説明

生ゴミ処理装置

【課題】 処理水中に吹き込まれた外気を水中ポンプが吸入することによって水中ポンプが故障することを防止することができる生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】 水中ポンプ61,62を作動させて処理水5を吸入及び吐出している間は気泡発生器7,7を作動停止させ、水中ポンプ61,62を作動停止させてから所定時間後(水中ポンプ61,62による処理水5の吸入が完全に停止した後)に気泡発生器7,7を作動させて処理水5中に気泡を発生させ、気泡発生器7,7を作動停止させてから所定時間後(処理水5中の気泡が処理水5の外部へ移動した後)に水中ポンプ61,62を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽の水に投入された生ゴミを微生物によって分解処理する湿式の生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の湿式の生ゴミ処理装置は、水槽の水に微生物を混入させて、生ゴミを分解処理するための処理水となし、この処理水の中に生ゴミを投入して攪拌翼で攪拌することによって、微生物に生ゴミを分解させる(特許文献1参照)。
【0003】
このような生ゴミ処理装置では、好気性の微生物が処理水中の溶存酸素を消費して生ゴミを分解処理するため、酸素を含む新たな水を水槽へ大量に供給する必要があった。この水としては、一般に水道水が用いられるため、生ゴミを分解処理するために水道コストが増大し、生ゴミ処理装置のランニングコストが増大するという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、生ゴミ処理装置外部の空気(外気)を処理水中に吹き込む生ゴミ処理装置が提案されている。このような生ゴミ処理装置は、吹き込まれた外気が処理水に溶解することによって処理水中の溶存酸素濃度が上昇するため、新たな水道水を水槽へ大量に供給する必要がなく、水道コストが減少し、生ゴミ処理装置のランニングコストが減少する(特許文献2参照)。
【0005】
ところで、特許文献2に開示されているような生ゴミ処理装置は、水槽内の処理水を循環させて攪拌するために水中ポンプを備え、水槽下部の処理水を吸入し、水槽上部で吐出するようにしてある。
【特許文献1】特開2002−336830号公報
【特許文献2】特開2000−354898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、処理水中に吹き込まれた外気を水中ポンプが吸入した場合、水中ポンプが処理水を充分に吸入することができず、空運転された状態となって故障することがあるため、従来は、水中ポンプから充分な距離を離隔した位置に外気を吹き込む必要があり、また、水中ポンプと外気を吹き込む位置とを充分に離隔するために、水槽を大型化する必要があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、水中ポンプの作動中/作動停止中に気泡発生部が作動停止/作動する構成とすることにより、水中ポンプと気泡発生部とが接近して配置してある場合でも、気泡発生部が水中に発生させた気泡を水中ポンプが吸入することを抑制することができる生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、水中ポンプが作動停止し、所定時間の経過後に気泡発生部が作動する構成とすることにより、気泡発生部が水中に発生させた気泡を水中ポンプが吸入することを更に抑制することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、気泡発生部が作動停止し、所定時間の経過後に水中ポンプが作動する構成とすることにより、気泡発生部が水中に発生させた気泡を水中ポンプが吸入することを更に抑制することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、間欠的に作動する水中ポンプが所定回数作動した場合に給水弁を開く構成とすることにより、例えば常に給水弁が開いている場合に供給される水の量よりも少量の水を水槽へ供給することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、水中ポンプの作動中に微生物供給ポンプが作動する構成とすることにより、水槽へ供給された微生物と水槽の水とを速やかに混合することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、柱状の水中ポンプの周方向に沿って配された気泡発生部を備えることにより、水槽を小型化することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、微生物が混入された水を収容する水槽と、該水槽に収容された水を吸入及び吐出して該水を攪拌する水中ポンプと、前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部とを備え、前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、前記水中ポンプ及び前記気泡発生部は選択的に作動するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの作動が停止し、所定時間が経過した後で作動するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは、前記気泡発生部の作動が停止し、所定時間が経過した後で作動するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは間欠的に繰り返し作動するようにしてあり、前記水槽へ水を供給する給水管に配してあり、前記水中ポンプが所定回数作動した場合に開状態になる給水弁を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプが作動している間に前記水槽へ微生物を供給する微生物供給ポンプを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、水中ポンプと気泡発生部とが同時的に作動しない。更に詳細には、作動している気泡発生部が水槽の水の中に気泡を発生させている間は、水中ポンプは作動停止しており、水槽の水及び水の中の気泡を吸入しない。逆に、気泡発生部が作動停止している間は水中ポンプが作動しており水槽の水を吸入するが、作動停止している気泡発生部は気泡を発生させず、このため水中ポンプは気泡を吸入しない。
【0020】
本発明にあっては、水中ポンプが作動停止してから所定時間が経過した後で、気泡発生部が気泡を発生させる。この所定時間は、水中ポンプの慣性によって、又は流動している水の慣性によって、水槽の水が作動停止した水中ポンプ内へ進入する時間であり、所定時間の経過後は、水中ポンプ内への水の移動が終了するため、気泡が水中ポンプ内へ侵入することはない。
【0021】
本発明にあっては、気泡発生部が作動停止してから所定時間が経過した後で、水中ポンプが水槽の水を吸入する。この所定時間は、作動停止前に気泡発生部が発生させた気泡が水槽の水の中に残留している時間であり、所定時間の経過後は、残留していた気泡が例えば水面へ浮上し、更に水の外へ移動するため、気泡が水中ポンプに吸入されることはない。
【0022】
本発明にあっては、水中ポンプの作動中、即ち微生物による生ゴミの分解処理中は、給水弁が限定的に開状態になるため、給水管を介して水が水槽へ限定的に供給される。このようにして水槽へ供給される水の量は、例えば常に給水弁を開いて水槽へ供給される水の量よりも少量である。
【0023】
この水は、例えば水槽の水の量又は水槽の水に含まれる微生物の濃度を一定に維持するために供給される。微生物による生ゴミの分解処理中には、水槽の水の溶存酸素が消費されるが、気泡発生部が水中に気泡を発生させ、発生した気泡に含まれる酸素が水に溶解して溶存酸素濃度が上昇するため、溶存酸素濃度を上昇させるために水槽へ大量の水を供給する必要がない。ただし、水槽へ供給される少量の水にも酸素が含まれるため、水槽ポンプの作動中に水を供給することによって、供給された水(の溶存酸素)と水槽に収容されていた水とが速やかに混合される。
【0024】
本発明にあっては、水中ポンプが作動して、水槽の水が攪拌されている場合に、微生物供給ポンプが水槽へ微生物を供給するため、供給された微生物と水槽の水とが速やかに混合される。また、水中ポンプの作動中、つまり微生物による生ゴミの分解処理中に、新たな微生物を供給するため、生ゴミの分解処理中に水槽内の微生物の数量が一定以上に維持される。
【0025】
本発明にあっては、気泡発生部が、環状の気泡発生器、又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなり、柱状の水中ポンプの周方向に沿ってコンパクトに配されている。また、作動している気泡発生部が水槽の水の中に気泡を発生させている間は、水中ポンプの近傍に気泡が発生、又は水中ポンプの近傍を気泡が移動するが、水中ポンプは作動停止しており、水槽の水及び水の中の気泡を吸入しない。
【発明の効果】
【0026】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が作動している間は水中ポンプが水槽の水及び水の中の気泡を吸入せず、気泡発生部が作動停止している間は水中ポンプが水槽の水を吸入して水の中の気泡を吸入しないため、気泡を吸入した水中ポンプが空運転された状態となって故障することを抑制することができる。また、気泡発生部が発生させた気泡を水中ポンプが吸入しないため、水中ポンプと気泡発生部とを離隔配置する必要がなく、このため、水槽を大型化する必要がない。
【0027】
更に、水中ポンプ又は気泡発生部が作動している間は気泡発生部又は水中ポンプが作動停止しているため、水中ポンプ及び気泡発生部の動力エネルギ(例えば電力)の無駄な消費を防止することができる。
【0028】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、水中ポンプ内へ水が移動している間は気泡発生部が気泡を発生させないため、気泡が内部に侵入した水中ポンプが空運転された状態となって故障することを更に抑制することができる。
【0029】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、水中に気泡が残留している間は水中ポンプが水を吸入しないため、気泡を吸入した水中ポンプが空運転された状態となって故障することを更に抑制することができる。
【0030】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、水中ポンプの作動に合わせて少量の水(例えば水道水)を供給することができるため、供給された水と水槽の水とを速やかに混合することができ、また、水槽へ大量の水を供給しないため、水のコスト(水道コスト)を減少させて、生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【0031】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、微生物による生ゴミの分解処理中に新たな微生物を供給し、供給した微生物と水槽の水とを速やかに混合するため、微生物による生ゴミの分解処理能力を維持することができる。
【0032】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させた気泡を水中ポンプが吸入しないため、水中ポンプと気泡発生部とを接近配置することができ、この結果、水槽を小型化することができる。
【0033】
また、軸方向を略鉛直方向に配して用いる柱状の水中ポンプ、及び環状の気泡発生器又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなる気泡発生部は簡単に準備(容易に製造、安価に購入等)することができるため、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0035】
図1は、本発明に係る業務用の湿式の生ゴミ処理装置の模式的正面図であり、図2は、同じく模式的側面図である。図3は、生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ61(62)及び気泡発生器7の構成を示す部分断面拡大斜視図である。図中2は、縦長の円筒形状の処理槽であり、処理槽2は地面に設置してある。また、処理槽2近傍の地面に、生ゴミ処理装置を操作するための操作盤1が設置してあり、処理槽2の上方に、直方体状の貯水槽3が設置してある。
【0036】
処理槽2は、図示しない適宜の断熱構造を有する側面2a、下面2b及び上面2cを備え、側面2aには、処理槽2内へ水道水4を供給するための給水口46が、後述するオーバーフロー水位より約50mm上側に開口している。また、処理槽2には、微生物が着床する多孔質の発泡樹脂製の多数の基材50,50,…と、水道水4に微生物を混入させてなる処理水5とが収容してある。
【0037】
処理槽2の上面2c外側の中央部及び外周近傍の一部夫々には直方体状のケーシング26,27が配してある。ケーシング27内には、微生物を含む液体からなる処理剤250を収容する処理剤タンク25が配置してある。処理剤タンク25内に収容された処理剤250は、ケーシング26内に配置された処理剤ポンプ28によって汲み出されて処理槽2内へ注入され、注入された処理剤250は処理水5に混入されて、処理水5の微生物の濃度を上昇させる。処理水5に混入された処理剤250に含まれる微生物は、処理水5中に浮遊し、基材50,50,…に着床する。
【0038】
また、処理槽2の上面2cには、外周近傍の他部に、外部から処理槽2内へ生ゴミを投入するための投入口24と、投入口24を開閉する蓋241とが設けられ、蓋241には、外部から処理槽2内を視認するための覗き窓242が設けられている。生ゴミ処理装置の使用者(又は保守作業者)は、例えば生ゴミ処理装置の作動中は、覗き窓242を介して処理槽2内を視認する。投入口24には、蓋241の開放を検出した場合に蓋開放信号を操作盤1へ出力する図示しない蓋開閉センサが取り付けてあり、蓋開閉センサが蓋241の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【0039】
処理槽2には、処理水5、基材50,50,…及び/又は投入された生ゴミを攪拌するために、処理槽2の径方向中心部に設置された攪拌翼21と、攪拌翼21の両側に設置された水中ポンプ61,62が収容されている。
【0040】
攪拌翼21は、処理槽2の軸方向(略鉛直方向)に配された円柱状の回転軸211の周面に設けられた螺旋状の板であり、回転軸211は、一端が、処理槽2の下面2b内側の中央部に配された軸受け212に回転可能に支持され、他端が、ケーシング26内に設置されたモータ213の図示しない出力軸に連結してある。モータ213が作動した場合、出力軸の回転が伝達された回転軸211の回転に伴って攪拌翼21が回転し、このため処理水5が周方向に回転して、処理水5、基材50,50,…及び投入された生ゴミが攪拌される。
【0041】
水中ポンプ61,62は、略同じ構成であるため、以下では主に水中ポンプ61に関して説明する。水中ポンプ61は縦長の円柱状であり、円柱状の水中ポンプ61の軸方向(水中ポンプ61の図示しないポンプ軸の軸方向)を略鉛直方向に配されて、下面2b内側に備えられた短小な円柱状の台座612の上面中央部に設置されている。水中ポンプ61の下部近傍の側面には、処理水5を吸入する吸入口61aが開口し、また、吸入口61aへ吸入される処理水5を濾過する網状のフィルタ613が吸入口61aを覆って取り付けてある。フィルタ613は処理水5中の基材50,50,…及び生ゴミを通過させない。
【0042】
水中ポンプ61の上端からは、その先端開口が下面2bに対向する倒立J字状の循環パイプ611が上方へ延設されており、吸入口61aから吸入された処理水5は、循環パイプ611の基端へ移動し、循環パイプ611に沿って上昇して、循環パイプ611先端の開口から、下方へ向けて吐出される。つまり、水中ポンプ61は、処理水5を上下方向に循環させて処理水5を攪拌する。本実施の形態の水中ポンプ61は、後述する水中ポンプ作動時間の間(例えば50秒間)の作動、及び、水中ポンプ停止時間の間(例えば10秒間)の作動停止を、水中ポンプオン時間の間(例えば5分間)繰り返す間欠運転と、エアポンプオン時間の間(例えば15分間)の連続的な作動停止(間欠運転停止)とを交互に行なう。
【0043】
ここで、水中ポンプ61が備える循環パイプ611の先端開口は、処理槽2のオーバーフロー水位近傍に配され、水中ポンプ62が備える循環パイプ621の先端開口は、オーバーフロー水位の略中央位置に配されている。
【0044】
処理槽2には、水中ポンプ61,62夫々に対応して、処理水5中に気泡8,8,…を発生させる気泡発生器7,7が収容してある。水中ポンプ61及び気泡発生器7の位置関係は、水中ポンプ62及び気泡発生器7の位置関係と略同様であるため、以下では水中ポンプ61及び気泡発生器7の位置関係について説明する。
【0045】
気泡発生器7は、台座612の周面に固定された円環状のパイプ70を備える。つまり、気泡発生器7は、水中ポンプ61の下側に配され、水中ポンプ61の周方向に沿う円環状である。パイプ70の上側周面には複数の開口7a,7a,…が設けられ、各開口7aを、微細な網目のフィルタ71で覆っている。フィルタ71は、開口7aから噴出される気泡を微細な気泡にする機能と、パイプ70内への生ゴミの侵入を防止する機能とを担う。
【0046】
パイプ70には、その中途に電磁給気弁72を有する空気供給管73の一端が連結してあり、空気供給管73の他端は、ケーシング26内部に配されたエアポンプ74に連結してある。エアポンプ74は、水中ポンプ61の作動停止中に、空気供給管73を介して、処理槽2外部の空気(外気)をパイプ70へ供給し、パイプ70へ供給された外気は、フィルタ71,71,…を通過して微細な気泡8,8,…となり、開口7a,7a,…から処理水5へ供給される。
【0047】
開口7a,7a,…から処理水5へ供給された気泡8,8,…は、浮力によって処理水5中を上昇し、その際、フィルタ613を含む水中ポンプ61表面を上方へ移動する。気泡発生器7による気泡8,8,…の発生中は、水中ポンプ61が作動停止しているため、吸入口61aから処理水5が吸入されず、また、気泡8,8,…も吸入されない。
【0048】
気泡8,8,…は酸素を含み、気泡8,8,…に含まれている酸素の一部は、気泡8,8,…の上昇中に処理水5に溶解して、処理水5の溶存酸素濃度を上昇させる。本実施の形態では、気泡発生器7からの気泡8,8,…発生中は、水中ポンプ61,62を作動停止させておくが、攪拌翼21は作動させておく。この結果、攪拌翼21によって処理水5が攪拌されて、気泡8,8,…に含まれている酸素の処理水5への溶解が促進される。
【0049】
本実施の形態においては、水中ポンプ61と気泡発生器7とは水平方向の略同一位置に配置してあり、鉛直方向の位置も接近して配してある。このため、気泡発生器7と水中ポンプ61とを離隔配置するために処理槽2の内径、高さ等を大きくする必要がない。つまり、処理槽2を小型化することができる。
【0050】
処理槽2の側面2aには、処理水5の水位が所定の水位(オーバーフロー水位)より上昇した場合に、過剰な処理水5を外部へ排水するオーバーフロー開口230が形成されている。オーバーフロー開口230の下端はオーバーフロー水位に位置し、また、オーバーフロー開口230には、未処理の生ゴミがオーバーフローによって外部へ排出されることを防止する排水濾過網231が取り付けられている。排水濾過網231を通過してオーバーフロー開口230から排水された処理水5は、側面2a外側に設けられたオーバーフロー槽23へ移動し、オーバーフロー槽23下部に接続された排水管232から、トラップ233を介して、図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。
【0051】
オーバーフロー槽23上部には、オーバーフロー槽23側から排水濾過網231へシャワー水を噴射するシャワー開口47が設けられる。シャワー開口47は、その中途にシャワーポンプ43が配されたシャワー給水管44に接続されており、シャワーポンプ43は、シャワー給水管44を介して、水道水4をシャワー開口47へ供給し、シャワー開口47から噴射されたシャワー水は、排水濾過網231に付着した生ゴミを処理槽2内部側へ除去して、オーバーフロー時の排水が円滑に行われるようにする。
【0052】
処理槽2の側面2a内側には、水位検出部(オーバーフロースイッチ)22が設けられている。水位検出部22は、処理水5の水面に浮遊する浮玉22aを有し、浮玉22aの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上である場合に、水位超過信号を操作盤1へ出力する。このような水位検出部22は、例えば排水濾過網231に生ゴミが付着して目詰まりを起こすことによって、処理水5の水位がオーバーフロー水位以上に上昇した場合に、処理水5の水位の過剰な上昇を検出して、水位超過信号を操作盤1へ出力する。水位超過信号を入力された操作盤1は、後述するように処理槽2への給水を停止する。
【0053】
処理槽2の側面2aの一部には、処理槽2内部の点検、清掃等のために、人間が進入可能な点検口29と、点検口29を開閉する扉291とが設けてある。生ゴミ処理装置の保守作業者は、点検口29を通過して処理槽2内部へ侵入し、フィルタ613,623の清掃又は取り替えを行なう。点検口29には、扉291の開放を検出した場合に扉開放信号を操作盤1へ出力する図示しない扉開閉センサが取り付けてあり、扉開閉センサが扉291の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【0054】
貯水槽3は、水道水4を貯留するタンク(シスターン)であり、側面上部に入水管31、下面に出水管32、側面中央部にオーバーフロー管33が夫々開口している。入水管31は、図示しない止水弁を介して上水道又は受水槽に接続されており、上水道又は受水槽から水道水4が入水管31を通過して貯水槽3へ供給される。
【0055】
入水管31の貯水槽3側開口には、浮玉34aの上下動によって貯水槽3に対する給水と給水の停止とを行なうボールタップ34が設けられている。浮玉34aの位置がオーバーフロー管33の開口位置より下側である場合はボールタップ34が開いて入水管31から貯水槽3へ水道水4が供給され、また、浮玉34aの位置がオーバーフロー管33の開口位置以上である場合はボールタップ34が閉じて入水管31から貯水槽3への水道水4の供給が停止される。貯水槽3に貯留された水道水4の水位がオーバーフロー管33の開口位置以上に上昇した場合、水道水4はオーバーフロー管33を通過して図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。以下では、貯水槽3には、オーバーフロー管33の開口位置に略等しい水位の水道水4が常に貯留されているものとする。
【0056】
貯水槽3の出水管32は、ストレーナ40を介して、その中途に第1電磁給水弁41を有する給水管45に接続され、給水管45は処理槽2の給水口46に接続されている。給水管45は、ストレーナ40と第1電磁給水弁41との間からシャワー給水管44が分岐しており、シャワー給水管44の中途、更に詳細にはシャワー給水管44及び給水管45の分岐点とシャワーポンプ43との間に、第2電磁給水弁42を有する。
【0057】
図4は、操作盤1の構成を示すブロック図であり、図5は、生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号を、操作盤1のCPU10が出力するタイミングを示すタイミングチャートである。
【0058】
操作盤1は、バス又は信号線を介して電気的に相互に接続されたCPU10、ROM11、RAM12、複数のタイマ131,132,…、操作部14及びI/F(インタフェース)部15を備える。CPU10は、RAM12を作業領域として用い、ROM11に記憶された制御プログラム及びデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。また、CPU10は、第1タイマ131,第2タイマ132,…夫々を用いて経過時間を計時する。更に、CPU10は、I/F部15を介して、モータ213、各電磁給水弁41,42等へ、これらを作動又は開放させる制御信号(以下、オン信号という)を出力し、水位検出部22から出力された水位超過信号、前記蓋開閉センサから出力された蓋開放信号、及び前記扉開閉センサから出力された扉開放信号を入力される。
【0059】
操作部14は、生ゴミ処理装置の作動状態、使用者への操作指示等が表示される表示部140と、表示部140を見ながら使用者が生ゴミ処理装置を操作するためのスタートキー141、テンキー142等の各種ファンクションキーとを備える。使用者は操作部14を操作して、生ゴミ処理装置を作動させるための各種パラメータ(後述する水中ポンプオン時間、微生物添加時間等)を生ゴミ処理装置に入力し、入力されたパラメータは、CPU10が各種処理を実行する際に用いるデータとしてRAM12に記憶される。なお、操作盤1にEEPROMを備えておき、操作部14を介して入力されたパラメータを、RAM12の代わりにEEROMに記憶させる構成でもよい。
【0060】
モータ213、処理剤ポンプ28、シャワーポンプ43、水中ポンプ61,62及びエアポンプ74夫々は、オン信号を入力された場合に図示しないスイッチがオン状態になって作動を開始し、オン信号の入力が継続されている間は継続して作動し、オン信号が入力されなくなった場合に前記スイッチがオフ状態になって作動停止し、オン信号が入力されるまで作動停止を継続する。また、各電磁給水弁41,42及び電磁給気弁72夫々は、オン信号を入力された場合に開いて給水管45、シャワー給水管44及び空気供給管73の中途を開放し、オン信号の入力が継続されている間は開放を継続し、オン信号が入力されなくなった場合に閉じて前記中途を閉鎖し、オン信号が入力されるまで閉鎖を継続する。
【0061】
本実施の形態においては、水中ポンプ61,62の間欠運転と間欠運転停止とが1サイクルとして繰り返し行なわれる。また、間欠運転の停止後(水中ポンプ61,62の作動停止後)に、所定時間(以下、エアポンプ待機時間という)待機してからエアポンプ74が作動する。更に、エアポンプ74の作動停止後に、所定時間(以下、水中ポンプ待機時間という)待機してから水中ポンプ61,62の間欠運転が再開(水中ポンプ61,62が作動)する。
【0062】
使用者は、生ゴミ処理装置の運転開始に先立って、操作盤1の表示部140に表示される操作指示に従い、テンキー142を用いて各種パラメータを設定する。例えば使用者は、生ゴミ処理の1サイクルの運転時間を20分間として設定する。また、使用者は、水中ポンプ61,62が作動する水中ポンプ作動時間を60秒間とし、水中ポンプ作動時間の経過後に水中ポンプ61,62が作動停止する水中ポンプ停止時間を10秒間とし、1サイクルの間に水中ポンプ61,62が間欠的に作動する作動回数K=5として設定する。更に、使用者は、水中ポンプ61,62の間欠運転停止後に、エアポンプ74が作動開始するまで待機するエアポンプ待機時間を20秒間とし、エアポンプ74の作動停止後に、水中ポンプ61,62が間欠運転開始するまで待機する水中ポンプ待機時間を20秒間として設定する。
【0063】
この場合、水中ポンプ61,62が間欠運転を行ないエアポンプ74が作動停止する水中ポンプオン時間(5分40秒間)と、水中ポンプ61,62が間欠運転を停止する水中ポンプ61,62のオフ時間(14分20秒間)と、水中ポンプ61,62が作動停止しエアポンプ74が作動するエアポンプ74のオン時間(エアポンプオン時間。13分40秒間)とは、1サイクルの運転時間、水中ポンプ作動時間、水中ポンプ停止時間、作動回数K、エアポンプ待機時間及び水中ポンプ待機時間に基づいて算出される。算出された各パラメタは、CPU10が各種処理を実行する際に用いるデータとしてRAM12に記憶される。
【0064】
更に、本実施の形態においては、水中ポンプ61,62の間欠運転中に、水中ポンプ61,62がN(Nは自然数)回作動する毎に、即ち間欠的に繰り返される水中ポンプ61,62の作動のN−1回置きに(N−1=0の場合は毎回)、第1電磁給水弁41が開いて貯水槽3から処理槽2へ水道水4を供給する。使用者は、テンキー142を用い、給水のタイミングを示す定数N=2として設定する。更にまた、使用者は、第1電磁給水弁41を開く給水弁開放時間を30秒間として設定する。また、使用者は、処理剤ポンプ28の作動を開始するタイミングを示す微生物添加時間を6時間として設定し、処理剤ポンプ28が作動する処理剤ポンプ作動時間を20秒間として設定する。
【0065】
各種パラメータの設定後、使用者は、操作部14が備える所定のファンクションキーを操作することによって、生ゴミ処理装置に処理水5を準備するよう命令する。操作部14の前記ファンクションキーが操作された場合、CPU10は、第1電磁給水弁41、第2電磁給水弁42、及びシャワーポンプ43夫々へオン信号を出力する。この場合、第1電磁給水弁41が開き、貯水槽3の水道水4は、出水管32、ストレーナ40、及び給水管45を通過して、給水口46を介し、処理槽2へ給水される。また、第2電磁給水弁42が開き、貯水槽3の水道水4は、給水管45及びシャワー給水管44を通過し、シャワーポンプ43によって加圧されて、シャワー開口47から排水濾過網231へ噴出し、排水濾過網231に付着している生ゴミを処理槽2内へ排除する。
【0066】
処理槽2には、予め基材50,50,…が収容してある。処理槽2へ水道水4が供給され、処理槽2の水位がオーバーフロー水位以上に達した場合、浮玉22aの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上に達し、このため水位検出部22は水位超過信号を操作盤1へ出力する。水位超過信号を入力されたCPU10は、第1電磁給水弁41へのオン信号の出力を停止する。この場合、第1電磁給水弁41が閉じ、処理槽2への水道水4の供給が停止する。
【0067】
また、前記蓋開放信号又は前記扉開放信号を入力されたCPU10は、各部へのオン信号の出力を実行せず、更に、出力中のオン信号の出力を停止する。この場合、各電磁給水弁41,42及び電磁給気弁72が閉じ、各ポンプ28,43,61,62,74及びモータ213が作動停止する。つまり、蓋241又は扉291が開放されている場合、生ゴミ処理装置は、処理槽2への水道水4の供給、処理剤250の注入、生ゴミの分解処理等を行なわない。
【0068】
なお、第2電磁給水弁42も適宜に開閉を切り換えるようにしてよい。ただし、第2電磁給水弁42を閉じる場合は、シャワーポンプ43を作動停止させる必要がある。
【0069】
使用者は、蓋241を開放して投入口24から処理槽2内へ生ゴミを投入し、蓋241を閉鎖してから、スタートキー141を操作することによって、生ゴミ処理装置に生ゴミ処理をスタートさせる。スタートキー141が操作された場合、CPU10は、モータ213へのオン信号の出力を開始し、例えば操作部14が備える所定のファンクションキーを使用者が操作することによって生ゴミ処理装置に生ゴミ処理を停止するよう命令するまでオン信号の出力を継続する。このとき、モータ213は継続して作動し、このため攪拌翼21が回転して、処理水5及び生ゴミを攪拌し続ける。
【0070】
図6は、CPU10が実行する運転処理の手順を示すフローチャートである。運転処理は、スタートキー141が操作された場合に実行される。まず、CPU10は、第1タイマ131を用いて、微生物添加時間(6時間)の計時を開始し(S11)、また、処理剤250を処理槽2へ供給する必要があることを示すフラグFに“1”をセットする(S12)。
【0071】
次に、CPU10は、生ゴミ処理の1サイクルの運転を行なう1サイクル運転処理のサブルーチンを呼び出し、実行する(S13)。S13の処理開始直前にフラグF=1である場合、1サイクル運転処理において処理槽2へ処理剤250が供給され、次いでフラグFが“0”にリセットされる。また、S13の処理開始直前にフラグF=0である場合、1サイクル運転処理において処理剤250は供給されず、フラグF=0のままである。
【0072】
S13の処理の完了後、CPU10は、第1タイマ131が計時した経過時間(以下、第1経過時間という)が微生物添加時間以上であるか否かを判定し(S14)、第1経過時間が微生物添加時間未満である場合(S14でNO)、処理をS13へ戻して、再び1サイクル運転処理のサブルーチンを呼び出し、実行する。第1経過時間が微生物添加時間以上である場合(S14でYES)、微生物添加時間が経過したため、CPU10は、第1タイマ131の計時を終了し(S15)、処理をS11へ戻す。この場合、再び微生物添加時間の計時が開始され、フラグF=1となり、1回目の1サイクル運転処理において処理槽2へ処理剤250が供給され、2回目以降の1サイクル運転処理においては処理剤250の供給は行なわれない。
【0073】
図7〜図9は、CPU10が実行する1サイクル運転処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、CPU10は、第2タイマ132を用いて、水中ポンプオン時間(5分40秒間)の計時を開始する(S31)。また、CPU10は、水中ポンプ61,62が作動した回数を示す変数Mに“0”を代入する(S32)。
【0074】
次に、CPU10は、第3タイマ133を用いて、水中ポンプ作動時間(60秒間)の計時を開始し(S33)、更に、水中ポンプ61,62へのオン信号を送出することによって水中ポンプ61,62の作動を開始させ(S34)、変数Mを“M+1”とする(S35)。
【0075】
CPU10は、フラグF=1であるか否かを判定し(S36)、フラグF=1である場合(S36でYES)、処理剤ポンプ28の運転を実行し(S37)、フラグFを“0”にリセットして(S38)、S39の処理へ移る。フラグF=0である場合(S36でNO)、S37及びS38の処理を実行せず、S39の処理へ移る。
【0076】
S37においては、具体的には、CPU10が処理剤ポンプ28へオン信号を出力することによって処理剤ポンプ28を作動させ、処理剤ポンプ作動時間(20秒間)が経過した場合に作動停止させる。この場合、処理剤タンク25内に収容された処理剤250が20cc汲み出されて処理槽2内へ注入され、また、S34にて水中ポンプ61,62が作動して処理水5が攪拌されているため、注入された処理剤250に含まれる微生物と処理水5とが速やかに混合される。
【0077】
このようにして、処理剤250が注入された処理槽2内の水道水4は、処理剤250に含まれた微生物が混入されて処理水5となる。また、処理水5には適宜の時間(6時間)間隔で新たな微生物が添加されるため、例えば処理水5のオーバーフローによって処理槽2内の微生物が減少した場合でも、処理剤250の注入によって新たな微生物が添加され、生ゴミ処理能力が維持される。
【0078】
CPU10は、水中ポンプ61,62が作動した回数を示す変数Mが、給水のタイミングを示す定数N以上であるか否かを判定し(S39)、M<Nである(具体的にはM=1<N=2である)場合(S39でNO)、S40及びS41の処理を実行せず、S51の処理へ移る。M≧Nである(具体的にはM=N=2である)場合(S39でYES)、CPU10は、第1電磁給水弁41を開くことによって処理槽2へ給水し(S40)、変数Mに“0”を代入して(S41)、S51の処理へ移る。
【0079】
S40においては、具体的には、CPU10が第1電磁給水弁41へオン信号を出力することによって第1電磁給水弁41を開き、給水弁開放時間(30秒間)が経過した場合に閉じる。この場合、第1電磁給水弁41が開状態になった給水管45を介し、貯水槽3に貯留された水道水4が処理槽2へ供給される。給水管45を介した水道水4の供給は、間欠的に繰り返し作動する水中ポンプ61,62が2回作動する毎に、即ち1回置きに実行されるため、処理槽2へ供給される水道水4は少量である。また、S34にて水中ポンプ61,62が作動して処理水5が攪拌されているため、供給された水道水4と処理水5とが速やかに混合される。
【0080】
以上のようにして、1サイクルにおける水中ポンプ61,62の2回目の作動開始及び4回目の作動開始夫々と同時的に水道水4が処理槽2へ供給される。水中ポンプ61,62の間欠運転中に供給される水道水4は、処理槽2内の処理水5の水位、及び処理水5中の微生物の濃度を一定に保つべく供給されており、処理水5の溶存酸素濃度の上昇を主な目的としていない。このため、供給される水道水4の量は少量でよい。また、水中ポンプ61,62の間欠運転停止中、即ちエアポンプ74の作動中は、水道水4の供給は行われない。
【0081】
CPU10は、第3タイマ133が計時した経過時間(以下、第3経過時間という)が水中ポンプ作動時間(60秒間)以上であるか否かを判定し(S51)、第3経過時間が水中ポンプ作動時間未満である場合(S51でNO)、CPU10は、水中ポンプ作動時間が経過するまで、水中ポンプ61,62へのオン信号の出力を継続する。第3経過時間が水中ポンプ作動時間以上である場合(S51でYES)、CPU10は、水中ポンプ61,62へのオン信号の出力を停止することによって、水中ポンプ61,62の作動を停止させる(S52)。
【0082】
CPU10は、第3タイマ133の計時を終了し(S53)、第2タイマ132が計時した経過時間(以下、第2経過時間という)が水中ポンプオン時間(5分40秒間)以上であるか否かを判定する(S54)。第2経過時間が水中ポンプオン時間未満である場合(S54でNO)、CPU10は、第3タイマ133を用いて、水中ポンプ停止時間(10秒間)の計時を開始し(S55)、第3タイマ133が計時した第3経過時間が水中ポンプ停止時間以上であるか否かを判定する(S56)。
【0083】
第3経過時間が水中ポンプ停止時間未満である場合(S56でNO)、CPU10は、水中ポンプ停止時間が経過するまで、水中ポンプ61,62へのオン信号の出力停止を継続する。第3経過時間が水中ポンプ停止時間以上である場合(S56でYES)、CPU10は、第3タイマ133の計時を終了し(S57)、処理をS33へ戻して再び水中ポンプ61,62を作動開始させる。
【0084】
以上のようにして、水中ポンプ61,62は水中ポンプ作動時間だけ作動し、次いで水中ポンプ停止時間だけ停止することを水中ポンプ61,62のオン時間(水中ポンプオン時間)が経過するまで繰り返す。このため、水中ポンプ61,62の間欠的な作動がK回(5回)、作動停止がK−1回(4回)、交互に実行される。
【0085】
第2経過時間が水中ポンプ61,62のオン時間以上である場合(S54でYES)、CPU10は、第2タイマ132の計時を終了してから再び第2タイマ132を用いてエアポンプ待機時間(20秒間)の計時を開始する(S58)。CPU10は、第2タイマ132が計時した第2経過時間がエアポンプ待機時間以上であるか否かを判定し(S71)、第2経過時間がエアポンプ待機時間未満である場合(S71でNO)、エアポンプ待機時間が経過するまでエアポンプ74を作動させない。
【0086】
オン信号を入力されて作動していた水中ポンプ61,62は、オン信号を入力されなくなって作動停止した後も、慣性によって処理水5を吸入するが、慣性による処理水5の吸入はエアポンプ待機時間が経過するまでに完全に停止する。
【0087】
第2経過時間がエアポンプ待機時間以上である場合(S71でYES)、CPU10は、第2タイマ132の計時を終了してから再び第2タイマ132を用いてエアポンプ74のオン時間(13分40秒間)の計時を開始し(S72)、エアポンプ74へオン信号を送出することによってエアポンプ74を作動開始させる(S73)。この場合、処理水5中に気泡8,8,…が発生するが、水中ポンプ61,62は発生した気泡8,8,…を吸入しない。
【0088】
CPU10は、第2タイマ132が計時した第2経過時間がエアポンプ74のオン時間以上であるか否かを判定する(S74)。第2経過時間がエアポンプ74のオン時間未満である場合(S74でNO)、CPU10はエアポンプ74へのオン信号の送出を継続することによってエアポンプ74を作動させ続ける。第2経過時間がエアポンプ74のオン時間以上である場合(S74でYES)、CPU10は、エアポンプ74へのオン信号の出力を停止することによって、エアポンプ74の作動を停止させる(S75)。
【0089】
また、CPU10は、第2タイマ132の計時を終了してから再び第2タイマ132を用いて水中ポンプ待機時間(20秒間)の計時を開始し(S76)、第2タイマ132が計時した第2経過時間が水中ポンプ待機時間以上であるか否かを判定する(S77)。第2経過時間が水中ポンプ待機時間未満である場合(S77でNO)、CPU10は、水中ポンプ待機時間が経過するまで水中ポンプ61,62を作動させない。
【0090】
オン信号を入力されて作動していたエアポンプ74がオン信号を入力されなくなって作動停止した後も、作動停止前にエアポンプ74が発生させた気泡8,8,…が処理水5中に残留しているが、気泡8,8,…は水中ポンプ待機時間が経過するまでに処理水5に溶解するか処理水5外へ移動するため、処理水5中に気泡8,8,…が存在しなくなる。
【0091】
第2経過時間が水中ポンプ待機時間以上である場合(S77でYES)、CPU10は、第2タイマ132の計時を終了し(S78)、1サイクル運転処理のサブルーチンを終了して処理を運転処理のルーチンへ戻す。
【0092】
この後、運転処理にて再び1サイクル運転処理が呼び出されて実行され、S33にて水中ポンプ61,62が作動するが、処理水5中に気泡8,8,…が存在していないため、水中ポンプ61,62は気泡8,8,…を吸入しない。
【0093】
処理水5は、図示しない加熱装置によって、及び/又は、微生物が生ゴミを分解処理する場合に発生する熱を利用して、微生物が最も活性化する約35℃の水温に維持される。この状態で、処理水5に含まれている微生物は、処理水5中の溶存酸素を消費しつつ、処理水5と共に攪拌翼21によって攪拌されている生ゴミを水と二酸化炭素とに分解する。生ゴミが分解処理されて生じた水と二酸化炭素とは、例えば、処理水5と共に排水濾過網231を通過してオーバーフロー開口230から排出される。
【0094】
以上のような生ゴミ処理装置は、処理槽2に生ゴミが投入され、処理槽2に収容される処理水5には微生物が混入され、微生物は、処理水5中の酸素を消費しつつ、処理槽2に投入された生ゴミを分解処理することができるため、可燃ゴミの量が減少して、昨今、社会問題となっているゴミの減少に貢献することができる。また、水中ポンプ61,62が処理水5を吸入し吐出することによって、更に、攪拌翼21が回転することによって、処理槽2内で、生ゴミ、微生物、及び酸素を含む処理水5が攪拌され、微生物による生ゴミの分解処理を促進することができる。
【0095】
また、生ゴミ処理装置は、気泡発生器7,7によって処理水5中に吹き込まれた外気に含まれる新たな酸素が処理水5に溶解することによって処理水5中の溶存酸素濃度が上昇するため、好気性の微生物が処理水5中の溶存酸素を消費した場合でも、溶存酸素濃度を上昇させるために新たな水道水4を処理槽2へ大量に供給する必要がない。この結果、生ゴミ処理装置は水道コストを減少させることができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【0096】
更に、気泡発生器7,7が作動している間、及び処理水5中に気泡8,8,…が残留している間は水中ポンプ61,62が作動停止しており処理水5を吸入せず、ひいては処理水5中の気泡8,8,…を吸入せず、気泡発生器7,7が作動停止しており処理水5中に気泡8,8,…が残留していない状況下で処理槽2の処理水5を吸入する。更にまた、水中ポンプ61,62が完全に停止して水中ポンプ61,62内への処理水5の移動が停止するまでの間は、気泡発生器7,7は作動を開始しない。以上のことから、気泡8,8,…を吸入した水中ポンプ61,62が空運転された状態となって故障することを防止することができる。
【0097】
また、水中ポンプ61,62と気泡発生器7,7とが同時的に作動しないため、水中ポンプ61,62及びエアポンプ74の電力の無駄な消費を防止することができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【0098】
更に、水中ポンプ61,62の作動に合わせて少量の水道水4を処理槽2へ供給することができるため、供給された水道水4と処理槽2の処理水5とを速やかに混合することができる。
【0099】
更にまた、微生物による生ゴミの分解処理中に処理剤250を供給し、供給した処理剤250に含まれる微生物と処理水5とを速やかに混合するため、微生物による生ゴミの分解処理能力を維持することができる。
【0100】
なお、生ゴミ処理装置は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、家庭用の生ゴミ処理装置でもよい。また、気泡発生器7の形状は環状に限定されず、また、パイプ70に開口7a,7a,…が形成してある構成に限定されない。例えば、気泡発生器7は、一直線状又は環状の母管から同一方向に突出する複数の枝管が並設されたエアヘッダを用いて構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的正面図である。
【図2】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的側面図である。
【図3】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ及び気泡発生器の構成を示す部分断面拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える操作盤の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号の出力のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明に係る生ゴミ処理装置の運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る生ゴミ処理装置の1サイクル運転処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る生ゴミ処理装置の1サイクル運転処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る生ゴミ処理装置の1サイクル運転処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
10 CPU
131,132 タイマ
2 処理槽(水槽)
28 処理剤ポンプ(微生物供給ポンプ)
41 第1電磁給水弁(給水弁)
45 給水管
5 処理水(微生物が混入された水)
61,62 水中ポンプ
7 気泡発生器(気泡発生部)
8 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物が混入された水を収容する水槽と、
該水槽に収容された水を吸入及び吐出して該水を攪拌する水中ポンプと、
前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部と
を備え、
前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、
前記水中ポンプ及び前記気泡発生部は選択的に作動するようにしてあることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの作動が停止し、所定時間が経過した後で作動するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項3】
前記水中ポンプは、前記気泡発生部の作動が停止し、所定時間が経過した後で作動するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項4】
前記水中ポンプは間欠的に繰り返し作動するようにしてあり、
前記水槽へ水を供給する給水管に配してあり、前記水中ポンプが所定回数作動した場合に開状態になる給水弁を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【請求項5】
前記水中ポンプが作動している間に前記水槽へ微生物を供給する微生物供給ポンプを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【請求項6】
前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate