説明

生体吸収性の制御放出組成物

特に一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質の制御放出用の医薬組成物を製造するのに用いられるための、高密度化され、かつ少なくとも部分的に、好ましくは完全にもしくはほぼ完全に水和されたセラミックの、新規な製造方法。
上記の方法は、硫酸カルシウムのような生体吸収性で水和可能なセラミックを水和し、高密度化する付随工程を含む。
本発明は、そのような高密度化されたセラミックを含む組成物にも関する。この医薬組成物は、活性物質、例えば抗がん剤の標的化され制御された局所持続放出に有用である。これにより、局所濃度−時間プロファイルが最適化されて、副作用のスペクトルおよび重篤度が最小化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、一つまたはそれ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を制御放出するための、医薬組成物の製造に用いられる、高密度化され、少なくとも部分的に、好ましくは完全にまたはほぼ完全に水和されたセラミックの新規な製造方法に関する。
【0002】
この方法は、生体吸収性で水和可能なセラミックを水和し、高密度化する付随工程を含んでいる。
本発明は、そのような高密度化されたセラミックを含む組成物にも関する。該医薬組成物は、活性物質たとえば抗癌剤の、標的化され制御された局所徐放のために有用であり、その結果、最適化された局所濃度−時間プロファイルによって、副作用のスペクトルと重篤度が最小化される。
【背景技術】
【0003】
これまでに、局所的で、制御されそして/または標的化された送達療法のための、さまざまな薬剤送達システムが開発されてきた。その多くのものは、治療的に活性な物質の担体としての、生体吸収性(または生体崩壊性)ポリマー、生体吸収性セラミックおよび/またはヒドロゲルに基づいている。
【0004】
一般的に用いられる生体崩壊性ポリマーは、ポリ乳酸および乳酸−グリコール酸共重合体である。種々のカルシウム塩に基づくセラミック、たとえばリン酸カルシウムもしくは硫酸カルシウム系、またはヒドロキシアパタイトが、薬剤、例えばホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗癌剤、鎮痛剤、抗凝血剤および骨成長因子を、活性型または不活性型の両方で担持し、周りの組織へ放出するための、ビーズ、顆粒、骨組みまたは成型可能なペーストの形で記載されてきた。
【0005】
これらのセラミックは、水と化学的に反応して水和物を形成するそれらの能力によって、水和可能なまたは水和したセラミックとしてしばしば言及されている。例えば、Royer US 6,391,336、US 6,630,486、US 2003/0170307を参照。
【0006】
生体吸収性(または生体崩壊性)および水和可能なセラミック担体が用いられる場合、放出メカニズムは、水和による固結後の、水和可能なセラミック物質の特有の性質に依存している。例えば、半水和型の硫酸カルシウムは、追加の水と急速に結合して、硫酸カルシウム2水和物を形成する。
【0007】
セラミック粉末と活性薬剤の混合物が水にさらされて水和した場合、該活性薬剤またはプロドラッグが、水和された物質のマトリックス/担体中に結合される。水和反応において結合可能であり、粉末粒子の間の空間を満たすために形成される水和相の可能な量を制限する、限られた量の水、および水和が進行するための少なくともある程度の水輸送の必要性などの因子の組合せによって、水和の後にある程度の細孔が残る。
【0008】
通常の水和の結果として形成される細孔は、残留微細孔と呼ばれることもある。硫酸カルシウム半水和物の通常の水和の後、該微細孔は約30−50容量%になる。インビボの状況において、活性薬剤またはプロドラッグが、例えば細孔システムによる拡散および/または担体物質の浸食を含むメカニズムにより、担体から放出されて周囲へ進入する。
【0009】
例えば、硫酸カルシウムのようなセラミック物質は、活性物質の制御放出のためのインプラント材料として提案されてきた(例えば、Royer US 6,391,336、US 6,630,486、US 2003/0170307を参照)。
セラミックからの活性物質のより遅くて制御された放出を実現するために、Royerは活性物質と複合体を形成する重合性物質である複合化試剤を用いることにより、より遅い薬剤放出を実現している。
【0010】
該生体吸収性セラミックスは、生体適合性および生分解性のポリマーに比べて、制御放出投与における医薬製剤にとって多くの好ましい性質を有している。一般的に、生体吸収性セラミックスは非毒性であり、哺乳類の生きた組織に通常存在する分子に基づいている。硫酸カルシウムは、吸収性で生体適合性の材料であり、時間の経過により消失することから、特に魅力的である。
【0011】
しかしながら、セラミック担体からの治療物質の放出速度は、コントロールが困難であることが分かってきた。リン酸カルシウムおよび硫酸カルシウム由来のセラミック系の両方において、該放出速度は長期薬剤送達システムのためには高すぎる。さらに、場合によっては、より遅い長期間にわたる制御放出投与と組み合わさった即時および/または急速なブースト様治療投与との組合せを提供する製剤が望まれる。
【0012】
PCT出願WO 05/039537は、生体吸収性で水和可能なセラミック、吸着水性媒体および活性物質を含む医薬組成物を開示している。そこに記載されている組成物では、細孔をシールすることによって放出速度を制御している。
【0013】
本発明は、治療薬剤の担体として用いられたとき、生体吸収性で水和可能なセラミックの薬剤放出速度を低減させて制御する技術を提供する。この発明により、同一の医薬製剤における、より速い放出とより遅い放出との特性の組合せも達成される。
【発明の開示】
【0014】
発明の要約
本発明は、第一の態様として、高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミックの製造方法を提供する。
特別の態様において、該方法によって得られたセラミックは完全にまたはほぼ完全に水和されている。この方法は、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスを、外部圧力の下でのセラミックの水和を含む工程に付すことを含んでいる。
【0015】
該水和は、化学的な工程であり、たとえば硫酸カルシウムの場合、該水和は硫酸カルシウム半水和物を硫酸カルシウム2水和物に変換させる。該工程は、通常、最大でモル当量の水を(任意に一つ以上の添加物を含む水性媒体の形で)粉末または結晶形態のセラミックに加えることにより開始される。
しかしながら、明細書中で記載されているように、水和工程の開始および/または水和工程の継続を遅らせ、その結果、セラミックの養生のための時間を遅らせるために、添加物を水性媒体に加えてもよい。
【0016】
外圧を付与するために用いられる装置によっては、セラミックを外圧に付す前(たとえば数時間前)または直前に、あるいは装置がそのように設計されている場合には、外圧を適用している間に、水を加えることができる。
【0017】
水和可能なセラミックスは、水と結合して含水量の多い結晶を形成する能力を有している。水和可能なセラミックスに水が加えられると、粉末粒子は水分豊富な新しい結晶形態に変わる。この水和反応は再結晶であり、しばしば粉末−水混合物の固体物質への固化をもたらす。
【0018】
水和の速度および水の吸収能は、セラミックスの水和形式、および粒子径、温度、pH値などのようなシステム・パラメータによって変動する。開始時のセラミックは水を含まないか、あるいは半水和型であってもよい。いくつかのセラミックスは、水を含まない型と完全水和型との間に中間的な水和型を形成する。それぞれの水和可能セラミックにおいて、追加の水と結合できない確定した完全水和型も存在する。
【0019】
硫酸カルシウムの特に興味深いのは、水を含まない無水形、硫酸カルシウム1単位あたり0.5単位の水との中間水和形、および硫酸カルシウム1単位あたり2単位の水との完全水和硫酸カルシウム2水和物が存在することである。
【0020】
別の態様において、本発明は、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスと、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質を含む医薬組成物に関する。ここで、一つ以上の活性物質の少なくとも一部は、高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミック中に存在している。
【0021】
本発明による医薬組成物は、延長された期間、特に、例えば少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、あるいは少なくとも6か月のように、少なくとも3日間またはより長い期間にわたって、活性物質を放出するように意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明者らは、セラミック担体に基づく医薬組成物の薬剤放出速度が、活性物質を含むセラミックを高密度化および水和の数工程に付すことにより、調整され、低減され得ることを見出した。
セラミックスの高密度化は、セラミック組成物を外部圧力に付すことによって達成される。この高密度化は、圧力が適用されている間に、少なくとも部分的な水和、すなわち(セラミックが硫酸カルシウムの場合)硫酸カルシウム2水和物を形成する水との反応により、さらに最適化してもよい。
【0023】
特別の態様において、高密度化の工程中に殆ど完全な水和が達成される。高密度化中の水和は、活性物質の放出を遅延させる観点から有利である。明細書中の実施例を参照。
圧力が制御された高密度化および水和の両方が、高密度化された構造を形成するのに寄与している。この構造は、一つ以上の活性物質をよりよく取り込むことにより、薬剤の放出速度を低下させる。
【0024】
制御放出用の医薬組成物
一つの態様において、本発明は、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスと、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質とを含む医薬組成物に関し、ここで該活性物質の少なくとも一部は、高密度化されて少なくとも部分的に水和されたセラミック中に存在する。
【0025】
「高密度化されたセラミック」という用語は、任意に外部圧力の下での少なくとも部分的な水和と組み合わさって、圧力、外部から付される圧力、例えば圧縮に付されたセラミックをいい、それにより、少なくとも部分的に水和されたセラミックの孔径および多孔率が減少し、セラミックの高密度化された構造になる。
【0026】
この方法により、高密度化は、高密度構造を得るために生じるセラミックの水和と同時に行われる。得られた高密度化構造(硫酸カルシウムで例示される)は、例えば大きくて約75nm、大きくて約50nm、または大きくて約10nmのような、大きくても約100nmの典型的な孔径、および例えば高くて約5%、高くて約3%、高くて約2%、または高くて約1%のような、高くても約10%の多孔率によって特徴づけられる。
例えば、少なくとも100MPa、好ましくは200MPaまたはそれ以上の適用圧力下での水和は、多孔率を10%以下に低減させ、孔径を100nm以下に減少させる。
【0027】
本発明によると、外部圧力を適用するためにいくつかの技術、例えば一軸圧縮または静水圧圧縮(熱間または冷間)が用いられる。選択された活性成分を含む硫酸カルシウムの前形成体に適用される冷間静水圧圧縮(CIP)は、高密度化されて均質な物体を製造するのに効果的な方法であることが見出された。
【0028】
最適な高密度化のために、加圧中に例えばカプセル(たとえば弾性バルーン)のようなものでセラミック体を被覆してもよい。
適用される圧力は、通常、例えば少なくとも100MPa、少なくとも約200MPa、好ましくは300MPaまたはそれ以上のような、少なくとも50MPaである。しかしながら、必要な圧力は採用される圧縮装置に依存する。
【0029】
したがって、上記の圧力はCIPの場合に適しており、例えば均等一軸圧縮のような場合には、該圧力は例えば高くて約200MPa、好ましくは約300MPa以上、約400MPa以上、あるいは約500MPa以上のような、より高い圧力が通常適用される。
【0030】
本発明の一つの態様において、高密度化セラミックは外部圧力または圧縮に付される。適切な圧力は、少なくとも100MPa、好ましくは200MPaまたは少なくとも300MPaのような、より高い圧力である。
【0031】
明細書中の実施例から分かるように、該高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミックは、外部圧力の適用中に部分的にまたは完全に水和されることができ、そして/または高密度化処理中に部分的に水和される場合には、外部圧力の適用後に、完全またはほぼ完全な水和に付してもよい。
【0032】
この明細書において、「水和」という用語は、例えば硫酸カルシウム半水和物を硫酸カルシウム2水和物に変態させる化学的なプロセスをいう。この水和工程は、典型的には、硫酸カルシウム半水和物に水性媒体を加えることによって開始され、加えられた水の量および硫酸カルシウム半水和物の量によって、水和は部分的であるか、あるいは完全となる。
【0033】
この明細書において、「部分的に水和された」という用語は、加えられた水性媒体の量が、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスを水和するのに必要な化学量論量の少なくとも約20%に相当する量であるセラミックを示すことを意図している。
【0034】
一方、「完全に水和された」という用語は、加えられた水性媒体の量が、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスを水和するのに必要な化学量論量の少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、特に100%に相当する量であるセラミックを示すことを意図している。
【0035】
この明細書において、「生体吸収性」という用語は、体液または器官の中で溶解および/または分解し、あるいは人体により別の方法で消去され得る物質を示すことを意図している。
【0036】
一つの態様において、一つ以上の水和可能で生体吸収性のセラミックスは、例えば少なくとも100MPaの外部圧力に曝されたときに、例えば高くて約5%、高くて約3%、高くて約2%、または高くて約1%のような、高くても約10%の多孔率を有している。
【0037】
多孔率または微細孔率という用語は、材料中に分布しているミクロン・サイズの細孔をいう。このタイプの多孔率は、例えば理想的な密度の物体の密度に対するある物体の密度を比較することにより、または既知の比重の媒体による細孔への進入によって起こる密度の増加を測定することによって、あるいはHg多孔度測定法のような方法(例えばMicromeritics AutoPore III 9410)を使用することによって、または顕微鏡を使用することによって、測定することができる。
【0038】
本発明者らは、セラミック粉末、活性物質および吸着水性媒体の混合物に対する外部圧力適用が、低い多孔率および容積のより狭い細孔ネットワークにより特徴付けられる、より好ましい微細構造をもたらすことを見出した。
【0039】
あるいは、セラミック粉末および活性物質の混合物を、低圧圧縮、例えば20MPaにより圧縮される第一工程、およびそれに続く少なくとも100MPaのような高圧による第二工程に付してもよい。
【0040】
この水和は、典型的に、高圧の適用中に(すなわち、通常、低圧での圧縮中でなく)生じる。この低い多孔率は、高密度化された微細構造に埋め込まれている活性物質および/またはプロドラッグ物質の薬剤放出速度を低下させる。
【0041】
高密度化された構造からの薬剤放出は、インプラント細孔からの浸出によるよりも、主として侵蝕および/または医薬組成物全体の吸収/溶解により生じると信じられている。
【0042】
孔径が小さくなるほど、また多孔率が低下するほど、セラミック担体からの活性物質およびプロドラッグ物質の拡散によって、活性物質の放出がより少なくなるものと予測されている。
【0043】
高密度化セラミック(硫酸カルシウムにより例示される)は、例えば、大きくて約75nm、大きくて約50nm、または大きくて約10nmのような、大きくて約100nmの典型的孔径、および例えば高くて約5%、高くて約3%、高くて約2%、または高くて約1%のような、高くても約10%の多孔率によって特徴付けられる。
【0044】
例えば、少なくとも100MPa、好ましくは200MPa以上の適用圧力の下での水和は、多孔率を10%以下に低減させ、孔径を100nm以下に減少させる。上で述べた数値の偏差は、用いられるセラミックに関連している。
【0045】
本発明によると、生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスは、いくつかの生体吸収性および生体適合性の水和可能なセラミックスから選ばれる。該セラミックは、非水和、水和、すなわち完全水和、半水和または部分的水和のいずれでもよい。
【0046】
本発明による組成物に用いるのに適した水和可能なセラミックスは、例えば、α−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム2水和物のような硫酸カルシウム;リン酸カルシウム;炭酸カルシウム;フッ化カルシウム;ケイ酸カルシウム;硫酸マグネシウム;リン酸マグネシウム;炭酸マグネシウム;フッ化マグネシウム;ケイ酸マグネシウム;硫酸バリウム;リン酸バリウム;炭酸バリウム;フッ化バリウム;およびケイ酸バリウム;ならびにこれらの混合物からなる群から選択され得る。これらのセラミックスのどのような組合せも、本発明に関連している。
【0047】
本発明の好ましい態様において、生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスは、例えばα−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムまたは硫酸カルシウム半水和物、あるいは硫酸カルシウム2水和物のような非水和、水和、半水和または部分的水和の硫酸カルシウムである。
【0048】
さらに、以下に記載する生体吸収性で水和可能なセラミックスを高密度化する方法、および詳細に記載する実施例から明らかなように、該高密度化およびそれによる薬剤放出速度の減少は、いくつかの可能な方法により増強される。
【0049】
例えば、出発するセラミック粉末が、細かい粒子径、大きくて約8μm、大きくて約7μm、大きくて約6μm、または大きくて約4μmのような、好ましくは10ミクロン以下を有する場合、圧力の効果は向上する。
【0050】
したがって、本発明の一つの好ましい態様では、高密度化セラミックの製造に採用される生体吸収性で水和可能なセラミックが、高密度化の前に粉砕され、大きくても約10μmの平均粒子径になるようにされる。
【0051】
本発明の別の好ましい態様では、高密度化セラミック部分の製造に採用される生体吸収性で水和可能なセラミックが粉砕とともに、例えば凍結造粒法により造粒される。採用するのに適した他の造粒法は、例えば湿式造粒法または乾式造粒法である。
【0052】
本発明によると、一つ以上のセラミックスを水和するのに用いられる水の総量は、生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスを完全にまたはほぼ完全に水和するのに必要な化学量論量に相当するのが好ましい。
【0053】
あるいは、高密度化された一つ以上のセラミックスにおける水の総量は、生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスを水和するのに必要な化学量論量の、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のような、少なくとも約50%に相当する。
【0054】
しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、一または二工程の方法において水性媒体を加えることによる、一または二工程の水和が高密度化をさらに改善することを見出した。
【0055】
一工程の方法は高密度化の前における水性媒体の添加を含み、二工程の方法は典型的に一部分の水性媒体を高密度化の前またはその間に添加し、残りの部分を圧縮工程の後に添加することを含み、こうすることにより高密度化がさらに改善される。
【0056】
したがって、最適化された高密度化の効果は、例えば硫酸カルシウムと、水性媒体の化学量論量よりも少ない量(例えば理想的完全水和において結合している量よりも少ない水)との前形成体を、圧縮することにより達成される。残りの水性媒体は、好ましくは水和後の工程で圧力の解除後に添加される。
【0057】
例えば化学量論量以上の、または化学量論量と同量の水は、自由な非結合の水和に参加しない水のポケットとなり、理想的な高密度化を妨げるものと思われている。
【0058】
本発明の特定の態様において、高密度化の前またはその間にセラミックに添加される水性媒体の量は、化学量論量よりも少ない量であり、残りの水性媒体は完全な水和を許容するために、最初の高密度化の後の後−水和工程において添加される。
【0059】
本明細書において、「後−水和」という用語は、高密度化工程の後での水の添加を記載するために用いられ、さらなる水和が高圧高密度化工程の後で起こる。
【0060】
本発明の特定の態様において、生体吸収性で水和可能なセラミックの製造のための出発材料は、硫酸カルシウム半水和物であり、吸着水性媒体の総量は最高で1.5±0.015当量の水である。
【0061】
硫酸カルシウム半水和物結晶は、硫酸カルシウム1.0モル当たり0.5モルの水を含んでいる。したがって、完全水和物、すなわち硫酸カルシウム2水和物の形成のためには、1.5モルの追加の水が必要である。
【0062】
本発明の組成物は、棒状、円柱状、錠剤、ビーズ、または微粒子の形態であり得る。ある態様において、該組成物は投与前に水性媒体と混和されるように意図される。そのような組成物は、インビボ投与の後、その場で治療するように設計されていてもよい。
【0063】
一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質は、高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミック中に分散(均質分散を含む)され得るか、または該セラミックは一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質を全体的にまたは少なくとも部分的にカプセル化していてもよい。
【0064】
本発明による医薬組成物において、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質は、高密度化されたセラミック中に均質に分散されている。
当該活性物質の高密度化セラミック内への薬剤の充填量は、たとえば多くて40重量%、多くて35重量%、多くて25重量%、多くて20重量%のような、多くて約50重量%である。
【0065】
先行技術に記載されているように、微細孔は疎水性の性質を有する医薬添加剤で部分的にシ−ルされていてもよい。
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明による組成物に含まれる一つ以上の医薬物質それ自体が、その放出速度を減少させ得ることを見出した。
【0066】
以下の実施例から分かるように、薬剤充填量の増加が、驚くべきことに、有意に低い放出速度をもたらしている。この効果に対する考えられる仮説は、医薬物質が疎水性試剤として作用し、部分的に微細孔をシールしているというものである。
【0067】
例えば、活性物質の量を、硫酸カルシウム半水和物1g当たり2−ヒドロキシフルタミド50mg(5重量%)から硫酸カルシウム半水和物1g当たり100mg(10重量%)に変化させると、放出速度がより延長された期間にわたって制御される。
【0068】
したがって、本発明の好ましい態様において、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質の薬剤充填量は、例えば多くて40%、多くて35%、多くて25%、多くて20%のような、多くて約50%である。
【0069】
本発明による医薬組成物は、制御放出、特に持続性制御放出が要求されるような治療的、予防的および/または診断的活性物質のいずれにも適用される。
関連する薬理クラスの例は、例えば抗癌剤である。抗癌剤、すなわち新生物剤に関して、本発明はホルモン剤、抗ホルモン剤、化学療法剤および/またはその他の薬剤の標的化され、制御された局所放出のために用いられ得る。
【0070】
本発明の好ましい態様において、高密度化されたセラミック中の一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質は、前立腺関連疾患または症状に用いるのに適している。
【0071】
さらに、本発明のより特定された態様において、活性物質は、アンドロゲンまたはその誘導体、抗アンドロゲンまたはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲンまたはその誘導体、ゲスタゲンまたはその誘導体、抗ゲスタゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスタゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類似体もしくは誘導体、ゴナドトロピン阻害剤またはその誘導体、副腎および/または前立腺酵素阻害剤、膜排出および/または膜内輸送蛋白質、免疫系調整剤、血管新生阻害剤、あるいはそれらの組合せである。
【0072】
本発明の組成物は、局所または全身性の持続性薬剤放出のため、軟組織または器官に適用されるのに適した他の適切な活性物質のいずれかを含んでいてもよい。
【0073】
本発明の持続性薬剤放出組成物は、他の治療、例えば:疼痛、神経性疾患(アルツハイマー、パーキンソン)、自己免疫疾患、免疫学的疾患、および免疫学的および免疫調整療法に関連した疾患(肝炎、MS、腫瘍)、感染症、炎症、代謝性疾患、肥満症、尿生殖器の疾患、心血管系疾患(血圧を含む)、造血、抗凝集、血栓および抗血小板疾患、寄生虫感染の化学療法、微生物疾患および腫瘍性疾患、高コレステロール症、脂質異常症、血液疾患、呼吸器疾患(喘息、慢性肺障害)、腎臓疾患、消化器疾患、肝臓疾患、ホルモン崩壊、代替物および置換物、ビタミンの代替物および置換物のような、他の治療においても探索され得る。
【0074】
本臨床的文脈における使用のための種々の薬理クラスからの活性物質の例は、例えば、抗菌剤、抗ヒスタミン剤および充血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤または殺トリコモナス剤、鎮痛剤、抗不安剤、抗血栓剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗凝血剤、鎮痙剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗緑内障剤、抗マラリア剤、抗微生物剤、抗腫瘍剤、抗肥満剤、抗精神病剤、抗高血圧剤、自己免疫疾患症剤、抗インポテンツ剤、抗パーキンソン症剤、抗アルツハーマー症剤、解熱剤、抗コリン剤、抗潰瘍剤、食欲減退剤、ベータブロッカー、ベータ−2−作動剤、アルファ受容体拮抗剤および作動剤、血糖低下剤、気管支拡張剤、中枢神経系作用剤、心臓血管系剤、向知性剤、避妊剤、コレステロール降下剤、脂質異常症治療剤、細胞増殖抑制剤、利尿剤、殺菌剤、H−2阻害剤、ホルモン剤、抗ホルモン剤、睡眠剤、強心剤、筋弛緩剤、筋収縮剤、精神賦活剤、鎮静剤、交感神経作用剤、血管拡張剤、血管収縮剤、トランキライザー、電解質補充剤、ビタミン剤、尿酸排泄剤、強心配糖体、膜排出阻害剤、膜内輸送蛋白阻害剤、去痰剤、下剤、コントラスト剤、放射性医薬品、造影剤、ペプチド類、酵素類、成長因子類、ワクチン、微少金属元素などを含む。
【0075】
治療的、予防的および/または診断的活性薬剤物質は、薬学的に許容される塩、溶媒和物またはそれらの複合体、あるいは適切な結晶形または無晶形のいずれか、あるいはプロドラッグの形態であってもよい。
【0076】
特定の態様において、活性物質は、一つ以上のアルキル化剤、一つ以上の代謝拮抗剤、一つ以上の抗有糸分裂剤、一つ以上のトポイソメラーゼ阻害剤、一つ以上の生物学的細胞調節剤、一つ以上のホルモン剤または抗ホルモン剤、および同様なもののような、一つ以上の細胞増殖抑制剤である。
【0077】
より特定的には、一つ以上の活性物質は次のようなものであってもよい。
例えば、メファラン、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、クロラムブシル、ロムスチン、カルボプラチン、テモゾロミド、トレオスルファンのようなアルキル化剤;
【0078】
例えば、ペメトレキセド、シタラビン、アザチオプリン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、クラドリビン、メトトレキサート、テガフール、ウラシル、カペシタビンのような代謝拮抗剤;
【0079】
例えば、ビノレルビン、ビンクリスチン、パキタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチンのような抗有糸分裂剤;
【0080】
例えば、ドキソルビシン、アムサクリン、イリノテカン、ダウノルビシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、トポテカン、マイトマイシン、ミトキサントロンのようなトポイソメラーゼ阻害剤;
例えば、ブレオマイシンのような生物学的細胞調節剤;
【0081】
例えば、リン酸ポリエストラジオール、エストラジオール、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、レトロゾール、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ゴセレリンのようなホルモン剤または抗ホルモン剤;
【0082】
アスパラギナーゼ、
例えば、イマチニブのようなチロシンキナーゼ阻害剤。
【0083】
例えば、ミトタン、セレコキシブ、レノグラスチム、インターフェロン−γ−1b、インターフェロン−α−2b、ペグフィルグラスチム、フィルグラスチム、アルデスロイキン、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、ボルテゾミブ、テモポルフィン、レブリン酸メチルアミン、アナグレリド、リン酸エストラムスチンのような他の薬剤。
【0084】
好ましい態様において、活性物質は、以下に記載するものを含む前立腺関連の疾患または症状の治療に適している。
【0085】
特に関心のある特定の態様において、本発明の組成物は、前立腺疾患、より特定的には良性前立腺肥大、前立腺癌、および/または前立腺症の治療における使用に適している。
【0086】
前立腺関連疾患の治療には、特定の抗アンドロゲン剤のような抗癌剤を使用することが特に有用である。
本発明のより好ましい態様において、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質は、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、シプロテロン、ニルタミドもしくはビカルタミド、または同様のものである。さらに、抗アンドロゲンとゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類似体との組合せを使用するのが好ましい場合もある。
【0087】
活性物質を含む本発明の組成物は、最少侵襲的技法により局所的に適用することができ、薬剤の延長された期間にわたる持続性(制御)局所放出プロファイルが得られる。
【0088】
活性物質のそのような局所的および持続的送達は、活性物質の局所濃度−時間プロファイルおよびそれらの薬理学的局所効果を最適化して、全身的暴露を最少化し、その結果副作用を減少させる。したがって、活性物質および活性物質を含む医薬組成物の安全性と有用性を増加させる。その上、治療のコンプライアンスが強化される。
【0089】
本発明の別の態様において、高密度化セラミック中の治療的、予防的および/または診断的活性物質は、アンドロゲンまたはその誘導体、抗アンドロゲンまたはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲンまたはその誘導体、ゲスタゲンまたはその誘導体、抗ゲスターゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスタゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類似体もしくは誘導体、ゴナドトロピン阻害剤またはその誘導体、副腎および/または前立腺酵素阻害剤、膜排出および/または膜内輸送蛋白質、免疫系調整剤、血管形成阻害剤、あるいはそれらの組合せである。
【0090】
さらに、本発明者らは、高密度化セラミックを制御放出用途に単独で用い、あるいは第二の部分と組み合わせて用いることを見出した。
高密度化セラミックを第二の部分に埋め込むことにより、放出をさらに調節し、減少させることができる。
【0091】
したがって、本発明による医薬組成物は、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、治療的、予防的および/または診断的活性物質(高密度化セラミックに含まれるものと同じであっても、異なっていてもよい)、一つ以上の生体吸収性セラミックス(高密度化セラミックに含まれるものと同じであっても、異なっていてもよく、あるいは異なるセラミックスの混合物でもよい)、または例えば異なる活性物質を含み、そして/または第一の部分と比べて異なる放出性能を有している一つ以上の高密度化された、または高密度化されたセラミックスからなる第二の部分を、任意にさらに含んでいてもよい。
【0092】
第二の部分が生体吸収性セラミックを含む場合、それは非水和、半水和、部分的水和、または完全水和の形態であってもよい。この選択は、個々の用途に依存する。
【0093】
ある場合には例えば活性物質の放出のさらなる遅延のために、水和可能な形態で使用するのが適切であり、他の状況では水和された形態を使用するのが適切である場合もある。さらに、第二の部分に含まれる活性物質は実質的に即時放出であってもよい。
【0094】
したがって、本発明は柔軟な送達システムを提供し、そこでは高密度化されたセラミックと高密度化されていないセラミックとが組み合わされ、これらのセラミックスすべてまたはいくつかが一つ以上の、同じまたは異なる活性物質を含んでいて、望ましい放出速度および放出時間が得られる。
【0095】
生体吸収性で水和可能なセラミックを含む第二の部分を水和することにより、即時使用できる製品が得られる上記の場合、組成物中にカルボン酸基を含む有機酸を組み込むか、またはそれを水和開始に用いられる水に加えると、有利な場合もある。
【0096】
そのような化合物は、水和工程を遅延させ、したがって治療前の特定の期間の経過後に即時使用できる製品の投与を可能にする(すなわち、即時使用製品が製造された直後に投与される必要はない)と信じられている。
【0097】
さらに、第二の部分はゲル化剤、膨潤化剤、または高密度化セラミックを少なくとも部分的に囲む、生体吸収性で水和可能な第二のセラミックを含むことができる。
【0098】
明細書中で使用される「少なくとも部分的に囲む」という用語は、例えば、高密度化された部分を覆う第二の部分の層による被覆、または高密度化された部分が埋め込まれるマトリックス、または高密度化された部分の投与のために使用される担体について記載するために用いられる。第二の部分は、ゲルまたはペーストあるいは粘性の媒体であってもよい。
【0099】
適切なゲル化剤または膨張化剤は、アルギン酸、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、ポリアクリル酸、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、プラスドン、ナトリウムクロスカルメロース、ナトリウム澱粉グリコレート(Explotab)および澱粉、あるいはそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0100】
本発明による医薬組成物における任意の第二の部分が、生体吸収性で水和可能な第二のセラミックを含むとき、それは第二の吸着水性媒体をさらに含んでいてもよい。この吸着水性媒体は水であるのが好ましい。
【0101】
上記の生体吸収性で水和可能なセラミックは、たとえば、α−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウム;硫酸カルシウム半水和物;リン酸カルシウム;炭酸カルシウム;フッ化カルシウム;ケイ酸カルシウム;硫酸マグネシウム;リン酸マグネシウム;炭酸マグネシウム;フッ化マグネシウム;ケイ酸マグネシウム;硫酸バリウム;リン酸バリウム;炭酸バリウム;フッ化バリウム;およびケイ酸バリウム;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、非水和、水和、半水和、または部分水和セラミックのような、好適な水和可能なセラミックのいずれかから選ばれ得る。
【0102】
本発明の好ましい態様において、生体吸収性で水和可能な第二のセラミックは、例えば、α−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムまたは硫酸カルシウム半水和物、あるいはそれらの混合物のような非水和、水和、半水和、または部分水和硫酸カルシウムである。
【0103】
本発明による生体吸収性で水和可能な第二のセラミックは、医薬組成物として受け入れられるように使用されるか、あるいは高密度化セラミックについて上記されたようにして高密度化される。
【0104】
第二の部分を含む本発明による医薬組成物は、該第二の部分中に一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質をさらに含んでいてもよい。これらの活性物質は、高密度化されたセラミックに内蔵されている一つ以上の活性物質と同じであっても異なっていてもよい。
【0105】
本発明による医薬組成物において、高密度化されたセラミックは、より小さな破片/顆粒(典型的には50−500μm)に破砕されていてもよく、これらの顆粒/破片は第二の部分に取り込まれていてもよい。
【0106】
このようにして提供される医薬組成物は、インビボで硬化する注射可能なペーストとして使用され得るか。あるいは成形されインビトロで硬化してインビボで治療前の生体に位置づけられる。
【0107】
高密度化セラミックを硫酸カルシウム半水和物のような第二のセラミック中に埋め込むのが、特に有用である。
活性薬剤を含む高密度化セラミックを埋め込むことによって、調整され、そして/または低減した薬剤放出速度が達成されると想定されており、このことは高密度化された部分の表面上または亀裂中への硫酸カルシウム2水和物の追加的な沈澱によって説明される。
【0108】
したがって、本発明の一つの態様において、高密度化セラミックの破片は第二の部分に埋め込まれる。そのような高密度化セラミックの破片は、セラミックまたはポリマー層で追加的に被覆されていてもよい。
【0109】
しかしながら、高密度化部分と第二の部分の両方で放出が制御された医薬組成物を製造する別の方法は、前高密度化および水和体、たとえば、粒子、棒状、ペレットまたは他のいずれかの形態の第二の層、例えば生体吸収性で水和可能な第二のセラミックの層による被覆であり、該層は前高密度化体と密接に接触した状態で水和するようにされる。こうして達成された水和された層は高密度化セラミックのシーリングに寄与している。
【0110】
さらに、活性物質を含む高密度化セラミックと、同一または異なる活性物質を追加的に含む第二の部分との結合によって、2相放出パターンにより特徴づけられる医薬組成物が得られる。
第二の部分に含まれる活性物質は、ブースト放出を与えることができ、一方の高密度化セラミックに取り込まれた活性物質は、延長された制御放出を与える。
【0111】
本発明による医薬組成物は、いくつかの異なる態様、例えば、非経口用途に半固形または固形の形態で用いられ得る。例えば、次のようなものがある。
【0112】
a) 例えば錠剤、ビーズ、ピン、棒状物、粒子、針などの形態で、生体の適切な場所に位置づけられる高密度化セラミックとして;
【0113】
b) 高密度化された部分と接触して水和されることによりさらなるシーリングを与える層によって被覆された、または第二の部分に埋め込まれた、例えば錠剤、ビーズ、ピン、棒状物、粒子などの形態の高密度化セラミックとして;
【0114】
c) 例えば、液体担体とともに注射されて組織中に分散することによって、体内に位置づけられる、例えば粒子または顆粒の形態の高密度化セラミックとして;
【0115】
d) 適切なゲル化剤または膨潤化剤、あるいは生体吸収性で水和可能な第二のセラミック、任意に第二の水性媒体とともにペーストの形態に混合され、水和の前または後に体内に位置づけられる、すなわちそれがインビトロまたはインビボで養生される、例えば粒子または顆粒の形態の高密度化セラミックとして。
【0116】
さらに、本発明による医薬組成物は、微細構造および放出速度を調整するための、他の添加剤または他の医薬賦形剤、例えばステアリン酸、マグネシウム−(ナトリウム−)ステアリン酸塩のような疎水性修正剤、ヒドロゲル、生体吸収性ポリマーまたは他のポリマー化合物を含んでいてもよい。これらは多孔率をさらに低下させて、担体からの放出速度を修正する。
【0117】
本発明による医薬組成物は、非水和性のセラミックス、および金属製添加剤を任意に含んでいてもよい。そのような追加の成分の目的は、増加した放射線不透過性、改善された機械的強度、または固化速度の制御である。
【0118】
確立した放射線不透過性添加剤は、バリウム塩類または金、ジルコニウムもしくはタンタルのような金属およびそれらの酸化物である。
【0119】
さらに、水和プロセスおよびそれによる水和された材料の性質は、適切な添加剤によって制御される。例えば、未固化ペーストのレオロジー、養生速度、固化された材料の機械的特性のような性質は、該医薬組成物の医学的な目的のために、最も有用であるように誘導され得る。
【0120】
本発明による組成物の製造方法
本発明のもう一つの態様は、本発明による組成物の製造方法に関し、当該方法の主な特徴は、同時に生起する高密度化と水和であり、それによって高密度化セラミックが得られる。
【0121】
この方法は次の工程からなる;
i) 生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスと一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質を混合し;そして
ii) i)で得られた混合物に外部圧力を適用して高密度化し;そして
iii) 該セラミックを工程ii)の高密度化の間に、工程i)で得られた混合物に一つ以上のセラミックスを完全に水和するのに必要な化学量論量の約20%から約110%に相当する量の水を加えて水和する。
これにより、高密度化され、少なくとも部分的に水和され、多孔率が高くて10%のセラミックが得られる。
【0122】
水和可能なセラミックスの水和または部分的水和は、高密度化の間に、工程ii)の前またはその間に水を加えることにより生じる。
前記のように、本発明者らは、水の添加(たとえば、水性媒体の形で)が、一または二工程の水和を得るための一または二工程方法においてなされ、高密度化がさらに改善されることを見出した。
【0123】
一工程方法では高密度化の前に水性媒体が添加されるのに対して、二工程方法では高密度化の前またはその間に水性媒体の一部が添加され、水性媒体の残りの部分は圧縮工程の後で添加され、それにより高密度化はさらに改善される。
【0124】
したがって、最適化された高密度化の効果は、例えば硫酸カルシウムのような前形成体を水性媒体の化学量論量よりも少ない量(例えば理想的な完全水和において結合するものより少ない水)との加圧によって達成される。残りの水性媒体は、好ましくは、圧力を除去した後の後−水和工程で添加される。
【0125】
圧縮された材料の高度性を達成するためには、工程ii)における圧力は、高密度化の下での水和もしくは部分的水和を達成するために、例えば少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、または少なくとも約45分のような、少なくとも約10分間維持される。
【0126】
カルボン酸基を有する有機酸類、たとえば酢酸、クエン酸、コハク酸および酒石酸および同様なものを、任意に工程ii)の高密度化の前に水和可能なセラミックスに加ることにより、水和可能なセラミックスと水性媒体との化学反応を遅らせる、すなわちセラミックの養生を遅らせることができる。
【0127】
いくつかの技法、例えば一軸圧縮または静水圧圧縮(熱間または冷間)が外部圧力を適用するのに用いられ得る。
選択された活性成分を含む硫酸カルシウムの前成形体に適用される冷間静水圧圧縮(CIP)は、高密度化された均質な物体を製造するのに効果的な方法であることが分かった。
【0128】
最適な高密度化のために、セラミック体は圧縮中に、例えばカプセル(例えば弾性バルーン)によって被覆されていてもよい。
適用される圧力は、例えば少なくとも約200MPa、少なくとも約300MPa、またはそれ以上のような、少なくとも100MPaである。
【0129】
しかしながら、必要な圧力は、採用される加圧装置に依存する。したがって、上記の圧力は、CIPの場合に適したものであり、例えば均等一軸圧縮の場合には通常、圧力は例えば高くて約200MPa、好ましくは約300MPa以上、約400MPa以上、または約500MPa以上のような、より高い圧力が適用される。
【0130】
医薬組成物(例えば2重または多重組成物も)を製造するために用いるのに適した微粒子材料を得るために、水和されたセラミックの粉末化(破砕)が、例えば注射可能なペーストを作るために任意に採用され得る。このペーストはインビボで固化するか、あるいはインビトロで成形されて固化し、前養生体がインビボで所定の位置に置かれる。粉末化された水和材料は、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合してもよい。
【0131】
本発明による上記の方法の一つの態様において、水和は後−水和工程iii)として行われる。
好ましい態様において、水和は、工程i)の水性媒体の混合として行われる。水和を工程i)の水性媒体との混合および後−水和工程iii)の両方で行うのが、より好ましい態様である。
【0132】
本発明による上記の方法において、工程ii)で適用される外部圧力は、例えば少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、または少なくとも300MPaのような、少なくとも50MPaであればよい。
【0133】
市販品として購入される生体吸収性で水和可能なセラミックの粒径に従って、上記のように該方法は高密度化をさらに高めるために、工程i)の前に生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスの粉砕工程を含むか、あるいは任意に工程i)の前に生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスの粉砕および顆粒化の工程をさらに含んでいてもよい。
【0134】
粉砕はセラミックを有機溶媒、例えばエタノールまたはイソ−プロパノールのようなアルコールに分散させることにより行われる。そのような場合、活性物質のセラミック中への適切で均一な分布を確保するために、活性物質は同一の溶媒に溶解され、粉砕工程の間にまたはその後に添加される。
【0135】
ある態様において、例えば活性物質をセラミックの一部と混合し、この混合物を部分的な水和に付し、次いでセラミックの残部を加えることにより、活性物質をセラミック内にカプセル化してもよい。
【0136】
本発明の好ましい態様において、工程i)で用いられる生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスの平均粒径は、最大で約10μmである。工程ii)で得られる高密度化されたセラミックの多孔率は、好ましくは高くて約5%である。
【0137】
上記のように、高密度化されたセラミックは、制御放出用に単独で用いることができ、あるいは第二の部分と組み合わせて用いてもよい。
したがって、本発明の別の態様において、高密度化されたセラミックは第二の部分に埋め込まれている。
【0138】
したがって本発明による方法は、上記のように、次の工程をさらに含む。
iv)高密度化セラミックを第二の部分と混合する。
【0139】
本発明の第三の態様は、本発明による医薬組成物を患者に投与することを含む、疾患の治療方法に関する。
当該方法の好ましい態様において、疾患は癌であり、より好ましい態様において該疾患は例えば良性前立腺過形成、前立腺癌または前立腺肥大のような前立腺関連の疾患である。医薬組成物は非経口または移植により投与される。
【0140】
さらに、本発明は、請求の範囲で定義された、本発明による組成物を製造するためのキットを提供する。
本発明の主要な態様において述べられた詳細と事項は、本発明の他の全ての態様に適用される。
【0141】
図面の簡単な説明
(図1)(a)非圧縮および(b)圧縮された水和硫酸カルシウムの微細構造;
(図2)3つのタイプの硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物、K、LおよびMについてのインビトロ放出速度対時間;
【0142】
(図3)異なる方法で圧縮された硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物(i)、(ii)および(iii)についてのインビトロ放出速度対時間;
(図4)25mgの2−ヒドロキシフルタミドを4匹のイヌ(H1、H2、H3およびH4)に静脈ボーラス単回投与した後の、2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイル;
【0143】
(図5)異なる用量の2−ヒドロキシフルタミド(F−OH)を有する制御放出インプラントを4匹のイヌ(H1−対照、H2−60mg F−OH、H3−30mg F−OHおよびH4−120mg F−OH)の前立腺内に単回投与した後の、2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイル;
【0144】
(図6)500mg(3)および250mg(1および2)の2−ヒドロキシフルタミドでそれぞれ処置されたラムの前立腺において、制御放出インプラントを単回投与した後の2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイルの選択された例;
(図7)硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物/微細構造物 X、YおよびZの三つのタイプのインビトロ累積放出対時間;
【0145】
以下の実施例は、本発明の説明を目的としており、これらに制限されるものではない。
【実施例】
【0146】
実施例1
この実施例は、硫酸カルシウム体の多孔率に対する圧力の効果を例証している。
A、BおよびCとラベルされた3つのサンプルを、Sigma-Aldrich製の硫酸カルシウム半水和物粉末(カタログNo.30,766−1)および脱イオン水から製造した。
【0147】
A:受領したままの未処理の硫酸カルシウム半水和物粉末1.0gを水2.0gと混合してペーストにした。このペーストを、成形型を用いて直径12mmおよび高さ3mmの円柱を形成するために用い、養生のために放置した。タイプAのサンプルの破断面の走査電子顕微鏡による影像を図1aに示す。
【0148】
B:受領したままの硫酸カルシウム半水和物粉末1gを、乾燥状態において100MPaで直径12mmの円柱状ダイの中で軸方向に圧縮した。圧縮された錠剤を水に浸漬して、養生のために放置した。
【0149】
C:受領したままの硫酸カルシウム粉末1gを、乾燥状態において200MPaで直径12mmの円柱状ダイの中で軸方向に圧縮した。圧縮された錠剤を水に浸漬して、養生のために放置した。
【0150】
錠剤を秤量し、完全に圧縮された硫酸カルシウム2水和物の錠剤の理論的全密度2.32g/mlと比較することにより、以下の多孔率を測定した。
【0151】
【表1】

【0152】
実施例2
この実施例は、水和されて圧縮された硫酸カルシウムの多孔率に対する水和技術の効果を例証している。
この実施例は、適用された圧力の下での部分的水和が、医薬材料の得られる密度を増加させることを示している。
この実施例で用いた粉末は、圧縮の前に粉砕した。Sigma-Aldrich製の硫酸カルシウム半水和物(カタログNo.30、766−1)粉末をボールミル中で1時間粉砕した。この粉末からサンプルD−Fを製造した。
【0153】
粉砕方法は次の通りである:硫酸カルシウム粉末100gを55.8gのイソ−プロパノールと混合し、500gの直径16mmのアルミナ製粉砕ボールを500mlのポリエチレン製管状容器中で100rpmで回転させた。粉砕はアルコールのような非水性媒体中で行う必要がある。
【0154】
粒径はSedigrafにより分析した。結果を表2に示す。受領したままの粉末では、粒子の50%が直径10.5μm以下、すなわちd50=10.5μmである。1時間粉砕の後、粒子径はd50=5.5μmで特徴づけられる。そして、2時間粉砕の後、粉末はd50=2.7μmで特徴づけられる。表2を参照。
【0155】
【表2】

【0156】
3つのタイプのサンプルを製造した(D、E、Fとラベルした)
D:硫酸カルシウム半水和物粉末1.0gを、直径12mmの管状の成形型の中で、200MPaの軸方向圧力で一軸圧縮した。圧縮後、錠剤に脱イオン水0.19gを添加した。水は乾燥したセラミックに吸収された。硫酸カルシウム半水和物粉末1.0gの完全水和において吸収される最適の化学量論量は0.186gなので、次の式に従えば2水和物を完全に形成したことになる。
【化1】

【0157】
E:サンプルDと同量の硫酸カルシウム半水和物粉末および脱イオン水から、同じ圧縮装置を用い200MPaで錠剤を製造した。ただし、今回は最初に粉末に水を加えて一緒に混合し、その後で湿った粉末を錠剤に圧縮した。その後は水を加えなかった。錠剤を外部圧力適用中に養生した。タイプEのサンプルの破断面の走査電子顕微鏡による影像を図1bに示す。
【0158】
F:同量の硫酸カルシウム半水和物粉末および脱イオン水の錠剤を、最初に水の全量(0.093)の半分を粉末に加えて混合し、その後で一軸的に圧縮して錠剤を製造した。圧縮工程の後で水の第二の半量を、後−水和工程で加えた。
【0159】
錠剤を秤量し、完全に圧縮された硫酸カルシウム2水和物の錠剤の理論的全密度2.32g/mlと比較することにより、以下の多孔率を測定した。
【0160】
【表3】

【0161】
この実施例は、前−圧縮された材料の水和と比較して、適用された圧力の下での水和が材料のより高い最終密度をもたらすことを例証している。
しかしながら、全ての水を圧縮の前に加えることは最適ではない。その代わりに水和の一部が圧力下で起こり、さらなる水を圧縮後に加えることが、高密度化された材料を製造するのにより効果的である。
【0162】
この効果は、次のように説明されるものと思われる。制限された量の水だけが適用された圧力により圧縮された成形サンプルの中に留まることができて水和反応に利用される。残余の水は適用された圧力の下で水和が進行するときに残りの細孔を形成する。
【0163】
実施例3
この実施例は、2時間粉砕した粉末に、一軸圧縮の代わりに冷間静水圧圧縮を採用し、高度の成形材料を得るために水和の間に圧力を保持することによって、達成される多孔率を例証している。
この実施例は、乾燥し顆粒化した粉末を製造するための凍結造粒を採用し、脂質性有機添加剤(ステアリン酸)の組成物への添加についても例証している。
この実施例で4つのタイプのサンプルを製造し、G、H、I、Jとラベルした。
【0164】
G:これらのサンプルは、Loomis圧縮機を用いて、200MPaでの静水圧圧縮により製造した。Sigma-Aldrich製の受領したままの硫酸カルシウム半水和物粉末(カタログNo.30、766-1)1.0gからそれぞれのサンプル錠剤を製造した。
最初に、直径12mmで厚さ約2mmの緩く圧縮された錠剤を形成するために、一軸圧縮(約20MPa)を採用した。こうして製造されたサンプルを脱イオン水0.186gで湿らせ、密閉されたバルーン中に独立して置いた。水を適用した直後に、サンプルを圧縮機の中に置き、室温(20℃)で200MPaの静水圧圧縮に付した。30分間圧力を保持した。このようにして、サンプルは静水圧力の下で水和された。静水圧力はサンプルの直径と厚さを著しく減少させた。
【0165】
H:これらのサンプルは、静水圧圧縮を採用して、サンプルGと同様の方法で製造した。ただし、実施例2に記載された粉砕技術により1時間粉砕した粉末を用い、水の半量(0.93g)だけを静水圧圧縮サイクル中に加えた。残りの水は、圧縮の後、秤の上に置いた錠剤の上に滴下して、正確に錠剤に加えた。
【0166】
I:これらのサンプルは、静水圧圧縮を採用して、サンプルG、Hと同様の方法で製造した。ただし、実施例2に記載されたように2時間粉砕した粉末を用い、水の半量(0.93g)だけを静水圧圧縮中に加えた。さらに、圧縮前に凍結造粒技術を用いて粉末を顆粒化した。残りの水は、静水圧圧縮の後、秤の上に置いた錠剤の上に滴下して錠剤に加えた。
【0167】
凍結造粒方法は次のようにして行った。
イソ−プロパノール中の粉末混合物の懸濁液を、液体窒素を含む容器中に空気ジェットにより噴霧した。粉末懸濁液滴は、窒素中に入ると瞬間的に凍結し、均一組成物の顆粒を形成する。それに続く凍結乾燥工程において、真空室中で、顆粒の微細構造にどのような偏析も伴わないで、昇華により氷を除去する。得られたものは、原料粉末混合物の組成からなる球形の顆粒である。
【0168】
J:これらのサンプルは、サンプルIと同様の方法で製造した。ただし、原料粉末に0.5または1.0%のステアリン酸を加えた。
完全に圧縮された硫酸カルシウム2水和物の錠剤の理論的全密度と比較することにより、以下の多孔率を測定した。
【0169】
【表4】

【0170】
この実施例は、高密度化された材料の達成可能な低多孔率に対する、粉砕により達成された粉末の減少された粒子径の明白な効果を例証している。
しかしながら、実施例2と3を比較すると、1時間粉砕と2時間粉砕との間には測定できる差異はなかったが、粉砕しないものと1時間粉砕との間には有意な差異があった(sedigraphにより測定)。
【0171】
この実施例は、凍結造粒技術を用いる可能性をも例証している。この技術は、非顆粒化粉末に比べてより良い流動性の粉末を製造するという利点を有している。しかしながら、材料の密度に対するその効果は低い。
この実施例はさらに、ステアリン酸のような脂質性添加剤が組成物中に取り込まれることを示している。しかしながら、多孔率に対するその効果は、この試験においては低かった。しかしながら、添加物は試験サンプルをより撥水性にする。
【0172】
実施例4
この実施例は、より厳密な孔径測定法による、選択されたサンプルについての追加的測定を実施することによって、前出の実施例における多孔率の値を検証することに役立つ。
【0173】
選択されたサンプルの孔−構造が、Hg多孔率測定方法(Micromeritics AutoPore III 9410)により測定された。この方法は、全体的多孔率および細孔の直径を定量する。
水銀法では、実施例2のサンプルFの多孔率は4.8%であり、実施例3のサンプルHは4.0%であり、実施例3のサンプルIは2.8%であった。表5参照。
これは、サンプルの容積および理論的な完全密度から測定された多孔率の大きさのオーダーを確認している。
【0174】
【表5】

【0175】
実施例5
この実施例は、2−ヒドロキシフルタミド、フルタミドの薬理活性代謝物の、高密度化された硫酸カルシウム材料への追加が如何に達成されるかについて説明している。
2−ヒドロキシフルタミドは、この特許において特に興味がある。この実施例は、インビトロ・モデルで得られるそのような組成物に対する典型的な薬剤放出データをも提供する。
【0176】
サンプルの製造
硫酸カルシウムのマトリックス/担体中の2−ヒドロキシフルタミドで3つの異なるタイプのサンプルを製造し、インビトロ/インビボ薬剤放出およびインビボ薬剤動力学について評価した。K、LおよびMとラベルした。
【0177】
K:これらのサンプルは、2−ヒドロキシフルタミドを有する非圧縮完全水和硫酸カルシウムのサンプルである。それぞれのサンプルにおいて、微粒子粉末形態にある4.5mgの結晶化された2−ヒドロキシフルタミドを、受領したままの硫酸カルシウム半水和物の粉末0.5gに加えて混合した。1.0gの蒸留水を加え(重量で2:1の割合)ペーストを形成する。直径12mmの錠剤に成形して養生した。
【0178】
L:これらのサンプルは、この実施例のサンプルKと1サンプル当たり同量の2−ヒドロキシフルタミドを有する、静水圧圧縮錠剤である。
サンプルを製造するために、受領したままの粉末を実施例3に記載の方法により2時間粉砕した。
2−ヒドロキシフルタミドをイソプロパノール(ヨーロッパ薬局方、メルク社から、CAS 6-63-0)に溶解した。粉砕した硫酸カルシウム半水和物粉末を溶液に添加した。粉末の凝集を解除するために、超音波浴(Elma Trans-sonic T700)を用いた。
【0179】
Buchi Rotavapor R110タイプのエバポレータを用いてこの分散液を乾燥し、2−ヒドロキシフルタミドの沈殿を有する硫酸カルシウム半水和物粉末を形成した。
割合は、2−ヒドロキシフルタミド4.5mgに対して硫酸カルシウム粉末0.5gである。(凍結造粒も評価し、硫酸カルシウム半水和物と2−ヒドロキシフルタミドの混合物を成功裏に製造した)。
【0180】
約20MPaの一軸圧縮を採用して、硫酸カルシウム半水和物0.5gを低圧で緩く圧縮した、直径12mmで厚さが2mmの錠剤を成形した。サンプルの高密度化のために、それらを0.046gの滅菌水で湿らせ、個々にバルーンの中に置いた。サンプルを湿らせた直後に、油圧式圧縮装置(Loomis 静水圧圧縮機)中で200MPaの静水圧力に曝した。30分間圧力を維持した。こうして静水圧力の下でサンプルを水和した。静水圧力はサンプルの直径と厚さの両方をかなり減少させた。0.046gの滅菌水を後で追加し、完全水和に到達した。
【0181】
M:Lタイプのサンプルを(Fritsch Pulverisette type 1により)破砕し、(Retsch製網状篩により)篩い分けて、100−500μmの径の破砕粒子を得た。
高密度化された粒子を含む硫酸カルシウムのペーストを生成するために、該粒子を、受領したままの非水和の硫酸カルシウム半水和物粉末と、重量で1:2の割合で混合した。この粉末のペーストを用いてサンプルに成形し、非圧縮で水和された硫酸カルシウムのマトリックス中に2−ヒドロキシフルタミドを含む水和されて圧縮された粒子と、2相系の組成物を製造した。4.5mgの2−ヒドロキシフルタミド(すなわち、0.5gの圧縮された粒子)を含む試験サンプルをインビトロ放出試験のために製造した。
【0182】
インビトロ薬剤放出試験
4.5mgの2−ヒドロキシフルタミドで製造した0.5g錠剤、および非圧縮マトリックス中の破砕粒子で成形したサンプルを、60mlの滅菌NaCl食塩水(9mg/ml)を含むガラス容器中に置き、37℃の水浴中でインキュベートした。
【0183】
それぞれのサンプル収集時に、4mlの食塩水を集め、新しい滅菌食塩水4mlで置き換えた。サンプルを回収する前に、インビトロ放出容器を静かに揺すった。
回収後、プラスチック製のカプセルにサンプルを蓄え、直接凍結し、分析のときまで−20℃で保管した。LC−MS−MSクロマトグラフィを用いて、2−ヒドロキシフルタミドの濃度に関して、液体サンプルを分析した。
【0184】
インビトロ薬剤放出の結果
インビトロ薬剤放出速度データを再計算し、製剤中の2−ヒドロキシフルタミドの総量に対する放出・溶解した2−ヒドロキシフルタミドを百分率で時間ごとに表した。データを図2に示す。
【0185】
−非圧縮製剤は、約10日間で90%よりも多くの2−ヒドロキシフルタミドを放出する(サンプルK)。
【0186】
−圧縮された錠剤(L)は、最初の10−15日間、同様な高率で2−ヒドロキシフルタミドを放出し、その後放出速度は低下する。40日後に、2−ヒドロキシフルタミドの総量の約70%が該製剤から放出される(サンプルL)。
【0187】
−非高密度化マトリックス中の高密度化顆粒のサンプルMは、第1日中に非常に速く放出されるが、その後は他のサンプルに比べて放出速度はより低い。40日後に、放出は約40%に達し、製剤Lより明らかに低い。
【0188】
実施例6
この実施例は、異なる方法で圧縮された硫酸カルシウム体からの2−ヒドロキシフルタミドの放出速度に対する、適用された外部圧力の効果を例証している。
この実施例は、2−ヒドロキシフルタミド、フルタミドの薬理活性代謝物、の高密度化された硫酸カルシウム材料への添加がいかにして達成されるかについても例証している。
【0189】
2−ヒドロキシフルタミドは特に興味あるものである。この実施例はそのような組成物の、インビトロ・モデルで得られる典型的な薬剤放出速度データを提供する。
3つの異なるサンプル(i、ii、およびiiiとラベルした)を、Sigma-Aldrich製の硫酸カルシウム半水和物粉末(カタログNo. 30、766-1)、滅菌水および2−ヒドロキシフルタミドから製造した。製造方法は次の通りである。
【0190】
Sigma-Aldrich製の硫酸カルシウム半水和物粉末(カタログNo. 30,766-1)を、粒子径の減少のため、イソ−プロパノール(ヨーロッパ薬局方、メルク社製、CAS 6-63-0)中で、セラミック粉砕ボールと共に48時間粉砕(1.0リットルのプラスチック容器中での転動による)し、粒子径3ミクロン以下が50%、6ミクロン以下が80%に相当するようにした。元の粉末は10ミクロン以下の粒子径が50%である。
【0191】
10gの2−ヒドロキシフルタミドを75gのイソ−プロパノールに完全に溶解した。溶解は超音波浴(Elma Trans-sonic T700)により促進した。100gの粉砕した硫酸カルシウム半水和物を2−ヒドロキシフルタミド−イソプロパノール溶液に加え、均一なスラリーが形成されるまで攪拌した。粉末の凝集を解除するために超音波浴を用いた。分散液をエバポレータ(Buchi Rotavapor R110のタイプ)で乾燥して、沈澱した2−ヒドロキシフルタミドを有する硫酸カルシウム半水和物粉末を形成させた。乾燥した粉末混合物を355ミクロンの篩を通して、凝集を除去し、流動しやすい粉末を得た。
【0192】
硫酸カルシウム半水和物と2−ヒドロキシフルタミドの混合物を形成するために、代替方法を評価した。一つの代替方法として、凍結造粒が評価され、硫酸カルシウム半水和物と2−ヒドロキシフルタミドの混合物を成功裏に製造した。
【0193】
第二の代替方法として、乾燥混合を成功裏に評価した。結晶化した2−ヒドロキシフルタミドを乾燥状態で20ミクロン篩を通して、硫酸カルシウム半水和物と直接混合し得る微粒子粉末を形成した。しかしながら、2−ヒドロキシフルタミドに適した(イソ−プロパノールのような)(非水性)溶媒の蒸発が実際的な製造方法であるように思われる。
【0194】
このようにして得られた粉末混合物を、一軸圧縮により3つのタイプのサンプルを製造するために用いた。重量10gの棒状物を空洞寸法が8×60mmのステンレススチール製圧縮器中で圧縮した。棒状物の高さは適用された圧力によって約8−10mmとなる。1.5MPaおよび20MPaに相当する0.75kNおよび10kNの負荷により棒状物を高密度化した。
【0195】
1.5MPaおよび20MPaで圧縮された棒状物(それぞれ、サンプル(i)および(ii))を、1.5gの水で湿らせ、ペトリ−ディスクの蓋の下で一夜、放置して水和した。ピペットを用いて、棒状物のそれぞれの長い側面に0.375mgの水を添加した。水和された棒状物から、0.1gの断片を切り出した。以下に記載されているように、これらの断片をインビトロ放出試験に用いた。
【0196】
サンプル(iii)を製造するために、第二の圧縮工程を探索した。20MPaで前圧縮された棒状物を湿らせた後、第二工程としてより高い圧力で処理した。全量1.5gの水で上記と同様な方法で棒状物を湿らせた。ただし、湿潤直後に、棒状物をバルーン中でカプセル化し、Jemtab AB製の油圧式冷間静水圧圧縮機を用いて、300MPaの外部静水圧力に30分間曝した。圧縮は全て室温下で行った。
【0197】
外部静水圧力により形成された高密度化材料を、顆粒形態で試験した。高密度化された棒状物の粒子または顆粒を製造するために、棒状物をRetsch製の超遠心粉砕機を用いて破砕した。破砕後、篩を用いて125−500μmの径の粒子を選別した。篩い分けした粒子を、元の非粉砕硫酸カルシウム半水和物粉末(Sigma-Aldrich 製、カタログNo. 30、766-1)と、重量で1:2の割合で混合した。このようにして、水和可能な粉末混合物を形成した。
【0198】
この粉末混合物から、インビトロ放出試験用のサンプルを成形し、養生した。サンプルを成形するために、4.0gの粉末を、1.0重量%の酢酸および1.0重量%のメチルセルロースを含む溶液2.5gと混合して、滑らかなペーストを製造した。シリンジを用いて、ペーストの試験用塊1.0gを形成した。形成されたペーストの塊を一夜放置して水和させ、放出試験に用いられる固体の断片を製造した。
【0199】
水ベースの希釈剤でペーストとして用いられる、活性薬剤を含む高密度化され水和されたセラミック担体の顆粒形態のものは、特に興味あるものであり、滅菌後に評価された。粉末混合物をガンマ−放射線により滅菌し、水性希釈剤をオートクレーブ中で加熱して滅菌した。
【0200】
インビトロ・モデルでの放出速度に関して、サンプル(i)、(ii)および(iii)を評価した。放出試験は、試験片を100mlの滅菌NaCl食塩溶液(9mg/ml)を含むガラス容器中に置き、37℃でインキュベートすることにより行った。食塩溶液のサンプルを予め設定された間隔で取り、LC−MS−MSクロマトグラフィを用いて、2−ヒドロキシフルタミドの濃度に関して分析した。それぞれのサンプル回収の際に、食塩水20mlを集め、新しい滅菌食塩水20mlで置き換えた。サンプルを回収する前に、インビトロ放出容器を静かに揺すった。サンプルをプラスチック・カプセルに蓄え、回収後直ちに凍結し、分析まで−20℃で保管した。放出結果を図3に示す。
【0201】
1.5MPaおよび20MPaでの一回圧縮工程で製造されたサンプル(i)および(ii)の両方が、インビトロ・モデルで、カプセル化された2−ヒドロキシフルタミドの大部分を10日ほど後に放出する。300MPaで高密度化され、水和された材料に基づく試験サンプルは、約60日で2−ヒドロキシフルタミドを放出する。
【0202】
この実施例は、水和可能で生体吸収性のセラミックマトリックスからの活性剤の放出速度に対する、適用された外部圧縮の下での水和の効果を例証している。
この実施例は、高密度化された顆粒を含む注射可能なペーストとしての、高密度化され、水和されたセラミック組成物の興味ある代替的製品化についても例証している。
【0203】
実施例7
製造方法の記載
本発明による高密度化セラミック
【0204】
【表6】

【0205】
材料のコントロール
この製造法で用いられるイソ−プロパノール(純度>99.8%、含水量<0.1%)および注射用の水は、それぞれヨーロッパ薬局方の基準に適合している。
【0206】
成分の製造
2−ヒドロキシフルタミド粉末を秤量し、イソ−プロパノールに溶解した。
硫酸カルシウム半水和物粉末を秤量し、イソ−プロパノールと混合し、粉末粉砕機で微粒子に粉砕した。イソ−プロパノールを蒸発させ、乾燥した粉末を篩過した。
【0207】
混合および乾燥
細かく粉砕し、乾燥した硫酸カルシウム半水和物粉末を、イソ−プロパノールに溶解した2−ヒドロキシフルタミド0.1gに対して硫酸カルシウム1.0gの割合で、2−ヒドロキシフルタミドの溶液に加えた。粉末の凝集を超音波浴中で解除した。混合物をエバポレータ中で乾燥し、乾燥した粉末を篩過した。
【0208】
棒状物の製造
およそ60×8×10mmの寸法の、およそ10gの棒状物を、乾燥混合物から乾式圧縮により製造した。
【0209】
圧力下での水和
注射用の水およそ1.5gをそれぞれの棒状物に滴下して、多孔性の棒状物中に浸み込ませた。水を添加してから1分以内に、湿った棒状物をアルミニウム・フォイルでバルーン状に包み、圧縮のオイルバス中に沈め、300MPaの圧力に付した。300MPaの圧力を30分間維持した。バルーンを除去し、棒状物を放置して乾燥した。
【0210】
顆粒化
堅い棒状物を細かい顆粒に破砕し、顆粒の所望サイズ範囲に合わせた上限と下限に相当するメッシュ・サイズの篩を通した。小さい方のメッシュ・サイズ(125ミクロン)を通過する材料を廃棄した。廃棄した材料は、全量のおよそ50%になった。およそ2つの棒状物を製造し、水和し、一時に圧縮した。全ての材料を圧縮し、顆粒化するまで、この方法を繰り返した。
【0211】
バイアルへの分配
プリンター付きの秤を用いて、1バイアル当たり1.33gの顆粒を手作業でバイアルに分配した。受領されたままの硫酸カルシウム半水和物2.66gをそれぞれのバイアルに追加した(重量で1:2の割合)。バイアルは密栓し、キャップした。バイアルを振って、顆粒を硫酸カルシウムと混合した。
【0212】
ラベリング
バイアルにラベルを付けた。生物負荷の試験用に3つのバイアルを回収した。
【0213】
滅菌
Liproca粉末をガンマ放射線により滅菌した。
【0214】
包装
Liproca Diluent MC(すなわち、メチルセルロースを含む水)およびLiproca Diluent HAc(すなわち、酢酸を含む水)と共に箱詰めする前に、滅菌試験用にサンプルを回収し、バイアルを目視により検査した。
【0215】
実施例8
この実施例は、動物モデル(インビボ)で評価された硫酸カルシウムの高密度化によって達成された薬剤放出速度の減少を例証している。
2つの異なった動物モデル(雄のラブラドールと雄の羊)を用いて、2−ヒドロキシフルタミドを含む硫酸カルシウム由来放出制御インプラントのインビボ薬剤放出性能を評価した。
【0216】
静脈内ボーラス(bolus)投与
最初に、1才の性的に成熟したラブラドール犬(4匹)を用いて、Gothenburg大学の動物倫理委員会の承認下に動物試験を行なった。
【0217】
雄の犬(ラブラドール)が最初に、1動物当たり25mg(10ml溶液)の2−ヒドロキシフルタミドの静脈内単回ボーラス投与を、30秒間受けた。
静脈用溶液の組成は、滅菌食塩水54%、滅菌ポリエチレングリコール400、46%および6%エタノール(95%)であった。
頸静脈への注射後、10時間経過するまで、予め設定された時点で血液サンプルを採取した。
【0218】
2−ヒドロキシフルタミドは、静脈内ボーラス投与後急速に消失し、消失半減期は1.75±0.2時間であった。それぞれの犬における2−ヒドロキシフルタミドの血中濃度−時間プロファイルを図4に示す。約10時間後の2−ヒドロキシフルタミドの血中濃度は、検出限界以下であった。
【0219】
犬における薬剤担体としての非圧縮硫酸カルシウム
一週間後、2−ヒドロキシフルタミドを静脈内投与された同じ動物に、2−ヒドロキシフルタミドおよび非圧縮硫酸カルシウム半水和物の混合物を、制御放出インプラントとして、前立腺組織中に投与した。2−ヒドロキシフルタミドの用量は、0(対照)、30、60および120mgであり、硫酸カルシウムとともに単一のインプラント注射として直腸経由で投与した。対照の動物には2−ヒドロキシフルタミドを含まない硫酸カルシウム・インプラントを投与した。
【0220】
インプラントを製造するために、硫酸カルシウム半水和物粉末を滅菌水および活性薬剤とともにペーストを形成するように混合した。滅菌された硫酸カルシウム半水和物粉末と水の割合は1:2であり、活性薬剤の用量を全量0.8mlのペーストに混合した。
【0221】
ペーストを前立腺に注射し、インビボで固化させた。このインプラント組成物は、図2のサンプルKの放出プロファイルと同等のインビトロ放出プロファイルを有している。
【0222】
針と超音波ガイドを用い、直腸を通して、インプラント薬剤送達システムを前立腺組織内に挿入した。挿入操作の間、動物を通常の麻酔下に置いた。針(長さ15cm、外径0.9mm)を、直腸と腹壁を通して準備された直腸の中に挿入し、前立腺組織に超音波ガイドにより位置づけた。インプラント薬剤を長さ12mmおよび直径1−2mmの二つの細い糸状物として、前立腺組織中に位置づけた。それぞれの動物に抗生物質を1週間投与した。
【0223】
最初の1週間は毎日血液サンプルを採取し、残りの2週間は2日毎に採取した。2−ヒドロキシフルタミドの血清中濃度をHPLC−MS−MS法で定量した。
【0224】
製剤の製造は、責任ある薬剤師の監督のもとで行われた。滅菌セラミック由来インプラントの前立腺組織への挿入および投与は、責任ある泌尿器科医が行なった。
【0225】
結果−非圧縮硫酸カルシウム
非圧縮サンプルについて、2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度−時間プロファイルを図5に示す。用いられた組成物について、放出制御インプラントを前立腺へ投与して9日後には、2−ヒドロキシフルタミドの血清中濃度は検出限界(LOQ)以下であった。
【0226】
このことは、前立腺中へ投与後9日目には薬剤の放出が少なくともほとんど終了していたものと解釈される。これは、インビトロ薬剤放出プロファイルによって、より高い正確性をもってインビボ薬剤放出を予測できることを意味している。また、インビトロ放出方法がこれらのインプラント製剤の開発において有用であることをも示している。
【0227】
さらに次のように結論される:
−確立された手術技法、すなわち針と超音波ガイドによって持続放出インプラントを前立腺組織内へ成功裏に移植できた。
【0228】
−プラシーボおよび少ない単回インプラント用量(30mg)を投与された動物に比べて、2つのより多い単回インプラント用量(60および120mg)において、組織重量が減少していた。また、前立腺組織は、対照動物および低用量のインプラントを受けた動物に比べて、より柔らかくなっていた。
【0229】
−硫酸カルシウムが活性薬剤の放出を延長させること、および血清中濃度が低く下痢のような急性全身媒介性副作用がインプラント投与後に観察されなかったことも示されている。2−ヒドロキシフルタミドのインビボ放出速度は、2−ヒドロキシフルタミドの延長された血清中半減期から判断すると、静脈内ボーラス投与後の薬剤動力学的変数との関連で比較して、40−45倍延長されている。
【0230】
−組織病理学は、インプラントがよく認容されていること、および処置がいかなる感染も引き起こしていないことを示している。セラミック・インプラントは前立腺組織に最小の炎症反応を引き起こしていた。
【0231】
雄の羊における制御放出インプラントとしての圧縮された硫酸カルシウム
第二に、1才から6才の15匹の雄の羊(ラム)に対して、圧縮硫酸カルシウムによるインビボ動物試験を実施した。この試験はスウェーデン、ウプサラの地方動物倫理委員会に承認された。
【0232】
15匹の雄の性的に成熟した羊を3つの別々の群に分けた。2つの群には、前立腺組織内に局所インプラント送達システムとして2−ヒドロキシフルタミドを投与した。それぞれの動物は1回投与され、追跡調査期間は2か月であった。これら二つの処置群のそれぞれの羊は、2−ヒドロキシフルタミドの250mgまたは500mgの単回投与量で前立腺インプラントを投与された。
【0233】
対象群の5匹の動物には、2−ヒドロキシフルタミドを含まないセラミック由来インプラントを投与した。針と超音波ガイドを用い、直腸を通して、前立腺組織の一つの位置にインプラント薬剤送達システムを挿入した。挿入処置の間、動物を一般的麻酔下に置いた。直腸と腹壁を通して準備された直腸の中へ、針(長さ15cm、13ゲージサイズ)を挿入し、前立腺組織内に位置付けた。インプラント投与は、前立腺球の中のおよそ2および4mlの制限された容積として前立腺の中に与えられた。
【0234】
インプラント組成物を製造するために、粉末を2−ヒドロキシフルタミドと共に冷間静水圧圧縮を用いて高密度化した。最初に硫酸カルシウム半水和物を緩く圧縮された棒状のサンプルに低圧で一軸的に圧縮した。サンプルを湿らせ、バルーンの中に置き、直ちに200MPaの静水圧力に30分間曝した。その後、滅菌水を完全水和になるようにさらに加えた。硫酸塩1gに対して全量で0.19gの水を使用した。硫酸カルシウム1.0g中に(50および)100mgの2−ヒドロキシフルタミドを含むサンプルを製造した。
【0235】
Fritsch Pulverisette type 1を用いて、圧縮されたサンプルを125−500μmサイズの粒子に破砕し、非水和で粉砕された硫酸カルシウム粉末と、1:2の重量割合で混合した。2.5gの破砕粒子と5.0gの非圧縮硫酸カルシウム半水和物を含む粉末のバッチを、動物試験のために製造した。
【0236】
粉末を、滅菌水とメチルセルロース1%および酢酸1%を含む水性溶液と混合した。そのような粉末のそれぞれのバッチを、3.5mlの水性溶液と混合してペーストとした。
認証されたHPLC−MS−MSクロマトグラフィ法により、2−ヒドロキシフルタミドの血清中濃度を定量した。
【0237】
結果−圧縮された硫酸カルシウム
圧縮されたサンプルについて、2−ヒドロキシフルタミドの血清中濃度を時間の関数として図6に示す。使用された組成物において、2−ヒドロキシフルタミドは減少していた。
【0238】
減少する血清中濃度の半減期がxx日であることから、薬剤の放出速度が高密度化された製剤でさらに減少したことが明らかである。これは、犬で用いられた非高密度化製剤と比べて、5倍のインビボ薬剤放出延長になる。薬剤力学的モデルから、約40%の薬剤が25日までに放出され、そのために局所薬剤放出が進行し、薬理的および臨床的効果が得られるような局所濃度をもたらしていることが推測される。インビトロでの放出方法が、インビボでの薬剤放出プロファイルを高い正確性で予言していることが明らかである。
50日間の動物試験の終了後、インプラントはほぼ完全に消失した。
【0239】
薬理的に活性な2−ヒドロキシフルタミドを含む制御放出インプラントを投与した雄の羊において、前立腺組織の容積が著しく減少したことも明らかである。薬理的に活性な2−ヒドロキシフルタミドを含まない製剤を投与した雄の羊では、前立腺の容積に何の影響もなかった。2−ヒドロキシフルタミドの血清中濃度は低く、したがって活性薬剤に関連した副作用は観察されなかった。
【0240】
実施例9
この実施例は、硫酸カルシウム由来製剤からの2−ヒドロキシフルタミドの放出速度に対する圧縮の効果について、さらに例証している。2−ヒドロキシフルタミドを埋め込まれた状態で含む圧縮された高密度硫酸カルシウム粒子の構造が示されている。
【0241】
図7は、出発粉末の硫酸カルシウム半水和物1g当たり100mgまたは50mgの2−ヒドロキシフルタミドを含む圧縮された粒子からの放出速度を示している。
粒子が養生された硫酸カルシウム−水ペースト(X、Y)に取り込まれているか、または粒子単独(Z)かのいずれかが、水をベースとするインビトロ放出試験セットにおいて試験された。
【0242】
実施例6と同様に200MPa静水圧圧縮し、続いて高密度化された材料を破砕して、圧縮された粒子を製造した。この粒子を125−500ミクロンサイズの範囲に篩分した。それらは実施例6と同様に、硫酸カルシウム半水和物1g当たり50mgまたは100mgの2−ヒドロキシフルタミドを含んでいた。
【0243】
2.5gの破砕された粒子(50または100mg/gの2−ヒドロキシフルタミドを含む)および5.0gの非圧縮硫酸カルシウム半水和物(2−ヒドロキシフルタミドを含まない)を含む粉末のバッチを製造した。
この粉末を、酢酸1%とメチルセルロース1%を含む水3.5mlと混合してペーストを形成した。これを5つの分離したユニットに分け、養生のために放置した。
【0244】
かくして、それぞれのサンプルは、0.5gの高密度化された粒子と1.0gの非高密度化硫酸カルシウムを含んでいた。
100mg/gの2−ヒドロキシフルタミドを含む粒子から製造されたサンプルは、全量で50mgの2−ヒドロキシフルタミドを含んでいる。また、50mg/gの2−ヒドロキシフルタミドを含む粒子から製造されたサンプルは、全量で25mgの2−ヒドロキシフルタミドを含んでいる。
【0245】
放出試験に選ばれたサンプルは次のものである。
X:水和した硫酸カルシウムペーストのマトリックス中に50mg/gの2−ヒドロキシフルタミドを含んでいる高密度化された硫酸カルシウムの粒子。
Y:水和した硫酸カルシウムペーストのマトリックス中に100mg/gの2−ヒドロキシフルタミドを含んでいる高密度化された硫酸カルシウムの粒子。
Z:100mg/gと分析された2−ヒドロキシフルタミド単独で、セラミックマトリックス中に埋め込まれていない圧縮粒子。全体で0.5gの粒子(したがって50mgの2−ヒドロキシフルタミドを含む)が試験された。
【0246】
インビトロ放出試験のために、100mlの滅菌NaCl食塩水(9mg/ml)を含むガラス容器中にサンプルを置き、37℃の水浴中で30日間インキュベートした。予め設定された間隔で、4mlの溶液を集め、4mlの新しい滅菌食塩水で置き換えた。
分析用LC−MS−MSクロマトグラフィ法を用い、2−ヒドロキシフルタミドの濃度について、食塩水サンプルを定量した。
【0247】
結果
全てのサンプルが、2−ヒドロキシフルタミドを、最初はより高く、最初の15−20日を過ぎるとより低いレベルに低下するような速度で放出したことが、図7に示されている。
30日以降においても、まだ2−ヒドロキシフルタミドのかなりの部分がセラミック担体中に残っていた。
【0248】
放出速度性能は、両方の2相サンプルでほぼ似ているが、2−ヒドロキシフルタミドをより高い濃度で取り込んでいるサンプルは、全薬剤負荷のより低い分量を放出していた。
自由な粒子は最初の5−10日の間、より高い速度で放出し、その後約30日まで圧縮サンプルとほぼ同等の速度であった。
高密度化された粒子を囲む養生されたマトリックスが、最初の約10日間放出速度を低下させることが例証されており、30日以上の見通しでも多分そうであろう。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】(a)非圧縮および(b)圧縮された水和硫酸カルシウムの微細構造;
【図2】3つのタイプの硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物、K、LおよびMについてのインビトロ放出速度対時間;
【0250】
【図3】異なる方法で圧縮された硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物(i)、(ii)および(iii)についてのインビトロ放出速度対時間;
【図4】25mgの2−ヒドロキシフルタミドを4匹のイヌ(H1、H2、H3およびH4)に静脈ボーラス単回投与した後の、2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイル;
【0251】
【図5】異なる用量の2−ヒドロキシフルタミド(F−OH)を有する制御放出インプラントを4匹のイヌ(H1−対照、H2−60mg F−OH、H3−30mg F−OHおよびH4−120mg F−OH)の前立腺内に単回投与した後の、2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイル;
【0252】
【図6】500mg(3)および250mg(1および2)の2−ヒドロキシフルタミドでそれぞれ処置されたラムの前立腺において、制御放出インプラントを単回投与した後の2−ヒドロキシフルタミドの個々の血清中濃度対時間プロファイルの選択された例;
【図7】硫酸カルシウム/2−ヒドロキシフルタミド組成物/微細構造物 X、YおよびZの三つのタイプのインビトロ累積放出対時間;
【図1(a)】

【図1(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)生体吸収性で水和可能な一つ以上のセラミックスと、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的活性物質を混合し、
ii)外部圧力を適用して、i)で得られた混合物を高密度化し、
iii)工程ii)の高密度化の間に、工程i)で得られた混合物に、一つ以上のセラミックスを十分に水和するのに必要な化学量論量の約20%〜約120%に相当する量の水を加えて、該セラミックを水和する
工程を含み、高密度化され、少なくとも部分的に水和され、多孔率が高くて10%のセラミックを製造する方法。
【請求項2】
水が高密度化の前に加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一つ以上のセラミックスが工程ii)の高密度化の前に多くても部分的に水和される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水が工程ii)の高密度化の間に加えられる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
加えられる水の量が、一つ以上のセラミックスを十分に水和するのに必要な化学量論量に相当する量の、多くて約100%または多くて110%のような、多くて約105%に相当する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
加えられる水の量が、一つ以上のセラミックスを十分に水和するのに必要な化学量論量に相当する量の、例えば少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%のような、少なくとも約30%に相当する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
加えられる水の量が、一つ以上のセラミックスを十分に水和するのに必要な化学量論量に相当する量の、90%〜110%に相当する範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程ii)で加えられる水が水性媒体中に含まれる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
水性媒体がカルボン酸基を含む有機酸を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
水性媒体が水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスの養生を遅延させる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程i)の混合物および/または工程iii)における水が、他の活性物質、添加剤または微細構造および放出速度を変化させる医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
水の添加が、高密度化の前、多くとも約1.5時間、多くとも約1時間、多くとも約30分、多くとも約20分、多くとも約15分、多くとも約10分、多くとも約5分、多くとも約2分、多くとも約1分、多くとも約30秒、多くとも約15秒、多くとも約10秒または多くとも約5秒のような、多くとも2時間前に行われる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
外部圧力が一軸圧縮および/またはアイソスタチック圧縮により提供される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
工程ii)において適用される外部圧力が、少なくとも50MPa、少なくとも80MPa、少なくとも100MPa、少なくとも150MPa、少なくとも200MPa、少なくとも250MPaまたは少なくとも300MPaのような、少なくとも20MPaである、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
外部圧力が、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分または少なくとも45分のような、少なくとも10分間適用される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックを後−水和する工程iv)をさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
一つ以上のセラミックスを水和するのに用いられる水の全量が、水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスを完全に水和するのに必要な化学量論量±10%に相当する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程i)の前に、水和可能で生体吸収性のセラミックの平均粒子径を減少させる工程を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
水和可能で生体吸収性のセラミックの平均粒子径が、大きくて約8μm、大きくて約7μm、大きくて約6μmまたは大きくて約4μmのような、大きくて約10μmに減少させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
粒子径の減少が、水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスを粉砕することにより行われる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
工程i)の前に、水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスを造粒する工程をさらに含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
工程i)において得られた混合物を、工程ii)に付す前に、例えば成形、造粒または圧縮により形作る工程をさらに含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
工程i)で得られた混合物が、例えば凍結造粒、湿式造粒、乾式造粒などにより造粒される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
医薬的に許容される一つ以上の賦形剤が工程i)で添加される、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックが、例えば多くて約5%、多くて約3%、多くて約2%または多くて約1%のような、多くて約10%の多孔率を有する、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックが、例えば大きくて約75nm、大きくて約50nmまたは大きくて約10nmのような、大きくて約100nmの孔径を有する、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスが、例えばα−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムのような硫酸カルシウム;硫酸カルシウム半水和物;燐酸カルシウム;炭酸カルシウム;フッ化カルシウム;珪酸カルシウム;硫酸マグネシウム;燐酸マグネシウム;炭酸マグネシウム;フッ化マグネシウム;珪酸マグネシウム;硫酸バリウム;燐酸バリウム;炭酸バリウム;フッ化バリウム;および珪酸バリウム;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、水和されていない、水和された、半水和されたもしくは部分的に水和されたセラミックである、請求項1〜26のいずれかに記載の方法組成物。
【請求項28】
水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスが、例えばα−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムもしくは硫酸カルシウム半水和物またはそれらの混合物のような、水和されていない、水和された、半水和されたもしくは部分的に水和された硫酸カルシウムである、請求項1〜27のいずれかに記載の方法組成物。
【請求項29】
水和可能で生体吸収性のセラミックが、硫酸カルシウム半水和物であり、外部圧力の適用中および/または適用後にセラミックを水和するのに用いられる水の全量が、多くても1.5 ± 0.015モル等量の水である、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
水和可能で生体吸収性のセラミックが、硫酸カルシウム半水和物であり、工程iii)で用いられる水の全量が、例えば約0.5〜約1.5モル等量、約0.75〜1.5モル等量、約1〜1.5モル等量のように、多くて1.5モル等量の水である、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミック中に分散している、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックに均一に分散している、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和された一つ以上のセラミックスが、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を、全体的にまたは少なくとも部分的に内部に閉じ込めている、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、工程ii)およびiii)の前に、水和可能で生体吸収性の一つ以上のセラミックスに吸着されている、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
工程i)で用いられる一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、前立腺関連の疾病または症状に用いるのに適している、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
活性物質が、アンドロゲンまたはその誘導体、抗アンドロゲンまたはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲンまたはその誘導体、ゲスタゲンまたはその誘導体、抗ゲスタゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスタゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類似体もしくは誘導体、ゴナドトロピン阻害剤またはその誘導体、副腎および/または前立腺酵素阻害剤、膜排出および/または膜内輸送蛋白質、免疫系調整剤、血管形成阻害剤、あるいはそれらの組合せである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
抗アンドロゲンが、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、シプロテロン、ニルタミドまたはビカルタミドのようなものである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
活性物質が、抗アンドロゲンとゴナドトロピン−放出ホルモンまたはその類似体との組合せである、請求項1〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、フルタミドまたはヒドロキシフルタミドである、請求項1〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれかに記載のようにして得られる高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミックを、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合することを含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれかに記載の方法により得られる、高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックを含む、医薬組成物。
【請求項42】
請求項1〜40のいずれかに記載された、高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミックを含む、医薬組成物。
【請求項43】
活性物質の少なくとも一部を含み、高密度化され、少なくとも部分的に水和されたセラミックが、棒状、円柱状、錠剤、ビーズまたは微粒子の形態である、請求項41または42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミック中の活性医薬物質の充填量が、例えば多くて約40重量%、多くて約35重量%、多くて約30重量%、多くて約25重量%または多くて約20重量%のような、多くて約50重量%である、請求項41〜43のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項45】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミック中に含まれる一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、前立腺関連の疾病または症状に用いるのに適している、請求項41〜44のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項46】
活性物質が、アンドロゲンまたはその誘導体、抗アンドロゲンまたはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲンまたはその誘導体、ゲスタゲンまたはその誘導体、抗ゲスタゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスタゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類似体もしくは誘導体、ゴナドトロピン阻害剤またはその誘導体、副腎および/または前立腺酵素阻害剤、膜排出および/または膜内輸送蛋白質、免疫系調整剤、血管形成阻害剤、あるいはそれらの組合せである、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
抗アンドロゲンが、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、シプロテロン、ニルタミドまたはビカルタミドのようなものである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
活性物質が、抗アンドロゲンとゴナドトロピン−放出ホルモンまたはその類似体との組合せである、請求項41〜47のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項49】
高密度化され、かつ少なくとも部分的に水和されたセラミック中の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、フルタミドまたはヒドロキシフルタミドである、請求項41〜48のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項50】
組成物が、高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックを少なくとも部分的に囲む生体吸収性のセラミックを含む第2の部分をさらに含む、請求項41〜49のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項51】
組成物が、高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックを少なくとも部分的に囲むゲル化剤または膨潤剤を含む第2の部分をさらに含む、請求項41〜50のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項52】
組成物が、高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックを少なくとも部分的に囲む水和可能で生体吸収性のセラミックとゲル化剤または膨潤剤との組合せを含む第2の部分をさらに含む、請求項41〜51のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項53】
第2の部分が、コーティングまたはフィルムの形態である、請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項54】
第2の部分が、高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックの一つもしくは複数のユニットを囲むマトリックスの形態である、請求項50〜53のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項55】
第2の部分が水性媒体をさらに含む、請求項50〜54のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項56】
ゲル化剤または膨潤剤が、アルギン酸、アルギン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、ポリアクリル酸、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、プラスドン、ナトリウムクロスカルメロース、ナトリウム澱粉グリコーレート(Explotab)および澱粉、デキストラン、ヒアルロン酸、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項51〜55のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項57】
第2の部分が、カルボン酸基を含む有機酸を含む、請求項50〜56のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項58】
水性媒体が、カルボン酸基を含む有機酸を含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項59】
生体吸収性のセラミックが、例えばα−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムのような硫酸カルシウム;硫酸カルシウム半水和物;燐酸カルシウム;炭酸カルシウム;フッ化カルシウム;珪酸カルシウム;硫酸マグネシウム;燐酸マグネシウム;炭酸マグネシウム;フッ化マグネシウム;珪酸マグネシウム;硫酸バリウム;燐酸バリウム;炭酸バリウム;フッ化バリウム;および珪酸バリウム;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、水和されていない、水和された、半水和されたセラミックである、請求項50〜58のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項60】
生体吸収性のセラミックが、例えばα−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウムもしくは硫酸カルシウム半水和物またはそれらの混合物のような、水和されていない、水和された、半水和されたもしくは部分的に水和された硫酸カルシウムである、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
第2の部分が、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質をさらに含む、請求項50〜60のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項62】
高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックが、第2の部分に埋め込まれた微粒子の形態にある、請求項50〜61のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項63】
高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックが、フィルムもしくは第2の部分のコーティングで被覆された微粒子の形態にある、請求項50〜62のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項64】
高密度化され少なくとも部分的に水和されたセラミックが、一つ以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を含むコーティングもしくはフィルムで被覆されている、請求項41〜63のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項65】
半固形または固形の形態にある、請求項41〜64のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項66】
非経口投与用である、請求項41〜65のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項67】
請求項41〜66のいずれかに記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾病または症状の治療方法。
【請求項68】
症状または疾病が前立腺に関連している、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
疾病が良性の前立腺肥大、前立腺癌または前立腺症である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
医薬組成物が非経口的に投与される、請求項67〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
第1の成分が請求項1〜40のいずれかに記載の方法により得られる高密度化された生体吸収性のセラミックを含み、第2の成分が水を含む、二つ以上の成分を含むキット。
【請求項72】
水が、カルボン酸基含有の有機酸を含む水性媒体中に含まれる、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
水が、ゲル化剤または膨潤剤を含む水性媒体中に含まれる、請求項71または72に記載のキット。
【請求項74】
使用説明書をさらに含む、請求項71〜73のいずれかに記載のキット。
【請求項75】
3つの成分を含み、第1の成分が請求項1〜40のいずれかに記載の方法により得られる高密度化された生体吸収性のセラミックを含み、第2の成分がカルボン酸基含有の有機酸を任意に含む第1の水性媒体を含み、第3の成分がゲル化剤または膨潤剤を任意に第2の水性媒体中に含むキット。
【請求項76】
請求項41〜66のいずれかに記載の組成物を含む即席製品を製造するための、請求項71〜75のいずれかに記載のキット。
【請求項77】
即席製品を適用するための器具をさらに含む、請求項76に記載のキット。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−529554(P2009−529554A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558713(P2008−558713)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002250
【国際公開番号】WO2007/104549
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507324739)リッズ エービー (5)
【氏名又は名称原語表記】LIDDS AB
【住所又は居所原語表記】Kullagatan 8−10,S−252 20 Helsingborg,SWEDEN
【Fターム(参考)】