説明

生体刺激装置

【課題】生体刺激装置内の配線数を減らすとともに、生体の複数の位置を同時にまたは順次に刺激することや同時に複数の電極から異なる強度の刺激をできるようにする。
【解決手段】生体内の筋肉または神経の近くに配置される複数の刺激電極13と、該複数の刺激電極13のそれぞれに接続する複数の刺激制御手段40と、該複数の刺激制御手段40と接続する1つの全体制御手段32とを備える。複数の刺激制御手段40はそれぞれ、筋肉または神経に対する電気刺激を発生する刺激手段44と、刺激電極13を刺激手段44に接続あるいは基準電位に接続あるいは無接続とする接続手段45を備えている。そして、全体制御手段32は、複数の刺激制御手段40に対して制御情報を発することにより、少なくとも2つの刺激手段44と接続手段45を制御して、筋肉または神経に対する電気刺激を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内の神経または筋肉を電気的に刺激する生体刺激装置に関し、特に、生体内に完全に植え込まれて使用される生体刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、痛み治療において、従来の薬物療法、神経ブロック療法あるいは外科的療法に効果を示さない場合や、副作用などによりその治療が継続できない場合に、神経を電気刺激することにより痛みを緩和する電気刺激療法が効果を挙げている。電気刺激療法の1つである脊髄電気刺激療法は、脊髄を介して脳へ伝播する痛みを緩和するために、脊髄を電気刺激する刺激療法である。
【0003】
脊髄電気刺激療法では、通常、電気刺激による疼痛緩和の有効性を確かめるために、24時間から数週間のトライアル期間が設けられる。トライアル期間では、一般的に、背中側から穿刺して脊髄を覆う脊髄硬膜の外側にある硬膜外腔に刺激電極を留置した後、この刺激電極が含まれる電極リードを体外の刺激装置と接続して様々な刺激パターンの下で疼痛緩和の程度が調べられる。この期間においては生体刺激装置の植え込みは行われていない。このトライアル期間において所定の効果が認められた場合にのみ、生体刺激装置の植え込みが実施される。
【0004】
生体刺激装置の植え込みを行う場合には、トライアル期間に留置された電極リードが抜去された後、再び硬膜外腔に新たな刺激電極が留置され、この刺激電極が含まれる電極リードが皮下トンネルにより腰部や腹部、あるいは胸部に導かれる。そして、電極リードが生体刺激装置と接続されて皮下に植え込まれる。
【0005】
特許文献1に、簡易的に植え込みおよび治療を行える生体刺激装置が開示されている。この特許文献1に開示された生体刺激装置は、直径約2mm、長さ約10mmのハウジング内にコイル、刺激電極、制御部、刺激パルス発生部、蓄電キャパシタを備え、前記コイルで外部磁界から電力を誘起することにより刺激を行うものである。
【0006】
また、特許文献2において、生体内に植え込むリードに複数の電極を配置し、各電極の極性をプログラムによって制御することにより有効刺激面積の変更を可能にした、生体刺激技術が開示されている。この特許文献2に開示された生体刺激技術によれば、生体刺激装置のリードを生体内に植え込み後でも、有効刺激面積を変更して刺激部位(面積)の調整を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献2】米国特許第5,193,539号明細書
【特許文献1】米国特許第6,473,653号明細書(Fig.14-16等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載された生体刺激装置は、生体内の神経または筋肉を刺激するため、生体内の筋肉、脊髄硬膜外腔、または脳内等に留置して使用されるが、正確な位置に留置することは容易なことではない。そのため、切開手術での直接植え込みや中空チューブを挿入した後にチューブを経由して押し込む方法が行われている。切開手術に対してチューブ経由で押し込む方法は侵襲度が低い長所があるが、適切な位置に留置することは困難であった。
【0009】
また、硬膜外腔のように刺激対象になりうる部位が長い対象については、生体の複数の位置を同時にもしくは順次に刺激することや同時に複数の電極から異なる強度の刺激を行うことが望ましい場合もある。しかしながら、特許文献2では、生体の複数の位置を同時にまたは順次に刺激するための制御方法には言及しておらず、構造上で同時に複数の電極から異なる強度の刺激を行うこともできない。また、特許文献2に記載の生体刺激装置は、信号発生器102と各電極115を結ぶ配線が3本で構成(Fig.14-16)されているが、リードは硬膜外腔等の管腔内に植え込まれるので、配線数を減らしてリードの径をより細くすることが好ましい。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、生体刺激装置内の配線数を減らすとともに、生体の複数の位置を同時にまたは順次に刺激することや同時に複数の電極から異なる強度の刺激をできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生体刺激装置の第1の側面は、生体内の筋肉または神経の近くに配置される複数の刺激電極と、該複数の刺激電極のそれぞれに接続する複数の刺激制御手段と、該複数の刺激制御手段と接続する1つの全体制御手段と、からなる生体刺激装置であって、上記複数の刺激制御手段はそれぞれ、筋肉または神経に対する電気刺激を発生する刺激手段と、刺激電極を刺激手段に接続あるいは基準電位に接続あるいは無接続とする接続手段を備えている。そして、上記全体制御手段は、上記複数の刺激制御手段に対して制御情報を発することにより、少なくとも2つの刺激手段と接続手段を制御して、筋肉または神経に対する電気刺激を行う。
【0012】
本発明の生体刺激装置の第2の側面は、生体内の筋肉または神経の近くに配置される複数の刺激電極と、該複数の刺激電極のそれぞれに接続する複数の刺激制御手段と、該複数の刺激制御手段のそれぞれに接続して筋肉または神経に対する電気刺激を発生する1つの刺激手段と、複数の刺激制御手段および1つの刺激手段と接続する1つの全体制御手段と、からなる生体刺激装置であって、上記刺激制御手段はそれぞれ、刺激電極を刺激手段に接続あるいは基準電位に接続あるいは無接続とする接続手段と、接続手段の接続情報を治療プログラムごとに複数保持する記憶手段を備えている。そして、上記全体制御手段は、上記複数の刺激制御手段に対して制御情報を発することにより、刺激手段と少なくとも2つの接続手段を制御して、筋肉または神経に対する電気刺激を行う。
【0013】
上述した構成によれば、全体制御手段が、複数の刺激制御手段(および1つの刺激手段)に接続しており、複数の刺激制御手段に対して制御情報を発することにより、該当刺激手段および接続手段を制御できる。このように、全体制御手段から複数の刺激制御手段に対して制御情報を発するだけで刺激手段および接続手段を任意に制御できるようになるので、配線数を減少できる。また、制御情報により刺激制御手段を任意に指定して、生体の複数の位置を同時にまたは順次に刺激したり、同時に複数の電極から異なる強度の刺激を行ったりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生体刺激装置内の配線数が減り、生体刺激装置本体(ボディ)を細くすることができる。なおかつ、生体の複数の位置を同時にまたは順次に刺激したり、同時に複数の電極から異なる強度の刺激を行ったりすることができるので、適切な治療が行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の概略透視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の軸方向の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の全体制御ブロックおよび電極ブロックを中心とした詳細なブロック図である。
【図6】A,B,Cは、図5に示す制御情報ラインで伝送される信号を示す説明図である。
【図7】図5に示す全体制御ブロックの全体制御手段の処理を示すフローチャートである。
【図8】図5に示す電極ブロックの刺激制御手段の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の刺激パルス発生処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置の刺激電極に出力される信号を示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る生体刺激装置に複数の治療プログラムを適用した場合の各刺激電極に出力される信号を示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図17】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図18】本発明の第1の実施形態に係る生体刺激装置を生体内に植え込む手順を説明するための説明図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る生体刺激装置の基本構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る生体刺激装置の全体制御ブロックおよび電極ブロックを中心としたブロック図である。
【図21】A,B,Cは、図20に示す制御情報ラインで伝送される信号を示す説明図である。
【図22】図20に示す全体制御ブロックの全体制御手段の処理を示すフローチャート(1)である。
【図23】図20に示す全体制御ブロックの全体制御手段の処理を示すフローチャート(2)である。
【図24】図20に示す電極ブロックの刺激制御手段の処理を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係る生体刺激装置の刺激パルス発生処理を示すフローチャートである。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る生体刺激装置に複数の治療プログラムを適用した場合の各刺激電極に出力される信号を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態例について説明する。以下に述べる実施の形態例は、本発明の好適な具体例である。そのため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の技術範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
【0017】
実施の形態例の説明は下記の順に行う。
1.第1の実施の形態(刺激手段:各電極ブロックに配置した例)
2.第2の実施の形態(刺激手段:全体制御ブロックに1つ配置した例)
【0018】
<1.第1の実施の形態>
[生体刺激装置の外観および構造例]
まず、第1の実施の形態に係る生体刺激装置の外観および構造について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る生体刺激装置の全体を示す斜視図である。
図2は、図1に示す生体刺激装置の概略透視図である。
図3は、図2に示す生体刺激装置の軸方向(X−X線)の断面図である。
【0019】
図1に示すように、生体刺激装置100は大きく分けて、電極ブロック1と、全体制御ブロック2と、コイルブロック3とよりなる。生体刺激装置100は、略円筒形状に形成されており、電気的な刺激信号を生成し、その刺激信号で生体内の神経や筋肉等を刺激するものである。この生体刺激装置100は、例えば脊髄の神経を刺激する際に、生体内(例えば、脊髄硬膜と脊柱背側との距離が約5mmの硬膜外腔)に植え込まれる。このとき、生体刺激装置100の電極ブロック1は硬膜外腔に位置し、電極ブロック1に続く全体制御ブロック2やコイルブロック3は穿刺部位から硬膜外腔に至る、皮下の筋肉や靭帯中に位置することになる。そのため、生体刺激装置100のボディ11の先端部12から末端部14までのうち、少なくとも電極ブロック1を含む部分の直径が、約1mmから3mmであることが好ましい。
【0020】
図2、図3に示すように、生体刺激装置100のボディ11は、当該ボディ11の軸方向に連通する、スタイレット101を挿入するための略円筒状の穴(以下、「ルーメン」という)を有する。ただし、スタイレット用のルーメン100Aは、末端部14に開口を有し、各ブロックを貫くようにして先端部12付近まで設けられている。なお、スタイレット用のルーメン100Aの直径は、スタイレット101の直径とほぼ等しいか、それより少し大きいことが望ましい。
【0021】
ボディ11は、柔軟性があって、かつ生体適合性がある素材、例えばシリコーンやポリウレタン等の樹脂素材でできている。ボディ11の先端部12は、略半球状であり、その半径は、約0.5mmから1.5mmの範囲であることが好ましい。そして、ボディ11の先端部12以外の部分は、中空の略円筒形状に形成され、その直径は約1mmから3mmであることが望ましい。
【0022】
この中空の略円筒形状に形成されている部分、すなわちルーメン100Aの内壁には、当該ルーメン100Aに収まる直径の中空の略円筒状に形成されたパイプ(図示略)が設けられている。パイプは、生体適合性と絶縁性を有し、かつ柔軟性のある素材、例えばPTFEやETFEでできている。その外径は0.1mmから1mm程度であり、内径は、当該パイプの内部をスタイレット101が通過できるように、スタイレット101の直径とほぼ等しいか、それより少し大きい程度が望ましい。ボディ11の先端部12には略円筒状のステンレス製の受け部(図示略)が埋め込まれ、この受け部とパイプの先端部12側の端、すなわちルーメン100Aの先端部12側の端が結合されており、この受け部をスタイレット101で押すことで、生体刺激装置100が生体内に挿入される。
【0023】
電極ブロック1は、生体に植え込みやすいよう先端部12が略半球状に形成され、その他の部分が略円筒形状に形成されている。前述のとおり、先端部12の略半球状部分の半径は約0.5mmから1.5mmであることが好ましく、その他の略円筒形状部分の直径は約1mmから3mmであることが望ましい。このような電極ブロック1は、図3に示すようにボディ11内部に、神経等を刺激するための複数の刺激電極を有する刺激電極13と、刺激電極13と対応して設けられる複数の刺激制御基板を有する刺激制御基板23とを含んでおり、刺激電極13と刺激制御基板23は導線で接続されている。本明細書では、複数の刺激電極を総称する場合、刺激電極13という。また、複数の刺激制御基板を総称する場合、刺激制御基板23という。
【0024】
刺激電極13は、生体刺激装置100を生体内に配置した際に各刺激電極13が生体に対して直接接触するように一部が外部に露出して、略円筒形状の円筒面表面に等間隔に配置される。そして、各刺激電極13の内側(略円筒形状の中心軸に近い側)に各刺激制御基板23が、ルーメン100Aの周囲に巻回するようにして配置される。
【0025】
刺激電極13は、導電性があって生体適合性がある素材、例えばプラチナやプラチナ合金(プラチナ90%/イリジウム10%合金など)等の素材でできており、中空の略円筒状に形成されている。刺激電極13の外径は、ボディ11の外径とほぼ等しく形成される。また、刺激電極13の内径は、当該刺激電極13とその内側に設けられる刺激制御基板23やパイプが接触しないような大きさであることが望ましい。刺激制御基板23は、可撓性を有するフレキシブル回路基板上に、刺激制御手段として機能するカスタムIC(Integrated Circuit)などの小型の電子回路が印刷および/または実装されている。なお、刺激制御基板23の刺激制御手段の内部構成等については、図4、図5にて後述する。
【0026】
全体制御ブロック2は、電極ブロック1と同じ直径、もしくは、全体制御ブロック2は通常、皮下の筋肉や靭帯中に置かれるため、電極ブロック1よりも大きい直径を有する略円筒形状に形成されている。全体制御ブロック2は、図3に示すようにボディ11内部に、電極ブロック1を始めとして生体刺激装置100全体を制御するための全体制御手段を搭載した全体制御ブロック基板22を含んでいる。全体制御ブロック基板22は、可撓性を有するフレキシブル基板に全体制御手段として機能する電子回路が印刷および/または実装されており、ルーメン100Aの周囲に巻回するようにして配置される。全体制御ブロック基板22と刺激制御基板23は、配線25で接続されている。なお、全体制御ブロック基板22の全体制御手段の内部構成等については、図4、図5にて後述する。
【0027】
コイルブロック3は、電極ブロック1と同じ直径、もしくは、コイルブロック3は通常、皮下の筋肉や靭帯中に置かれるため、電極ブロック1より大きい直径を有する略円筒形状に形成されている。コイルブロック3は、図3に示すようにボディ11内部に、コイル21を含み、当該コイル21は、ボディ11の軸方向を軸としてルーメン100Aの周囲に巻回されて形成される。コイル21と全体制御ブロック基板22は導線で接続されている。
【0028】
ボディ11の末端部14には、ルーメン100Aへのスタイレット101の挿入の障害とならない位置に、孔が形成された例えば環状の固定手段15が設けられる。この固定手段15の孔は、生体刺激装置100が生体に完全に植え込まれた状態で固定されるようにするために利用される。
【0029】
なお、本実施の形態の生体刺激装置100のボディ11は、一つの部分からなるが、複数の部分を組み合わせて構成してもよい。例えば、電極ブロック1と全体制御ブロック2をコネクタ(結合部材)により着脱可能としたり、さらに全体制御ブロック2とコイルブロック3をコネクタ(結合部材)により着脱可能にしたりしてもよい。
【0030】
また、ルーメン100Aの内壁に位置するパイプ(図示略)の末端部14付近に、スタイレット101を抜き差ししたとしても、各ブロック内部に体液等の液体がパイプを通じて侵入することを防止する弁体(図示略)を設けると好適である。弁体は、例えばシリコーンゴム等のように生体適合性のある弾性材料、特に軟質な材料が好ましい。
【0031】
[生体刺激装置の内部構成例]
次に、第1の実施の形態に係る生体刺激装置の内部構成について、図4、図5を参照して説明する。
図4は、生体刺激装置100の基本構成を示すブロック図である。生体刺激装置100は、コイルブロック3(コイル21)と、少なくとも通信回路31、全体制御手段32および受電回路33を含む全体制御ブロック2と、刺激電極13−1,13−2,…,13−Nと刺激制御手段40−1,40−2,…,40−Nを含む複数の電極ブロック1−1,1−2,…,1−N(Nは自然数)とから構成される。本明細書では、複数の電極ブロックを総称する場合、電極ブロック1という。
【0032】
コイル21の両端には、導線の一端がそれぞれはんだ等によって接着されており、当該導線の他端がそれぞれ全体制御ブロック2と電気的に接続されている。また全体制御ブロック2(全体制御ブロック基板22)と電極ブロック1−1,1−2,…,1−N(刺激制御基板23)との間は、制御情報ラインL1、基準電位ラインL2の2本の配線(図3の配線25)で接続されている。さらに電極ブロック1−1,1−2,…,1−Nの刺激電極13−1,13−2,・・・,13−Nには、導線の一端がそれぞれはんだ等によって接着されており、当該導線の他端がそれぞれ刺激制御手段40−1,40−2,…,40−Nと電気的に接続されている。なお、導線のはんだで接着される箇所以外の箇所は、PTFEやETFEによる絶縁被覆がなされており、ボディ11内部に完全に埋め込まれている。
【0033】
続いて、生体刺激装置100の全体制御ブロック2および電極ブロック1の内部構成について詳細に説明する。始めに全体制御ブロック2の内部構成を説明する。
図5は、生体刺激装置100の全体制御ブロック2および電極ブロック1を中心とした詳細なブロック図である。コイルブロック3のコイル21は、体外の磁界発生装置(図17、図18参照)との間で、電磁誘導を利用して非接触で電磁波(RF信号)の送信および受信を行うものである。コイル21が、体外の磁界発生装置から送信される電磁波を受信し、この受信に伴ってコイル21から発生する交流電流が通信回路31および受電回路33に出力される。また、通信回路31から送られる電気信号を電磁波として体外の磁界発生装置へ送信する。
【0034】
図5において、全体制御ブロック2は、通信回路31、全体制御手段32、受電回路33、電源回路34、および記憶手段35を備える。
通信回路31は、コイル21が受信した電磁波(RF信号)を復調してシリアル信号に変換し、当該電磁波に載せられている情報(治療プログラム情報や各種コマンド等)を取り出し、取り出した情報を全体制御手段32に出力する。また全体制御手段32から送られた、情報を載せた電気信号を変調し、コイル21へ出力する。
【0035】
この通信回路31の変調方式は負荷変調方式が小型化する上で好ましいが、これに限らない。負荷変調方式は、コイル21にかける負荷を変化させることで、体外の磁界発生装置が発生する磁界を変動させ、生体刺激装置100から外部の磁界発生装置に情報を伝達する方式で、通信回路31内の送信回路が簡略化できる長所がある。体外の磁界発生装置から生体刺激装置100への情報伝送は、振幅変調や周波数変調が一般的に使われる。
【0036】
全体制御手段32は、全体制御ブロック2を構成する各機能部の制御、および電極ブロック1との通信を行うものである。全体制御手段32は、通信回路31から受信した情報に含まれるコマンドに応じて所定の処理を行う。
【0037】
例えば、受信したコマンドが記憶手段35に対する治療プログラム情報の設定または読み出しのコマンドである場合、全体制御手段32は、記憶手段35に対し治療プログラム情報の設定または読み出しを行う。また受信したコマンドが電極ブロック1に対する治療プログラム情報の設定または読み出しのコマンドである場合、全体制御手段32は、電極ブロック1に対し治療プログラム情報の設定または読み出しを行うための制御情報信号を制御情報ラインL1へ送信する。
【0038】
また受信したコマンドが治療開始のコマンドである場合、全体制御手段32は、制御情報ラインL1を通じて電極ブロック1へ刺激信号発生のための制御情報信号を送信する。なお、この全体制御手段32の動作の詳細については、図7を参照して後述する。
【0039】
筋肉または神経に対する電気的な刺激は、陽極として機能する少なくとも1つの刺激電極と、陰極として機能する少なくとも1つの刺激電極の間に与えられる刺激信号(刺激パルス信号、基準電位信号)によって行われ、陽極に対して刺激パルス信号が、陰極に対して基準電位信号が印加される。したがって治療プログラム情報は、少なくとも2つ以上の電極ブロックの接続情報およびパラメータ情報(以下、「接続/パラメータ情報」と称す)を有する。各治療プログラムには、重複しない治療プログラム番号が付されている。接続情報は、治療プログラムに用いる刺激電極の構成に関する情報であり、(「無接続」、「基準電位」、「刺激手段出力」のいずれかを含んでいる。またパラメータ情報は、刺激パルス信号に関する情報であり、「刺激パルス振幅」、「刺激パルス幅」、「アフターパルス振幅」、「アフターパルス幅」、「刺激周波数」、「電流刺激/電圧刺激選択」、「治療プログラムの発生パターン(発生順)」を含んでいる。
【0040】
さらに、上記治療プログラム情報を、「患者ID」、「医療従事者ID」、「治療履歴情報」などと対応付けて治療に用いてもよい。1台の磁界発生装置で全ての生体刺激装置の設定を行うとは限らないこと、すなわち、患者や医療従事者ごとに磁界発生装置を所持している場合、治療プログラム情報(接続/パラメータ情報)を患者や医療従事者が随時設定可能であることなどが想定されるからである。このような場合、患者IDや医療従事者IDを参照して、読出データに含まれる接続/パラメータ情報を患者や医療従事者別に混同することなく、区別・管理することができる。さらに治療履歴情報と組み合わせて、患者毎にきめ細かい治療を行うことができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、制御情報ラインL1を伝送する制御情報信号はシリアル信号であり、1本線の通信プロトコルが好適である。通信プロトコルとして、例えば1本線の1−wire(MAXIM社製)などを利用できる。制御情報ラインL1は、通常はハイレベルとなっており、全体制御手段32により制御情報信号が制御情報ラインL1上に伝送される。なお、この制御情報ラインL1の信号は、各電極ブロック1内で整流されてブロック内電源に利用される。
【0042】
ここで、図6を参照して、制御情報ラインL1を伝送する信号(パケット)のデータ構造を説明する。
図6Aは、電極ブロック1に接続/パラメータ情報の設定を行うための制御情報信号である接続/パラメータ情報設定パケットのデータ構造を示している。接続/パラメータ情報設定パケット51は、該当刺激制御手段を指定する「ID情報」、該当刺激制御手段に設定するための「治療プログラム番号」と「接続/パラメータ情報の設定情報」を含んでいる。全体制御手段32は、この接続/パラメータ情報設定パケット51の先頭にローレベルのスタート信号55を付加して制御情報ラインL1へ送信する。
【0043】
図6Bは、電極ブロック1から接続/パラメータ情報の読み出しを行うための制御情報信号である接続/パラメータ情報読出パケットおよび応答パケットのデータ構造を示している。接続/パラメータ情報読出パケット52は、該当刺激制御手段を指定する「ID情報」、該当刺激制御手段から読み出すための「治療プログラム番号」と「接続/パラメータ情報の読出情報」を含んでいる。全体制御手段32は、この接続/パラメータ情報読出パケット52の先頭にローレベルのスタート信号55を付加して制御情報ラインL1へ送信する。ID情報に該当する刺激制御手段では、接続/パラメータ情報読出パケット52を受信すると、自身に設定されている該当治療プログラム番号の接続/パラメータ情報を含む「読出データ」を応答パケット53にして制御情報ラインL1を介して全体制御手段32へ返信する。
【0044】
図6Cは、電気的刺激を行うための制御情報信号であるゲート信号のデータ構造である。ゲート信号54は、矩形波信号の繰り返しを有し、その先頭には実施する治療プログラム番号が付加されている。ここで、ゲート信号54の矩形波信号の周期は、上述のスタート信号55のローレベルの期間よりも充分に短くなっているので、このスタート信号55の有無により、接続/パラメータ情報設定パケット51および接続/パラメータ情報読出パケット52とゲート信号54が区別される。
【0045】
図5の全体制御ブロック2の説明に戻る。
全体制御手段32は、MPU(Micro Processing Unit)等の演算制御手段を適用して構成することができる。また記憶手段35として、例えばEEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを適用できる。また全体制御手段32のメモリ32aは、StaticRAM等の揮発性メモリでもよいし、上記のような不揮発性メモリでもよい。不揮発性メモリの場合、メモリ32aとして記憶手段35を利用してもよい。
【0046】
受電回路33は、例えば整流回路を内蔵し、コイル21から出力された交流電流を直流電流に変換して電力を取得し、電源回路34へ供給するものである。一般に、ダイオードブリッジとコンデンサによる整流回路が使用される。
【0047】
電源回路34は、受電回路33から供給された電力を制御し、全体制御ブロック2を構成する各機能部へ供給するとともに、接地処理された基準電位ラインL2を介して各電極ブロック1へ供給するものである。
【0048】
なお、全体制御ブロック2内に電源回路34から電力が供給される二次電池を備え、この二次電池に蓄積した電力を利用するようにしてもよい。また、受電回路33および電源回路34に代えて1次電池を設けてもよい。この場合、コイル21は通信のみに使用される。
【0049】
次に、電極ブロック1の内部構成について詳細に説明する。電極ブロック1−1,1−2,・・・,1−Nは同一構成であるので、代表して電極ブロック1−1について説明する。
【0050】
図5に示すように、電極ブロック1−1の刺激制御手段40−1は、整流回路41、識別手段42、記憶手段43、刺激手段44、接続手段45を備える。
整流回路41は、一例としてダイオードブリッジとコンデンサから構成され、制御情報ラインL1の信号を整流し、この整流した信号をブロック内電源として各機能部へ出力するものである。
【0051】
識別手段42は、全体制御手段32から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有する制御情報信号を受信する。識別手段42は、刺激制御手段40−1の固有IDを保持するメモリ(図示略)を有する。識別手段42は、受信した制御情報信号に含まれるID情報と当該刺激制御手段40−1の固有IDと比較する。比較の結果、制御情報信号に含まれたID情報が刺激制御手段40−1の固有IDと一致した場合、識別手段42は、制御情報信号に含まれる情報に基づいて記憶手段43に対する読み書きを行う。例えば、制御情報信号に記憶手段43に対する接続/パラメータ情報の設定情報が含まれる場合、識別手段42は、治療プログラム番号ごとに接続/パラメータ情報を記憶手段43に記憶させる。また制御情報信号に記憶手段43に対する接続/パラメータ情報の読出情報が含まれる場合、識別手段42は、記憶手段43から該当治療プログラムに対応する接続/パラメータ情報を読み出し、制御情報ラインL1を通じて全体制御手段32へ送信する。
【0052】
記憶手段43には、治療プログラムごとに接続/パラメータ情報が設定される。接続情報として「無接続」、「基準電位」、「刺激手段出力」があり、パラメータ情報として「刺激パルス振幅」、「刺激パルス幅」、「アフターパルス振幅」、「アフターパルス幅」、「電流刺激/電圧刺激選択」を含んでいる。
【0053】
識別手段42の動作の詳細については、図8を参照して後述する。なお識別手段42は、論理回路を用いて構成することができるが、MPU(Micro Processing Unit)等の演算制御手段を適用して構成することもできる。また記憶手段43として、例えばフラッシュメモリ(半導体メモリ)等の不揮発性のメモリを適用できる。また固有IDは、刺激制御手段のそれではなく、刺激電極もしくは電極ブロックの固有IDであってもよい。
【0054】
刺激手段44は、全体制御手段43から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有しない制御情報信号であるゲート信号54を受信する。刺激手段44は、このゲート信号54を受信すると、記憶手段43に登録されたパラメータ情報に基づいて刺激信号(刺激パルス信号)を生成し、接続手段45に出力するものである。刺激手段44は、パラメータ情報に含まれる「電流刺激/電圧刺激選択」に基づいて、電流信号または電圧信号を生成する。
【0055】
電流信号を利用する場合、刺激手段44で容易に一定値の電流信号を生成することができるので、刺激電極13−1に一定値の電流信号を出力して生体に一定の刺激を与えることができる。ただし、生体と刺激電極13−1との抵抗が大きいときは、信号の減衰を考慮して電流値を大きくすることが望ましい。一方、電圧信号を利用する場合、電圧値を一定値に維持したとしても生体と刺激電極13−1との接触状態によって電流値(刺激)が変化するおそれはあるが、回路規模は小さくできる。
【0056】
接続手段45は、刺激手段44同様、全体制御手段43から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有しない制御情報信号であるゲート信号54を受信する。接続手段45は、このゲート信号54を受信すると、記憶手段43に登録された接続情報に基づいて内部スイッチを切り替え、刺激電極13−1に供給する信号を切り替えるものである。刺激電極13−1に信号を供給する形態としては、刺激手段44と接続して刺激信号(刺激パルス信号)を供給する形態、接地されている基準電位ラインL2と接続して刺激信号(基準電位信号)を供給する形態、並びに何ら信号を供給しない、無接続の形態がある。通常、接続手段45は、ゲート信号54を受信していないときは無接続の状態にする。なお、実施する治療プログラムが1つのときは、ゲート信号54を受信していないときも、無接続とせずに、受信しているときの状態をそのまま維持することが可能である。
【0057】
上記の刺激手段44と接続手段45は、全体制御手段32から出力されるゲート信号54により制御される。各刺激制御手段の刺激手段と接続手段は、ゲート信号54の先頭に付加された治療プログラム番号に該当する接続/パラメータ情報が当該刺激制御手段の記憶手段に登録されているときのみ、刺激手段は、その内部に備えたカウンタ(不図示)でゲート信号54を計数し、その計数内容とゲート信号54の先頭に付加された治療プログラム番号に該当するパラメータ情報に基づいて刺激パルス信号を生成して接続手段へ供給し、接続手段は、その内部に備えたカウンタ(図示略)でゲート信号54を計数し、その計数内容と接続情報に基づいて刺激電極に供給する信号を「無接続」、「基準電位」、「刺激手段出力」のいずれかに切り替える。
【0058】
[生体刺激装置の動作例]
生体刺激装置100の全体制御手段32の動作を、図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、体外の磁界発生装置(図17、図18参照)が生体刺激装置100に所定距離まで近づくと、受電回路33、電源回路34がコイル21を介して受信したRF信号から電力を生成し、全体制御ブロック2に電源が投入される。電源投入後、全体制御手段32は、全体制御ブロック2および電極ブロック1の初期設定を行う(ステップS1)。
【0059】
次に、全体制御手段32は、メモリ32aに設定された治療フラグがオンか否かを判定し(ステップS2)、治療フラグがオンの場合は刺激パルス発生の処理を行う(ステップS3)。この刺激パルス発生の処理については、図9、図10を参照して後述する。
【0060】
上記ステップS2の判定処理で、治療フラグがオフの場合は、全体制御手段32は、通信回路31がコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS4)。コマンドを受信しない場合、ステップS2の判定処理に戻る。
【0061】
上記ステップS4の判定処理で、コマンドを受信したと判定した場合、全体制御手段32は、通信回路31により受信したコマンドの解読を行う(ステップS5)。
【0062】
全体制御手段32は、受信したコマンドが、まず全体制御ブロック2に対する治療プログラム情報の設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS6)。ここで、治療プログラム情報の設定コマンドである場合、全体制御手段32は、記憶手段35に治療プログラム情報を設定する(ステップS7)。この処理が終了後、ステップS2に進む。
【0063】
上記ステップS6の判定処理で、治療プログラム情報の設定コマンドではないと判定した場合、全体制御手段32は、次に全体制御ブロック2に対する治療プログラム情報の読出コマンドであるか否かを判定する(ステップS8)。ここで、治療プログラム情報の読出コマンドである場合、全体制御手段32は、記憶手段35に設定されている治療プログラム情報を読み出す(ステップS9)。そして、全体制御手段32は、該当治療プログラム情報を含む読出データを通信回路31から磁界発生装置へ送信する(ステップS10)。この処理が終了後、ステップS2に進む。
【0064】
上記ステップS8の判定処理で、治療プログラム情報の読出コマンドではないと判定した場合、全体制御手段32は、受信したコマンドが、電極ブロック1に対する設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS11)。ここで、設定コマンドである場合、全体制御手段32は、記憶手段35に設定されている治療プログラム情報の内容に基づいて、「スタート信号55+接続/パラメータ情報設定パケット51(図6A)」を制御情報ラインL1に送出する(ステップS12)。この処理が終了後、ステップS2に進む。
【0065】
上記ステップS11の判定処理で、設定コマンドではないと判定した場合、全体制御手段32は、次に電極ブロック1に対する読出コマンドであるか否かを判定する(ステップS13)。読出コマンドでない場合、ステップS17に進む。
【0066】
上記ステップS13の判定処理で、読出コマンドであると判定した場合、全体制御手段32は、「スタート信号55+接続/パラメータ情報読出パケット52(図6B)」を制御情報ラインL1に送出する(ステップS14)。そして、全体制御手段32は、接続情報読出パケット52で指定したID情報と一致する電極ブロックの刺激制御手段に設定されている接続/パラメータ情報を、応答パケット53(図6B)により制御情報ラインL1から受信する(ステップS15)。全体制御手段32は、受信した接続/パラメータ情報を含む読出データを通信回路31から磁界発生装置へ送信する(ステップS16)。この処理が終了後、ステップS2に進む。
【0067】
上記ステップS13の判定処理で、電極ブロック1に対する読出コマンドではないと判定した場合、全体制御手段32は、受信したコマンドが、生体刺激装置100に対する治療開始コマンドであるか否かを判定する(ステップS17)。
【0068】
上記ステップS17の判定処理で、生体刺激装置100に対する治療開始コマンドであると判定した場合、全体制御手段32は、治療開始コマンドから実施する治療プログラムを取得する(ステップS18)。そして、全体制御手段32は、メモリ32aに対して治療フラグをオンに設定する(ステップS19)。この処理が終了後、ステップS2に進み、上記ステップS2〜ステップS19(またはS21)の処理を繰り返す。
ここでいう治療プログラムとは、一つまたは複数の治療プログラム番号の羅列である。複数の治療プログラムの例については、図11を参照して後述する。
【0069】
一方、上記ステップS17の判定処理で、生体刺激装置100に対する治療開始コマンドでないと判定した場合、続いて全体制御手段32は、受信したコマンドが、生体刺激装置100に対する治療停止コマンドであるか否かを判定する(ステップS20)。生体刺激装置100に対する治療停止コマンドであると判定した場合、全体制御手段32は、メモリ32aに対して治療フラグをオフに設定する(ステップS21)。この処理が終了後、ステップS2に進み、上記ステップS2〜ステップS19(またはS21)の処理を繰り返す。
【0070】
次に、生体刺激装置100の刺激制御手段40−1の動作を、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、各電極ブロック1−1,1−2,・・・,1−Nの刺激制御手段40−1,40−2,…,40−Nは同一構成であるので、代表して電極ブロック1−1の刺激制御手段40−1について説明する。
【0071】
まず、体外の磁界発生装置(図17、図18参照)が生体刺激装置100に所定距離まで近づくと、前述のように全体制御ブロック2に電源が投入され、全体制御手段32から出力される制御情報ラインL1の信号を整流回路41が整流することにより、電極ブロック1−1の刺激制御手段40−1に電源が投入される。
【0072】
次に、刺激制御手段40−1は、制御情報ラインL1から制御情報信号を受信したか否かを判定する(ステップS31)。制御情報信号を受信しない場合、ステップS31の判定処理を繰り返す。
【0073】
上記ステップS31の判定処理で、制御情報信号を受信したと判定した場合、受信した制御情報信号にスタート信号55(図6)が付加されているか否かを判定する(ステップS32)。
【0074】
上記ステップS32の判定処理で、刺激制御手段40−1が、受信した制御情報信号にスタート信号55がない(すなわちゲート信号54である(図6C))と判定した場合、刺激手段44および接続手段45は、ゲート信号54に付加された治療プログラム番号に該当する接続/パラメータ情報が、記憶手段43に設定されているか否かを判定する(ステップS33)。ここで、記憶手段43に治療プログラム番号に該当する接続/パラメータ情報があると判定した場合、指定された治療プログラム番号の接続/パラメータ情報に従い、刺激手段44および接続手段45が制御される(ステップS34)。この処理が修了後、ステップS31へ進む。
【0075】
一方、上記ステップS33の判定処理で、記憶手段43に治療プログラム番号に該当する接続/パラメータ情報がないと判定した場合、ステップS31の処理に進む。
【0076】
上記ステップS32判定処理で、制御情報信号にスタート信号55がある(すなわち接続/パラメータ情報設定パケット51または接続/パラメータ情報読出パケット52(図6A、図6B))と判定した場合、識別手段42は、制御情報信号に含まれるID情報が電極ブロック1−1(もしくは刺激制御手段40−1)の固有IDと一致するか否かを判定する(ステップS35)。一致しない場合は、ステップS31へ進む。
【0077】
上記ステップS35の判定処理で、制御情報信号に含まれるID情報が電極ブロック1−1(もしくは刺激制御手段40−1)の固有IDと一致する場合、制御情報信号に接続/パラメータ情報の読出情報(図6B)が含まれるか否か判定する(ステップS36)。ここで制御情報信号に接続/パラメータ情報の読出情報が含まれると判定した場合、識別手段42は、記憶手段43から制御情報信号で指定された治療プログラム番号の接続/パラメータ情報を読み出す(ステップS37)。そして、識別手段42は、読出データを応答パケットにして制御情報ラインL1へ送出する(ステップS38)。この処理が修了後、ステップS31へ進む。
【0078】
上記ステップS36の判定処理で、制御情報信号に接続/パラメータ情報の読出情報が含まれないと判定した場合、続いて識別手段42は、制御情報信号に接続/パラメータ情報の設定情報(図6A)が含まれるか否かを判定する(ステップS39)。ここで、制御情報信号に接続/パラメータ情報の設定情報が含まれると判定した場合、識別手段42は、記憶手段43に制御情報信号で指定された治療プログラム番号の接続/パラメータ情報を設定する(ステップS40)。この処理が修了後、ステップS31へ進む。
【0079】
一方、上記ステップS39の判定処理で、制御情報信号に接続/パラメータ情報の設定情報が含まれないと判定した場合、ステップS31へ進む。
【0080】
次に、全体制御手段32による刺激パルス発生の処理(図7のフローチャートのステップS3)を説明する。図9は、刺激パルス発生の処理を示すフローチャートである。
【0081】
まず、全体制御手段32は、記憶手段35に設定されている該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングであるか否かを判定する(ステップS51)。刺激発生のタイミングは、治療プログラム情報のパラメータ情報に含まれる「刺激周波数」により規定されている。該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングでない場合は、図7のステップS4に進む。
【0082】
一方、ステップS51の判定処理で、該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングであると判定した場合、全体制御手段32は、治療プログラム番号を先頭に付加したゲート信号54を制御情報ラインL1に送出する(ステップS52)。このゲート信号54が、各電極ブロックの刺激制御手段で受信される。そして、電極ブロックの刺激制御手段に上記治療プログラム番号に該当する接続/パラメータ情報が設定されている場合、該当接続/パラメータ情報を持つ電極ブロックの刺激手段と接続手段がゲート信号54により制御され、刺激電極へ、該当接続/パラメータ情報に基づく刺激信号の供給が行われる。この処理が刺激制御手段40−1,40−2,…,40−Nのそれぞれで行われる。この処理が修了後、ステップS4に進む。
【0083】
[刺激信号の例]
ここで、刺激手段44で発生する刺激パルス信号を、図10を参照して説明する。
図10は、刺激電極に出力される刺激信号(刺激パルス信号と基準電位信号)、およびゲート信号54の波形の一例を示したものである。
【0084】
刺激パルス信号は、刺激パルスとアフターパルスから形成され、刺激周波数に従ったタイミングで刺激手段44により生成される。刺激パルスは、所定のマイナス値の刺激パルス振幅と、所定の刺激パルス幅を持つ。またアフターパルスは、刺激パルスに続いて出力されるものであり、絶対値が刺激パルス振幅のそれより小さいプラス値のアフターパルス振幅と、刺激パルス幅より大きいアフターパルス幅を持つ。アフターパルスのアフターパルス振幅とアフターパルス幅は、刺激パルスの刺激パルス振幅と刺激パルス幅に基づいておおよその値が決定される。このように、刺激パルス印加後に逆極性のアフターパルスを印加することにより、生体の直流的分極が避けられ、生体に悪影響を与えることがない。
【0085】
また、基準電位信号は、接地処理された基準電位ラインL2を通じて供給されるものであり、信号レベルは0Vである。ゲート信号の発生周期は、パラメータ情報の「刺激周波数」により決定され、ゲート信号の持続時間は、パラメータ情報の「刺激パルス幅」と「アフターパルス幅」により決定される。
【0086】
[複数の治療プログラムの例]
複数の治療プログラムを実施する場合の具体例を、図11を参照して説明する。
図11は、複数の治療プログラムを実施する場合に、各刺激電極に供給される信号を示したものである。
【0087】
複数の治療プログラムが実施される場合には、各治療プログラムが時分割で実施される。すなわち、複数の治療プログラムが登録された場合、全体制御手段32は、記憶手段35に記憶された「治療プログラムの発生パターン(発生順)」に従い、順次ゲート信号にその治療プログラム番号を付加して制御情報ラインL1に送出することで、各治療プログラムを所定の順番で実行し、各治療プログラムのパラメータ条件に従った刺激信号を刺激電極に発生させる。
【0088】
図11に示す例は、治療プログラム数が3つの場合の治療例である。この例では、プログラム1は、刺激電極13−1,13−4に刺激パルス信号を、刺激電極13−2,13−3に基準電位信号を同一刺激周波数で発生させている。またプログラム2は、刺激電極13−3に刺激パルス信号を、刺激電極13−4に基準電位信号を上記プログラム1に続いて同一刺激周波数で発生させている。またプログラム3は、刺激電極13−5に刺激パルス信号を、刺激電極13−6に基準電位信号を上記プログラム2に続いて同一刺激周波数で発生させている。
【0089】
図11に示すプログラム1では、刺激電極13−1と刺激電極13−4に対し、異なる刺激パルス振幅の刺激パルス信号を発生させている。このように、第1の実施の形態では、各電極ブロックで個別に刺激手段を有しているので、同一治療プログラムで複数の刺激電極に対し異なる波形の刺激パルス信号を与えることができる。なお、複数の治療プログラムが存在する場合で、治療プログラム毎に発生周波数が異なる場合は、各治療プログラムの刺激周波数は最大の刺激周波数の整数分の1でなければならない
【0090】
[電気刺激装置の植え込み手順]
次に、生体刺激装置100を例えば硬膜外腔に植え込み、この生体刺激装置100で脊髄の神経の電気刺激を行う手順の一例について図12〜図18を参照して説明する。
図12から図18は、背中付近を示す人体の横断面図である。
【0091】
(硬膜外針の挿入)
まず、医師は、患者の痛みの分布状況に基づき、予め目標とする脊髄の刺激部位を決定する。そして、X線透視下で患者の背中側から穿刺して、硬膜外針154を硬膜外腔153まで挿入する。この硬膜外針154が硬膜外腔153に挿入される位置は、一般的に、目標とする刺激部位から脊椎152の約3椎体以上低位が選ばれる。(図12を参照)。本発明の生体刺激装置100のボディ11(図1参照)は、当該ボディ11に複数の刺激電極13(図1参照)が配列された範囲内に刺激を行う筋肉または神経が位置するような長さを有する。なお、本例では、生体刺激装置100を生体151内に挿入するのに硬膜外針154を用いるがこれに限られない。例えば、カニューレなどの管状導入具を用いることも可能である。
【0092】
(生体刺激装置の挿入)
次に、医師は、生体刺激装置100のスタイレット用のルーメン100A(図2参照)に、スタイレット101の先端がルーメンの受け部に当たるように、このスタイレット101を挿入する。そして、硬膜外針154に生体刺激装置100の先端部12(図1参照)を通し、当該生体刺激装置100を生体151内に挿入する。そして、スタイレット101の基端(取っ手部分)を軸方向に押すことにより、生体刺激装置100が硬膜外腔153内に挿入される(図13を参照)。
【0093】
続いて、医師は、更にスタイレット101の基端を軸方向に押して、硬膜外腔153内に生体刺激装置100を上向させ、生体刺激装置100が完全に生体151内に植え込まれるまで、すなわち生体刺激装置100の固定手段15(図1参照)が患者の背中の穿刺部に位置するまで生体刺激装置100を挿入する。
【0094】
(スタイレットの抜去)
続いて、スタイレット101を生体刺激装置100のスタイレット用のルーメン100Aから取り出す(図14を参照)。
【0095】
(硬膜外針の抜去)
さらに、医師は、生体刺激装置100を生体151内に残して、硬膜外針154を生体151から抜き去る(図15を参照)。そして、生体刺激装置100の固定手段15を、糸等を用いて生体151に仮留めする(図示略)。
【0096】
ここで、医師は試験刺激を行い、複数の刺激電極13の中から治療に最適な刺激電極を決定することが好ましい。具体的には、体外のコントローラ(図17の磁界発生装置156)を操作し、目標とした脊髄の刺激部位に近い刺激電極の中から、刺激電極の位置や組合せを変更しながら神経刺激を行う。このとき、生体刺激装置100では、医師の操作に基づいて、所定の強度の電気的刺激信号が生成され、生成された電気的刺激信号が指定した刺激電極に出力されて、当該刺激電極の位置に近い部分の神経刺激が行われる。そして、医師は、患者の神経刺激に対する反応を確認しながら、治療に用いる最適な刺激電極を決定する。
【0097】
(固定部の縫合)
最後に、医師は、生体刺激装置100が生体151に完全に植え込まれた状態で固定されるようにするため、生体151に生体刺激装置100の固定手段15を糸155で縫いつける(図16を参照)。この処置は、生体刺激装置100が生体内で移動しないようにするためのものである。このとき、コイル21は生体刺激装置100のボディ11の末端部14(図1参照)付近に配置されており、留置後のコイル21の位置は皮下の浅い部分になるので、外部の磁界発生装置156とは強い磁気的結合が可能となり、高いエネルギー効率が得られる。
【0098】
(刺激条件等のプログラミング)
生体151に生体刺激装置100が完全に植え込まれた状態で、外部の磁界発生装置(兼プログラマ)156を生体151の表面、すなわち生体刺激装置100のコイル21に近づける。そして、電磁誘導を利用して電力供給を行うとともに、治療プログラム情報を送信する(図17を参照)。これにより、生体刺激装置100の全体制御ブロック2および電極ブロック1に治療プログラム情報(接続/パラメータ情報)が設定される。
【0099】
(治療)
上記プログラミングが完了後、コイル21を通じて磁界発生装置156から生体刺激装置100に電力を供給するとともに、治療開始または治療停止のコマンドを送出し、治療プログラムに指定された刺激電極に刺激信号を供給して神経を電気的に刺激し、治療を行う(図18参照)。
【0100】
なお、磁界発生装置156として、パッチ状の薄く小型の装置を適用し、生体151に植え込まれた生体刺激装置100の末端部14に近い生体表面に貼り付けて使用すると、医師や患者が磁界発生装置156を持ち歩かずに済むので管理が簡便になる。また、この例では脊髄神経を刺激する例を説明したが、生体の他の例として筋肉を電気的に刺激してもよいことは勿論である。
【0101】
上記のように構成された第1の実施の形態によれば、生体刺激装置を管状導入具を介して生体内に容易に留置することができ、なおかつ、多数の刺激電極の中から適切な刺激電極を選択することができるので、適切な刺激を得るために留置位置を微調整する必要もない。そのため、外来での使用が可能となり、運動機能の改善、痛みの軽減、パーキンソン病などの脳神経障害に悩む患者の治療デバイスとして広範囲な治療応用が期待できる。
【0102】
また、第1の実施の形態では、全体制御ブロック2と複数個の電極ブロック(刺激制御手段)間の通信はシリアル信号で行われ、2本という最少信号線(制御情報ラインと基準電位ライン)で、複数の刺激電極と複数の治療プログラムを制御することができる。各電極ブロック(刺激制御手段)は固有ID情報を有し、このID情報を含むシリアル通信を行うことで、全体制御ブロック2は、多数存在する電極ブロックのなかの特定の電極ブロックとのみ通信を行うことができる。このような構成により、細いボディと複数個の刺激電極を同時に持つ生体刺激装置を実現している。また、この例では全体制御ブロック2と複数個の電極ブロック(刺激制御手段)間の通信および電源供給を2本の信号線(制御情報ラインと基準電位ライン)で実現する例を説明したが、ボディの太さに影響を及ぼさなければ2本以上の信号線による通信、専用電源線を採用してもよいことは勿論である。
【0103】
<2.第2の実施の形態>
[生体刺激装置の内部構成例]
第2の実施の形態に係る生体刺激装置について、図19〜図26を参照して説明する。なお、図19〜図26において、第1の実施の形態に係る生体刺激装置と共通する部分は同一符号を付し、同一符号を付した部分の詳細な説明は割愛し、異なる部分を中心に説明する。
【0104】
図19は、第2の実施の形態に係る生体刺激装置の基本構成を示すブロック図である。第2の実施の形態の生体刺激装置200と第1の実施の形態の生体刺激装置100(図4参照)との違いは、刺激手段が各々の電極ブロック内ではなく、全体制御ブロック内に1つある点である。
すなわち生体刺激装置200は、コイルブロック3(コイル21)と、少なくとも通信回路31、全体制御手段232、受電回路33および刺激手段244を含む全体制御ブロック202と、刺激電極13−1,13−2,…,13−Nと刺激制御手段240−1,240−2,…,240−Nを含む複数の電極ブロック201−1,201−2,…,201−N(Nは自然数)とから構成される。このように第2の実施の形態の生体刺激装置200では、刺激手段244が各々の電気ブロック内ではなく、全体制御ブロック202内に1つ設けられている。以降、生体刺激装置200において、複数の電極ブロックを総称する場合、電極ブロック201という。
【0105】
全体制御ブロック202(全体制御ブロック基板22)と電極ブロック201−1,201−2,…,201−N(刺激制御基板23)との間は、制御情報ラインL1、基準電位ラインL2および刺激パルスラインL3の3本の配線(図3の配線25)で接続されている。
【0106】
続いて、生体刺激装置200の全体制御ブロック202および電極ブロック201の内部構成について詳細に説明する。
図20は、生体刺激装置200の全体制御ブロック202および電極ブロック201を中心とした詳細なブロック図である。始めに全体制御ブロック202の内部構成を説明する。
【0107】
図20において、全体制御ブロック202は、通信回路31、全体制御手段232、受電回路33、電源回路34、記憶手段35、および刺激手段244を備える。
全体制御手段232は、第1の実施の形態の全体制御手段32に対応するものであり、全体制御ブロック202を構成する各機能部の制御、および電極ブロック201との通信を行う。また全体制御手段232は、通信回路31から受信した情報に含まれるコマンドに応じて所定の処理を行う。
【0108】
ここで第1の実施の形態との違いは、刺激手段244への設定コマンドまたは読出コマンドを受信したか否かを判定し、該当コマンドを受信した場合に、刺激手段244に対し治療プログラムのパラメータ情報の設定または読み出しを行う点である。さらに、全体制御手段232は、電極ブロック201への設定コマンドまたは読出コマンドを受信した場合、電極ブロック201に対し治療プログラムの接続情報の設定または読み出しを行うための制御情報信号を制御情報ラインL1へ送信する。また受信したコマンドが治療開始のコマンドである場合、全体制御手段232は、刺激手段244に刺激信号(刺激パルス信号)発生のための制御情報信号を制御情報ラインL1へ出力する。なお、全体制御手段232が有するメモリ232aは、メモリ32aに相当するものである(図5参照)。この全体制御手段232の動作の詳細については、図22、図23を参照して後述する。
【0109】
ここで、図21を参照して、第2の実施の形態において制御情報ラインL1を伝送する信号(パケット)のデータ構造を説明する。本実施の形態では、刺激手段244が全体制御ブロック202内に設けられているので、全体制御手段232から制御情報ラインL1に送出される制御情報信号には、接続情報のみでパラメータ情報は含まれない。
図21Aは、電極ブロック201に接続情報の設定を行うための制御情報信号である接続情報設定パケットのデータ構造を示している。接続情報設定パケット251は、該当刺激制御手段を指定する「ID情報」、該当刺激制御手段に設定するための「治療プログラム番号」と「接続情報の設定情報」を含んでいる。全体制御手段232は、この接続情報設定パケット251の先頭にローレベルのスタート信号55を付加して制御情報ラインL1へ送信する。
【0110】
図21Bは、電極ブロック201から接続情報の読み出しを行うための制御情報信号である接続情報読出パケットおよび応答パケットのデータ構造を示している。接続情報読出パケット252は、該当刺激制御手段を指定する「ID情報」、該当刺激制御手段か読み出すための「治療プログラム番号」と「接続情報の読出情報」を含んでいる。全体制御手段232は、この接続情報読出パケット252の先頭にローレベルのスタート信号55を付加して制御情報ラインL1へ送信する。ID情報に該当する刺激制御手段では、接続情報読出パケット252を受信すると、自身に設定されている該当治療プログラム番号の接続情報を含む「読出データ」を応答パケット253にして制御情報ラインL1を介して全体制御手段232へ返信する。
【0111】
図21Cは、刺激信号発生のための制御情報信号であるゲート信号のデータ構造である。ゲート信号254は、第1の実施の形態と同様に(図6C参照)、矩形波信号の繰り返しを有し、その先頭には実施する治療プログラム番号が付加されている。ここで、ゲート信号254の矩形波信号の周期は、上述のスタート信号55のローレベルの期間よりも充分に短くなっているので、このスタート信号55の有無により、接続情報設定パケット251および接続情報読出パケット252とゲート信号254が区別される。
【0112】
図20の全体制御ブロック202の説明に戻る。
刺激手段244は、第1の実施の形態の刺激手段44(図5参照)に対応し、刺激信号(刺激パルス信号)を生成するものである。刺激手段244は、不図示のメモリを有し、全体制御手段232から送られる治療プログラムのパラメータ情報をメモリに記憶する。そして、刺激手段244は、全体制御手段232から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有しない制御情報信号であるゲート信号254を受信する。刺激手段244は、このゲート信号254を受信すると、メモリに設定されたパラメータ情報に基づいて刺激信号(刺激パルス信号)を生成し、刺激パルスラインL3に出力する。また、刺激手段244は、該当パラメータ情報に含まれる「電流刺激/電圧刺激選択」に基づいて、電流信号または電圧信号を生成する。
【0113】
次に、第2の実施の形態に係る電極ブロック201の内部構成について詳細に説明する。電極ブロック201−1,201−2,・・・,201−Nは同一構成であるので、代表して電極ブロック201−1について説明する。
【0114】
図20に示すように、電極ブロック201−1の刺激制御手段240−1は、整流回路41、識別手段242、記憶手段243、および接続手段245を備える。
識別手段242は、第1の実施の形態の識別手段42に対応するものであり、全体制御手段232から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有する制御情報信号を受信する。識別手段242は、受信した制御情報信号に含まれるID情報が当該刺激制御手段240−1の固有IDと一致する場合に記憶手段243に対して読み書きを行うが、ここで第1の実施の形態と異なるのは、記憶手段243に対する読み書きの対象が接続情報のみである点である。識別手段242の動作の詳細については、図24を参照して後述する。
【0115】
記憶手段243には、第1の実施の形態と異なり、接続情報のみが治療プログラムごとに記憶される。接続情報として「無接続」、「基準電位」、「刺激手段出力」がある。
【0116】
接続手段245は、第1の実施の形態の接続手段45に対応するものであり、刺激手段244同様、全体制御手段232から出力されて制御情報ラインL1を伝送する、スタート信号55を先頭に有しない制御情報信号であるゲート信号254を受信する。接続手段245は、このゲート信号254を受信すると、記憶手段243に登録された接続情報に基づいて内部スイッチを切り替え、刺激電極13−1に供給する信号を切り替えるものである。ここで第1の実施の形態と、接続手段245は、刺激パルスラインL3を通じて全体制御ブロック202の刺激手段244から刺激信号(刺激パルス信号)を受信する点が異なるが、接続手段245を通じて刺激電極13−1に信号を供するという形態は同じである。
【0117】
上記の刺激手段244と接続手段245は、第1の実施の形態と同様に、全体制御手段232から出力されるゲート信号254により制御される。刺激手段244は、その内部に備えたカウンタ(不図示)でゲート信号254を計数し、その計数内容とゲート信号254の先頭に付加された治療プログラム番号に該当するパラメータ情報に基づいて刺激パルス信号を生成して刺激パルスラインL3へ出力する。各刺激制御手段の接続手段は、ゲート信号254の先頭に付加された治療プログラム番号に該当する接続情報が当該刺激制御手段の記憶手段に登録されているときのみ、接続手段の内部に備えたカウンタ(図示略)でゲート信号254を計数し、その計数内容と接続情報に基づいて刺激電極に「無接続」、「基準電位」、「刺激手段出力」のいずれかを出力する。
【0118】
[生体刺激装置の動作例]
生体刺激装置200の全体制御手段232の動作を、図22、図23のフローチャートを参照して説明する。
まず、体外の磁界発生装置(図17、図18参照)が生体刺激装置200に所定距離まで近づくと、受電回路33、電源回路34がコイル21を介して受信したRF信号から電力を生成し、全体制御ブロック202に電源が投入される。電源投入後のステップS61〜ステップS70までの処理は、第1の実施の形態におけるステップS1〜ステップS10(図7参照)までの処理と同じなので、説明を割愛する。
【0119】
ステップS68の処理が修了後、全体制御手段232は、受信したコマンドが、まず刺激手段244に対する設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS71)。ここで、設定コマンドである場合、全体制御手段232は、記憶手段35に記憶されている治療プログラム情報のパラメータ情報を刺激手段244に出力し、刺激手段244にパラメータ情報を設定する(ステップS72)。この処理が終了後、ステップS62に進む。
【0120】
上記ステップS71の判定処理で、設定コマンドではないと判定した場合、全体制御手段232は、次に刺激手段244に対する読出コマンドであるか否かを判定する(ステップS73)。ここで、読出コマンドである場合、全体制御手段232は、刺激手段244に設定されている治療プログラム情報のパラメータ情報を読み出す(ステップS74)。そして、全体制御手段232は、該当パラメータ情報を含む読出データを通信回路31から磁界発生装置へ送信する(ステップS75)。この処理が終了後、ステップS62に進む。
【0121】
上記ステップS73の判定処理で、刺激手段244に対する読出コマンドではないと判定した場合、全体制御手段232は、受信したコマンドが、電極ブロック201に対する設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS76)。ここで、設定コマンドである場合、全体制御手段232は、記憶手段35に設定されている治療プログラム情報の内容に基づいて、「スタート信号55+接続情報設定パケット251(図21A)」を制御情報ラインL1に送出する(ステップS77)。この処理が終了後、ステップS62に進む。
【0122】
上記ステップS76の判定処理で、設定コマンドではないと判定した場合、全体制御手段232は、次に電極ブロック201に対する読出コマンドであるか否かを判定する(ステップS78)。読出コマンドでない場合、ステップS82に進む。
【0123】
上記ステップS78の判定処理で、読出コマンドであると判定した場合、全体制御手段232は、「スタート信号55+接続情報読出パケット252(図21B)」を制御情報ラインL1に送出する(ステップS79)。そして、全体制御手段232は、接続情報読出パケット252で指定したID情報と一致する電極ブロックの刺激制御手段に設定されている接続情報を、応答パケット253(図21B)により制御情報ラインL1から受信する(ステップS80)。全体制御手段232は、受信した接続情報を含む読出データを通信回路31から磁界発生装置へ送信する(ステップS81)。この処理が終了後、ステップS62に進む。
【0124】
上記ステップS78の判定処理で、電極ブロック201に対する読出コマンドではないと判定した場合、全体制御手段232は、受信したコマンドが、生体刺激装置200に対する治療開始コマンドであるか否かを判定する(ステップS82)。
【0125】
上記ステップS82の判定処理で、生体刺激装置200に対する治療開始コマンドであると判定した場合、全体制御手段232は、治療開始コマンドから実施する治療プログラムを取得する(ステップS83)。そして、全体制御手段232は、メモリ232aに対して治療フラグをオンに設定する(ステップS84)。この処理が終了後、ステップS62に進み、上記ステップS62〜ステップS84(またはS86)の処理を繰り返す。
ここでいう治療プログラムとは、一つまたは複数の治療プログラム番号の羅列である。複数の治療プログラムの例については、図26を参照して後述する。
【0126】
一方、上記ステップS82の判定処理で、生体刺激装置200に対する治療開始コマンドでないと判定した場合、続いて全体制御手段232は、受信したコマンドが、生体刺激装置200に対する治療停止コマンドであるか否かを判定する(ステップS85)。生体刺激装置200に対する治療停止コマンドであると判定した場合、全体制御手段232は、メモリ232aに対して治療フラグをオフに設定する(ステップS86)。この処理が終了後、ステップS62に進み、上記ステップS62〜ステップS84(またはS86)の処理を繰り返す。
【0127】
次に、生体刺激装置200の刺激制御手段240−1の動作を、図24のフローチャートを参照して説明する。なお、各電極ブロック201−1,201−2,・・・,201−Nの刺激制御手段240−1,240−2,…,240−Nは同一構成であるので、代表して電極ブロック201−1の刺激制御手段240−1について説明する。
【0128】
まず、体外の磁界発生装置(図17、図18参照)が生体刺激装置200に所定距離まで近づくと、受電回路33、電源回路34がコイル21を介して受信したRF信号から電力を生成して全体制御ブロック202に電源が投入され、この全体制御ブロック202から出力される制御情報ラインL1の信号を整流回路41が整流することにより、電極ブロック201−1の刺激制御手段240−1に電源が投入される。電源投入後のステップS101,S102の処理は、第1の実施の形態におけるステップS31,S32(図8参照)の処理と同じなので、説明を割愛する。
【0129】
上記ステップS102の判定処理で、刺激制御手段240−1が、受信した制御情報信号にスタート信号55がない(すなわちゲート信号254である(図21C))と判定した場合、接続手段245は、ゲート信号254に付加された治療プログラム番号に該当する接続情報が、記憶手段243に設定されているか否かを判定する(ステップS103)。ここで、記憶手段243に治療プログラム番号に該当する接続情報があると判定した場合、指定された治療プログラム番号の接続情報に従い、接続手段245の動作が制御される(ステップS104)。この処理が修了後、ステップS101へ進む。
【0130】
一方、上記ステップS103の判定処理で、記憶手段243に治療プログラム番号に該当する接続情報がないと判定した場合、ステップS101の処理に進む。
【0131】
上記ステップS102の判定処理で、制御情報信号にスタート信号55がある(すなわち接続情報設定パケット251または接続情報読出パケット252(図21A、図21B))と判定した場合、識別手段242は、制御情報信号に含まれるID情報が電極ブロック201−1(もしくは刺激制御手段240−1)の固有IDと一致するか否かを判定する(ステップS105)。一致しない場合は、ステップS101へ進む。
【0132】
上記ステップS105の判定処理で、制御情報信号に含まれるID情報が電極ブロック201−1(もしくは刺激制御手段240−1)の固有IDと一致する場合、制御情報信号に接続情報の読出情報(図21B)が含まれるか否か判定する(ステップS106)。ここで制御情報信号に接続情報の読出情報が含まれると判定した場合、識別手段242は、記憶手段243から指定された治療プログラム番号の接続情報を読み出す(ステップS107)。そして、識別手段242は、読出データを応答パケットにして制御情報ラインL1へ送出する(ステップS108)。この処理が修了後、ステップS101へ進む。
【0133】
上記ステップS106の判定処理で、制御情報信号に接続情報の読出情報が含まれないと判定した場合、続いて識別手段242は、制御情報信号に接続情報の設定情報(図21A)が含まれるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、制御情報信号に接続情報の設定情報が含まれると判定した場合、識別手段242は、記憶手段243に制御情報信号で指定された治療プログラム番号の接続情報を設定する(ステップS110)。この処理が修了後、ステップS101へ進む。
【0134】
一方、上記ステップS109の判定処理で、制御情報信号に接続情報の設定情報が含まれないと判定した場合、ステップS101へ進む。
【0135】
次に、全体制御手段232による刺激パルス発生の処理(図22のフローチャートのステップS63)を説明する。図25は、刺激パルス発生の処理を示すフローチャートである。
【0136】
まず、全体制御手段232は、記憶手段35に設定されている該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングであるか否かを判定する(ステップS121)。刺激発生のタイミングは、治療プログラム情報のパラメータ情報に含まれる「刺激周波数」により規定されている。該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングでない場合は、図22のステップS64に進む。
【0137】
一方、ステップS121の判定処理で、該当治療プログラム番号の刺激発生のタイミングであると判定した場合、全体制御手段232は、該当治療プログラム番号のパラメータ情報を刺激手段244に出力し、刺激手段244に設定する(ステップS122)。
【0138】
そして、全体制御手段232は、治療プログラム番号を先頭に付加したゲート信号254を制御情報ラインL1に送出する(ステップS123)。刺激手段244はこのゲート信号により制御され、該当パラメータ情報に基づく刺激信号(刺激パルス信号)が生成されて刺激パルスラインL3に送出される。また、上記ゲート信号254は、各電極ブロックの刺激制御手段で受信される。そして、上記治療プログラム番号に該当する接続情報を持つ電極ブロックの接続手段がゲート信号254により制御され、刺激電極へ刺激信号の供給が行われる。この処理が刺激制御手段240−1,240−2,…,240−Nのそれぞれで行われる。この処理が修了後、ステップS64に進む。
【0139】
[複数の治療プログラムの例]
第2の実施の形態において、複数の治療プログラムを実施する場合の具体例を、図26を参照して説明する。
図26は、複数の治療プログラムを実施する場合に、各刺激電極に供給される信号を示したものである。
【0140】
図26に示す例は、治療プログラム数が3つの場合の治療例である。この例では、プログラム1は、刺激電極13−1,13−3に刺激パルス信号を、刺激電極13−2に基準電位信号を同一刺激周波数で発生させている。またプログラム2は、刺激電極13−3に刺激パルス信号を、刺激電極13−4に基準電位信号を上記プログラム1に続いて同一刺激周波数で発生させている。またプログラム3は、刺激電極13−5に刺激パルス信号を、刺激電極13−6に基準電位信号を上記プログラム2に続いて同一刺激周波数で発生させている。
【0141】
図26に示すプログラム1では、刺激電極13−1と刺激電極13−3に対し、同じ刺激パルス振幅の刺激パルス信号を発生させている。このように、第2の実施の形態では、全体制御ブロック内に一つの刺激手段を有しているので、同一治療プログラムでは複数の刺激電極に対する刺激パルス信号は同じ波形になる。
【0142】
第2の実施の形態によれば、全体制御ブロック内に一つの刺激手段を設け、電極ブロックごとに刺激手段を設けない構成としたので、生体刺激装置のボディの電極ブロック部分の直径を第1の実施の形態のものより細くすることができる。これにより、挿入の際に生体へ与える負荷を軽減できる。第2の実施の形態は、その他、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0143】
以上、本発明の各実施の形態の例について説明したが、本発明は上記各実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことはいうまでもない。
【0144】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0145】
1…電極ブロック、2…全体制御ブロック、3…コイルブロック、11…ボディ、12…先端部、13…刺激電極、14…末端部、21…コイル、22…全体制御ブロック基板、23…刺激制御基板、25…配線、31…通信回路、32…全体制御手段、33…受電回路、34…電源回路、35…記憶手段、40…刺激制御手段、41…整流回路、42…識別手段、43…記憶手段、44…刺激手段、45…接続手段、51…接続/パラメータ情報設定パケット、52…接続/パラメータ情報読出パケット、53…応答パケット、54…ゲート信号、55…スタート信号、100…生体刺激装置、100A…ルーメン、156…磁界発生装置、200…生体刺激装置、201…電極ブロック、202…全体制御ブロック、232…全体制御手段、240…刺激制御手段、242…識別手段、243…記憶手段、244…刺激手段、245…接続手段、251…接続/パラメータ情報設定パケット、252…接続/パラメータ情報読出パケット、253…応答パケット、254…ゲート信号、L1…制御情報ライン、L2…基準電位ライン、L3…刺激パルスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の筋肉または神経の近くに配置される複数の刺激電極と、
該複数の刺激電極のそれぞれに接続する複数の刺激制御手段と、
該複数の刺激制御手段と接続する1つの全体制御手段と、からなる生体刺激装置であって、
前記複数の刺激制御手段はそれぞれ、前記筋肉または神経に対する電気刺激を発生する刺激手段と、前記刺激電極を前記刺激手段に接続あるいは基準電位に接続あるいは無接続とする接続手段を備え、
前記全体制御手段は、前記複数の刺激制御手段に対して制御情報を発することにより、少なくとも2つの前記刺激手段と前記接続手段を制御して、前記筋肉または神経に対する電気刺激を行う
生体刺激装置。
【請求項2】
前記複数の刺激電極の少なくとも2つが、前記基準電位に接続される
請求項1に記載の生体刺激装置。
【請求項3】
前記複数の刺激電極の少なくとも2つが 該少なくとも2つの刺激手段に接続する前記刺激制御手段の前記刺激手段に接続される
請求項1または2に記載の生体刺激装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記刺激手段が発生する電気刺激の強度が、他の前記刺激手段が発生する電気刺激の強度と異なる
請求項3に記載の生体刺激装置。
【請求項5】
前記刺激制御手段のそれぞれは前記接続手段の接続情報および前記刺激手段のパラメータ情報を保持する記憶手段を備え、前記刺激手段および前記接続手段が前記記憶手段の前記情報に基づいて制御される
請求項1〜4のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項6】
前記記憶手段が前記刺激手段のパラメータ情報および前記接続手段の接続情報を治療プログラムごとに複数保持する
請求項5に記載の生体刺激装置。
【請求項7】
生体内の筋肉または神経の近くに配置される複数の刺激電極と、
該複数の刺激電極のそれぞれに接続する複数の刺激制御手段と、
該複数の刺激制御手段のそれぞれに接続して前記筋肉または神経に対する電気刺激を発生する1つの刺激手段と、
前記複数の刺激制御手段および前記1つの刺激手段と接続する1つの全体制御手段と、からなる生体刺激装置であって、
前記刺激制御手段はそれぞれ、前記刺激電極を前記刺激手段に接続あるいは基準電位に接続あるいは無接続とする接続手段と、前記接続手段の接続情報を治療プログラムごとに複数保持する記憶手段を備え、
前記全体制御手段は、前記複数の刺激制御手段に対して制御情報を発することにより、前記刺激手段と少なくとも2つの前記接続手段を制御して、前記筋肉または神経に対する電気刺激を行う
生体刺激装置。
【請求項8】
前記複数の刺激電極の少なくとも2つが、前記基準電位に接続される
請求項7に記載の生体刺激装置。
【請求項9】
前記複数の刺激電極の少なくとも2つが、前記刺激手段に接続される
請求項7または8に記載の生体刺激装置。
【請求項10】
前記複数の刺激制御手段のそれぞれが固有の識別情報に応答する識別手段を備え、前記全体制御手段が、前記刺激制御手段に対して前記識別情報を含む制御情報を発することにより、前記識別情報で特定される前記刺激制御手段の前記記憶手段にアクセスする
請求項5〜9のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項11】
全体制御手段が、前記複数の治療プログラムの中から1つを選択する制御情報を発することによって、前記筋肉または神経に対する電気刺激を行う
請求項6〜10のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項12】
前記全体制御手段が、前記選択する制御情報を時分割で発することにより、少なくとも2つの前記治療プログラムを実施する
請求項11に記載の生体刺激装置。
【請求項13】
前記刺激制御手段に対する前記制御情報がシリアル信号で伝達される
請求項1〜12のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項14】
前記シリアル信号が、前記全体制御手段と前記複数の刺激制御手段との間を1本の信号線で伝達される
請求項13に記載の生体刺激装置。
【請求項15】
前記複数の刺激制御手段はそれぞれ、前記シリアル信号を整流する回路を有し、該整流回路から電力を得る
請求項14に記載の生体刺激装置。
【請求項16】
前記生体刺激装置が、体外から電力を得るための受電回路および/または体外と通信を行うための通信回路を備える
請求項1〜15のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項17】
前記生体刺激装置は、可撓性を有する細長のボディに収容され、前記複数の刺激電極は、前記ボディの先端部から末端部に向けて配列されるとともに外部に一部露出し、前記受電および/または通信のためのコイルが前記末端部に配置される
請求項16に記載の生体刺激装置。
【請求項18】
前記ボディが、前記末端部に生体への固定手段を有する
請求項17に記載の生体刺激装置。
【請求項19】
前記固定手段により前記生体へ固定した場合に、前記ボディに前記複数の刺激電極が配列された範囲内に刺激を行う前記筋肉または神経が位置するボディの長さを有する
請求項18に記載の生体刺激装置。
【請求項20】
前記ボディの内部に前記末端部から前記先端部付近にかけてルーメンが形成される
請求項17〜19のいずれかに記載の生体刺激装置。
【請求項21】
前記刺激電極が脊髄硬膜外腔に留置され、前記刺激電極により脊髄神経を刺激する
請求項1〜20のいずれかに記載の生体刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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