説明

生体成分測定装置及び生体成分測定装置の表示部の表示方法

【課題】使用者等の操作手順を簡素化し、その業務効率を向上することができる血糖などの生体成分を測定する生体成分測定装置及び生体成分測定装置の表示部の表示方法を提供すること。
【解決手段】識別情報の組合せ等によって処理が開始される実行モードを実行する実行モード部26と各種情報を表示する表示部11と識別情報入力部16とを有し、実行モードの情報である実行モード情報と、実行モードを実行するために選択が必要な識別情報を含む全体情報20aを表示部に表示する全体情報表示部19と、識別情報入力部で入力された全体情報の識別情報に関連する実行モード情報である関連実行モード情報を選択して表示部に表示する関連実行モード情報表示部23と、を有し、関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の識別情報の入力が必要な場合、当該他の識別情報の入力画面を表示部に表示する構成となっている生体成分測定装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモードを選択により実行させる血糖などの生体成分を測定する測定装置及びこのような生体成分測定装置の表示部の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、血糖を測定する血糖測定装置は、患者の血液中の血糖値を計測するために使用されている。このような血糖測定装置は例えば、特許文献1の図1等に示すような構成となっている。
また、このような血糖測定装置は、単に血糖を測定する動作モードだけでなく、装置が適切に動作しているか否かを点検する点検モードや、装置の初期設定等に関わる設定モード等の複数の動作モードを有している。
利用者等が血糖測定装置のかかる動作モードを選択するには、装置のディスプレイにメニュー画面を呼び出し、そのメニュー画面から必要な事項を幾度も選択して各動作モードを選択する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−318928号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、この血糖測定装置を病院等で使用する場合は、看護師等の使用者が同時に多数の患者の血糖値を測定し、若しくは点検等をすることになる。この場合に、看護師等の使用者に、その都度、上述のようにメニュー画面から必要な事項を幾度も選択して、目的とする動作モードを実行するという操作を強いることは、煩雑で業務効率が悪化するという問題があった。
【0005】
そこで、使用者等の操作手順を簡素化し、その業務効率を向上することができる血糖などの生体成分を測定する生体成分測定装置及び生体成分測定装置の表示部の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明によれば、特定の単一の識別情報又は複数の前記識別情報の組合せによって処理が開始される複数種類の実行モードを実行する実行モード部と、各種情報を表示する表示部と、前記識別情報を入力するための識別情報入力部と、を有することを特徴とする生体成分測定装置により達成される。
また、好ましくは、前記実行モードの情報である実行モード情報と、前記実行モードを実行するために選択が必要な前記識別情報を含む全体情報を前記表示部に表示する全体情報表示部と、前記識別情報入力部で入力された前記全体情報の前記識別情報に関連する前記実行モード情報である関連実行モード情報を選択して表示部に表示する関連実行モード情報表示部と、を有し、前記関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の前記識別情報の入力が必要な場合、当該他の前記識別情報の入力画面を前記表示部に表示する構成となっていることを特徴とする生体成分測定装置である。
【0007】
前記構成によれば、例えば、生体成分測定モード等の実行モードの情報である実行モード情報と、実行モードを実行するために選択が必要な、患者ID等の識別情報を含む全体情報を表示部に表示する全体情報表示部と、バーコード読取装置等の識別情報入力部で入力された全体情報の識別情報(例えば、患者ID等)に関連する実行モード情報(例えば、生体成分測定モード等)である関連実行モード情報を選択して表示部に表示する関連実行モード情報表示部と、を有している。
すなわち、前記構成では、例えば、メニュー画面である全体情報が表示部に表示されている状態で、使用者等が患者ID等の識別情報をバーコード読取装置等の識別情報入力部で入力すると、この入力された識別情報である患者ID等が求められる実行モード(生体成分測定モード等)が関連実行モード情報として表示される。
したがって、この段階で、例えば患者IDという識別情報を必要としない実行モード、例えば、生体成分測定装置の点検モードは、自動的に除外されることになる。
【0008】
また、前記構成では、関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の前記識別情報の入力が必要な場合、当該他の識別情報の入力画面を表示部に表示する構成となっている。
すなわち、上述のように、入力された識別情報(例えば、患者ID)を必要とする実行モードを表示部に表示しつつ、当該実行モード(例えば、生体成分測定モード)を実行するに必要な他の識別情報(例えば、使用者IDや生体成分測定用チップID)の入力を促すようになっている。
したがって、使用者等は、生体成分測定装置の表示部の画面表示にしたがって識別情報を入力すれば、所望の実行モードを迅速に開始することができる。そして、使用者等の操作手順を簡素化し、その業務効率を向上することができる。
【0009】
好ましくは、前記実行モードの処理の開始に必要な全ての前記識別情報が選択されたか否かを判断する選択完了判断部と、前記選択完了判断部が実行モードの処理の開始に必要な全ての前記識別情報が選択されたと判断したときに、前記実行モードを開始可能モードにする実行モード開始部と、を有することを特徴とする生体成分測定装置である。
【0010】
前記構成によれば、実行モードの処理の開始に必要な全ての識別情報が選択されたか否かを判断する選択完了判断部と、選択完了判断部が実行モードの処理の開始に必要な全ての識別情報が選択されたと判断したときに、実行モードを開始可能モードにする実行モード開始部と、を有する。
このため、使用者等は、表示部の画面表示に従い必要な識別情報の入力が終われば、それ以外の何らの操作をする必要がなく、生体成分測定装置が自動的に所望の実行モードを開始することになり、使用者等の業務効率をさらに向上させることができる。
【0011】
好ましくは、前記実行モード開始部が前記実行モードを開始可能モードにする前に、選択された前記識別情報を表示部に確認画面として表示する確認画面表示部とを有することを特徴とする生体成分測定装置である。
【0012】
前記構成によれば、実行モード開始部が実行モードを開始可能モードにする前に、選択された識別情報を表示部に確認画面として表示する確認画面表示部とを有する。
このため、生体成分測定装置が自動的に実行モードを開始する前に、その入力情報を確認でき、入力ミス等を事前に発見することができる。
【0013】
好ましくは、前記識別情報が、患者、使用者、生体成分測定用チップ、点検液であり、前記実行モードが生体成分測定モード、生体成分測定装置点検モード、履歴情報参照モード、生体成分測定装置各種設定モードであることを特徴とする生体成分測定装置である。
【0014】
前記課題は、本発明によれば、特定の単一の識別情報又は複数の前記識別情報の組合せによって処理が開始される複数種類の実行モードを実行する実行モード部と、各種情報を表示する表示部と、前記識別情報を入力するための識別情報入力部と、を有する生体成分測定装置の表示部の表示方法であって、前記実行モードの情報である実行モード情報と、前記実行モードを実行するために選択が必要な前記識別情報を含む全体情報を全体情報表示部が前記表示部に表示する工程と、前記識別情報入力部で入力された前記全体情報の前記識別情報に関連する前記実行モード情報である関連実行モード情報を選択して関連実行モード情報表示部が表示部に表示する工程と、を有し、前記関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の前記識別情報の入力が必要な場合、当該他の前記識別情報の入力画面を前記表示部に表示する構成となっていることを特徴とする生体成分測定装置の表示部の表示方法により達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、使用者等の操作手順を簡素化し、その業務効率を向上することができる生体成分測定装置及び生体成分測定装置の表示部の表示方法を提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る血糖測定装置を適用した血糖測定システムを示す概略図である。
【図2】血糖測定装置の使用状態を示す概略説明図である。
【図3】看護師等が血糖測定装置で、患者の血糖値を測定する状態を示す概略説明図である。
【図4】血糖測定装置の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す概略フローチャートである。
【図6】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図7】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図9】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図10】本実施の形態にかかる血糖測定装置の動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図11】メニュー画面データの一例を示す概略説明図である。
【図12】メニュー画面データが血糖測定装置のディスプレイに表示された状態を示す概略説明図である。
【図13】ST52の入力を促す画面の一例を示す概略説明図である。
【図14】チップIDの入力要求画面の一例である。
【図15】確認画面を示す概略説明図である。
【図16】ST67における画面例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、生体成分として血液中のブドウ糖(血糖)を測定する血糖測定装置を例として、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明に係る血糖測定装置を適用した血糖測定システム1を示す概略図である。図1に示す血糖測定システム1は、例えば病院内で使用されるシステムである。図1に示すように、血糖測定装置10は、病院のナースステーション等に配置され、そこに所在する看護師等の使用者が適宜、使用することができるようになっている。
また、この看護師等は、それぞれ自己の識別情報である使用者ID9を有しており、そのIDは、例えば「02003004」という数字で表される。そして、各看護師は、自己の使用者ID9をバーコードで表したIDカード等を所持している。
【0019】
図1の血糖測定装置10は、クレードル7に搭載されると共に、病院の各種データを管理するコンピュータである情報管理装置3と、ケーブル4を介して接続可能となっている。
このため、看護師等は、血糖測定装置10を、クレードル7及びケーブル4等を介して情報管理装置3と接続させることができ、これにより、当該血糖測定装置10を使用するために必要なデータを情報管理装置3から取得することができる。
【0020】
血糖測定装置10の動作(実行)モードとしては、例えば4つのモードがある。具体的には、患者の血液の血糖値を測定する血糖測定処理モード(血糖測定モード)、血糖測定装置10の血糖測定が正常に機能しているか否かを点検する点検処理モード(血糖測定装置点検モード)、血糖値を測定する患者に関する測定履歴データ等を、表示部である例えば、ディスプレイ11に表示する履歴処理モード(履歴情報参照モード)、そして、血糖測定装置10の初期設定等の各種設定条件を変更等する設定処理モード(血糖測定装置各種設定モード)である。
なお、血糖測定装置10は、図1に示すようにディスプレイ11を有している。
【0021】
血糖測定装置10は、情報管理装置3からこれらの各モードで使用するデータ、例えば、患者データ、履歴データ、そして、後述する血糖値測定用チップ5のデータ等を取得することができる構成となっている。
【0022】
図2は、血糖測定装置10の使用状態を示す概略説明図である。図2に示すように、看護師等が患者の血糖値を測定するために血糖測定装置10を持って病棟に行くときは、同時に、血糖値測定用チップ5も所持する。
この血糖値測定用チップ5は、患者の血糖値を測定する際、血糖測定装置10に装着されて使用されるようになっている。すなわち、この血糖値測定用チップ5内には、試験紙等が配置されており、この試験紙に採血した患者の血液が染み込む構成となっており、この血液における血糖値を血糖測定装置10が測定する構成となっている。
このため、血糖値測定用チップ5は、血糖値の測定をする度に交換されることになり、この血糖測定用チップ5には、それぞれ、識別情報である例えば、チップID(チップロット)5a、例えば、「090205412B」が付されている。このチップID5aは例えば、バーコードで血糖測定用チップ5の包装等に表示されている。
【0023】
図3は、看護師等が血糖測定装置10で、患者の血糖値を測定する状態を示す概略説明図である。図3に示すように、看護師等は、血糖測定装置10に血糖値測定用チップ5を付けて、患者の血糖値を測定することになる。なお、この各患者にも識別情報である例えば、患者ID6、例えば、「09N4−000103」が付されており、この患者ID6は、バーコードでIDカードに表示されている。
【0024】
また、上述の実行モードのうち、点検処理モードを実行するときは、特定の血糖値が測定できるようになっている点検液8が用いられることになる。すなわち、点検するときは、血糖測定装置10に血糖値測定用チップ5aを装着し、この状態で血液でなく、点検液8を点着する。すると、もし、血糖測定装置10が正常に機能していれば、特定範囲の血糖値が算出され、一方、正常に機能していなければ、前記特定範囲と異なる血糖値が算出され、この結果によって血糖測定装置10の点検ができるようになっている。
このような点検処理モードで使用する点検液8にも、識別情報である例えば、点検液ID8aが付されており、この点検液ID8aは、点検液8の容器等の表面にバーコードで表示されている。
【0025】
ところで、上述の4つの実行モードを実行するには、上述のIDの取得が必要となっている。
具体的には、血糖測定処理モードでは、測定対象である患者の患者ID2、測定をする看護師等の使用者ID9、そして、今回の血糖測定装置10に使用されるチップID5aの3つのIDである。
また、点検処理モードでは、点検を行う看護師等の使用者ID9、点検で使用する血糖値測定用チップのチップID5a、そして、点検液8の点検液ID8aである。
また、履歴処理モード及び設定処理モードでは、かかる処理を行う看護師等の使用者IDのみとなっている。
【0026】
これらの各実行モードで上述の各IDのデータを血糖測定装置10に入力することは病院のデータ管理上、極めて重要なことであるため、看護師等が血糖測定装置10を使用して、上述の各実行モードを実行するときは、必ず入力することが推奨されている。
しかし、この各IDデータを入力するには、血糖測定装置10のディスプレイ11にメニュー画面を表示させ、看護師等が実行したい実行モードの画面を表示させ、その上、必要なIDの入力画面等にする必要があり、煩雑な操作を求められていた。
特に、多くの患者を担当し、各患者について上述の各実行モードを実行するには、さらに、煩雑さが増すことになる。そこで、本実施の形態では、かかる操作の煩雑さを解消し、操作手順を簡素化し、その業務効率を向上することを目的とするものであり、その詳細を以下具体的に説明する。
【0027】
先ず、図4は、血糖測定装置10の主な構成を示す概略ブロック図である。
血糖測定装置10には、コンピュータ等が備えられており、図4に示すように、CPU等とから成る血糖測定装置側制御部12を介して、実際に採血された血液中の血糖値を測定する血糖測定装置本体13、ディスプレイ11、図1の情報管理装置3と通信するための血糖測定装置側通信装置14等が配置されている。
また、図1の血糖測定装置10には、各種データを入力するテンキー及びボタン等の入力装置15、そして、上述のバーコードのIDを読み取るためのバーコード読取装置16も接続されている。
これら入力装置15及びバーコード読取装置16が、識別情報入力部の一例となっている。図4に示す血糖測定装置10の主なソフトウエア構成については後述する。
【0028】
図5乃至図10は、本実施の形態にかかる血糖測定装置10の動作等を示す概略フローチャートである。
以下、図5乃至図10のフローチャートに沿って、血糖測定装置1の動作等を説明しながら図4のソフトウエア構成等についても併せて説明する。
【0029】
先ず、図5のフローチャートを説明する。看護師等の使用者が図3に示すように、患者の側で血糖測定装置10を使って血糖値の測定処理モードを実行する例等を中心に先ず説明し、その後、他の実行モードについて説明する。
図5で示すように、看護師等が血糖測定装置10の電源をON状態とすると、図5のST1で、血糖測定装置10は、セルフチェックを行う。
具体的には、図4のセルフチェックプログラム17が、データベースのセルフチェックデータ格納部18のセルフチェックデータを参照しつつ実行する。
【0030】
そして、血糖測定装置10に異常がないときは、ST2へ進み、ID入力を促す画面を血糖測定装置10のディスプレイ11に表示する。
具体的には、図4のメニュー画面表示プログラム19が、データベースのメニュー画面データ格納部20のメニュー画面データ20aを参照しつつ実行する。
図11は、メニュー画面データ20aの一例を示す概略説明図である。
図11に示すように、血糖測定処理モードでは患者ID6、使用者ID9、チップID5aの入力を促すようになっている。
また、点検処理モードの場合は、使用者ID9、チップID5a及び点検液ID8aの入力を促すようになっている。
履歴処理モード、設定処理モードの場合は、使用者ID9の入力を促すようになっている。
【0031】
図12は、メニュー画面データ20aが血糖測定装置10のディスプレイ11に表示された状態を示す概略説明図である。
図12に示すように、図11のメニュー画面データ20aがディスプレイ11に表示され、IDの入力が促される。
図11及び図12の測定、点検、履歴及び設定が実行モード情報の一例であり、各IDと、実行モードに対応する四角等の表示が、実行モードを実行するために選択が必要な識別情報の一例である。また、メニュー画面データ20aが全体情報であり、メニュー画面表示プログラム19が、全体情報表示部の一例である。
【0032】
看護師等が、図3の患者の血糖値を測定したい場合は、患者ID6、使用者ID9、チップID5aのいずれを先に入力しても構わない構成となっている。
すなわち、いずれのIDを先に入力しても、その後、他のIDの入力を案内し促す画面がディスプレイ11に表示される構成となっている。
具体的には、図3の状況で、看護師等は患者のIDカードに表示されている患者ID6のバーコード、看護師等のIDカードに表示されている使用者ID9のバーコード、若しくは、血糖測定装置10と共に運んできた、図2に示す血糖値測定用チップ5の包装等に表示されているチップID5aのバーコードのいずれかを、図4のバーコード読取装置16を操作して先に入力する。
【0033】
これが、図5のST3であり、例えば、ここで、看護師等が、先に患者ID6のバーコードを入力したとする。すると、図4のバーコードデータ判定プログラム21が、入力されたバーコードを、バーコード対応IDデータ等格納部22内のデータを参照しつつ、正しいか否かを判断し、対応するバーコードデータがない場合は、ST4で、ディスプレイ11に入力エラー表示をする。
【0034】
一方、ST3で、バーコードデータが正しいと判断された場合は、このバーコードが患者ID6、例えば「09N4−000103」であると認識され、図5のSTで患者ID入力処理へ進む。
図6は、図5の患者ID入力処理を示す概略フローチャートである。
図6に示すように、ST3で患者IDが入力された場合、ST51で測定モードが開始される。これは、図11で示すように、メニュー画面で患者ID6が入力された場合、入力した者は、血糖値の測定をするつもりであると分かるからである。
このように、血糖測定装置10は、看護師等が実行したいと考えている実行モード以外を自動的に事後の選択の対象から除外するようになっている。
【0035】
しかし、図11に示すように、血糖値の測定処理モードの場合は、患者ID6以外に使用者ID9及びチップID5aが必要であるので、図6のST52で、それらIDの入力を促す。
具体的には、図4の患者ID入力後画面表示プログラム23が動作し、メニュー画面データ20aから必要な画面を切り取り、ディスプレイ11に表示する。
【0036】
図13は、ST52の入力を促す画面の一例を示す概略説明図である。
図13に示すように、表示されているのは、確定した実行モードである血糖値の測定処理モードのみを表示し、且つ、既に入力済みのIDにはチェックが付され、未だ未入力のID、この例では、使用者ID9及びチップID5aの入力を促す画面となっている。
そして、図13に示すように、「測定を行います。使用者IDかチップIDを入力してください」と表示される。
図13の画面が、関連実行モード情報及び他の識別情報の入力画面の一例であり、患者ID入力後画面表示プログラム23が、関連実行モード情報表示部の一例である。
【0037】
ここで、例えば、使用者ID9が入力されると、ST53へ進み、残りのチップID5aの入力が求められる。図14が、チップIDの入力要求画面の一例である。これらの動作も患者ID入力後画面表示プログラム23が実行する。
次に、ST54でチップID5aの入力が確認される。具体的には、図4のID入力完了判断プログラム24が、当該実行モードの全てIDの入力があったか否かを判断する。
上述の例では、血糖値の測定処理モードに必要な、患者ID6、使用者ID9及びチップID5aの入力が完了したので、完了と判断する。
このID入力完了判断プログラム24が、選択完了判断部の一例である。
【0038】
一方、ST52で、チップID5aが入力された場合は、ST56で使用者ID9の入力を要求する画面を表示し、ST57で使用者ID9が入力されると、ID入力完了判断プログラム24が、当該実行モードの全てのIDの入力があったか否かを判断し、ST55へ進むことになる。
【0039】
ST55では、入力された患者ID等の内容を確認することになる。具体的には、図4の確認画面表示プログラム25が動作し、確認画面をディスプレイ11に表示する。図15は、この確認画面を示す概略説明図である。
したがって、看護師等のデータを入力した者は、この画面を見ることで、自己の入力データに間違いがないか否かを確認することができる。
確認画面表示プログラム25が、確認画面表示部の一例となっている。
【0040】
次に、ST56へ進み、血糖値の測定処理モードが開始される。具体的には、図4の血糖測定処理実行プログラム26が、データベースの血糖測定処置用データ27を参照しつつ実行する。
すなわち、血糖値の測定処理モードは、必要なIDの入力が終われば、その後、自動的に開始され、看護師等は、単に、IDを入力するだけなので、看護師等の操作手間を省くことができ、業務効率を向上させることができる。
この血糖測定処理実行プログラム26が、実行モード開始部の一例となっている。
【0041】
また、ST55の入力ID確認工程は、ST56の自動的に開始される血糖値の測定処理モードの前に置かれることで、このように自動的に開始される前に確認ができ、誤ったデータで測定処理モードが開始されるのを未然に防止することができる。
なお、これで開始される血糖値の測定処理モードの詳細については、後述する。
【0042】
一方、図5のST3で図12の画面を見た看護師等が、血糖値の測定をするつもりで、先に使用者ID9を入力した場合は、ST6の使用者ID入力処理へ進む。
図7は、使用者ID入力処理を示す概略フローチャートである。
図7のST61では、ID入力又はボタン操作を促す。図11及び図12に示すように、看護師等が、自己の使用者ID9をバーコード読取装置16で読み取って入力しても、実行する実行モードは特定できず、4つの全てのモードが該当することになる。
そこで、ST61では、患者ID6、点検液ID8、チップID5aのいずれかのIDの入力、若しくは履歴又は設定を選択することが求められる。
看護師等は、履歴処理モード又は設定処理モードを選択する場合は、図4の入力装置15のボタン等を操作して特定する。
ST61では、図12の画面の他に、履歴及び設定選択画面がディスプレイに表示される。具体的には、図4の使用者ID入力後画面表示プログラム28が、「履歴」及び「設定」選択画面データ格納部29のデータを参照して実行される。
【0043】
図7のST61で、看護師等が患者ID6を入力すれば、図11等から明らかなように、看護師等の実行したいモードが、血糖値の測定処置であることが明らかになるので、ST62で測定モード開始となり、後は、上述の図6に示す工程を経て、測定処理へと進むことになる(ST63乃至ST66)。
【0044】
一方、ST61で、看護師等が、先にチップID5aを入力した場合、図11等で明らかなように、看護師等が実行したいモードは、血糖値の測定処理モード又は点検モードのいずれかとなる。
そこで、ST67で、ID入力画面をディスプレイ11に表示する。具体的には、使用者ID入力後画面表示プログラム28が実行する。
図16は、ST67における画面例を示す概略説明図である。
図16に示すように、測定処理モードを実行したいのならば、患者ID6の入力を促し、点検処理モードを実行したいのならば、点検液ID8aの入力を促す画面となっている。
【0045】
ST67で、看護師等が測定処理モードを実行したい場合は、患者ID6を入力し、その後(ST68乃至ST70)は、上述の図7のST62乃至ST66等と同様の工程を経て、測定処理へ進むことになる。
【0046】
一方、図5のST3で図12の画面を見た看護師等が、血糖値の測定をするつもりで、先にチップID5aを入力した場合は、ST7のチップID入力処理へ進む。
図8は、チップID入力処理を示す概略フローチャートである。
図8のST701では、ID入力を促す。このID入力は、図11等に示すように、患者ID6、点検液ID8a、使用者ID9のいずれかになる。
これは、図4のチップID入力後画面表示プログラム30で実行される。
ST701で、看護師等が、患者ID6を入力すると、ST702で測定モードが開始され、その後のST703乃至ST706は、図6に示す工程を経て、測定処理へ進むことになる。
【0047】
一方、看護師等が、先に使用者ID9を入力した場合は、図11で明らかなように、未だ実行したいモードは確定しない。すなわち、血糖値の測定処理モード又は点検処理モードとなる。
そこで、ST707では、患者ID6又は点検液ID8aのいずれかの入力を促す画面をディスプレイ11に表示する。これらは、チップID入力後画面表示プログラム30が実行する。
【0048】
ST707で、看護師等が患者ID6を入力すれば、看護師等が実行したモードが血糖値の測定処理モードであることが分かり、ST708で測定モードが開始され、その後のST709及びST710は、図6に示す工程を経て、測定処理へ進むことになる。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、看護師等は、自己が実行したい処理モードに必要なIDの一つをバーコード読取装置16等で入力すれば、その後、ディスプレイ11に入力に必要なIDが順に表示される。このため、従来のような、煩雑な画面操作をすることなく、簡易且つ迅速に所望の処理モードを実行することができる。したがって、看護師等の業務効率を向上させることができる。
【0050】
次に、看護師等が、点検処理モードを実行したい場合について説明する。
図5のST3で、点検液ID8aを入力した場合、ST8へ進み、点検液ID入力処理へ進む。
図9は、点検液ID入力処理を示す概略フローチャートである。
図9の動作は、図4の点検液ID入力後画面表示プログラム31で実行される。
図9に示すように、点検液ID8aが入力されれば、図11からも明らかなように、実行モードは、点検処理モードとなる。このため、ST801以下では、点検処理モードの実行に必要な他のチップID5a及び使用者ID9の入力を求めて、点検処理モードが開始されることなる(ST801乃至ST808)。
点検処理モードは、図4の点検処理実行プログラム32が点検処理用データ33を参照して実行されるが、詳細は後述する。
【0051】
次に、看護師等が、点検処理モードを実行したい場合に、ST3で、先に使用者ID9を入力した場合について説明する。
ST3で使用者ID9を入力すると、図7のST61で、ID入力又はボタン操作を求められる。このとき、看護師等は、点検処理モードを実行するために、点検液ID8a又はチップID5aを入力することになる。
点検液ID8aを入力した場合は、実行モードが点検処理モードに確定し、ST71で点検処理モードが開始され、ST72乃至ST75は、図9で示す工程を経て、点検処理に進むことになる。
【0052】
一方、ST61で、チップID5aを入力した場合は、ST67で点検液ID8aの入力が求められ、点検液ID8aが入力されると、ST76で点検処理モードが開始され、ST77及びST78は、図9で示す工程を経て、点検処理に進むことになる。
【0053】
また、看護師等が、点検処理モードを実行したい場合に、ST3で、先にチップID5aを入力した場合について説明する。
ST3でチップID5aを入力すると、図8のST701で、ID入力を求められる。このとき、看護師等は、点検処理モードを実行するために、点検液ID8a又は使用者ID9を入力することになる。
点検液ID8aを入力した場合は、実行モードが点検処理モードに確定し、ST711で点検処理モードが開始され、ST712乃至ST715は、図9で示す工程を経て、点検処理に進むことになる。
【0054】
一方、ST701で、使用者ID9を入力した場合は、ST707で点検液ID8aの入力が求められ、点検液ID8aが入力されると、ST716で点検処理モードが開始され、ST717及びST718は、図9で示す工程を経て、点検処理に進むことになる。
【0055】
また、看護師等が、履歴処理モードや設定処理モードを実行したい場合は、図5のST3で、使用者ID9が入力される。そして、図7のST61で入力装置16のボタン操作で履歴又は設定が選択され、履歴処理モード又は設定処理モードが開始されることになる。
具体的には、図4の履歴処理実行プログラム34が、履歴処理用データ格納部35のデータを参照して実行する。また、設定処理実行プログラム36が、設定処理用データ格納部37のデータを参照して実行する。
【0056】
このように、本実施の形態では、上述の血糖値の測定処理モード以外のモードでも、看護師等に、当該実行モードに必要なIDデータを画面で示し、この画面に従ってIDを入力又はボタンを選択することで、迅速且つ容易に、所望の実行モードを血糖測定装置10に開始させることができる。したがって、看護師等の業務効率を向上させることができる。
【0057】
図10は、血糖測定装置10で実行される実行モードの主な内容を示す概略フローチャートであり、(a)は、血糖値の測定処理モード、(b)点検処理モード、(c)履歴処理モード、(d)設定処理モードを示す。
図10(a)では、ST1001乃至ST1007に示すようにして、血糖値が算出され、その結果がディスプレイ11に表示等されることで、血糖値の測定処理モードが実行される。
図10(b)では、ST1011乃至ST1015に示すように点検液による血糖値が算出され、その結果がディスプレイ11に表示等されることで、点検液による点検処理モードが実行される。
図10(c)では、ST1021乃至ST1025に示すように患者の測定履歴等が表示され、履歴処理モードが実行される。
図10(d)では、ST1031乃至ST1035に示すように選択された項目の設定の変更等の設定処理モードが実行される。
【0058】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。また、測定目的とする生体成分は、ブドウ糖(血糖値)に限らず、例えば、コレステロール、尿酸、クレアチニン、乳酸、ヘモグロビン(潜血)、各種アルコール類、各種糖類、各種タンパク質、各種ビタミン類、ナトリウム等の各種無機イオン等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1・・・血糖測定システム、3・・・情報管理装置、4・・・ケーブル、5・・・血糖値測定用チップ、5a・・・チップID(チップロット)、6・・・患者ID、7・・・クレードル、8・・・点検液、8a・・・点検液ID、9・・・使用者ID、10・・・血糖測定装置、11・・・ディスプレイ、12・・・血糖測定装置側制御部、13・・・血糖測定装置本体、14・・・血糖測定装置側通信装置、15・・・テンキー及びボタン等の入力装置、16・・・バーコード読取装置、17・・・セルフチェックプログラム、18・・・セルフチェックデータ格納部、19・・・メニュー画面表示プログラム、20・・・メニュー画面データ格納部、20a・・・メニュー画面データ、21・・・バーコードデータ判定プログラム、22・・・バーコード対応IDデータ等格納部、23・・・患者ID入力後画面表示プログラム、24・・・ID入力完了判断プログラム、25・・・確認画面表示プログラム、26・・・血糖測定処理実行プログラム、27・・・データベースの血糖測定処置用データ、28・・・使用者ID入力後画面表示プログラム、29・・・「履歴」及び「設定」選択画面データ格納部、30・・・チップID入力後画面表示プログラム、31・・・点検液ID入力後画面表示プログラム、32・・・点検処理実行プログラム、33・・・点検処理用データ、34・・・履歴処理実行プログラム、35・・・履歴処理用データ格納部、36・・・設定処理実行プログラム、37・・・設定処理用データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の単一の識別情報又は複数の前記識別情報の組合せによって処理が開始される複数種類の実行モードを実行する実行モード部と、
各種情報を表示する表示部と、
前記識別情報を入力するための識別情報入力部と、を有することを特徴とする生体成分測定装置。
【請求項2】
前記実行モードの情報である実行モード情報と、前記実行モードを実行するために選択が必要な前記識別情報を含む全体情報を前記表示部に表示する全体情報表示部と、
前記識別情報入力部で入力された前記全体情報の前記識別情報に関連する前記実行モード情報である関連実行モード情報を選択して表示部に表示する関連実行モード情報表示部と、を有し、
前記関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の前記識別情報の入力が必要な場合、当該他の前記識別情報の入力画面を前記表示部に表示する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の生体成分測定装置。
【請求項3】
前記実行モードの処理の開始に必要な全ての前記識別情報が選択されたか否かを判断する選択完了判断部と、
前記選択完了判断部が実行モードの処理の開始に必要な全ての前記識別情報が選択されたと判断したときに、前記実行モードを開始可能モードにする実行モード開始部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の生体成分測定装置。
【請求項4】
前記実行モード開始部が前記実行モードを開始可能モードにする前に、選択された前記識別情報を表示部に確認画面として表示する確認画面表示部とを有することを特徴とする請求項3に記載の生体成分測定装置。
【請求項5】
前記識別情報が、患者、使用者、生体成分測定用チップ、点検液であり、前記実行モードが生体成分測定モード、生体成分測定装置点検モード、履歴情報参照モード、生体成分測定装置各種設定モードであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の生体成分測定装置。
【請求項6】
特定の単一の識別情報又は複数の前記識別情報の組合せによって処理が開始される複数種類の実行モードを実行する実行モード部と、
各種情報を表示する表示部と、
前記識別情報を入力するための識別情報入力部と、を有する生体成分測定装置の表示部の表示方法であって、
前記実行モードの情報である実行モード情報と、前記実行モードを実行するために選択が必要な前記識別情報を含む全体情報を全体情報表示部が前記表示部に表示する工程と、
前記識別情報入力部で入力された前記全体情報の前記識別情報に関連する前記実行モード情報である関連実行モード情報を選択して関連実行モード情報表示部が表示部に表示する工程と、を有し、
前記関連実行モード情報表示部は、当該関連実行モードの実行に未選択の他の前記識別情報の入力が必要な場合、当該他の前記識別情報の入力画面を前記表示部に表示する構成となっていることを特徴とする生体成分測定装置の表示部の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−236933(P2010−236933A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83236(P2009−83236)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】