支持枠部15a,15aを、瓶3の口部3aの両側下端部に設けてある穴16,16に差し込んで回転自在に取り付け、両支持枠部15a,15aの耳部17,17に両端部18a,18aを回転自在に取り付けた略コ字状の係止杆18の中央係止部18oを、閉栓した瓶用閉蓋具1のキャップ4の係止溝13に係止させて、円弧状操作杆15を図1の仮想線で示すように下向きに回動させることにより、係止杆18を下方へ引張して瓶用閉蓋具1を押え付けた状態にロックするようにしたものである。
【0027】
上記のようにして瓶3の口部3aに閉栓された瓶用閉蓋具1を開栓するには、キャップ4を掴んで差込栓2を口部3aから引き抜けばよい。この時、差込栓2が口部3aに可なり固く差し込まれているために瓶用閉蓋具1のキャップ4を強く引き抜くような場合であっても、キャップ4は、差込栓2のフランジ2bに係止させた係止用リング5のリング本体5a上端面とキャップ4の環状当接端面7とがプラスチック溶接されているから、差込栓2から外れるようなことがなく、従って差込栓2を瓶3の口部3aから確実に抜き取ることができる。
【0028】
また、キャップ4の環状当接端面7に突設された突条部9が差込栓2の上端面2oに食い込んで、係止用リング5とキャップ4との相対回転が阻止されているから、瓶用閉蓋具1を抜く時に、キャップ4を回すことにより、差込栓2を瓶3の口部3aに対し回転させることができて、引き抜きが容易となる。
【0029】
また、この瓶用閉蓋具1では、キャップ4内の奥部内周壁面10に、周方向に一定ピッチで軸方向に延びる多数のリブ11が突設されているから、差込栓2を瓶3の口部3aに強く押し込んで閉栓する時に、差込栓2は、リブ11により支持されて、凹窪部12内に落ち込むおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る瓶用閉蓋具の使用状態を拡大断面図である。
【図2】(a) は差込栓を示す平面図、(b) は(a) のイ−イ線断面図である。
【図3】(a) は係止用リングを示す平面図、(b) は(a) のロ−ロ線断面図である。
【図4】(a) はキャップを示すもので、(b) のイ−イ線に沿った断面図、(c) はキャップの底面図、(d) はキャップの側面図、(e) は(a) の矢印ニで示す部分の拡大図であ。
【図5】差込栓と係止用リングとキャップとを組み付けようとしている状態を示す断面図である。
【図6】(a) は係止用リングの上端面とキャップの環状当接端面とをプラスチック超音波溶接する前の状態を示す拡大断面図、(b) はプラスチック超音波溶接後の状態を示す拡大断面図である。
【図7】(a) は従来の瓶用閉蓋具の差込栓とキャップとを組み付けようとしている状態を示す断面図、(b) は差込栓とキャップとを組み付けた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 瓶用閉蓋具
2 差込栓
3 瓶
3a 瓶の口部
4 キャップ
5 係止用リング
5a リング本体
5b 内向き鍔部
6 嵌合内周面
7 環状当接端面
8 溶接用の環状突条部
9 突条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部外周にフランジを突設し、瓶の口部に差し込まれる軟質プラスチック製のカップ状差込栓と、
差込栓のフランジに嵌合するリング本体とこのリング本体の下端部から内向きに突出して前記フランジの下端面に当接する内向き鍔部とでリング状に形成され、差込栓にその下方より嵌め込んでフランジに係止させる硬質プラスチック製の係止用リングと、
そのフランジに係止用リングを係止させた差込栓に上方から被嵌されるキャップであって、キャップ下端部に、係止用リングのリング本体外周面が嵌合する嵌合内周面とリング本体の上端面及び差込栓の上端面が当接する環状の当接端面とを形成した硬質プラスチック製のキャップと、からなり、
キャップは、差込栓に嵌め込んでそのフランジに係止させた係止用リングのリング本体の上端面をキャップの環状当接端面に対しプラスチック溶接して接合した係止用リングを介して、差込栓と連結されていることを特徴とする瓶用閉蓋具。
【請求項2】
キャップの環状当接端面には溶接用の環状突条部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の瓶用閉蓋具。
【請求項3】
キャップの環状当接端面には差込栓の上端面に圧接してキャップと差込栓との相対回転を阻止するためのキャップ半径方向に延びる突条部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の瓶用閉蓋具。
【請求項4】
キャップには前記環状当接端面に隣接する奥部内周壁面に、周方向に一定ピッチで軸方向に延びる多数のリブが突設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の瓶用閉蓋具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−44759(P2006−44759A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230213(P2004−230213)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(591092589)酒井硝子株式会社 (3)
【Fターム(参考)】