説明

生ゴミ発酵処理装置

【課題】定期的にメンテナンスを行わなくても長期間にわたり安定したシャッタの全閉状態が確実に確保できるようにする。
【解決手段】複数配置された発酵処理槽H−1と発酵処理槽H−2を連絡通路7によって接続連通し、その連絡通路7にシャッタ駆動手段19によって前記連絡通路7を開又は閉とする上下動可能なシャッタ17を設ける。
シャッタ17は左右一対の断面内向きコ字溝21aに形成されたシャッタガイド部21によって上下動自在に支持され、最下降時となる全閉状態の時に左右のコ字溝21aより下方へ突出させると共に、突出した通路床面7aを下降傾斜したテーパ面として、シャッタ17により下方へ押し出された発酵物をテーパ面によって自然落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数配置された発酵処理槽と発酵処理槽をつなぐ連絡通路にシャッタを備えた生ゴミ発酵処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ発酵処理装置は、生ゴミの投入から取り出しまでを1つの発酵処理槽で行なう外に、各発酵処理工程用の複数の発酵処理槽を配置して独立した発酵処理を行なうようにし、最終工程に位置する発酵処理槽が堆肥化して取出す取出し用となっている。
【0003】
この場合、複数配置された発酵処理槽と発酵処理槽はシャッタを備えた連絡通路を介して接続連通し合う構造となっている。
【0004】
連絡通路は、上流側の発酵処理槽から下流側の発酵処理槽へ向けて発酵物を送り込むため移動用の通路となっており、槽内の発酵物は発酵処理槽内に設けられた攪拌翼の回転により連絡通路へ向けて順次送り出される作用を受け、シャッタの開により下流側となる次の発酵処理槽へ向けて移動する。
【0005】
この時、連絡通路が長いと停滞が起こることから許す範囲において短い距離に作られ、処理槽から処理槽へ向けてスムーズに流れるようになっている。
【0006】
したがって、短い距離に作られた連絡通路には設置スペース、作動スペースの関係から上下動方式のシャッタが設けられている。
【0007】
シャッタは、板状の形状に作られ上昇することで連絡通路を開,下降させることで連絡通路を閉とする手段となっている。
【0008】
連絡通路を閉とするシャッタは、上流側の槽と下流側の槽を確実に遮断し、発酵処理時の水分等が隣の槽へ移動するのを確実に阻止し、それぞれ独立した発酵処理槽による発酵処理が行なえるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シャッタは、槽と槽を確実に遮断するという重要な役目を有し、連絡通路に設けられたシャッタガイド溝によって上下にガイドされる。
【0010】
シャッタガイド溝は、最下降した全閉時のシャッタの両サイドを保持する垂直な両側辺の外に、シャッタの下端縁を受ける水平な下辺を有している。
【0011】
シャッタガイド溝の下辺となる水平領域の溝は、連絡通路を横切る形状となり、シャッタの最下降時、シャッタ下端縁が溝内へ臨むことで全閉状態が得られる。反面、シャッタの開により発酵物が上流側の槽から下流側の槽へ移動する時に、構造上移動方向と直交する溝内にどうしても発酵物が残るようになる。溝内に残った発酵物は時間の経過とともに堅く固まる。
【0012】
一旦発酵物が固まると、その固まりにさらに発酵物が付着して時間とともに固まり、それが繰り返されて成長する。成長した固まりはシャッタ下降時の障害物となりシャッタの全閉状態が得られなくなる問題をかかえる。
【0013】
このために、下辺となる溝内に発酵物が残り、固まることがないよう定期的にメンテナンスを行う必要がある等管理が面倒であった。
【0014】
そこで、本発明にあっては、定期的にメンテナンス等を行わなくても長期間にわたり安定したシャッタの全閉状態が確実に得られる生ゴミ発酵処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、複数配置された発酵処理槽と発酵処理槽をつなぐ周囲が取囲まれた連絡通路に、シャッタ駆動手段によって上昇又は下降し前記連絡通路の通路断面を開又は閉とするシャッタと、そのシャッタを上下方向に沿ってガイドするシャッタガイド部とを設け、前記シャッタガイド部は、前記シャッタの両サイドをガイドすると共に全閉状態となる最下降時にシャッタ下端縁を受ける受け面がなく、前記通路床面へ向けて突出する左右一対の断面内向きコ字溝に形成される一方、前記シャッタのシャッタ下端縁が臨む前記通路床面を下降傾斜するテーパ面としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シャッタを上昇させて開とすることで上流側の発酵処理槽で発酵処理した発酵物を連絡通路を介して次の処理工程となる下流側の発酵処理槽へ移動させることができる。
【0017】
発酵物の移動完了後、シャッタを下降させて閉にすると、シャッタ下端縁は受け面がないため通路床面へ向けて突出するため、溝内に発酵物が溜まることがなくなる。と同時に両サイドの内向きコ時溝内に入った発酵物もシャッタの下降で通路床面へ向けて落下させることができる。
【0018】
この作動はシャッタの開閉ごとに繰り返されるため、溝内に発酵物の溜まりは起こらず通路床面へ落下させることができる。
【0019】
しかも、床面に落下した発酵物はテーパ面によって停溜することなく自然流下するため、メンテナンスを行わなくてもシャッタによる確実な全閉状態を長期間にわたり安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するにあたって前記複数の発酵処理槽にあっては、連絡通路を挟んで上流側から下流側へ向かって順次階段状に低くなっていくようにすることで、自然流下によって槽から槽への移動がスムーズに行なえるようにすることが望ましい。
【実施例】
【0021】
以下、図1乃至図3の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0022】
図3は本発明にかかる全体の生ゴミ発酵処理装置を示している。
【0023】
生ゴミ発酵処理装置1は、第1、第2、第3、第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4と脱臭装置5とを有し、第1、第2、第3、第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4は連絡通路7を介して接続連通している。この場合、発酵処理槽は4連の配置構造となっているが発酵処理槽が二つ配置された2連の配置構造であってもよい。
【0024】
第1、第2、第3、第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4は内部に回転シャフト9によって槽内を回転する複数の攪拌翼11(第2、第3、第4の発酵処理槽H−2、H−3、H−4には図示していない)を有している。
【0025】
攪拌翼11は槽内を回転することで生ゴミを攪拌混合し発酵処理を促すと共に連絡通路7へ向けて発酵処理物を送り出す排出作用を備えている。
【0026】
第1の発酵処理槽H−1は開閉可能な投入口13から微生物と共に生ゴミが投入される第1発酵処理工程用となっている。
【0027】
以下に続く各発酵処理槽H−2、H−3、H−4は第2、第3、第4発酵処理工程用となっていて、第4発酵処理工程用の発酵処理槽H−4は、スクリュウコンベア式の取出し装置15により生ゴミを完全に発酵処理して粉末状の堆肥として取出す取出し用となっている。
【0028】
一方、第1〜第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4をつなぐ連絡通路7には図1と図2に示す如くその通路断面を開又は閉とするシャッタ17が設けられている。
【0029】
シャッタ17は板状に形成されシャッタ駆動手段19によって連絡通路7に設けられたシャッタガイド部21に沿って上下動可能となっている。
【0030】
シャッタガイド部21は、矩形に枠組みされた状態で前記連絡通路7内に組付けられ、両サイドとなる左右は内向き断面コ字溝21aとなっていてシャッタ17の両サイドを上下方向に沿ってガイドする。上下は上位側と下位側のガイド板21b,21cがそれぞれ平行に配置され、上位側と下位側のガイド板21bとガイド板21cの間をシャッタ17が通過する形状となっている。
【0031】
したがって、板状のシャッタ17は両サイドがシャッタガイド部21のコ字溝21aによってガイドされ最上昇位置で全開状態となる。また、最下降位置で全閉状態となり、シャッタ下端縁17aは図2に示す如く下位のガイド板21cから下方へ向け突出するようになっている。
【0032】
この場合、シャッタガイド部21の内側全周にわたって前記シャッタ17と弾接し合うシール部材を設けてもよい。
【0033】
シャッタ17のシャッタ下端縁17aが下方へ向け突出する連絡通路7の通路床面7aは、図1に示す如く下流側となる次の発酵処理槽へ向かって下降傾斜するテーパ面となっている。
【0034】
これにより、図3に示す如く第1〜第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4は、上流側から下流側の処理槽へ向かって順次階段状に低くなる構造となっていて、自然流下による処理槽から処理槽への発酵物の移動が円滑に行われるようになっている。
【0035】
シャッタ駆動手段19は、前記連絡通路7から立上がる支持フレーム25に上下の軸受27により回転自在に支持されたねじ式の昇降シャフト29とシャッタ17の上端部から延長された両サイドのガイドロッド31とで構成されている。
【0036】
昇降シャフト29は上端部に設けられた駆動プーリ33と前記支持フレーム25に支持された駆動モータ35のモータプーリ37とに掛け回されたベルト39によって回転動力が与えられる。
【0037】
昇降シャフト29には前記シャッタ17の上端部に設けられたナット部41が螺合し合う一方、ガイドロッド31の上端部が支持フレーム25の支持孔に貫通した状態で支持されている。
【0038】
したがって、前記昇降シャフト29の右回転又は左回転により、その昇降シャフト29と螺合し合うナット部41が昇降シャフト29に沿って上昇又は下降することで前記シャッタ17の開閉動作が得られるようになっている。
【0039】
脱臭装置5は水の入った第1脱臭槽43と脱臭剤の入った第2脱臭槽45からなり、前記第1、第2、第3、第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4とダクト47を介して連通している。第1から第4の発酵処理槽H−1、H−2、H−3、H−4で発生した臭気は水の中を通過した後、脱臭層を通過することで臭気中のアンモニア、硫化水素等は水に吸収されると共に臭いは脱臭剤により吸着される二段脱臭処理方式となっていて、臭気処理された空気は排出管49から大気中に放出されるようになっている。
【0040】
このように構成された生ゴミ発酵処理装置1によれば、シャッタ17を上昇させて開とすることで、例えば上流側となる第1の発酵処理槽H−1で発酵処理した発酵物を連絡通路7を介して次の処理工程となる下流側となる第2の発酵処理槽H−2へ移動させることができる。
【0041】
発酵物の移動完了後、シャッタ17を下降させると、シャッタ17の下端縁17aは受け面がないため通路床面7aへ向けて突出し全閉状態となる。この時、発酵物を下方へ押し出すために溝内へ発酵物が溜まることがなくなる。と同時に両サイドの内向きコ字溝21a内に入った発酵物もシャッタ17の下降で通路床面7aへ向けて押し出し落下させることができる。
【0042】
この作動はシャッタ17の開閉ごとに繰り返されるため、溝内に発酵物の溜まりは起こらず通路床面7aへ確実に落下させることができる。
【0043】
しかも、床面に落下した発酵物はテーパ面によって停溜することなく自然流下するため、メンテナンスを行わなくてもシャッタ17による確実な全閉状態を長期間にわたり安定して行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明にかかる第1の発酵処理槽と第2の発酵処理槽をつなぐ連絡通路を示した概要切断断面図。
【図2】図1のA−A線概要切断説明図。
【図3】本発明にかかる生ゴミ発酵処理装置全体の概要説明図。
【符号の説明】
【0045】
7 連絡通路
7a 通路床面
17 シャッタ
17a シャッタ下端縁
19 シャッタ駆動手段
21 シャッタガイド部
21a 断面内向きコ字溝
H−1、H−2、H−3、H−4 第1、第2、第3、第4の発酵処理槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配置された発酵処理槽と発酵処理槽をつなぐ周囲が取囲まれた連絡通路に、シャッタ駆動手段によって上昇又は下降し前記連絡通路の通路断面を開又は閉とするシャッタをと、そのシャッタを上下方向に沿ってガイドするシャッタガイド部とを設け、
前記シャッタガイド部は、前記シャッタの両サイドをガイドすると共に全閉状態となる最下降時にシャッタ下端縁を受ける受け面がなく、前記通路床面へ向けて突出する左右一対の断面内向きコ字溝に形成される一方、前記シャッタのシャッタ下端縁が臨む前記通路床面を下降傾斜するテーパ面としたことを特徴とする生ゴミ発酵処理装置。
【請求項2】
前記複数の発酵処理槽は連絡通路を挟んで上流側から下流側へ向かって順次階段状に低くなっていくことを特徴とする請求項1記載の生ゴミ発酵処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−66484(P2009−66484A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235565(P2007−235565)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(502318238)株式会社エコアップ (6)
【Fターム(参考)】