説明

生体データ測定器

【課題】手でグリップ電極を握るタイプの体組成計等において、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するように制御することが可能な生体データ測定器を提供する。
【解決手段】生体データ測定器1は、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断部21と、判断部21によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、グリップ電極部10、又はグリップ電極部10及び載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータを所望のメモリ30等に設けられたデータ記録テーブルTABLE40に記録する制御部23とを備えている。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。判断部21は、グリップ電極部10に設けられたグリップ電極部10の傾きを検出する角度センサ22を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者が把持可能な手側測定部と、当該手側測定部に接続された載置部とを有する生体データ測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の体組成計が開発されており、その中にはユーザが手でグリップ電極を握るタイプの体組成計等がある。このタイプの体組成計等は、ユーザが手でグリップ電極を握ると手から電流を流し、インピーダンス等のデータを測定することにより体組成に関する値、例えば体脂肪率を求めている。ユーザが測定毎に手を電極に当てる位置を変化させる等、グリップ電極を適切に把持しない場合、測定されるデータの値も変化してしまうため、ユーザがグリップ電極を適切に把持するよう種々の注意が促されている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】“正確な測定のために”、[online]、オムロン株式会社、[平成19年6月20日検索]、インターネット、<URL: http://www.healthcare.omron.co.jp/product/pdf_manual/hbf354_m.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、手でグリップ電極を握るタイプの体組成計等ではユーザがグリップ電極を適切に把持するよう種々の注意が促されている。しかし、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するようにさせることは困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、手でグリップ電極を握るタイプの体組成計等において、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するように制御可能な生体データ測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の生体データ測定器は、被測定者が把持可能な手側測定部と、該手側測定部に接続された載置部とを有する生体データ測定器であって、前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に記録する制御手段とを備え、前記制御手段により前記所定の記録部に記録されたデータに基づき生体データを測定することを特徴とする。
【0007】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記判断手段は、前記手側測定部に設けられた該手側測定部の傾きを検出する傾き検出部を有し、該傾き検出部により検出された傾きが所定の角度内にあるか否かにより該手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。
【0008】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記判断手段は、前記手側測定部に設けられた所定の無線を送信する送信部及び前記載置部に設けられた該無線の受信部、又は前記載置部に設けられた所定の無線を送信する送信部及び前記手側測定部に設けられた該無線の受信部を有し、該送信部により送信された無線を該受信部が受信したか否かにより該手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。
【0009】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合、所定のデータを出力すると共に所定のフラグをセットするデータ出力手段をさらに備えることができる。
【0010】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記制御部は、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つ前記所定のフラグがセットされていた場合、該所定のフラグをリセットし、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に最初から記録することができる。
【0011】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記制御部は、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つ前記所定のフラグがセットされていた場合、該所定のフラグをリセットし、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に従前の生体データに続けて記録することができる。
【0012】
ここで、この発明の生体データ測定器において、前記手側測定部はグリップ電極部であり、前記生体データは体組成に関するデータであるものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生体データ測定器は、グリップ電極部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断部と、判断部によりグリップ電極部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、グリップ電極部、またはグリップ電極部および載置測定部にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをディスク等に設けられたデータ記録テーブルTABLEに記録する制御部とを備えている。生体データ測定器は、制御部によりデータ記録テーブルTABLEに記録されたデータに基づき生体データを測定する。判断部は、グリップ電極部に設けられたグリップ電極部の傾きを検出する角度センサを有している。判断部は左手用グリップ部内の角度センサにより検出されたグリップ電極部の水平方向に対する傾きが所定の角度内にあるか否かによりグリップ電極部の傾きが所定の範囲内(好適にはほぼ水平)にあるか否かを判断することができる。この結果、制御部はグリップ電極部、またはグリップ電極部および載置測定部にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLEに記録する。生体データ測定器は、制御部によりデータ記録テーブルTABLEに記録されたデータに基づき生体データを測定する。一方、左手用グリップ部内の角度センサにより検出されたグリップ電極部の水平方向に対する傾きが所定の角度内ではない場合、判断部は左手用グリップ部内の角度センサにより検出されたグリップ電極部の水平方向に対する傾きが所定の範囲内にあるとは判断しないことになる。この結果、制御部はグリップ電極部、またはグリップ電極部および載置測定部にインピーダンス等のデータを測定させず、データ記録テーブルTABLEへのデータの記録も行わない。この結果、生体データ測定器は生体データを測定可能な状態ではなくなる。以上より、判断部は左手用グリップ部内の角度センサにより検出されたグリップ電極部の傾きがほぼ水平である場合にのみグリップ電極部の傾きが所定の範囲内にあると判断し、この結果、制御部はグリップ電極部、またはグリップ電極部および載置測定部にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLEに記録する。生体データ測定器は、制御部によりデータ記録テーブルTABLEに記録されたデータに基づき生体データを測定する。このため、本発明の生体データ測定器によれば、手でグリップ電極部を握るタイプの体組成計等において、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するように制御することが可能となるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1における生体データ測定器1の斜視図を示す。図1において、符号10はグリップ電極部(手側測定部)であり、左手用グリップ部11Lおよび右手用グリップ部11Rを有している。左手用グリップ部11Lは左手用通電電極12LIと左手用測定電極12LVとを有しており、右手用グリップ部11Rは右手用通電電極12RIと右手用測定電極12RVとを有している。符号13はグリップ電極部10に設けられた表示部、15は生体データ測定器1の載置部、14はグリップ電極部10と本体15とを接続するコードである。生体データ測定器1ではグリップ電極部10のみでインピーダンス等のデータを測定することもできるが、グリップ電極部10および載置部15でインピーダンス等のデータを測定することが好適である。このため、以下では載置部15をデータを測定する場合を含めて載置測定部15と呼ぶ。載置測定部15は左足用通電電極15LIおよび左足用測定電極15LVと、右足用通電電極15RIおよび右足用測定電極15RVとを有している。図1において符号20は生体データ測定器1の機能を示す機能ブロックであり、生体データ測定器1は、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断部(判断手段)21と、判断部21によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、グリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータを所望のメモリ30等に設けられたデータ記録テーブルTABLE(所定の記録部)40に記録する制御部(制御手段)23とを備えている。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。生体データとしては体組成に関するデータ(値)、例えば体脂肪率が好適である。機能ブロック20に示される機能は、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実現することができる。ソフトウェアにより実現する場合、グリップ電極部10内または載置測定部15内にあるCPU等の処理部(不図示)が機能を実行することになる。データ記録テーブルTABLE40はグリップ電極部10内または載置測定部15内に設けることができる。載置測定部15とグリップ電極部10との間の通信はコード14を介して行われる。載置測定部15内に処理部がある場合、グリップ電極部10で測定されたデータはコード14を介して載置測定部15へ送信される。逆に、グリップ電極部10内に処理部がある場合、載置測定部15で測定されたデータはコード14を介してグリップ電極部10へ送信される。
【0016】
判断部21は、図1に示されるようにグリップ電極部10に設けられたグリップ電極部10の傾きを検出する角度センサ(傾き検出部)22を有している。角度センサ22は左手用グリップ部11Lと右手用グリップ部11Rとに各々内蔵されているため、図1では左手用グリップ部11L(22)、右手用グリップ部11R(22)と示している。
【0017】
図2(A)、(B)は判断部21が角度センサ22を用いてグリップ電極部10の傾きを判断する場合を説明するために左手用グリップ部11Lの一部を示す。図2(A)、(B)で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが所定の角度内にあるか否かによりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。グリップ電極部10の傾きは測定上ほぼ水平であることが好適である。図2(A)は、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合を示している。この場合、判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の傾きがほぼ水平であるため、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断する。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。より詳しくは、データ記録テーブルTABLE40に生体データ測定器1が生体データを測定可能となるだけの所定の量のデータが記録された場合に、生体データ測定器1はデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。この点に関しては実施例3で詳述する。一方、図2(B)はグリップ電極部10の水平方向への傾き(θ)が水平から大きく外れ、所定の範囲内(角度α内)ではなくなった場合を示している。この場合、判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが所定の範囲内(角度α内)にあるとは判断しないことになる。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させず、データ記録テーブルTABLE40へのデータの記録も行わない。この結果、生体データ測定器1は生体データを測定可能な状態ではなくなるが、この点に関しても実施例3で併せて詳述する。
【0018】
以上、左手用グリップ部11L内の角度センサ22を用いた場合について説明したが、右手用グリップ部11R内の角度センサ22を用いた場合についても同様であるため、右手用グリップ部11Rの角度センサ22を用いた場合についての説明は省略する。角度センサ22はグリップ電極部10の水平方向に対する角度を検出するため、左手用グリップ部11Lまたは右手用グリップ部11Rのいずれか一方にだけ設置してもよく、グリップ電極部10の中央にある表示部13側にだけ設置してもよい。上述の説明ではグリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合に所定の範囲内にあるものとしたが、これとは逆に、グリップ電極部10の傾きが水平ではない場合(例えば、図2(B)の場合)に所定の範囲内にあるものとし、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平の場合(例えば、図2(A)の場合)に所定の範囲内にはないものとしてもよい。即ち、グリップ電極部10の傾きが水平ではない場合にインピーダンス等のデータを測定させ、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平の場合にインピーダンス等のデータを測定しないようにしてもよい。
【0019】
以上より、本発明の実施例1によれば、生体データ測定器1は、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断部21と、判断部21によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、グリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する制御部23とを備えている。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。生体データ測定器1ではグリップ電極部10のみでインピーダンス等のデータを測定することもできるが、グリップ電極部10および載置測定部15でインピーダンス等のデータを測定することが好適である。判断部21は、図1に示されるようにグリップ電極部10に設けられたグリップ電極部10の傾きを検出する角度センサ22を有している。判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが所定の角度内にあるか否かによりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内(好適にはほぼ水平)にあるか否かを判断することができる。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。一方、左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが所定の角度(α)内ではない場合、判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが所定の範囲内(角度α内)にあるとは判断しないことになる。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させず、データ記録テーブルTABLE40へのデータの記録も行わない。この結果、生体データ測定器1は生体データを測定可能な状態ではなくなる。以上より、判断部23は左手用グリップ部11L内の角度センサ22により検出されたグリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合(水平方向への傾きが所定の範囲内(角度α内)にある場合)にのみグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断し、この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する。生体データ測定器1は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。このため、手でグリップ電極部10を握るタイプの体組成計1等において、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するように制御することが可能となる。
【実施例2】
【0020】
図3は、本発明の実施例2における生体データ測定器2の斜視図を示す。図3で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図3に示される生体データ測定器2が実施例1の生体データ測定器1と異なる点は以下の通りである。判断部21’は、グリップ電極部10に設けられた赤外線(所定の無線)を送信する赤外線送信部(送信部)24と載置測定部15に設けられた赤外線受信部(受信部)25とを有するか、または、載置測定部15に設けられた赤外線を送信する赤外線送信部24とグリップ電極部10に設けられた赤外線受信部25とを有している。すなわち、赤外線送信部24はグリップ電極部10にあっても載置測定部15にあってもよく、赤外線受信部25は載置測定部15にあってもグリップ電極部10にあってもよい。この点を図3ではグリップ電極部10と載置測定部15とに各々符号24、25と記すことにより示す。
【0021】
図4(A)、(B)は判断部21’が赤外線送信部24と赤外線受信部25とを用いてグリップ電極部10の傾きを判断する場合を説明するための図である。図4(A)、(B)で図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図面の都合上、グリップ電極部10と載置測定部15とを接続するコード14は省略する。判断部21’はグリップ電極部10に設けられた赤外線送信部24により送信された赤外線を載置測定部15に設けられた赤外線受信部25が受信したか否かにより、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。グリップ電極部10の傾きは、実施例1と同様に測定上ほぼ水平であることが好適である。図4(A)は、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合を示している。図4(A)に示されるように、赤外線送信部24により送信された赤外線はある一定の幅Sで広がるが、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合は、赤外線受信部25により受信することができる。判断部21’は赤外線送信部24により送信された赤外線を赤外線受信部25が受信したため、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断する。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する。生体データ測定器2は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。より詳しくは、データ記録テーブルTABLE40に生体データ測定器1が生体データを測定可能となるだけの所定の量のデータが記録された場合に、生体データ測定器1はデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。この点に関しては実施例3で詳述する。一方、図4(B)はグリップ電極部10の水平方向に対する傾きが水平から大きく外れてしまった場合を示している。図4(B)に示されるように、赤外線送信部24により送信された赤外線はある一定の幅Sで広がるものの、赤外線受信部25により受信することができない。判断部21’は赤外線送信部24により送信された赤外線を赤外線受信部25が受信できないため、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断しないことになる。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させず、データ記録テーブルTABLE40へのデータの記録も行わない。この結果、生体データ測定器2は生体データを測定可能な状態ではなくなるが、この点に関しても実施例3で併せて詳述する。以上、赤外線送信部24がグリップ電極部10に設けられ、赤外線受信部25が載置測定部15に設けられた場合について説明した。赤外線送信部24が載置測定部15に設けられ、赤外線受信部25がグリップ電極部10に設けられた場合についても同様であるため、説明は省略する。
【0022】
赤外線送信部24はグリップ電極部10の中央にある表示部13の反対面側(下面側)に設置することが好適であるが、グリップ電極部10の水平方向に対する傾きを検出可能なように赤外線を送信できる位置であれば、グリップ電極部10の他の位置に設置してもよい。上述の説明ではグリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合に所定の範囲内にあるものとしたが、これとは逆に、グリップ電極部10の傾きが水平ではない場合(例えば、図4(B)の場合)に所定の範囲内にあるものとし、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平の場合(例えば、図4(A)の場合)に所定の範囲内にはないものとしてもよい。即ち、グリップ電極部10の傾きが水平ではない場合にインピーダンス等のデータを測定させ、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平の場合にインピーダンス等のデータを測定しないようにしてもよい。赤外線送信部24が赤外線の送信を開始するのは、ユーザが生体データ測定器2の電源をオンにした時点以降が好適であり、この場合、赤外線受信部25は同時点以降に赤外線の受信を待つことになる。あるいはグリップ電極部10に赤外線送信スイッチ(不図示)を設けておき、ユーザがこの赤外線送信スイッチをオンにした時点から赤外線送信部24が赤外線の送信を開始し、赤外線受信部25はコード14を介して送られた赤外線送信スイッチのオン情報に基づき赤外線の受信を待つようにしてもよい。以上、赤外線を用いて説明したが、本発明の実施例2で用いる無線は赤外線に限定されるものではなく、他の無線、例えば、免許を必要としない特定小電力無線とすることもできる。実施例1と同様に、機能ブロック20に示される機能は、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実現することができる。ソフトウェアにより実現する場合、グリップ電極部10内または載置測定部15内にあるCPU等の処理部(不図示)が機能を実行することになる。実施例1と同様に、データ記録テーブルTABLE40はグリップ電極部10内または載置測定部15内に設けることができる。上述したグリップ電極部10の傾きを検出するための通信以外の通信、例えば測定されたインピーダンス等のデータの通信は、コード14を介して行われる。従って、載置測定部15内に処理部がある場合、グリップ電極部10で測定されたデータはコード14を介して載置測定部15へ送信される。逆に、グリップ電極部10内に処理部がある場合、載置測定部15で測定されたデータはコード14を介してグリップ電極部10へ送信される。一方、これとは別に、上述したグリップ電極部10の傾きを検出するための通信と、測定されたインピーダンス等のデータの通信との両方を、赤外線送信部24および赤外線受信部25を利用した無線の形態で行うことも可能である。即ち、グリップ電極部10と載置測定部15との間の通信をすべて無線の形態で行うこともできる。
【0023】
以上より、本発明の実施例2によれば、判断部21’は、グリップ電極部10に設けられた赤外線を送信する赤外線送信部24と載置測定部15に設けられた赤外線受信部25とを有するか、または、載置測定部15に設けられた赤外線を送信する赤外線送信部24とグリップ電極部10に設けられた赤外線受信部25とを有している。この場合、判断部21’は赤外線送信部24により送信された赤外線を赤外線受信部25が受信したか否かにより、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。赤外線送信部24により送信された赤外線はある一定の幅Sで広がるが、グリップ電極部10の水平方向に対する傾きがほぼ水平である場合は、赤外線受信部25により受信することができる。判断部21’は赤外線送信部24により送信された赤外線を赤外線受信部25が受信した場合、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断する。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、この測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40に記録する。生体データ測定器2は、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE40に記録されたデータに基づき生体データを測定する。一方、グリップ電極部10の水平方向に対する傾きが水平から大きく外れてしまった場合、赤外線送信部24により送信された赤外線はある一定の幅Sで広がるものの、赤外線受信部25により受信することができない。判断部21’は赤外線送信部24により送信された赤外線を赤外線受信部25が受信できないため、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断しないことになる。この結果、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させず、データ記録テーブルTABLE40へのデータの記録も行わない。この結果、生体データ測定器2は生体データを測定可能な状態ではなくなる。以上より、判断部21’が、グリップ電極部10の傾きがほぼ水平である場合にのみグリップ電極部10にインピーダンス等のデータを測定させるため、実施例1と同様に、手でグリップ電極部10を握るタイプの体組成計2において、様々なユーザに対して測定の度にグリップ電極を適切に把持するように制御することが可能となる。
【実施例3】
【0024】
実施例3では、上述した実施例1、2の生体データ測定器1、2において、データ記録テーブルTABLE40に生体データ測定器1が生体データを測定可能となるだけの所定の量のデータが記録されたかどうかに関する点を含め、判断部21、21’によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合について説明する。
【0025】
図5は、判断部21、21’(以下、「判断部21等」と言う。)および制御部23が行う処理をフローチャートで示す。図5に示されるように、まず生体データ測定器1および2(以下、生体データ測定器1等と言う。)は所定のフラグFLGを0にし(リセットし)、データ記録テーブルTABLE40のインデックスINDを0にする(ステップS10)。次に、判断部21等はグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS12)。制御部23は、ステップS12で判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、フラグFLGの値を判断する(ステップS14)。制御部23は、ステップS14でフラグFLGが0(リセット)の場合、グリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ(ステップS20)、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録する(ステップS22)。生体データ測定器1等はデータの測定が終了したか否かを判断し(ステップS24)、終了していない場合はインデックスINDを1だけ増加させ(ステップS26)、ステップS12へ戻って処理を繰り返す。以上のように、測定開始時は勿論、測定中もグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する。
【0026】
図6は、データ記録テーブルTABLE40(IND)を示す。データ記録テーブルTABLE40のインデックスINDは0から所望の値Nまであり、上述のように、グリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15に測定させたインピーダンス等のデータが順に記録されていく。
【0027】
図5に戻って説明する。ステップS12で判断部21等がグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断し続けた場合、制御部23は、グリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ続け、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録していく。ステップS24で、インデックスINDが上述の所望の値Nに等しい場合、生体データ測定器1等はデータの測定が終了したと判断し、制御部23によりデータ記録テーブルTABLE(0)からデータ記録テーブルTABLE(N)に記録されたデータに基づき生体データを測定して、処理は終了する。即ち、データ記録テーブルTABLE(0)からデータ記録テーブルTABLE(N)に記録されたデータは、生体データ測定器1等が生体データを測定可能となるだけの所定の量であり、Nはその際のデータ記録テーブルTABLEのインデックスの値となる。
【0028】
ステップS12で判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合、所定のデータを出力する(ステップS30)と共にフラグFLGを1にする(セットする)(ステップS32)データ出力部(不図示)をさらに備えることができる。所定のデータとしては、例えば「角度が水平ではありません。」という旨の音声データとし、データ出力部としてはスピーカ(不図示)を用いればよい。音声データとして警告音を用いることもできる。所定のデータとして光の点滅を用い、データ出力部として発光装置(不図示)を用いてもよい。あるいは、所定のデータとして、例えば「角度が水平ではありません。」という旨の表示データとし、データ出力部としては表示部13を用いればよい。所定のデータとしてグリップ電極部10を振動させる信号を用い、データ出力部として振動装置(不図示)を用いてもよい。所定のデータとしてはユーザに注意を促すものであれば他のデータであってもよく、所定のデータは任意に組合せることもできる。ステップS32でフラグFLGをセットした後、ステップS12へ戻って処理を繰り返す。従って、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されない限り、データ出力部により所定のデータが出力され続けるため、データの測定は行われない。
【0029】
制御部23は、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合(ステップS12)であって且つフラグFLGがセットされていた場合(ステップS14)、フラグFLGをリセットし(ステップS16)、インデックスINDを0にする(ステップS18)。この後、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ(ステップS20)、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録する(ステップS22)。この場合、インデックスINDはステップS18で0にされているため、測定させたデータはデータ記録テーブルTABLE40(0)に記録されることになる。つまり、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなくなってから再び所定の範囲内にあると判断された場合、従前に測定させたデータは破棄され、最初から新たに測定をやり直すことになる。
【0030】
あるいは、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなくなってから再び所定の範囲内にあると判断された場合、従前に測定させたデータを破棄せず、続けて新たに測定を行うこともできる。このためには、図5に示されるフローチャートにおいてインデックスINDを0にするステップS18を削除し、ステップS16の後に、インピーダンス等のデータを測定させるステップS20へ進むようにするだけでよい。インデックスINDの値は最後にステップS26で増加させた時の値を保ち続けているため、新たに測定させたデータはデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録されることになる。以上をまとめると、制御部23は、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合(ステップS12)であって且つフラグFLGがセットされていた場合(ステップS14)、フラグFLGをリセットする(ステップS16)。この後、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ(ステップS20)、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録する(ステップS22)。
【0031】
以上より、本発明の実施例3によれば、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合、所定のデータを出力すると共にフラグFLGを1にするデータ出力部をさらに備えることができる。グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されない限り、データ出力部により所定のデータが出力され続け、データの測定は行われない。制御部23は、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つフラグFLGがセットされていた場合、フラグFLGをリセットし、インデックスINDを0にする。この後、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録する。つまり、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなくなってから再び所定の範囲内にあると判断された場合、従前に測定させたデータは破棄され、最初から新たに測定をやり直すことになる。あるいは、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなくなってから再び所定の範囲内にあると判断された場合、従前に測定させたデータを破棄せず、続けて新たに測定を行うこともできる。制御部23は、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つフラグFLGがセットされていた場合、フラグFLGをリセットする。この後、制御部23はグリップ電極部10、またはグリップ電極部10および載置測定部15にインピーダンス等のデータを測定させ、測定させたデータをデータ記録テーブルTABLE40(IND)に記録する。以上より、実施例1、2において、判断部21等によりグリップ電極部10の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合、グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内に戻るまでデータ出力部により所定のデータが出力されるため、データの測定を中断することができる。グリップ電極部10の傾きが所定の範囲内に戻った場合、従前に測定させたデータを破棄して最初から新たに測定をやり直すことができ、あるいは従前に測定させたデータを破棄せず、続けて新たに測定を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の活用例として、体組成計等への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1における生体データ測定器1の斜視図である。
【図2】判断部21が角度センサ22を用いてグリップ電極部10の傾きを判断する場合を説明するために左手用グリップ部11Lの一部を示す図である。
【図3】本発明の実施例2における生体データ測定器2の斜視図である。
【図4】判断部21’が赤外線送信部24と赤外線受信部25とを用いてグリップ電極部10の傾きを判断する場合を説明するための図である。
【図5】判断部21、21’および制御部23が行う処理を示すフローチャートである。
【図6】データ記録テーブルTABLE40(IND)を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1、2 生体データ測定器、 10 グリップ電極部、 11L 左手用グリップ部、11R 右手用グリップ部、 12LI 左手用通電電極、 12LV 左手用測定電極、 12RI 右手用通電電極、 12RV 右手用測定電極、 13 表示部、 14 コード、 15 載置測定部、 15LI 左足用通電電極、 15LV 左足用測定電極、 15RI 右足用通電電極、 15RV 右足用測定電極、 20 機能ブロック、 21、21’判断部、 22 角度センサ、 23 制御部、 24 赤外線送信部、 25 赤外線受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者が把持可能な手側測定部と、該手側測定部に接続された載置部とを有する生体データ測定器であって、
前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に記録する制御手段とを備え、
前記制御手段により前記所定の記録部に記録されたデータに基づき生体データを測定することを特徴とする生体データ測定器。
【請求項2】
請求項1記載の生体データ測定器において、
前記判断手段は、前記手側測定部に設けられた該手側測定部の傾きを検出する傾き検出部を有し、該傾き検出部により検出された傾きが所定の角度内にあるか否かにより該手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することを特徴とする生体データ測定器。
【請求項3】
請求項1記載の生体データ測定器において、
前記判断手段は、前記手側測定部に設けられた所定の無線を送信する送信部及び前記載置部に設けられた該無線の受信部、又は前記載置部に設けられた所定の無線を送信する送信部及び前記手側測定部に設けられた該無線の受信部を有し、該送信部により送信された無線を該受信部が受信したか否かにより該手側測定部の傾きが所定の範囲内にあるか否かを判断することを特徴とする生体データ測定器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の生体データ測定器において、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断されなかった場合、所定のデータを出力すると共に所定のフラグをセットするデータ出力手段をさらに備えたことを特徴とする生体データ測定器。
【請求項5】
請求項4記載の生体データ測定器において、前記制御部は、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つ前記所定のフラグがセットされていた場合、該所定のフラグをリセットし、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に最初から記録することを特徴とする生体データ測定器。
【請求項6】
請求項4記載の生体データ測定器において、前記制御部は、前記判断手段により前記手側測定部の傾きが所定の範囲内にあると判断された場合であって且つ前記所定のフラグがセットされていた場合、該所定のフラグをリセットし、前記手側測定部、又は前記手側測定部及び前記載置部にデータを測定させ、該データを所定の記録部に従前のデータに続けて記録することを特徴とする生体データ測定器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の生体データ測定器において、前記手側測定部はグリップ電極部であり、前記生体データは体組成に関するデータであることを特徴とする生体データ測定器。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−50412(P2009−50412A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219131(P2007−219131)
【出願日】平成19年8月25日(2007.8.25)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】