説明

生コンクリートミキサー車のドラム

【課題】生コンクリートミキサー車のドラムを、廃タイヤなどのゴムやウレタン等の合成樹脂で構成し、トラック用タイヤなどの製造技術を転用してシェル(外殻)にワイヤ等の索条を入れてゴム或は合成樹脂を補強して、ドラムの重量を低減し、積載量を拡大し、また、鋼板で作成されたドラムよりも振動を多くし、コンクリートの大量付着を防止し、はつり作業を低減・廃止し、耐腐食性に優れたコンクリートミキサー車のドラムを低廉に提供する。
【解決手段】生コンクリートミキサー車のドラムを、廃タイヤ等のゴム或は合成樹脂で形成し、ドラムの外殻をワイヤーで補強して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生コンクリートミキサー車のドラムをタイヤの製造技術を転用した生コンクリートミキサー車のドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生コンクリートミキサー車のドラム本体は、特許文献1等に示すように、厚さ数ミリ程度の鋼板だけで製作されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−067287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の鋼板製ドラムには、使用実績が長く、耐久性に優れ、補強等の加工がし易い、という利点を有してはいるものの、反面、重量が嵩み、燃費が悪いと共に、ドラム本体の外面は、厚さ数ミリ程度の鋼板だけで製作されているため、気温、日射等の影響によって、ドラム内の生コンクリートの品質を著しく低下させてしまい易い、という問題を有していた。
【0005】
一般に、従来のドラムの鋼板の厚さは、3.2mmから4.0mmのものを使用しているため、10トンの生コンクリートミキサー車ベースで重量が約1.3トンと重量が非常に嵩むことから、積載量が増やせない、という問題を有し、また、腐食し易く、更には、ドラム内部にコンクリートが付着する、という問題を有していた。この付着したコンクリートを除去するためには、作業者がドラム内部に入り、削岩機を使用してコンクリートをはつり(斫り:片手用の小さな削岩機を使って硬化したコンクリートを小さく小分けに壊して除去する作業をいう。)取るという危険な作業が発生し、熟練性が要求される、という問題を有していた。尚、「はつり」は、建設、建築、土木工事現場などでコンクリート製品を削ったり、切ったり、壊したり、穴をあけたりする作業全般の通称である。
【0006】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、生コンクリートミキサー車のドラムを、廃タイヤなどのゴムやウレタン等の合成樹脂で構成し、トラック用タイヤなどの製造技術を転用してシェル(外殻)にワイヤ等の索条を入れてゴムや合成樹脂を補強してドラムを構成し、ドラムの重量を低減し、積載量を拡大し、また、鋼板で作成されたドラムよりも振動を多くし、コンクリートの大量付着を防止し、はつり作業を低減・廃止し、耐腐食性に優れたコンクリートミキサー車のドラムを低廉に提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、生コンクリートミキサー車のドラムを、ゴム或は合成樹脂で形成し、ドラムの外殻を索条で補強したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のコンクリートミキサー車のドラムであって、前記ゴムとして、廃タイヤを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、生コンクリートミキサー車のドラムを、廃タイヤなどのゴムやウレタン等の合成樹脂で構成し、トラック用タイヤなどの製造技術を転用してシェル(外殻)にワイヤ等の索条を入れてゴム或は合成樹脂を補強して、ドラムの重量を低減し、積載量を拡大し、また、鋼板で作成されたドラムよりも振動を多くし、コンクリートの大量付着を防止し、はつり作業を低減・廃止し、耐腐食性に優れたコンクリートミキサー車のドラムを低廉に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態の回転ドラムが搭載された生コンクリートミキサー車の廃タイヤで形成された回転ドラムの斜視図である。
【図2】同回転ドラムの内部を透視した参考斜視図である。
【図3】同内部を透視した回転ドラムをワイヤで補強した状態を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態の回転ドラムが搭載された生コンクリートミキサー車の廃タイヤで形成された回転ドラムの斜視図を、図2は同回転ドラムの内部を透視した参考斜視図を、図3は同内部を透視した回転ドラムをワイヤで補強した状態を示す参考斜視図である。
【0013】
この発明の実施形態例に適用される生コンクリートミキサー車は、前部に運転席が設けられ、この運転席の後側に生コンクリートを収容する回転ドラム1が設けられた車体構造となっている。
【0014】
図1と図2に示すように、上記回転ドラム1は、前側の底部2が低く、後側の開口部3が高くなるように傾斜して設けられ、その開口部3には、投入ホッパおよび排出シュートが取り付けられている。この回転ドラム1の駆動構造は、ドラム底面に回転駆動装置(図示せず)の駆動軸が連結されると共に、ドラム外周に突設された環状レールが車体に取り付けられた左右のローラ(図示せず)によって支持されたものとなっている。
【0015】
また、回転ドラム1は、廃タイヤを利用したゴムでドラム本体及び内部に配置された羽根4及びパドル5を構成している。勿論、ドラム本体は、耐久性に優れた廃タイヤ以外のゴム、或は、FRP(Fiber Reinforced Plastics)その他の合成樹脂で形成してもよい。
【0016】
そして、上記羽根4には、内部を洗浄するときに、洗浄水が通り抜ける多数の孔6が穿設されている。
【0017】
また、回転ドラム1のシェル(外殻)には、図3に示すように、棒ワイヤ或はメッシュワイヤなどの索条7で回転ドラム1を補強している。この場合、トラック用タイヤなどの製造技術を転用してシェル(外殻)にワイヤ等の索条7を入れ、ゴムや合成樹脂を補強するのが望ましい。
【0018】
このように、回転ドラム1を構成することにより、回転ドラム1の重量を低減し、積載量を拡大し、また、鋼板で作成されたドラムよりも振動を多くして、コンクリートの大量付着を防止できると共に、はつり作業を低減・廃止し、耐腐食性も得ることができる等、幾多の優れた効果を得ることができる。
【0019】
尚、上記羽根4は、回転ドラム1と一体に回転するもので、生コンクリートミキサー車の走行時には、回転ドラム1を正転させて、羽根4により内部の生コンクリートを回転ドラム1の奥底側へ向けて押しやってパドル5でさらに混練し、また、生コンクリートの排出時には、回転ドラム1を逆転させて、羽根4により内部の生コンクリートを回転ドラムの開口部へ向けて押し出すように構成されている。
【符号の説明】
【0020】
1:回転ドラム
4:羽根
5:パドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートミキサー車のドラム本体をゴム或は合成樹脂で形成し、ドラムの外殻をワイヤーで補強してなる生コンクリートミキサー車のドラム。
【請求項2】
前記ゴムは、廃タイヤであることを特徴とする請求項1に記載の生コンクリートミキサー車のドラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−224867(P2011−224867A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97010(P2010−97010)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(507138398)株式会社アムラックス (2)
【Fターム(参考)】