説明

生体情報測定便器

【課題】便器を取り外すことなく生体情報測定部のメンテナンスを行うことができる生体情報測定便器を提供する。
【解決手段】生体情報測定便器10は、ボール16と下水配管とを連通する排出経路26を有する便器部11xと、ボール16に排泄された尿に関する生体情報を測定するための生体情報測定部12と、生体情報測定部12を機能させるため便器部11xと生体情報測定部12とを接続する信号経路S1,S2および流体経路R1,R2,R3とを備え、これらの信号経路S1,S2および流体経路R1,R2,R3にそれぞれ接合分離可能な着脱手段SB1,SB2,RB1,RB2,RB3を設けている。生体情報測定部12は空洞部6内に配置され、着脱手段RB1,RB2,RB3が分離すると、流体経路R1,R2,R3を自動的に閉止する開閉手段V1,V2,V3を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器を利用して被験者の排尿量や尿量率などの各種生体情報を測定することのできる生体情報測定便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体情報測定便器として、洋風便器のボールと下水配管との間に形成されたトラップ中の溜水の封水深を変更可能とし、ボールへ排泄された尿による溜水の重量や水位の変化を検知することによって尿量などの生体情報を測定するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、生体情報測定手段は具備していないが、弁や弁駆動装置などを有する可動式のトラップ機構を洋風便器の上面側からメンテナンスすることができるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−299348号公報
【特許文献2】特開平8−193347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の排泄量測定装置においては、洋風便器の内部に組み込まれているトラップ部分に生体情報測定機能部が設けられているため、生体情報測定機能部の修理やメンテナンスが必要となった場合、洋風便器を取り外さなければならない。従って、現場での修理が不可能で持ち帰り修理が必要となり、トラップ部分を取り外さなければならない場合、便器としての機能が維持できなくなる。このため、使用者の日常生活(生理活動)に著しい支障が生じることがある。また、トラップ中の水封が無くなることによって、下水配管からの異臭や有害昆虫などがトイレ内へ侵入して、不衛生となることもある。
【0006】
また、特許文献2記載の水洗便器においても、可動式のトラップ機構の現場修理が不可能で持ち帰り修理となった場合、トラップ機構を取り外す必要があるため、便器としての機能が維持できなくなる。このため、前述と同様、使用者の日常生活(生理活動)に著しい支障が生じたり、下水配管からの異臭や有害昆虫などがトイレ内へ侵入したりすることがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、便器を取り外すことなく衛生的に生体情報測定部のメンテナンスを行うことができる生体情報測定便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生体情報測定便器は、
使用者の尿を受けるボールと、
ボール内の収容物を下水配管へ排出するため前記ボールと前記下水配管とを連通する排出経路とを有する便器部と、
前記ボールに排泄された尿に関する生体情報を測定するための生体情報測定部と、
前記生体情報測定部を機能させるため前記便器部と前記生体情報測定部とを接続する信号経路および流体経路と、
を備えた生体情報測定便器において、
前記信号経路および前記流体経路に、接合分離可能な着脱手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、着脱手段を接合、分離することにより、信号経路および流体経路が接合、分離されるため、生体情報測定部を便器部に接続したり、便器部から離脱させたりすることが可能となる。このため、便器を取り外すことなく、生体情報測定部のみを分離して、メンテナンスを行うことができる。
【0010】
ここで、前記生体情報測定部を、前記便器部を構成する隔壁材で囲まれた空洞部内に配置し、前記生体情報測定部を前記空洞部内に出し入れするための開口部を前記隔壁材に設けることができる。このような構成とすれば、生体情報測定部を便器内に配置しても開口部から取り出すことが可能となるため、メンテナンス時の作業が容易となり作業性が向上する。
【0011】
この場合、前記生体情報測定部を、当該生体情報測定部とともに前記空洞部内に出し入れ可能な筐体内に収納すれば、生体情報測定部は筐体と一体化されたユニット体となるため、便器部の空洞部内への出し入れや持ち運びが容易となる。
【0012】
一方、前記生体情報測定部を、前記便器部の外部に設けられたキャビネット内に配置し、前記生体情報測定部を前記キャビネット内に出し入れするための開口部を前記キャビネットに設けることもできる。このような構成とすれば生体情報測定部の取り付け作業および取り外し作業も開口部を介して容易となるため、施工時やメンテナンス時の作業性が向上する。
【0013】
また、前記流体経路を閉止する開閉手段を、前記着脱手段より前記便器部側の前記流体経路に設ければ、生体情報測定部を取り外すとき、便器側の流体経路を閉止することができるため、生体情報測定部を取り外しても接続部からの漏水の発生がない。また、下水排管がトイレと連通することが無いために悪臭や有害昆虫がトイレ内に侵入することも無く、生体情報測定部を取り外した状態でも便器部の機能を維持することができる。
【0014】
さらに、前記開閉手段が、前記生体情報測定部と前記便器部とを分離すると前記流体経路を自動的に閉止する構成とすれば、生体情報測定部を取り外したとき、流体経路が自動的に閉止されるため、作業者の作業が簡単となるとともに、開閉手段を閉止し忘れる人的ミスの発生も防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、便器を取り外すことなく、衛生的に生体情報測定部のメンテナンスを行うことができる生体情報測定便器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を、生体情報として被験者の排尿量等の排尿情報を測定する生体情報測定便器を例に挙げて説明する。図1は本発明の第一実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図、図2は図1に示す生体情報測定便器のシステムブロック図、図3は図1に示す生体情報測定便器の一部省略垂直断面図である。
【0017】
図1,図2に示すように、本実施形態の生体情報測定便器10は、使用者の排泄物を受けて下水管へ排出する洋風便器11と、生体情報測定部12と、制御部13と、洋風便器11の側方壁面に配置された操作・表示部20と、を備えている。洋風便器11は、使用者が着座する便座15と、ボール16および便座15を開閉可能に覆う便蓋17と、を備えている。操作・表示部20は、洋風便器11に設けられた衛生洗浄装置23を操作するためのリモコン19と、生体情報測定便器10を機能させるためのリモコン21と、生体情報測定結果を印刷するプリンタ22と、を備えている。
【0018】
図2,図3に示すように、洋風便器11は、使用者の尿を受けるボール16と、ボール16に連接され下水配管を水封する溜水W1を貯留するトラップ25と、便器洗浄水をボール16に供給する便器給水手段24とを備えている。また、便器給水手段24には、リム吐水ノズル24aに給水するリム吐水手段24cと、ゼット吐水ノズル24bに給水するゼット吐水手段24dと、リム吐水手段24cとゼット吐水手段24dとを制御する制御部13が設けられている。また、ボール16には生体情報測定開始前の溜水水位W1Lを予め定められた位置に設定するための採水口8が設けられている。また、トラップ25は下水配管に接続された排水ソケット9に接続されて排水経路26を形成している。
【0019】
生体情報測定部12は制御部12aと機能部12bとを備え、制御部12aには連携制御手段27と生体情報算出手段36とが設けられている。ここで、連携制御手段27は、衛生洗浄装置23の局部洗浄動作等の動作や、洋風便器11の便器洗浄動作と連携して動作するために必要な情報を授受する。また、生体情報算出手段36は、使用者がボール16内に排泄した尿の排尿量や尿量率などの各種生体情報を算出して操作・表示部20に表示する。
【0020】
機能部12bには異物検知手段28、異物除去手段29、測定容器30、水位測定手段31、排水手段32および給水手段33が設けられている。生体情報測定部12と、洋風便器11および操作・表示部20とはそれぞれ信号経路S1,S2で接続されている。また、市水を導入する分岐金具34と生体情報測定部12とは流体経路R1で接続され、洋風便器11のトラップ25内と生体情報測定部12の異物検出手段28とは流体経路R3で連通され、トラップ25の下流側の排水経路26を形成する排水ソケット9内と生体情報測定部12の排水手段32とは流体経路R2で連通されている。
【0021】
ここで、本実施形態の生体情報測定便器10の動作について説明する。生体情報測定便器10において、生体情報である排尿量等の排尿情報を測定するためには、排泄された尿による溜水W1の増量で、トラップ25から下水配管へ溜水W1が溢流して流失されるのを防止する必要がある。このため、測定に際しては事前に溜水水位W1Lを溢流水位H以下の所定の水位に形成する。そこで、本実施形態の洋風便器11では、流体経路R3に設置されている開閉手段V3を開放する所定の水位形成動作により、この採水口8よりも上位にある溜水W1は流体経路R3を通過して生体情報測定部12へ流入し、異物検知手段28、異物除去手段29、測定容器30および排水手段32を経由し、流体経路R2を通過して排水ソケット9の排出口7から排水ソケット9内へ排出される。これにより、測定開始直前の溜水水位W1Lは、トラップ25の溢流水位Hより低い、採水口8の位置に形成される。
【0022】
次に、本実施形態の測定動作について説明する。前述したように、溜水W1の水位が所定水位に低下された状態で、使用者がボール16内へ排尿すると溜水水位W1Lが上昇し、その上昇分に相当する溜水W1が採水口8から流体経路R3を経由して生体情報測定部12へ流入し、異物検知手段28および異物除去手段29を経て測定容器30内へ貯留される。そこで、この測定容器30内に貯留された水の水位が水位測定手段31で計測され、その計測値と予め設定された検量線とに基づいて生体情報算出手段36が排尿量や尿量率などの生体情報を算出し、その測定値が操作・表示部20のリモコン21に表示される。このとき、所定の操作を行えば、測定値が印字された紙片がプリンタ22から出力される。
【0023】
この後、リモコン21で洗浄操作を行えば、リム吐水ノズル24aおよびゼット吐水ノズル24bからボール16内へ洗浄水が供給され、通常通りの洗浄が行われた後、前述の過程を経て、溜水水位W1Lが測定開始水位に設定され、待機状態となる。このように、生体情報測定便器10は、洋風便器11に通常通り排尿することにより、排尿量や尿量率などの生体情報を測定することができる。
【0024】
図2に示すように、生体情報測定便器10においては、使用者の尿を受けるボール16を有する洋風便器11と、洋風便器11と下水配管とを連通する排水ソケット9とで便器部11xを構成する。そして、便器部11xと生体情報測定部12とを接続する信号経路S1,S2および流体経路R1,R2,R3とを備えている。これらの信号経路S1,S2および流体経路R1,R2,R3には、それぞれ接合分離可能な着脱手段SB1,SB2,RB1,RB2,RB3を設けている。
【0025】
また、図3に示すように、生体情報測定部12を、便器部11xを構成する隔壁材11aで囲まれた空洞部6内に配置し、生体情報測定部12を空洞部6内に出し入れするための開口部5を隔壁材11aに開設している。また、測定容器30にはドレン30aが設けられており、メンテナンスのために生体情報測定部12を移送するときには水抜きを行うことができるようになっている。このため、測定容器30内の残水のこぼれによって、電装部材の動作信頼性が低下したり、梱包部材の強度が低下して物流破損につながったりするトラブルの発生を防止することができる。
【0026】
また、これらの着脱手段SB1,SB2,RB1,RB2,RB3を接合、分離することにより、信号経路S1,S2および流体経路R1,R2,R3を接合、分離することができる。即ち、着脱手段SB1,SB2,RB1,RB2,RB3を接合、分離することにより、生体情報測定部12を便器部11xに接続したり、便器部11xから分離させたりすることができる。従って、洋風便器11から衛生洗浄装置23などを取り外して開口部5を露出させれば、洋風便器11を取り外すことなく、生体情報測定部12の修理やメンテナンスを行うことができる。また、生体情報測定部12を空洞部6内に配置したことにより、生体情報測定部12を配置するためのスペースを洋風便器11の外に設ける必要がなくなるので、狭いトイレなどに好適である。
【0027】
また、生体情報測定便器10においては、着脱手段RB1,RB2,RB3が分離すると、流体経路R1,R2,R3を自動的に閉止する開閉手段V1,V2,V3を設けている。従って、生体情報測定部12を取り外したとき、流体経路R1,R2,R3が自動的に閉止される結果、これらの流体経路R1,R2,R3を介して便器部11xが大気中と連通することがなくなるため、漏水したり、異臭が侵入したりすることがない。
【0028】
さらに、前述したように、生体情報測定部12を制御する制御部12a、洋風便器11の便器給水手段24を制御する制御部13は、各々連携制御手段27,13aを有しているが、メンテナンスのために生体情報測定部12を便器部11xから分離した場合、洋風便器11の制御部13には生体情報測定部12からの状態報知信号が伝達されない状態となる。その場合、制御部13はその状態を検知して、洋風便器11に対してボール16の洗浄、溜水W1の排出と溜水の形成を実施可能として便器としての機能を優先するようになっている。
【0029】
次に、図4,図5に基づいて、本発明の第二実施形態について説明する。図4は本発明の第二実施形態である生体情報測定便器を示す一部省略垂直断面図、図5は図4に示す生体情報測定便器の一部を変更した生体情報測定便器の一部省略垂直断面図である。なお、図4,図5において図1〜図3に示す符号と同符号を付している部分は生体情報測定便器10の構成部分と同じ機能、効果を発揮する部分であり、説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の生体情報測定便器40においては、流体経路R3の採水口8aをボール16の上方から溜水W1の水面に臨ませ、採水口8aからボール16内の溜水W1を吸い込むためのポンプPを生体情報測定部12内に配置している。通常の便器洗浄終了後、ポンプPを作動させると、溢流水位Hにある溜水W1は、異物検知手段28,異物除去手段29,測定容器30などを経由して排出口7から排水ソケット9内へ排出され、溜水水位W1Lは採水口8aの位置まで下がり、その位置に設定される。この溜水水位W1Lが測定開始水位となる。
【0031】
使用者がボール16内へ排尿すると溜水水位W1Lが上昇するので、ポンプPを作動させて採水口8aからその上昇分を吸い込むと、吸い込まれた水は流体経路R3を経由して生体情報測定部12へ流入し、異物検知手段28および異物除去手段29を経て測定容器30内へ貯留される。そこで、この測定容器30内に貯留された水の水位が水位測定手段31で計測され、その計測値と予め設定された検量線とに基づいて生体情報算出手段36が排尿量や尿量率などの生体情報を算出される。その他の部分の構造、機能は生体情報測定便器10と同じである。
【0032】
次に、図5に示す生体情報測定便器41においては、生体情報測定部12を、開口部5を経て空洞部6へ出し入れ可能な筐体42内に収納するとともに、着脱手段RB1,RB2,RB3を筐体42の下面側に設けている。従って、露出させた開口部5から手を空洞部6内へ差し込み、筐体42上部の取っ手42aを掴んで略垂直に引き上げれば、着脱手段RB1,RB2,RB3が分離されると同時に、開閉手段V1,V2,V3が自動閉止されるため、筐体42に収納された状態で生体情報測定部12を便器部11xから取り外すことができる。また、前述の手順と逆に、取っ手42aを掴んで垂下させた筐体42を開口部5から空洞部6内へ組み込めば、着脱手段RB1,RB2,RB3が接合されると同時に、開閉手段V1,V2,V3が自動的に開放される。
【0033】
このように、筐体42上部の取っ手42aを掴んで引き上げたり、下ろしたりすることによって、筐体42に収納された生体情報測定部12を便器部11xから取り外したり、組み込んだりすることができるため、メンテナンス性が良好である。なお、本実施形態の生体情報測定便器41においては、着脱手段RB1,RB2,RB3を分散して配置しているが、接合時の位置合わせを容易化するため、これらの着脱手段RB1,RB2,RB3を一カ所に集約して配置することもできる。その他の部分の構造、機能は生体情報測定便器10,40と同じである。
【0034】
次に、図6,図7,図8に基づいて、本発明の第三、四実施形態について説明する。図6は本発明の第三実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図、図7は本発明の第四実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図、図8は図6,図7に示す生体情報測定便器の構成を示すシステムブロック図である。なお、図6,図7,図8において図1〜図5に示す符号と同符号を付している部分は生体情報測定便器10,40,41の構成部分と同じ機能、効果を発揮する部分であり、説明を省略する。
【0035】
図6に示す生体情報測定便器50は、洋風便器11と、生体情報測定部12および制御部13などが内蔵されたキャビネット14と、洋風便器11の側方背面に配置された操作・表示部20と、を備えている。洋風便器11は、使用者が着座する便座15と、ボール16および便座15を開閉可能に覆う便蓋17と、採尿器18aおよび採尿アーム18bを有する採尿ユニット18と、衛生洗浄装置23と、を備えている。操作・表示部20には、衛生洗浄装置23を操作するためのリモコン19と、生体情報測定部12を操作するためのリモコン21と、生体情報測定結果を印刷するためのプリンタ22と、が設けられている。
【0036】
生体情報測定便器50においては、生体情報測定部12は、便器部11xの外部である背面側に設けられたキャビネット14内に配置され、生体情報測定部12をキャビネット14に出し入れするための開口部14bがキャビネット14の正面の下方隅部に開設され、開口部14bには開閉扉14aが設けられている。従って、便器部11xに改変を加えることなく生体情報測定部12を便器部11xに接続することができる。また、便器部11xの制約を受けることなく生体情報測定部12を配置することができるため設計上の自由度が高く、生体情報測定部12の取り付け作業および取り外し作業も容易である。
【0037】
図8に示すように、生体情報測定便器50においては、ゼット吐水手段24dからゼット吐水ノズル24bに向かう給水経路の途中に分岐部55が設けられ、この分岐部55と生体情報測定部12との間に流体経路R3が設けられている。流体経路R3は、その途中に開閉手段V3が設けられ、着脱手段RB3を介して生体情報測定部12と接続され、異物除去手段29を経て水位形成手段51と溜水水位測定手段52に分岐配管されている。
【0038】
生体情報測定便器50の場合、排泄後の洗浄操作により空になったボール16に対し、水位形成手段51に設けられた補水手段51aから流体経路R3およびゼット吐水ノズル24bを経由して一定量の水を供給することにより、測定開始直前の水位として、溢流水位より低い溜水水位W1Lが設定される。そして、ボール16内への排尿による溜水水位W1Lの増加量を流体経路R3と連通する溜水水位測定手段52の水位センサ53で計測し、その計測データに基づき、生体情報算出手段36が尿量や尿流率などの生体情報を算出する。また、溜水水位測定手段52には、水位センサ53を校正するための校正手段54が設けられている。
【0039】
このように、生体情報測定便器50は一定量の水をボール16内へ供給して測定開始水位を設定する方式であるため、一定量の水を排出して測定開始水位を設定する生体情報測定便器10と異なり、排水ソケット9内と生体情報測定部12とを連通する排水経路(流体経路R2)が設けられていない。このため、生体情報測定便器50においては、生体情報測定部12と便器部11xとは、着脱手段SB1,SB2,RB1,RB3を用いて接続され、着脱手段RB1,RB3が分離すると流体経路R1,R3を自動的に閉止する開閉手段V1,V3が設けられている。従って、生体情報測定部12を取り外したとき、流体経路R1,R3が自動的に閉止される結果、これらの流体経路R1,R3を介して便器部11xが大気中と連通することがないため、漏水したり、異臭が侵入したりすることがない。その他の部分の構造、機能は生体情報測定便器10,40,41と同じである。
【0040】
次に、図7に示す生体情報測定便器60においては、洋風便器11の背面部に設けられたキャビネット14内に生体情報測定部12が配置され、生体情報測定部12をキャビネット14に出し入れするための開口部14dがキャビネット14の側面の下方に開設され、開口部14dには開閉扉14cが設けられている。従って、前述と同様、便器部11xに改変を加えることなく生体情報測定部12を便器部11xに接続することができる。また、便器部11xの制約を受けることなく生体情報測定部12を配置することができるため設計上の自由度が高く、生体情報測定部12の取り付け作業および取り外し作業も容易である。さらに、開閉扉14c付きの開口部14dをキャビネット14の側面下方に設けたことにより、キャビネット14の左右両側部を洋風便器11の両側部より広く突出させる必要がなくなるため、キャビネット14の左右方向のサイズをコンパクト化することができる。その他の部分の構造、機能は、前述した生体情報測定便器50と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の生体情報測定便器は、尿量や尿量率などの生体情報測定を必要とする病院のトイレや一般家庭のトイレなどにおいて広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す生体情報測定便器の全体構成を示すシステムブロック図である。
【図3】図1に示す生体情報測定便器の一部省略垂直断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態である生体情報測定便器を示す一部省略垂直断面図である。
【図5】図4に示す生体情報測定便器の一部を変更した生体情報測定便器の一部省略垂直断面図である。
【図6】本発明の第三実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図である。
【図7】本発明の第四実施形態である生体情報測定便器を示す斜視図である。
【図8】図6および図7に示す生体情報測定便器の全体構成を示すシステムブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
5,14b,14d 開口部
6 空洞部
7 排出口
8,8a 採水口
9 排水ソケット
10,40,41,50,60 生体情報測定便器
11 洋風便器
11a 隔壁材
11x 便器部
12 生体情報測定部
12a 制御部
12b 機能部
13 制御部
13a 連携制御手段
14 キャビネット
14a,14c 開閉扉
15 便座
16 ボール
17 便蓋
18 採尿ユニット
18a 採尿器
18b 採尿アーム
20 操作・表示部
19,21 リモコン
22 プリンタ
23 衛生洗浄装置
24 便器給水手段
24a リム吐水ノズル
24b ゼット吐水ノズル
24c リム吐水手段
24d ゼット吐水手段
25 トラップ
26 排水経路
27 連携制御手段
28 異物検知手段
29 異物除去手段
30 測定容器
30a ドレン
31 水位測定手段
32 排水手段
33 給水手段
34 分岐金具
42 筐体
42a 取っ手
36 生体情報算出手段
51 水位形成手段
51a 補水手段
52 溜水水位測定手段
53 水位センサ
54 校正手段
55 分岐部
H 溢流水位
P ポンプ
R1,R2,R3 流体経路
S1,S2 信号経路
SB1,SB2,RB1,RB2,RB3 着脱手段
V1,V2,V3 開閉手段
W1 溜水
W1L 溜水水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の尿を受けるボールと、
ボール内の収容物を下水配管へ排出するため前記ボールと前記下水配管とを連通する排出経路とを有する便器部と、
前記ボールに排泄された尿に関する生体情報を測定するための生体情報測定部と、
前記生体情報測定部を機能させるため前記便器部と前記生体情報測定部とを接続する信号経路および流体経路と、
を備えた生体情報測定便器において、
前記信号経路および前記流体経路に、接合分離可能な着脱手段を設けたことを特徴とする生体情報測定便器。
【請求項2】
前記生体情報測定部を、前記便器部を構成する隔壁材で囲まれた空洞部内に配置し、前記生体情報測定部を前記空洞部内に出し入れするための開口部を前記隔壁材に設けたことを特徴とする請求項1記載の生体情報測定便器。
【請求項3】
前記生体情報測定部を、当該生体情報測定部とともに前記空洞部内に出し入れ可能な筐体内に収納したことを特徴とする請求項2記載の生体情報測定便器。
【請求項4】
前記生体情報測定部を、前記便器部の外部に設けられたキャビネット内に配置し、
前記生体情報測定部を前記キャビネット内に出し入れするための開口部を前記キャビネットに設けたことを特徴とする請求項1記載の生体情報測定便器。
【請求項5】
前記流体経路を閉止する開閉手段を、前記着脱手段より前記便器部側の前記流体経路に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生体情報測定便器。
【請求項6】
前記開閉手段が、前記生体情報測定部と前記便器部とを分離すると前記流体経路を自動的に閉止することを特徴とする請求項5に記載の生体情報測定便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−285007(P2007−285007A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113652(P2006−113652)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】