説明

生体情報登録装置

【課題】指静脈および掌静脈のデータを取引カードに登録する場合に、2種類の生体情報を効率よく登録する共に、登録する指静脈および掌静脈のデータを正確に検出する手段を提供する。
【解決手段】生体情報登録装置1が、手の指の静脈模様を検出する指静脈検出センサ13と、掌の静脈模様を検出する掌静脈検出センサ16とを備え、指静脈検出センサ13と、掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にするスライドレール17およびバネ部材18等からなる指静脈検出センサ移動機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で用いられる取引カードに、生体情報を登録する生体情報登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等においては、キャッシュカードやクレジットカード等の取引カードの偽造対策を行う場合に、取引カードをICカードとし、これに生体情報を登録して顧客の認証を行うようになってきている。
この場合に用いる従来の生体情報登録装置は、光源から発した光を手の指の腹側から照射し、反射した赤外光を撮影する受像手段を設け、この受像手段により撮影された指静脈画像の複数の特徴点を指静脈データとして登録している。
【0003】
また、同様の構成を有する受像手段で掌の掌静脈画像を撮影し、その掌静脈画像の複数の特徴点を掌静脈データとして登録している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−21373号公報(第3頁段落0015−0023、第1図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、指静脈や掌静脈を登録する場合に、それぞれを撮影する個別に設けられた受像手段を必要とするため、指静脈データおよび掌静脈データを両方とも取引カードに登録する場合には、2種類の登録装置を用意する必要があり、金融機関等の負担が増大するという問題がある。
また、顧客は2種類の登録装置により2回に分けて登録を行う必要があり、生体情報の登録に時間を要し、生体情報の登録における効率が低下するという問題がある。
【0005】
更に、顧客の手の大きさには、個体差が存在するため、手に関する2種類の生体情報である指静脈および掌静脈を同時に検出しようとしても、それぞれを正確に検出することが困難であるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、2種類の生体情報を効率よく登録する共に、登録する指静脈および掌静脈のデータを正確に検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、生体情報登録装置が、手の指の静脈模様を検出する指静脈検出センサと、掌の静脈模様を検出する掌静脈検出センサとを備え、前記指静脈検出センサと、前記掌静脈検出センサとの間の距離を可変にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、指静脈検出センサまたは掌静脈検出センサを移動させて、登録する指を伸ばした状態で指および掌を指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサの適正な位置に位置決めすることができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈および掌静脈のデータを正確に検出することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による生体情報登録装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の生体情報登録装置を示す斜視図、図2は実施例1の生体情報登録装置を示すブロック図である。
図1において、1は生体情報登録装置であり、銀行等の金融機関や郵政公社等(金融機関等という。)の本店や支店、郵便局等の店舗に設置され、パーソナルコンピュータ等の上位装置としての制御装置2とリード線3を介して接続し、顧客の生体情報としての手の指の静脈模様(指静脈紋という。)と掌の静脈模様(掌静脈紋という)とを検出して取引カード4に登録する機能を有している。
【0010】
本実施例の取引カード4は、非接触型のICカードである。
5は制御装置2の制御部であり、リード線3を介して生体情報登録装置1と接続しており、制御装置2内の各部、および生体情報登録装置1内の各部を制御して登録処理等を実行する。
6は記憶部であり、制御部5が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部5による処理結果等が格納される。
【0011】
7は表示部であり、CRTやLCD等の表示画面を有しており、表示画面に取引カード4に登録する指静脈紋や掌静脈紋の画像や、登録の手順等を表示する。
8は入力部であり、キーボード等を有しており、係員等からの生態情報の登録処理の登録開始操作等の各種の入力を受付ける。
9はカード読取書込部であり、図1に示すように、生体情報登録装置1の側面に設けられた取引カード4のおもて面または裏面を当接させる当接面9aを有する凹部であって、載置面9bに取引カード4の1辺を載置し、おもて面または裏面を当接面9aに当接させた顧客の取引カード4のICチップに対して、生体情報としての掌静脈データや掌静脈データ等を通信により読み書きする機能を有している。
【0012】
11は指静脈検出ブロックであり、生体情報登録装置1の上部の指先方向(図1に矢印で示す指先ガイド12により位置決めされた指の先端が向く方向をいう。)の前方側に設けられたブロック状部材である。
指先ガイド12は、指静脈検出ブロック11の上面に設けられた矩形の枠状部材であって、指静脈データを登録する顧客の手の指の指先を位置決めすると共に、その指先方向に設けられた先端係止部12aにより当該指の先端(爪を除く。)を係止する機能を有している。
【0013】
13は指静脈検出センサであり、指先ガイド12の無底の底部にその検出面を露出させて指静脈検出ブロック11に取付けられ、指先ガイド12により位置決めされた指の腹側を赤外線で撮影して指静脈紋を検出し、その指静脈画像を制御部5へ送出する機能を有している。
15は手首ガイドであり、指先ガイド12の指先方向の後方に設けられ、掌静脈データを登録する顧客の手の手首を位置決めする機能を有している。
【0014】
なお、本実施例の手首ガイド15は、生体情報登録装置1に固定されている。
16は掌静脈検出センサであり、手首ガイド15を基準にして、手首ガイド15により手首を位置決めされた手の掌の下方に設置され、その掌を赤外線で撮影して掌静脈紋を検出し、その掌静脈画像を制御部5へ送出する機能を有している。
17はスライドレールであり、指静脈検出ブロック11の指先方向に沿った両側に設けられ、指静脈検出ブロック11に設けられた指静脈検出センサ13および指先ガイド12を往復移動可能に支持する機能を有している。
【0015】
18はバネ部材であり、スライドレール17に支持された指静脈検出センサ13を手首ガイド15側に押圧する圧縮コイルスプリング等である。
上記の指静脈検出ブロック11とその両側に設けられたスライドレール17およびバネ部材18により、本実施例の指静脈検出センサ移動機構が構成され、指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にすることが可能になる。
【0016】
本実施例の移動可能とされた指静脈検出ブロック11は、常時は、バネ部材18により生体情報登録装置1の手首ガイド15側に設けられた図示しないストッパに押圧されており、指静脈検出ブロック11に設けられた指先ガイド12の初期位置は、手の指の最も短い顧客が手首ガイド15により位置決めされた手の指を伸ばしたときに、その先端が先端係止部12aに当接する位置より指先方向の後方側に設定されている。
【0017】
これにより、手首ガイド15を基準に、登録する掌が掌静脈検出センサ16の適正な位置に位置決めされると共に、登録する指の先端で指先ガイド12を押せば、検出する手の指の長さに応じて指静脈検出センサ13が移動し、伸ばした状態の指を適正な位置に位置決めすることができる他、指を離せば指先ガイド12を自動的に初期位置に戻すことができる。
【0018】
上記の制御装置2の記憶部6には、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16により撮影された顧客の指静脈画像および掌静脈画像から所定の特徴点を切り出し、これらを基に指静脈データおよび掌静脈データを生成し、これらを取引カード4のICチップの記録部に書込んで登録する機能等を有する登録処理プログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0019】
上記の構成の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
指静脈および掌静脈を登録する顧客は、非接触型のICカードで形成された取引カード4を生体情報登録装置1のカード読取書込部9の載置面9bに載置し、そのおもて面または裏面を当接面9aに当接させて、取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
【0020】
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
一方、顧客は、生体情報登録装置1の操作を行う係員の指示により、登録する手の掌を下方に向けてその手首を手首ガイド15に載せて位置決めし、登録する指の指先を指先ガイド12に載せ、指を伸ばしてその先端で先端係止部12aを押し、スライドレール17に移動可能に支持された指静脈検出ブロック11をバネ部材18に抗して指先方向に移動させる。
【0021】
これにより、手首ガイド15を基準として、顧客の掌および指が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の上方の適正な検出位置にセットされる。
係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
この登録開始操作を検知した制御部5は、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16により赤外線で検出した指静脈紋および掌静脈紋のそれぞれの画像を取得し、その指静脈画像および掌静脈画像を表示部7に表示すると共に、それぞれの画像から所定の特徴点を複数切り出し、これらを基に生成した指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4のICチップの記録部に書込んで登録する。
【0022】
この場合に、生成した指静脈データおよび掌静脈データを記憶部6に一時保存し、再度指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16により新たな指静脈画像および掌静脈画像を取得し、その特徴点と一時保存した指静脈データおよび掌静脈データとを照合し、その一致により一時保存した指静脈データおよび掌静脈データを認証し、その後に、認証した指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に書込んで登録するようにしてもよい。このようにすれば登録する指静脈データおよび掌静脈データをより正確なものとすることができる。
【0023】
また、必要に応じて、他方の手の指静脈データおよび掌静脈データを上記と同様にして生成し、取引カード4に登録するようにしてもよい。
このように、本実施例では、生体情報登録装置1に、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16を設けたので、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16により検出した指静脈と掌静脈とを、取引カード4に同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、金融機関等は1台の生体情報登録装置1を設置すれば足り、金融機関等の負担を低減させることができる。
【0024】
また、指静脈検出センサ13をスライドレール17およびバネ部材18により移動可能に構成し、固定された掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にしたので、手首ガイド15を基準にして、登録する掌が掌静脈検出センサ16の適正な位置に位置決めされると共に、登録する指の先端で指先ガイド12を移動させて、指を伸ばした状態で指静脈検出センサ13の適正な位置に位置決めすることができ、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して正確に検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0025】
更に、取引カード4を非接触型のICカードとし、カード読取書込部9を生体情報登録装置1の側面に設けたので、取引カード4のセットを顧客の側および係員の側の双方から行うことができ、係員が顧客から預かった取引カード4を生体情報登録装置1にセットすることが可能になり、顧客の利便性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサとを設け、手首を位置決めする固定された手首ガイドを基準に掌静脈検出センサを設置し、指静脈検出センサ移動機構により掌静脈検出センサとの間の距離を可変に構成した指静脈検出センサを、指静脈検出センサ移動機構の指静脈検出ブロックに設けた指先ガイドを当該指の先端で押して移動させるようにしたことによって、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、指先ガイドを移動させて手首ガイドを基準にして、登録する指を伸ばした状態で指および掌を指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサの適正な位置に指を位置決めすることができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈画像および掌静脈画像を正確に検出することができ、2種類の生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0026】
なお、本実施例においては、バネ部材により指静脈検出ブロックを手首ガイド側に押圧するとして説明したが、指静脈検出ブロックはスライドレールにより移動可能に構成されているので、バネ部材を設けなくても、指の先端で指先ガイドを押せば登録する指を伸ばした状態で指静脈検出センサの適正な位置に指を位置決めすることができ、前記と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0027】
図3は実施例2の生体情報登録装置を示す斜視図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3において、21は移動把手であり、指先ガイド12の指先方向の前方側の指静脈検出ブロック11の端部の中央部に設けられた角柱状の突起であって、指静脈検出センサ13により検出する指の指先を指先ガイド12にセットするときに、指静脈検出ブロック11を移動させるために用いられる。
【0028】
本実施例の指静脈検出センサ移動機構は、実施例1のバネ部材18は省略されており、指静脈検出ブロック11とその両側に設けられたスライドレール17および移動把手21により構成され、指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にすることが可能になる。
本実施例の移動可能とされた指静脈検出ブロック11に設けられた指先ガイド12の初期位置は、手の指の最も長い顧客が手首ガイド15により位置決めされた手の登録する指を伸ばしたときに、その先端が先端係止部12aに当接する位置より指先方向の前方側に設定されている。
【0029】
これにより、手首ガイド15を基準に、登録する掌が掌静脈検出センサ16の適正な位置に位置決めされると共に、登録する指を伸ばした状態にして手首ガイド15にセットし、移動把手21を用いて他方の手で指先ガイド12を移動させて指の先端に先端係止部12aを当接させれば、手首ガイド15を基準にして、検出する手の指の長さに応じて指静脈検出センサ13を伸ばした状態の指の適正な位置に移動させることができる。
【0030】
本実施例の制御装置2の記憶部6には、上記実施例1と同様の登録処理プログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
本実施例の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
【0031】
指静脈および掌静脈を登録する顧客は、上記実施例1と同様にして取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
一方、顧客は、生体情報登録装置1の操作を行う係員の指示により、登録する手の掌を下方に向けてその手首を登録する指を伸ばしたまま手首ガイド15に載せて位置決めし、移動把手21によりスライドレール17に移動可能に支持された指静脈検出ブロック11を指先方向の後方に移動させ、当該指の先端を指先ガイド12の先端係止部12aに当接させる。
【0032】
これにより、手首ガイド15を基準として、顧客の掌および指が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の上方の適正な検出位置にセットされる。
係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
その後の作動は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0033】
このように、本実施例では、指静脈検出センサ13をスライドレール17および移動把手21により移動可能に構成し、固定された掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にしたので、手首ガイド15を基準にして、登録する掌が掌静脈検出センサ16の適正な位置に位置決めされると共に、移動把手21を用いて指先ガイド12を移動させて、登録する指の先端を指先ガイド12の先端係止部12aに当接させて、指を伸ばした状態で指静脈検出センサ13の適正な位置に容易に位置決めすることができ、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して正確に検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0034】
また、移動把手21を指静脈検出ブロック11の端部の中央部に設けたので、登録する手が左右どちらであっても、登録しない側の手で移動把手21を用いて指静脈検出ブロック11を容易に移動させることができ、指静脈検出センサ移動機構の操作性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサとを設け、手首を位置決めする固定された手首ガイドを基準に掌静脈検出センサを設置し、指静脈検出センサ移動機構により掌静脈検出センサとの間の距離を可変に構成した指静脈検出センサを、指静脈検出センサ移動機構の指静脈検出ブロックに設けた移動把手により指先ガイドを移動させてその先端係止部を当該指の先端に当接させるようにしたことによって、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0035】
図4は実施例3の生体情報登録装置を示す斜視図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4において、25はスライドレールであり、掌静脈検出センサ16の指先方向に沿った両側に設けられ、掌静脈検出センサ16および手首ガイド15を往復移動可能に支持する機能を有している。
【0036】
26は移動レバーであり、手首ガイド15の指先方向の前方側の両側の側縁部に設けられた角柱状の突起であって、スライドレール26に往復移動可能に支持された掌静脈検出センサ16および手首ガイド15に連結しており、掌静脈検出センサ16により検出する掌を手首ガイド15にセットするときに、掌静脈検出センサ16および手首ガイド15を移動させるために用いられる。
【0037】
本実施例の指静脈検出ブロック11は、生体情報登録装置1に固定されており、掌静脈検出センサ16の両側に設けられたスライドレール25および移動レバー26により構成される本実施例の掌静脈検出センサ移動機構により掌静脈検出センサ16および手首ガイド15が移動し、指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にすることが可能になる。
【0038】
これにより、指先ガイド12を基準に、伸ばした状態の指が指静脈検出センサ13の適正な位置に位置決めされると共に、登録する指を伸ばした状態にしてその指先を指先ガイド12にセットし、移動レバー26を用いて他方の手で手首ガイド15および掌静脈検出センサ16を移動させれば、指先ガイド12を基準にして、検出する手の指の長さに応じて掌静脈検出センサ16を適正な位置に移動させることができる。
【0039】
本実施例の制御装置2の記憶部6には、上記実施例1と同様の登録処理プログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
本実施例の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
【0040】
指静脈および掌静脈を登録する顧客は、上記実施例1と同様にして取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
一方、顧客は、生体情報登録装置1の操作を行う係員の指示により、登録する手の掌を下方に向けて登録する指を伸ばしたままその先端を指先ガイド12の先端係止部12aに当接させて位置決めし、移動レバー26によりスライドレール25に移動可能に支持された掌静脈検出センサ16および手首ガイド15を指先方向の前方または後方に移動させ、当該手首を手首ガイド15により位置決めする。
【0041】
これにより、指先ガイド12を基準として、顧客の掌および指が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の上方の適正な検出位置にセットされる。
係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
その後の作動は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
このように、本実施例では、掌静脈検出センサ16をスライドレール25および移動レバー26により移動可能に構成し、固定された指静脈検出センサ13との間の距離を可変にしたので、指先ガイド12を基準にして、伸ばした状態の指が指静脈検出センサ13の適正な位置に位置決めされると共に、移動レバー26を用いて手首ガイド15を移動させて、登録する指のを伸ばしたままその掌を掌静脈検出センサ16の適正な位置に容易に位置決めすることができ、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して正確に検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、移動レバー26を手首ガイド15の両側の側縁部に設けたので、登録する手が左右どちらであっても、登録しない側の手で移動レバー26を用いて掌静脈検出センサ16および手首ガイド15を容易に移動させることができ、掌静脈検出センサ移動機構の操作性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサとを設け、検出する手の指の指先を位置決めする固定された指先ガイドに指静脈検出センサを設置し、掌静脈検出センサ移動機構により指静脈検出センサとの間の距離を可変に構成した掌静脈検出センサを、掌静脈検出センサ移動機構に設けた移動レバーにより手首ガイドを移動させて掌静脈検出センサを掌の位置に移動させるようにしたことによって、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、手首ガイドおよび掌静脈検出センサを移動させて指先ガイドを基準にして、登録する指を伸ばした状態で指および掌を指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサの適正な位置に位置決めすることができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈画像および掌静脈画像を正確に検出することができ、2種類の生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【実施例4】
【0044】
図5は実施例4の生体情報登録装置を示す斜視図、図6は実施例4の生体情報登録装置を示すブロック図である。
なお、上記実施例1ないし実施例3と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、31は叉ガイドであり、指先ガイド12と手首ガイド15との間に設けられ、その上面には登録する手の指の叉を押し当てる円柱状の押圧突起31aが立設されており、指の叉を押圧突起31aに押し当てて指静脈データおよび掌静脈データを登録する顧客の手を位置決めする機能を有している。
【0045】
図5、図6において、32は生体情報登録装置1に設けられたブザーであり、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16による指静脈画像および掌静脈画像の撮影位置が不正の場合、つまり撮影すべき位置と異なる場合や画像が不鮮明な場合に音により警報を発するために用いられる。
本実施例の叉ガイド31は、生体情報登録装置1に固定されており、指静脈検出ブロック11とその両側に設けられたスライドレール17および移動把手21により構成される本実施例の指静脈検出センサ移動機構により指静脈検出センサ13が移動し、掌静脈検出センサ16の両側に設けられたスライドレール25および移動レバー26により構成される本実施例の掌静脈検出センサ移動機構により掌静脈検出センサ16および手首ガイド15が移動して指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にすることが可能になる。
【0046】
これにより、登録する指を伸ばした状態にして指の叉を叉ガイド31の押圧突起31aに押し当ててセットし、叉ガイド31を基準にして、移動把手21を用いて他方の手で指先ガイド12を移動させて指の先端に先端係止部12aを当接させると共に、移動レバー26を用いて他方の手で手首ガイド15および掌静脈検出センサ16を移動させれば、叉ガイド31を基準にして、検出する手の指の長さに応じて指静脈検出センサ13を伸ばした状態の指の適正な位置に移動させると共に、掌静脈検出センサ16を適正な位置に移動させることができる。
【0047】
本実施例の制御装置2の記憶部6には、上記実施例1と同様の登録処理を行うアプリケーションプログラムに、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16による指静脈画像および掌静脈画像の少なくとも一方の撮影位置が不正であることを判定し、ブザー32により警報を発する機能を有するアプリケーションプログラムが追加された登録処理プログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0048】
本実施例の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
指静脈および掌静脈を登録する顧客は、上記実施例1と同様にして取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
【0049】
一方、顧客は、生体情報登録装置1の操作を行う係員の指示により、登録する手の掌を下方に向けてその指の叉を叉ガイド31の押圧突起31aに押し当て、移動把手21によりスライドレール17に移動可能に支持された指先ガイド12を指先方向の前方または後方に移動させ、先端係止部12aに伸ばした状態の当該指の先端を当接させて位置決めし、移動レバー26によりスライドレール25に移動可能に支持された掌静脈検出センサ16および手首ガイド15を指先方向の前方または後方に移動させ、当該手首を手首ガイド15により位置決めする。
【0050】
これにより、叉ガイド31を基準として、顧客の掌および指が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の上方の適正な検出位置にセットされる。
係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
この登録開始操作を検知した制御部5は、上記実施例1と同様にして、生成した指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に書込んで登録する。
【0051】
この場合に、指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16による指静脈画像および掌静脈画像の少なくとも一方の撮影位置が不正であると判定したときは、ブザー32により警報を発して顧客の注意を喚起する。
顧客は、上記と同様にして掌および指の位置を再セットする。
このように、本実施例では、固定された叉ガイド31を設け、指静脈検出センサ13をスライドレール17および移動把手21により移動可能に構成すると共に、掌静脈検出センサ16をスライドレール25および移動レバー26により移動可能に構成し、固定された叉ガイド31を基準に、指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にしたので、叉ガイド31を基準に、移動把手21を用いて指先ガイド12を移動させて登録する指の先端を指先ガイド12の先端係止部12aに当接させ、指を伸ばした状態で指静脈検出センサ13の適正な位置に容易に位置決めすることができると共に、移動レバー26を用いて手首ガイド15を移動させて、登録する指を伸ばしたままその掌を掌静脈検出センサ16の適正な位置に容易に位置決めすることができ、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して正確に検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサとを設け、登録する手の指の叉を押し当てる叉ガイドを基準に、指静脈検出センサ移動機構および掌静脈検出センサ移動機構により、指静脈検出センサと掌静脈検出センサとの間の距離を可変に構成し、指静脈検出センサを指静脈検出センサ移動機構の指静脈検出ブロックに設けた移動把手により指先ガイドを移動させてその先端係止部を当該指の先端に当接させ、掌静脈検出センサを掌静脈検出センサ移動機構に設けた移動レバーにより手首ガイドを移動させて掌静脈検出センサを掌の位置に移動させるようにしたことによって、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサを移動させて叉ガイドを基準にして、登録する指を伸ばした状態で指および掌を指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサの適正な位置に指を位置決めすることができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈画像および掌静脈画像をより正確に検出することができ、2種類の生体情報の登録における信頼性をより向上させることができる。
【実施例5】
【0053】
図7は実施例5の生体情報登録装置を示す斜視図、図8は実施例5の生体情報登録装置を示すブロック図である。
なお、上記実施例1、実施例2、実施例4と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7、図8において、35は移動量計測センサであり、指静脈検出センサ13の移動量を計測する電気式(例えばポテンショメータ)や光学式(例えば反射式の距離センサ)等の計測センサである。
【0054】
本実施例の叉ガイド31および手首ガイド15は、生体情報登録装置1に固定されており、指静脈検出ブロック11とその両側に設けられたスライドレール17および移動把手21により構成される本実施例の指静脈検出センサ移動機構により指静脈検出センサ13が移動し、掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にすることが可能になる。
本実施例の移動可能とされた指静脈検出ブロック11に設けられた指先ガイド12の初期位置は、上記実施例1と同様に設定されている。
【0055】
これにより、登録する指を伸ばした状態にして指の叉を叉ガイド31の押圧突起31aに押し当ててセットし、移動把手21を用いて他方の手で指先ガイド12を移動させて指の先端に先端係止部12aを当接させれば、叉ガイド31を基準にして、検出する手の指の長さに応じて指静脈検出センサ13を伸ばした状態の指の適正な位置に移動させることができる。
【0056】
本実施例の制御装置2の記憶部6には、上記実施例1と同様の登録処理を行うアプリケーションプログラムに、移動量計測センサ35により計測した指静脈検出センサ13の移動量を基に、叉ガイド31により位置決めされた掌の大きさを推定し、その大きさに応じて掌静脈検出センサ16による掌静脈画像の撮影範囲、つまり掌静脈紋の検出範囲を変更する機能を有するアプリケーションプログラムが追加された登録処理プログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0057】
本実施例の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
指静脈および掌静脈を登録する顧客は、上記実施例1と同様にして取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
【0058】
一方、顧客は、生体情報登録装置1の操作を行う係員の指示により、登録する手の掌を下方に向けてその指の叉を叉ガイド31の押圧突起31aに押し当ててその手首を手首ガイド15に載せ、移動把手21によりスライドレール17に移動可能に支持された指先ガイド12を指先方向の後方に移動させ、先端係止部12aに伸ばした状態の当該指の先端を当接させて位置決めし、叉ガイド31を基準として、顧客指が指静脈検出センサ13の上方の適正な検出位置にセットされる。
【0059】
このとき、制御部5は移動量計測センサ35により指静脈検出センサ13の移動量を計測する。
指静脈検出センサ13の移動量を計測した制御部5は、計測した指静脈検出センサ13の移動量を基に顧客の掌の大きさを推定し、その大きさに応じて掌静脈検出センサ16による検出範囲を変更する。例えば、指静脈検出センサ13の移動量が多ければ掌が大きいと推定し、掌静脈検出センサ16の検出範囲を広くするよう、つまり撮影倍率を小さくするように変更する。
【0060】
一方、係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
この登録開始操作を検知した制御部5は、上記実施例1と同様にして、生成した指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に書込んで登録する。
このように、本実施例では、固定された叉ガイド31と指静脈検出センサ13の移動量を計測する移動量計測センサ35とを設け、指静脈検出センサ13をスライドレール17および移動把手21により移動可能に構成し、固定された掌静脈検出センサ16との間の距離を可変にし、移動量計測センサ35により計測した指静脈検出センサ13の移動量を基に登録する掌の大きさを推定して掌静脈検出センサ16の検出範囲を変更するので、固定された叉ガイド31を基準に、移動把手21を用いて指先ガイド12を移動させて登録する指の先端を指先ガイド12の先端係止部12aに当接させ、指を伸ばした状態で指静脈検出センサ13の適正な位置に容易に位置決めすることができると共に、掌静脈検出センサ16の検出範囲を変更して登録する指を伸ばしたままその掌を撮影することができ、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサと、移動量計測センサとを設け、登録する手の指の叉を押し当てる叉ガイドを基準に、指静脈検出センサ移動機構により、掌静脈検出センサとの間の距離を可変に構成し、指静脈検出センサを指静脈検出センサ移動機構の指静脈検出ブロックに設けた移動把手により指先ガイドを移動させてその先端係止部を当該指の先端に当接させ、そのときの移動量を移動量計測センサにより計測し、この移動量を基に掌静脈検出センサの撮影範囲を変更するようにしたことによって、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサを移動させて叉ガイドを基準にして、登録する指を伸ばした状態で指静脈検出センサの適正な位置に位置決めし、登録する掌の大きさに応じて掌静脈検出センサの検出範囲を変更することができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈画像および掌静脈画像を検出することができ、2種類の生体情報の登録における信頼性を向上させることができると共に、生体情報登録装置1の構成を実施例4に較べて簡素なものとすることができる。
【0062】
なお、本実施例においては、掌静脈検出センサを固定して、移動量計測センサにより計測した指静脈検出センサの移動量を基に掌静脈検出センサの検出範囲を変更するとして説明したが、指静脈検出センサを固定して、掌静脈検出センサの移動量を計測する移動量計測センサを設け、これにより計測した掌静脈検出センサの移動量を基に掌静脈検出センサの検出範囲を変更するようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施例においては、掌静脈検出センサを固定して、移動量計測センサにより計測した指静脈検出センサの移動量を基に掌静脈検出センサの検出範囲を変更するとして説明したが、指静脈検出センサを固定して、掌静脈検出センサの移動量を計測する移動量計測センサを設け、これにより計測した掌静脈検出センサの移動量を基に指静脈検出センサの検出範囲を変更するようにしてもよい。
【0064】
更に、本実施例においては、掌静脈検出センサを固定して、移動量計測センサにより計測した指静脈検出センサの移動量を基に掌静脈検出センサの検出範囲を変更するとして説明したが、計測した指静脈検出センサの移動量を基に指静脈検出センサの検出範囲を変更するようにしてもよい。
【実施例6】
【0065】
図9は実施例6の生体情報登録装置を示す斜視図である。
なお、上記実施例1ないし実施例3と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、41は位置決めピンであり、指静脈検出ブロック11の指先方向に沿った両側の側面に設けられ、スライドレール17に3段階に設けられた位置決め溝42に嵌合して指静脈検出ブロック11上の指先ガイド12および指静脈検出センサ13を3段階に移動させて位置決めする。
【0066】
また、同様の位置決めピン41は、掌静脈検出センサ16の指先方向に沿った両側の側面にも設けられ、スライドレール25に3段階に設けられた位置決め溝42に嵌合して掌静脈検出センサ16を3段階に移動させて位置決めする。
本実施例においては、顧客の登録する指の長さおよび掌の指先方向の長さを、予め大、中、小の3段階に分類したサイズ分類表が用意されており、係員が所持している。
【0067】
本実施例の指静脈検出センサ位置変更機構は、指静脈検出ブロック11とその両側に設けられた位置決めピン41およびスライドレール17に設けられた3段階の位置決め溝42により構成され、掌静脈検出センサ位置変更機構は、掌静脈検出センサ16の両側に設けられた位置決めピン41およびスライドレール25に設けられた3段階の位置決め溝42により構成され、これらにより指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16を段階的に移動させて、指静脈検出センサ13と掌静脈検出センサ16との間の距離を段階的に可変にすることが可能になる。
【0068】
これにより、登録する指および掌の長さを物差しや目盛りが付いたシート等に手を載せて計測し、それぞれの計測された長さに応じてサイズ分類表の大、中、小の3段階のいずれに該当するかを判定し、該当するそれぞれの段階の位置にある位置決め溝42にそれぞれの位置決めピン41を嵌合させれば、検出する手の指の長さに応じて指静脈検出センサ13を伸ばした状態の指の適正な位置に位置させると共に、掌静脈検出センサ16を適正な位置に位置させることができる。
【0069】
本実施例の制御装置2の記憶部6には、上記実施例1と同様の登録処理を行うアプリケーションプログラムが予め格納されており、制御部5が実行する登録処理プログラムのステップにより本実施例の生体情報登録装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
本実施例の生体情報登録装置1を用いて、顧客の指静脈データおよび掌静脈データを取引カード4に登録する場合の作動について説明する。
【0070】
生体情報登録装置1の操作を行う係員は、顧客の登録する手の指および掌の長さを物差し等により計測し、計測した長さを基にサイズ分類表により該当する段階を判定し、移動把手21および移動レバー26を用いて該当するそれぞれの段階の位置にある位置決め溝42にそれぞれの位置決めピン41を嵌合させて指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の位置をセットする。
【0071】
次いで、指静脈および掌静脈を登録する顧客は、上記実施例1と同様にして取引カード4をカード読取書込部9にセットする。
これを検知した制御装置2の制御部5は、登録処理プログラムを起動させる。
一方、顧客は、予め位置がセットされている生体情報登録装置1の指先ガイド12および手首ガイド14に位置をあわせて、登録する手の掌を下方に向けた指および手首をセットする。
【0072】
これにより、顧客の掌および指が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の上方の適正な検出位置にセットされる。
係員は、セットされた顧客の手の状態を確認して入力部8により、生体情報の登録開始操作を行う。
その後の作動は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
このように、本実施例では、顧客の登録する手の指および掌の長さを計測し、計測した長さを基に予め設定されたサイズ分類表の段階に合せて指静脈検出センサ位置変更機構および掌静脈検出センサ位置変更機構により指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の位置を段階的に変更するので、顧客の手の大きさに個体差があったとしても、その個体差を吸収して正確に検出された指静脈画像および掌静脈画像により、指静脈データおよび掌静脈データを生成することができ、生体情報の登録における信頼性を向上させることができる他、係員が指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の位置をセットするので、顧客の煩わしさを解消することができる。
【0074】
以上説明したように、本実施例では、生体情報登録装置に指静脈検出センサと掌静脈検出センサとを設け、顧客の登録する手の指および掌の長さを計測し、計測した長さを基に予め設定されたサイズ分類表の段階に合せて指静脈検出センサ位置変更機構および掌静脈検出センサ位置変更機構により指静脈検出センサ13および掌静脈検出センサ16の位置を段階的に変更するようにしたことによって、顧客は登録する手を1回セットすれば、指静脈と掌静脈とを取引カードに同時に登録することができ、2種類の生体情報を効率よく登録することができると共に、指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサの位置を段階的に変更し、登録する指を伸ばした状態で指静脈検出センサの適正な位置に、登録する掌を掌静脈検出センサの適正な位置に位置決めすることができ、顧客の手の大きさの個体差を吸収して指静脈画像および掌静脈画像を正確に検出することができ、2種類の生体情報の登録における信頼性を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施例においては、指静脈検出センサおよび掌静脈検出センサを指静脈検出センサ位置変更機構および掌静脈検出センサ位置変更機構により手動で段階的にセットするとして説明したが、手の指および掌の長さを計測した計測結果を入力して自動でセットするようにしてもよい。
また、本実施例においては、サイズ分類表はそれぞれ3段階に分類するとして説明したが、2段階であっても4段階以上であってもよい。
【0076】
上記各実施例においては、生体情報登録装置の側面に設けられたカード読取書込装置は非接触型のICカードで形成された取引カードを読み書きするとして説明したが、取引カードを接触型のICカードとし、カード読取書込装置のカード挿入口を顧客側にのみ、または係員側にのみ設けるようにしてもよい。
また、生体情報登録装置は、パーソナルコンピュータからなる制御装置に接続するとして説明したが、生体情報登録装置を接続するコンピュータは前記に限らず、現金自動預払機や顧客応対窓口の係員が操作する窓口端末等の制御部分を用いるようにしてもよく、生体情報登録装置に一体に組込むようにしてもよい。
【0077】
更に、実施例4を除く各実施例においては、ブザーを設けない場合を例に説明したが、実施例4のブザーおよびそのアプリケーションプログラムを他の各実施例に適用して警報を発するようにすれば、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1の生体情報登録装置を示す斜視図
【図2】実施例1の生体情報登録装置を示すブロック図
【図3】実施例2の生体情報登録装置を示す斜視図
【図4】実施例3の生体情報登録装置を示す斜視図
【図5】実施例4の生体情報登録装置を示す斜視図
【図6】実施例4の生体情報登録装置を示すブロック図
【図7】実施例5の生体情報登録装置を示す斜視図
【図8】実施例5の生体情報登録装置を示すブロック図
【図9】実施例6の生体情報登録装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0079】
1 生体情報登録装置
2 制御装置
3 リード線
4 取引カード
5 制御部
6 記憶部
7 表示部
8 入力部
9 カード読取書込部
9a 当接面
9b 載置面
11 指静脈検出ブロック
12 指先ガイド
12a 先端係止部
13 指静脈検出センサ
15 手首ガイド
16 掌静脈検出センサ
17、25 スライドレール
18 バネ部材
21 移動把手
26 移動レバー
31 叉ガイド
32 ブザー
35 移動量計測センサ
41 位置決めピン
42 位置決め溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の指の静脈模様を検出する指静脈検出センサと、掌の静脈模様を検出する掌静脈検出センサとを備え、
前記指静脈検出センサと、前記掌静脈検出センサとの間の距離を可変にしたことを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項2】
請求項1において、
手首を位置決めする固定された手首ガイドと、前記指静脈検出センサを移動させる指静脈検出センサ移動機構を設け、
前記手首ガイドを基準に、前記掌静脈検出センサを設置し、
前記指静脈検出センサ移動機構により前記指静脈検出センサを、検出する手の指の長さに応じて移動させることを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記指静脈検出センサ移動機構に、前記検出する手の指の指先を位置決めする指先ガイドを設け、
該指先ガイドを、当該指の先端で押して前記指静脈検出センサを移動させることを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記指静脈検出センサ移動機構に、前記検出する手の指の指先を位置決めする指先ガイドと、移動把手とを設け、
該移動把手により、前記指先ガイドを移動させて、当該指の指先を位置決めすることを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項5】
請求項1において、
固定された前記指静脈検出センサに、前記検出する手の指の指先を位置決めする指先ガイドを設けると共に、前記掌静脈検出センサを移動させる掌静脈検出センサ移動機構を設け、
前記指先ガイドにより指を位置決めし、前記掌静脈検出センサ移動機構により前記掌静脈検出センサを検出する掌の位置に移動させることを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記掌静脈検出センサ移動機構に、移動レバーを設けたことを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項7】
請求項1において、
指の叉を押し当てる固定された叉ガイドを設けると共に、前記指静脈検出センサを移動させる指静脈検出センサ移動機構と、前記掌静脈検出センサを移動させる掌静脈検出センサ移動機構を設け、
前記叉ガイドに指の叉を押し当て、前記指静脈検出センサ移動機構により前記指静脈検出センサを検出する指の位置に移動させると共に、前記掌静脈検出センサ移動機構により前記掌静脈検出センサを検出する掌の位置に移動させることを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項8】
請求項1において、
指の叉を押し当てる固定された叉ガイドを設けると共に、前記指静脈検出センサを移動させる指静脈検出センサ移動機構と、前記指静脈検出センサの移動量を計測する移動量計測センサとを設け、
前記叉ガイドに指の叉を押し当て、前記指静脈検出センサ移動機構により前記指静脈検出センサを検出する指の位置に移動させたときに、前記指静脈検出センサの移動量を前記移動量計測センサにより計測し、該移動量を基に前記掌静脈検出センサの検出範囲を変更することを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項9】
請求項1において、
指の叉を押し当てる固定された叉ガイドを設けると共に、前記掌静脈検出センサを移動させる掌静脈検出センサ移動機構と、前記掌静脈検出センサの移動量を計測する移動量計測センサを設け、
前記叉ガイドに指の叉を押し当て、前記掌静脈検出センサ移動機構により前記掌静脈検出センサを検出する掌の位置に移動させたときに、前記掌静脈検出センサの移動量を前記移動量計測センサにより計測し、該移動量を基に前記掌静脈検出センサの検出範囲を変更することを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記指静脈検出センサの位置を複数段階に変更する指静脈検出センサ位置変更機構と、前記掌静脈検出センサの位置を複数段階に変更する掌静脈検出センサ位置変更機構とを設け、
前記検出する指、および検出する掌の長さを計測し、該計測した長さに応じて前記指静脈検出センサの位置、および前記掌静脈検出センサの位置を段階的に変更することを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項において、
前記検出する指の位置および検出する掌の位置の少なくとも一方が不正の場合に、警報を発することを特徴とする生体情報登録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−54747(P2008−54747A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232235(P2006−232235)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】