説明

生体外で制御性T細胞を生成するためのアポトーシス細胞の利用

【課題】同種抗原に対する免疫反応を抑制する活性を伴う制御性T細胞(Treg)を生成する。
【解決手段】体内の多くの種類の細胞が、組織からアポトーシスの、細胞壊死組織片を除去することができる。しかし、専門的な食細胞、すなわち、抗原提示細胞(APC)は、高い除去能力を有している。アポトーシス細胞(AC)の認識は、APC上の、進化的に保存された、一連のAC関連分子パターンレセプター(ACAMPR)を通じて起こる。これらレセプターは、対応するアポトーシス細胞関連分子パターン(ACAMP)を認識し、それに結合する。これらのレセプターは、アポトーシス細胞上に見出されるホスファチジルセリンのようなリガンド、および、酸化された脂質を認識する。Savill他(2002年)、および、Gregory他(2004年)参照。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本願は、アメリカ合衆国法典第35巻第119条(e)の規定により、2005年11月2日に出願された米国特許仮出願第60/732,847号の利益に関連して、かつ、その利益を主張するものであり、参照によりこの仮出願全体を明示的に本願に組み入れる。
【0002】
〔発明の背景〕
体内の多くの種類の細胞が、組織からアポトーシスの、細胞壊死組織片を除去することができる。しかし、専門的な食細胞、すなわち、抗原提示細胞(antigen presenting cell)(APC)は、高い除去能力を有している。アポトーシス細胞(apoptotic cell)(AC)の認識は、APC上の、進化的に保存された、一連のAC関連分子パターンレセプター(AC-associated molecular-pattern receptor)(ACAMPR)を通じて起こる。これらレセプターは、対応するアポトーシス細胞関連分子パターン(ACAMP)を認識し、それに結合する。これらのレセプターは、アポトーシス細胞上に見出されるホスファチジルセリン(phosphotidyl serine)のようなリガンド、および、酸化された脂質を認識する。Savill他(2002年)、および、Gregory他(2004年)参照。
【0003】
試験管内でも生体内でも、生体内におけるAPCによるAC除去は、免疫反応を制御する。Savill他(2002年)参照。この免疫調節は、主に、免疫寛容を誘導するAPCのいくつかの特質についての、APC機能の変化を通じて起こるように思われる。これらの寛容原性APCは、制御性T細胞(regulatory T cell)(Treg)の生成を含む様々なメカニズムを通じて、免疫寛容を誘導する。
【0004】
Tregは、Tリンパ球の異種な群から成り、それらは免疫反応を積極的に抑制する。Groux他(1997年)、Sakaguchi他(2001年)、および、Roncarolo他(2001年)参照。様々な疾患に対するTreg処置法を発展させる可能性がある。
【0005】
生体内でTregを生成する1つの方法は、ACの注入を経由するものである。動物モデルおよびヒトへの処置により、例えば、体外フォトフェレーシス(extracorporeal photophoresis)(ECP)中に起こるような、ACの注入が、Tregを誘導するという証拠がある。Maeda他(2005年)、Lamioni他(2005年)、Aubin他(2004年)、Mahnke他(2003年)、および、Saas他(2002年)参照。
【0006】
生体外でTregを生成する他の方法には、T細胞を様々な物質にさらすことが含まれる。その物質は、IL−10[Roncarolo他(2001年)、および、Zeller他(1999年)]、TGFβ[Zheng他(2004年)、Gray他(1998年)、Horwitz他(1999年)、Ohtsuka他(1999年a)、Ohtsuka他(1999年b)、Stohl他(1999年)、Gray他(2001年)、Horwitz(2001年)、Yamagiwa他(2001年)、Horwitz他(2002年)、および、Zheng他(2002年)]、αMSH[Luger他(1999年)、Taylor(2005年)、Namba他(2002年)、Nishida他(1999年)、Nishida他(2004年)、Streilin他(2000年)、Taylor他(1992年)、Taylor他(1994年a)、Taylor他(1994年b)、Taylor他(1996年)、Taylor(1999年)、Taylor(2003年)、および、Taylor他(2003年)]、ビタミンD3[Willheim他(1999年)、Penna他(2000年)、Pedersen他(2004年)、May他(2004年)、Koren他(1989年)、Gregori他(2001年)、Cobbold他(2003年)、および、Barrat他(2002年)]、デキサメタゾン[Pedersen他(2004年)、Barrat他(2002年)、および、O'Garra他(2003年)]、および、精製[Earle他(2005年)、Schwarz他(2000年)、Chatenoud他(2001年)、Tang他(2004年)、および、Masteller他(2005年)]である。
【0007】
自己免疫疾患は、自身の組織に対して反応する免疫細胞の不適当な活性化を伴う。これらの活性化された免疫細胞は、その疾患の病理に関与するサイトカインおよび自己免疫抗体の産生を促進する。T細胞に関わる他の疾患には、移植手術との関係で生じる移植片対宿主病(Graft versus Host Disease)(GVHD)が含まれる。GVHDにおいて、提供者のT細胞は、被移植者の肉体に対して攻撃を開始することによって、被移植者の組織および臓器を拒絶する。他の疾患の宿主は、宿主免疫系の制御不能を伴う。医薬品によって最もよく治療されるものものあるし、生物学的に治療されるものもあるし、体外フォトフェレーシス(ECP)のような処置によって治療される他のものもあるし、なおかつ、非常に限定された治療の選択肢を採るさらに他のものもある。
【0008】
特定のT細胞介在疾患において、ECPは効果的な治療法であることが示されてきた。GVHDの場合、フォトフェレーシスは、局所的なトリアムシノロン軟膏、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質、免疫グロブリン、および、メトトレキセートと関係した治療として用いられてきた。ECPはまた、慢性GVHD(chronic GVHD)(cGVHD)および難治性cGVHDに対する、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、プレドニゾン、シクロスポリン、ヒドロキシクロロキン、ステロイド類、FK−506、および、サリドマイドのような免疫抑制剤とともに用いられてきた。固形臓器移植に対して、ECPは、腎臓同種移植および心臓移植に関連した急性同種移植拒絶反応の発症数を減少させるために、免疫抑制剤とあわせて用いられてきた。例えば、ECPは、OKT3、および/または、免疫抑制剤(プレドニゾン、アザチオプリン、および、シクロスポリン)とともに、急性腎臓同種移植拒絶反応を逆転(reverse)するために用いられてきた。ECPはまた、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、もしくは、いくつかの再生不良性貧血のための同種骨髄移植に対して、シクロフォスファミド、分割全身照射法、および、エトポシドとともに用いられてきた。
【0009】
〔発明の概要〕
同種系における生体外での白血球のインキュベーションは、制御活性を有するT細胞の生成を導く。これは、同種抗原に対して免疫反応を抑制する活性を有する、制御性T細胞(Treg細胞、もしくは、Treg)を生成する。
【0010】
抗原特異的ポリクローナル活性化系において、抗原特異的な結果は、抗原、もしくは、自家組織のアポトーシス細胞(AC)による他の刺激を加えることによって、得ることができる。
【0011】
本発明は、白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって、制御活性を有するT細胞(Treg)を生成する方法を含む。
【0012】
本発明は、白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物を含む。
【0013】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、自己免疫疾患を治療し、もしくは、その1つ以上の症状を改善する方法を含む。
【0014】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、アトピー性疾患を治療し、もしくは、その1つ以上の症状を改善する方法を含む。
【0015】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、移植受容者に投与する方法を含む。
【0016】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、GVHD患者に投与する方法を含む。
【0017】
本発明は、患者が疾患を有するかどうかを決定するためにその患者を検査することによって、かつ自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、疾患もしくは疾患に対する素因を有する患者を治療する方法を含む。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
<ACを用いたTregの生体外での生成>
生体内でTregの生成が起こるシステムは非常に複雑であり、一連の細胞の種類および形態的な配置に依存する。それにもかかわらず、本発明は、本明細書に記載の条件で、これらの細胞を試験管内で生成することが可能であることを示す。同種系における白血球の生体外でのインキュベーションにより、制御活性を有するT細胞の生成が導かれる。これにより、同種抗原に対する免疫反応を抑制する活性を有する制御性T細胞(Treg細胞)が生成され、このTreg細胞は多種多様な疾患において重要である。その疾患とは、これらに限定されないが、自己免疫疾患、移植片対宿主病(GVHD)、および、固形臓器移植である。抗原特異的ポリクローナル活性系において、抗原特異的な結果は、抗原、もしくは、自家組織のアポトーシス細胞(AC)による他の刺激を加えることによって、得ることができる。
【0019】
この生体外での産生方法は、従来説明されてきた薬剤による誘導方法以上に、いくつかの利点を提供する。重要なことには、これらの加えられる分子による可能性のある毒性および非天然の影響が避けられる。
【0020】
その上、生体外での生成は、生体内でのアポトーシス細胞の利用以上に、利点がある。それは、これらに限定されないが、これらの細胞の数、活性、および、機能以上に、制御を高めることを含む。この治療上の制御は、改良された患者治療プロトコルを提供する。
【0021】
精製、活性化、ならびに、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD、および、デキサメタゾンのような分化因子の添加などといった、一連の方法を用いてTregを生成することは、これらの細胞を生体外でも生成することが可能であることを証明してきた。アポトーシス細胞は、寛容原性APCを生成することによってこれらの細胞を誘導する、より「生体内様の(in vitro-like)」方法を提供する。
【0022】
本発明は、白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって、制御活性を有するT細胞(Treg)を生成する方法を含む。
【0023】
本発明は、白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物を含む。
【0024】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、自己免疫疾患を治療し、もしくは、その1つ以上の症状を改善する方法を含む。
【0025】
自己免疫疾患は、これらに限定はされないが、急性横断性脊髄炎、円形脱毛症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、アテローム性動脈硬化、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、脊髄小脳疾患(Cerebellar Spinocerebellar Disorders)、脊髄小脳変性症(脊髄性運動失調症、フリードライヒ運動失調症、小脳皮質変性症)、慢性アルコール中毒、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、慢性疲労免疫不全症候群(chronic fatigue immune dysfunction syndrome)(CFIDS)、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、デジェリーヌ・トーマス萎縮症、パンチドランカー症、真性糖尿病、びまん性レビー小体病、円板状エリテマトーデス、脳幹神経節疾患、播種性血管内凝固症候群、中年期のダウン症候群、薬物誘導性運動障害、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛・線維筋炎、移植片対宿主病、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病(Hallerrorden-Spatz disease)、橋本病、ハンチントン病、老人性舞踏病、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenia purpura)(ITP)、IgA腎症、幼児性もしくは若年性脊髄性筋萎縮症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、川崎病、皮質脊髄系病変、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、扁平苔癬、メニエール症候群、混合性結合組織病、多発性硬化症、多系統変性(multiple systems degenerations)(メンケル(Mencel)、デジェリーヌ・トーマス、シャイ・ドレーガー症候群、マシャード・ジョセフ病)、重症筋無力症、神経原性筋萎縮症、パーキンソン病、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性動脈周囲炎、多発性軟骨炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎・皮膚筋炎、原発性無γグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、進行性核上性麻痺、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、慢性関節リウマチ、類肉腫症、強皮症、レビー小体型の老人性痴呆症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、亜急性硬化性全脳炎、全身性疾患(レフスム病、無βリポタンパク血症(abetalipoprotemia)、失調症、毛細血管拡張症、ミトコンドリア多型疾患)、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)(SLE)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎(thyroidosis)、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、脈管炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症、ヴェルニッケ・コルサコフ症候群を含む。
【0026】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、アトピー性疾患を治療し、もしくは、その1つ以上の症状を改善する方法を含む。
【0027】
アトピー性疾患は、これらに限定されないが、慢性炎症性疾患および血管炎症性疾患を含む。慢性炎症性疾患としては、例えば、類肉腫症、慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、および、クローン病を含み、ならびに、血管炎症性疾患としては、例えば、これらに限定されないが、播種性血管内凝固症候群、アテローム性動脈硬化、および、川崎病を含む。
【0028】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、移植受容者に投与する方法を含む。
【0029】
本発明は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、GVHD患者に投与する方法を含む。
【0030】
本発明は、患者が疾患を有するかどうかを決定するためにその患者を検査することによって、かつ自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られた、制御活性を有するT細胞(Treg)集団からなる組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによって、疾患もしくは疾患に対する素因を有する患者を治療する方法を含む。
【0031】
Tregを、計画にしたがって、患者に投与することができる。その計画は、これらに限定されないが、移植より前の1週間に2日;その移植片の摘出より前の1週間に3日;移植より前の2週間に、1週当たり2日;および、移植より前の3週間に、1週当たり3日、を含む。
【0032】
本発明に係る治療方法において用いられる、被験者に対して求められる臨床的な有益性を得るためのTregの有効量は、細胞の起源、被験者の状態、被験者の年齢および体重、ならびに、周知の方法によって容易に決定可能な、他の関連要因に応じて変化するかもしれない。好ましくは、患者に投与されるTregの数は、約1×10/kg〜約1×10/kgである。より好ましくは、患者に投与されるTregの数は、約1×10/kgである。
【0033】
本発明に係る方法は、Tregを生成するために十分な時間および条件で、ACと白血球とをインキュベーションすることを含む。インキュベーションは、白血球に適切であるように、本技術分野で既知のあらゆる条件下でありうるし、約1〜約14日間でありうる。好ましくは、インキュベーションは約8日間である。
【0034】
本発明に係る方法は更に、CD4+細胞を得るために、CD4を発現している白血球を選択することを含むことができる。好ましくは、その細胞はCD4+である。
【0035】
本発明に係る方法は、ACおよびCD4+細胞の、あらゆる適切な濃度でのインキュベーションを含む。好ましくは、その細胞は、CD4+:ACの割合が、約1:10〜約10:1である。
【0036】
本発明に係るACは、本技術分野で既知の、アポトーシス誘導処理によって得られる。好ましくは、アポトーシス誘導処理は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する波長の光とともに使用する、ECP法である。好ましくは、その光活性化可能な化合物はソラレンであり、光はUVAである。好ましくは、ソラレンは8−MOPである。
【0037】
本発明に係る方法は、Tregの生成もしくは機能を更に高める、加えられる要素を伴うインキュベーションを含むことができる。適切な要素は、これらに限定されないが、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体を含む。好ましくは、その要素は、これらに限定されないが、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2のうちの1つを含む。好ましくは、その要素は、IL−10である。好ましくは、IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する。好ましくは、IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する。
【0038】
本発明に係る方法は、抗原に対する免疫反応を制御するTregを生成するためのインキュベーションに対して、抗原を加えることを含む。好ましくは、抗原は、同種抗原である。このような抗原は、本技術分野において既知のあらゆるものから選択することができる。
【0039】
本発明に係る方法において有用な細胞集団は、「アポトーシス細胞」を含む。アポトーシス細胞は、細胞、および、細胞体、すなわち、アポトーシス小体を含む。アポトーシス小体とは、アポトーシスを特徴付ける1つ以上の特性を示すものであり、または、示すだろうものである。アポトーシス細胞は、誘導期、作動期、もしくは、分解期におけるあらゆる細胞を含んでもよい。発明に係る処理法における細胞集団はまた、アポトーシス誘導剤で処理されても、生存可能な細胞を含んでもよい。このような細胞は、いくつかの時点、例えば、被験者に投与した後に、アポトーシスを特徴付ける特性を示すかもしれない。好ましくは、ACはアポトーシス誘導要因で処理した自家組織のPBMCである。好ましくは、アポトーシス誘導要因はECPである。
【0040】
ECPは直接、顕著なレベルのアポトーシスを誘導する。このことは、例えば、CTCL、GVHD、および、強皮症患者のリンパ球で観察されてきた。アポトーシス細胞は、観察された診療上の効果に寄与する。
【0041】
アポトーシスを特徴付ける特性は、これらに限定されないが、アネキシンV染色のような標準的な容認される検出方法によって検出される、ホスファチジルセリンの表面露出;標準的な容認される方法によって測定される、ミトコンドリア膜透過性の変化;細胞からのDNA抽出もしくはin situ(本来の場所で)標識後の、アガロースゲル電気泳動におけるDNAのはしご状の外観のような、DNA断片化の証拠;を含むことができる。Salvioli他(1997年)、Teiger他(1996年)、および、Gavrieli他(1992年)参照。
【0042】
本発明において用いられる細胞集団は、ex vivo、すなわち、生体外でアポトーシスを起こすように誘導され、そして、被験者、提供者、もしくは、被移植者の細胞と適合性のあるものである。細胞集団は、培養細胞株を含む、実質的にあらゆる種類の哺乳動物細胞から準備されてもよい。例えば、細胞集団は、哺乳類被験体自身の体に由来する(自家組織の)細胞の種類、もしくは、確立された細胞株から準備されてもよい。特に、細胞集団は、哺乳類被験体の血液と適合性のある白血球細胞から準備されてもよく、更に特に、被験体自身の白血球細胞から準備されてもよく、また更に特に、被験体自身の白血球もしくはT細胞から準備されてもよい。
【0043】
細胞集団はまた、確立された細胞株から準備されてもよい。本発明に係る方法において有用かもしれない細胞株は、例えば、ジャルカット細胞(Jurkat cells)(ATCC番号TIB−152)を含む。本発明の方法に従って用いるのに適当な他の細胞株は、当業者によって同定され、および/または、決定されてもよい。細胞集団は、被験者、提供者、もしくは、被移植者への投与に先立って生体外で準備されてもよい。例えば、1つの実施態様では、被験者の、被移植者の、もしくは、提供者の血液の一定分量を、例えば、静脈穿刺によって回収してもよく、そして、少なくとも白血球の一部を生体外でアポトーシス誘導条件にさらされてもよい。
【0044】
1つの実施態様では、細胞集団は、細胞の特定の部分集団を含んでもよい。その部分集団は、これらに限定されないが、白血球、もしくは、CD4の発現に基づいて白血球から分離された細胞、すなわち、CD4+のT細胞を含む。血液成分の分離および精製は、本技術分野において周知の技術である。確かに、血液成分治療の出現により、特定の血液成分の収集のために設計された数多くのシステムが生まれてきた。これらの収集システムのいくつかは、例えば、Immunicon Corp.、(米国ペンシルバニア州ハンティングドンバレー)、Baxter International(米国イリノイ州ディアフィールド)、および、Dynal Biotech(ノルウェイ国オスロ)から市販されている。
【0045】
Immuniconの分離システムは、血液サンプル中の標的成分と結合する抗体、すなわち、複合体を形成する抗体でコーティングされた磁性ナノ粒子(強磁性流体)を用いて、血液成分を分離する。血液サンプルはその後強磁場でインキュベーションされ、標的複合体はサンプルの残り部分から離れるように移動し、後で収集され得る。例えば、米国特許第6,365,362号、同第6,361,749号、同第6,228,624号、同第6,136,182号、同第6,120,856号、同第6,013,532号、同第6,013,188号、同第5,993,665号、同第5,985,153号、同第5,876,593号、同第5,795,470号、同第5,741,714号、同第5,698,271号、同第5,660,990号、同第5,646,001号、同第5,622,831号、同第5,597,531号、同第5,541,072号、同第5,512,332号、同第5,466,574号、同第5,200,084号、同第5,186,827号、同第5,108,933号、および、同第4,795,698号を参照されたい。
【0046】
DynalのDynabeads(登録商標)生体磁気分離システム(biomagnetic separation system)は、血液サンプル中の標的成分と結合し、Dynabeads−標的複合体を形成する抗体でコーティングされた磁性ビーズを用いて、血液成分を分離する。複合体はその後、磁性粒子濃縮機(magnetic particle concentrator)[Dynal MPC(登録商標)]を用いて、サンプルから除去される。いくつかの異なった細胞の種類が、この分離システムを用いて収集されてもよい。また、例えば、CELLection(商標)CD2 Kit(商品番号116.03)、Dynabeads(登録商標)M-450 CD2(商品番号111.01/02)、Dynabeads(登録商標)CD3(商品番号111.13/14)、Dynabeads(登録商標)plus DETACHaBEAD(商品番号113.03)、Dynabeads(登録商標)M-450 CD4(商品番号111.05/06)、CD4 Negative Isolation Kit(T helper/inducer cells)(商品番号113.17)、CD8 Positive Isolation Kit(商品番号113.05)、Dynabeads(登録商標)CD8(商品番号111.07/08)、CD8 Negative Isolation Kit(商品番号113.19)、T Cell Negative Isolation Kit(商品番号113.11)、Dynabeads(登録商標)CD25(商品番号111.33/34)、および、Dynabeads(登録商標)CD3/CD28 T Cell Expander(商品番号111.31)を用いて、T細胞およびT細胞の部分集団を、全血、バフィーコート(buffy coat)、勾配単核球、もしくは、組織消化物から、陽性にもしくは陰性に単離し、または、枯渇することが可能である。Baxter Internationalは、CS-3000血液細胞分離機(blood cell separator)、Amicus分離機(separator)、および、Autopheresis-Cシステムを含む、遠心分離特性に基づいたいくつかのアフェレーシスシステムを開発してきた。CS-3000 Plus血液細胞分離機は、細胞アフェレーシス産物および血漿の両方を収集する。それは、アフェレーシス産物を収集する二相チャンバー遠心分離システムを有する連続フロー分離機を含む。Amicusは、単一の提供者の血小板および血漿を収集するための、連続フロー方式、もしくは、断続フロー方式のいずれかを実行する。Autopheresis-Cシステムは、提供者の血漿を収集するために設計され、かつ、250mLを超える血漿を収集することができる。概して、米国特許第6,451,203号、同第6,442,397号、同第6,315,707号、同第6,284,142号、同第6,251,284号、同第6,033,561号、同第6,027,441号、および、同第5,494,578号を参照されたい。
【0047】
本発明の最も好ましい実施態様では、ECPがアポトーシスを誘導するために用いられる。このことは、生体外で細胞集団に加えられる光活性化可能な化合物を必要とする。その光活性化可能な化合物は、被験者、被移植者、もしくは、提供者から血液細胞を含む細胞集団が回収された後に、場合によって、紫外光にさらす前か、または紫外光にさらすと同時に、血液細胞を含む細胞集団に投与されてもよい。光感受性化合物は、標的血液細胞もしくは血液成分がその光感受性化合物に耐えるならば、全血、もしくは、その部分を含む細胞集団に投与されてもよい。他の実施態様では、被験者の、被移植者の、もしくは、提供者の血液の一部は、まず実質的に赤血球を除去するための既知の方法を用いて処理されることがありうるし、光活性のある化合物は、その後PBMCに富む区画を含む、結果として生じた細胞集団に投与されてもよい。
【0048】
本発明に従って用いられる光活性化可能な化合物は、これらに限定されないが、ソラレン(すなわち、フロクマリン)として知られる化合物、ならびに、例えば、米国特許第4,321,919号、および、同第5,399,719号に記載されているような、ソラレン誘導体として知られる化合物を含む。好ましい化合物は、8−メトキシソラレン、4,5’8−トリメチルソラレン、5−メトキシソラレン、4−メチルソラレン、4,4−ジメチルソラレン、4−5’−ジメチルソラレン、4’−アミノメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、4’−ヒドロキシメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、4’,8−メトキシソラレン、および、これに限定されないが4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを含む4’−(ω−アミノ−2−オキサ)アルキル−4,5’,8−トリメチルソラレンを含む。1つの実施態様では、用いられるかもしれない光感受性化合物は、ソラレン誘導体、アモトサレン(amotosalen)(S−59)(Cerus Corp.、米国カリフォルニア州コンコード)を含む。他の実施態様では、光感受性化合物は、8−メトキシソラレン(8−MOP)を含む。
【0049】
光活性化可能な化合物が加えられた細胞集団は、光活性化可能な化合物を活性化する波長の光で処理される。光活性化可能な化合物を活性化する処理ステップは、好ましくは、長波長紫外光(ultraviolet light)(UVA)、例えば、320〜400nmの範囲内の波長、を用いて実行される。フォトフェレーシス処理の間、紫外光にさらすことは、好ましくは、細胞集団に対して約1〜2J/cmの熱量を与えるために十分な期間施される。
【0050】
本発明の方法に有用な生体外フォトフェレーシス装置は、UVAR(登録商標)という名の、Therakos, Inc.(米国ペンシルバニア州エクトン)によって製造されたものを含む。このような装置についての説明は、米国特許第4,683,889号に見られる。UVAR(登録商標)システムは処理システムを用い、(1)(白血球に富む)バフィーコート区画の収集期、(2)収集されたバフィーコート区画の照射期、および、(3)処理された白血球細胞の再注入期、の3期からなる。収集期は、血液の回収ステップ、遠心分離ステップ、および、再注入ステップの、6サイクルを有する。各サイクルの間、全血は遠心分離され、そして、フェレーシスボール(pheresis bowl)に分離される。この分離から、血漿[UVAR(登録商標)instrument operatorによって決定された、各サイクルにおける容量]、および、40mLのバフィーコートが、各収集サイクルにおいて保存される。赤血球および全ての追加的な血漿は、次の収集サイクルがはじまる前に患者に再注入される。最終的に全体で、240mLのバフィーコート、および、300mLの血漿が分離され、UVA照射のために保存される。
【0051】
照射サーキット内の白血球に富む血液への照射は、最初の収集サイクルのバフィーコート収集の間に開始する。収集された血漿およびバフィーコートは、200mLのヘパリン化された通常の生理食塩水と、200mgのUVADEX(登録商標)(水溶性の8−メトキシソラレン(methoxypsoralin))と、混ぜられる。この混合液は、PHOTOCEPTOR(登録商標)光活性化チャンバーを通って、1.4mmの厚い層中を流れる。そのチャンバーはPHOTOSETTE(登録商標)の2列のUVAランプの間に挿入されている。PHOTOSETTE(登録商標)UVAランプは、このUVA透過PHOTOCEPTOR(登録商標)チャンバーの両脇を照射し、紫外線A光で180分さらすことを可能にするものであり、それはリンパ球あたり1〜2J/cmの平均露光をもたらす。最終的なバフィーコートの準備物は、全体のPBMC成分の推定20%〜25%を含み、2.5%〜7%のヘマトクリットを有する。その光活性化期間の後、その容量は、30〜45分間を超えた期間、患者に再注入される。米国特許出願第09/480,893号は、ECP処理において使用される他のシステムについて説明している。米国特許第5,951,509号、同第5,985,914号、同第5,984,887号、同第4,464,166号、同第4,428,744号、同第4,398,906号、同第4,321,919号、国際公開第WO97/36634号、および、同第WO97/36581号はまた、このことについて有用な装置および方法の記載を含む。
【0052】
本発明の方法に有用かもしれない他のシステムは、米国特許出願第09/556,832号に記載されている。そのシステムは被験者から収集し、もしくは、除去した正味の液量を、ECPの間減少させるかもしれない装置を含む。細胞集団に与えられる光エネルギーの有効量は、米国特許第6,219,584号に記載の方法およびシステムを用いて決定されるかもしれない。
【0053】
細胞集団にアポトーシスを誘導するための様々な他の方法は周知であり、本発明で用いるために採用されてもよい。このような1つの処理は、細胞集団に電離性放射線照射(γ線、X線など)、および/もしくは、紫外光、過熱、冷却、血清枯渇、成長因子枯渇、酸性化、希釈、アルカリ化、イオン強度の変化、血清枯渇、放射線照射、もしくは、それらの組み合わせを含む、非電離性の電磁気的照射を行うことを含む。あるいは、アポトーシスは、細胞集団に超音波を照射することで誘導されてもよい。
【0054】
更に、アポトーシスを誘導する他の方法は、酸化ストレスを細胞集団に生体外で施すことを含む。このことは、細胞集団を懸濁液中で化学的酸化剤(例えば、過酸化水素、他の過酸化物およびヒドロペルオキシド、オゾン、過マンガン酸塩、過ヨウ素酸塩など)で処理することによって達成されるかもしれない。生物学的に容認される酸化剤は、形成されたアポトーシス誘導細胞集団の残渣および汚染と関連する、潜在的な問題を減らすために用いられてもよい。
【0055】
アポトーシス誘導細胞集団の準備においては、過剰なレベルの酸化ストレス、放射線照射、薬剤処理などを施さないように注意すべきである。なぜならば、処理中に、少なくともいくつかの細胞のネクローシスを引き起こす顕著な危険性が存在するかもしれないからである。ネクローシスは、しばしば生物学的に有害な結果、特に炎症といった事象を伴って、細胞膜の破裂、および、細胞内容物の放出を引き起こす。そのため、アポトーシス細胞を含む細胞集団とともに、ネクローシス細胞およびその成分が存在することは、避けることが最も望ましい。細胞集団にアポトーシスを誘導するための処理の適当なレベル、および、アポトーシスを誘導するために選ばれた処理の種類は、当業者によって容易に決定可能なものである。
【0056】
本発明に係る1つのプロセスは、被験者、もしくは、適合性のある哺乳類細胞株に由来する細胞の培養を伴う。培養された細胞はその後、生体外でアポトーシスを誘導するために、そして、その細胞集団を作り上げるために処理されてもよい。生体外処理は、抗体、化学療法剤、放射線照射、ECP、超音波、タンパク質、および、酸化剤からなる群から選択されてもよい。被験者の血漿中、または、生理食塩水もしくは調整された哺乳動物細胞培養培地のような他の適切な懸濁培地中に、懸濁された細胞はその後以下に示す方法で、インキュベーションされてもよい。
【0057】
本発明において、アポトーシスの検出および定量のための方法は、白血球もしくはT細胞とインキュベーションされた準備物におけるアポトーシスの存在および濃度を決定するために有用である。1つの実施態様において、アポトーシスを経験した細胞は、アガロースゲル電気泳動上で見られる特徴的なDNAの「はしご」によって同定されるかもしれない。それはDNAが一連の断片に切断された結果である。他の実施態様では、細胞上のホスファチジルセリンの表面発現は、アポトーシス誘導細胞集団を同定し、および/または、定量するために用いられるかもしれない。ミトコンドリア膜電位における変化は、ミトコンドリア膜透過性における変化を反映するものであり、その膜電位の変化を測定することは、細胞集団の、別の認知されている同定方法である。アポトーシスを経験した細胞および細胞集団の他のいくつもの同定方法の多くは細胞集団に特異的なマーカーに対するモノクローナル抗体を用いるものであり、科学的な文献上で説明されてきた。
【0058】
Tregの投与には、関節炎もしくは他の自己免疫疾患を治療するにあたって、有用性が見られる。それらはまた、細胞、組織、臓器、動物、もしくは、患者における少なくとも1つの自己免疫関連疾患の治療、もしくは、その予防に有用である。その自己免疫関連疾患は、これらに限定されないが、急性横断性脊髄炎、円形脱毛症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、アテローム性動脈硬化、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、脊髄小脳疾患、脊髄小脳変性症(脊髄性運動失調症、フリードライヒ運動失調症、小脳皮質変性症)、慢性アルコール中毒、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、デジェリーヌ・トーマス病、パンチドランカー症、真性糖尿病、びまん性レビー小体病、円板状エリテマトーデス、脳幹神経節疾患、播種性血管内凝固症候群、中年期のダウン症候群、薬物誘導性運動障害、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛・線維筋炎、移植片対宿主病、グレーヴス病、ギラン・バレー病、ハレルフォルデン・スパッツ病、橋本病、ハンチントン病、老人性舞踏病、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、幼児性もしくは若年性脊髄性筋萎縮症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、川崎病、皮質脊髄系病変、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、扁平苔癬、メニエール症候群、混合性結合組織病、多発性硬化症、多系統変性(メンケル、デジェリーヌ・トーマス、シャイ・ドレーガー症候群、マシャード・ジョセフ病)、重症筋無力症、神経原性筋萎縮症、パーキンソン病、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性動脈周囲炎、多発性軟骨炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎・皮膚筋炎、原発性無γグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、進行性核上性麻痺、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、慢性関節リウマチ、類肉腫症、強皮症、レビー小体型の老人性痴呆症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、亜急性硬化性全脳炎、全身性疾患(レフスム病、無βリポタンパク血症、失調症、毛細血管拡張症、ミトコンドリア多型疾患)、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、脈管炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症、ヴェルニッケ・コルサコフ症候群を含む。
【0059】
本発明はまた、移植片の拒絶反応、もしくは、移植片対宿主病(GVHD)を治療するにあたって有用である。急性固形臓器移植拒絶反応は、肺移植後の患者の30%〜60%に生じ、そして、免疫抑制剤が効いたために、肝臓、腎臓、心臓などで、低程度で生じる。移植抗原に対するリンパ球(細胞)介在免疫反応は、急性拒絶反応の主要なメカニズムである。遅延性もしくは慢性拒絶反応は、移植後数ヶ月から数年で、組織片の崩壊を引き起こし、そして、移植された組織のネクローシスを導く血管崩壊によって特徴付けられる。この拒絶反応は、標準的な治療方法では、現在でも大部分が抑制されるとは限らないし、その上、より持続可能な免疫寛容に対する要求は、明らかに満たされていない。
【0060】
遅延性移植片損傷は時折生じ、この慢性型の拒絶反応は、免疫抑制治療が増加しているにもかかわらず、しばしば知らないうちに進行する。その病理学的な全体像は、急性拒絶反応のものとは異なっている。動脈内皮細胞が広範囲の増殖に主に関わっており、それは段階的に血管内腔を塞ぎ、結果的に移植片の虚血および繊維形成を引き起こすかもしれない。
【0061】
免疫抑制剤は、拒絶反応を制御するために現在広く用いられており、移植の成功に主に関与している。しかしながら、これらの薬剤はすべての免疫反応を抑制し、そのために移植受容者の主な死因である高度な感染症を引き起こしている。
【0062】
免疫抑制剤処置の存在は、異なる移植の種類の場合によって相違しうる。肝臓の同種移植片は、他の臓器の同種移植片よりもあまり積極的に拒絶されない。例えば、肝臓移植の超急性拒絶反応は、HLA抗原もしくはABO不適合性に対して前感作させた(presensitized)患者に対しても、変わらず起こらない。成人の一般的な免疫抑制治療は、シクロスポリンを用いることを伴う。通常、移植開始時点で4〜6mg/kg/日、その後摂食が可能ならば8〜14mg/kg/日を経口で、IVが与えられる。腎臓の機能不全が生じる場合、投与量は下方に調整され、血液濃度は適当な投与量のおおよその指標として用いられる。
【0063】
心臓移植において、免疫抑制治療法は、腎臓もしくは肝臓移植のものと同様である。しかしながら、肺および心臓−肺移植において、急性拒絶反応は80%を超える患者で起こるが、成功裏に行われるかもしれない。患者はコルチコステロイドで処置され、ただちに高投与量のIV、ATG、もしくは、OKT3が与えられる。予防的なALGもしくはOKT3は、移植後最初の2週間の間にも頻繁に投与される。すい臓移植は、新生血管を形成する臓器移植の中でも独特である。すなわち、生命を救うために用いられる代わりに、安定にすることが試みられ、または、標的臓器がI型糖尿病との合併症で損傷することを防止することが試みられる。被移植者が免疫抑制のリスクとインスリン注射のリスクとを交換するために、すい臓移植は、概して既に免疫抑制剤を投与せざるをえない患者(すなわち、腎臓疾患を有する、腎臓移植を受けている糖尿病患者)に主に限られてきた。
【0064】
急性脊髄性白血病もしくは急性リンパ芽球白血病を有する患者は、骨髄移植(bone marrow transplant)(BMT)の恩恵を受け得る。遺伝的疾患(例えば、サラセミア、鎌状赤血球貧血、免疫欠損症、先天的代謝異常)を有する子供を治療する可能性があるために、小児BMTは広まってきた。BMTに対する他の選択肢は、(その後に、残りの腫瘍の破壊の望みがある患者の切除治療、および、患者自身の骨髄の救済があるような完全寛解が誘導されるならば、患者自身の骨髄を除去するような)自家組織移植である。自家移植片が用いられるので、腫瘍根絶および骨髄除去のために用いられる短期間の高容量化学療法を除いて、免疫抑制は全く必要ない。すなわち、GVHDに伴う移植後の問題は最小である。
【0065】
HLAが同一の提供者から白血病患者への移植において、拒絶率は5%未満である。再生不良性貧血を有する複合輸血患者に対してもまた、移植誘導期に高められた免疫抑制のおかげで、拒絶率は明らかに低下してきた。それにもかかわらず、合併症は、骨髄移植の宿主による、急性GVHDによる、および、感染症による拒絶反応を含んで生じうる。遅延性合併症には、慢性GVHD、長期免疫欠損症、および、疾患の再発を含む。
【0066】
数多くの他の移植は、本発明に係る処置とともに、より効果的に行われることが可能である。その例は、角膜移植、皮膚自家移植片、軟骨自家移植片、骨移植片、および、小腸移植片を含む。
【0067】
本発明の方法を用いて、他の疾患の宿主が、より効果的に治療されうる。例えば、皮膚T細胞性リンパ腫は、Tリンパ球が悪性化し、皮膚に影響を及ぼす疾患である。3種類の処置が一般的に用いられている。すなわち、放射線照射、化学療法、および、フォトフェレーシスである。皮膚T細胞性リンパ腫の治療は、病気のステージ、ならびに、患者の年齢および全体的な健康に依存する。過去の研究の患者への効果のために、標準的な治療法が考慮されるかもしれないし、臨床試験への参加が考慮されるかもしれない。皮膚T細胞性リンパ腫を有するほとんどの患者は、標準的な治療法では治癒されず、いくつかの標準的な治療法は、望まれるよりも多くの副作用を有するかもしれない。本発明の方法を用いた治療法はまた、この疾患の治療においても用いられることが可能である。
【0068】
本発明の方法を、例えば、美容のための、もしくは、非美容のための形成外科手術において、一般に行われるインプラント手術とともに、インプラント手術においても用いてもよい。このようなインプラントは、歯、脂肪移植(例えば、頬、唇、および、臀部)、顔面インプラント(鼻、頬、額、顎、および、頭蓋骨を含む)、臀部インプラント、胸部インプラントなどを含むことができる。他のインプラントは、これらに限定されないが、角膜輪、皮質、眼窩、蝸牛、筋肉(胸筋、臀筋、腹筋、腓腹筋、ひらめ筋、二頭筋、三頭筋を含む、全ての筋肉)、異質プラスチック関節(alloplastic joint)および骨置換、骨修復インプラント[ねじ、棒(rod)、はり(beam)、バー(bar)、ばね]、金属板、脊髄、脊椎、毛髪、ボトックス/コラーゲン/レスチレン(restylane)/パーレーン(perlane)注入、陰茎整形、前立腺小線源移植(prostate seed implants)、(美容のための、および、再建的な)豊胸手術、子宮内機器、ホルモンインプラント、胎児細胞もしくは幹細胞インプラント、ペースメーカー、除細動器、人工動脈/人工静脈/人工弁、ならびに、人工臓器を含む。
【0069】
本発明の方法を用いて、自己免疫疾患をより効果的に治療することが可能である。これらは、免疫系が内因性抗原に対して自己抗体を産生し、その結果、組織を損傷させる疾患である。人はいくつかの方法によってある疾患を有していると同定されるかもしれない。その方法とは、これらに限定されないが、HLA連鎖型、血液検査もしくは血清検査、または、遺伝的変異[例えば、一塩基変異多型(single nucleoride polymorphisms)(SNPs)]の同定を含む。例えば、ある人がかつてHLA−DR4の連鎖を有すると決定され、関節リウマチであると診断されていたならば、Treg処置が処方されうるだろう。その他のHLA対立遺伝子は、MHC対立遺伝子としても知られているが、自己免疫疾患と関連する。その自己免疫疾患は、B27(強直性脊椎炎);DQA1*0501およびDQB1*0201(セリアック病);DRB1*03、DRB1*04、DQB1*0201、DQB1*0302、および、DMA*0101(I型糖尿病);ならびに、Cw6(乾癬)を含む。これらの対立遺伝子はまた、人が自己免疫疾患を経験しているかどうか、ひいては、Treg処置が効果的であるかもしれないかどうかを決定するために用いられてもよい。
【0070】
血液検査もしくは血清検査は、疾病素因を検査するために用いてもよい。例えば、狼瘡の発症を導くかもしれない血清中の抗核抗体(autonuclear antibodies)の存在を検出する分析検査がある。血清検査は自己免疫性心筋症を予測するためにも存在する。その上、血清検査は、インスリン濃度(糖尿病)、または、他の病気に対する肝臓もしくは心臓の酵素を決定するために用いられるかもしれない。T3濃度は、橋本病を予測するかもしれない。人が血液検査もしくは血清検査を用いて、疾患を有すると決定された後、本発明の方法は、これらの疾患の発症を妨げたり、もしくは、遅らせたり、または、これらの疾患の影響を軽減させるために用いられるかもしれない。人は、限定はされないが、SNPsを含む遺伝的変異の同定を通じて、疾患に罹患しやすいと同定されるかもしれない。このように、本発明の更なる態様において、患者が自己免疫疾患を有すること、もしくは、それにかかりやすいということの決定が最初になされ、それから、患者はTregによる処置を処方される決定がなされる。
【0071】
本発明の方法はまた、アトピー性疾患の治療にも適用可能である。アトピー性疾患は、外因性アレルゲンに非常に感受性のある人の、アレルギー性疾患である。アトピー疾患は、これらに限定されないが、アトピー性皮膚炎、外因性気管支喘息、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性胃腸炎、および、同様のものを含む。標準的な診断検査は、患者が上記の型の疾患を有するかどうかを決定するために用いることができる。
【0072】
以下の実施例は、例を提示するが、特許請求の範囲に記載した発明を限定するものではない。本明細書において引用された全ての参照文献は、参照により本明細書に組み入れる。
【0073】
〔実施例1〕
<8MOP/UVAを通じたアポトーシス誘導>
正常な提供者のヒト白血球をFicoll-paque処理し、PBMCを収集し、洗浄した後、T−75組織培養フラスコ中に約10細胞/mLで静置した。このフラスコに200ng/mLの8−MOPを加えた後、UVAを照射(約3J/cm)した。付着を避けるために、細胞を即座にフラスコから除去し、Treg生成のための適当な濃度で静置した。
【0074】
<Treg生成>
正常な提供者のヒト白血球をFicoll-paque処理し、PBMCを収集した。Tリンパ球を、磁性活性細胞分離カラム(magnetically activated cell sorter column)およびCD4陰性選択抗体カクテル(CD4+ negative selection antibody cocktail)(Miltenyi Biotec)を用いて、PBMCから精製した。精製したナイーブCD4 T細胞(naive CD4 T cell)を、ECP処理したPBMCと2:1(CD4:PBMC)の割合で、20ng/mLのIL−10とともに、8日間共インキュベーションした(図1A)。8日後、CD4T細胞を、MACsおよびCD4陽性選択抗体カクテル(CD4 positive selection antibody cocktail)(Miltenyi Biotec)を用いて精製した。IL−10は、必要ではないが、いくつかの実施態様では、より一貫性のある表現型を誘導する。
【0075】
<Treg評価>
Treg抑制活性を、2番目の混合リンパ球反応(mixed lymphocyte reaction)(MLR)によって評価した(図1B)。同系CD4T細胞を、10,000細胞/穴で、96穴プレート上に静置した。同種樹状細胞を、1穴当たり2000細胞で、穴に加えた。Tregを、4個の応答T細胞に対する1個のTreg細胞の割合で開始されるMLR中に、滴定した。5日目にRocheの細胞増殖BRDU化学発光ELIZA(Cell Proliferation BRDU chemiluminescent ELIZA)を用いて、ブロモデオキシウリジン(bromodeoxyuridine)(BRDU)取込みで、増殖を測定した。化学発光をトップカウント(TopCount)(Perkin Elmer)を用いて測定した。
【0076】
〔実施例2〕
<本方法によって、Treg活性はT細胞の生成において見られる>
CD4+T細胞を、20ng/mLのIL−10の存在中で、ECP処理された末梢血液細胞とともに、8日間インキュベーションした。Tregは、MACsおよびCD4陽性選択抗体カクテル(Miltenyi Biotec)を用いて、培養組織から精製した。その制御活性を検定するために、Tregをその後、10,000個の同系CD4+T細胞および2000個の同種樹状細胞からなるMLR中に加えた。これらの培養組織における増殖を、5日目にBRDU取込みによって測定した。その結果を図2に示す。
【0077】
〔実施例3〕
<本方法によって、Treg活性はT細胞の生成で見られる>
Tr1細胞を、20ng/mLのIL−10の存在中で、CD4+T細胞をインキュベーションすることによって、生成した。Tregを、20ng/mLのIL−10の存在中で、ECP処理された末梢血液細胞とともに、8日間インキュベーションすることによって、生成した。Tregを、MACsおよびCD4陽性選択抗体カクテル(Miltenyi Biotec)を用いて、培養組織から精製した。その制御活性を検定するために、Tregはその後、10,000個の同系CD4+T細胞および2000個の同種樹状細胞からなるMLR中に加えられた。これらの培養組織における増殖を、5日目にBRDU取込みによって測定した。その結果を図3に示す。
【0078】
〔実施例4〕
<Treg表現型は、本方法によるT細胞生成において見られた>
CD4+T細胞を、20ng/mLのIL−10の存在中で、ECP処理された末梢血液細胞とともに、8日間インキュベーションした。Tregを、MACsおよびCD4陽性選択抗体カクテル(Milteyi Biotec)を用いて、培養組織から精製した。Tregをその後、10,000個の同系CD4+T細胞および2000個の同種樹状細胞からなるMLR中に加えた。IL−2を、そのMLRに2ng/mLで加えた。これらの培養組織における増殖を、5日目にBRDU取込みによって測定した。その結果を図4に示す。
【0079】
〔実施例5〕
<Treg表現型は、本方法によるT細胞生成において見られた>
ECP処理されたPBMCとともに、共インキュベーションすることによって生成したTregを、24穴トランスウェル挿入システム(24-well transwell insert system)(Nunc Tissue Culture 0.2μM Anopore Insert system番号136935)を用いたMLRにおいて評価した。500,000個の同系CD4+T細胞および100,000個の同種樹状細胞からなるMLRを、トランスウェルの底の部分に静置した。250,000個のTregを、応答T細胞および同種樹状細胞とともに、トランスウェル挿入、もしくは、直接穴の底のいずれかに静置した。5日目に挿入物を除去し、増殖を5日目にBRDU取込みによって測定した。その結果を図5に示す。
【0080】
〔実施例6〕
(生体内適用におけるマウスモデル)(予見的な)
<マウス>
オスの、C3H/HeJ(C3H;H2k)、(B6×C3H)F1(H2b×k)、(B6×DBA/2)F1(H2b×d)、C57BL/6(B6;H2b)、および、CBA/JCr(CBA;H2k)のマウスは、National Cancer Institute Research and Development Center(米国メリーランド州フレデリック)から購入されるだろう。B10.BR(H2k)マウスはJackson Laboratories(米国メイン州バーハーバー)から購入されるだろう。実験に用いたマウスは6〜10週齢で、特定病原体除去施設内の不妊マイクロアイソレーターケイジ(sterile microisolator cage)で、オートクレーブされた食餌および水を任意に与えて飼育されたものであるだろう。
【0081】
<培地>
提供者の骨髄およびリンパ球についての試験管内のすべての操作に、0.1%のウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)(BSA、Sigma Chemical Co.、米国ミズーリ州セントルイス)を補ったリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate-buffered saline)(PBS)を、用いるだろう。注入の直前に、細胞をPBSのみで洗浄し、再懸濁するだろう。細胞株を維持するために、そして、試験管内検査のために、RPMI1640培地(Mediatech、米国ヴァージニア州ホーンドン)を、10%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum)(FBS、GIBCO、米国ニューヨーク州グランドアイランド)、2mmol/LのL−グルタミン、50IU/mLのペニシリン、および、50μg/mLのストレプトマイシンを補って、用いるだろう。
【0082】
<抗体>
<実験的フォトフェレーシス>
脾細胞は同系同腹子の健常マウスから摘出され、PBSの中で注射器の後端部ですりつぶすことによって、単一細胞の懸濁液に作られるだろう。これらの細胞を、再懸濁し、そして、12.5×10細胞/mLでPBSに再懸濁する前に、細胞をPBSで2回洗浄するだろう。細胞を洗浄すると、それらを氷冷培地中に再懸濁し、T75フラスコ中に約10細胞/mLで播くだろう。ソラレン(UVADEX溶液)を、最終濃度200ng/mLで加えるだろう。これは、Therakosによって提供される原溶液の100倍希釈である。フラスコを、UVA照射チャンバー中に置き、約1.5J/cmの光を与えるだろう。それは、トレイが光源から6cmである場合、1.5分の下部光(bottom light)に相当する。付着を避けるために、細胞を即座にフラスコから除去するだろうし、注入のために適当な濃度で静置した。もし付着がある場合、細胞の大部分を取り除くために、フラスコはやさしくこすられ、もしくは、軽く叩かれるだろう。
【0083】
<骨髄移植>
0.01%のBSAを含むPBS(PBS/BSA)で流出させることによって、提供マウスの脛骨および大腿骨から、骨髄を摘出するだろう。1:100希釈の抗Thy1.2nAb(J1j、American Type Culture Collection、米国メリーランド州ロックヴィル)、および、1:6希釈のguinea pig complement(Rockland Immunochemicals、米国ペンシルバニア州ギルバートヴィル(Gilbertsville))を用いて37℃で45分間処理することによって、骨髄細胞からT細胞が枯渇させられるだろう。リンパ細胞を、提供マウスの脾臓およびリンパ節から単離するだろう。赤血球(red blood cell)(RBC)を除去するために、0.7%の塩化アンモニウム(NHCl)を含むガイの平衡塩類溶血溶液(Gey's balanced salt lysing solution)で、脾細胞を処理するだろう。RBC枯渇の後、脾臓細胞およびリンパ節細胞を収集し(pooled)、5mg/mL希釈のヤギ抗マウスIgGで、4℃で1時間、プレコーティングされたプラスチックのペトリ皿の上でパンニングする(panning)ことによって脾臓細胞およびリンパ節細胞からT細胞を枯渇させるだろう。これらの処理により、蛍光フローサイトメトリーによって定量されるような、約90%〜95%のCD3+細胞提供集団が期待される。T細胞の部分集団はその後、抗CD8(3.168)、もしくは、抗CD4mAb(RL172)のいずれか、および補体を用いることによる陰性選択を通じて、単離されるだろう。これらの処理により、フローサイトメトリーを用いた解析で決定されるように、バックグラウンドレベルに対する標的T細胞部分集団が減少することが期待される。被移植マウスを、セシウム137源から1.43Gy/分で、13Gyの全身照射にさらし、各6.5Gyの分割線量に運ばれ、3時間分離するだろう。これらのマウスはその後、尾の静脈を経由した静脈注射により(intravenously)(i.v.)、指示された数の適当なT細胞(提供者の、CD4もしくはCD8に富むT細胞)とともに、2×10個の抗Thy1.2処理された骨髄細胞(anti-Thy 1.2 treated bone marrow cells)(ATBM、T細胞枯渇)を移植されるだろう。マウスは、移植前日に、そして、再び0日、4日、8日、および、12日目にTregで処理されるだろう(すべて0.5mg、腹腔内)。GVL実験のために、B6移植マウスは、同様のTreg処理スケジュールで、提供者のATBMおよびT細胞を移植する前日に、Treg注入に臨まれるだろう。GVHDおよびGVL実験において、マウスは、完了まで毎日、罹病率および致死率を確認されるだろう。データを2〜3の実験群から収集し、そして、生存時間の中央値(median survival times)(MST)が、0を含めた致死データ点の日の全てを通じて、直線回帰の中間値を挿入した50%生存点として、決定されるだろう。実験群間の生存の統計的な比較は、ノンパラメトリックなウィルコクソンの符号付検定によって、実施されるだろう。荷重比較の有意性は、個々の時点におけるT検定によって決定されるだろう。
【0084】
<フローサイトメトリー>
25μL量における適当なmAbを、96穴のU底マイクロプレート(U-bottom microplate)の1穴当たり2〜5×10細胞数とともに、4℃で30分間インキュベーションし、1500回転/分で3分間遠心分離し、そして、0.1%BSAおよび0.01%アジ化ナトリウムを含むPBS(洗浄バッファー)で洗浄されるだろう。陽性細胞の割合および蛍光強度の算術平均が各サンプルについて計算されるだろう。
【0085】
<病理学的解析>
全層耳生検(Full thickness ear biopsies)(3×2mm)は、様々な処理群における各マウスから標本化され、そして即座に4%グルタルアルデヒドで一晩固定され、その後0.1Mのカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で洗浄されるだろう。組織はその後、2%四酸化オスミウムで2時間、後固定され、段階的なエタノールで脱水され、そしてEpon812中に包埋されるだろう。1ミクロン厚の切片は、Porter-Blum MT2Bウルトラミクロトームで切断され、トルイジンブルーで染色され、そして、最終的に光学顕微鏡解析のために95%エタノール中に浸潤されるだろう。異角化症の上皮細胞の数/直線mmは、従来決定されてきたように、光学顕微鏡の100倍の対物レンズおよび10倍の接眼レンズの下でカウントされるだろう。直線で10mmを超える表皮が、各動物、および、各時期においても検査されるだろう。検査は処理群について盲検条件で実施されるだろう。
【0086】
Tregのための追加的な動物モデルは、例えば、米国特許出願公開第20030157073号、Kohm, A他(2002年)、Tang, Q他(2004年)、および、Schwarz, A他(2004年)に提示されている。
【0087】
〔参照文献〕







【0088】
〔実施の態様〕
(1)制御活性を有するT細胞(Treg)を生成する方法において、
白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすること、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、Tregを生成するために十分な時間および条件下である、方法。
(3)実施態様1に記載の方法において、
CD4+細胞を得るために、CD4を発現する白血球を選択するステップ、
を更に含む、方法。
(4)実施態様3に記載の方法において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約1:10〜約10:1である、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約2:1〜約1:2である、方法。
(6)実施態様1に記載の方法において、
前記ACは、アポトーシス誘導処理によって得られる、方法。
(7)実施態様6に記載の方法において、
前記アポトーシス誘導処理は、ECP法であり、
前記ECP法は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する、波長の光とともに使用する手法である、方法。
(8)実施態様7に記載の方法において、
前記光活性化可能な化合物は、ソラレンであり、
前記光は、UVAである、方法。
(9)実施態様8に記載の方法において、
前記ソラレンは、8−MOPである、方法。
(10)実施態様1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、前記Tregの生成もしくは機能をさらに高める、追加的な要素を更に含む、方法。
【0089】
(11)実施態様10に記載の方法において、
前記要素は、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体である、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
前記要素は、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2の少なくとも1つから選択される、方法。
(13)実施態様12に記載の方法において、
前記要素は、IL−10である、方法。
(14)実施態様13に記載の方法において、
前記IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する、方法。
(15)実施態様14に記載の方法において、
前記IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する、方法。
(16)実施態様1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約1〜約14日間である、方法。
(17)実施態様16に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約8日間である、方法。
(18)実施態様1に記載の方法において、
抗原に対する免疫反応を制御する、Tregを生成するための前記インキュベーションに、前記抗原を加えること、
を更に含む、方法。
(19)実施態様18に記載の方法において、
前記抗原は、同種抗原である、方法。
(20)組成物において、
白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団、
を含む、組成物。
【0090】
(21)実施態様20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、Tregを生成するために十分な時間および条件下である、組成物。
(22)実施態様20に記載の組成物において、
CD4+細胞を得るために、CD4を発現する白血球を選択するステップ、
を更に含む、組成物。
(23)実施態様22に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約1:10〜約10:1である、組成物。
(24)実施態様23に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約2:1〜約1:2である、組成物。
(25)実施態様20に記載の組成物において、
前記ACは、アポトーシス誘導処理によって得られる、組成物。
(26)実施態様25に記載の組成物において、
前記アポトーシス誘導処理は、ECP法であり、
前記ECP法は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する、波長の光とともに使用する手法である、組成物。
(27)実施態様26に記載の組成物において、
前記光活性化可能な化合物は、ソラレンであり、
前記光は、UVAである、組成物。
(28)実施態様27に記載の組成物において、
前記ソラレンは、8−MOPである、組成物。
(29)実施態様20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、前記Tregの生成もしくは機能をさらに高める、追加的な要素を更に含む、組成物。
(30)実施態様29に記載の組成物において、
前記要素は、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体である、組成物。
【0091】
(31)実施態様30に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD3、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2の少なくとも1つから選択される追加的な要素を更に含む、組成物。
(32)実施態様31に記載の組成物において、
前記要素は、IL−10である、組成物。
(33)実施態様32に記載の組成物において、
前記IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する、組成物。
(34)実施態様33に記載の組成物において、
前記IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する、組成物。
(35)実施態様20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、約1日間〜約14日間である、組成物。
(36)実施態様35に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、約8日間である、組成物。
(37)実施態様20に記載の組成物において、
抗原に対する免疫反応を制御する、Tregを生成するための前記インキュベーションに、前記抗原を加えること、
を更に含む、組成物。
(38)実施態様37に記載の組成物において、
前記抗原は、同種抗原である、組成物。
(39)自己免疫疾患を治療する、もしくは、その1種以上の症状を改善する方法において、
自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む組成物の有効量を、必要とする患者に投与すること、
を含む、方法。
(40)実施態様39に記載の方法において、
前記アポトーシス誘導処理は、ECP法であり、
前記ECP法は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する、波長の光とともに使用する手法である、方法。
【0092】
(41)実施態様40に記載の方法において、
前記光活性化可能な化合物は、ソラレンであり、
前記光は、UVAである、方法。
(42)実施態様41に記載の方法において、
前記ソラレンは、8−MOPである、方法。
(43)実施態様40に記載の方法において、
前記インキュベーションは、前記Tregの生成もしくは機能をさらに高める、追加的な要素を更に含む、方法。
(44)実施態様43に記載の方法において、
前記要素は、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体である、方法。
(45)実施態様44に記載の方法において、
前記要素は、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2の少なくとも1つから選択される、方法。
(46)実施態様45に記載の方法において、
前記要素は、IL−10である、方法。
(47)実施態様46に記載の方法において、
前記IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する、方法。
(48)実施態様47に記載の方法において、
前記IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する、方法。
(49)実施態様40に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約1日間〜約14日間である、方法。
(50)実施態様49に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約8日間である、方法。
【0093】
(51)実施態様40に記載の方法において、
抗原に対する免疫反応を制御する、Tregを生成するための前記インキュベーションに、前記抗原を加えること、
を更に含む、方法。
(52)実施態様51に記載の方法において、
前記抗原は、同種抗原である、方法。
(53)実施態様40に記載の方法において、
前記自己免疫疾患は、
急性横断性脊髄炎、円形脱毛症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、アテローム性動脈硬化、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、脊髄小脳疾患、脊髄小脳変性症(脊髄性運動失調症、フリードライヒ運動失調症、小脳皮質変性症)、慢性アルコール中毒、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、デジェリーヌ・トーマス萎縮症、パンチドランカー症、真性糖尿病、びまん性レビー小体病、円板状エリテマトーデス、脳幹神経節疾患、播種性血管内凝固症候群、中年期のダウン症候群、薬物誘導性運動障害、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛・線維筋炎、移植片対宿主病、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病、橋本病、ハンチントン病、老人性舞踏病、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、幼児性もしくは若年性脊髄性筋萎縮症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、川崎病、皮質脊髄系病変、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、扁平苔癬、メニエール症候群、混合性結合組織病、多発性硬化症、多系統変性(メンケル、デジェリーヌ・トーマス、シャイ・ドレーガー症候群、マシャード・ジョセフ病)、重症筋無力症、神経原性筋萎縮症、パーキンソン病、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性動脈周囲炎、多発性軟骨炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎・皮膚筋炎、原発性無γグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、進行性核上性麻痺、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、慢性関節リウマチ、類肉腫症、強皮症、レビー小体型の老人性痴呆症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、亜急性硬化性全脳炎、全身性疾患(レフスム病、無βリポタンパク血症、失調症、毛細血管拡張症、ミトコンドリア多型疾患)、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、脈管炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症、ヴェルニッケ・コルサコフ症候群、
のうちの少なくとも1つである、方法。
(54)アトピー性疾患を治療し、もしくは、その1つ以上の症状を改善する方法において、
組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与すること、
を含み、
前記組成物は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む、方法。
(55)実施態様54に記載の方法において、
前記アトピー性疾患は、
類肉腫症、慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、および、クローン病のような、慢性炎症性疾患、ならびに、これに限定されないが、播種性血管内凝固症候群、アテローム性動脈硬化、および、川崎病のような、血管炎症性疾患、を含む、慢性炎症性疾患および血管炎症性疾患の、少なくとも1つである、方法。
【0094】
(56)方法において、
組成物の有効量を、移植受容者に投与すること、
を含み、
前記組成物は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む、方法。
(57)実施態様56に記載の方法において、
前記Tregは、前記移植受容者に、移植より前の1週間に2日;前記移植片の摘出より前の1週間に3日;前記移植より前の2週間に、1週当たり2日;および、前記移植より前の3週間に、1週当たり3日;からなる群から選択される計画にしたがって、投与される、方法。
(58)方法において、
組成物の有効量を、GVHD患者に投与すること、
を含み、
前記組成物は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む、方法。
(59)実施態様58に記載の方法において、
前記Tregは、前記移植受容者に、移植より前の1週間に2日;前記移植片の摘出より前の1週間に3日;前記移植より前の2週間に、1週間当たり2日;および、前記移植より前の3週間に、1週間当たり3日;からなる群から選択される計画にしたがって、投与される、方法。
(60)疾患を有する患者、もしくは、疾患に対する素因を有する患者を治療する方法において、
前記患者を、前記患者が疾患を有するかどうかを決定するために、検査することと、
組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することと、
を含み、
前記組成物は、自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】A:Treg生成、B:制御性T細胞の生成後、MLR中に入れられたTreg細胞、を示す図である。
【図2】ECP処理されたPBMCとともによる共インキュベーションを通じて生成された制御性T細胞が、同系T細胞の増殖を抑制することを示す図である。
【図3】ECP処理されたPBMCとともによる共インキュベーションを通じて生成された制御性T細胞が、標準Tr1細胞よりもT細胞増殖を抑制することを示す図である。
【図4】ECP処理されたPBMCとともによる共インキュベーションを通じた制御性T細胞の生成が、インターロイキン2を加えることにより逆転することがあることを示す図である。
【図5】ECP処理されたPBMCとともによる共インキュベーションを通じて生成された制御性T細胞の抑制活性が、接触依存性であることを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御活性を有するT細胞(Treg)を生成する方法において、
白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすること、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、Tregを生成するために十分な時間および条件下である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
CD4+細胞を得るために、CD4を発現する白血球を選択するステップ、
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約1:10〜約10:1である、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約2:1〜約1:2である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記ACは、アポトーシス誘導処理によって得られる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記アポトーシス誘導処理は、ECP法であり、
前記ECP法は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する、波長の光とともに使用する手法である、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記光活性化可能な化合物は、ソラレンであり、
前記光は、UVAである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記ソラレンは、8−MOPである、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、前記Tregの生成もしくは機能をさらに高める、追加的な要素を更に含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記要素は、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記要素は、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2の少なくとも1つから選択される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記要素は、IL−10である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約1〜約14日間である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記インキュベーションは、約8日間である、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
抗原に対する免疫反応を制御する、Tregを生成するための前記インキュベーションに、前記抗原を加えること、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記抗原は、同種抗原である、方法。
【請求項20】
組成物において、
白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球(AC)とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団、
を含む、組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、Tregを生成するために十分な時間および条件下である、組成物。
【請求項22】
請求項20に記載の組成物において、
CD4+細胞を得るために、CD4を発現する白血球を選択するステップ、
を更に含む、組成物。
【請求項23】
請求項22に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約1:10〜約10:1である、組成物。
【請求項24】
請求項23に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、CD4+:ACの割合が、約2:1〜約1:2である、組成物。
【請求項25】
請求項20に記載の組成物において、
前記ACは、アポトーシス誘導処理によって得られる、組成物。
【請求項26】
請求項25に記載の組成物において、
前記アポトーシス誘導処理は、ECP法であり、
前記ECP法は、光活性化可能な化合物を、その光活性化可能な化合物を活性化する、波長の光とともに使用する手法である、組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物において、
前記光活性化可能な化合物は、ソラレンであり、
前記光は、UVAである、組成物。
【請求項28】
請求項27に記載の組成物において、
前記ソラレンは、8−MOPである、組成物。
【請求項29】
請求項20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、前記Tregの生成もしくは機能をさらに高める、追加的な要素を更に含む、組成物。
【請求項30】
請求項29に記載の組成物において、
前記要素は、ホルモン、タンパク質、薬剤、もしくは、抗体である、組成物。
【請求項31】
請求項30に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、TGFβ、αMSH、抗CD46、IL−10、ビタミンD3、デキサメタゾン、ラパマイシン、および、IL−2の少なくとも1つから選択される追加的な要素を更に含む、組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の組成物において、
前記要素は、IL−10である、組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の組成物において、
前記IL−10は、約1ng/mL〜約100ng/mLの濃度で存在する、組成物。
【請求項34】
請求項33に記載の組成物において、
前記IL−10は、約20ng/mLの濃度で存在する、組成物。
【請求項35】
請求項20に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、約1日間〜約14日間である、組成物。
【請求項36】
請求項35に記載の組成物において、
前記インキュベーションは、約8日間である、組成物。
【請求項37】
請求項20に記載の組成物において、
抗原に対する免疫反応を制御する、Tregを生成するための前記インキュベーションに、前記抗原を加えること、
を更に含む、組成物。
【請求項38】
請求項37に記載の組成物において、
前記抗原は、同種抗原である、組成物。
【請求項39】
自己免疫疾患を治療する、もしくは、その1種以上の症状を改善する方法において、
自家組織の白血球を、自家組織のアポトーシス末梢血単核球とインキュベーションすることによって得られる、制御活性を有するT細胞(Treg)集団を含む組成物の有効量を、必要とする患者に投与すること、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−514530(P2009−514530A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538980(P2008−538980)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/042581
【国際公開番号】WO2007/055992
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(500322321)セラコス・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Therakos, Inc.
【住所又は居所原語表記】437 Creamery Way, Exton, Pennsylvania 19341, U.S.A.
【Fターム(参考)】