説明

生体測定装置及び生体測定システム

【課題】不特定多数が利用する生体測定装置においても過去の測定データに対する相対値や評価等を提供すること、又はプライバシー情報を保ったまま生体測定可能な生体測定装置を提供すること、又はユーザーの過去の測定データを踏まえた表示や設定等を行うこと。
【解決手段】無線通信機能を有する携帯情報通信端末と無線通信を行う無線通信部160と、所与の生体情報の測定を行う生体測定部120と、測定結果を出力する測定結果出力部130と、前記携帯情報通信端末に、測定履歴データの送信要求を行う測定履歴データ要求部111と、前記測定履歴データの送信要求に対応して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定データの評価処理を行い、評価結果を前記測定結果出力部に出力させる測定結果出力制御部112とを含む生体測定装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体測定装置及び生体測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持のためには、定期的に体重や血圧等の生体測定を行うことが有効であり、宿泊施設や公衆浴場や公共施設等の各種施設には、不特定多数の人が利用する、血圧計、体重計等の生体測定装置が置かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−014737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な不特定多数の人が利用する生体測定装置において、測定データの即値が表示されるのを好まない人も多いが、かかるプライバシーに対する配慮がなされていないのが現状であった。
【0005】
またこの様に不特定多数の人が利用する生体測定装置の場合、生体測定装置にはユーザーの過去の測定履歴データは記録されていないので、測定データの即値を表示するしかなく、ユーザーの過去の測定データを踏まえた表示や設定等を行うことは困難であった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、不特定多数が利用する生体測定装置においても過去の測定データに対する相対値や評価等を提供すること、又はプライバシー情報を保ったまま生体測定可能な生体測定装置を提供すること、又はユーザーの過去の測定データを踏まえた表示や設定等を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、無線通信機能を有する携帯情報通信端末と無線通信を行う無線通信部と、所与の生体情報の測定を行う生体測定部と、測定結果を出力する測定結果出力部と、前記携帯情報通信端末に、測定履歴データの送信要求を行う測定履歴データ要求部と、前記測定履歴データの送信要求に対応して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定データの評価処理を行い、評価結果を前記測定結果出力部に出力させる測定結果出力制御部とを、含む生体測定装置に関する。
【0008】
本発明によれば、携帯情報通信端末からユーザーの測定履歴データを受信して、測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定データの評価を行い、評価結果を前記測定結果出力部に出力する。従って、不特定多数が利用する生体測定装置においても過去の測定データに対する相対値や評価等を提供することができるので、プライバシー情報を保ったまま、生体測定可能な生体測定装置を提供することができる。
【0009】
(2)この生体測定装置において、前記測定結果出力制御部は、前記測定データの即値に替えて評価結果を出力させる制御を行ってもよい。測定結果表示制御部は、測定データの即値表示を行わないので、ユーザーは周囲を気にせず、生体測定を行うことができるプライバシーに配慮した生体測定装置を提供することができる。
【0010】
(3)この生体測定装置において、前記測定結果出力制御部は、前記測定データの評価処理として、前記測定履歴データと測定データの差分を求め、評価結果として前記測定履歴データと測定データの差分を出力させる制御を行ってもよい。
【0011】
このようにすると、測定者本人のみが理解できる形式で測定結果を表示することができる。
【0012】
(4)この生体測定装置において、前記測定結果出力制御部は、前記測定データの評価処理として、前記測定履歴データと測定データの差分に基づきメッセージを作成し、評価結果として前記メッセージを出力させる制御を行ってもよい。
【0013】
(5)この生体測定装置において、測定時以外は、測定時よりも低電力で動作するモードである省電力モードに移行させる制御を行う省電力制御部をさらに含み、前記無線通信部は、前記携帯情報通信端末と無線通信の同期が確立していない状態において、所定の無線信号を受信可能なスレーブ状態に制御するスレーブ処理部を含み、前記省電力制御部は、前記無線通信部が所定の無線信号を受信すると、省電力モードを解除してもよい。
【0014】
(6)この生体測定装置において、測定データを記憶部に保存する測定データ保存処理部と、受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、個人認証を行い個人認証処理部と、を含んでもよい。
【0015】
(7)この生体測定装置において、個人認証結果に基づき、生体測定部の設定制御を行う設定制御部を含んでもよい。
【0016】
この様にすると、ユーザーがこれまで生体測定装置に対して行っていたユーザー切り替え操作や設定操作等を行う必要がないので、利便性の高い生体測定装置を提供することができる。
【0017】
(8)この生体測定装置において、受信した測定履歴データに基づき、生体測定部の設定制御を行ってもよい。
【0018】
なお生体測定装置の記憶部に測定データが記憶されている場合には、受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、生体測定部の設定制御を行ってもよい。
【0019】
(9)本発明の一態様は、上記のいずれかに記載の生体測定装置と、携帯情報通信端末を含む生体測定システムであって、前記情報通信端末は、前記生体測定装置と無線通信を行う無線通信部と、所与の生体情報測定機器から受信した測定履歴データを記憶部に記憶させる測定履歴データ保存処理部と、前記生体測定装置から測定履歴データの送信要求を受けると記憶部に記憶されている測定履歴データを前記生体測定装置に送信する測定履歴データ送信制御部とを、含む生体測定システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る生体測定システムの具体例を示す図。
【図2】本実施形態の生体測定装置の機能ブロック図の一例を示す図。
【図3】本実施の形態の測定履歴データの一例を示す図。
【図4】図4(A)(B)は、本実施の形態の測定結果出力制御について説明するための図。
【図5】本実施の形態の個人認証の一例について説明するための図。
【図6】実施の形態の携帯情報通信端末の機能ブロック図の一例を示す図。
【図7】差分値とメッセージの対応テーブルの一例。
【図8】生体測定装置の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図9】生体測定装置の制御処理(個人認証処理を行う場合)の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る生体測定システムの具体例を示す図である。
【0023】
本実施の形態の生体測定システム1は生体測定装置100と、携帯情報通信端末10を含んで構成してもよい。生体測定装置100が不特定多数の人が利用可能な体重計である場合を例にとり説明する。携帯情報通信端末10は、生体測定装置100と無線通信可能な携帯電話で実現可能であり、ユーザーYの過去の体重の測定データが測定履歴データとして記憶されている。携帯情報通信端末10には、体重計やパーソナルコンピューターから通信等により過去の測定データを取得してもよい。
【0024】
携帯情報通信端末10を携帯したユーザーYが、生体測定装置100と携帯情報通信端末10が通信可能な範囲に入ると、携帯情報通信端末10と体測定装置100の無線通信の同期が確立する。同期が確立すると、生体測定装置100の省電力モードが解除されるようにしてもよい。また同期が確立すると、生体測定装置100が、携帯情報通信端末10に測定履歴データの送信要求を行い、これに応じて携帯情報通信端末10が、記憶されている測定履歴データを生体測定装置100に送信し、生体測定機器100がこれを受信すると、本実施の形態の評価出力方式での測定が可能になる。
【0025】
図2に、生体測定装置の機能ブロック図の一例を示す。なお本実施形態の生体測定装置100は図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0026】
本実施の形態の生体測定装置100は、無線通信部160、処理部110、生体測定部120、測定結果出力部130、記憶部150と、アンテナ170等を含む。
【0027】
無線通信部160は、外部機器との間で無線通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサーや通信用ASICなどにより実現することができる。無線通信部160は、例えば、ブルートゥース、無線LAN或いはANTなどの方式の近距離無線通信を実現する。無線通信部160は、例えば処理部(CPU)110からのコマンドにしたがって外部と無線通信をおこなう機能モジュールであり、信号の送信を司るベースバンドブロックや所定のRF周波数信号をアンテナ170を介して送信するRFブロック等を備えるようにしてもよい。また例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)のようなIC完成後にユーザーが内部論理をプログラムにより変更できる汎用のロジック・デバイスで構成することもできる。無線通信部110は、マルチキャスト及びブロードキャスト通信処理等を行うことができるようにしてもよい。
【0028】
無線通信部160は、携帯情報通信端末と無線通信の同期が確立していない状態において、所定の無線信号を受信可能なスレーブ状態に制御するスレーブ処理部162を含む。
【0029】
アンテナ170は半波長のダイポールアンテナ等を使用するようにしてもよい。
記憶部150(メモリー)は、処理部110のワーク領域となり、また、処理部110の各部として情報通信端末10を機能させるためのプログラムやデータなどを格納するものであり、その機能はRAMやROMなどにより実現することができる。
【0030】
また記憶部150(メモリー)は、生体測定部120で測定した測定データを保存するための測定データ記憶部152やユーザーの属性情報(性別や身長や生年月日等)やユーザーの設定情報(ユーザー毎に選択している測定オプション等)等を保存するユーザー情報記憶部154をふくんでもよい。なお、測定データ記憶部152やユーザー情報記憶部154は、書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリーで構成してもよい。
【0031】
生体測定部120は、測定者の体重や血圧や脈拍等の所与の生体情報の測定を行うもので、測定用のセンサー122を含む。測定結果出力部130は測定結果を出力するものであり、例えば測定結果を表示する表示部でもよいし、測定結果を音声で出力する音声出力部でもよいし、測定結果をその他の形式で出力する出力部でもよい。
【0032】
処理部110は、所与の情報処理を行うもので、その機能は、各種プロセッサー(CPU等)、或いはASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、所与のプログラム(マイクロプログラム等)より実現できる。
【0033】
処理部110は、測定履歴データ要求部111、測定結果出力制御112、測定データ送信制御部113、省電力制御部114、個人認証処理部115、設定制御部116、測定データ保存処理部117を含む。
【0034】
測定履歴データ要求部111は、携帯情報通信端末に測定履歴データの送信要求を行い、測定結果出力制御部112は、測定履歴データの送信要求に対応して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定データの評価処理を行い、評価結果を前記測定結果出力部に出力させる。
【0035】
測定データ送信制御部113は、測定後に測定データを外部の情報通信機器に送信するための測定データ送信制御を行ってもよい。測定データ送信後は、測定データ及び受信した測定履歴データを削除してもよい。
【0036】
測定結果出力制御部112は、測定データの即値に替えて評価結果を出力させる制御を行ってもよい。
【0037】
また測定結果出力制御部112は、測定データの評価処理として、前記測定履歴データと測定データの差分を求め、評価結果として前記測定履歴データと測定データの差分を出力させる制御を行ってもよい。
【0038】
また測定結果出力制御部112は、測定データの評価処理として、測定履歴データと測定データの差分に基づきメッセージを作成し、評価結果として前記メッセージを出力させる制御を行ってもよい。
【0039】
省電力制御部114は、測定時以外は、測定時よりも低電力で動作するモードである省電力モードに移行させる制御を行い、無線通信部160が所定の無線信号を受信すると、省電力モードを解除するようにしてもよい。
【0040】
測定データ保存処理部117は、測定データを記憶部に保存する処理を行う。
【0041】
個人認証処理部115は、受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき個人認証を行う。
【0042】
設定制御部116は、生体測定部の設定制御を行う。生体測定部の設定制御とは、例えば生体測定部の各種パラメーター(例えば体重とともに体脂肪や肥満度等を測定する場合のパラメーターや、詳細測定範囲の設定等)や測定データ記録先等の設定制御でもよい。また例えば認証結果に応じて測定の可否(電源のオン・OFF)を制御するようにしてもよい。個人認証結果、対応する個人の記録データファイルを自動選択して、測定データを記録してもよい。また個人認証結果に基づき、個人に対応して登録されている測定オプションを選択実施してもよい。
【0043】
設定制御部116は、受信した測定履歴データに基づき、生体測定部の設定制御を行う。
【0044】
なお生体測定装置の記憶部に測定データが記憶されている場合には、受信した測定履歴データと、記憶部150に保存されている測定データに基づき、生体測定部の設定制御を行ってもよい。例えば受診した測定履歴データに基づき、測定対象となるユーザーの測定データの予想範囲を判定し、予想範囲について詳細なデータを測定するような測定範囲の設定を行ってもよい。
【0045】
図6に、本実施の形態の携帯情報通信端末の機能ブロック図の一例を示す。なお本実施形態の情報通信端末10は、図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0046】
本実施の形態の携帯情報通信端末10は、生体測定装置100と無線通信を行うのもで、処理部20、記憶部30、無線通信部40、アンテナ50等を含む。
【0047】
処理部20は、本携帯情報通信端末の各種の情報処理を行うもので、その機能は、各種プロセッサー(CPU等)、或いはASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、所与のプログラム(マイクロプログラム等)より実現できる。
【0048】
無線通信部40は、外部機器(図1の生体測定装置10を含む)との間で無線通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサーや通信用ASICなどにより実現することができる。無線通信部40は、例えば、ブルートゥース、無線LAN或いはANTなどの方式で近距離無線通信を実現する。無線通信部40は、例えば処理部(CPU)120からのコマンドにしたがって外部と無線通信をおこなう機能モジュールであり、信号の送信を司るベースバンドブロックや所定のRF周波数信号をアンテナ50を介して送信するRFブロック等を備えるようにしてもよい。また例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)のようなIC完成後にユーザーが内部論理をプログラムにより変更できる汎用のロジック・デバイスで構成することもできる。無線通信部40は、マルチキャスト及びブロードキャスト通信処理等を行うことができるようにしてもよい。
【0049】
無線通信部40は、外部機器との無線通信の同期を確立するための同期信号を送信して、外部機器との無線通信の同期を確立する無線通信同期確立部42を含んでもよい。
【0050】
アンテナ50は半波長のダイポールアンテナ等を使用するようにしてもよい。
記憶部30(メモリー)は、処理部100のワーク領域となり、また、処理部110の各部として情報通信端末10を機能させるためのプログラムやデータなどを格納するものであり、その機能はRAMやROMなどにより実現することができる。
【0051】
また記憶部150(メモリー)は、ユーザーYの過去の体重の測定データが記憶された測定履歴データ記憶部32を含む。なお、測定履歴データ記憶部32は、書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリーで構成してもよい。
【0052】
処理部20は、測定履歴データ保存処理部22と、測定履歴データ送信制御部24を含む。測定履歴データ保存処理部22は、所与の生体情報測定機器から受信した測定履歴データを記憶部に記憶させる処理を行う。測定履歴データ送信制御部24は、生体測定装置100から測定履歴データの送信要求を受けると記憶部に記憶されている測定履歴データを前記生体測定装置に送信する制御を行う。
【0053】
図3は、本実施の形態の測定履歴データの一例を示す図である。
【0054】
測定履歴データ200は、過去の測定データ230(測定データ(例えば体重の測定データ)234と測定日時232)と、当該測定データに対応するユーザーのユーザー識別情報210を含んでもよい。
【0055】
図4(A)(B)は、本実施の形態の測定結果出力制御について説明するための図である。図3に示すような測定履歴データ200を受信した場合を例にとり説明する。
【0056】
図4(A)は、ユーザーの測定値の即値250が63kg(250−1)である場合の測定結果出力例を示している。このような場合、測定履歴データ(図3参照)のなかの最新測定データ(測定履歴データ230の一例)である「62kg」236(図3参照)と、生体測定部が今回測定した測定データの即値250である「63kg」250−1に基づき、測定データの評価処理を行い評価結果を前記測定結果出力部に出力してもよい。
【0057】
評価処理として、例えばユーザーの測定値の即値250と測定履歴データに基づき所定の評価演算を行って演算結果を評価結果としてもよいし、演算結果に基づき所定のメッセージや評価値(レベル等)を選択してこれらを評価結果としてもよい。また測定履歴データとして用いるものは、受信した測定履歴データのうち最新測定データ(前回の測定データ)でもよいし、測定データの平均値や最多値でもよい。
【0058】
例えば測定データの評価処理として、測定履歴データ(図3参照)のなかの最新測定データである「62kg」232と測定データの即値である「63kg」250−1の差分である「+1」260−1を求め、評価結果として出力させる制御を行ってもよい。
【0059】
また例えば測定データの評価処理として、測定履歴データ(図3参照)のなかの最新測定データである「62kg」232と測定データの即値である「63kg」250−1の差分である「+1」260−1を求め、これに対応するメッセージである「ちょっと増えています!」270−1を選択して出力させる制御を行ってもよい。
【0060】
出力するメッセージは、差分値に対応して予め設定しておいてもよい。
【0061】
図4(B)は、ユーザーの測定値の即値250が61kg(250−2)である場合の測定結果出力例を示している。このような場合、例えば測定データの評価処理として、測定履歴データ(図3参照)のなかの最新測定データである「62kg」232と測定データの即値である「61kg」250−2の差分である「−1」260−2を求め、評価結果として出力させる制御を行ってもよい。
【0062】
また例えば測定データの評価処理として、測定履歴データ(図3参照)のなかの最新測定データである「62kg」232と測定データの即値である「61kg」250−2の差分である「−1」260−2を求め、これに対応するメッセージである「ちょっと増えています!」270−2を選択して出力させる制御を行ってもよい。
【0063】
出力するメッセージは、差分値に対応して予め設定しておいてもよい。
【0064】
図7は、差分値とメッセージの対応テーブルの一例である。
【0065】
図7に示す対応テーブル300は、第1のメッセージ出力パターン(健康管理のため体重維持を目的とする場合)の差分値とメッセージの対応の一例を示している。同図に示すように、測定データと測定履歴データのなかの最新測定データとの差分310と、メッセージ320の対応データを予めテーブルデータとして用意しておいてもよい。そして、測定データに応じて測定データと測定履歴データのなかの最新測定データとの差分を求め、対応テーブルを参照して、求めた差分310に対応するメッセージを選択して出力してもよい。図4(A)の場合には、差分が「+1」で2以上3未満であるので、対応するメッセージ322を出力してもよい。また図4(B)の場合には、差分が「−1」で−2以上−3未満であるので、対応するメッセージ324を出力してもよい。
なおダイエットのため体重減少を目的とする場合や、その他の目的の場合には異なる対応テーブルを用意してもよい。例えばメッセージの内容を変更してもよいし、テーブルの差分の数値の幅等を変更してもよい。
【0066】
なお目的に応じた複数の対応テーブルを用意しておいて、ユーザーが適宜設定できるようにしてもよい。例えばユーザー情報として、使用するメッセージパターン選択情報(テーブル選択情報)を持たせておいてもよい。
【0067】
なお測定データの即値250−1、250−2にかえて差分値260−1、260−2やメッセージ270−1、270−2を出力してもよいし、測定データの即値250−1、250−2とともに差分値260−1、260−2やメッセージ270−1、270−2を出力してもよい。
【0068】
また受信した測定履歴データに基づき生体測定装置の設定を行ってもよい。
【0069】
受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、生体測定部の設定制御(パラメーター及び測定データ記録先)を行ってもよい。
【0070】
なお生体測定装置の記憶部に測定データが記憶されている場合には、受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、生体測定部の設定制御を行ってもよい。
【0071】
例えば受診した測定履歴データに基づき、測定対象となるユーザーの測定データの予想範囲を判定し、予想範囲について詳細なデータを測定するような測定範囲の設定を行ってもよい。
【0072】
従来は不特定多数が利用する、血圧計、体重計等の生体測定装置を使用して生体測定を行う場合にも測定データの即値が表示され、プライバシーに対する配慮がなされていなかった。そして、不特定多数が利用する生体測定装置の場合、通常はユーザーの過去の測定履歴データは記録されていないので、測定データの即値を表示するしかなかなく、過去の測定データに対する相対値や評価等は提供することができなかった。
【0073】
しかし本実施の形態によれば、不特定多数が利用する生体測定装置においても過去の測定データに対する相対値や評価等を提供することができるので、プライバシー情報を保ったまま、生体測定可能な生体測定装置を提供することができる。
【0074】
図5は、本実施の形態の個人認証の一例について説明するための図である。
【0075】
生体測定装置100で、測定データを記憶部(測定データ記憶部)に保存し、保存されている測定データに基づき個人認証をおこなってもよい。複数のユーザーの測定データを保存する場合には、ユーザー毎にする。そして、携帯情報端末から受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、個人認証を行うようにしてもよい。
【0076】
400−1、400−2、400−3は、複数のユーザーの測定データ410−1、410−2、410−3やユーザー情報410−1、410−2、410−3がファイルにD1、D2、D3に格納されている例を示している。測定データ420は、測定日時422と測定データ424を含んでもよい。またユーザー情報は、ユーザー名(ニックネームでもよい)432、性別434、生年月日436、身長160等を含んでもよい。
【0077】
このような場合において、図3に示すような測定履歴データを受け取ると、各ファイルに保存されている測定データ420−1、420−2、420−3と受信した測定履歴データを比較して、受信した測定履歴データと同じユーザーの測定データがあるか否か判定してもよい。例えば受信した測定履歴データのなかの最新測定データと、保存されている各ユーザーの最新測定データを比較して差分が所定範囲内にある場合に同じユーザーの測定データであると判定してもよい。また例えば受信した測定履歴データのなかの所定期間内(例えば過去n月以内のデータ)の平均値と、保存されている各ユーザーの測定データのなかの所定期間内(例えば過去n月以内のデータ)の平均値とを比較して差分が所定範囲内にある場合に同じユーザーの測定データであると判定してもよい。
【0078】
図5の場合には、ファイルD1の測定データの最新の測定データの値「62.2kg」と受信した測定履歴データのなかの最新の測定データの値「62kg」の差分が所定範囲内(例えば2kg以内)なので、ファイルD1のユーザーと同じであると判断してもよい。
【0079】
測定データを生体測定装置のファイルに格納する際には、個人認証結果に基づき、測定結果を格納するファイルを判定して自動的に対応するファイルに格納するようにしてもよい。
【0080】
また測定履歴データと同じユーザーのユーザー情報に基づき、生体測定部の設定制御(パラメーター及び測定データ記録先)を行ってもよい。例えば、測定データとともに、体脂肪率や肥満度等を判定する場合には、性別や年齢や身長によって判定がことなるので、ユーザー情報の性別や年齢や身長を参照して、体脂肪率や肥満度等を判定してもよい。
【0081】
この様にすると、ユーザーがこれまで生体測定装置に対して行っていたユーザー切り替え操作等や設定操作を行う必要がないので、利便性の高い生体測定装置を提供することができる。
【0082】
図8は、生体測定装置の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
携帯情報通信端末は、所定の間隔で間欠的に同期信号を送信している。
【0084】
生体測定装置が省電力モードでスレーブ状態にある場合に(ステップS10)、携帯情報通信端末から同期信号を受信して、携帯情報通信端末と同期が確立した場合には(ステップS20)、省電力モードを解除する(ステップS30)。
【0085】
次に携帯情報通信端末に測定履歴データの送信要求を送信する(ステップS40)。携帯情報通信端末から測定履歴データを受信し(ステップS50)、測定イベントが発生すると(ステップS60)、送信データの要求に対して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定者に告知する測定結果の評価データの作成を行い、測定結果出力部に評価データを出力する(ステップS70)。そして、今回の測定データを携帯情報端末に送信して、今回の測定データ及び受信した測定履歴データを消去する(ステップS80)。
【0086】
図9は、生体測定装置の制御処理(個人認証処理を行う場合)の流れを示すフローチャートである。
【0087】
携帯情報通信端末は、所定の間隔で間欠的に同期信号を送信している。
【0088】
生体測定装置が省電力モードでスレーブ状態にある場合に(ステップS110)、携帯情報通信端末から同期信号を受信して、携帯情報通信端末と同期が確立した場合には(ステップS120)、省電力モードを解除する(ステップS130)。
【0089】
次に携帯情報通信端末に測定履歴データの送信要求を送信する(ステップS140)。
【0090】
測定履歴データを受信し(ステップS150)、受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、個人認証を行う。(ステップS160)。そして、個人認証結果に基づき、生体測定部の制御情報(パラメーター及び測定データ記録先)等の設定を行う(ステップS170)。
【0091】
測定イベント発生すると(ステップS180)、送信データの要求に対して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定者に告知する測定結果の評価データの作成を行い、測定結果出力部に評価データを出力する(ステップS190)。そして、今回の測定データを携帯情報端末に送信するとともに、記憶部の対応するユーザーファイルに保存する(ステップS200)。
【0092】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0093】
例えば上記実施の形態においては、生体測定装置が体重計である場合を例に説明したが、これに限られない。例えば生体測定装置が、血圧計や、脈拍計や、視力測定機等である場合でもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 生体測定システム、10 携帯情報通信端末、20 処理部(CPU)、22 測定履歴データ保存処理部、24 測定履歴データ送信制御部、100 携帯情報通信端末、110 処理部、111 測定履歴データ要求部、112 測定結果出力制御、113 測定データ送信制御部、114 省電力制御部、115 個人認証処理部、116 設定制御部、117 測定データ保存処理部、120 生体測定部、122 センサー、130 測定結果出力部、150 記憶部、152 測定データ記憶部、154 ユーザー情報記憶部、160 無線通信部、162 スレーブ処理部、170 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を有する携帯情報通信端末と無線通信を行う無線通信部と、
所与の生体情報の測定を行う生体測定部と、
測定結果を出力する測定結果出力部と、
前記携帯情報通信端末に、測定履歴データの送信要求を行う測定履歴データ要求部と、
前記測定履歴データの送信要求に対応して受信した測定履歴データと、生体測定部が測定した測定データに基づき、測定データの評価処理を行い、評価結果を前記測定結果出力部に出力させる測定結果出力制御部とを、含む生体測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記測定結果出力制御部は、
前記測定データの即値に替えて評価結果を出力させる制御を行う生体測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記測定結果出力制御部は、
前記測定データの評価処理として、前記測定履歴データと測定データの差分を求め、評価結果として前記測定履歴データと測定データの差分を出力させる制御を行う生体測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記測定結果出力制御部は、
前記測定データの評価処理として、前記測定履歴データと測定データの差分に基づきメッセージを作成し、評価結果として前記メッセージを出力させる制御を行う生体測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
測定時以外は、測定時よりも低電力で動作するモードである省電力モードに移行させる制御を行う省電力制御部をさらに含み、
前記無線通信部は、
前記携帯情報通信端末と無線通信の同期が確立していない状態において、所定の無線信号を受信可能なスレーブ状態に制御するスレーブ処理部を含み、
前記省電力制御部は、
前記無線通信部が所定の無線信号を受信すると、省電力モードを解除する生体測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
測定データを記憶部に保存する測定データ保存処理部と、
受信した測定履歴データと、記憶部に保存されている測定データに基づき、個人認証を行い個人認証処理部と、を含む生体測定装置。
【請求項7】
請求項6において、
個人認証結果に基づき、生体測定部の設定制御を行う設定制御部を含む生体測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
受信した測定履歴データに基づき、生体測定部の設定制御を行う設定制御部を含む生体測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の生体測定装置と、携帯情報通信端末を含む生体測定システムであって、
前記情報通信端末は、
前記生体測定装置と無線通信を行う無線通信部と、
所与の生体情報測定機器から受信した測定履歴データを記憶部に記憶させる測定履歴データ保存処理部と、
前記生体測定装置から測定履歴データの送信要求を受けると記憶部に記憶されている測定履歴データを前記生体測定装置に送信する測定履歴データ送信制御部とを、含む生体測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−192086(P2012−192086A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59404(P2011−59404)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】