説明

生体活性な融合タンパク質および先在する腫瘍の治療

【課題】ポリペプチドリンカーを通して結合した少なくとも2つのポリペプチド単量体(アミノ酸鎖)を含み、生体活性である融合タンパク質、ならびにその産生方法を提供すること。
【解決手段】IL-12 p35サブユニットをコードするDNA、ポリペプチドリンカーをコードするDNA、およびIL-12 p40サブユニットをコードするDNAを含むDNAであって、該ポリペプチドリンカーをコードするDNAが、IL-12 p35サブユニットをコードするDNAとIL-12 p40サブユニットをコードするDNAとの間に位置し、そして該DNAの発現が、該コードされたポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、生体活性IL-12融合タンパク質の産生を生じる、DNA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許出願第08/385,335号(1995年2月8日出願)の一部継続出願であり、その技術は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
治療用タンパク質(例えば、二量体である治療用タンパク質)の産生は、しばしば困難であり、効率が悪く、そして費用がかかる。二量体の産生には、2つの成分を別々に発現させ、続いてこれらの成分を結合して機能的な二量体を形成させることが必要とされ得る。機能的な二量体タンパク質の別の産生方法が有効である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明により、以下が提供される。
(項目1) IL-12 p35サブユニットをコードするDNA、ポリペプチドリンカーをコードするDNA、およびIL-12 p40サブユニットをコードするDNAを含むDNAであって、該ポリペプチドリンカーをコードするDNAが、IL-12 p35サブユニットをコードするDNAとIL-12 p40サブユニットをコードするDNAとの間に位置し、そして該DNAの発現が、該コードされたポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、生体活性IL-12融合タンパク質の産生を生じる、DNA。
(項目2) 前記IL-12 p35サブユニットおよび前記IL-12 p40サブユニットが、ヒトまたはマウス起源であり、そして前記ポリペプチドリンカーが、(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;Gly6Ser;および(Gly4Ser)2Serからなる群より選択される、項目1に記載のDNA。
(項目3) 生体活性IL-12タンパク質をコードするDNAであって、該生体活性IL-12タンパク質が、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、DNA。
(項目4) 前記ポリペプチドリンカーが、(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;Gly6Ser;および(Gly4Ser)2Serからなる群より選択される、項目3に記載のDNA。
(項目5) 生体活性タンパク質をコードするDNAであって、該生体活性タンパク質は、対応する天然の二量体タンパク質に存在する2つのサブユニットおよびポリペプチドリンカーを含み、そして該2つのサブユニットが、該生体活性タンパク質中で、該ポリペプチドリンカーによって結合されている、DNA。
(項目6) 前記ポリペプチドリンカーが、(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;Gly6Ser;および(Gly4Ser)2Serからなる群より選択される、項目5に記載のDNA。
(項目7) 項目1に記載のDNAによってコードされる、生体活性IL-12融合タンパク質。
(項目8) 項目2に記載のDNAによってコードされる、生体活性IL-12融合タンパク質。
(項目9) 項目3に記載のDNAによってコードされる、生体活性IL-12融合タンパク質。
(項目10) ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、生体活性IL-12タンパク質。
(項目11) 前記IL-12 p35サブユニットおよび前記IL-12 p40サブユニットがヒトまたはマウス起源であり、そして前記ポリペプチドリンカーが7から16のアミノ酸残基である、項目10に記載の生体活性IL-12タンパク質。
(項目12) 前記ポリペプチドリンカーが、(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;Gly6Ser;および(Gly4Ser)2Serからなる群より選択される、項目11に記載の生体活性IL-12タンパク質。
(項目13) 項目1に記載のDNAを含む、発現ベクター。
(項目14) レトロウイルスベクターである、項目13に記載の発現ベクター。
(項目15) SFGベクターである、項目14に記載の発現ベクター。
(項目16) a)pSFG.IL-12.p35.linker.p40;
b)pSFG.IL-12.p40.linker.p35;
c)pSFG.IL-12.p35.linker.Δp40;
d)pSFG.IL-12.p40.linker.Δp35;および
e)pSFG.hIL-12.p40.linker.Δp35
からなる群より選択される、項目15に記載の発現ベクター。
(項目17) 生体活性IL-12タンパク質を生産する方法であって:
a)IL-12 p35サブユニットをコードするDNA、ポリペプチドリンカーをコードするDNA、およびIL-12 p40サブユニットをコードするDNAを含む発現ベクターであって、該ポリペプチドリンカーをコードするDNAが、IL-12 p35サブユニットをコードするDNAとIL-12 p40サブユニットをコードするDNAとの間に位置する、ベクターを提供する工程;
b)該発現ベクターを適切な宿主細胞に導入する工程;
c)工程b)より得られる該宿主細胞を、該2つのサブユニットが該ポリペプチドリンカーによって結合されている生体活性IL-12タンパク質の産生を生じる、該発現ベクター中に存在する該DNAの発現に適切な条件下で維持する工程
を包含する、方法。
(項目18) 前記IL-12 p35サブユニットおよび前記IL-12 p40サブユニットがヒトまたはマウス起源であり、前記ポリペプチドリンカーが7から16のアミノ酸残基である、前記項目17に記載の方法。
(項目19) 前記ポリペプチドリンカーが、(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;Gly6Ser;および(Gly4Ser)2Serからなる群より選択される、項目18に記載の方法。
(項目20) 前記発現ベクターがレトロウイルスベクターである、項目17に記載の方法。
(項目21) 前記発現ベクターがSFGベクターである、項目20に記載の方法。
(項目22) 前記SFGベクターが
a)pSFG.IL-12.p35.linker.p40;
b)pSFG.IL-12.p40.linker.p35;
c)pSFG.IL-12.p35.linker.Δp40;
d)pSFG.IL-12.p40.linker.Δp35;および
e)pSFG.hIL-12.p40.linker.Δp35
からなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23) 確立された腫瘍によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、治療有効用量のIL-12分泌腫瘍細胞を、確立された腫瘍によって特徴付けられる疾患を有する被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目24) 前記処置が、前記腫瘍のサイズの減少、非処置被験体と比較しての該被験体の生存の延長、またはその両方を生じる、項目23に記載の方法。
(項目25) 前記IL-12分泌腫瘍細胞が、CMS-5腫瘍細胞およびB16腫瘍細胞からなる群より選択される、項目23に記載の方法。
(項目26) 確立された腫瘍によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、治療有効用量の、生体活性IL-12タンパク質を分泌する腫瘍細胞を、確立された腫瘍によって特徴付けられる疾患を有する被験体に投与する工程を包含し、該生体活性IL-12タンパク質が、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、方法。
(項目27) 被験体において確立された腫瘍のサイズを減少させる方法であって、治療有効用量のIL-12分泌腫瘍細胞を、確立された腫瘍を有する被験体に投与し、これによって該確立された腫瘍のサイズを減少させる工程を包含する、方法。
(項目28) 前記腫瘍のサイズを50%以上減少させる、項目27に記載の方法。
(項目29) 前記確立された腫瘍が、メラノーマ、線維肉腫、または腎臓細胞ガン腫である、項目27に記載の方法。
(項目30) 前記IL-12分泌腫瘍細胞が、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む生体活性IL-12タンパク質を分泌する、項目27に記載の方法。
(項目31) 前記IL-12分泌腫瘍細胞が前記確立された腫瘍と同じタイプである、項目27に記載の方法。
(項目32) 被験体における腫瘍の確立を防止する方法であって、治療有効用量の、生体活性IL-12タンパク質を分泌する腫瘍細胞を、該腫瘍の発生後であるが該腫瘍の確立の前である被験体に投与する工程を包含し、該生体活性IL-12タンパク質が、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、方法。
(項目33) 確立された腫瘍を処置するための、IL-12融合タンパク質分泌腫瘍細胞の使用。
(項目34) 前記腫瘍のサイズを減少させる、項目33に記載の使用。
(項目35) 確立された腫瘍を処置するための医薬の製造のための、IL-12分泌腫瘍細胞の使用。
(項目36) 前記IL-12融合タンパク質分泌細胞がCMS-5細胞、B16細胞、または腎臓細胞ガン腫細胞である、項目33に記載の使用。
(項目37) 前記IL-12融合タンパク質分泌細胞がCMS-5細胞、B16細胞、または腎臓細胞ガン腫細胞である、項目35に記載の使用。
(項目38) 前記確立された腫瘍が、線維肉腫、メラノーマ、または腎臓細胞ガン腫である、項目33に記載の使用。
(項目39) 前記IL融合タンパク質分泌腫瘍細胞が、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む生体活性IL-12タンパク質を分泌する、項目33に記載の使用。
(項目40) 被験体において確立された腫瘍を処置する方法であって、治療有効用量の、ポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む生体活性IL-12タンパク質を投与する工程を包含する、方法。
【0004】
本発明は、ポリペプチドリンカーを通して結合した少なくとも2つのポリペプチド単量体(アミノ酸鎖)を含み、生体活性である融合タンパク質、ならびにその産生に関する。1つの実施態様において、本発明の生体活性な融合タンパク質は、対応する生体活性な天然の二量体タンパク質においてサブユニットまたは単量体として生じ、ならびに異種のアミノ酸残基(このアミノ酸残基は天然のタンパク質において2つのサブユニットの間には存在しない)を介して結合する2以上のポリペプチドを含む。自然に存在するように、サイトカインIL-12は、40kDaサブユニット(p40)が35kDaサブユニット(p35)にジスフィルド結合により結合されて精製されるヘテロ二量体である。Gillessen,S.ら、Eur.J.Immunology,25:200-206(1995);Ozmenら、J.Exp.Med.,180:907-915(1995);Heinselら、Inf. & Immun.,62(10):4244-4249(1994)。例えば、融合タンパク質は、ポリペプチドリンカーにより結合されたp35およびp40と称される2つのサブユニットを含む生体活性なインターロイキン-12(IL-12)融合タンパク質である。さらなる実施態様において、この融合タンパク質は、ペプチドリンカーにより結合された他の二量体造血増殖因子のサブユニットを含むか、またはペプチドリンカーにより結合された他の二量体サイトカインタンパク質のサブユニットを含む。別の実施態様において、生体活性な融合タンパク質は、天然の形態において生体活性な単量体(例えば、インターロイキン-2、GMCSF)であり、そしてポリペプチドリンカーを介して結合されて天然のタンパク質では共には生じない、少なくとも2つの成分またはサブユニットを含む点では天然においてキメラまたはハイブリッドである融合タンパク質(例えば、インターロイキン-2/GMCSF融合タンパク質)を産生する2つのサブユニットを含む。
【0005】
本発明はまた、本発明の融合タンパク質、それらの産生に有用な構築物、およびコードされた融合タンパク質が発現される構築物を含む宿主細胞を作製する方法に関連する。本発明の融合タンパク質は、適切な発現系において(例えば、適切な宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞)内で、所望の融合タンパク質のサブユニットまたは単量体およびポリペプチドリンカーをコードするDNAを含有しそして発現するレトロウイルスベクターにより)発現される。本発明は、さらに、本発明のIL-12融合タンパク質を分泌するように形質導入された細胞、特に、IL-12融合タンパク質を分泌するように形質導入された腫瘍細胞に関する。本発明は、また、形質導入された腫瘍細胞の使用(特に腫瘍の処置における)に関連する。
【0006】
本発明の融合タンパク質は、対応する天然のタンパク質と同じ目的(例えば、治療または診断使用)について有用である。例えば、IL-12融合タンパク質は、キラー細胞で活性化されるNK/リンフォカインの溶解活性を増強し、活性化されたヒトT細胞およびNK細胞に対する増殖因子として作用し、そして末梢血単核細胞(PBMC)を休止させることによりIFN-γの産生を刺激するために使用され得る。IL-12はまた、多様なガンの処置に有用である。例えば、IL-12は抗腫瘍免疫の増強に有用であり、そして本明細書中で記載するように、天然のIL-12または本発明のIL-12融合タンパク質のいずれかを分泌する腫瘍細胞は、確立した(established)腫瘍を処置(例えば、腫瘍のさらなる発達を妨げる)するのに使用され得、確立した腫瘍の退行、生存の延長、またはそれらの組み合わせを生じるのに使用され得る。融合タンパク質は、本明細書中に記載の方法により効果的におよび再生可能に作製され得る点で、対応する天然のタンパク質よりも特定の有利性を有する。さらに、本発明の融合タンパク質はまた、改変されたまたは増強された活性に関して、対応する天然のタンパク質よりも有利性を有し、より好ましい生物利用性および改善された薬物動力学を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本明細書中には、介在アミノ酸リンカーに連結されるか、またはそれに結合した少なくとも2つのサブユニットを含む生体活性融合タンパク質、この生体活性融合タンパク質を産生する方法、宿主細胞内で発現され得るこの融合タンパク質を産生するために有用な構築物、およびこの構築物を含む宿主細胞が記載される。
【0008】
1つの実施態様において、本発明の生体活性融合タンパク質は、以下のものを含む:1)特定の生体活性を有する天然の二量体タンパク質中に存在するポリペプチドサブユニットに対応する少なくとも2つのポリペプチドサブユニットまたは一量体、および2)得られる融合タンパク質が生体活性である様式で、これらのサブユニットを結合する少なくとも1つのポリペプチドリンカー。得られる融合タンパク質が二量体(2つのサブユニットまたは一量体を含む)である場合、この2つの成分は、同一の天然二量体タンパク質(例えば、2つのIL-12サブユニット)内に存在するサブユニット;異なる2つの天然の二量体タンパク質内に存在するサブユニット(例えば、1つのサブユニットはIL-12由来であり、そして1つのサブユニットはIL-3由来である)、または個々に生体活性である一量体(例えば、IL-2、GMCSF)であり得る。ポリペプチドリンカーによって結合される3つ以上のサブユニットを含む多量体融合タンパク質は、例えば、同一の天然二量体タンパク質内に存在する3つ以上のサブユニット(例えば、3つ以上のIL-12サブユニット)、異なる天然の二量体タンパク質内に存在する3つ以上のサブユニット(例えば、2つのIL-12サブユニットおよび1つのIL-3サブユニット)、3つ以上の生体活性な一量体(例えば、3つのIL-2一量体、2つのIL-2一量体および1つのGMCSF一量体)、または天然の二量体タンパク質に由来するサブユニットと生体活性一量体との組み合わせ(例えば、2つのIL-12サブユニットおよび1つのGMCSF一量体)を含み得る。それぞれの場合において、ポリペプチドリンカーは、2つのサブユニットの間に存在する(例えば、その順番は、サブユニット-リンカー-サブユニット-リンカー-サブユニットである)。本明細書中で用いられる用語、サブユニットおよび一量体は、二量体または多量体タンパク質の成分、および一量体タンパク質の単一の成分をいうために互換可能に用いられる。本発明の融合タンパク質中のサブユニットの順番は、p35-Linker-p40またはp40-Linker-p35であり得る。いずれの場合も、ポリペプチドリンカーは、2つのサブユニットの間に配置される。本発明の生体活性融合タンパク質(これは、同一の天然二量体タンパク質中に存在するサブユニットを含む)は、本明細書中でその生体活性に関して、対応する天然の二量体タンパク質といわれるものを「模倣する」か、またはそれに類似するが、この融合タンパク質が対応する天然のタンパク質内に存在しないリンカーアミノ酸残基(異種アミノ酸残基)をポリペプチドサブユニットの各対の間に含むという点で、対応する天然の二量体タンパク質とは異なる。対応する天然のタンパク質は、この融合タンパク質に存在するサブユニットを含み、そしてこの融合タンパク質によっても示される生物学的活性を示すものである。
【0009】
例えば、生体活性IL-12融合タンパク質の場合、哺乳動物の天然IL-12タンパク質(例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、またはブタのIL-12タンパク質)の2つのサブユニット(p35およびp40と呼ばれる)は、ポリペプチドリンカーを介して結合される。ここで、対応する天然のタンパク質は、哺乳動物の天然IL-12タンパク質である。同様に、IL-3のような別の生体活性融合タンパク質の場合、対応する天然タンパク質はIL-3である。この生体活性融合タンパク質のサブユニットのアミノ酸残基は、対応する天然のタンパク質のサブユニットのアミノ酸残基と同じか、または異なり得るが、ただし、得られる融合タンパク質は所望の生体活性を示す。例えば、サブユニットは、天然タンパク質の対応するサブユニットのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有し得る(すなわち、天然のサブユニットの配列は、1つ以上のアミノ酸残基が欠失されているか、または天然に存在するアミノ酸残基もしくは天然に存在しないアミノ酸残基で置換されているか、さらなるアミノ酸残基が挿入されているか、あるいはアミノ酸残基が修飾されている点で異なり得る)。所望の生体活性は、対応する天然タンパク質の活性と同様の活性である(例えば、それは、対応する天然タンパク質の活性からも生じる生理学的応答を引き起こす)。融合タンパク質の生体活性(例えば、その効果の持続期間、得られる応答の程度)は、対応する天然タンパク質の生体活性より大きくても小さくてもよい。
【0010】
融合タンパク質中に存在するポリペプチドリンカーは、得られる融合タンパク質が所望の生物学的活性を有し、かつ二量体または多量体としてのその完全性を保持するような様式で2つのサブユニットを結合するのに適切な任意の長さおよび組成であり得る。リンカーの適切な長さおよび組成は、産生されるべき特定の融合タンパク質について経験的に決定され得る。一般的に、ポリペプチドリンカーは、少なくとも7アミノ酸残基であるが、より短くてもよい(例えば、2〜6アミノ酸残基)。典型的には、リンカーは、30アミノ酸残基未満の長さである(例えば、7〜25アミノ酸残基の長さまたは7〜20アミノ酸残基の長さ)。1つの実施態様では、ポリペプチドリンカーは、7〜16アミノ酸残基であり、そして特定の実施態様では、7、11、15、または16アミノ酸残基である。生体活性IL-12融合タンパク質の生産において用いられる特定のリンカーを、図2に示し、そして実施例4に記載する。特定の実施態様において、ポリペプチドリンカーは、配列(Gly4Ser)3;(Gly4Ser)3Ser;(Gly4Ser)2Ser;およびGly6Serによって示され、そしてこれらのリンカーはまた、本発明のIL-12融合タンパク質に加えて他の融合タンパク質のサブユニットを結合するためにも用いられ得る。あるいは、他のポリペプチドリンカーが、生体活性IL-12融合タンパク質を産生するための2つのIL-12サブユニットを結合するのに用いられ得る。
【0011】
生体活性融合タンパク質をコードするDNAは、cDNAもしくはゲノムDNAであり得、そして種々の動物、特に哺乳動物由来であり得る。例えば、このDNAはヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ブタ、またはフェレット(ferret)のDNAであり得る。このDNAは、完全もしくは全サブユニット(例えば、完全なIL-12 p35サブユニットおよび完全なIL-12 p40サブユニット)、またはサブユニットのフラグメントまたは一部をコードし得るが、ただし、コードされる融合タンパク質は発現される際に所望の生物学的活性を有する。マウスIL-12 p35およびp40サブユニットをコードするDNAの核酸配列を、それぞれ図4および図5に示す。ヒトIL-12 p35およびp40サブユニットをコードするDNAの核酸配列は、公表されている(Gublerら、Proceedings of the National Academy of Sciences, USA, 88:4143 (1991);図4A〜4Cおよび5A〜5D)。IL-12 DNAの全てまたは一部は、本発明のIL-12融合タンパク質を産生するために用いられ得るが、ただし、コードされる融合タンパク質は生体活性である(IL-12活性を有する)。
【0012】
哺乳動物、細菌、酵母、または昆虫の発現系のようなタンパク質を発現するために適切な発現系が、本発明の融合タンパク質を発現するために用いられ得る。例えば、本明細書中に記載するように、哺乳動物宿主細胞内で所望の融合タンパク質をコードするDNA(例えば、cDNA)を発現するウイルス(例えば、レトロウイルス)ベクターが用いられている。本明細書中でも記載されるように、IL-12のp35およびp40サブユニットならびに介在するポリペプチドリンカー(IL-12融合タンパク質)をコードするcDNAを含むレトロウイルスが、構築され、そしてパッケージング細胞(例えば、BOSC23パッケージング細胞)にトランスフェクトされている。標的細胞(例えば、CMS-5線維肉腫細胞株)を、ウイルス含有上清で感染させ、そして培養した;感染細胞で順化した培地を、インターロイキン-2およびコンカナバリン-Aで誘導した脾細胞の増殖バイオアッセイを用いて、IL-12活性についてアッセイした。BOSC23細胞以外のパッケージング細胞株またはプロデューサー細胞株が、融合タンパク質をコードするDNAを含む感染性レトロウイルスを産生するために用いられ得る。さらに、線維肉腫細胞株以外の標的細胞(例えば、B16メラノーマまたは腎細胞ガン腫細胞株)が、融合タンパク質を産生するために用いられ得る。IL-12生体活性は、実施例4に記載のように、レトロウイルスに感染した細胞において実証可能であった。
【0013】
特定のレトロウイルスを、IL-12融合タンパク質の発現のために構築し(実施例1および図1)、そしてレトロウイルスに感染した細胞が、生体活性IL-12融合タンパク質を産生することを示した(実施例4を参照のこと)。用いられたレトロウイルスは全て、SFGレトロウイルス骨格(その配列を図3に示す)を含んだ。pSFG.IL-12.p35およびpSFG.IL-12.p40と呼ばれるベクターは、それぞれ、IL-12 p35サブユニットのcDNAまたはIL-12 p40サブユニットのcDNAを含む。pSFG.IL-12.p35-IRES-p40と呼ばれるベクターは、内部リボゾーム侵入部位配列で分離される、IL-12 p35サブユニットをコードするcDNAおよびIL-12 p40サブユニットをコードするcDNAを含む。pSFG.IL-12.p40-IRES-p35と呼ばれるベクターは、示されるように、プラスミドpSFG.IL-12.p35-IRES-p40と同じ成分を含むが、二量体は、逆の順序である。pSFG.IL-12.p35-Linker-p40およびpSFG.IL-12.p40-Linker-p35と呼ばれるベクターは、それぞれ、(Gly4Ser)2Serおよび(Gly4Ser)3Serリンカーによって連結された各IL-12サブユニットをコードするcDNAを含む。pSFG.IL-12.p35-Linker-Δp40およびpSFG.IL-12.p40-Linker-Δp35と呼ばれるベクターは、推定の22アミノ酸リーダー配列をコードする配列が2番目のcDNAから欠失された、連結されたcDNAを含む。pSFG.hIL-12.p40.Linker.Δp35は、IL-12融合タンパク質のヒト型であり、そして、クローニングの間に発生した欠失にのためにリンカーがより短いことを除いては、マウス型pSFG.IL-12.p40.Linker.Δp35に類似している(図2、構築物Eを参照のこと)。実施例4に記載するように、IL-12生体活性は、レトロウイルスに感染した細胞からの順化培地中で示された。
【0014】
記載のベクターによってトランスフェクトされた、原核生物および真核生物宿主細胞もまた、本発明によって提供される。例えば、本発明のベクターでトランスフェクトされ得る細胞には、細菌細胞(例えば、E. coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母、または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のIL-12融合タンパク質を分泌するように形質導入される腫瘍細胞は、特に、本発明において有用である。
【0015】
従って、本明細書中に記載する発現ベクターは、他の周知のタンパク質の産生において用いられる標準の手順を用いて、宿主細胞(真核生物(酵母、トリ、昆虫、または哺乳動物)または原核生物(細菌細胞)のいずれか)の形質転換、トランスフェクト、または形質導入のために使用され得る。同様の手順、またはその改変が、微生物手段または組織培養技術により、本発明による組換えタンパク質を調製するために用いられ得る。例えば、線維芽細胞由来3T3細胞は、本発明のベクターを用いて形質導入され、本発明のIL-12融合タンパク質を発現し、そして分泌し得る。本発明のIL-12またはIL-12融合タンパク質を分泌するために形質導入された細胞は、(例えば、精製のための)このタンパク質または融合タンパク質の有用な供給源であるので、腫瘍細胞および3T3細胞は、本発明の状況において有用である。IL-12またはIL-12融合タンパク質を分泌するために形質導入された腫瘍細胞はまた、本明細書中に記載されるような抗腫瘍剤としても特定の有用性を有する。
【0016】
形質導入されるべき腫瘍細胞は、処置されるべき個体、または別の個体から選択され得る;さらに、形質導入されるべき腫瘍細胞は、処置されるべき腫瘍の腫瘍細胞と同じタイプであり得るか、もしくは腫瘍細胞は、処置されるべき腫瘍とは別のタイプであり得る。例えば、CMS-5腫瘍は、本発明のIL-12またはIL-12融合タンパク質を分泌するCMS-5腫瘍細胞、腎細胞ガン腫(RENCA)腫瘍細胞、B16腫瘍細胞を用いて処置され得る。あるいは、腫瘍は、同じ細胞タイプまたは異なる細胞タイプのIL-12分泌細胞、IL-12融合タンパク質分泌細胞、および野生型細胞の組み合わせを用いて処置され得る。例えば、RENCA腫瘍は、野生型のRENCA細胞とIL-12融合タンパク質分泌CMS-5細胞との組み合わせ、または天然のIL-12分泌CMS-5細胞とIL-12融合タンパク質分泌RENCA腫瘍細胞との組み合わせを用いて処置され得る。
【0017】
本発明はまた、天然のIL-12または本発明のIL-12融合タンパク質を発現する形質導入された腫瘍細胞および腫瘍の処置におけるその使用に関する。すなわち、IL-12またはIL-12融合タンパク質を発現し、そして分泌する形質転換された腫瘍細胞は、ガンの処置のため、または確立された腫瘍を処置するための治療剤として有用であり、そして腫瘍を退行させる(腫瘍のサイズを減少させるか、もしくは腫瘍の完全な退行を引き起こす)、または確立された腫瘍のさらなる増殖を防止するための手段を提供する。本明細書中に記載するように、IL-12または本発明のIL-12融合タンパク質を発現する形質導入された腫瘍細胞は、治療上適切な用量で投与される動物において、確立された腫瘍の退行、腫瘍の確立の防止、生存の延長、またはそれらの組み合わせを引き起こす。
【0018】
例えば、IL-12または本発明のIL-12融合タンパク質を分泌する腫瘍細胞は、薬学的組成物を調製するために生理学的に受容可能な媒体と共に処方され得る。特定の生理学的媒体としては、水、緩衝化生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびデキストロース溶液が挙げられ得るが、これらに限定されない。選択された媒体中の有効成分の最適濃度は、薬剤師に周知の手順により経験的に決定され得、それは、所望される最終的な薬学的処方物に依存する。IL-12分泌またはIL-12融合タンパク質分泌腫瘍細胞の導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、および鼻腔内が挙げられるが、これらに限定されない。天然のIL-12またはIL-12融合タンパク質を分泌する腫瘍細胞は、処置されるべき腫瘍の部位もしくはその近傍で、または身体の他の任意の部位で投与され得るが、ただし、IL-12またはIL-12融合タンパク質は、所望の治療的効果(確立された腫瘍の退行、腫瘍確立の防止、または生存の延長)を引き起こす。本明細書中に記載されるように、腫瘍部位と投与部位との近接は、処置の効力には必ずしも必要ではない。他の適切な導入法にはまた、補給可能なまたは生体分解性のデバイス、および徐放性重合体デバイスも含まれ得る。本発明の薬学的組成物はまた、他の薬剤との組み合わせ治療(combinatorial therapy)の一部として投与され得る。処置レジメンは、用量、送達経路、組成物が投与される回数、処置されるべき腫瘍のタイプ、サイズ、および段階、ならびに処置されるべき個体の年齢、健康状態、および他の身体的特性に依存する。
【0019】
本発明の1つの方法では、治療有効量(用量)の形質導入された腫瘍細胞(必要に応じて、生理学的に適切な培地とともに処方される)が、処置(例えば、サイズを減少させるか、またはサイズの増大を防止する)されるべき腫瘍を有する個体に投与される。形質導入された腫瘍細胞はまた、腫瘍の確立を防止するために治療的に適切な用量で個体に投与され得る。例えば、形質導入された腫瘍細胞は、抗ガン治療を必要とする個体(例えば、確立された腫瘍を有する個体または腫瘍の確立が妨げられるべきである個体)に投与され得る。あるいは、本発明のIL-12融合タンパク質は、治療有効用量で個体に直接投与され得る;IL-12融合タンパク質は、必要に応じて上記のような生理学的に受容可能な培地と組み合わされ得る。
【0020】
本明細書中に記載するように、抗腫瘍性免疫療法としてのIL-12分泌腫瘍細胞の効力を、確立された腫瘍の負荷を有するマウスにおいて評価した。免疫原性CMS-5(線維肉腫)および非免疫原性B16(メラノーマ)腫瘍を用いた;RENCA腫瘍をまた、本明細書中に記載するように用いた。
【0021】
実施例6〜8に示すように、本明細書中に記載される研究は、14日の確立された明確なCMS-5腫瘍の免疫療法処置について、IL-12分泌およびIL-12融合タンパク質分泌腫瘍細胞での免疫療法が腫瘍の退行を誘導することによって生存を延長したことを示す。さらに、IL-12分泌腫瘍細胞を用いる免疫療法は、明確な腫瘍の負荷が、体重の5%よりも多くに分配した場合でさえも腫瘍退行を誘導した。IL-12は全身に投与される場合、CMS-5腫瘍に対して抗腫瘍活性を有するが、治療の開始においてより大きな腫瘍の負荷を有するマウスについては、全身のIL-12治療よりもIL-12分泌腫瘍細胞免疫療法に顕著な生存有利性があった。このことは、単なる全身のサイトカイン治療よりもむしろ形質導入された腫瘍細胞によってIL-12を送達することに有利性があることを示す。IL-12融合タンパク質を発現するように形質導入された腫瘍細胞(SFG.IL-12.p40.linker.Δp35)からのデータは、マウスおよびヒト形態の融合タンパク質がインビトロバイオアッセイにおいて天然の分子と少なくとも等しい比活性を有することを示している。
【0022】
本明細書に記載される結果は、IL-12分泌B16細胞ワクチン接種がより後期に確立されたB16腫瘍の増殖の自然経過を変化させたことを示し、そしてそれらはまた、腫瘍増殖を調節し得る免疫学的機構を増強し得るようであることを示す。IL-12分泌B16細胞は、確立されたB16腫瘍のための免疫療法として有用である。なぜなら、それらは生存を効果的に延長するからである。これらの結果は、マウスの確立された腫瘍の自然経過を調節し得る誘導可能な生得的な機構が存在し、そしてIl-12分泌細胞がそれらを誘導することにおいてGM-CSF分泌細胞よりも強力であることを示す。これらの結果(以下の実施例でより完全に記載される)は、IL-12分泌腫瘍細胞が、確立された腫瘍の免疫療法として有効性を有することを示す。
【0023】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、これらは決して限定されることを意図しない。
【実施例】
【0024】
(実施例1 プラスミドの構築)
これらの研究で用いられるプラスミドの一般的な構造を、図1に模式的に示す。各々の融合タンパク質におけるリンカーの確認した配列を図2に示す。
【0025】
(プラスミドの起源)
マウスIL-12 p35およびp40サブユニットに関するcDNAを含有するプラスミド(pBS.IL-12.p35およびpBS.IL-12.p40)は、Hoffmann-La Roche(Nutley, NJ)により提供された。本明細書中の塩基対の番号付けは、これらの2つのプラスミドの挿入物のマップに対応する(図4および図5)。SFGレトロウイルス骨格を含有するプラスミドは、pSFG-TPA(SFGレトロウイルス中のHindIIIとEcoR1部位との間にSFGレトロウイルス骨格を有し、そして唯一のNco1部位とBamH1部位との間に組織プラスミノーゲン活性化因子cDNAを含有するpUCプラスミド)としてDr. Dan Ory(Whitehead Institute, Cambridge, MA)によって提供された。SFGレトロウイルス骨格のヌクレオチド配列マップを図3に示す。
【0026】
(プラスミドpSFG.IL-12.p35)
IL-12p35 cDNAは、Kozakの規則に従ってACCATGGに至適化された転写の開始ATGを取り囲む配列を有するpBluescriptで提供された。IL-12p35 cDNAフラグメントを、Nco1−EcoR1フラグメントとして切り出した。ここでEcoR1の突出部は、E.coli DNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントを用いて充填されている。このフラグメントを、T4 DNAリガーゼを用いてpSFGのNco1−BamH1部位に連結した。ここでBamH1突出部は、E.coli DNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントを用いて充填されている。得られたプラスミドをpSFG.IL-12.p35と称する。
【0027】
(プラスミドpSFG.IL-12.p40)
IL-12p40 cDNAは、pBluescriptで提供された。IL-12p40 cDNAを含有するNco1−BamH1フラグメントを切り出し、そしてpSFGのNco1−BamH1部位に連結して、pSFG.IL-12.p40を作製した。
【0028】
(SFGに基づくベクターの構築のための一般的なストラテジー)
IL-12融合タンパク質発現のためのSFGに基づくレトロウイルスベクターを構築するための一般的なストラテジーは以下の通りである:(Gly4Ser)3リンカーフラグメントのセンスおよびアンチセンス鎖をコードする2つのオリゴヌクレオチドならびに連結されるべき連続したIL-12 cDNA配列(粘着連結可能突出部の作製のための末端配列を有する)を、「PCR-mate」391DNA合成機(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて合成した。(Gly4Ser)3リンカーの配列は、Hustonら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 85: 5879-5883 (1988))の通りである。
【0029】
完全なIL-12 cDNAを用いた2つの融合タンパク質に関して、オリゴヌクレオチドを、第1のcDNAの3’末端の唯一の制限酵素部位中にクローン化されるように設計した。これにより、第1のcDNAの3’末端が再構築され、そして完全なcDNAおよびリンカー配列を含むNco1−Nco1フラグメントが他のcDNAを含有するSFGプラスミドのNco1部位にクローン化され得るようになった。
【0030】
クローニングストラテジーは、第2のcDNAの最初の22アミノ酸をコードする66bpの欠失を有する2つの融合タンパク質についても同様であった。リンカーオリゴヌクレオチドを、融合タンパク質構築物中の第2のcDNAの翻訳塩基の66塩基対の3’に位置する唯一の制限酵素部位中にクローン化されるように設計した。このことにより、リンカーに結合される第1のcDNAの3’末端を再構築し、そして第2のcDNAのコドン23に結合されるリンカーを含むフラグメントが、クローニングのために切り出され得るようになった。
【0031】
プラスミド中のリンカーおよび連続したcDNA領域の配列を、「Sequenase」キット(Amersham, Cleveland, OH)を用いて決定した。
【0032】
(プラスミドpSFG.IL-12.p35-linker-p40)
オリゴヌクレオチドは以下のようであった:センス、
5’-
CCGCC.GGT.GGC.GGT.GGC.TCG.GGC.GGT.GGT.GGG.TCG.GGT.GGC.GGC.GGA.TCT.TCCATGGAGCT-3’(配列番号16);およびアンチセンス、
5’-
CCATGGA.AGA.TCC.GCC.GCC.ACC.CGA.CCC.ACC.ACC.GCC.CGA.GCC.ACC.GCC.ACC.GGCGGAGCT-3’(配列番号17)。
【0033】
これらの2つのオリゴヌクレオチドをアニールさせ、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化し、そして仔ウシ腸内ホスファターゼを用いて脱リン酸化してあるpBS.IL-12.p35のSac1部位に連結した。得られた、IL-12p35 cDNAおよび正しい方向のリンカーを含有するプラスミドNco1−Nco1フラグメントを切り出し、そしてpSFG.IL-12p40の脱リン酸化したNco1部位に連結して、pSFG.IL-12.p35-linker.p40(この連結されたフラグメントの正しい方向を、Sac1消化によって示した)を作製した。
【0034】
このプラスミドを、IL-12p35 cDNAの塩基対601〜618および613〜630に対応する、以下の2つのプライマーを用いて配列決定した:5’-CAGAGTGAAAATGAAGCT-3’(配列番号18)および5’-GAAGCTCTGCATCCTGCT-3’(配列番号19)。配列決定は、リンカー配列から15bpの喪失を生じるが、インタクトなリーディングフレームを維持する欠失が、クローニングの間に起きたことを示した。このプラスミド中のリンカーの配列を図2に示す。
【0035】
(プラスミドpSFG.IL-12.p40.linker.p35)
オリゴヌクレオチドは、センス鎖が
5’-GGGTCCGATCC.GGT.GGC.GGT.GGC.TCG.GGC.GGT.GGT.GGG.TCG.GGT.GGC.GGC.GGA.TCT.TCCATG-3’(配列番号20)であり、;そしてアンチセンス鎖が
5’-GATCCATGGA.AGA.TCC.GCC.GCC.ACC.CGA.CCC.ACC.ACC.GCC.CGA.GCC.ACC.GCC.ACC-GGATCGGACCCTGCA-3’(配列番号21)であった。
【0036】
これら2つのオリゴヌクレオチドを、アニールさせ、そしてpBS.IL-12.p40のSse83871部位およびBamH1部位に連結した。IL-12p40 cDNAおよび正しい方向のリンカーを含む、得られたプラスミドのNco1-Nco1フラグメントを切り出し、そしてpSFG.IL-12p35の脱リン酸化Nco1部位に連結してpSFG.IL-12.p40.linker.p35を作成した(この連結フラグメントの正しい方向をXcm1消化によって示した)。
【0037】
このプラスミドを、以下の2つのプライマーを用いて配列決定した:5’-CTATTACAATTCCTCATG-3’(配列番号22)および5’-GAGGGCAAGGGTGGCCAA-3’(配列番号23)(これらは、IL-12 p40 cDNAの塩基対997〜1014およびIL-12 p35 cDNAの塩基対91〜74(アンチセンスプライマー)に対応する)。配列決定により、リンカーの配列および連続するIL-12 cDNA配列が期待通りであることを確認した。
【0038】
トランスフェクションおよび発現研究を完了後、続くpSFG.IL-12.p40.linker.p35の制限酵素マッピングにより、pSFG.IL-12.p40.linker.p35は、おそらく、最終のクローニング工程からのNco1-Nco1フラグメントのコンカテマーを含んでいることが明らかとなった。
【0039】
(プラスミドpSFG.IL-12.p35.linker.Δp40)
オリゴヌクレオチドは、センス鎖が
5’-T.TGC.TGG.AGC.TCC.GCC.GGT.GGC.GGT.GGC.TCG.GGC.GGT.GGT.GGG.TCG.GGT.GGC.GGC.GGA.TCT.ATG.TGG -3’(配列番号24)であり、;そしてアンチセンス鎖が
5’-CACAT.AGA.TCC.GCC.GCC.ACC.CGA.CCC.ACC.ACC.GCC.CGA.GCC.ACC.GCC.ACC.GGCGGAGCTCCAGCAAA-3’(配列番号25)であった。
【0040】
これら2つのオリゴヌクレオチドを、アニールさせ、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化し、そして30塩基対の5’ Xcm1-Xcm1フラグメントを切り出したpBS.IL-12.p40に連結した。得られたプラスミド由来のSac1-Sac1フラグメントを切り出し、そしてウシ腸ホスファターゼを使用して脱リン酸化したpBS.IL-12.p35のSac1部位に連結した(この連結フラグメントの正しい方向をNco1-EcoR1消化によって示した)。得られたベクターのNco1-EcoR1フラグメントを切り出し(EcoR1突出部を、E.coli DNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントを使用して充填した)、そしてpSFGのNco1部位およびKlenow充填BamH1部位に連結してpSFG.IL-12.p35.linker.Δp40を作成した。
【0041】
このプラスミドを、以下の2つのプライマーを用いて配列決定した:5’-CAGAGTGAAAATGAAGCT-3’(配列番号18)および5’-GAAGCTCTGCATCCTGCT-3’(配列番号19)(これらは、IL-12 p35 cDNAの塩基対601〜618および613〜630に対応する);ならびに5’-GTCATCTTCTTCAGGCGT-3’(配列番号34)(IL-12 p40 cDNAの塩基対217〜200に対応するアンチセンスプライマー)。配列決定により、リンカーの配列および連続するIL-12 cDNA配列が期待通りであることを確認した。
【0042】
(プラスミドpSFG.IL-12.p40.linker.Δp35)
オリゴヌクレオチドは、センス鎖が
5’-CTG.GCC.TGC.AGG.GTC.CGA.TCC-GGT.GGC.GGT.GGC.TCG.GGC.GGT.GGT.GGG.TCG.GGT.GGC.GGC.GGA.TCT-AGG.GTC.ATT.CCA.GTC.T-3’(配列番号26)であり、;そしてアンチセンス鎖が
5’-CTGGAATGACCCT.AGA.TCC.GCC.GCC.ACC.CGA.CCC.ACC.ACC.GCC.CGA.GCC.ACC.GCC.ACC.GGATCGGACCCTGCAGGCCAGAGA-3’(配列番号27)であった。
【0043】
これら2つのオリゴヌクレオチドを、アニールさせ、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化し、そしてウシ腸ホスファターゼを使用して脱リン酸化したpBS.IL-12.p35のPflM1部位に連結した。この連結フラグメントの方向をSse83871/EcoR1消化によって確認した。得られたプラスミド由来のSse83871-EcoR1フラグメントを切り出し(EcoR1突出部を、E.coli DNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントを使用して充填した)、そしてpSFG.IL-12.p40のSse83871部位およびKlenow充填BamH1部位に連結してpSFG.IL-12.p40.linker.Δp35を作成した。
【0044】
このプラスミドを、プライマー5’-GCAAAGGCGGGAATGTCT-3’(配列番号28) (これは、IL-12.p40 cDNAの塩基対960〜977に対応する) を用いて配列決定した。第2のリンカーコドンの配列は読み取るのが難しかったが、その配列は、アンチセンスプライマー5’-AGGAATAATGTTTCAGTT-3’(配列番号29)および5’-CAGCAGTGCAGGAATAAT-3’(配列番号30)(それぞれ、IL-12 p35 cDNAの塩基対224〜207および233〜216に対応する)を使用して中間プラスミド中にクローン化されたリンカーを配列決定することによって決定した。配列決定により、リンカーの配列および連続するIL-12 cDNA配列が期待通りであることを確認した。
【0045】
(プラスミドpSFG.IL-12.p35.IRES.p40およびpSFG.IL-12.p40.IRES.p35)
脳心筋炎(encephalomyelocarditis)ウイルス(ECMV)の内部リボソーム侵入部位(IRES)フラグメントは、Michael Sadelain博士(Whitehead Institute, Cambridge, MA)より提供を受けた。このフラグメントについては以前に記載されている(Ghattasら、Mol.Cell.Biol., 11:5848-5859 (1991))。
【0046】
(実施例2 細胞および組織培養)
BOSC23パッケージング細胞(Pearら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:8382-8396 (1993))をDirk Lindemann博士(Whitehead Institute, Cambridge, MA)から入手した。これらを、10%ウシ血清、50U/ml ペニシリン、および50μg/ml ストレプトマイシンを補充したDulbecco改変Eagles培地(DMEM)で継代した。
【0047】
CMS-5腫瘍細胞(DeLeoら、J.Exp.Med., 146:720-734 (1977))をJason Salter(Whitehead Institute, Cambridge, MA)から入手した。これらを、10%ウシ胎児血清、50U/ml ペニシリン、および50μg/ml ストレプトマイシンを補充したDMEMで継代した。同じ培地を、CMS-5馴化培地の回収に使用した。
【0048】
IL-12アッセイ用のC57BL/6脾細胞を、シーブ(sieve;Falcon 2350, Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)によって脾臓を細断し、2%ウシ胎児血清を補充したIL-12培地(Schoenhautら(J.Immunol., 148:3433-3440 (1992))に記載のような)中に細胞を回収することによって得た。
【0049】
(実施例3 BOSC23由来プロデューサー細胞の生成および馴化培地の回収)
BOSC23細胞を6cm組織培養皿あたり2×106細胞で播き、そして既に記載された(Pearら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:8382-8396(1993)) ような種々の構築物でのCaPO4トランスフェクションによりトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、培地を5mlの新鮮な培地で置換した。ウイルス含有上清を24時間後に回収し、0.45μmフィルターを通して濾過し、そしてポリブレンを8μg/mlの最終濃度で添加した。2.5mlのウイルス含有上清を使用してCMS-5細胞を迅速に4時間感染させ(この感染のための調製において、前日にCMS-5細胞を6cm組織培養皿あたり5×104細胞で播いた)、そして残りの2.5mlを-70℃で凍結した。翌日に、凍結した2.5mlのウイルス含有上清を溶かし、そしてCMS-5細胞の2回目の4時間の感染に使用した。IL-12含有馴化培地を回収するために、培地を翌日に5mlの新鮮な培地で置換し、これを24時間後に回収した。これらの馴化培地を0.2μmフィルターで濾過し、IL-12の生体活性についての後のアッセイのために-70℃で凍結した。5mlの新鮮な培地をCMS-5細胞に添加し、そして24時間後に2組の馴化培地を回収した。これらをまた、フィルター濾過し、そして後のアッセイのために凍結した。次いで、感染したCMS-5細胞を溶解し、そして後の分析のためにゲノムDNAを調製した。
【0050】
(実施例4 マウスインターロイキン-12のバイオアッセイ)
生体活性インターロイキン-12のレベルを、コンカナバリン-Aおよびインターロイキン-2でプライムした脾細胞増殖アッセイを用いて、Schoenhautら、(J. Immunol., 148:3433-3440(1992))に記載されるように決定した。コンカナバリンAをBoehringer(Mannheim,Germany)から購入し、そして組換えヒトインターロイキン-2をChiron Therapeutics(Emeryville, CA)から購入した。細胞内DNAへの[3H]チミジン取り込みを測定するための細胞を回収するために、Skatron(Sterling, VA)細胞回収機およびフィルターマット(filtermat)(#7031)を使用した。馴化培地における阻害活性をアッセイするために、50μlのサンプル容量は、1000pg/mlの組換えマウスIL-12および25μlのテストサンプルを含有した。馴化培地のサンプルを、2連で、1:1〜1:1000の範囲のいくつかの希釈でアッセイした。標準曲線を20〜10,000pg/mlの範囲の組換えマウスIL-12を用いた各バイオアッセイについて作成した。組換えマウスIL-12をHoffmann-La Roche(Nutley, NJ)から得た。テストサンプル中の生体活性IL-12濃度をpg/mlで算出するために、標準曲線の直線部分を、「KaleidaGraph 2.1.1」ソフトウェアのカーブフィット機能、および計算に使用される得られた式を用いて近似した。馴化培地が、hIL-12免疫反応性を有することを、hIL-12 ELISAアッセイ(従来のキット、R&D Systems)によって確認した。
【0051】
以下の構築物(図1)を、生体活性であるIL-12融合タンパク質を発現するそれらの能力について評価した。
A.pSFG.IL-12.p35.linker.p40;
B.pSFG.IL-12.p40.linker.p35;
C.pSFG.IL12-p35.linker.Δp40;
D.pSFG.IL12-p40.linker.Δp35;および
E.pSFG.hIL-12.p40.linker.Δp35。
【0052】
各構築物におけるリンカーの配列は、配列決定によって確認されたように、以下のとおりであった(いくつかの隣接する確認されたIL-12配列は方向付けのために提供される):
【0053】
【数1】

模擬トランスフェクトCMS-5細胞、およびSFGレトロウイルス単独で感染させたCMS-5細胞により、またはlac-z遺伝子を有する関連するレトロウイルス(MFG)により馴化された培地中にIL-12生体活性は検出されなかった。しかし、これらの細胞により馴化された培地は、1:2および1:10の希釈において有意な阻害活性を有し、500pg/mlのrmIL-12の生体活性の95%と同程度の阻害をする(表1、および他のデータは示さず)。馴化培地における阻害活性のこのバックグラウンドにも関わらず、生体活性IL-12の産生は、なお検出可能であることが示された。
【0054】
IL-12タンパク質の単一のサブユニットを発現するための構築物(pSFG.IL-12.p35およびpSFG.IL-12.p40)のそれら自身の生体活性は検出され得なかった。しかし、これらの構築物の両方を用いたBOSC23細胞の同時トランスフェクションは、感染したCMS-5細胞による生体活性IL-12の分泌をもたらした。同様に、SFG.IL-12.p35レトロウイルスで感染させ、そして24時間後にSFL.IL-12.p40レトロウイルスで感染させたCMS-5細胞はまた、生体活性IL-12を産生した(表1)。
【0055】
IL-12サブユニットの両方を発現するようにIRES配列を用いて設計したジシストロン構築物は、同じレベルの生体活性IL-12産生をもたらした(サザンハイブリダイゼーション分析により決定された検出不可能なウイルス感染レベルにも関わらず(以下を参照のこと))(表1)。IRES含有レトロウイルスの生体活性IL-12産生をもたらす能力は、これらの構築物の両方を用いた安定なクローン化レトロウイルス産生細胞株を生成することにより確認された。
【0056】
全てのIL-12融合タンパク質構築物は、感染CMS-5細胞により、著しい生体活性IL-12産生をもたらした。SFG.IL-12.p40linker.Δp35構築物の、IL-12生体活性が未希釈の馴化培地において検出可能であり(実質的な阻害活性のバックグラウンドにも関わらず)、そして1:1000希釈の馴化培地が、301pg/mlのrmIL-12と同等の生体活性を有することが特に留意される(表1)。全ての構築物は、馴化培地などにおいて明らかな非特異的阻害活性であるにも関わらず、力価測定可能なIL-12生体活性をもたらした。hIL-12の生体活性は、Hoffman-LaRoche(Nutley, NJ, M. Gatery博士の研究室)において確かめられ、そしてhIL-12融合タンパク質の特異的活性は、組換え天然ヒトIL-12の特異的活性にほぼ等しいことが決定された。
【0057】
【表1】

これらのデータは、IL-12アゴニスト活性が、融合タンパク質レトロウイルス構築物を用いて感染させた細胞による馴化された培地中に存在したことを示す。これは、分泌されたそれぞれの融合タンパク質の生体活性からもたらされると想像される。
【0058】
融合タンパク質が存在することをウェスタンブロッティングを用いて示した。野生型CMS-5細胞、または天然IL-12もしくはIL-12融合タンパク質(SFG.IL-12.p35.IRES.p40またはSFG.IL-12.p40.linker.Δp35)を発現するCMS-5細胞から血清を含まないCMを回収し、フィルター濾過(0.2μm)し、そして-70℃で保存した。CMを20〜30倍に濃縮し、そして20μgの総タンパク質サンプルを10%のβ-メルカプトエタノールを含むかまたは含まない10%ポリアクリルアミドゲル上で泳動した。一次抗体は、ポリクローナルヤギ抗-rmIL-12抗体であった(D. Presky, Hoffman-La Roche, NJにより譲り受けた)。「ルネサンス(Renaissance)」検出システム(NEN Dupont)を使用した。予備分析は、1本鎖IL-12(SFG.IL-12.p40.linker.Δp35)融合タンパク質を含有するCMからもたらされる4倍より強いシグナルを示し、それ故に、このCMに由来する5μgの総タンパク質サンプルがロードされたことを示した。コントロールレーンは、50ngのrmIL-12を用いてスパイク(spike)していないか、またはスパイクした野生型細胞由来のCMであった。
【0059】
(実施例5 感染CMS-5細胞に由来するゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション分析)
感染CMS-5細胞の母集団由来のゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション分析を行い、予想される構造のレトロウイルスによるこれらの細胞の感染に一致するハイブリダイゼーションバンドの存在を示し、そしてウイルス感染の効果を決定した(ゲノムのレトロウイルスコピー数の決定による)。
【0060】
ゲノムDNAのこれらのNheI消化物から、SFGのNcoI-BamHI部位にクローン化された挿入断片の大きさを加えた、985bpのハイブリダイズしているレトロウイルス由来のバンドを予想した(図1を参照のこと)。種々のクローニングフラグメントの大きさは以下のとおりである:IL-12.p35 cDNAは0.6kb;IL-12.p40 cDNAは1.0kb;IRESは0.7kb;linkerは0.05kb;2つの構築物において欠失された推定リーダー配列は0.066bp。
【0061】
BOSC23細胞上清は、IRES含有構築物を除く全ての構築物について0.1〜1.4コピー/ゲノム(ほとんどは、0.1〜0.3コピー/ゲノム)の間のウイルスコピー数をもたらした。ここで、予想されるサイズ(3.2kb)のハイブリダイズしているバンドは見られなかった。
【0062】
感染細胞のこれらの母集団におけるIL-12融合タンパク質レトロウイルス構築物についての比較の結果が、特に留意される。pSFG.IL-12.p35.linker.p40レトロウイルスは1.4コピー/ゲノムで存在したが、これは生体活性IL-12産生の比較的低いレベルに相当する(表2)。しかし、pSFG.IL-12.p40.linker.Δp35レトロウイルスは、0.2コピー/ゲノムで存在したが、比較的高いレベルのIL-12生体活性をもたらした。
【0063】
【表2】

(実施例6 確立された免疫原性CMS-5腫瘍とGM-CSF分泌腫瘍細胞およびIL-12分泌腫瘍細胞との免疫療法の比較)
(サイトカイン分泌腫瘍細胞)
CREまたはCRIPパッケージング細胞株により生成されたSFGレトロウイルスを、腫瘍細胞の形質導入のために使用した。これらの研究で使用した腫瘍細胞によるインビトロのサイトカイン分泌量は(ng/ml/48時間/106個の放射線照射した細胞[10ml中の全てを回収した]):CRIPパッケージSFG.GM-CSFで感染させた細胞は、B16>250、CMS-5>250;CREパッケージSFGp35.IRES.p40.IL-12で感染させた細胞は、B16が1〜3、CMS-5が60〜400;CREパッケージSFG.IL-12.p40.linker.Δp35.で感染させた細胞はCMS-5が490〜950;CRIPパッケージングSFG.IL-12.P35.IRES.p40で感染させた細胞は、B16が90;ならびにCRIPパッケージSFG.IL-12.p40.linker.Δp35で感染させた細胞は、B16が170およびRENCAが45であった。腫瘍細胞を放射線照射し、注射後のマウスのさらなる腫瘍の形成を防いだ。そして同じ放射線照射した細胞についてサイトカイン分泌の特徴を決定した。馴化培地(CM)のGM-CSF濃度をELISA(Endogen, Cambrige)により決定し、そしてIL-12レベルをコンカナバリン-Aおよびインターロイキン-2でプライムした脾細胞増殖に基づくバイオアッセイにより決定した(Schoenhautら、J.Immunol 148:3433(1992))。
【0064】
最初の手順において、線維肉腫腫瘍を、同系のBALB/Cマウスの背中に皮下注射された2×105個のCMS-5腫瘍細胞を用いて生じさせ、そして免疫療法(放射線照射した野生型、GM-CSF分泌またはIL-12分泌腫瘍細胞)を7日後または14日後のいずれかで開始した。この実験において、マウスを、1×106個または5×106個の細胞/投与量のいずれかで、1、2、または3週間の免疫療法投与を受けた5〜10匹のマウスの複数のグループに分類した。しかし、最初の分析は、他のスケジュールの多様性に関わらず、免疫療法に使用した細胞のタイプおよび処置を開始した日のみにより分類した。
【0065】
放射線照射したIL-12分泌腫瘍細胞を用いて処置したマウスは、腫瘍攻撃後7日目または14日目のいずれかで開始した処置スケジュールついては、未処置のマウス、または野生型、もしくはGM-CSF分泌腫瘍細胞で処置したマウスと比較して、明らかにより長期間の腫瘍が存在しない生存を示した(図7Aおよび7B、IL-12分泌腫瘍細胞免疫療法との全ての比較についてp<0.05)。免疫療法を腫瘍の移植の7日後に開始した場合、IL-12分泌腫瘍細胞を用いて処置したマウスの生存の有利な要因のほとんどは、後期腫瘍の発達を妨げることに起因した(図7C、log 階級(rank)試験による全ての比較についてp<0.05)。免疫療法を腫瘍の移植の14日後に開始した場合、マウスの生存の有利な要因のほとんどは、形成された腫瘍の退行に起因した(図7C、7D、および8、野生型またはGM-CSF分泌腫瘍細胞免疫療法を受けたマウスと比較してp<0.005)。IL-12分泌腫瘍細胞免疫療法を受けたマウスにおいて退行する触知可能な腫瘍の範囲は、平均の直径が1〜8.5mmであり、そして腫瘍の移植の20〜43日(平均30日)後には触知不可能になる。1グループあたりの動物数は、それぞれ:7Aおよび7Bは、137、40、40、38;ならびに7Cおよび7Dは、18、39、40、40であった。所定のP値は、IL-12分泌細胞と他のグループとの間で最小の差異である。全ての効果を決定するために、いくつかのスケジュールにより類似の免疫療法細胞を受容したグループからデータをプールした。
【0066】
14日目に治療を開始したサブグループの分析は、IL-12分泌腫瘍細胞を用いた免疫療法による優れた生存が、1×106個のIL-12分泌細胞よりもむしろ5×106個の投与量(p<0.02)で、1週間より長い免疫療法投与(p=0.1)スケジュールによりもたらされることを示した。それ故、形質導入した腫瘍細胞を利用するその後の全ての実験において、免疫療法レジメンは1週間毎に4週間投与されるより高い細胞投与量を包含する。
【0067】
(統計的分析)
全ての分析を、マウスをグループへ無秩序に配置した時間において処理する目的にもとづいて行った。記載した統計は、主要な終点について計算された。他に記載される場合を除いて、生存の終点における相違は、Wilcoxon rank sum試験により評価した。生存の分析について、麻酔および処置直後の偶然の死を、一部削除される事象として処理した。カイ二条試験を用いて無条件の可変性の関係を測定した。p値が複数のグループ間の比較を要約する場合、最も大きいp値のみを与える。分析を、Power Macintosch 6100/60コンピューター上のJMPソフトウェアを用いて行った。
【0068】
(実施例7 IL-12-誘導腫瘍退行および生存率増進の機構の研究)
IL-12分泌腫瘍細胞を用いる免疫療法がより大きな腫瘍負荷に有効であるかどうかを決定するために、腫瘍を4×10個の腫瘍細胞を用いて確立し、2×105個の細胞と比較して、より高い腫瘍発生率(それぞれ、98/100 対 83/100の14日目の触知可能比)、より多いな平均腫瘍サイズ(それぞれ、6.7±3.0 対 3.7±2.4mmの14日目での直径)、および処置なしでのより短い生存メジアン(31日対37日)を生じた。これらのより大きな腫瘍の確立後、14日目からIL-12分泌腫瘍細胞免疫療法で処置した腫瘍罹患マウスの70%(7/10)は、野生型腫瘍細胞で処置した0/10マウスと比較して、完全な腫瘍後退を伴って生存した(p≦0.001)。
【0069】
2×105個のCMS-5細胞によって開始した腫瘍罹患マウスへのIL-12の全身(腹膜腔内)投与はまた、確立させた腫瘍の退行(図9)および生存率の増進(プラシーボ処置マウスの0/5と比較して、0.1μg/dで処置したマウスの90日目で4/5)を生じた。2×105個のCMS-5細胞から確立させた腫瘍を有するマウスについて、腫瘍移植後の7日目または14日目のいずれかで開始した養生法に関して、0.1μg/dのIL-12用量(4/5生存)は、1μg/d(3/5生存)、0.01μg/d(1/5生存)、および0.001μg/dより優れていた。
【0070】
従って、IL-12分泌細胞で免疫療法を受けているマウスの腫瘍の退行は、免疫療法として投与された放射線照射腫瘍細胞部位でのIL-12の局所的放出に依存せず、むしろIL-12の全身的な効果に依存することが可能であった。これは、野生型腫瘍細胞またはIL-12分泌腫瘍細胞のいずれかの免疫療法、およびIL-12、プラシーボ、または無処置のいずれかでの全身療法を組み合わせた、14日目から開始する異なるスケジュールを比較することによって評価された。2×105個のCMS-5細胞で開始した腫瘍を有するマウスにおいて、メジアンおよび全体生存が全身IL-12療法よりもIL-12分泌腫瘍細胞を用いる免疫療法の方が良好であるという傾向があった(図10A)。この傾向は、4×105個の細胞で開始した腫瘍を用いたマウスについては統計的に有意であった(図10B、全身IL-12を受けている群(単独または野生型細胞との組合せのいずれか)対IL-12分泌腫瘍細胞免疫療法を受けているマウス(単独または希釈物での全身療法のいずれか)を比較してp=0.006)。より小さく、均等に処理した群(n=10/群、4×105個の細胞で開始した腫瘍)の比較は、野生型細胞と全身IL-12との組合せ投与は、全身IL-12療法のみと異なることなく(p=0.85)、そしてIL-12分泌腫瘍細胞のみを用いたワクチン接種(p=0.04)、またはプラシーボ全身療法で与えられたワクチン接種(p=0.19)よりも劣るようであることを示した。
【0071】
(実施例8 IL-12融合タンパク質の抗腫瘍効果)
潜在するCMS-5腫瘍モデルにおいて、IL-12融合タンパク質SFG.IL-12.p.40.linkerΔp35を発現するCMS-5腫瘍細胞を用いる免疫療法は、天然のIL-12を作製する腫瘍細胞を用いる療法と同様の効果であった(図11Aおよび図11B)。2×105または4×105個のCMS-5のいずれかで開始した腫瘍を用いるマウスについて、生存率は、処置なし、あるいは野生型細胞またはGM-CSF分泌細胞での処置のマウスが40%未満であることと比較して、IL-12のいずれかの形態を分泌するCMS-5細胞で処置したマウス群の90%より高かった(p≦0.02)。
【0072】
(実施例9 GM-CSF分泌腫瘍細胞およびIL-12分泌腫瘍細胞による、確立した非免疫原性B16腫瘍の免疫療法の比較)
別の腫瘍モデルにおけるIL-12分泌腫瘍細胞を用いる免疫療法の効力を評価するために、非免疫原性B16メラノーマを研究した。B16腫瘍細胞を形質導入し、90ng/ml/48時間/106照射細胞での天然のIL-12または170ng/ml/48時間/106照射細胞での1本鎖IL-12(SFG.IL-12.p40.linker.Δp35)を作製した。B16腫瘍を、4×105個の細胞で開始し、そして確立した腫瘍の免疫療法は、7日目(25%腫瘍触知可能性)または14日目(93%触知可能性、平均腫瘍直径5.74±3.23、n=56)のいずれかで開始した。この手順を31日の追跡後に分析した。この場合、免疫療法として野生型細胞処置、CM-CSF分泌細胞処置、または未処置のマウスのわずか1/60(2%)が生存した。IL-12分泌細胞で処置したマウスは、比較的、劣った全体的な生存を有するにもかかわらず、それらの生存のメジアンは、野生型細胞で処置したコントロールマウスの生存と比較して、処置を7日目(図12A、24日対18日、p=0.01)および14日目(図12B、28日対18日、p=0.0005)で開始した場合、顕著に延長された。同様に、処置を7日目(21日対18日、p=0.08)および14日目(24日対18日、p=0.006)で開始した場合、生存のメジアンは、IL-12融合タンパク質分泌腫瘍細胞を用いる療法で延長された。3/4のシナリオにおいて、IL-12分泌腫瘍細胞は、GM-CSF分泌細胞よりも優れていた(それぞれ、p値は、0.01、0.14、0.003、0.02である)。
【0073】
腫瘍攻撃前のワクチンとして使用される場合、GM-CSF分泌B16細胞の潜在的な効果により抗腫瘍免疫性を誘導するが、腫瘍確立後に投与される場合、腫瘍成長にそれらが作用しないとして、IL-12分泌B16細胞およびGM-CSF分泌B16細胞の効果を、B16腫瘍攻撃モデルにおけるワクチンとして比較した。1〜3ng/ml/48時間/106照射細胞で天然のIL-12を分泌するIL-12分泌B16細胞を、最初の研究に使用した。腫瘍移植前のワクチンとして使用した場合、GM-CSF分泌B16細胞は、抗腫瘍免疫原性を誘導した(図12C、80%の100日生存)。
【0074】
(実施例10 処置すべき腫瘍由来の異なる起源の腫瘍細胞によるIL-12送達の免疫療法的効果)
生存における処置すべき腫瘍由来の異なる起源の腫瘍細胞によるIL-12送達の効果を、腎臓細胞ガン腫(RENCA)腫瘍で評価した。RENCA腫瘍を、4×105個の細胞で開始し、そして確立した腫瘍の免疫療法を14日目に開始した。1つの手順において、マウスの群を、天然のIL-12または融合タンパク質SFG.IL-12.p40.linker.Δp35のいずれかを分泌させるために形質導入したCMS-5腫瘍細胞または照射した野生型CMS-5細胞のいずれかで処置した(図13A)。別の手順において、マウスのさらなる群を、照射CMS-5とRENCA野生型細胞との組合せ、照射野生型CMS-5とIL-12分泌RENCA腫瘍細胞との組合せ、または照射野生型RENCA腫瘍細胞とIL-12分泌CMS-5腫瘍細胞との組合せで処置した(図13B)。
【0075】
最初の手順において、天然のIL-12およびIL-12融合タンパク質を分泌するCMS-5腫瘍細胞の両方を用いる免疫療法は、メジアン生存を延長させた(それぞれ、p=0.02およびp=0.06のp値)。第2の手順において、照射RENCA腫瘍細胞およびIL-12分泌CMS-5腫瘍細胞の組合せを用いて処置したマウスは、生存を増加する傾向を示した。
【0076】
さらに、CMS-5腫瘍を4×105個の細胞で開始し、そして14日目に確立した腫瘍の免疫療法を開始した。1つの手順において、確立したCMS-5腫瘍を、天然のIL-12またはIL-12融合タンパク質SFG.IL-12.p40.リンカー.Δp35のいずれかを分泌させるために形質導入されたRENCA腫瘍細胞または照射野生型RENCA腫瘍細胞のいずれかで処置した(図14A)。別の手順において、マウスのさらなる群を、照射CMS-5とRENCA野生型細胞との組合せ、照射野生型CMS-5とIL-12分泌RENCA腫瘍細胞との組合せ、または照射野生型RENCA腫瘍細胞とIL-12分泌CMS-5腫瘍細胞との組合せで処置した(図14B)。
【0077】
最初の手順において、IL-12融合タンパク質を分泌するRENCA細胞を用いる免疫療法は、野生型RENCA細胞を用いて処置したマウスと比較してマウスの生存を適度に長くした;その効果は、形質導入RENCA細胞によって送達されたIL-12のより低い用量と一致した。第2の手順において、IL-12分泌CMS-5細胞と野生型RENCA細胞との組合せで処置したマウスおよびIL-12分泌CMS-5細胞と野生型RENCA細胞との組合せで処置したマウスの両方は、野生型RENCAおよび野生型CMS-5細胞を用いて処置したマウスと比較して、顕著に生存が延長することが示された(p=0.004およびp=0.04のp値)。
【0078】
(等価物)
当業者は、日常的な実験以上を用いることなく、本明細書中に記載の本発明の特定の実施態様に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得る。このような等価物は、以下の請求の範囲によって包含されるべきであることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、インターロイキン-12の産生のためのSFGベースのレトロウイルス構築物の構造を示す(SD=スプライスドナー;IRES=内部リボゾーム侵入部位;SA=スプライスアクセプター;LTR=長末端反復)。
【図2】図2は、本発明のインターロイキン-12融合タンパク質内のリンカー配列をコードする核酸配列、およびそれに隣接するIL-12 p35およびIL-12 p40配列(配列番号1〜4および35)、ならびにコードされたアミノ酸配列(配列番号5〜7および36)を示す。
【図3A】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3B】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3C】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3D】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3E】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3F】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3G】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3H】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3I】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3J】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3K】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3L】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3M】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3N】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3O】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3P】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3Q】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3R】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3S】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3T】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図3U】図3A〜3Uは、pUC19-SGFの完全な制限地図および核酸配列(配列番号8および9)を示す。
【図4A】図4A〜4Cは、マウスIL-12 p35サブユニットをコードする核酸配列(配列番号10および11)およびIL-12 p35サブユニットのアミノ酸配列(配列番号12)を示す。
【図4B】図4A〜4Cは、マウスIL-12 p35サブユニットをコードする核酸配列(配列番号10および11)およびIL-12 p35サブユニットのアミノ酸配列(配列番号12)を示す。
【図4C】図4A〜4Cは、マウスIL-12 p35サブユニットをコードする核酸配列(配列番号10および11)およびIL-12 p35サブユニットのアミノ酸配列(配列番号12)を示す。
【図5A】図5A〜5Dは、マウスIL-12 p40サブユニットをコードする核酸配列(配列番号13および14)およびマウスIL-12 p40サブユニットのアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
【図5B】図5A〜5Dは、マウスIL-12 p40サブユニットをコードする核酸配列(配列番号13および14)およびマウスIL-12 p40サブユニットのアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
【図5C】図5A〜5Dは、マウスIL-12 p40サブユニットをコードする核酸配列(配列番号13および14)およびマウスIL-12 p40サブユニットのアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
【図5D】図5A〜5Dは、マウスIL-12 p40サブユニットをコードする核酸配列(配列番号13および14)およびマウスIL-12 p40サブユニットのアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
【図6】図6は、組換えマウスIL-12を用いて作製した標準曲線を示す。
【図7】図7A〜7Dは、野生型分泌CMS-5細胞、GM-CSF分泌CMS-5細胞およびIL-12分泌CMS-5細胞でのCMS-5腫瘍所持マウスの免疫療法の効果のグラフ描写を示す。処置を、腫瘍チャレンジ後7日目(7Aおよび7B)または14日目(7Cおよび7D)のいずれかで開始した。終点は生存(7Aおよび7C)または腫瘍を有しない生存(7Bおよび7D)のいずれかであった。腫瘍は、処置されなかった(a)か、またはGM-CSF分泌CMS-5細胞(b)、IL-12分泌CMS-5細胞(c)、あるいは野生型CMS-5細胞(d)で処置された。
【図8】図8は、免疫療法の型による確立されたCMS-5腫瘍の退行の発生率を示すグラフ描写である。腫瘍を以下のように処置した;1列目は免疫療法を施さなかった;2列目は野生型腫瘍細胞で処置した;3列目はGM-CSF分泌腫瘍細胞で処置した;4列目はIL-12分泌腫瘍細胞で処置した。
【図9】図9は、全身性IL-12で処置されたマウスにおける腫瘍の退行のグラフ描写である。白四角、および黒四角、三角、丸、および菱形は、0.1μg/dの全身性IL-12を1週間につき5日、4週間投与して処置された5匹の個々のマウスを表す。
【図10】図10A〜10Bは、全身性IL-12投与または未処置(nil)を比較したIL-12分泌CMS-5細胞での免疫療法から得られた優れた生存性のグラフ描写である。図10Aは、2×105個の細胞の腫瘍接種物を用いた結果を示す。図10Bは、4×105個の細胞の腫瘍接種物を用いた結果を示す。
【図11】図11A〜11Bは、確立されたCMS-5腫瘍に対する免疫療法として異なる形態のIL-12を分泌するCMS-5細胞の効果(マウスの生存率)の比較のグラフ描写を示す。図11Aは、14日目に開始した処置での2×105個のCMS-5細胞により創始された腫瘍を用いた結果を示す(2回の実験からプールされた1群あたり20匹のマウス)。図11Bは、14日目に開始した処置での4×105個のCMS-5細胞により創始された腫瘍を用いた結果を示す(1群は10匹のマウス)。腫瘍は、処置されなかった(a)か、または野生型CMS-5細胞(b)、GM-CSF分泌CMS-5細胞(c)、天然のIL-12分泌CMS-5細胞(d)、あるいはIL-12融合タンパク質分泌CMS-5細胞(e)で処置されたかのいずれかであった。
【図12】図12A〜12Cは、サイトカイン分泌腫瘍細胞でのB16(メラノーマ)腫瘍の免疫療法の結果のグラフ例示である。先在する(pre-existing)腫瘍のモデルについて、腫瘍を4×105個のB16細胞で創始し、そして免疫療法を7日目(図12A)または14日目(図12B)に開始した。チャレンジモデル(図12C)について、5×105個の放射線照射細胞をワクチンとして14日間投与し、次いで1×10個の細胞で腫瘍をチャレンジした。腫瘍は処置されなかった(a)か、または野生型B16細胞(b)、GM-CSF分泌B16細胞(c)、天然のIL-12分泌B16細胞(d)、あるいはIL-12融合タンパク質分泌B16細胞(e)で処置されたかのいずれかであった。
【図13】図13A〜13Bは、先在する腎臓細胞ガン腫(RENCA)腫瘍を有するマウスにおける異なる細胞型によるIL-12送達の免疫療法に対する効果のグラフ例示である。図13Aは、RENCA腫瘍が、放射線照射された野生型CMS-5腫瘍細胞(C-wt)または天然のIL-12(C-nIL-12)またはIL-12融合タンパク質(C-scIL-12)分泌ように形質導入された、CMS-5腫瘍細胞のいずれかで処置された場合の結果を示す。図13Bは、RENCA腫瘍が、野生型CMS-5とRENCA細胞との組み合わせ(C-wt+R-wt)か、IL-12融合タンパク質分泌RENCA細胞と野生型CMS-5細胞との組み合わせ(C-wt+R-IL-12)、またはIL-12融合タンパク質分泌CMS-5細胞と野生型RENCA細胞との組み合わせ(C-IL-12+R-wt)のいずれかで処置された場合の結果を示す。
【図14】図14A〜14Bは、IL-12融合タンパク質分泌RENCA腫瘍細胞での先在するCMS-5腫瘍の免疫療法に対する効果のグラフ描写である。図14Aは、CMS-5腫瘍が、野生型RENCA細胞またはIL-12融合タンパク質分泌ように形質導入されたRENCA細胞のいずれかで処置された場合の結果を示す。図14Bは、CMS-5腫瘍が、野生型RENCA細胞と野生型CMS-5との組み合わせ(C-wt+R-wt)、IL-12融合タンパク質分泌RENCA細胞と野生型CMS-5細胞との組み合わせ(C-wt+R-IL-12)、またはIL-12融合タンパク質分泌CMS-5細胞と野生型RENCA細胞との組み合わせ(C-IL-12+R-wt)のいずれかで処置された場合の結果を示す。
【0080】
(配列表)
【0081】
【数2】

【0082】
【数3】

【0083】
【数4】

【0084】
【数5】

【0085】
【数6】

【0086】
【数7】

【0087】
【数8】

【0088】
【数9】

【0089】
【数10】

【0090】
【数11】

【0091】
【数12】

【0092】
【数13】

【0093】
【数14】

【0094】
【数15】

【0095】
【数16】

【0096】
【数17】

【0097】
【数18】

【0098】
【数19】

【0099】
【数20】

【0100】
【数21】

【0101】
【数22】

【0102】
【数23】

【0103】
【数24】

【0104】
【数25】

【0105】
【数26】

【0106】
【数27】

【0107】
【数28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-12 p35サブユニットをコードするDNA、ポリペプチドリンカーをコードするDNA、およびIL-12 p40サブユニットをコードするDNAを含むDNAであって、該ポリペプチドリンカーをコードするDNAが、IL-12 p35サブユニットをコードするDNAとIL-12 p40サブユニットをコードするDNAとの間に位置し、そして該DNAの発現が、該コードされたポリペプチドリンカーによって結合されているIL-12 p35サブユニットおよびIL-12 p40サブユニットを含む、生体活性IL-12融合タンパク質の産生を生じる、DNA。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図3N】
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【図3O】
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【図3P】
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【図3Q】
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【図3R】
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【図3S】
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【図3T】
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【図3U】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−314332(P2006−314332A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224729(P2006−224729)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【分割の表示】特願平8−524449の分割
【原出願日】平成8年2月7日(1996.2.7)
【出願人】(500482810)ホワイトヘッド・インスティテュート・フォー・バイオメディカル・リサーチ (7)
【Fターム(参考)】