説明

生体状態検出装置

【課題】測定時の被験者の状態に影響されることなく、脈波や脈拍等の生体状態を精度良く検出可能な生体状態検出装置を提供する。
【解決手段】筐体40は表面に被験者の掌を接触させる接触面51、52を有しており、該接触面51、52にはそれぞれ被験者の生体状態を示す生体信号を検出する光学式脈波センサ61、63が備えられている。接触面51、52は、該接触面51、52に接触させた被験者の掌によって当該装置1が鉛直方向下方から支持される位置に形成されている。これにより、被験者の掌には筐体40の質量が鉛直方向上方から下方に作用するため、接触面51、52に設けられた光学式脈波センサ61、63は、筐体40の質量に依存する押圧力によって被験者の掌を押圧する。押圧力は、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に関係なく、一定に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波や脈拍数等の生体状態を検出する生体状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脈波や脈拍数等の生体状態を検出する生体状態検出装置が知られている。脈波とは、心拍に従って発生する、血管内の血液の波動的な圧力変動のことであり、脈拍数とは、脈波に現れるピークの一定時間あたりの回数である。
【0003】
このような生体状態検出装置では、被験者の指または掌等に接触可能に設けられた光学式の脈波センサを用いて、脈波や脈拍数等を検出することが一般的である。光学式脈波センサとは、赤外光や可視光等の光を被験者の指または掌等に照射し、指または掌等からの反射光を受光し、反射光の強度に基づいて、血液中のヘモグロビンの光吸収特性を利用して血管内の血液の波動的な容積変化を検出する、すなわち脈波を検出するものである。
【0004】
光学式脈波センサを用いた生体状態検出装置としては、光学式脈波センサが設けられている可動部に上方から被験者の指を載置させ、被験者が指を上方から可動部に載置する方向とは反対方向に設けられた指ガイド部に向けて、バネの作用により可動部が指腹を押圧する構成となっている脈波検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−43150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記装置では、光学式脈波センサが指腹を押圧する圧力(以下、接触圧という)は、被験者の力の入れ具合や被験者の指の大きさ等、被験者の測定時の状態によって影響を受け、一定とはならない虞がある。
【0007】
例えば、被験者が意識的に指腹に力を入れた場合には、接触圧が大きくなり過ぎて、被験者の指腹の血管内の血流が止まる虞があり、脈波が検出できなくなるという問題が生じる。
【0008】
また、被験者の指が小さい場合、つまり、被験者の指が載置されていないときの指ガイド部と可動部との隙間よりも指腹の厚みが小さいような場合、接触圧が小さくなり、被験者の指腹と光学式脈波センサとの間に隙間ができる虞がある。この隙間から太陽や蛍光灯等からの照射光が外乱として光学式脈波センサで受光されると、脈波を正確に検出できないという問題が生じる。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、測定時の被験者の状態に影響されることなく、脈波や脈拍等の生体状態を精度良く検出可能な生体状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の生体状態検出装置は、筐体の表面に被験者の掌を接触させる接触面を有し、この接触面に被験者の生体状態を示す生体信号を検出する検出部が備えられている。ここでは、掌とは手首から先の内側の面をいう。
【0011】
ここで特に、接触面は、該接触面に接触させた被験者の掌によって当該装置が鉛直方向(重力方向)下方から支持される位置に形成されている。
これにより、被験者の掌には筐体の質量が鉛直方向上方から下方に作用するため、接触面に設けられた検出部は、筐体の質量に依存する押圧力によって被験者の掌を押圧する。つまり、検出部が被験者の掌を押圧する押圧力(接触圧)は、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に関係なく、一定に保たれる。
【0012】
従って、本発明の生体状態検出装置では、測定時の被験者の状態に影響されることなく、生体状態の検出精度を向上させることができる。
具体的には、請求項2に記載のように、検出部は、接触面に接触させた掌に向け光を照射すると共に照射した方向から到来する反射光を受光するものであり、生体状態検出装置は、検出部にて受光した光の強度の連続的な変化を被験者の脈波として検出することが例示される。
【0013】
上述の様に、光学式脈波センサを用いた生体状態検出装置では、光学式脈波センサが掌を押圧する押圧力(接触圧)は、大きすぎると掌の血管の血流を止めることになり、脈波の測定ができないという問題が生じる。一方、接触圧が小さすぎると、接触状態が不安定となり、精度のよい脈波の測定ができないという問題が生じる。
【0014】
本発明の生体状態検出装置では、掌と検出部との接触圧は筐体の質量に依存するため、接触圧が脈波を検出するために適した範囲となるように、すなわち、掌の血流を止めること無くかつ安定な接触状態が得られる範囲となる様に筐体の質量を適当に定めることにより、精度よく脈波を検出することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の生体状態検出装置では、検出部は、支持面から突出するよう設けられている。
これによると、検出部に掌の凹部が接触するような場合であっても、検出部は被験者の掌に確実に密着するため、精度良く生体状態を検出することができる。特に、請求項2に記載のように光学式脈波センサを用いた生体状態検出装置では、検出部が掌に確実に密着することにより検出部と被験者の掌との隙間が生じなくなるため、隙間からの蛍光灯や太陽光等の外乱の影響を受けることが無くなり、結果として精度よく脈波を検出することができる。
【0016】
ところで、生体信号、特に脈波の検出精度を向上させるためには、掌において指先より手首側の領域において測定を行うことが望ましい。指先に比べて血流が温度による影響を受けにくく、低温環境下でも安定して測定を行うことができるためである。さらに述べると、上述の指先より手首側の領域のうち、拇指球部において測定を行うことが望ましい。拇指球部は、手首に近いため、血流が温度による影響をより受けにくいためである。また、拇指球部は、皺が少なく肉厚で弾力に富むため、検出部との隙間が生じにくいためである。
【0017】
そこで、請求項4に記載の生体状態検出装置では、接触面において、被験者の掌の親指の付け根のふくらみの部分、すなわち拇指球部分が当接する位置に、検出部が設けられている。
【0018】
さらに、請求項5に記載の生体状態検出装置では、少なくとも掌の親指の付け根と人差し指の付け根との両方を接触させる突起部が接触面に設けられている。これによると、突起部により掌の拇指球部の位置が位置決めされるため、被験者の手の大きさによらず、検出部を拇指球部に確実に当接させることができる。
【0019】
なお、請求項6に記載の様に、接触面には、該接触面と掌との間の摩擦係数を増加させる形状または材質を有した滑り止め部が設けられていることが望ましい。これにより、被験者の掌を滑りにくくすることができる。
【0020】
以上のように構成された生体状態検出装置では、掌での支持を容易にするために、例えば請求項7に記載の様に、被験者が手を差し込むことができる形状を有した差込部が筐体に形成されていてもよい。この場合、差込部を構成する面を接触面とする。
【0021】
ここで、差込部は、請求項8に記載の様に、被験者が手を差し込む差込方向の手前から奥に向かう穴状に形成されることが、例示される。これによると、接触面において被験者の掌が接触する範囲を制限することができる、すなわち拇指球部の位置する範囲を制限することができるため、この範囲に検出部を設けることにより、検出部を拇指球部に当接させ易くなる。
【0022】
なお、差込部は、加工が容易な、手前から奥に貫通している穴状に形成されていてもよく、または、差込部は非貫通の穴状に形成されていてもよい。あるいは、例えば、請求項9に記載の様に、穴状の差込部に、被験者の掌の差込方向の動きを制限する制限部材が設けられていてもよい。これによると、差込方向において拇指球部の位置する範囲が制限されるため、この範囲内に検出部を設けることにより、検出部を拇指球部に当接させ易くなる。
【0023】
また、生体状態検出装置は、例えば請求項10に記載のように、載置面に載置されているときに、載置面との間に被験者が掌を差し込むことのできる形状に形成されていてもよい。
【0024】
さらまた、生体状態検出装置は、例えば請求項11に記載のように、筐体が、鉛直方向に延びる形状に形成された支柱部と、支柱部の鉛直方向上側端部に設けられ、水平方向に延びる形状に形成された上端支持部と、を備える形状に形成されていてもよい。ここで、記接触面は、上端支持部における鉛直方向下側の面とする。また、請求項12に示すように、筐体は、支柱部の鉛直方向下側端部に設けられ、水平方向に延びる形状に形成された下端支持部をさらに備えていてもよい。
【0025】
なお、接触面は、請求項13に記載のように平面状に形成されていても良いし、請求項14に記載のように曲面状に形成されていてもよい。接触面を平面状に形成する場合は加工が容易となり、接触面を曲面状に形成する場合は被験者が接触面において筐体を支持し易くなる。
【0026】
また、接触面は、請求項15に記載のように水平方向に延びて形成されていてもよい。あるいは、請求項16に記載のように、接触面は、該接触面に接触させた被験者の掌の小指側が鉛直方向下側になると共に親指側が鉛直方向上側となるように、水平方向に対して角度を有するように形成されていてもよい。前者の場合は加工が容易となり、後者の場合は、被験者が生体状態検出装置を支持するときに接触面が水平方向に対して斜めになることにより、被験者が生体状態検出装置を支持し易くなる。
【0027】
そして、このように構成された生体状態検出装置は、請求項17に示すように被験者に左右両方の掌で支持されるように構成されてもよい。こうすることで被験者が両方のセンサを意識することでバランスよく把持でき、押圧力がより一定に保たれる。また万が一被験者のバランスが崩れても、少なくとも一方の手に加わる押圧力は低く抑えられるため、良好に脈波を検出できる。
【0028】
なお、左右両方の掌で支持されるように構成する場合は、請求項18に記載のように、接触面にて被験者の右掌に作用する鉛直方向下向きの力と、左掌に作用する鉛直方向下向きの力とが、等しくなるように、筐体を形成することが望ましい。このような左右のバランスを考えた筐体構造により、被験者にとってよりバランスの良い把持が可能となり、良好に脈波が検出できる。
【0029】
また、このように構成された生体状態検出装置は、請求項19に記載のように左右のうちいずれか一方の掌で支持されるように構成されてもよい。このように構成することで毎回同じ掌(右なら右手)で計測するため、繰り返し計測において、一度の教示で被験者が把持のコツを掴みやすく、容易に良好な脈波信号の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は滑り止め部の構成を示す斜視図であり、(b)は滑り止め部の構成を示す断面図である。
【図3】鉛直方向上側から第1水平部を透過して掌を見た様子を示す模式図である。
【図4】変形例1_1の生体状態検出装置の正面図である。
【図5】(a)は変形例1_2の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例1_3の生体状態検出装置の正面図であり、(c)は変形例1_4の生体状態検出装置の正面図である。
【図6】(a)は変形例1_5の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例1_6の生体状態検出装置の正面図であり、(c)は変形例1_7の生体状態検出装置の正面図である。
【図7】(a)は変形例1_8の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例1_9の生体状態検出装置の正面図であり、(c)は(b)の二点鎖線b−bにおける断面を矢印の方向からみた断面図である。
【図8】(a)は変形例1_10の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例1_11の生体状態検出装置の正面図であり、(c)は変形例1_12の生体状態検出装置の正面図である。
【図9】第2実施形態の生体状態検出装置の斜視図である。
【図10】(a)は変形例2_1の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例2_1の生体状態検出装置の使用例を説明する説明図である。
【図11】(a)は変形例2_2の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例2_3の生体状態検出装置のである。
【図12】(a)は変形例2_4の生体状態検出装置の正面図であり、(b)は変形例2_5の生体状態検出装置の正面図であり、(c)は(b)の二点鎖線c−cにおける断面を矢印の方向からみた断面図である。
【図13】変形例2_6の生体状態検出装置206の正面図である。
【図14】他の実施形態の滑り止め部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
本実施形態の生体状態検出装置は、光学式脈波センサを左右両方の掌に接触させることにより、生体信号として脈波や脈拍を検出し、生体状態を測定する装置に適用される。
【0032】
<構成>
図1は、本実施形態の生体状態検出装置1の斜視図である。図中において、生体状態検出装置1に重力が作用する方向を鉛直方向、鉛直方向と垂直な方向を水平方向という。また、水平方向であって、紙面に向かって右側を右(方向)、向かって左側を左(方向)という。また、紙面の手前から裏側へ向かう方向を差込方向という。さらにまた、水平方向に平行な面を水平面という。
【0033】
生体状態検出装置1は、図1に示すように、筐体40と、該筐体40の表面に設けられている光学式脈波センサ61、63および突起部71、73と、を備えている。
<筐体>
筐体40は、鉛直方向に延びる柱状に形成されている支柱部41と、支柱部41の鉛直方向上側の端部に設けられ、支柱部41から水平方向左右に延びる板状に形成されている第1水平部43と、支柱部41の鉛直方向下側の端部に設けられ、支柱部41から水平方向左右に延びる板状に形成されている第2水平部45と、を有している。筐体40は、ABS樹脂、アクリル樹脂等によって形成されている。
【0034】
第1水平部43および第2水平部45は、水平方向に同じ大きさ、および鉛直方向に同じ厚さに形成されており、支柱部41は第1水平部43および第2水平部45の長手方向の中心に位置している。つまり、筐体40は、支柱部41を中心とした左右対称の形状となっている。
【0035】
ここで、第1水平部43において、鉛直方向下側の面のうち、左側の面を左接触面51とし、右側の面を右接触面52とする。また、第2水平部45において、鉛直方向上側の面のうち、左側の面を左差込面55とし、右側の面を右差込面56とし、鉛直方向下側の面を設置面57とする。また、支柱部41の左側の面を支柱左側面53、右側の面を支柱右側面54とする。
【0036】
つまり、設置面57は、水平面と平行な平面状に形成されている。設置面57は、被験者が生体状態の測定を行う際、物体を載置する載置面が平面状に形成された机等の上に生体状態検出装置1を載置する場合に、載置面と接する面に相当する。
【0037】
また、左接触面51、右接触面52、左差込面55、および右差込面56は、水平面と平行な平面状に形成されている。支柱左側面53および支柱右側面54は、水平面と略平行な平面状に形成されている。左接触面51、左差込面55および支柱左側面53により形成される左差込空間91と、右接触面52、右差込面56および支柱右側面54により形成される右差込空間93とは、それぞれ、被験者の左掌301および右掌302を、差込方向手前から奥に向かって差し込ませることができる程度の大きさに形成されている。
【0038】
左接触面51および右接触面52には光学式脈波センサ61、63および突起部71、73が設けられており、左接触面51および右接触面52のうち、これら光学式脈波センサ61、63および突起部71、73を除いた部分に、滑り止め部81が設けられている。
【0039】
図2(a)は、光学式脈波センサ63の周囲に設けられた滑り止め部81の拡大斜視図である。滑り止め部81は、樹脂により形成されており、図2(a)に示すように表面全体に小さな凸部が設けられている。滑り止め部81は、これら小さな凸部により滑り止めの効果を有している。
【0040】
<光学式脈波センサ>
光学式脈波センサ61は左接触面51に、光学式脈波センサ63は右接触面52に、それぞれ接触面から鉛直方向下側に突出するように設けられている(図1、2(a)参照)。
【0041】
図2(b)は、光学式脈波センサ63の構成を模式的に示す断面図である。
光学式脈波センサ61、63は同じ構成であるため、以下では光学式脈波センサ63について説明する。光学式脈波センサ63は、図2(b)に示すように、透過性を有する材質により形成されているカバー631と、該カバー631の内部に設けられている照射部633および受光部635と、を備えている。照射部633は右接触面52に接触させた右掌302に向けて赤外線を照射し、受光部635は、赤外線を照射した方向から到来する反射光、すなわち右掌302からの反射光を受光し、受光した反射光の強度から、血管内の血液の連続的な容積変化を脈波として検出するように構成されている。なお、光学式脈波センサ61については、上記説明において、右接触面52を左接触面51とし、右掌302を左掌301として読み替えるものとする。
【0042】
<突起部>
突起部71は左接触面51に、突起部73は右接触面52に、それぞれ接触面から鉛直方向下側に突出するように設けられている(図1参照)。
【0043】
図3は、被験者の左掌301を左接触面51に接触させ、右掌302を右接触面52に接触させたとき(図1参照)、鉛直方向上側から第1水平部43を透過して両掌を見た様子を示す模式図である。なお、図3には、左掌301、右掌302に比べて小さい左掌305、右掌306が左掌301、右掌302と共に図示されている。
【0044】
図3に示すように、突起部71、73は、接触面(左接触面51、右接触面52)に接触させた掌(左掌301、右掌302)の親指の付け根と人差し指の付け根との両方を接触させる形状に形成されている。
【0045】
これにより、左接触面51内における左掌301の位置、および右接触面52内における右掌302の位置が、位置決めされる。
そして、位置決めされた左掌301、右掌302の親指の付け根のふくらみの部分、すなわち拇指球部303、304の中央部に当接するように、上記光学式脈波センサ61の左接触面51内の位置を定め、光学式脈波センサ63の右接触面52内の位置を定めることにより、光学式脈波センサ61、63を拇指球部に確実に当接させることができる。
【0046】
なお、図3に示す左掌305、右掌306の様に、掌の大きさには個人差があるが、突起部71、73を設けることにより、掌の大きさによらず光学式脈波センサ61、63を拇指球部に確実に当接させることができる。
【0047】
<作用>
測定を行う際、生体状態検出装置1は、机の平面で構成されている載置面に、設置面57が接触するように載置される。
【0048】
初めに、被験者の左掌301、右掌302を外旋させて鉛直方向上側に向けた状態にし、左掌301、右掌302を、それぞれ、左差込空間91および右差込空間92に差込み、左接触面51、右接触面52に接触させる。
【0049】
このとき、被験者の左掌301の親指の付け根と人差し指の付け根との間を突起部71に接触させ、また、右掌302の親指の付け根と人差し指の付け根との間を突起部73に接触させる。これにより、左掌301の拇指球部303に光学式脈波センサ61が当接し、右掌302の拇指球部304に光学式脈波センサ63が当接する。
【0050】
次に、左掌301および右掌302により生体状態検出装置1を鉛直方向下方から支持するように、被験者に生体状態検出装置1を持ち上げさせる。
これにより、左掌301および右掌302には、筐体40の質量が鉛直方向上方から下方に作用し、左接触面51、右接触面52に設けられた光学式脈波センサ61、63は、筐体40の質量に依存する押圧力によって被験者の掌を押圧する。
【0051】
ここで、左掌301、右掌302と光学式脈波センサ61、63との接触圧(光学式脈波センサが掌を押圧する押圧力)が脈波を検出するために適した範囲となるように、すなわち、左掌301、右掌302の拇指球部303、304の血流を止めること無くかつ安定な接触状態が得られる範囲となる様に、筐体40の質量が予め定められている。
【0052】
これにより、生体状態検出装置1により生体状態を測定する際、左掌301、右掌302と光学式脈波センサ61、63との接触圧は、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に関係なく、一定に保たれる。
【0053】
<効果>
以上説明した様に、生体状態検出装置1は、左接触面51、右接触面52は、該左接触面51、右接触面52に接触させた被験者の左掌301、右掌302によって生体状態検出装置1を鉛直方向下方から支持する位置に形成されている。
【0054】
これにより、検出部が被験者の掌を押圧する押圧力(接触圧)は、筐体の質量に依存するため、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に関係なく、一定に保たれる。
【0055】
従って、本実施形態の生体状態検出装置1では、測定時の被験者の状態に影響されることなく、生体状態の検出精度を向上させることができる。
また、生体状態検出装置1では、光学式脈波センサ61は左接触面51から突出するように、光学式脈波センサ63は右接触面52から突出するように、設けられている。
【0056】
これによると、光学式脈波センサ61、63に、それぞれ左掌301、右掌302の凹部が接触するような場合であっても、光学式脈波センサ61、63は左掌301、右掌302に確実に密着するため、精度良く生体状態を検出することができる。
【0057】
また、生体状態検出装置1では、少なくとも掌(左掌301、右掌302)の親指の付け根と人差し指の付け根との両方を接触させる突起部71が左接触面51に設けられ、突起部73が右接触面52に設けられている。これにより、被験者の手の大きさによらず、左接触面51内における左掌301の拇指球部303の位置、および右接触面52内における右掌302の拇指球部304の位置が、それぞれ位置決めされる。
【0058】
さらに、生体状態検出装置1では、このように位置決めされた拇指球部303、304に当接するように、光学式脈波センサ61、63が左接触面51、右接触面52に設けられている。
【0059】
これによると、脈波を測定するため適している皺の少ない掌の拇指球部303、304に、確実に光学式脈波センサ61、63を当接させることができるため、生体状態の検出精度を向上させることができる。
【0060】
また、生体状態検出装置1では、左接触面51および右接触面52に滑り止め部81が設けられており、測定時の左掌301、右掌302の移動を抑制することができる。
なお、生体状態検出装置1では、左接触面51、右接触面52は、水平方向に延びる平面に形成されており、加工が容易な構成となっている。
【0061】
また、筐体40は左右対称に形成されており、左接触面51にて被験者の左掌301に作用する鉛直方向下向きの力と、右接触面52にて被験者の右掌302に作用する鉛直方向下向きの力とが、等しくなっている。これにより、左掌301および右掌302にて、等しい測定条件下で、脈波を測定することができる。
【0062】
<発明との対応>
本実施形態における光学式脈波センサ61、63が特許請求の範囲における「検出部」に相当し、筐体40における左差込空間91、右差込空間93の形成部位が特許請求の範囲における「差込部」に相当する。また、本実施形態における第1水平部43が特許請求の範囲における「上端支持部」に相当し、第2水平部45が特許請求の範囲における「下端支持部」に相当する。
【0063】
[変形例1_1]
図4は、本変形例の生体状態検出装置101の正面図である。なお、以下の変形例において、図中の同じ構成要素には同じ符号を付すものとする。
【0064】
上記実施形態では、左接触面51および右接触面52は平面状に形成されていたが、図4に示す生体状態検出装置101のように、左接触面511および右接触面521が曲面状に形成されていてもよい。
【0065】
このような構成によると、左接触面511および右接触面521は、それぞれ左右の掌に沿う形状となるため、平面に形成されている場合と比べて、光学式脈波センサ61、63を掌に密着させ易くなる。結果として、掌と光学式脈波センサ61、63との隙間から侵入する太陽光等の外乱による影響が抑制されるため、生体状態の検出精度を向上させることができる。
【0066】
[変形例1_2]
図5(a)は、本変形例の生体状態検出装置102の正面図である。
上記実施形態では、左接触面51および右接触面52は水平面に平行な平面状に形成されていたが、図5(a)に示す生体状態検出装置102のように、左接触面512および右接触面522は、支柱部41側から第1水平部43の外端側に向かって鉛直方向上側に傾斜するように形成されていてもよい。
【0067】
つまり、左接触面512、右接触面522に接触させた左右の掌の小指側が鉛直方向下側になると共に親指側が鉛直方向上側となるように、左接触面512および右接触面522は水平面に対して角度を有するように形成されている。
【0068】
このような構成によると、左接触面512および右接触面522に掌を接触させるために被験者の腕を必要以上に外旋させることが無いため、測定の間、被験者に筐体40を支持させ易くなる。
【0069】
[変形例1_3]
図5(b)は、本変形例の生体状態検出装置103の正面図である。
上記実施形態では、左接触面51および右接触面52は水平面に平行な平面状に形成されていたが、図5(b)に示す生体状態検出装置103のように、支柱部41の左側面および右側面が支柱41側から第1水平部43の外側端部に向かって鉛直方向上側に傾斜するように形成され、この支柱部41の左側面および右側面をそれぞれ左接触面531および右接触面541とし、これら左接触面531および右接触面541に光学式脈波センサ61、63が設けられていても良い。
【0070】
このような構成により、上記変形例1_2と同様の効果が得られる。
[変形例1_4]
図5(c)は、本変形例の生体状態検出装置104の正面図である。
【0071】
上記変形例1_3では、左接触面531および右接触面541は平面状に形成されていたが、図5(c)に示す生体状態検出装置104のように、左接触面532および右接触面542が曲面状に形成されていてもよい。
【0072】
左接触面532および右接触面542は被験者の掌に沿う形状となっているため、光学式脈波センサ61、63と掌とを密着させやすくなる。
従って、このような構成では、上記変形例1_2、1_3と同様の効果が得られると共に、光学式脈波センサ61、63と掌との隙間から侵入する太陽光等の外乱による影響が抑制されるため、変形例1_1と同様の効果が得られる。
【0073】
[変形例1_5]
図6(a)は、本変形例の生体状態検出装置105の正面図である。
上記実施形態では、左差込空間91、右差込空間93を形成する壁面を接触面とし、この接触面に光学式脈波センサ61、63が設けられていたが、図6(a)に示す生体状態検出装置104のように、筐体401を立方体に形成し、立方体を構成する面のうちの一つを接触面571として、この接触面571に光学式脈波センサ61、63が設けられていてもよい。
【0074】
この場合、被験者の左右両方の掌を外旋させて鉛直方向上側に向けた状態にし、左右の掌にそれぞれ光学式脈波センサ61、63が当接するように、左右の掌の上に生体状態検出装置105を載置する。
【0075】
これによると、簡易な形状であるため筐体の加工が容易になるという効果が得られるとともに、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に影響されることなく被験者の生体状態を検出することができるという上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
[変形例1_6]
図6(b)は、本変形例の生体状態検出装置106の正面図である。
変形例1_5では筐体401は略立方体に形成されていたが、図5(b)に示す生体状態検出装置106のように、筐体401は、立方体の左側の角部および右側の角部が切り落とされた形状に形成されていてもよい。
【0077】
ここで、左側の角部および右側の角部が切り落とされることにより形成される斜面を、それぞれ左接触面581、右接触面591とする。左接触面581および右接触面591には、光学式脈波センサ61、63が設けられている。
【0078】
このような構成によると、生体状態検出装置106が平面状に形成された載置面を有する机等に載置された場合、左接触面581および右接触面591と机の載置面との間に隙間が生じるため、この隙間から被験者に掌を差し込ませて、左接触面581、右接触面591に接触させることができる。従って、机等の上に載置した状態から被験者に生体状態検出装置106を容易に持ち上げさせることができる。
【0079】
[変形例1_7]
図6(c)は、本変形例の生体状態検出装置107の正面図である。
変形例1_6では筐体401が略立方体に形成されていたが、図6(c)に示す生態状態検出装置107のように、筐体402は略球体に形成されていてもよい。
【0080】
このように構成された生体状態検出装置107についても、上記変形例1_6と同様の効果が得られる。さらに本変形例では、光学式脈波センサ61、63が設けられている左接触面582、右接触面592が球面状に形成されているため、変形例1_1と同様の効果が得られる。
【0081】
[変形例8]
図7(a)は、本変形例の生体状態検出装置108の正面図である。
上記実施形態では、左接触面51内および右接触面52内に左右掌の拇指球部を位置決めさせるための突起部71、73を設けていたが、図8(a)に示す生体状態検出装置108のように、略立方体に形成されている筐体401に、四角柱をくり貫いぬいた形状で、差込方向手前から奥に向かって貫通する穴状の穴部66、67が形成されていてもよい。
【0082】
穴部66、67は、差込方向手前から見た断面が長方形であり、図中に一点鎖線で示されている筐体401の中心線a−aに対して左右対称になるように形成されている。また、穴部66、67を形成する面のうち鉛直方向上側の面をそれぞれ左接触面68、右接触面69として、左接触面68、右接触面69には、光学式脈波センサ63、61が設けられている。
【0083】
このような構成によると、穴部66、67に差し込まれる被験者の掌の左右方向の動きが制限されるため、左右掌の拇指球部が左接触面68、右接触面69に当接する位置が制限される。したがって、この制限された範囲内の中央部に光学式脈波センサ61、63を設けることにより、拇指球部に光学式脈波センサ61、63を確実に当接させることができる。
【0084】
なお、本変形例の穴部66、67が特許請求の範囲における「差込部」に相当する。
[変形例1_9]
図7(b)は、本変形例の生体状態検出装置109の正面図であり、同図(c)は、同図(b)の二点鎖線b−bにおける断面を矢印の方向からみた断面図である。
【0085】
上記変形例1_8では穴部66、67は貫通穴として形成されていたが、図7(b)、(c)に示す生体状態検出装置109のように、穴部661、671の差込方向の奥側に壁部46、47を設けることにより、穴部661、671が差込方向手前から奥に向かう非貫通穴として形成されていてもよい。
【0086】
これにより、穴部661、671差し込まれる被験者の掌は、左右方向の動きに加えて、差込方向の動きについても制限される。
したがって、この制限された範囲の中央部に光学式脈波センサ61、63を設けることにより、掌の拇指球部に光学式脈波センサ61、63をより確実に当接させることができるようになる。
【0087】
なお、本変形例の穴部661、671が特許請求の範囲における「差込部」に相当し、壁部46、47が特許請求の範囲における「制限部材」に相当する。
[変形例1_10]
図8(a)は、本変形例の生体状態検出装置110の正面図である。
【0088】
上記変形例1_8では、差込方向手前から見た穴部66、67の断面は長方形に形成されており、左接触面68、右接触面69は平面状に形成されていたが、図8(a)に示す生体状態検出装置110のように、差込方向手前から見た穴部662、672の鉛直方向上側の面を左接触面682、右接触面692として、左接触面682、右接触面692を、鉛直方向下側に凸となる曲面状に形成してもよい。
【0089】
これにより、変形例1_8と同様の効果とともに、変形例1_1と同様の効果が得られる。
[変形例1_11]
図8(b)は、本変形例の生体状態検出装置111の正面図である。
【0090】
上記変形例1_8では、差込方向手前から見た穴部66、67の断面は長方形であったが、図8(b)に示す生体状態検出装置111のように、差込方向手前から見た穴部663、673の鉛直方向上側の面を左接触面683、右接触面693として、左接触面683、右接触面693が、筐体401の中心部から外側に向かう方向に沿って鉛直方向下側から上側に傾斜するように形成されていてもよい。
【0091】
これにより、変形例1_8と同様の効果とともに、変形例1_2と同様の効果が得られる。
[変形例12]
図8(c)は、本変形例の生体状態検出装置112の正面図である。
【0092】
生体状態検出装置112では、筐体403は、第1水平部43、支柱部41、および第2水平部45を有する上記実施形態の筐体40から第2水平部45を除いた形状に形成されている。
【0093】
このような構成によると、生体状態検出装置112が平面状に形成された載置面を有する机等に載置された場合、左接触面513、右接触面523と机の載置面との間に隙間が生じるため、変形例1_6と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、第1水平部431は、本変形例では板状に形成されているが、例えば半球状に形成されていてもよい。これは、生体状態検出装置1、101〜104についても同様である。
【0095】
[第2実施形態]
生態状態検出装置は、上記実施形態では左右の両方の掌にそれぞれ光学式脈波センサを接触させることにより脈波や脈拍を検出するように構成されていたが、左右の掌のうちいずれか一方に光学式脈波センサを接触させることにより脈波や脈拍を検出するように構成されていてもよい。以下では、上記実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0096】
<構成>
図9は、本実施形態の生体状態検出装置2の斜視図である。
生体状態検出装置2の筐体405は、略立方体に形成されている。また、筐体405には、差込方向手前から奥に向かって貫通する穴部95が設けられている。穴部95は、被験者に掌102を差込方向手前から奥に向かって差し込ませることができる程度の大きさに形成されている。
【0097】
ここで、穴部95の鉛直方向上側の面を接触面97とし、鉛直方向下側の面を差込面98とする。差込方向から見た接触面97および差込面98の断面は、いずれも鉛直方向下側に凸となるような曲面状に形成されている。接触面97の中央部には光学式脈波センサ65が設けられている。
【0098】
本実施形態では、図9に示すように、穴部95に被験者の右掌302を差し込ませて測定を行う。この点以外は上記実施形態と同様であるため、ここでは作用についての説明を省略する。
【0099】
<効果>
以上説明した様に、生体状態検出装置2は、穴部95を形成する壁面である接触面97に接触させた被験者の右掌302によって生体状態検出装置2が鉛直方向下方から支持されるように構成されている。
【0100】
このような構成によると、光学式脈波センサ65が被験者の右掌302を押圧する押圧力(接触圧)は、筐体405の質量に依存するため、被験者の意識的な力の入れ具合や被験者の掌の形状等に関係なく一定に保たれる。
【0101】
従って、本実施形態の生体状態検出装置2では、測定時の被験者の状態に影響されることなく、生体状態の検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態の生体状態検出装置2では、光学式脈波センサ65が穴部95を形成する壁面である接触面97の中央部に設けられている。このため、穴部95により右掌302の左右方向の動きが制限され、右掌302の略中央部に光学式脈波センサ65が当接するようになる。また、光学式脈波センサ65が接触面97の中央部に設けられていることにより、左掌についても右掌と同様に測定することができる。
【0102】
<対応>
本実施形態における光学式脈波センサ65が特許請求の範囲における「検出部」に相当し、穴部95が特許請求の範囲における「差込部」に相当する。
【0103】
[変形例2_1]
図10(a)は、本変形例の生体状態検出装置201の正面図である。なお、以下の変形例において、図中の同じ構成要素には同じ符号を付すものとする。
【0104】
上記実施形態では、穴部95を形成する壁面を接触面97とし、この接触面97に光学式脈波センサ65が設けられていたが、図10(a)に示す生体状態検出装置201のように、立方体に形成されている筐体405に、立方体を構成する面のうちの一つを接触面971として、この接触面971に光学式脈波センサ65を設ける構成としてもよい。
【0105】
図10(b)は、生体状態検出装置201の使用例を説明する説明図である。測定を行う場合、図10(b)に示すように、生体状態検出装置201は被験者の右掌302の上に載置される。
【0106】
これによると、筐体を簡易な構成とした上で、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
[変形例2_2]
図11(a)は、本変形例の生体状態検出装置202の正面図である。上記変形例では、接触面971は平面状に形成されていたが、図11(a)に示す生体状態検出装置202のように、接触面972は曲面状に形成されていてもよい。
【0107】
これによると、接触面972は掌に沿う形状となるため、平面に形成されている場合と比べて光学式脈波センサ65を掌に密着させ易くなる。結果として、光学式脈波センサ65と掌との隙間から侵入する太陽光等の外乱による影響が抑制されるため、生体状態の検出精度を向上させることができる。
【0108】
[変形例2_3]
図11(b)は、本変形例の生体状態検出装置203の正面図である。上記変形例では、筐体405は立方体に形成されていたが、図11(b)に示す生体状態検出装置203のように、筐体406は球状に形成されていてもよい。
【0109】
これによると、被験者に掌で包み込むように筐体406を支持させる場合、筐体406は立方体に形成されている場合と比べて掌の形状に沿う形状となっているため、筐体406を被験者に支持させ易くなる。
【0110】
[変形例2_4]
図12(a)は、本変形例の生体状態検出装置204の正面図である。図12(a)に示す生体状態検出装置204のように、筐体405に差込方向の手前から奥に向かって筐体405貫通する穴状に形成されている穴部951が形成され、この穴部951の差込方向から見た断面が長方形になるように形成されていてもよい。これによると、筐体の加工が容易になるとともに、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
[変形例2_5]
図12(b)は、本変形例の生体状態検出装置205の正面図であり、同図(c)は、同図(b)の二点鎖線c−cにおける断面を矢印の方向からみた断面図である。上記変形例2_4では、穴部は貫通穴として形成されていたが、図12(a)に示す生体状態検出装置204のように、穴部952の差込方向の奥側に壁部48を設けることにより、穴部952が、差込方向の手前から奥に向かって筐体405を貫通しない非貫通穴として形成されてもよい。
【0112】
これにより、穴部952に差し込まれる被験者の掌は、左右方向の動きに加えて、差込方向の動きについても制限される。
なお、本変形例の壁部48が特許請求の範囲における「制限部材」に相当する。
【0113】
[変形例2_6]
図13は、本変形例の生体状態検出装置206の正面図である。図13に示す生体状態検出装置206のように、筐体407は、上記変形例2_2の筐体405の鉛直方向下方の四隅に四角柱に形成された脚部を設けた形状に形成されていてもよい。正面図である図13には、四つのうちの二つの脚部である脚部578、579が図示されている。
【0114】
このような構成によると、鉛直方向下側に光学式脈波センサ65を位置させた状態で、生体状態検出装置206を、平面状に形成された載置面を有する机等に載置することができる。
【0115】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて様々な態様で実施することが可能である。
【0116】
(イ)図14は、他の実施形態の滑り止め部の構成を示す斜視図である。上記第1実施形態では滑り止め部81は樹脂により形成され、表面全体に小さな凸部を有する形状であったが、図14に示すように、滑り止め部83は、ゴムにより板状に形成されていてもよい。
【0117】
(ロ)上記第1実施形態では、突起部71、73により掌の位置決めを行っていたが、このような凸状に形成された部位ではなく凹状に形成された部位を筐体に設け、これにより掌の位置を位置決めしてもよい。
【0118】
(ハ)上記第2実施形態では、光学式脈波センサ63は接触面の中央部に設けられており、右掌または左掌のどちらについても測定可能な構成となっていたが、接触面のやや右よりに光学式脈波センサを設けて、該光学式脈波センサを被験者の右掌の拇指球部に当接させるように構成してもよい。または、接触面のやや左よりに光学式脈波センサを設け、該光学式脈波センサを被験者の左掌の拇指球部に当接させるように構成してもよい。
【0119】
(ニ)上記実施形態の生体状態検出装置では、光学式脈波センサが接触面から突出するように設けられていたが、光学式脈波センサは、接触面から突出しないように、筐体の表面付近に埋め込まれるよう設けられていてもよい。
【0120】
(ホ)上記実施形態の生体状態検出装置は、光学式脈波センサを掌に接触させることにより脈波や脈拍を検出するように構成されていたが、抵抗値測定センサを掌に接触させることにより体脂肪を検出するように構成されていてもよい。この場合、筐体において被験者の掌を接触させる左接触面および右接触面のそれぞれに、光学式脈波センサの代わりに抵抗値測定センサの電極が設けられる。
【符号の説明】
【0121】
1、2・・・生体状態検出装置 40・・・筐体 41・・・支柱部 43・・・第1水平部 45・・・第2水平部 46〜48・・・壁部 51・・・左接触面 52・・・右接触面 61、63、65・・・光学式脈波センサ 66、67・・・穴部 68・・・左接触面 69・・・右接触面 71、73・・・突起部 81、83・・・滑り止め部 95・・・穴部 97・・・接触面 101〜112、201〜206・・・生体状態検出装置 401〜403、405〜407・・・筐体 511〜513・・・左接触面 521〜523・・・右接触面 531、532・・・左接触面 541、542・・・右接触面 571・・・接触面 581・・・左接触面 591・・・右接触面 661〜663・・・穴部 681〜683・・・左接触面 691〜693・・・右接触面 671〜673・・・穴部 951、952・・・穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の掌を接触させる接触面を表面に有する筐体と、前記接触面に設けられ前記被験者の生体状態を示す生体信号を検出する検出部と、を備えた生体状態検出装置であって、
前記接触面は、該接触面に接触させた前記被験者の前記掌によって当該装置が鉛直方向下方から支持される位置に形成されていることを特徴とする生体状態検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記接触面に接触させた掌に向けて光を照射すると共に照射した方向から到来する反射光を受光し、
前記検出部にて受光した光の強度の連続的な変化を前記被験者の脈波として検出することを特徴とする請求項1に記載の生体状態検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記接触面から突出して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体状態検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記接触面において、前記接触面に接触させた掌の親指の付け根のふくらみの部分に当接する位置に設けられていること、を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項5】
前記接触面には、少なくとも前記掌の親指の付け根と人差し指の付け根との両方を接触させることで、前記検出部に対する前記掌の位置を位置決めする突起部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の生体状態検出装置。
【請求項6】
前記接触面には、該接触面と前記掌との間の摩擦係数を増加させる形状または材質を有した滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項7】
前記筐体には、前記被験者が掌を差し込むことができる形状を有した差込部が形成され、該差込部を構成する面に前記接触面が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項8】
前記差込部は、前記被験者が前記掌を差し込む差込方向の手前から奥に向かう穴状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の生体状態検出装置。
【請求項9】
前記差込部は、前記被験者の前記掌の前記差込方向の動きを制限する制限部材を有していることを特徴とする請求項8に記載の生体状態検出装置。
【請求項10】
前記筐体は、載置面に載置されているときに、該載置面との間に前記被験者が掌を差し込むことのできる形状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項11】
前記筐体は、鉛直方向に延びる形状に形成された支柱部と、該支柱部の鉛直方向上側の端部に設けられ、鉛直方向と垂直な水平方向に延びる形状に形成された上端支持部と、を備え、
前記接触面は、前記上端支持部における鉛直方向下側の面であること、を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項12】
前記筐体は、前記支柱部の鉛直方向下側の端部に設けられ、前記水平方向に延びる形状に形成された下端支持部を備えていることを特徴とする、請求項11に記載の生体状態検出装置。
【請求項13】
前記接触面が平面状に形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項14】
前記接触面が曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項15】
前記接触面は、前記水平方向に延びていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項16】
前記接触面は、該接触面に接触させた前記被験者の前記掌の小指側が前記鉛直方向下側になると共に親指側が前記鉛直方向上側となるように、前記水平方向に対して角度を有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項17】
前記接触面は、前記被験者の右掌を接触させる右接触面と、左掌を接触させる左接触面と、からなり、
前記右接触面および前記左接触面には、それぞれ前記検出部が設けられていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。
【請求項18】
前記筐体は、前記右接触面にて前記被験者の前記右掌に作用する鉛直方向下向きの力と、前記左接触面にて前記被験者の前記左掌に作用する鉛直方向下向きの力とが、等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項17に記載の生体状態検出装置。
【請求項19】
前記接触面は、前記被験者の右掌を接触させる右接触面および左掌を接触させる左接触面のいずれか一方からなることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の生体状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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