説明

生体磁気計測装置の画面表示方法、プログラムおよび情報処理装置

【課題】データを効率的に整理することを目的とする。
【解決手段】記憶部に格納されている生データや、この生データを加算することによって生成した加算データを画像として表示する加算データ表示領域910と、この生データや、加算データに対して各種解析を行った結果である解析結果を表示する解析結果表示領域920aと、加算データ表示領域910や、解析結果表示領域920aに表示されている画像データを一時的に保管する一時保管領域620と、一時保管領域に保管されている画像データを用いて、レポートを作成するためのレポート作成領域1010を1つのウィンドウ画面内に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から生じる磁場を計測する装置(生体磁気計測装置)の画面表示方法、プログラムおよび情報処理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高感度磁気センサの超伝導量子干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device:SQUID)を用いて、生体から生じる磁場を測定し、その測定結果から、生体内部の磁場源の位置を推定し、その分布を再構成する生体の磁場図表示装置が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)
【特許文献1】特許第3140731号公報
【特許文献2】特許第3140732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1や、特許文献2に記載の技術などによって得られる解析結果データは、最終的にレポートなどの文書データとしてまとめられることになるが、特許文献1や、特許文献2に記載の技術は、解析結果を表示することに重点がおかれているため、最終的なレポートの作成では、他のアプリケーションを使用するなどの手間が必要となる。さらに、レポートの作成では、様々な解析結果を使用するため、特許文献1や、特許文献2に記載の技術を利用してレポートを作成するためには、その都度、使用したいデータが表示されている画面を開く必要があり、作業が煩瑣となってしまう。
【0004】
このような背景に鑑みて本発明は、データの整理を効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、生体から生じる磁場を計測する装置である生体磁気計測装置の情報処理装置の画面において、画像データを表示する第1の表示領域と、第1の表示領域に表示されている画像データを使用した文書データを作成するための第2の表示領域と、を1つのウィンドウ画面内に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、データの整理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明を実施するための最良の形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
《装置構成》
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
情報処理装置1は、計測装置としての心磁計から取得したデータ(心磁計測データ、生データ21)を解析し、レポートを作成するための装置であり、情報を処理する処理部10、情報を記憶する記憶部20、情報を表示する表示部30および情報の入力を行う入力部40を有する。ちなみに、心磁計は、例えば、SQUIDを用いて、生体から生じる磁場を測定する装置であり、この心磁計からのデータは、入力部40を介して情報処理装置1へ入力される。また、表示部30は、ディスプレイなどで構成され、入力部40は、キーボードやマウスやネットワークインタフェースなどで構成され、記憶部20は、HD(Hard Disk)や、RAM(Random Access Memory)などで構成される。
処理部10は、表示処理部11、データ取得部12、加算処理部13、母体心磁除去処理部14、時相調整処理部15、データ保存部16および解析部17を有してなる。
表示処理部11は、表示部30に表示する画面データなどを生成し、この画面データを表示部30に表示させる機能を有する。データ取得部12は、入力部40を介して入力された心磁計からのデータ(生データ21:第1のデータ)や、記憶部20に記憶されている各データを取得する機能を有する。加算処理部13は、後記して説明する加算データ処理を行う機能を有する。母体心磁除去処理部14は、胎児の心磁計測データを取り扱う際に、母体の影響を除去する処理を行う機能を有する。時相調整処理部15は、加算データ処理などを行う際に、心磁計測データの位相(時相)を揃える機能を有する。データ保存部16は、データを記憶部20に保存する機能を有する。解析部17は、入力部40を介して入力された指示に基づいて、生データ21、あるいは、後記して説明する加算データ22を解析処理する機能を有する。解析処理は、生データ21、あるいは、加算データ22を基に、心臓における磁場を2次元表示するマップ処理などがある。
【0009】
記憶部20は、心磁計から取得したデータである生データ21や、生データ21を加算してノイズを除去した加算データ22(第1のデータ)を有する。また、記憶部20は、生データ21や、解析結果データ24(第1のデータ、加工データ)などと、被検者の情報とを紐付けているリストデータ23や、解析処理された結果である解析結果データ24を有する。さらに、記憶部20は、後記する一時保管領域に表示されている画像データを保持している一時保管データ25や、生データ21や、加算データ22や、解析結果データ24を使用して作成されたレポートの文書および画像データであるレポートデータ26も有している。
【0010】
図1における各部10〜16は、図示しないROM(Read Only Memory)や、図示しないHD(Hard Disk)に格納されたプログラムが、図示しないRAMに展開され、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されることによって具現化する。また、情報処理装置1は、生体から生じる磁場を計測する装置である生体磁気計測装置の一部であってもよい。
【0011】
《フローチャートおよび画面例》
次に、図1を参照しつつ、図2〜図4の各フローチャートおよび図5〜図10の各画面例に沿って、本実施形態に係る操作手順を説明する。
【0012】
(リスト表示画面におけるデータ選択処理)
まず、図2および図5を参照して、リスト表示画面500(第4の表示領域)におけるデータ選択処理を説明する。
図2は、本実施形態に係る全体処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、本実施形態に係るリスト表示画面の例を示す図である。
情報処理装置1が起動されると、表示処理部11は、図5のリスト表示画面500を表示し、入力部40を介して、ユーザが対象となるデータを選択するデータ選択処理を行う(S101)。データ選択処理は、以下の手順で行われる。
リスト表示画面500において、被検者リスト表示領域501と、検査リスト表示領域502と、データリスト表示領域503とが、1つのウィンドウ画面内に表示されている。
被検者リスト表示領域501には、被検者毎に一意に付される被検者番号や、氏名や、性別や、生年月日や、検査数や、生データ数や、加算データ数や、レポート数などが、被検者毎に表示されている。
また、検査リスト表示領域502は、検査毎のデータを表示する領域であり、検査毎に一意に付される検査番号や、該当する検査を受けた被検者の被検者番号や、登録日や、年齢や、体重や、身長や、科名や、部門や、依頼医や、診察者氏名や、レポートなどが表示される。なお、コメント欄には、検査に対するコメントが表示される。
ユーザが、入力部40を介して被検者リスト表示領域501における所定のレコード511をクリック(選択入力)すると、そのレコード511が強調表示される。すると、検査リスト表示領域502において、レコード511の被検者に関連するレコード512が強調表示される。さらに、データリスト表示領域503には、この被検者に関連する生データ21のファイル名521、加算データ22のファイル名522およびレポートのファイル名523が表示される。
【0013】
ユーザが、データリスト表示領域503に表示されているファイル名から、任意のファイル名を選択し、さらに「リスト」ボタン650をクリックすると、そのデータに関する詳細な情報がデータ情報表示領域505に表示される。図5の例では、生データ21の欄521が選択されているため、生データ21「123456.ad」の詳細な情報が表示されている。
このような表示される情報間の関連付けは、被検者番号に紐付けられた被検者情報や、検査番号に紐付けられた検査情報や、被検者番号、検査番号、生データ21、加算データ22およびレポートデータ26を紐付けたデータ(第1のデータと紐付けられたデータ)が、記憶部20のリストデータ23に予め格納されることによってなされている。
【0014】
そして、データリスト表示領域503に表示されているファイル名521〜523から、任意のファイル名をクリックし、「決定」ボタン504をクリックすると、データ選択処理がなされ、処理部10は、図2のステップS102〜S104の各処理に移行する。
【0015】
例えば、生データ21のファイル名521が選択された状態で、「決定」ボタン504がクリックされると、表示処理部11は、図6で後記する波形確認画面600を表示部30に表示し、処理部10は、生データ処理(図2のステップS102)に処理を移行する。そして、加算データ22のファイル名522が選択された状態で、「決定」ボタン504がクリックされると、表示処理部11は、図9で後記する解析画面900を表示部30に表示し、解析部17が、解析処理(図2のステップS103)を実行する。さらに、レポートデータ26のファイル名523が選択された状態で、「決定」ボタン504がクリックされると、表示処理部11は、図10のレポート作成画面1000を表示部30に表示し、処理部10が、レポート作成処理(図2のステップS104)に処理を移行する。
【0016】
「変更」ボタン531〜533は、各表示領域において選択したレコードや、欄を変更する際にクリックするボタンである。「キャンセル」ボタン534は、すべての選択を取り消す際にクリックするボタンである。「詳細表示」ボタン535は、データ情報表示領域505に表示されている情報を、より詳細に表示する際にクリックするボタンである。そして、「閉じる」ボタン536がクリックされると、表示処理部11は、リスト表示画面500を消去し、処理が終了する。
【0017】
(生データ処理)
次に、図3および図6〜図8を参照して、生データ処理を説明する。なお、図3の生データ処理は、図2のステップS102に相当する処理である。
図3は、図2のステップS102に相当する生データ処理の操作手順を示すフローチャートであり、(a)は、成人データに対する処理を示し、(b)は、胎児データに対する処理を示す。また、図6は、本実施形態に係る波形確認画面の画面例を示す図であり、図7は、加算処理画面の画面例を示す図であり、図8は、モード選択画面の画面例を示す図である。
図3(a)および図3(b)の処理の選択は、前記したように、図5の生データ21のファイル名521が選択された状態で、「決定」ボタン504がクリックされるなどにより行われる処理である。
【0018】
(波形確認画面による波形確認処理)
図6に示す波形確認画面600は、図3(a)のステップS201の波形確認処理で表示される画面であり、波形表示領域610(第1の表示領域、生データ表示領域)と、一時保管領域620(第2の表示領域)とが、1つのウィンドウ画面内に表示されている。また、解析結果表示領域630(第1の表示領域、加工データ表示領域)が、波形表示領域610の後ろに隠れている状態であるが、タブ631をクリックしたり、各領域の縁をドラッグすることによって、波形表示領域610および解析結果表示領域630を縮小したり、拡大したりすることが可能である。
【0019】
波形表示領域610には、生データ21の波形(生波形611)が画像データとして表示されている。この生波形611は、Ch設定領域612で選択されたチャンネル(心磁計のチャンネル)で計測された生データ21の波形を画像データ化したものである。また、Chプレビュー表示領域613には、生データ21のすべてのチャンネルの波形が表示されている。なお、Chプレビュー表示領域613に表示されている波形画像は、データ取得部12が、記憶部20から取得した生データ21である。ユーザが、Chプレビュー表示領域613に表示されている波形の一部を、選択することにより、表示処理部11は、この選択された領域に該当する波形を生波形611として表示する。この生波形611は、時間や、波高などのデータが埋め込まれており、切り取りや、拡大・縮小などの2次加工が可能にされた画像データである。
【0020】
ユーザが、生波形611(画像データ)を一時保管領域620にドラッグアンドドロップすることで、選択した生波形611(画像データ)を一時保管領域620に表示させることができる(符号622)。これは、図3のステップS208の一時保管処理に相当する処理である。このようにすることで、レポート作成に利用したい画像を確認しながら、処理を進めることができる。なお、一時保管領域620に表示されるデータは、一時保管データ25として記憶部20に格納されることになる。データ選択ラジオボタン621は、一時保管領域620で表示するデータを選択するためのラジオボタンである。例えば、「生波形」ラジオボタンが選択されると、表示処理部11は、一時保管領域620に生波形形式のデータを表示し、その他の形式のデータを表示しない。同様に、「加算波形」ラジオボタンが選択されると、表示処理部11は、図4で加算処理された波形データを表示し、その他のデータを表示しない。さらに、「マップ」ラジオボタンが選択されると、表示処理部11は、図4で解析処理されたマップ形式のデータを表示し、その他のデータを表示しない。また、一時保管領域620には、画像データに対する簡単なメモや、コメントなどを、ユーザが入力部40を介して入力することにより、表示することもできる。このようにすることで、ユーザは、何の目的でその画像データを一時保管領域620に保存したのかを、後で確認することができる。
さらに、「レポート作成」ボタン623がクリックされると、表示処理部11は、図10に示すレポート作成画面を表示して、処理部10は、レポート作成処理に処理を移行する(図3(a)で図示せず)。
【0021】
「前へ」ボタン615がクリックされると、一つ前の処理に戻る。図6の波形確認画面600では、「前へ」ボタン615がクリックされると、図5のリスト表示画面500へ移る。「終了」ボタン616がクリックされると、表示処理部11は、波形確認画面600を消去し、処理部10は、処理を終了する。このとき、必要に応じて、図示していない保存ボタンをクリックするなどして、適宜波形確認画面600の保存を行ってもよい。
「モード変更」ボタン640がクリックされると、表示処理部11は、図8に示すモード選択画面800に移行する。「加算へ」ボタン614がクリックされると、表示処理部11は、図7に示す加算処理画面700を表示し、処理部10は、ステップS203に処理を移行する。また、図示しない「リストへもどる」ボタンがクリックされると、表示処理部11は、図5のリスト表示画面500を表示し、処理部10は、データ選択処理に処理を戻す(図3(a)のステップS202)。
【0022】
(加算処理画面における加算処理)
次に、図3(a)のステップS203で表示される加算処理画面について説明する。
なお、図7において、図6と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
加算処理画面700では、波形表示領域610aの前に加算処理表示領域710(第3の表示領域)が表示されている。
加算処理表示領域710では、生波形711と、加算設定領域712と、加算波形714とが表示されている。生波形711は、図6の生波形611と同様であるので説明を省略する。加算設定領域712では、表示チャンネル設定、フィルタ設定、ピーク検出パラメータ設定などの各種設定を行い、「加算波形作成」ボタン713がクリックされることによって、加算処理部13が、生波形データを加算する加算処理を行い(図3(a)のステップS203)し、表示処理部11が加算した波形データを画像データ化した加算波形714として表示する。この加算波形714は、時間や、波高などのデータが埋め込まれており、切り取りや、拡大・縮小などの2次加工が可能にされた画像データである。
「続けて加算」ボタン722がクリックされると、加算処理表示領域710がもう1つ表示され、再度、加算処理を行うことができる(図3(a)のステップS207)。
「保存」ボタン721がクリックされると、データ保存部16が、生成した加算データ22を記憶部20に保存するデータ保存処理が行われる(図3(a)のステップS204)。
さらに、「解析へ」ボタン723がクリックされると、表示処理部11は、図9に示す解析画面900を表示し、解析部17が、解析処理を実行する(図3(a)のステップS205)。
また、終了」ボタン616がクリックされると、表示処理部11は、波形確認画面600を消去し、処理部10は、処理を終了する(図3(a)のステップS206)。
【0023】
また、ユーザが、加算波形714(画像)を一時保管領域620にドラッグアンドドロップすることで、選択した加算波形714(画像)を一時保管領域620に表示させることができる(符号622)。これは、図3(a)のステップS208の一時保管処理に相当する処理である。このようにすることで、レポート作成に利用したい画像を確認しながら、処理を進めることができる。
なお、各領域の縁をドラッグすることによって、加算処理表示領域710および解析結果表示領域630を縮小したり、拡大したりすることが可能である。
【0024】
(モード設定画面による母体心磁除去処理の選択)
図8に示すモード設定画面600aは、図6や図7の「モード変更」ボタン640がクリックされることにより、表示される画面である。なお、図8において、図6と同様の構成要素に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
モード設定画面600aにおいて、「モード変更」ボタン640がクリックされると、「成人」ボタン641および「胎児」ボタン642を有するモード選択領域640aが表示される。ここで、「成人」ボタン641がクリックされると、図3(a)に示す生データ処理が実行され、「胎児」ボタン642がクリックされると、図3(b)に示す生データ処理が実行されることになる。具体的には、図3(b)に示すステップS251の母体心磁除去処理が行われ、胎児から得られた生データ21から母体の影響が除去される。なお、「閉じる」ボタン643がクリックされると、モード選択領域640aが閉じる。また、このとき必要に応じて、母体心磁除去された心磁データの保存をユーザに促す旨の表示をする。そして、図示しない保存ボタンをユーザがクリックすることによって、母体心磁除去された心磁データを新たな生データとして保存することもできる。図3(b)におけるステップS251以外の処理は、図3(a)と同様であるので、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0025】
ここで、母体心磁除去処理について説明する。
母体心磁除去処理は、母体腹壁上に磁気センサを配置し、胎児心磁計測を行う際に、母体の心臓から生じる磁場(母体心磁)が混入し、胎児信号との区別が困難となる場合があるために行われる処理である。この母体心磁を除去する方法としてテンプレート波形を用いる方法と、信号源分離方法の2つが通常適用される。
このうち、テンプレート波形を用いる方法は、A. Kandori, T. Hosono, T. Kanagawa, S. Miyashita, Y. Chiba, M. Murakami, T. Miyashita and K. Tsukada, Detection of atrial-flutter and atrial-fibrillation waveforms by fetal magnetocardiogram, Med. Biol. Eng. Comput., vol. 40, pp. 213-217, 2002.に記載されている技術であり、母体心磁除去処理部14は、心磁計測データにおける数心拍の母体心磁波形を用いて、母体心磁の平均波形を作成する。そして、母体心磁除去処理部14は、この平均波形を母体心磁のテンプレート波形とする。さらに、母体心磁除去処理部14は、生データ21から母体心磁ピーク時刻を検出し、母体心磁のテンプレート波形を除去することによって母体心磁を除去する。
【0026】
また、信号源分離方法は、S. Comani, M. Liberati, D. Mantini, E. Gabriele, D. Brisinda, SD. Luzio, R. Fenici and GL. Romani, Characterization of fetal arrhythmias by means of fetal ultrasinographic imaging, PACE, vol. 27, pp. 1674-1655, 2004.に記載されている技術であり、母体心磁除去処理部14は、生データ21から母体心磁を除去する信号源分離方法として、独立成分分析を用いる。独立成分分析では、原理的に測定Ch(Channel)数個分の独立した信号源を分離できる方法である。
【0027】
(解析処理画面における解析処理)
次に、次に、図4および図9を参照して、解析処理を説明する。なお、図4の生データ処理は、図2のステップS103や、図3のステップS205に相当する処理である。
図4は、本実施形態に係る解析処理の操作手順を示すフローチャートであり、(a)は、1つの加算データを使用する場合の手順であり、(b)は、複数の加算データを使用する場合の手順である。また、図9は、本実施形態に係る解析画面の画面例を示す図である。
図9に示す解析画面900は、図6〜図8に示すタブ631がクリックされることにより表示されたり、図7に示す「解析へ」ボタン723がクリックされることにより表示される画面であり、図4(a)のステップS301の処理で表示されたりする画面である。
【0028】
解析画面900において、加算データ表示領域910、解析結果表示領域920(第1の表示領域、加工データ表示領域)および一時保管領域620が1つのウィンドウ画面内に表示されている。ここで、一時保管領域620は、図6で説明した一時保管領域620と同様であるため、説明を省略する。
加算データ表示領域910は、図7に示す加算処理表示領域710が縮小表示されたものであり、縮小に伴って表示内容が整理されて表示されている。図9に示す加算データ表示領域910の例では、生波形911および加算波形912が表示されている。生波形911は、図6の生波形611と同様であり、加算波形912は、図7の加算波形714と同様であるため説明を省略する。
解析結果表示領域920(第1の表示領域)、では、図9に示すように各種解析結果を表示可能である。図9の例では、「マップ(アロー図)」、「3D」、「ダイポール」、「生波形」などの各種解析結果の画像データが、タブをクリックすることによって表示される。これらの解析処理が行われるタイミングは、例えば、図7に示す「解析へ」ボタン723がクリックされたタイミングであり、この「解析へ」ボタン723がクリックされると同時に、解析部17が各種解析処理を行う(図4(a)のS301)。
図9の例では、「マップ(アロー図)」が選択されている状態であり、解析結果の画像データとして、マップ図921が時刻毎に表示されている。なお、マップ図921は、煩雑になるのを避けるため、空白となっているが、実際には、磁場から計算される電流ベクトルを示す矢印と、スカラを示す等高線などが2次元マップとして表示されている。このマップ図921は、x座標、y座標や、ベクトル値、スカラ値などのデータが埋め込まれており、切り取りや、拡大・縮小などの2次加工が可能にされた画像データである。
【0029】
ユーザは、解析結果表示領域920に表示されているデータ(画像)を一時保管領域620にドラッグアンドドロップすることで、レポート作成に使用したいデータ(画像)を一時保管領域620に表示させる一時保管処理を行うことができる(図4(a)のステップS305)。ステップS305における一時保管処理は、図3のステップS208と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
そして、図示しない「リストへ戻る」ボタンがクリックされると、表示処理部11は、図5のリスト表示画面500を表示部30に画面表示し、処理部10は、データ選択処理へ処理を戻す(図4(a)のステップS302)。また、図9に図示していない「閉じる」ボタンがクリックされることにより、表示処理部11は、解析画面900を画面上から消去して、処理部10は処理を終了させる(図4(a)のステップS303)。さらに、「レポート作成」ボタン623がクリックされると、表示処理部11は、図10のレポート作成画面1000を画面表示し、処理部10は、レポート作成処理へ処理を移行する(図4(a)のステップS304)。
【0031】
なお、図7の「続けて加算」ボタン722がクリックされることなどにより、加算データ22が複数生成されている場合、図4(b)に示すように、解析部17による解析処理の前に、時相調整処理部15が時相調整処理を行う(図4(b)のS351)。これは、異なる加算データ22を使用して解析処理を行う場合、加算データ22の時相をそろえる必要があるためであり、時相調整処理が、例えば各加算データ22におけるピーク時を検出し、このピーク時で各加算データ22をそろえることによって、時相調整処理を行う。
図4(b)におけるステップS351以外の処理は、図4(a)と同様であるため、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
なお、各領域910,920,620の縁をドラッグすることによって、各領域910,920,620を縮小したり、拡大したりすることが可能である。特に、一時保管領域620の縁をドラッグすることにより、表示処理部11は、図10で後記するレポート作成領域1010を表示することが可能である。
【0032】
(レポート作成画面によるレポート作成処理)
図10は、本実施形態に係るレポート作成画面の画面例を示す図である。図10に示すレポート作成画面1000は、図6〜図9に示すレポート作成ボタン623がクリックされることにより表示される画面であり、図2のステップS104や、図4のステップS304の処理で表示される画面である。
レポート作成画面1000において、加算データ表示領域910(第1の表示領域、生データ表示領域)、解析結果表示領域920a(第1の表示領域、加工データ表示領域)、レポート作成領域1010(第2の表示領域、文書作成領域)および一時保管領域620(第2の表示領域)が1つのウィンドウ画面内に表示されている。図10のように、加算データ表示領域910を画面左側、解析結果表示領域920aを画面中央、レポート作成領域1010を画面右側に配置することによって、加算→解析→レポート作成の流れを視覚的に分かりやすくユーザに示すことができる。
これらの領域910,920a、1010,620のうち、加算データ表示領域910および一時保管領域620は、前記した図6および図9で説明した加算データ表示領域910および一時保管領域620と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
さらに、解析結果表示領域920aは、図9で説明した解析結果表示領域920の一部がレポート作成領域1010の後ろに隠れている状態であるため、説明を省略する。
【0033】
レポート作成領域1010は、被検者情報表示領域1011、画像データ表示領域1012、コメント表示領域1013などを有してなる。
被検者情報表示領域1011は、被検者に関する情報を表示する領域であり、ユーザが入力部40を介して入力してもよいし、図5の被検者リスト表示領域501で選択された情報が表示されてもよい。
画像データ表示領域1012は、一時保管領域620から、ドラッグアンドドロップなどでコピーされた画像データ1014を表示する領域である。
コメント表示領域1013は、ユーザが入力部40を介して入力した画像データ表示領域1012に表示されている画像に対するコメントをテキストデータとして表示する領域である。
なお、レポート作成領域1010におけるレイアウトは、図10に示すレイアウトに限らず、ユーザの好みやフォーマットにあわせて自由に変更可能である。
また、各領域910,920a,1010の縁をドラッグすることによって、各領域910,920a,1010を縮小したり、拡大したりすることが可能である。
【0034】
また、図5に示すリスト表示画面500を、図6や、図9や、図10の各画面と同時に1つのウィンドウ内に表示してもよい。この場合、波形確認画面600(図6)や、解析画面900(図9)や、レポート作成画面1000(図10)の上部に、リスト表示画面500を表示してもよい。
【0035】
(効果)
本実施形態によれば、生データ21や、解析結果データ24などを表示する領域と、これらのデータを扱ってレポート作成するための領域とを、1つのウィンドウ画面内に表示することができるため、他のアプリケーションなどを起動する必要がなく、レポート作成の効率を向上させることができる。
また、通常時は、レポート作成領域1010を表示せず、レポート作成に必要な画像データなどを一時的に格納・表示するための一時保管領域620を、生データ21や、解析結果データ24を表示しているときに、常に表示することで、作業の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る全体処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る生データ処理の操作手順を示すフローチャートであり、(a)は、成人データに対する処理を示し、(b)は、胎児データに対する処理を示す。
【図4】本実施形態に係る解析処理の操作手順を示すフローチャートであり、(a)は、1つの加算データを使用する場合の手順であり、(b)は、複数の加算データを使用する場合の手順である。
【図5】本実施形態に係るリスト表示画面の例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る波形確認画面の画面例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る加算処理画面の画面例を示す図である。
【図8】本実施形態に係るモード選択画面の画面例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る解析画面の画面例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るレポート作成画面の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 情報処理装置
10 処理部
11 表示処理部
12 データ取得部
13 加算処理部
14 母体心磁除去処理部
15 時相調整処理部
16 データ保存部
17 解析部
20 記憶部
21 生データ(第1のデータ)
22 加算データ(第1のデータ)
23 リストデータ(第1のデータと紐付けられたデータ)
24 解析結果データ(第1のデータ、加工データ)
25 一時保管データ
26 レポートデータ(文書データ)
30 表示部
40 入力部
500 リスト表示画面(第4の表示領域)
501 被検者リスト表示領域
502 検査リスト表示領域
503 データリスト表示領域
505 データ情報表示領域
600 波形確認画面
600a モード設定画面
610 波形表示領域(第1の表示領域、生データ表示領域)
620 一時保管領域(第2の表示領域)
630 解析結果表示領域(第1の表示領域、加工データ表示領域)
640a モード選択領域
700 加算処理画面
710 加算処理表示領域(第3の表示領域)
712 加算設定領域
900 解析画面
910 加算データ表示領域(第1の表示領域)
920 解析結果表示領域(第1の表示領域、加工データ表示領域)
920a 解析結果表示領域(第1の表示領域、加工データ表示領域)
1000 レポート作成画面
1010 レポート作成領域(第2の表示領域、文書作成領域)
1011 被検者情報表示領域
1012 画像データ表示領域
1013 コメント表示領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から生じる磁場を計測する装置である生体磁気計測装置の情報処理装置による画面表示方法であって、
前記情報処理装置は、
記憶部に格納されている第1のデータを使用して生成され、所定のデータが埋め込まれてから2次加工可能にされた画像データを表示する第1の表示領域と、
前記第1の表示領域に表示されている画像データを使用して、前記画像データを含む文書データを作成するための第2の表示領域と、
を1つのウィンドウ画面内に表示することを特徴とする生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項2】
前記第2の表示領域は、前記文書データを作成するための文書作成領域と、前記第1の表示領域に表示されている画像データのうち、操作者により選択され、前記文書データを作成する際に使用する画像データを一時的に保管する一時保管領域と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記文書データの作成時以外では、前記文書作成領域を画面表示せず、
前記一時保管領域は、前記第1の表示領域と共に常に画面表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項3】
前記第1の表示領域から、前記一時保管領域への画像データの移動は、ドラッグアンドドロップによって行われることを特徴とする請求項2に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項4】
前記記憶部に格納されているデータは、生体から生じる磁場を計測する装置から取得した生データと、当該生データを加工した加工データと、を含み、
前記第1の表示領域は、前記生データの画像データを表示する生データ表示領域と、前記加工データの画像データを表示する加工データ表示領域とを有し、
前記生データ表示領域および前記加工データ表示領域のそれぞれは、入力部を介して入力された所定の指示により、拡大および縮小が可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項5】
前記計測装置は、心磁計である
ことを特徴とする請求項4に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項6】
前記心磁計は、SQUID(Superconducting Quantum Interference Device)を用いて、生体の磁場を測定する装置である
ことを特徴とする請求項5に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
入力部を介して、所定の指示が与えられると、前記生データを加算し、
前記加算された加算データを表示する第3の表示領域を画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
入力部を介して、所定の指示が与えられると、前記生データから、母体心磁除去処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項9】
前記情報処理装置の起動時において、
前記情報処理装置は、
前記記憶部における第1のデータと紐付けられたデータが、リスト形式で表示される第4の表示領域を画面表示し、
前記第4の表示領域に表示されているデータのうち、1つのデータが選択されると、前記選択されたデータと紐付けられている前記第1のデータのファイル名が、前記第4の表示領域内に表示され、
前記第4の表示領域内に表示されている前記第1のデータのファイル名をクリックすると、前記第1のデータと親子関係にあるデータのファイル名が強調表示され、
所定の指示が与えられると、
前記第1の表示領域および前記第2の表示領域が画面表示される
ことを特徴とする請求項1に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
検査結果の解析装置であり、
前記第1のデータと紐付けられたデータとは、被検者の情報である
ことを特徴とする請求項9に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項11】
前記第1のデータが複数存在する場合、
前記情報処理装置は、
当該第1のデータにおける各データ間で時相調整処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置の画面表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
生体磁気計測装置から取得したデータの画面表示を行う情報処理装置であって、
記憶部に格納されているデータを使用して生成され、所定のデータが埋め込まれて2次加工可能にされた画像データを表示する第1の表示領域と、前記第1の表示領域に表示されている画像データを使用して、前記画像データを含む文書データを作成するための第2の表示領域と、を1つのウィンドウ画面内に表示する表示処理部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
前記第2の表示領域は、前記文書データを作成するための文書作成領域と、前記第1の表示領域に表示されている画像データのうち、操作者により、選択され、前記文書データを作成する際に使用する画像データを一時的に保管する一時保管領域と、
を有し、
前記表示処理部は、
前記文書データの作成時以外では、前記文書作成領域を画面表示せず、前記一時保管領域は、前記第1の表示領域と共に常に画面表示する機能をさらに有する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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