説明

生ごみの水切り装置

【課題】安価で、かつ比較的簡単な機構によって、生ごみの水切りを高いレベルで行うことができる手動式の水切り装置を提供する。
【解決手段】多数の穴7が形成された水切り容器1と、水切り容器1を収容して回転自在に支持する外容器2と、上蓋3と、上蓋3に設置された押圧回転具4からなる。押圧回転具4は、上蓋3に形成された穴16を貫通する筒状の回転軸17と、回転軸17の下端に固定された生ごみ押し板18と、回転軸17の上端に取り付けられたハンドル19及び摘み21からなる。回転軸17を押し下げて生ごみ押し板18を下降させ、水切り容器1内の生ごみを圧縮して水分を絞り出す。続いて圧縮状態を維持したまま回転軸17を回転させ、これにより水切り容器1を回転させ、遠心力で水分を排出する。生ごみ押し板18と生ごみの間の摩擦力により、生ごみ押し板18が回転すると水切り容器1が回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみの水切りを手動で行う水切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭で発生する生ごみの重量の大半が水分であり、生ごみを水切りするだけでも、生ごみの重量を相当程度減らすことができ、また、ごみ収集車の運搬効率やごみ焼却施設での焼却効率が向上し、COの発生量も削減することができる。このため、各自治体において生ごみの水切りが奨励され、各自治体が運営するホームページ等では、例えば生ごみを三角コーナーに入れておく、水切りネットを使用する、捨てる前に手絞りする等の具体的手段が紹介されている。しかし、これらの手段で排除できる水分量は知れているし、生ごみの手絞りには抵抗感がある。
【0003】
一方、生ごみの水切りを手動で行う従来の水切り装置として、下記特許文献1〜3に見られるような圧縮タイプ、及び下記特許文献4〜6に見られるような回転タイプ等が知られている。しかし、圧縮タイプの水切り装置は、生ごみ容器内で生ごみを圧縮して水分を絞り出した後、圧縮力を解除すると、圧縮されていた生ごみが膨張し、そのとき絞り出した水分を再び吸水するため、水切りが不十分となるという問題がある。また、回転タイプの水切り装置は、生ごみを収容した容器(カゴ)を回転させ、生ごみ中に含まれている水分を遠心分離(水切り)するというものだが、生ごみ容器を高速回転させなければ水切りが不十分となり、高速回転を可能としたものでは回転のための機構が複雑化して、コストアップ、メンテナンス性の低下という問題がある。
【0004】
そのほか、電熱(エアドライ)式の生ごみ乾燥機も一般家庭用に市販されている。しかし、装置自体が高額であるだけでなく、ランニングコストが高く、乾燥時に生じる悪臭やメンテナンスが大変であるなど、使いづらい点が多々あって普及しにくいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−259594号公報
【特許文献2】特開2003−2401号公報
【特許文献3】特開2003−135909号公報
【特許文献4】実開平6−8307号公報
【特許文献5】実用新案登録第3066128号公報
【特許文献6】特開2006−8319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の水切り装置の上記問題点に鑑みてなされたもので、生ごみ乾燥機などに比べて安価で、かつ比較的簡単な機構によって、生ごみの水切りを高いレベルで行うことができる手動式の水切り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る生ごみの水切り装置は、液体が通過できる穴が側壁と底壁に形成された水切り容器と、前記水切り容器を収容してこれを回転自在に支持する外容器と、前記外容器の上部開口を塞ぐ上蓋と、前記上蓋に形成された穴を上下に貫通し前記上蓋に対し回転及び軸方向移動可能とされた回転軸と、前記回転軸の下端に固定され前記水切り容器の上部開口から水切り容器内に進入可能とされた生ごみ押し板と、前記上蓋の外側において前記回転軸に取り付けられたハンドルを備えることを特徴とする。
この水切り装置では、回転軸を下降させて生ごみ押し板を生ごみに押し付け、その状態で回転軸を回転させると、生ごみ押し板と生ごみの摩擦力により水切り容器が連れ回転するが、生ごみ押し板の外周に回転伝達部を形成し、水切り容器の側壁に回転伝達部に係合する受け部を形成し、両部の係合により生ごみ押し板の回転が水切り容器に伝達されるようにすることもできる。
【0008】
この水切り装置を使用するとき、回転軸を押し下げ、生ごみ押し板で生ごみを圧縮して水分を絞り出した後、押し下げ力の一部又は全部を解除しても、安易に生ごみの圧縮状態が解消されないことが望ましく(生ごみが膨張すると、絞り出された水分を再び吸収する)、そのためにこの水切り装置は次のような具体的構成をとることができる。
(1)上蓋に回転軸に圧接する摩擦部材が設置され、この摩擦部材により回転軸の軸方向移動に対し抵抗力が付与されている。
(2)回転軸の周囲に多数の周溝が形成され、上蓋に前記周溝に嵌入する弾性体が設置されている。この弾性体は回転軸の外径方向に弾性変形して前記周溝から脱出可能とされている。
(3)回転軸の周囲に雄ねじが形成され、上蓋に前記雄ねじの谷に嵌入する弾性体が設置されている。この弾性体は回転軸の外径方向に弾性変形して前記雄ねじの谷から脱出可能とされている。
【発明の効果】
【0009】
この水切り装置では、手動で回転軸を押し下げ、生ごみ押し板で水切り容器内の生ごみを圧縮して生ごみ内の水分を絞り出し、この圧縮と同時に又は圧縮後、手動で回転軸を回転させ、生ごみ押し板で水切り容器を連れ回転させ、生ごみ内の水分、特に圧縮により絞り出された水分を、水切り容器外に遠心力で排出するという方法をとることができる。このように水切り機構として圧縮と回転を併用しているため、従来の圧縮タイプの水切り装置と異なり、圧縮して絞り出した水分が生ごみに再び吸水されるのが防止され、また、従来の回転タイプの水切り装置と異なり、圧縮して絞り出した水分を回転の遠心力で排出するのであるから、特に高速回転を可能とする機構は必要でない。従って、安価で、比較的簡単な機構により、生ごみの水切りを行うことができる。
【0010】
また、前記(1)〜(3)に示した機構を採用した場合、回転軸への押し下げ力の一部又は全部を解除しても、回転軸及び生ごみ押し板を適宜の位置に停止させ、生ごみの圧縮状態を維持することができるから、ハンドルを回して回転軸を回転させるだけで(押した状態で回転させなくても)、圧縮により絞り出された水分を水切り容器外に排出することができる。
水切り終了後は、上蓋を外して水切り容器を外容器から取り出し、水切り後の生ごみを廃棄用のプラスチック袋や容器に捨てればよい。また、この生ごみを前記生ごみ乾燥機で処理すれば、生ごみ乾燥機のランニングコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る水切り装置の断面図である。
【図2】水切り容器の平面図である。
【図3】水切り容器と生ごみ押し板の他の実施形態の平面図である。
【図4】本発明に係る他の水切り装置の断面図である。
【図5】図4の要部右側面断面図である。
【図6】図5のX−X断面図である。
【図7】本発明に係るさらに他の水切り装置の要部断面図である。
【図8】本発明に係るさらに他の水切り装置の要部断面図である。
【図9】本発明に係る他の水切り容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図8を参照して、本発明に係る水切り装置について具体的に説明する。
図1に示す水切り装置は、生ごみを入れる水切り容器1と、水切り容器1を収容して該水切り容器1を回転自在に支持する外容器2と、外容器2の上部開口を塞ぐ上蓋3と、水切り容器1内の生ごみの水切りを行うための押圧回転具4からなる。
水切り容器1は例えばプラスチック製のカゴ状容器で、円筒状の側壁5と底壁6を有し、図2にも示すように、側壁5及び底壁6には液体が通過できるが生ごみは通過しにくい穴7が多数形成されている。底壁6の下面中心には比較的径の小さい筒状部8が一体的に形成され、さらに前記筒状部8と同心に比較的径の大きい筒状体9が取り付けられている。
【0013】
外容器2は例えばプラスチック製で、円筒状の側壁11と底壁12からなり、底壁12には液体が通過できる大きさの穴13が多数形成されている。底壁12の上面は平らで、中心に軸14が一体的に形成されて立設し、底壁12の下面には容器本体部を例えばシンクの底から浮かせるための複数個の足14が一体的に形成されている。軸14は水切り容器1の筒状部8の穴に嵌り、水切り容器1を回転自在に支持する。水切り容器1に取り付けられた筒状体9は、水切り容器1の回転を安定させ、かつ押圧回転具4から水切り容器1に掛かる押圧力を受けるためのもので、外容器2の底壁12の上面を回転摺動する。
上蓋3は例えばプラスチック製で、その中央部に筒状部15が形成されている。筒状部15の穴16には後述する押圧回転具4の回転軸17が貫通し、筒状部15は回転軸17の回転及びスラストの軸受けとして機能する。
【0014】
押圧回転具4は、前記穴16を回転自在かつ軸方向移動自在に貫通する円筒状又は棒状の回転軸17と、回転軸17の下端に固定された円盤状の生ごみ押し板18と、回転軸17の上端に固定されたハンドル19と、ハンドル19に回転自在に取り付けられた摘み21からなる。生ごみ押し板18は水切り容器1の内径よりやや小さい外径を有し、水切り容器1の上部開口から該水切り容器1内に進入可能(水切り容器1内で上下移動可能)である。回転軸17、生ごみ押し板18、ハンドル19及び摘み21は、いずれもプラスチック製とすることができる。
回転軸17を押し下げると、生ごみ押し板18が水切り容器1内を下降し、摘み21を持って回転軸17を回転させると、生ごみ押し板18が水切り容器内1で回転する。
【0015】
この水切り装置の使用時は、水切り容器1、又は水切り容器1を収容した状態で外容器2が、例えばシンクの隅に配置され、台所で出た生ごみが水切り容器1内に投入される。水切り容器1内に生ごみが一杯になったとき、あるいは台所仕事が一段落したとき、水切り容器1を外容器2内に収容した状態で上蓋3を外容器2に被せる。このとき同時に生ごみ押し板18が所定位置にセットされる。すなわち、例えば生ごみが水切り容器1内に収まっている場合、生ごみ押し板18は図1に示すように水切り容器1内に入り、例えば生ごみの量が多く水切り容器1から盛り上がっているような場合、水切り容器1内に入らず開口の直上位置に位置する。
【0016】
続いて回転軸17を押し下げ(このとき回転軸17を直接押し下げてもよいし、摘み21を持って押し下げてもよい)、これにより生ごみ押し板18を水切り容器1内で押し下げ、生ごみを圧縮して、生ごみ中の水分を絞り出す。この水分は一部が穴7を通して水切り容器1外に排出され、一部が水切り容器1内に滞留する。
次に、押し下げ力を維持した状態で、摘み21を持って回転軸17を回転させると、生ごみ押し板18と水切り容器1内の生ごみの摩擦力により水切り容器1が連れ回転し、その遠心力により、水切り容器1内に滞留していた水分が穴7を通して水切り容器1外に排出され、また遠心力で生ごみ中の水分がさらに排出される。なお、回転軸17の押し下げプロセス(生ごみの圧縮プロセス)と回転を同時に行うこともできる。
【0017】
穴7を通して水切り容器1から排出された水分は外容器2に入り、穴13を通してシンク内に排出される。
水分排出後は、上蓋3を外容器2から外して、押圧回転具4と共に取り外し、水切り容器1内の水分が減少した生ごみを、他に用意したごみ袋やごみ容器に捨てる。あるいはこの生ごみを生ごみ乾燥機で処理することもできる。
【0018】
図3は、回転軸17の回転に伴ってより確実に水切り容器1を回転させるための機構を例示するものである。生ごみ押し板18の外周の複数箇所に、回転伝達部となる係止片22が一体的に形成され、水切り容器1の側壁5の内面に、係止片22に対する受け部となる係止片23が一体的に形成されている。係止片22は生ごみ押し板18の厚み方向に延び、該厚みと同程度の長さを有し、係止片23は水切り容器1の深さ方向に、開口から下端近傍まで延びている。
鉛直方向に生ごみ押し板18が水切り容器1内に入り、回転(図3矢印参照)したとき、両係止片22,23が係合して、回転軸17及び生ごみ押し板18の回転が水切り容器1に直接伝達される。
【0019】
なお、生ごみ押し板18の回転伝達部(係止片22)及び水切り容器1の受け部(係止片23)は、それぞれ生ごみ押し板18及び水切り容器1と一体に形成されたものでなく、別体として形成されたものが後加工で生ごみ押し板18及び水切り容器1に固定されたものでもよい。また、生ごみ押し板18の回転伝達部及び水切り容器1の受け部は、それぞれ上記の形態に限定されない。
回転軸17の回転に伴ってより確実に水切り容器1を回転させるための機構として、生ごみ押し板18の下面に生ごみに対する係合部位、例えば生ごみに食い込むスパイク(突起)等を形成しておくこともできる。この係合部位により、生ごみ押し板18の回転が生ごみを介して水切り容器1に、より確実に伝達される。
【0020】
図4〜6に、本発明に係る他の水切り装置、特に押圧回転具4の他の形態を示す。なお、図4〜6において、図1に示す水切り装置と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
図4に示す水切り装置において、図1に示す水切り装置との主な違いは、押圧回転具4の回転軸17に雄ねじ24が形成されている点と、雄ねじ24の谷に左右から嵌入する弾性体(線ばね25)が上蓋3に設置されている点である。
【0021】
上蓋3の下面の筒状体15の近傍に、それぞれヘッド部を有する3個の支持ピン26〜28が立設し、左右対称的に曲げ加工された線ばね25が、その中央部と両端部近傍において前記支持ピン26〜28に巻き掛けられた形態で掛止されている。線ばね25の中央部と両端部の間の比較的緩やかに湾曲した部位が、雄ねじ24の谷に左右対向位置において嵌入している。
この押圧回転具4では、摘み21を持って回転軸17を回転させると、線ばね25が一種の雌ねじとして機能し、回転軸17及び生ごみ押し板18は軸方向に移動する。この線ばね25は、前記回転軸の外径方向に弾性変形して雄ねじ24の谷から脱出可能である。
【0022】
この水切り装置の場合、摘み21を回転させるだけで、水切り容器1内の生ごみの圧縮、及び水切り容器1の回転が可能である。図4のように押圧回転具4をセットして摘み21を回転すると、初期段階では、回転軸17が回転して生ごみ押し板18が回転しながら下降し、水切り容器1内の生ごみを押圧して圧縮し、かつその押圧力に応じた摩擦力で水切り容器1を連れ回転させ、これにより生ごみ中の水分が絞り出され、水切り容器1外に排出される。なお、生ごみの圧縮に伴い、生ごみから生ごみ押し板18に反力が作用するが、この反力により上蓋3が開かないように、上蓋3は外容器2の開口部に固定できることが望ましい。
【0023】
生ごみの圧縮が進むと、生ごみから生ごみ押し板18に作用する反力が増大し、回転軸17を回転させても回転軸17が下降しにくくなると同時に、線ばね25は雄ねじ24の山に押されて回転軸17の外径方向に弾性変形する(押し広げられる)。続いて生ごみ押し板18に作用する反力が所定値を超えると、回転軸17を回転させても、線ばね25が雄ねじ24の谷から脱出し、隣接する山を越えて次の谷に落ち込むという動作が繰り返され、回転軸17及び生ごみ押し板18は下降せず(これ以上の生ごみの圧縮が起こらない状態)、以後は生ごみ押し板18の回転及び水切り容器1の連れ回転のみが生じる。この間も、水切り容器1内の生ごみは生ごみ押し板18による圧縮力を受けている。
【0024】
このような段階を経て生ごみの水切りが終了すると、摘み21により回転軸17を逆に回転させ、回転軸17及び生ごみ押し板18を上昇させて生ごみの圧縮を解除し、上蓋3を外容器2から外して、押圧回転具4と共に取り除く。
なお、この水切り装置において、回転軸17を所定以上の押圧力で押し下げると、回転軸17は線ばね25を押し広げて下降するから、この方法で生ごみの圧縮のみを先行して行うこともできる(後述する図7の水切り装置と同様のメカニズム)。
図4〜6に示す水切り装置においても、図1に示す筒状体9、図3に示す回転伝達部(係止辺22)及び受け部(係止辺23)を設けることができる。また、生ごみ押し板18の下面に前記係合部位(スパイク)を形成することもできる。
【0025】
図7に、本発明に係る他の水切り装置、特に押圧回転具4の他の形態を示す。なお、図7において、図1に示す水切り装置と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
図7に示す押圧回転具4において、図4に示す押圧回転具4との違いは、回転軸17の外周に、雄ねじ24の代わりにリング状の周溝29が等間隔に多数形成され、この周溝29の左右対向位置に弾性体(線ばね25)が嵌入している点のみである。
この水切り装置では、回転軸17に対し軸方向への押圧力を掛けると、線ばね25が周溝29間の凸条31に押されて回転軸17の外径方向に弾性変形し(押し広げられ)、前記押圧力が所定値を超えるとき、線ばね25は周溝29から脱出可能である。周溝29から脱出した線ばね25は、隣接する凸条31を越えて次の周溝29に落ち込み、同時に回転軸17は軸方向(押圧力の方向)に所定距離移動する。
【0026】
この水切り装置の使用時は、押圧回転具4をセットした後、まず回転軸17を押し下げ、生ごみ押し板18によって水切り装置1内の生ごみを押圧して圧縮し、生ごみ中の水分を絞り出す。回転軸17が押し下げられている間、線ばね25が外径方向に弾性変形して周溝29から脱出し、隣接する凸条31を越えて次の周溝29に落ち込むという動作が繰り返される。なお、圧縮が終了した段階で回転軸17の押し下げ力を解除しても、線ばね25が周溝29に嵌入しているので、生ごみから生ごみ押し板18に掛かる反力が前記所定値を超えない限り、回転軸17が元に戻る(上昇する)ことはなく、生ごみの圧縮状態は維持される。
【0027】
続いて、摘み21を持って回転軸17を回転させると、生ごみ押し板18が回転し、水切り容器1内の生ごみの摩擦力により水切り容器1が連れ回転する。このとき回転軸17を下方に押圧しなくても生ごみは圧縮状態にあるので、単に摘み21を持って回転軸17を回転させるだけで、生ごみの水切りを十分に行うことができる。なお、先に説明した回転軸17の押し下げ(生ごみの圧縮)と、このような回転軸17の回転を同時に行うこともできる。
生ごみの水切りが終了すると、上蓋3を外容器2から外して、押圧回転具4と共に取り外す。
図7に示す水切り装置においても、図1に示す筒状体9、図3に示す回転伝達部(係止辺22)及び受け部(係止辺23)を設けることができる。また、生ごみ押し板18の下面に前記係合部位(突起)を形成することもできる。
【0028】
図8に、本発明に係る他の水切り装置、特に押圧回転具4の他の形態を示す。なお、図8において、図1に示す水切り装置と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
図8に示す押圧回転具4において、図1に示す押圧回転具4との違いは、回転軸17に圧接するリング状の摩擦部材32が上蓋3に設置されている点のみである。
この摩擦部材32は上蓋3の下面において穴16の周囲に設置され、摩擦部材32に形成された穴33内に回転軸17が摺接し、回転軸17の軸方向移動に対し抵抗力を付与している。摩擦部材32としては、例えばゴムや軟質樹脂などの回転軸17に対する摩擦係数が高い弾性材料を適宜用いることが望ましい。
【0029】
この水切り装置の使用時は、押圧回転具4をセットした後、まず回転軸17を押し下げ、生ごみ押し板18によって水切り装置1内の生ごみを押圧して圧縮し、生ごみ中の水分を絞り出す。圧縮が終了した段階で回転軸17の押し下げ力を解除しても、摩擦部材32が回転軸17に圧接し、回転軸17の軸方向移動に対し抵抗力を付与しているので、生ごみから生ごみ押し板18に掛かる反力が前記抵抗力を超えない限り、回転軸17が元に戻る(上昇する)ことはなく、生ごみの圧縮状態は継続される。
【0030】
続いて、摘み21を持って回転軸17を回転させると、生ごみ押し板18と水切り容器1内の生ごみの摩擦力により水切り容器1が回転する。このとき回転軸17を下方に押圧しなくても生ごみは圧縮状態にあるので、単に摘み21を持って回転軸17を回転させるだけで、生ごみの水切りを十分に行うことができる。なお、回転軸17の押し下げ(生ごみの圧縮)と回転を同時に行うこともできる。
生ごみの水切りが終了すると、上蓋3を外容器2から外して、押圧回転具4と共に取り外す。
図8に示す水切り装置においても、図1に示す筒状体9、図3に示す回転伝達部(係止辺22)及び受け部(係止辺23)を設けることができる。また、生ごみ押し板18の下面に前記係合部位(突起)を形成することもできる。
【0031】
図9に、本発明に係る水切り容器1の他の形態を示す。なお、図9において、図1に示す水切り容器1と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
図9に示す水切り容器1において、図1に示す水切り容器1との主たる違いは、底壁6が外周側が低くなった傾斜面に形成されている点である。これにより、圧縮及び回転による水切り効果が高くなる。
【0032】
なお、本発明に係る水切り装置は、上記の形態に限られないことはいうまでもない。例えば次のような形態をとることができる。
(1)水切り容器1の穴7は、通常のザルのように縦長の穴など、適宜の形状をとることができる。
(2)外容器2の底壁12に穴13を形成し、水切り容器1から排出された水分がついでにシンク内に排出されるようにしたが、外容器2の適宜位置にコック付きの排出口を設け、垂れ流しにならないようにしてもよい。
(3)外容器2に、シンク内の所定位置(側壁や底壁など)に固定する機構、例えばフックや吸盤等を設けたり、持ち運びのための取っ手を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 水切り容器
2 外容器
3 上蓋
4 押圧回転具
8 筒状部
14 軸
17 回転軸
18 生ごみ押し板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が通過できる穴が側壁と底壁に形成された水切り容器と、前記水切り容器を収容してこれを回転自在に支持する外容器と、前記外容器の上部開口を塞ぐ上蓋と、前記上蓋に形成された穴を上下に貫通し前記上蓋に対し回転及び軸方向移動可能とされた回転軸と、前記回転軸の下端に固定され前記水切り容器の上部開口から水切り容器内に進入可能とされた押し板と、前記上蓋の外側において前記回転軸に取り付けられたハンドルを備えることを特徴とする生ごみの水切り装置。
【請求項2】
前記上蓋に前記回転軸に圧接する摩擦部材が設置され、前記摩擦部材により前記回転軸の軸方向移動に対し抵抗力が付与されていることを特徴とする請求項1に記載された生ごみの水切り装置。
【請求項3】
前記回転軸の周囲に多数の周溝が形成され、前記上蓋に前記周溝に嵌入する弾性体が設置され、前記弾性体は前記回転軸の外径方向に弾性変形して前記周溝から脱出可能であることを特徴とする請求項1に記載された生ごみの水切り装置。
【請求項4】
前記回転軸の周囲に雄ねじが形成され、前記上蓋に前記雄ねじの谷に嵌入する弾性体が設置され、前記弾性体は前記回転軸の外径方向に弾性変形して前記雄ねじの谷から脱出可能であることを特徴とする請求項1に記載された生ごみの水切り装置。
【請求項5】
前記押し板の外周に回転伝達部が形成され、前記水切り容器の側壁に前記回転伝達部に係合する受け部が形成され、前記回転伝達部と受け部が係合することで前記回転軸の回転が押し板を介して前記水切り容器に伝達されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された生ごみの水切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−265096(P2010−265096A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119483(P2009−119483)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】