説明

生体活性のあるナノ複合体材料

本発明は、酵素による生体内分解性のある有機ポリマー、およびゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含む多孔性無機/有機ハイブリッドナノスケール複合体;その製造;ならびに生体組織工学におけるマクロ細孔性足場としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機/有機ハイブリッドナノスケール複合体、その製造、および生体組織工学におけるマクロ細孔足場としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケアが改善し、平均余命が増加するにつれて、我々は、骨をはじめとする自らの身体を先に失いつつある。疾患および外傷により除去または損傷された骨を再生するのに、骨移植処置が使用される。ヨーロッパでは毎年300000件を超える骨移植手術が実施される。最近の外科的な最良の実践は、腸骨稜から健常骨を取り出し(自己移植片)、それを所望される場所に配置することである。効果的ではあるが、この方法は、追加的な手術時間(余分な観血的手術)を必要とし、骨除去部位での術後痛および長い回復時間をもたらすことがある。また、骨の供給は限られている。より豊富に供給される骨は、骨バンクから調達される同種移植片であり、骨バンクは屍体から骨を配布する。これらの骨は、通常、自己移植片の機械的強度を有さず、かつ免疫拒絶および疾患伝染の可能性が存在する。患者は、危険な副作用をもたらす場合もある高価な免疫抑制薬を用いる生涯にわたる治療を必要とする可能性がある。動物の骨(異種移植片)、例えば凍結乾燥されたウシ骨を使用することもできるが、機械的特性が不十分であり、かつ疾患伝染の危険がなお存在する。
【0003】
骨移植片は、(i)顎顔面手術、(ii)外傷、腫瘍および嚢腫のため生じた欠損を修復するための整形外科、および(iii)歯学(そこでは、骨移植片を歯周病(歯根での骨欠損)の治療に使用することが多い)において使用される。脊椎、骨盤、および四肢の多くの外科処置が、移植片を必要とする。骨移植片は、また、ニコチン使用、あるいは糖尿病または自己免疫性欠損などの疾患の存在により、治癒が困難である可能性のある状況で必要とされる場合がある。
【0004】
再生足場は、高齢者および若年者において特に重要である。高齢者のすべての組織は、活性細胞の不足のため治癒するのが遅い。したがって、外科医が骨欠損部に即座に埋め込むのにいつでも入手できる合成の骨治療用材料は、地球上の全域で患者の生活の質を劇的に改善するであろう。
【0005】
脊椎手術における骨移植片の最も一般的な使用の1つは、衰弱性疼痛を低減するのに必要とされる極めて重要な手術である脊椎固定にある。新生児の700人に1人は、口蓋裂を有する。生理学的環境に応答する材料を用いる顎顔面手術は、再生部位を子供の成長につれて変えることができるので重要である。
【0006】
生体材料は、生物医学的応用、特に生体組織再生および生体組織工学で使用することができ、骨移植片に取って代わることができる。このような再生用骨移植片の代替物は、患者のヘルスケア治療および生活の質を著しく改善する潜在能力を有する。生物学的に活性な(生体活性)材料は、生存組織に埋め込まれた場合に、該材料と周囲の生体組織との間に界面結合の形成を誘導する材料である。
【0007】
典型的には、骨再生を促進する戦略は、足場材料の使用を含む。足場は、その上で骨が三次元的(3D)に成長して生体組織と足場とからなる構築物を作り出すことができる鋳型である。足場の使用を含む2つの主な骨再生戦略が、インサイチュでの生体組織再生および生体組織工学である。一般に、生体組織工学は、体外のバイオリアクター中で足場の上に細胞を増殖させること、次いで該足場を埋め込むことを含み、その後、足場は、骨が成熟骨に変わるにつれて溶解するべきである。インサイチュでの生体組織再生では、足場を身体に直接的に埋め込む。双方の場合とも、埋め込まれた足場材料は、生理学的環境に適合しなければならない。骨修復のために理想的な足場は、1)三次元的骨成長のための鋳型として作用し、2)生体適合性(非毒性)であり、3)宿主骨と結合を形成し(「生体活性」と呼ばれる特性)、かつ骨成長を刺激し、4)制御された速度で非毒性の分解生成物を伴って溶出し、5)埋め込みに関して宿主骨のそれに調和した機械的特性を有し、かつ6)臨床的使用のために商業的な生産および滅菌が可能でなければならない。
【0008】
基準1を満たすため、足場は、3D的に相互に連結され、その相互連結が、細胞の遊走、体液の流れ(栄養送達)、および骨の3D的成長を可能にするのに十分なほど大きい、細孔ネットワークを有するべきである。成長のための血液供給を備えた骨のための最小相互連結の大きさは、100μmであると考えられる。
【0009】
細胞は、新たな組織を構築するようにそれらの細胞を刺激するためのシグナルを必要とする。該シグナルは、通常、成長因子またはホルモンによって提供される。骨組織工学において、シグナルは、バイオリアクターへの添加物によって提供されるか、あるいは材料によって送達される。インサイチュでの骨再生の場合、それらのシグナルは、材料によって送達されなければならない。
【0010】
バイオセラミックスは、硬組織修復で使用するための足場を形成するのに使用されることが多い。理想的足場に関する多くの基準を満たす潜在能力を有する材料が、生体活性のあるガラスである。最初の生体活性ガラスは、Henchによって発見され、Bioglass(登録商標)と名付けられ、1980年代半ば以来、製品名Perioglas(登録商標)およびNavabone(登録商標)のもとで再生用骨充填粉末として臨床的に使用されてきた。生体活性ガラスは、体液との接触でそれらのガラス表面にヒドロキシカルボネートアパタイト(HCA)層を形成するので、骨に結合する。HCAは、骨の無機質組成に類似し、それと強力な結合を形成する。生体活性ガラスは、身体中で安全に溶出し、遺伝子レベルで骨細胞を刺激するように作用する臨界濃度のケイ素およびカルシウムイオンを放出し、活性細胞がほとんど存在しない場合でさえ新たな骨生長をトリガーする。このことは、高齢患者にとって特に重要である。
【0011】
生体活性ガラスは、再生用材料として使用するのに適しているが、Bioglass(登録商標)組成物は、多孔性足場を製造するのに適していない。なぜなら、局所的流動を起こすために、ガラスをそれらのガラス転移温度より高く加熱することを必要とする、焼結法を採用しなければならないためである。Bioglass(登録商標)組成物は、そのガラス転移温度のすぐ上で結晶化し、一旦Bioglass(登録商標)が結晶化すると、それは生体活性を失う。
【0012】
しかし、溶融由来およびゾル−ゲル由来の2種の生体活性ガラスが存在する。ゾル−ゲル由来のシリカをベースにした生体活性ガラスを発泡することによって、多孔性足場が開発されている(国際公開第02/096391号)。このような足場に関する細胞応答研究は、主なヒト骨芽細胞が、付加的なシグナル伝達種なしに、その上に無機化された未成熟骨組織を用意することを見出した(Jonesら、Biomaterials,2007,28,1653〜1663)。生体活性ガラスは、ケイ素およびカルシウムイオンを放出する方式で、これらの過程が起こるのに必要とされるシグナルを提供する。
【0013】
ゾル−ゲル由来の生体活性のあるガラス足場は、それらの機械的特性は別として、理想的足場のための基準を十分に満たすことができる。生体活性のあるガラス足場は、圧縮荷重下にある部位で使用できるが、それらは、該生体活性ガラスが割れやすいので、周期的荷重下にある部位で成功裡に使用することができない。それゆえ、改善された靭性を有する足場材料が必要とされる。
【0014】
足場材料の靭性を改善するのに採用されている戦略は、生体内分解性のあるポリマーを含む複合体の創製である。骨生体組織工学のために考えられている多くの生体内分解性ポリマー候補が存在する。生体内分解性ポリマーは、体中で壊れて、身体によって安全に分泌できる生成物になる。分解は、水を取り込んだ後の加水分解(鎖切断)、または酵素的機構のどちらかによる。生体内分解性ポリマーは、単独で、またはヒドロキシアパタイトもしくは生体活性ガラスなどの他の生体活性無機充填剤と組み合わせて使用できる。
【0015】
発泡に先立って生体活性ガラス粉をポリマー溶液内に分散させることによって調製される複合材料は、周知である(Maquetら、J.Biomed.Mat.Res.,66A:335〜346,2003)。しかし、これらの在来型複合体は、それらの使用を制約するいくつかの問題を有する。生体活性のある無機材料は、それを身体から隔離するポリマーマトリックスで覆われることが多く、観察されるはずの生物活性をもたらさない。一旦ポリマーが分解すれば、生体活性のある相は、曝露される可能性があるが、一般に使用されるポリマーの分解速度は、初期には遅いことが多いが、次いで急速に増加する。急速な分解は、身体中で束縛のない無機相に、さらには足場の機械的特性の急速な低下につながる場合がある。緩慢に次いで急速に分解する理由は、ポリマーが、加水分解(鎖切断)によって分解するポリエステルであることが多いことである。鎖が切断されるにつれ、ポリマーの分子量が、急減し、臨界値で、ポリマーは、ばらばらに壊れる。この過程は、ポリマーの酸性分解生成物によって加速される。
【0016】
これらの問題を克服する潜在的方法は、ナノメートルの寸法を有する無機鎖をポリマーマトリックスと組み合わせた、無機/有機ナノ複合体の足場を開発することである。無機/有機ナノ複合体は、ハイブリッド、オルモシル(ormosil)またはセラマー(ceramer)と呼ばれることもある。このような材料は、骨に近い模倣体であり、本質的には、ヒドロキシカルボネートアパタイトおよびコラーゲンからなる天然のナノ複合体である。
【0017】
生体活性ガラス/生体吸収性ポリマーのナノスケール複合体は、ゾル−ゲル法を修正すること、ゾル−ゲルの転移が起こる前にゾルに可溶性ポリマーを添加することによって調製できる。しかし、ほとんどの生体内分解性ポリマーは、水溶液に溶けない。
【0018】
ポリビニルアルコール(PVA)を含有する生体活性ガラス/ポリマーハイブリッドの足場は、ゾル−ゲル発泡法を改変することによって開発された(Pereiraら、Journal of Materials Science:Materials in Medicine,2005:16:1045〜1050)。水に溶解したPVAを、70モル%のSiO、30モル%のCaOを含む生体活性ガラス(70S30C)を合成するのに使用される典型的なゾルに添加した。ハイブリッドを、30wt%までのポリマーを含めて作り出した。製造した足場は、60〜90%の間で変化する高い多孔度、および500μmまでのマクロ細孔直径を有した。これらの発泡体の圧縮試験は、ポリマーを添加することが、有意により大きな圧縮強度をもたらす(〜3倍の増加)ことを立証した。増加は、靭性および破断歪みにおいても示された。しかし、極限破断強度は、海綿骨に比較して低かった。これは、少なくとも部分的には、使用したPVAの低い分子量(MW 16,000)のためである。熱可塑性樹脂の靭性は、鎖の引抜きおよび脱絡み合いによって左右され、かつ分子量に高度に依存するので、低分子量のPVAは、足場を効果的に強固にするように作用することができない。PVAは非分解性であり、かつより長い鎖は腎臓を通過しないので、この分子量は、有意に高められた靭性のためにはあまりにも低いが、必須であった。さらに、シラノールとペンダント状ヒドロキシル基とのなんらかの縮合は、あったとしても、いずれも極めて徐々に起こり、したがって、これらのハイブリッドは、有機鎖と無機鎖との間の水素結合に主として依拠している。水性環境中で安定性を提供するには、2つの相の間に共有結合が要求される。
【0019】
カップリング剤を使用して、有機相と無機相との間に共有結合を誘導することができる。カップリング剤は、生体活性ガラス/ポリカプロラクトン(PCL)ハイブリッドの製造で使用されている(Rheeら、Biomaterials 25(7〜8):1167〜1175(2004);Rheeら、Biomaterials,23(24):4915〜4921(2002);Tianら、Polymer,37(17):3983〜3987(1996))。PCLは、水溶液に溶けないポリエステルであり、それをゾル中に組み込むためには官能化される必要がある。これらの研究では、ポリカプロラクトンジオールのどちらかの末端のヒドロキシル基を、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(IPTS)で標的化し、トリエトキシシリル基で末端をキャップされたポリマーを得た。末端キャップPCLを、次いで、加水分解し、TEOSと共縮合して相互連結されたポリマー−シリカネットワークを得ることができる。若干の例では、ゾル中にカルシウムを硝酸カルシウム四水和物の形態で組み込んだ。60wt%のポリマーを含む生体活性ガラス/PCLハイブリッドは、海綿骨の範囲であるそれぞれ600および200MPaのヤング率および引張り強度を有する、有望な結果を示した。しかし、機械的特性は、ほぼ7000であったポリマーの分子量によって制約された。多孔性足場は、生じなかった。これらのハイブリッド中に細孔が導入されると、それらのモジュラスおよび強度が降下すると予想される。
【0020】
シリカ/超分枝脂肪族ポリエステルのハイブリッドも、末端に16個のヒドロキシル基を、および1747g/モルの分子量を有する市販のポリエステル(Boltorn(商標)H20)を使用して合成されている(Zouら、Composites Part A:Applied Science and Manufacturing,36(5):631〜637(2005))。ポリマーを、無水コハク酸で前処理し、カルボキシル基の末端キャップを得た。次いで、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)を添加し、カルボキシル基に結合してSi(OCH)で末端キャップされたポリマー鎖を得た。修飾されたポリマーを、予備加水分解されたTEOSのゾルに添加し、続く共縮合反応によりシリカ/ポリマーのネットワークを得た。
【0021】
上記ハイブリッドは、予測できない分解速度を有するポリエステルで作製され、人体に有毒である材料を使用している。さらに、一般に、ハイブリッド発泡体およびカルシウム添加は、明示されていない。それらがカルシウムを含まない理由は、ゾル−ゲルガラスにカルシウムを導入するための在来方法は、ゾル−ゲル反応に硝酸カルシウムを添加することであるためである。処理温度が600℃を超えるまで上昇すると、カルシウムは、ガラスネットワーク中に組み込まれ、硝酸塩は焼き尽される。ポリマーが存在すると、それらが焼き尽くされてしまうので、高い温度にすることができない。別法として、硝酸カルシウムを、硝酸塩を焼き尽くすほど十分に加熱することを必要としない方法でゾル−ゲル反応中に組み込むと、硝酸塩は、最終のハイブリッド製品中に存在する可能性があり、毒性をもたらす可能性がある。したがって、高温処理を必要とせず、残留硝酸塩の潜在的毒性を回避する、カルシウムイオンの供給源の新たな組み込み手段が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前記の例は、組織再生のための生体活性のある無機/有機ナノ複合体足場を開発する上で解決すべき複雑な問題が存在することを示している。三次元での骨成長のための鋳型として作用することができ、荷重支持部位での骨再生に使用することを可能にする適切な機械的特性を有し、制御された速度で分解可能であり、生体活性を提供しかつ骨成長を刺激するためのカルシウムイオンの供給源を含み、かつ臨床的使用のための商業的な生産および滅菌が可能である、生体適合性のある多孔性足場が求められている。有機ポリマーを適切に選択し、かつ有機相と無機相との間の共有結合を確実にする架橋剤を使用して、これらの基準を満たす足場を、無機相および有機ポリマー相を含むナノ複合材料の形態で製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、第1態様において、本発明は、有機相および無機相を含む多孔性複合材料を提供し、ここで、該有機および無機相は統合され、有機相は酵素による生体内分解性のある有機ポリマーを含み、無機相はゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含み、有機相と無機相との間に共有結合が存在し、かつ該複合材料は、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンの供給源を含む。
【0024】
好ましくは、複合材料はナノ複合材料である。好ましくは、ナノ複合材料は生体活性を有する。有利には、ナノ複合材料は、生体活性ガラスの生体活性および生体内分解性ポリマーの靭性を兼ね備える。
【0025】
ナノ材料は、少なくとも1方向の寸法がナノスケール(100nm未満)である構造要素を有する材料である。本発明の文脈で、「ナノ複合材料」は、少なくとも2種の相を含み、少なくとも1種の相がナノ材料を含み、2種の相がナノスケールで統合されている複合材料であると解釈される。
【0026】
有機相および無機相は、相間に生じる界面共有結合のため、ナノスケールで統合される。これは、無機および有機相がナノスケールで統合されず、代わりに、ポリマーネットワーク内に分散されたマクロスケールの大きさを有する無機材料の明確な粒子を含む在来型の複合材料と対照をなす。
【0027】
好ましい実施形態において、無機相は、微粒子でない。好ましくは、無機相は、少なくとも1方向の寸法がナノスケールである無機鎖を含む。
【0028】
代わりの好ましい実施形態において、無機相は、200nmを超えない、好ましくは100nmを超えない、より好ましくは50nmを超えない、さらにより好ましくは20〜50nmの平均最大直径を有する粒子を含む。
【0029】
好ましい実施形態において、多孔性複合材料は、該材料を、骨成長を促進するための足場として使用するのに適したものにする、相互に連結された多孔性ネットワークを有する。好ましくは、多孔性材料は、500μmまでの、好ましくは100〜500μmの平均直径を有するマクロ細孔を含む。マクロ細孔間の相互連結の平均最小寸法は、少なくとも100μmである。
【0030】
複合体中に存在するポリマーは、酵素で分解性され得る。したがって、好ましくは、ポリマーは合成ポリマーではない。純粋に加水分解によるよりも、むしろ細胞および酵素の機構によって分解するポリマーを使用すると、体中に埋め込んだ場合に、制御された速度で外側から分解する足場を準備することが可能になる。このことは、単に加水分解によって分解するポリエステルなどのポリマーについて観察される予測不能で非線形な分解と対照的である。ポリマーは、酵素機構および加水分解の双方で分解することができる。
【0031】
好ましい実施形態において、ポリマーは、生理学的pHでアニオン性電荷を有する。アニオン性電荷は、Ca2+イオンなどの金属カチオンを骨再生部位に運ぶのに有益に使用できる。
【0032】
好ましい実施形態において、複合材料は、有機ポリマー上に存在するアニオン性電荷に配位され、および/または無機相のシリカネットワーク内に統合されたカルシウムイオンを含む。
【0033】
好ましい実施形態において、複合材料は、付加的に、有機ポリマー上に存在するアニオン性電荷に配位され、および/または無機相のシリカネットワーク内に統合されたストロンチウムイオンを含む。別法として、ストロンチウムイオンが存在し、カルシウムイオンが存在しない。ストロンチウムイオンは、骨再生を促進するのに有用である。
【0034】
好ましい実施形態において、複合材料は、付加的に、創傷治癒および/または血管再生を促進するのに有用な金属イオン、例えば、リチウム、銅またはコバルトイオンの供給源を含む。
【0035】
好ましい実施形態において、有機ポリマーは、無機相との共有結合を可能にするように官能化できる官能基を含む。好ましくは、該官能基は、シラン化され得る。好ましくは、該官能基は、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基である。シラン化は、好ましくは、官能基を、エポキシ官能基を含む、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)などのシラン系架橋剤と反応させて達成される。したがって、好ましい実施形態において、有機相は、ペンダント状のヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を有するポリマーから形成され、無機相はシリカネットワークを含み、該有機および無機相は、エポキシ官能基を含むシラン系架橋剤によって接合され、ここで架橋剤と有機および無機相との間には、共有結合が存在する。
【0036】
エポキシ官能基を含むシラン系架橋剤を使用して、架橋剤のシラン部分と無機シリカネットワークとの間に、ならびにエポキシ基とポリマーのヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基との間に、共有結合が形成される。
【0037】
有利なことに、架橋剤を使用すると、複合材料の機械的特性(例えば、靭性)ならびに水溶液に浸漬した場合の複合材料の膨潤および分解速度を制御することが可能になる。架橋形成が少なすぎると、ポリマー鎖が運動の自由を有するので、材料は、極めて柔軟性となるが、材料の高い水取込み、膨潤および高速吸収を許し、一方、架橋形成が多すぎると、ナノ複合体は、鎖の柔軟性が欠如するため、脆くなる。所望の機械的特性および制御された分解性を備えたナノ複合体を得るには、バランスが必要とされる。好ましくは、架橋剤:ポリマーの比率は、1:50またはそれより小さい(架橋剤の比率に関して)。比率は、架橋剤分子当たりのポリマー中モノマー単位数によって表現される。
【0038】
好ましい実施形態において、有機ポリマーの分子量は、16000を超える。好ましくは、分子量は少なくとも100000である。この程度の大きさの分子量では、鎖の絡み合いを介して良好な靭性が提供される。
【0039】
好ましい実施形態において、複合材料は、20wt%〜70wt%の有機相を含む。好ましくは、複合材料は、20wt%〜60wt%、さらにより好ましくは30wt%〜50wt%、最も好ましくは40wt%の有機相を含む。有機相の好ましい比率は、所望の機械的特性、すなわち、相当の靭性と共に高い圧縮強度を備えた複合体を提供するように調整される。
【0040】
好ましい実施形態において、ポリマーは、天然または合成のポリマーである。ポリマーは、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル官能基をもつように誘導体化された天然または合成のポリマーでよい。
【0041】
好ましい実施形態において、ポリマーは、ヒドロキシル基をもつポリラクチド、コラーゲンまたはその誘導体(ゼラチンなど)、ポリ(DLアスパラギン酸)、またはポリグルタミン酸である。好ましくは、ポリマーは、ポリ−α−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸である。より好ましくは、ポリマーは、ポリ−γ−グルタミン酸である。より好ましくは、ポリマーは、160000またはそれを超えるポリアクリル酸等価分子量を有するポリ−γ−グルタミン酸である。
【0042】
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)は、グルタミン酸モノマーから形成されるポリマーであり、次の化学構造
【0043】
【化1】

を有する。
【0044】
グルタミン酸は、3つの官能基;α−NH、α−COOH、およびγ−COOHを有する。γ−PGAは、γ−COOHとα−NHとがペプチド結合したアミノ酸である。γ−PGAは、細胞外マトリックス中に見出される天然ポリマーである。グルタミン酸に富む配列は、骨中でコラーゲンフィブリルの末端で見出され、カルボキシル基は、そこで、骨の無機相のための核形成部位を提供すると考えられる(Hunter G、The Biochemical Journal,1996,302,175〜179)。γ−PGAは、バシラス属に属するいくつかの細菌によって合成される。それは、いくつかの形態:D−、L−、またはDとLとのコポリマーで産生される。1.2×10を超える大きな分子量Mwが、高い収率でもたらされる。本発明の文脈で、γ−PGAは、D−γ−PGA、L−γ−PGA、DとLとのコポリマー、またはこれら形態の任意混合物のいずれかでよい。
【0045】
有利なことに、γ−PGAは、生理学的pHでアニオン性電荷を有する。ポリマー上のアニオン性電荷は、正に帯電したカチオンをアニオン性電荷に誘引する。この特性を有益に利用して、Ca2+などのイオンを、本発明の複合材料を含む足場を埋め込んだ再生部位中に運搬することができる。これは、カルシウムイオンを無機/有機ハイブリッド中に安全に組み込むことを可能にする手段である。さらに、カルボン酸官能基(α−COOH)は、ポリマーのシラン化を可能にし、結果として、該ポリマーを共有結合によってシリカネットワーク中に組み込むことができる。
【0046】
ポリマーは、GPTMS分子のグリシドール基が、ポリマー鎖上のカルボン酸基に結合し、3つのメトキシシラン基が遊離のままであるように、GPTMSで官能化される。官能化されたポリマーをゾル中に添加すると、メトキシシラン基は、加水分解し、ポリマー上にSi−OHが残る。これらの基は、次いで、無機ネットワーク中の他のSi−OH基との重縮合を受け、ポリマー鎖と無機ネットワークとの間で共有性Si−O−Si結合を形成することができる。
【0047】
1:50またはそれより小さなGPTMS:ポリマーの比率の場合、複合体は、柔軟かつ強靭になる。比率は、GPTMS分子当たりのポリマー中モノマー単位数で表現される。したがって、好ましくは、GPTMSは、1:50またはそれより小さなGPTMS:ポリマーの比率で存在する。
【0048】
GPTMSの使用は、無機鎖と有機鎖との間に共有結合を作り出すのみならず、ゾル−ゲルの工程中により多くのポリマーを組み込むことを可能にする。ポリマー上にSi−OCH基が存在すると、縮合中にポリマーを組み込むことが可能になる。このことは、相分離を低減する。
【0049】
有利なことに、γ−PGAは、安全かつ安価であり(食品添加物としての使用が周知である)、それは、可溶性形態を有し、加水分解および酵素的分解の双方で分解できる。γ−PGAの分解の原因である酵素には、γ−グルタミルトランスペプチダーゼが含まれる。
【0050】
本発明の第1態様による多孔性複合材料を製造するには、複合体を、多孔性を導入するための発泡工程にかける。非多孔性複合材料は、発泡工程にかけないことを除けば、本発明の第1態様中で示したのと同一の成分を使用して製造できることが認識されるであろう。したがって、第2態様において、本発明は、第1態様に関して示したような好ましい特徴を有するが、マクロ細孔構造を欠く複合体を提供することが認識されるであろう。
【0051】
第3態様において、本発明は、本発明の第1態様中で定義したような多孔性複合材料の製造方法を提供し、該方法は、
a)有機ポリマーをシラン化すること;
b)シリカの供給源、好ましくはシリカアルコキシドを含む水性ゾルを準備すること;
c)該ゾルにシラン化されたポリマーを添加すること;
d)該ゾルに界面活性剤およびゲル化触媒を添加すること;
e)該ゾルを空気の存在下で撹拌して発泡体を生じさせること;および
f)該発泡体を熟成し、乾燥して多孔性複合材料を提供することを含み、ここで、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンの供給源が、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンの供給源をゾル中に導入することによって、および/またはステップe)で生じた多孔性複合材料を、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンを含む水溶液に、好ましくは熟成および乾燥の後に、曝露することによって、複合材料中に組み込まれる。
【0052】
好ましくは、複合材料は、ナノ複合材料である。
【0053】
好ましくは、有機ポリマーは、ペンダント状のヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を含む、酵素よる生体内分解性のあるポリマーである。ポリマーは、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基をもつように誘導体化されている天然ポリマーまたは合成ポリマーでよい。好ましくは、ポリマーは、ペンダント状官能基(好ましくは、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基)とグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)などのエポキシ含有シラン系架橋剤との反応によってシラン化される。好ましくは、この反応はDMSOまたは水などの溶媒の存在下で実施される。好ましくは、溶媒の少なくとも一部は、シラン化されたポリマーをゾルに添加するに先立って、生じたシラン化ポリマー含有混合物からの蒸発によって除去される。
【0054】
好ましくは、水性ゾルは、シリカアルコキシド、好ましくはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を酸性触媒の存在下で水と反応させることによって調製される。
【0055】
好ましくは、ゾル中に導入されるカルシウム供給源は、塩化カルシウムである。
【0056】
好ましくは、ゲル化触媒は、フッ化水素酸(好ましくは、HF水溶液として提供される)である。
【0057】
好ましくは、ステップe)で生じる多孔性複合材料は、粉末状シリカ−カルシウム系ガラスを水に溶解して作り出されるイオンに富む溶液に、曝露される。好ましくは、該イオンに富む溶液は、ポンプで多孔性材料を通して注入される。
【0058】
好ましくは、ステップf)で、発泡体は、50〜70℃(好ましくは、60℃)で熟成され、真空下に50〜70℃(好ましくは、60℃)で乾燥される。好ましくは、熟成ステップは、第1期間の間(好ましくは、50〜80時間)に50〜70℃(好ましくは、60℃)まで加熱すること、冷却すること、および第2期間の間(好ましくは、80〜120時間)に50〜70℃(好ましくは、60℃)まで再加熱することを含む。
【0059】
したがって、第4態様において、本発明は、統合された有機および無機相を含む多孔性複合材料中にカルシウムイオンを組み込むための方法を提供し、ここで、該有機相は、酵素による生体内分解性のある有機ポリマーを含み、該無機相は、ゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含み、該有機相と無機相との間に共有結合が存在し、該方法は、該多孔性材料を、粉末状シリカ−カルシウム系ガラスを水に溶解することによって作り出されるイオンに富む溶液に、イオンに富む該溶液をポンプで多孔性材料を通して注入することにより、曝露することを含む。
【0060】
本発明の第1態様の複合材料に関して示した好ましい特徴は、本発明の第3および第4態様の方法によって作り出される複合材料に等しく適用されることが認識されるであろう。
【0061】
第5態様において、本発明は、医薬で使用するための前に規定された通りの複合材料を提供する。好ましくは、該複合材料は、骨の修復および/または再生を促進するための足場として使用するためのものである。
【0062】
第6態様において、本発明は、本発明の第1態様中で規定された通りの複合材料を含んでなる骨の修復および/または再生のための足場を提供する。
【0063】
本発明の各態様に関するすべての好ましい特徴は、必要な変更を加えて、すべての他の態様に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明は、様々な方法で実施することができ、本発明を例示するために、添付図面を参照して具体的実施形態を説明する。
【図1】ヒト海綿骨(図1a)およびゾル−ゲル発泡法によって製造された典型的な生体活性ガラス足場(図1b)の三次元(3D)X線マイクロコンピューター断層撮影(μCT)画像を示す図であり、足場の細孔ネットワークが極めて高度に相互連結され、海綿骨の細孔構造に類似していることを示す。
【図2】3種の異なる組成からなる本発明のナノ複合材料の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す3枚の図である。a)80wt%のSiOと20wt%のポリマー、b)50wt%のSiOと50wt%のポリマー、c)30wt%のSiOと70wt%のポリマー。cの矢印は、高いwt%のポリマーにおける結合性SiOナノ粒子を指す。
【図3】本発明のナノ複合材料の三次元マイクロコンピュータートポグラフ(μCT)画像を示す図である。
【図4】70S30Cゾル−ゲル由来の生体活性ガラスおよびナノ複合体(1:50の架橋剤比率で、40wt%のγ−PGAを含む)のFTIRスペクトルを示す図である。70S30Cのスペクトルは、Si−O結合に該当する吸収帯を示す。ナノ複合体のスペクトルは、それがSi−O結合、若干のDMSOを含むことを示す。重要なことに、スペクトルは、また、N−H、C−H、C=O、アミドI、アミドII、およびC−O−Hに該当する吸収帯を含み、ナノ複合体が、ペプチド結合およびカルボン酸基を含むポリマーを含むことを示している。このFTIRは、それゆえ、ナノ複合体内にポリマーが存在することを裏付けている。
【図5】1:50である架橋剤:ポリマーの比率(GPTMS:ポリマー中モノマー単位のモル)を有し、DMSOの40vol%を除去した、ナノ複合体における、HF含有量の関数としてゲル化時間に関するグラフである。
【図6】1:50である架橋材:ポリマーのモル比を有するナノ複合体の、それを水溶液中に24時間浸漬した後の細孔径分布を示す図である。
【図7】40wt%のγ−PGAおよび1:50である架橋剤:ポリマーの比率を有するナノ複合体を浸漬した後の、SBFのイオン放出プロフィールを示す図である。
【図8】40wt%のγ−PGAおよび1:50である架橋材:ポリマーのモル比率を有するナノ複合体の、SBF中に浸漬した後のFTIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の文脈において、生物学的に活性な(または生体活性のある)材料は、生存組織中に埋め込まれた場合に、材料と周囲組織との間での界面結合の形成を誘導する材料である。より具体的には、生体活性材料は、生体活性材料と骨などの生存組織との間で強力な結合の形成をもたらす生物学的活性を誘導する。
【0066】
生体活性は、生理学的条件下における材料表面での一連の複雑な生理化学反応の結果であり、材料表面でのヒドロキシカルボネート化アパタイト(HCA)層の形成につながる。生じるHCA層は、構造的および化学的に、骨の無機相と同等であり、生体活性材料の表面と生存組織との間での界面結合の創製を可能にする。
【0067】
ヒドロキシカルボネート化アパタイト(HCA)層の成長速度は、生体活性のインビトロでの指標を提供する。生体活性は、体内の関連する埋め込み部位中に見出される体液組成を模擬した非生物学的溶液を使用することによって効果的に試験することができる。調査は、各種のこれらの溶液、例えば、Kokubo T,J.Biomed.Mater.Res.1990;24:721〜735中に記載されているような模擬体液(SBF)を使用して実施した。SBFに曝露された材料へのHCA層の析出は、承認された生体活性試験であり、本発明の文脈で、SBFに曝露して3日以内に結晶性HCA層の析出が発生するなら、材料は生体活性があると見なされる。若干の好ましい実施形態において、HCAの析出は、24時間以内に発生する。
【0068】
加えて、SBFに曝露された材料の表面を、粉末X線回折およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によってHCA層の形成についてモニターすることができる。ヒドロキシカルボネート化アパタイトのピーク、典型的にはX線回折パターンにおける25.9、32.0、32.3、33.2、39.4および46.9である2θ値の出現は、HCA層の形成を示唆し、同様に、FTIRスペクトルにおける波長566および598cm−1のP−O屈曲シグナルの出現は、HCA層の析出を示唆する。
【0069】
本発明のナノ複合材料の合成に関する概略を、Ca2+イオンの組み込みステップを除いて、以下で説明する。
【0070】
【表a】

【0071】
Ca2+またはSr2+イオンの供給源は、ゾル内に含めることによって、または発泡化材料を、好ましくは熟成および乾燥の後にCa2+またはSr2+イオンを含む溶液に曝露することによって、ナノ複合体中に組み込まれる。本発明のナノ複合材料の合成に関する詳細な説明を、以下の実施例中に示す。
【0072】
ナノ複合材料を合成し、それらの構造を解析した。図2に示した高分解能走査電子顕微鏡(SEM)画像によって示されるように、ナノ複合材料のナノ構造は、存在する有機および無機相の相対量、およびナノ複合材料の調製で使用されるゲル化触媒(ゲル化剤)の種類に依拠して調整できる。いくつかの実施形態では、ゲル化剤としてフッ化水素酸が使用される。HFは、無機ケイ酸塩の加水分解および重縮合を加速する。一般に、ゾルにポリマーを添加する時、ポリマーは、それ自体、既にかなり架橋されている。ゾル中でポリマーがシリカとの架橋を受けると、相互に連結されたポリマーおよび無機ネットワークが得られる。無機相と有機相との相対比率に応じて、これらのネットワークは、相互に連結されたポリマー鎖と無機(シリカ)鎖の形態を取ることができる。無機相が、高いwt%(例えば、50wt%〜80wt%の範囲の)を有する場合、無機相は、その中に分散されたポリマー鎖と相互に連結されたシリカマトリックスを含む。有機相の比率を、例えば、70wt%のオーダーの高いwt%まで高めると、ポリマーがマトリックス相であり、該マトリックス相は、マトリックスに結合されたシリカのナノ粒子と共に観察される。理論に拘束されるものではないが、この種の組織形態は、使用されるゲル化剤が、ポリマーをゲル化するものである場合にのみ可能であると考えられる。骨のナノ構造を緻密に調べると、それは、コラーゲン分子の末端および隙間にアパタイトの無機結晶を有する直線状コラーゲン分子から構成されていることが明らかになる。各相内の分子間に、および他の相に対してこのナノスケールでの強力な結合が存在する。結果として、ナノ複合材料に関する理想的な結合シナリオは、有機ポリマー相および無機ゲルの双方が一緒になって緊密にマトリックスを形成し、有機ポリマー相と無機相との間に区別が存在しない。
【0073】
生体活性および良好な機械的特性を示すことに加えて、本発明の複合材料は、加水分解によってのみ分解するポリマー、例えば、ポリエステルを含む複合材料とは特に対照的に、改善された分解特性を示す。ポリエステルが分解する場合、それは、加水分解による鎖切断による。一旦、水の取込みが起こると、ポリマー鎖は、水との反応のため、エステル結合の部位で繰り返し切断され、ポリマーの分子量を小さくする。分解は、分子量がポリマーに対する絡み合い値未満に降下するまで観察されない。この値未満で、鎖はほぐれ、ポリマーは崩壊する。これは、自触媒過程である。ポリエステルのなんらかの分解は、カルボン酸の放出および局所的pH降下をもたらし、このことが、分解を加速する。自触媒現象は、また、ポリエステル材料の内部で発生する分解の原因となる場合がある。したがって、ポリエステルは、末端よりもそれらの中心でより急速に分解し、そのことが、なんらかの質量損失に先立つ急速な強度低下につながる可能性がある。対照的に、酵素による分解は、表面から内部のみへの分解をもたらし、足場構造を骨で漸進的に置き換えることを可能にする。
【0074】
本発明は、以下の非制限的実施例を参照することによってさらに説明される。
【実施例】
【0075】
(ナノ複合材料の調製)
・ポリマーの官能化
実施する最初のステップは、ほぼ140000の分子量を有するγ−PGAの、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)との反応によるシラン化とした。
【0076】
100mL容の3首丸底フラスコに5gのγ−PGAを仕込み、それに、溶媒として45mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を添加した。フラスコの中心首上にコンデンサーを取り付け、側首には2つの栓を取り付けた。混合物を、磁気撹拌機で混合しながら、油浴中、70℃間で加熱した。ポリマーが完全に溶解したら、温度を80℃まで高め、フラスコの側首の1つに一定速度の乾燥窒素流を取り付けた。
【0077】
別のガラス容器中で、1.72mLの(98%)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)を5mLのDMSOと混合した。このGPTMS+DMSO混合物を、次いで、γ−PGA/DMSO溶液に滴加した。混合物を、乾燥N下で8時間反応させた。
【0078】
上記調合物中の架橋剤:ポリマーの比率は、1:50である。
【0079】
・ゾル混合物の調製
ゾルは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を酸性触媒中で水と反応させることによって調製した。19.5mLの脱イオン水を、磁気撹拌機を用いながら室温で7.8mLの1N塩酸と混合した。5分後に、2mLのTEOSを徐々に添加し、1時間混合した。これによって、100Sのゾルが生じた。
【0080】
カルシウムを含むゾルを作るには、100Sゾルに釣り合った量のCaClを添加し、さらに1時間混合した。若干量の塩素は、塩素が生理学的体液中に存在するので、身体によって許容され得ることに留意されたい。
【0081】
・ハイブリッドの合成
湯浴を80℃まで事前加熱した。官能化されたポリマーの熱混合物を、500mLの1首丸底フラスコ中に注ぎ込んだ。フラスコを、ロータリー真空エバポレーター(RVE)に取り付け、湯浴中に浸漬した。回転速度を、最初の30分間は高速に設定し、次いで、残りの30分間で微速まで減速した。DMSOを蒸発させるには高真空が必要となる。
【0082】
40mLを超えるDMSOを蒸発させたら、RVEを停止した。次いで、100Sまたはカルシウム含有ゾル混合物を、シラン化されたポリマー中に注ぎ込み、磁気撹拌機を用いながら室温で1日間混合した。
【0083】
・起泡
ゾルの10mLアリコートをポリプロピレン製ビーカー中に移し、それに、0.6mLの5vol%HF(5vol%または4.4wt%の触媒水溶液)および0.05mLの界面活性剤(Teepol、Thames Mead社)を添加した。溶液を、空気中で激しく撹拌しながら発泡させた。5分間混合した後に、5mLの水を添加して界面活性剤の効率を向上させる。ゲル化の直前に、発泡体を、ガラスまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の型に注ぎ込み、それを直ちに密封した。
【0084】
・熱処理
密封した型を、プログラム可能なオーブンに移し、0.5℃/分で60℃まで高め72時間加熱し、次いで放冷した。次いで、キャップを緩めて乾燥中の蒸気放出を可能にした。次いで、サンプルを60℃までさらに100時間再加熱し、放冷した。次いで、サンプルを、有毒ガス排出装置を備えた戸棚の中の真空オーブン中で60℃まで加熱して乾燥した。
【0085】
・カルシウムの組み込み
ゾル内にカルシウムを組み込むことの代わりとして、またはそれに付加して、上記で製造された発泡体をCa2+イオンを含む水溶液に曝露することにより、ナノ複合体中にカルシウムイオンを組み込むことができる。これは、70wt%のSiOと30wt%のCaOからなるガラスを粉末になるまで磨り潰すこと、該粉末を水に溶解してイオンに富む溶液を製造すること、およびこの溶液をポンプで発泡体を通して注入して、発泡体上に存在するアニオン性電荷とのカチオンの配位を可能にすることによって達成された。したがって、このポンプ注入法を使用して、100%のシリカ(100S)の無機相から製造されるナノ複合体中にカルシウムイオンを導入することができる。SBFへの曝露によるHCA析出によって測定されるような良好な生体活性が、双方のカルシウム組み込み方法によって製造されたナノ複合材料について観察された。
【0086】
・ゲル化時間に対する触媒濃度の影響
ゲル化および起泡ステップで使用する触媒量を増やすと、ゲル化時間が短縮し、このことは、撹拌を必要とする時間がより短いので、発泡体足場を製造するのがより速いことを意味する。しかし、HFは人体に対して有毒なので、少量の触媒を使用するのが好ましい。在来型のゾル−ゲルガラス加工処理において、HFは、約600〜800℃での熱処理によって除去される。対照的に、本発明方法では、HFを低温乾燥および洗浄によって除去して、HF含有量を低く保ってなんらかの残留リスクを低減するのに望ましい状態を補強する。ゲル化時間とHF濃度との間のバランスは、達成可能であり、これは起泡ステップに先立って除去されるDMSOの容積に依拠する。50:3(ゾル:HF)のゾル−ゲル溶液容積:HF(4.4wt%HF水溶液)容積の比率を用いる在来型のゾル−ゲルガラスの場合、ゲル化は、最大で12分を要する。40wt%のγ−PGAを用い、かつ最大で80vol%のDMSOを除去したナノ複合体の場合、ゲル化は、同じゾル:HFの比率の場合、6分経てば完結する。図5は、1:50の架橋剤:ポリマーの比率(GPTMSのモル:ポリマー中モノマー単位)を有し、40vol%のDMSOが除去されたナノ複合体に関する、HF含有量の関数としてのゲル化時間を描いたグラフを示す。ゲル化時間は、ゾル:HFの比率(DMSOを除去した後に測定された)が増加するにつれて、増加する。下表1は、ゾル:HFの比率を一定に保ちながら、異なる量のDMSOを除去した場合の、ゲル化時間を示す。
【0087】
【表1】

【0088】
触媒濃度およびゲル化時間は、蒸発させたDMSOの容積%によって左右される。例えば、50vol%のDMSOを除去した場合、理想的なゾル:HFの比率は、33:1であり、一方、80vol%のDMSOを除去した場合、理想的なゾル:HFの比率は17:1である。
【0089】
(製造した多孔性ナノ複合体の画像化)
前記のように製造したナノ複合材料の三次元マイクロコンピュータートポグラフィー(μCT)画像は、使用した発泡技術が、高度に多孔性で、十分に相互連結された細孔ネットワークを製造する上で成功していることを立証している(図3)。
【0090】
加えて、本発明の3種の異なる組成のナノ複合材料に関して、走査電子顕微鏡法(SEM)を実施し、生じた画像を図2に示す。ここで、図2a)は80wt%のSiOおよび20wt%のポリマーを含む複合体を示し、図2b)は50wt%のSiOおよび50wt%のポリマーを含む複合体を示し、図2c)は30wt%のSiOおよび70wt%のポリマーを含む複合体を示す。70wt%のポリマーを含む複合体の場合、シリカのナノ粒子が観察された。20wt%および50wt%のポリマーを含む複合体の場合、ナノ粒子は見出されなかった。
【0091】
(安定性試験)
比較の目的で、安定性試験は、100%SiOを含む無機発泡体に関して、模擬体液(SBF)中へ浸漬することによって実施した。無機発泡体は、極めて安定であることが見出された。さらなる比較の目的で、前に示した方法によるが、ポリマーのシラン化を含めずにハイブリッドを製造した。これらのハイブリッドの安定性は、ポリマー含有量を増加させると共に低下することが観察された。前記方法により製造した複合体に関して実施した安定性試験は、安定性のこの低下が、ポリマーのシラン化、および結果として生じるシリカネットワークへの架橋によって克服されることを立証している。シラン化されたポリマーを使用した複合体は、改善されたモジュラスおよび破壊強度を示す。
【0092】
(架橋度)
ナノ複合体を、架橋剤:ポリマーの比率を変えて前記のように調製した。1:25である架橋剤:ポリマーの高い比率の場合、若干の脆さが観察され、一方、1:50またはそれ未満の比率で、ナノ複合体は、柔軟性でかつ靭性になる。比率は、GPTMS分子当たりのポリマー中モノマー単位数によって表現される。所望される柔軟性および靭性が、1:100の比率でも観察された。
【0093】
(SBF生体活性試験)
模擬体液(SBF)を、Kokubo,T.ら、J.Biomed.Mater.Res.,1990.24:p.721〜734の方法に従って調製した。脱イオン水に下表に示す試薬を順番に添加して、1リットルのSBFを調製した。すべての試薬を700mLの脱イオン水に溶解し、37℃の温度まで温めた。pHを測定し、HCLを添加してpHを7.25とし、脱イオン水で容積を1000mLとした。
【0094】
【表A】

【0095】
ナノ複合材料をSBFに曝露し、HCA層の析出をモニターした。SBF生体活性試験を、100%のSiOからなる無機相を含むナノ複合体(複合体1)および85%のSiOと15%のCaOからなる無機相を含む前記のように製造された本発明のナノ複合体(複合体2)について実施した。複合体1に関して、ヒドロキシルカルボネートアパタイト(HCA)層は3日以内に観察されなかったが、複合体2に関して、HCA層は3日以内に観察された。
【0096】
(細孔径分布)
図6は、1:50の架橋剤:ポリマーのモル比率を有するナノ複合体の、それを水中に24時間浸漬した後の細孔径分布を示す。ナノ複合体の最頻ナノ細孔径は、BJHモデル(細孔径分布を与える窒素収着データの解析で使用されるモデル)によれば7.8nmであった。SBFに浸漬する前に、ナノ複合体は、ナノ多孔性を示さなかった。未架橋ポリマーの水中への放出がナノ細孔を開き、シリカネットワークは無傷で残る。組成が70S30Cの生体活性ゾル−ゲルガラスは、一般に、〜12nmの最頻ナノ細孔値を有する。本発明の複合材料の場合に観察されるより小さな最頻ナノ細孔径は、有益なことに、細胞接着を誘引する。
【0097】
(SBF中に浸漬した後のナノ複合材料に関するICPデータ)
ICPは、CaPO層を形成するためのCaおよびPOの表面への移行を示す。40wt%のγ−PGAおよび1:50である架橋剤:ポリマーのモル配分量を有するナノ複合体を浸漬した後の、SBFのイオン放出プロフィールを図7に示す。ナノ複合体は、SBF中にケイ素イオンを時間の関数として放出した。対照的に、SBF中のCaおよびP含有量は、時間とともに減少し、ナノ複合体表面でのリン酸カルシウム層の析出を示している。リン酸カルシウムの析出は、骨中のアパタイトへの結合を形成できるヒドロキシカルボネートアパタイト(HCA)層の形成を示唆し、生体活性を示している。
【0098】
図8は、処理し、次いでSBF中に1時間、24時間および72時間浸漬した後のナノ複合体のFTIRスペクトルを示す。該スペクトルは、HCA層が、SBF中に浸漬して24時間以内に生じることを示している。これは、70S30C生体活性ガラス上にHCA層が生じるのに必要とされるのと類似した時間である。
【0099】
(種々の組成を有するナノ複合材料の調製)
・ゼラチンナノ複合体
ゼラチンは、γ−PGAについて前述したような方法をベースにしてナノ複合体を創製するのにも使用されている天然ポリマーである。架橋剤としてGPTMSを使用して、強靭かつ柔軟な足場を製造した。前述のγ−PGAナノ複合体に使用される方法と類似の製造方法を使用した。溶媒としてDMSOの代わりに水を使用して、ゼラチンをGPTMSで官能化した。使用されるゼラチンの割合は、最大で80wt%とした。ナノ複合材料内の柔軟性は、ゼラチンの割合と共に増加することが観察された。ゼラチンに対するGPTMSの比率は、ナノ複合材料の特性を調整する上で重要であると再び判定された。GPTMS:ゼラチンの使用されるモル比は、0、100、250、500、1000、1500および2000とした。相分離は、500未満で観察された。GPTMSを、1000を超えて増やすと、材料中に未反応GPTMSが観察された。したがって、最小比率は100であり、最大比率は2000であり、GPTMSの最適濃度範囲は、500〜1000であった。
【0100】
(代わりの架橋剤を使用して製造されるナノ複合体)
GPTMSに対する代替として、アミノプロピルトリエトキシシランを使用してナノ複合体の製造を試みた。この架橋剤を使用して製造された複合材料は、有機相と無機相との間で共有性よりもむしろイオン性の架橋を有した。同様の結果は、GPTMSのエポキシ基よりもむしろ有機性−官能基を有する他の架橋剤について観察される。
【0101】
本発明は、各種の修正形態および代替形態が可能であると理解されたい。本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、本開示の精神の範囲内に包含されるすべての修正形態、等価形態、および代替形態に及ぶのは当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機相および無機相を含む生体活性のある多孔性複合材料であって、該有機および無機相が統合され、該有機相が酵素による生体内分解性のある有機ポリマーを含み、該無機相がゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含み、該有機相と該無機相との間に共有結合が存在し、かつ該複合材料が、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンの供給源を含む、前記多孔性複合材料。
【請求項2】
前記材料がナノ複合材料である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記無機相が、主に非微粒子である、請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
前記無機相が、ナノスケールである少なくとも1方向の寸法を有する無機鎖を含む、請求項1、2または3に記載の材料。
【請求項5】
前記無機相が、200nmを超えない平均最大直径を有する粒子を含む、請求項1に記載の材料。
【請求項6】
500μmまでの平均直径を有するマクロ細孔を含む相互に連結された多孔性ネットワークを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の材料。
【請求項7】
マクロ細孔間の相互連結の平均最小寸法が少なくとも100μmである、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
前記ポリマーが、生理学的pHでアニオン性電荷を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の材料。
【請求項9】
有機ポリマー上に存在するアニオン性電荷に配位された、および/または無機相のシリカネットワーク内に統合されたカルシウムイオンを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の材料。
【請求項10】
有機ポリマー上に存在するアニオン性電荷に配位された、および/または無機相のシリカネットワーク内に統合されたストロンチウムイオンを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の材料。
【請求項11】
前記ポリマーが、シラン化され得る官能基を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の材料。
【請求項12】
前記ポリマーがヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を含む、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
前記有機相がペンダント状のヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を有するポリマーから形成され、前記無機相がシリカネットワークを含み、かつ該有機および無機相がエポキシ官能基を含むシラン系架橋剤によって連結され、該架橋剤と該有機および無機相の双方との間に共有結合が存在する、請求項1〜12のいずれかに記載の材料。
【請求項14】
有機ポリマーの分子量が16000を超えるものである、請求項1〜13のいずれかに記載の材料。
【請求項15】
前記複合材料が、20wt%〜70wt%の有機相を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の材料。
【請求項16】
前記ポリマーが、ヒドロキシル基をもつポリラクチド、コラーゲン、またはゼラチンなどのその誘導体、ポリ(DL−アスパラギン酸)、あるいはポリグルタミン酸である、請求項1〜15のいずれかに記載の材料。
【請求項17】
前記ポリマーが、ポリ−α−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸である、請求項16に記載の材料。
【請求項18】
統合された有機および無機相を含む生体活性のあるナノ複合材料であって、該有機相が生体内分解性のある有機ポリマーを含み、該無機相がゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含み、該有機相と該無機相との間に共有結合が存在し、かつ該ナノ複合材料が、カルシウムイオンの供給源を含む、生体活性のあるナノ複合材料。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の多孔性複合材料を製造するための方法であって、
a)有機ポリマーをシラン化すること;
b)シリカの供給源、好ましくはシリカアルコキシドを含む水性ゾルを準備すること;
c)該ゾルにシラン化されたポリマーを添加すること;
d)該ゾルに界面活性剤およびゲル化触媒を添加すること;
e)該ゾルを空気の存在下で撹拌して発泡体を生じさせること;および
f)該発泡体を熟成および乾燥して多孔性複合材料を提供すること
を含み、カルシウムが、該ゾル中に組み込んだカルシウムおよび/またはストロンチウムイオンの供給源を導入することによって、および/またはステップe)で生じた多孔性複合材料を、好ましくは熟成および乾燥の後に、カルシウムおよび/またはストロンチウムイオンを含む水溶液に曝露することによって、該複合材料中に組み込まれる、前記製造方法。
【請求項20】
前記有機ポリマーが、酵素による生体内分解性のあるポリマーである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有機ポリマーが、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル官能基を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマーが、ペンダント状官能基と、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)などのエポキシ含有シラン系架橋剤との反応によってシラン化される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水性ゾルが、シリカアルコキシド、好ましくはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を水と酸性触媒下で反応させることよって調製される、請求項19〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ゾル中に導入されるカルシウム供給源が塩化カルシウムであり、および/または前記ゲル化触媒がフッ化水素酸である、請求項19〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ステップe)で生じる多孔性ナノ複合材料が、粉末状シリカ−カルシウム系ガラスを水に溶解することによって製造されるイオンに富む溶液に、該イオンに富む溶液をポンプで該多孔性材料を通して注入することにより、曝露される、請求項19〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
統合された有機および無機相を含む多孔性ナノ複合材料中へのカルシウムイオンの組込み方法であって、該有機相が酵素による生体内分解性のある有機ポリマーを含み、無機相がゾル−ゲル由来のシリカネットワークを含み、該有機相と該無機相との間に共有結合が存在し、該多孔性材料を、粉末状シリカ−カルシウム系ガラスを水に溶解することによって製造されるイオンに富む溶液に、該イオンに富む溶液をポンプで該多孔性材料を通して注入することにより、曝露することを含む、前記組込み方法。
【請求項27】
医薬において使用するための、請求項1〜18のいずれかに記載の複合材料。
【請求項28】
骨の修復および/または再生を促進するための足場として使用するための、請求項27に記載の複合材料。
【請求項29】
請求項1〜18のいずれかに記載の複合材料を含む、骨再生用足場。
【請求項30】
任意の実施例もしくは添付図面の図を参照して、または当該実施例もしくは図中で例示されるような、本明細書中で実質的に説明される複合材料、方法あるいは足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−537763(P2010−537763A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523585(P2010−523585)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003008
【国際公開番号】WO2009/030919
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508047679)インペリアル イノベーションズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】