説明

生体測定装置及び生体測定方法

【課題】生体測定装置が設置された地域に関わらず、個々の利用者の体形を判別することによって、その利用者にとって適切な回帰式を設定し、これによる目的生体情報を算出することができる生体測定装置及び生体測定方法を提供する。
【解決手段】利用者の身長と、体重と、生体電気インピーダンスと、を含む基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得手段、複数の体形情報と、体形情報に対応する回帰式と、を有する対応テーブルを記憶した記憶手段、利用者の体形情報を取得する体形情報取得手段、体形情報取得手段によって取得した利用者の体形情報を対応テーブルに適用して回帰式を選択する回帰式設定手段、及び、基礎生体情報取得手段によって取得した基礎生体情報を、回帰式設定手段によって選択された回帰式に適用して目的生体情報を算出する演算手段、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の生体情報を計測するための生体測定装置及び生体測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体測定装置として、利用者の生体電気インピーダンス、体重、年齢、性別その他の基礎生体情報を取得することができ、取得された基礎生体情報を用いて、体脂肪率、内臓脂肪レベルその他の目的生体情報を推定値として算出することができるものが提案されている。
【0003】
目的生体情報を算出するために必要な基礎生体情報のうち、生体電気インピーダンスは、一般的には、両足のつま先間に両脚部(下半身)を介して微弱な定電流を流すとともに、この電流経路に発生する電圧差を両足のかかと部分で測定し、この定電流と電圧差とに基づいて求められる。そして、人体内を流れる電流は筋肉などの水分を含む組織は流れやすく(インピーダンスが低く)、脂肪などは流れにくい(インピーダンスが高い)という性質を利用して、前記のようにして求めた生体電気インピーダンス及びその他の基礎生体情報を、予め定めた回帰式に適用することにより、体脂肪率等の目的生体情報を推定値として算出する。
【0004】
ここで、例えば、日本人と欧米人との間には、主として脚の長さ(換言すれば胴の長さ)などの点で体形が相違することから、前記電流経路の長さも異なり、主として生体電気インピーダンスの測定結果に影響を与えてしまうため、日本においては日本人の体形に適した回帰式を備えた(すなわち日本向けの)生体測定装置が、欧米諸国においては欧米人の体形に適した回帰式(すなわち欧米向けの)生体測定装置が、それぞれ用いられている。従って、生体測定装置の利用者が、同程度の体形を有している場合には、同一の回帰式を用いて(すなわち同一の生体測定装置を用いて)目的生体情報の算出を行えばよい。
【0005】
例えば、生体測定装置の利用地域が日本であれば(日本向けの生体測定装置であれば)、その利用者は主として日本人であり、その生体測定装置においては、日本人の体形に適した1種類の回帰式を記憶させておけばよく、その回帰式に、日本人利用者の生体電気インピーダンス等の基礎生体情報を適用すれば、所望の目的生体情報を得ることができる。一方、生体測定装置の利用地域が欧米の国々であれば(欧米向けの生体測定装置であれば)、その利用者は主として欧米人であるから、その生体測定装置においては、欧米人の体形に適した1種類の回帰式を記憶させておき、その回帰式に、欧米人利用者の生体電気インピーダンス等の基礎生体情報を適用すれば、所望の目的生体情報を得ることができる。したがって、従来の生体測定装置は、国や人種の違いによる体形の違いが反映された目的生体情報を算出できるように、生体測定装置を設置(使用)する地域に対応させた回帰式を備えるものであった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−143786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年の国際交流の多い今般、生体測定装置の利用者が、常に同程度の体形を有しているとは限らない場合も多い。例えば、前記の例における欧米人が日本に滞在している場合に、日本のスポーツジム等に置かれている日本向けの生体測定装置によって取得した目的生体情報の各値は、自国で使用していた欧米向けの生体測定装置による目的生体情報の各値とで違いを生じてしまう事態が生じてしまう。
【0008】
このように、利用者が、自国で使用する生体測定装置と、外国滞在中に使用する生体測定装置と、で回帰式が異なることがあるために、外国滞在中においては、利用者が自国の生体測定装置で算出した目的生体情報との違いが生じてしまい、生体測定装置で継続的に目的生体情報を取得することによる健康管理に支障が生じてしまうという問題があった。
【0009】
なお、出願人は、特許文献1に示すように、複数の回帰式を有し、利用者が生体測定装置の使用地域を選択・入力することで、それに合わせた回帰式を選択する生体計測装置を提案しているが、例えば、スポーツジムのような公共の施設において設置されている生体測定装置などにあっては、使用地域(例えば日本)は同じであっても、利用者は人種が異なることもあり、使用地域を選択するだけでは、必ずしも利用者にとって適切な回帰式の設定ができない場合があるため、この点をさらに改良し、個々の利用者ごとに適切な回帰式の設定が可能な生体測定装置を提案するものである。
【0010】
そこで本発明は、生体測定装置が設置された地域に関わらず、個々の利用者の体形を判別することによって、その利用者にとって適切な回帰式を設定し、これによる目的生体情報を算出することができる生体測定装置及び生体測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の体形計測装置においては、少なくとも利用者の身長と、体重と、生体電気インピーダンスと、を含む基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得手段、複数の体形情報と、前記体形情報に対応する回帰式と、を有する対応テーブルを記憶した記憶手段、前記利用者の体形情報を取得する体形情報取得手段、前記体形情報取得手段によって取得した前記利用者の前記体形情報を前記対応テーブルに適用して前記回帰式を選択する回帰式設定手段、及び、前記基礎生体情報取得手段によって取得した前記基礎生体情報を、前記回帰式設定手段によって選択された回帰式に適用して目的生体情報を算出する演算手段、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の体形計測装置において、前記体形情報は、前記利用者の身体のいずれかの部位の長さに関する情報であることを特徴とする。
【0013】
本発明の体形計測装置において、前記体形情報は、前記利用者の身長と股下の長さとの比であることを特徴とする。
【0014】
本発明の体形計測装置において、前記体形情報取得手段は、前記利用者の体形情報を測定可能な体形情報測定装置であることを特徴とする。
【0015】
本発明の体形計測装置において、前記基礎生体情報は、さらに、利用者の性別及び年齢を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の体形計測装置において、前記目的生体情報は、体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分率、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、又は体脂肪面積を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の体形計測方法は、少なくとも利用者の身長と、体重と、生体電気インピーダンスと、を含む基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得工程、前記利用者の体形情報を取得する体形情報取得工程、複数の体形情報と、前記体形情報に対応する回帰式と、を有する対応テーブルを用いて、前記体形情報取得工程によって取得した前記利用者の前記体形情報を前記対応テーブルに適用して前記回帰式を選択する回帰式設定工程、及び、前記基礎生体情報取得手段によって取得した前記基礎生体情報を、前記回帰式設定手段によって選択された回帰式に適用して目的生体情報を算出する演算工程、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の体形計測方法において、前記体形情報取得工程は、前記基礎生体情報取得工程と同時に、前記利用者の体形情報を測定することによって実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、個々の利用者の体形を個別に取得することができ、この体形によって、利用者の体形に応じた最適の回帰式を選択可能となる。このように選択された回帰式を用いることにより、生体測定装置が設置された地域に関わらず、その利用者にとって適切な回帰式を設定し、これによる目的生体情報を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態として、体形情報が利用者の身長と股下の長さとの比である場合に適用した生体測定装置10について、図1乃至図3を参照しつつ詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る生体測定装置10の構成を示す斜視図、図2は、生体測定装置10の構成を示すブロック図、図3は、対応テーブルの内容を示す図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態にかかる生体測定装置10は、基台15上にそれぞれ固定された本体20及び体組成計30を有する。本体20は、光源部21、受光部22、表示入力部25、並びに、光源部21及び受光部22を移動させる駆動部46を備える。以下に、各部材の詳細な構成について説明する。
【0022】
本体20は略直方体形状をなし、下面が基台15に固定されている。基台15には、本体20の前面側に、体組成計30が固定されている。
【0023】
本体20の前面側(体組成計30側)には、体形情報取得手段として、体組成計30上に載った利用者に向かって測定光を出射する光源部21(体形情報測定装置)、及び、利用者からの反射光を受光する受光部(体形情報測定装置)22が、駆動部46に接続された状態で設けられている。駆動部46は、制御部40から出力された指示信号を受けることによって駆動し、光源部21及び受光部22は、互いに連動しながら、駆動部46の動作に応じて本体20の前面側を移動可能になっている。
【0024】
より詳しくは、後述の電極部材のうち、通電電極32aと通電電極32dとの中間点、及び、測定電極32bと測定電極32cとの中間点を結んだ線を中心線cとし、中心線cと本体20の前面側との交点を原点Oとした場合において、光源部21及び受光部22は、原点Oを通るように、又は原点O最下端として、本体20の上下方向(図1の矢印方向)に駆動するようになっている。一方、光源部21及び受光部22が移動可能な最上端は、特に限定されるものではないが、大人の脚の付け根(股間部)の位置を捉えて股下の長さを測定できるのに十分な位置であれば良く、例えば、大人の腰の位置程度まで駆動が可能に構成しておくのがよい。
【0025】
光源部21は、測定光として、例えば赤外光を出射する。光源部21による測定光は、利用者に向かって水平に照射できるようになっている。一方、受光部22は、光源部21から出射された測定光の利用者による反射光を検知することが可能な光センサで構成されている。受光部22による測定光の検知データ(測定光の検知の有無、原点Oからの検知位置などを含む。)は、制御部40へ出力されて、記憶部41に保存される。
【0026】
本体20の前面において、例えば光源部21及び受光部22の上方には、表示入力部25が配置されている。表示入力部25は、一例としてタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルを用いる。この表示入力部25は、表示部25aと、入力部25bと、を有している(図2参照)。
【0027】
入力部25bは、利用者の基礎生体情報としての、例えば、身長、性別、年齢などを予め入力することができるようになっている。なお、利用者自身が既に、自己の股下の長さを知っている場合には、その情報を入力することも可能である。また、表示部25aは、入力部25bによって入力された情報、体組成計30を用いた測定によって得られた基礎生体情報(例えば、体重、生体電気インピーダンス)、受光部22による検知データ、目的生体情報(例えば、体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分率、筋肉量、基礎代謝量、骨量などの体組成情報)を表示可能になっている。なお、表示部25aと入力部25bとは、本実施形態のように一体型で構成してもよいが、それぞれを別体で構成するようにしてもよい。表示入力部25は、基礎生体取得手段、及び、体形取得手段として機能する。
【0028】
体組成計30は、体形情報(本実施形態では身長と股下の長さとの比)に基づいて所定の回帰式を選択すると共に、利用者の身長、年齢、及び性別といった事前に入力された基礎生体情報と、体重及び生体電気インピーダンスといった体組成計30で測定した基礎生体情報と、をパラメータとして前記回帰式に適用・演算することにより、利用者の体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分率、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、又は体脂肪面積といった体組成情報(目的生体情報)を算出することができるように構成されている。
【0029】
体組成計30は、載せ台31に電極部材32を有している。電極部材32は、体組成計30の上面に設けられた4枚の電極部材32a、32b、32c、32dを備えている。なお、これらの電極部材に加えて、利用者の両手でそれぞれ把持することのできるグリップ型の電極部材(手電極)を設けることもできる。
【0030】
体組成計30では、本体20側を向いて利用者が載った場合に、利用者のつま先が接触する電極部材32a、32dを通電電極、かかとが接触する電極部材32b、32cを測定電極としている。通電電極32a、32dには電流供給部33が接続され、制御部40からの指示信号に従って所定の微弱な定電流が供給されるようになっている。一方、測定電極32b、32cには電圧測定部34が接続され、測定電極32b、32cにおける電位差(電圧)が測定され、測定結果は制御部40へ出力される。これにより、両足のつま先間に、両脚部(下半身)を介して電流を流し、この電流経路に発生する電位差(電圧)をかかと間で測定することができる。
【0031】
また、体組成計30の内部には体重測定部35が設けられている(図2)。体重測定部35の構成は公知のものを適宜採択可能であり、具体的には、荷重を掛けると荷重に応じて変形する金属部材からなる起歪体と、起歪体に装着される歪みゲージと、からなるロードセルを用いることにより、荷重に応じた抵抗値の変化により利用者の体重を測定するようにすればよい。
【0032】
図2に示すように、表示入力部25(表示部25a及び入力部25b)及び駆動部46は、体組成計30の制御部40に接続されており、制御部40によって動作が制御されるようになっている。また、制御部40は、体組成計30の体重測定部35や電圧測定部34、また、入力部25b及び演算部42から送られた情報を処理する。データの処理は、制御部40の制御のもと、演算部42で行い、演算結果は記憶部41に記憶される。この記憶部41には、データの処理に必要な情報、プログラム、及び、後述の対応テーブルが予め保存されている。
【0033】
記憶部41には、図3に例示するような対応テーブルが予め保存されている。この対応テーブルは、体形情報(例えば、I〜IIの2種類)と、性別(男性、女性)とによって、回帰式を選択可能とするものである。
【0034】
ここで、体形情報としては、本実施の形態では利用者の股下の長さと身長との比を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、回帰式を変更すべき身体的特徴(主として脚又は胴の長短)を有しているかどうか(例えば、東洋人であるか、西洋人であるか)を判別可能な体形に関する情報であればよく、利用者の股下の長さと身長との比の他に、臀溝高と身長との比、頭部の形状(頭部を上から見たときの前後方向の長さと左右方向の長さ)など、利用者の身体のいずれかの部位の長さに関する情報であればよい。体形情報は、入力部25bの操作によって入力された情報(股下の長さ)に基づいて演算部42が算出した体形情報(股下の長さと身長との比)と、受光部22による検知データ(脚の付け根部分(股間部分)の原点Oからの検知位置)に基づいて演算部42が算出した体形情報(股下長さの算出、股下の長さと身長との比)と、のいずれであってもよい。
【0035】
対応テーブルに設けておく体系情報(利用者の股下の長さと身長との比)は、それぞれ所定の範囲をもたせた値であり、例えば、利用者が東洋人であるとの推定を許容できる範囲の値を(I)、西洋人であるとの推定を許容できる範囲の値を(II)に設定しておくようにすればよい。
【0036】
回帰式は、入力、測定、又は演算によって得られた基礎生体情報(例えば、性別、年齢、体重、生体インピーダンス)を適用(代入)することによって、目的生体情報(例えば、体脂肪率、体水分率その他の生体情報)を算出するための数式である。この回帰式では、演算に用いる基礎生体情報(パラメータ)や係数を適宜選択することによって、利用者の体形に適合した目的生体情報を得ることができる。
【0037】
回帰式は、例えば東洋人と西洋人とのように脚又は胴の長短など、人種によって体形に相違があることに起因して、異なる人種に適応する少なくとも二種類以上の回帰式を作成しておくことが好ましい。従って、図3に示すように、利用者が東洋人であるとの推定を許容できる範囲の体形情報を有する利用者には((I)の場合には)東洋人に適切な回帰式A(又は回帰式B)、西洋人であるとの推定を許容できる範囲の体形情報を有する利用者には((II)の場合には)、西洋人に適切な回帰式C(又は回帰式D)、というようにして、体形情報に対応する回帰式を設定しておく。また、性別ごとの回帰式を作成しておくのがより好ましく、図3に示すように、男性の場合には回帰式A(又は回帰式C)、女性の場合には回帰式B(又は回帰式D)というように設定し、さらに好ましくは、年齢に応じた回帰式を設定しておくとよい。
【0038】
つづいて、生体測定装置10を用いた生体計測方法(手順)について説明する。
まず、利用者は、入力部25bを操作することによって、身長、年齢、性別といった予め判明している基礎生体情報を入力する。また、自己の股下の長さを予め了知している利用者は、その股下の長さを入力しておく。入力部25bで入力された情報は、制御部40による制御のもと、記憶部41に記憶される。
【0039】
次に、利用者が本体20と向かい合いながら、かつ、左足つま先を電極部材32a、左足かかとを電極部材32b、右足つま先を電極部材32d、右足かかとを電極部材32cに接するようにして、体組成計30に載ると、体重測定部35による体重(基礎生体情報)の測定、及び、電極部材32、電流供給部33、電圧測定部34による生体インピーダンスの測定を開始する。
【0040】
制御部40は、電流供給部33に対して、体組成計30の通電電極32a、32dに与える電流量を指示する信号を出力し、これを受けた電流供給部33は体組成計30の通電電極32a、32dへ定電流を出力する。電流印加によって生じた電位差は体組成計30の測定電極32b、32cを介して電圧測定部34で測定され、測定結果が制御部40へ出力される。また、体組成計30の体重測定部35のロードセル(図に示さず)から得られた抵抗値が制御部40へ出力される。
【0041】
制御部40は、演算部42に対して、記憶部41に記憶されたプログラムにしたがって、電圧測定部34において測定された電圧値及び印加した電流値から利用者の生体電気インピーダンスを、体重測定部35において測定された抵抗値から体重を、それぞれ算出させ、算出された体重及び生体電気インピーダンスは、基礎生体情報として記憶部41に記憶させる。
【0042】
また、股下の長さが入力されていない場合には、前述の体重及び生体電気インピーダンス(基礎生体情報)の取得工程と同時に、利用者の股下の長さを測定する。なお、体重及び生体電気インピーダンス(基礎生体情報)の取得工程と同時に行うのは、利用者が電極部材32のそれぞれに若干脚を広げた状態で直立状態の姿勢を保っているため、後述の股下の長さの測定を正確に実施することができると共に、工程の同時進行による時間短縮をも図ることができ好適だからである。
【0043】
具体的には、光源部21及び受光部22を原点Oの位置にセットしておき、体組成計30に載った利用者側に水平に光源部21から測定光を出射しながら、光源部21及び受光部22を上方に向かって移動させていく。利用者の脚の付け根部分(股間部分)の高さまで達したとき、光源部21が発する測定光は利用者の体に反射し、その反射した測定光を受光部22が検知する。その検知データ(測定光の検知の有無、原点Oからの検知位置)を制御部40へ出力し、記憶部41に記憶される。
【0044】
制御部40は、測定光の原点Oからの検知位置を利用者の股下の長さとして、または、入力部25bから入力された股下の長さを用いて、演算部42において利用者の身長と股下の長さの比を演算させ、演算結果を利用者の体形情報として記憶部41に記憶させる。
【0045】
つぎに、制御部40は、体形情報、及び、入力部25bから入力された性別情報に基づいて、対応テーブル(図3)から回帰式を選択して特定するとともに、演算部42において、その回帰式に、基礎生体情報(身長、性別、年齢、体重、生体電気インピーダンス)のうちの必要な情報を代入して演算させ、目的生体情報としての、体脂肪率、体水分率、全身又は各部位の筋肉量、基礎代謝量、骨量、内臓脂肪レベル等を算出させる。また、目的生体情報は、表示部25aに表示させるように指示する。
【0046】
以下に変形例について説明する。
上述の実施形態では、体組成計30は、体重・生体電気インピーダンスといった基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得手段、回帰式設定手段(制御部40)、演算手段(演算部42)、記憶手段(記憶部41)として機能するものであったが、本体20に演算手段や記憶手段、回帰式設定手段を設けるように構成してもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、光源部21と受光部22とを駆動部46によって上下移動可能にして、測定光の反射を検知することによって、利用者の股下の長さを測定するものであったが、これ以外にも、本体20の前面側に、原点Oから所定高さにカメラ(図に示さず)を設け、利用者の体形を画像として画像処理部(図に示さず)に取り込み、股下長さを特定するようにしてもよく、股下の長さを特定できれる構成を適宜採択可能である。なお、この構成によれば、股下以外の身体部位であっても、その長さを容易に取得することができる。
【0048】
また、利用者の身長は、本体20に別に設けた身長計(図に示さず)によって計測するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る生体測定装置の構成を示す斜視図である。第2実施形態に係る生体測定装置100は、第1実施形態に係る生体測定装置10の本体20に設けられていた、表示入力部25(表示部25a及び入力部25b)、光源部21、及び、受光部22を、体組成計30に備えるように構成したものである。
【0050】
生体測定装置100は、載せ台131上に、4つの電極部材132(通電電極132a、132d、測定電極132b、132c)、表示部125a、入力部125b、フットスイッチ113、並びに、体形情報取得手段及び体形情報測定手段としての、光源部121及び受光部122が設けられている。
【0051】
光源部121及び受光部122は、第1実施形態に係る生体測定装置10の光源部21及び受光部22のような駆動を行うものではなく、測定電極132bと測定電極132cとの間において固定して設けられている。測定電極132bと測定電極132cとの間に設けられているのは、利用者が生体測定装置100の各電極部材132に沿って載った場合に、脚の付け根部分(股間部分)の真下に位置するためである。光源部121は、真上に向かって測定光(例えば赤外光)を出射し、利用者の脚の付け根部分(股間部分)で反射した測定光を受光部122で受光するようになっている。そして、出射された測定光に対する受光された測定光の強さ(弱まり具合)や、出射から受光までに要した時間などに基づいて、演算部において利用者の股下の長さを算出するようになっている。
【0052】
なお、光源部121及び受光部122は、第1実施形態に係る生体測定装置10の光源部21及び受光部22と同様に光センサを用いるものを示したが、超音波距離センサを用いるようにしても良い。この場合には、光源部121に代えて超音波放射部、受光部122に代えて、超音波の反射波を検出する超音波検出部として構成し、超音波放射から検出までに要した時間に基づいて、長さを決定するようにすればよい。第2実施形態に係る生体測定装置100のその他の構成並びに動作の流れは第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0053】
第2実施形態に係る生体測定装置によれば、設置場所の省スペース化を計ることができるという、第1実施形態にはない効果を有する。
【0054】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る生体測定装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る生体測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る対応テーブルを示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る生体測定装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10、100 生体測定装置
15 基台
20 本体
21、121 光源部(体形情報取得手段、体形情報測定装置)
22、122 受光部(体形情報取得手段、体形情報測定装置)
25、125 表示入力部(基礎生体情報取得手段、体形情報取得手段)
25a、125a 表示部
25b、125b 入力部(基礎生体情報取得手段、体形情報取得手段)
30 体組成計(基礎生体情報取得手段)
31、131 載せ台
32、132 電極部材
32a、132a 通電電極(電極部材)
32b、132b 測定電極(電極部材)
32c、132c 測定電極(電極部材)
32d、132d 通電電極(電極部材)
33 電流供給部
34 電圧測定部
35 体重測定部
40 制御部(回帰式設定手段)
41 記憶部(記憶手段)
42 演算部(演算手段)
46 駆動部(体形情報測定装置)
113 フットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも利用者の身長と、体重と、生体電気インピーダンスと、を含む基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得手段、
複数の体形情報と、前記体形情報に対応する回帰式と、を有する対応テーブルを記憶した記憶手段、
前記利用者の体形情報を取得する体形情報取得手段、
前記体形情報取得手段によって取得した前記利用者の前記体形情報を前記対応テーブルに適用して前記回帰式を選択する回帰式設定手段、及び、
前記基礎生体情報取得手段によって取得した前記基礎生体情報を、前記回帰式設定手段によって選択された回帰式に適用して目的生体情報を算出する演算手段、
を備えることを特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
前記体形情報は、前記利用者の身体のいずれかの部位の長さに関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の生体測定装置。
【請求項3】
前記体形情報は、前記利用者の身長と股下の長さとの比であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記体形情報取得手段は、前記利用者の体形情報を測定可能な体形情報測定装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の生体測定装置。
【請求項5】
前記基礎生体情報は、さらに、利用者の性別及び年齢を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の生体測定装置。
【請求項6】
前記目的生体情報は、体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分率、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、又は体脂肪面積を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の生体測定装置。
【請求項7】
少なくとも利用者の身長と、体重と、生体電気インピーダンスと、を含む基礎生体情報を取得する基礎生体情報取得工程、
前記利用者の体形情報を取得する体形情報取得工程、
複数の体形情報と、前記体形情報に対応する回帰式と、を有する対応テーブルを用いて、前記体形情報取得工程によって取得した前記利用者の前記体形情報を前記対応テーブルに適用して前記回帰式を選択する回帰式設定工程、及び、
前記基礎生体情報取得手段によって取得した前記基礎生体情報を、前記回帰式設定手段によって選択された回帰式に適用して目的生体情報を算出する演算工程、
を備えることを特徴とする生体測定方法。
【請求項8】
前記体形情報取得工程は、前記基礎生体情報取得工程と同時に、前記利用者の体形情報を測定することによって実施されることを特徴とする請求項7に記載の生体測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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