説明

生体試料の抗酸化能力を評価する方法

生体試料の抗酸化能力を評価する方法であって: (a)少なくとも被酸化性基質を含有する試料を生体から取り出す段階; (b) 前記被酸化性基質の酸化反応を開始させる段階; (c)前記酸化反応を継続する段階;および(d)前記酸化反応の進行中にその速度を測定することにより、または前記酸化反応を停止させた後の測定により、前記被酸化性基質からの酸化生成物を定量する段階を含んでなり、前記段階(b)および(c)が1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下で行われる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生体内における酸化ストレスに対する抗酸化能力の評価方法に関する。
【背景技術】
ヒトを含む好気性生物は、酸素による酸化的リン酸化によってエネルギーを得ている。この酸化的リン酸化は、酸素から生じる酸素ラジカルを介して進行する。したがって、酸素ラジカルの存在は、生体にとって必須である。
しかし、酸素ラジカルは、生体内の組織または生体成分を酸化するという酸化ストレスにもなると考えられ、その酸化ストレスが、白内障、糖尿病、アルツハイマー、癌、動脈硬化、心肺疾患、高コレステロール血症、慢性炎症性疾患、虚血性疾患のような種々の疾患の増悪因子になることが知られている(Sies H.(1997)Oxidative stress:oxidants and antioxidants.Review.Exp.Physiol.82:291−5;Scott G.(1997)Antioxidants in science,technology,medicine and nutrition.Coll House,UK Publishing;Porter N.A.(1990)Auto−oxidation of polyunsaturated fatty acids:Initiation,propagation and product distribution(basic chemistry).Vigo−Pelfrey,C.ed Membrane lipid oxidation.Vol.1 Boca Raton,FL,CRC Press;Simic M.,Karel M.(1980)Auto oxidation in food and biological systems.New York,Plenum Press)。酸素ラジカルを介する生体内でのエネルギー生産は常に行われているから、生体は常に酸素ラジカルによる酸化ストレスに曝されていることになる。
生体は、この酸化ストレスから個体を護るための防御手段として抗酸化能力を有している。この抗酸化能力のレベルには個体差があるため、かなりの酸化ストレスに曝されても上記のような疾患を患わない個体もあれば、容易に患う個体もある。
したがって、酸化ストレスによって増悪する上記のような疾患に対する個体の抗酸化能力を正確に評価できれば、そうした疾患を予防または治療するうえで有用な情報を得ることができる。
これまで、抗酸化能力の評価方法として、生体内で既に酸化された酸化生成物を測定する方法と、まだ酸化されていない生体試料を取り出してex vivoで酸化を惹起して、試料の酸化され難さを調べる方法とが知られている。
生体内で既に酸化された酸化生成物を測定する方法については、酸化生成物としてTBA反応性物質である過酸化脂質を測定する方法が古くから用いられている(Yagi K.A simple fluorometric assay for lipoperoxide in blood plasma.Biochem Med.1976 15:212−6.)。この方法は、過酸化脂質をTBAとともに酸性条件下で加熱し生成する蛍光強度を測定することによって、生体内で生成した過酸化脂質を測定する方法である。しかしながら、この方法では、過酸化脂質が生体内のどこで生成したか、およびどのような反応によって生成したかについての情報が得られないため、その測定値が、生体内のどの組織におけるどのような酸化反応に対する抗酸化能力を反映したものであるかを知ることができない。さらに、過酸化脂質は、生体内の酵素反応によっても生成することに加えて、その濃度は代謝や排泄による影響が避けられないので、生体内で既に酸化された酸化生成物を測定する方法は、生体の抗酸化能力の評価法としては不十分である。
近年開発された酸化生成物の測定法であるイソプロステインF2αを測定する方法によれば、生体内の酸化反応のうち酵素反応による酸化反応の影響を避けることができるので、ラジカル反応による酸化生成物のみを測定でき、したがって、そうした酸化反応に対する抗酸化能力のみを評価できることが報告されている(Patrono C,FitzGerald GA.Isoprostanes:potential markers of oxidant stress in atherothrombotic disease.Arterioscler Thromb Vasc Biol.1997 17:2309−15)。しかし、生体内のどの組織のどのようなラジカル酸化反応に対する抗酸化能力であるかを知ることができず、しかも依然として酸化生成物の代謝や排泄による影響が避けられない。
一方、ex vivoで生体試料の酸化を惹起する方法では、生体から試料を取り出し、そしてその試料を体外で酸化反応に付することにより、その試料中に含まれる生体内抗酸化成分の抗酸化能力を評価することで、その生体試料が取り出された特定の組織における抗酸化能力を評価することができる。
この方法では、例えば、血清もしくは組織ホモジネート試料などを用いるTAS法(Total Antioxidant Status法;Rice−Evans C,Miller NJ.Total antioxidant status in plasma and body fluids.Methods Enzymol.1994 234:279−93.)が臨床検査法として使用されている。このTAS法では、酸化剤として過酸化水素とメトミオグロビン(metmyoglobin)とを用いて、鉄イオンを介したラジカル反応による酸化反応を惹起し、この酸化反応に抗する試料の能力を測定することで、試料の抗酸化能力を評価するものである。この方法は、反応時間が典型的には6分と短時間であるため、自動分析機でも測定可能である。過酸化水素とメトミオグロビンによる酸化の代わりに、定常的にラジカルを発生することができる2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド(AAPH)による酸化反応を利用した方法として、TRAP法(Total Radical−trapping Antioxidant Potential)も開発されている(Wayner DD,Burton GW,Ingold KU,Locke S.Quantitative measurement of the total,peroxyl radical−trapping antioxidant capability of human blood plasma by controlled peroxidation.The important contribution made by plasma proteins.FEBS Lett.1985 187:33−7)。これら方法では、短時間に多量に発生したラジカルがサンプル中に存在する抗酸化物質を消費することから、酸化開始のために発生させたラジカルと抗酸化物質との直接の反応が起こっていると考えられる。したがって、ラジカルと酸化反応可能な抗酸化成分の総量を抗酸化能力と見做して評価している。
このように、ex vivoで生体試料の酸化を惹起する方法では、ラジカルとの反応が可能なそのサンプル中の特定の抗酸化能を評価することができる。
LDL試料を用いる方法もあり、Esterbauerにより提唱されたEsterbauer法が使用されている(Esterbauer H,Striegl G,Puhl H,Rotheneder M.Continuous monitoring of in vitro oxidation of human low density lipoprotein.Free Radic Res Commun.1989 6:67−75)。このEsterbauer法では、LDL試料にex vivoで銅イオンを添加して37℃で保温することで脂質過酸化の連鎖反応を起こし、この脂質過酸化反応に対するそのLDL試料の抗酸化能力を評価している。この測定においては、酸化物の生成を234nmにおける吸光度により評価しており、反応開始後234nmの吸光度変化が検出され始めるまでのラグタイムが、試料中の抗酸化成分の量を反映していると考えられている。この測定において、α−トコフェロールの投与がヒトにおけるラグタイムの延長を引き起こすことが報告されている(Dieber−Rotheneder M,Puhl H,Waeg G,S triegl G,Esterbauer H.Effect of oral supplementation with D−alpha−tocopherol on the vitamin E content of human low density lipoproteins and resistance to oxidation.J Lipid Res.1991 32:1325−32)。
上記のTAS法、TRAP法、Esterbauer法のいずれの評価方法も、ex vivoで試料中に含まれる抗酸化成分が消失するまで酸化反応を行うものであり、抗酸化成分の総量をもって抗酸化能力と見做している。これら評価方法において用いられる試料中の主要な抗酸化成分は、ビタミンEの中でもっとも抗酸化活性の高い分子種であるα−トコフェロールと考えられる(二木鋭雄、島崎弘幸、美濃真編、抗酸化成分 フリーラジカルと生体防御、1994学会出版センター)。したがって、これら評価方法においては、主にα−トコフェロールの総量を抗酸化能力として評価していることになるから、個体からの試料中のα−トコフェロール含量が高ければその個体の抗酸化能力は高いものと、すなわち、その個体は、酸化ストレスによって増悪される動脈硬化や虚血性疾患のような疾患を患い難いと評価されてきた。事実、これら方法を行うためのキットが、Randox Laboratories Ltd.,OXIS International,Inc.等により、臨床診断に有用なものとして市販されている。
しかしながら、生体内で酸化が進行した動脈硬化病変においても、α−トコフェロールが消失せずにその病変中に存在することが報告されている(Upston JM,Terentis AC,Morris K,Keaney Jr JF,Stocker R.Oxidized lipid accumulates in the presence of alpha−tocopherol in atherosclerosis.Biochem J.2002 1;363:753−60)。このことは、動脈硬化病変のような酸化ストレスによって増悪する病変において、α−トコフェロールに代表される生体内抗酸化成分が存在する状態でも酸化が進行すること、すなわち、そのような生体内抗酸化成分でも阻止できない酸化が起こっていることを示唆している。
これに関して、近年、α−トコフェロールが特定の実験条件では脂質過酸化を促進することが報告されている(Maiorino M,Zamburlini A,Roveri A,Ursini F.Prooxidant role of vitamin E in copper induced lipid peroxidation.FEBS Lett.1993 330:174−6.)。また、α−トコフェロールによる脂質過酸化促進作用を測定する方法も報告されている(Witting PK,Mohr D,Stocker R.Assessment of prooxidant activity of vitamin E in human low−density lipoprotein and plasma.Methods Enzymol.1999;299:362−75)。この現象は、α−トコフェロールに特有の脂質過酸化の促進作用として捉えられており(Upston JM,Terentis AC,Stocker R.Tocopherol−mediated peroxidation of lipoproteins:implications for vitamin E as a potential antiatherogenic supplement.FASEB J.1999 13:977−94)、それが、抗酸化成分が存在している状態でも酸化が進行する原因の一つとして捉えられている。
こうしたことから、従来の抗酸化能力の評価方法では、酸化ストレスによって増悪する病変の真のリスク評価ができていなかったと考えられる。Karmanskyらは、評価された抗酸化能力の程度と病態の程度とが必ずしも良好な相関を示さなかったことを報告している(Karmansky I,Shnaider H,Palant A,Gruener N.Plasma lipid oxidation and susceptibility of low−density lipoproteins to oxidation in male patients with stable coronary artery disease.Clin Biochem.1996 29:573−9)。
したがって、生体内抗酸化成分が存在する状態でも進行する酸化反応による生成物を定量できれば、酸化ストレスによって増悪する病変のリスク評価をより正確に行うことができる。
生体試料の酸化反送による生成物の同定については、LDL酸化の段階を定めるために、コレステロールエステルの酸化生成物であるコレステロールエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)とコレステロールエステルヒドロキシド(CEOH)をHPLCで分離する方法が確立されている(L.Kritharides,W.Jessup,J.Gifford,and R.T.Dean,A method for defining the stages of low−density lipoprotein oxidation by the separation of cholesterol−and cholesterol ester−oxidation products using HPLC.Analytical Biochemistry 213,79−89(1993))。
【発明の開示】
本発明は、抗酸化成分が存在する状態で起こる酸化に対する生体の抗酸化能力を評価する方法を提供する。
本発明者らは、抗酸化成分が存在する状態でも進行する酸化反応の存在に着目して研究を重ねた結果、そのような酸化生成物を測定する方法を見出した。
本発明は、生体試料の抗酸化能力を評価する方法であって:
(a)少なくとも被酸化性基質を含有する試料を生体から取り出す段階;
(b)前記被酸化性基質の酸化反応を開始させる段階;
(c)前記酸化反応を継続する段階;および
(d)前記酸化反応の進行中にその速度を測定することにより、または前記酸化反応を停止させた後の測定により、前記被酸化性基質からの酸化生成物を定量する段階
を含んでなり、前記段階(b)および(c)が1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下で行われる方法の発明である。
また、本発明は、この方法により評価された生体試料の抗酸化能力に基づいて、対象患者の疾患の診断または病態の予後評価および/または進展予測を行う方法の発明でもある。
さらに、本発明は、抗酸化性被検成分の抗酸化能力を評価する方法であって:
(a)少なくとも被酸化性基質を含有する試料を生体から取り出す段階;
(b)前記生体試料に前記抗酸化性被検成分を添加する段階;
(c)段階(b)の混合物の酸化反応を開始させる段階;
(d)前記酸化反応を継続する段階;および
(e)前記酸化反応の進行中にその速度を測定することにより、または前記酸化反応を停止させた後の測定により、前記被酸化性基質からの酸化生成物を定量する段階
を含んでなり、前記段階(c)および(d)が1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下で行われる方法の発明である。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1において酸化反応を停止させた後の処理液の代表的なHPLCチャートを示す。約9分の保持時間のピークがCEOOHとCEOHであり、約5分の保持時間のピークがα−トコフェロールである。
図2は、AAPH濃度と酸化生成物との関係を示したグラフを示す。横軸はAAPH濃度であり、縦軸はコレステロールエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)とコレステロールエステルヒドロキシド(CEOH)の生成量の和である。
図3は、実施例2においてα−トコフェロールが消失した酸化反応液の代表的なHPLCチャートを示す。
図4は、種々の濃度のα−トコフェロール、プロブコールまたはBO−653存在下でのCEOOHとCEOHの生成量の推移を示したグラフを示す。
発明の詳細な説明
本発明の1つの側面は、抗酸化成分と被酸化性基質とを含有する生体試料にex vivoで酸化反応を開始させ、その抗酸化成分が酸化種によって消費し尽くされない状態でその酸化反応を継続させ、そしてこの酸化反応により酸化された被酸化性基質を定量することを含んでなる、生体試料の抗酸化能力を評価する方法である。この方法では、生体試料、引いては、その生体試料が取り出された個体の抗酸化能力が評価されることになる。
この方法において対象となる生体は、哺乳動物、好ましくはヒトである。生体試料には、組織ホモジネート、リンパ液、尿、血液、血漿および血清が含まれる。試料が取り出される組織は、特に制限されず、皮膚、肝臓、血管壁、血液、尿が含まれ、好ましくは血液である。本発明の方法に使用される試料は、生体内におけるそのままの濃度で、またはそれを10000倍まで、好ましくは10倍までに希釈して使用される。希釈は、生理食塩水で行うのが好ましい。場合により、試料の酸化を防ぐために、キレーターを加えてもよい。一般に、3〜10のpHに調節するのが好ましい。
本発明の方法において生体試料中に生来的に含有される“抗酸化成分”は、生体が酸化ストレスに抗するために有している易酸化性物質の総称であって、特にα−トコフェロールを挙げることができる。この抗酸化成分は、試料中に共存する被酸化性基質よりも先に酸化されることにより系内の酸化種を相殺し、それによって、その被酸化性基質が酸化されるのを阻止する働きを行うものと考えられてきた。しかし、上述のように、α−トコフェロールが特定の実験条件では脂質過酸化を促進することが報告されているので、必ずしも被酸化性基質が酸化されるのを阻止するとは限らないと考えられる。
本発明の方法において用いられる“被酸化性基質”という用語は、例えば、試料が血液、血漿または血清である場合には、コレステロールエステル、中性脂質、リン脂質などの脂質;ヘモグロビン、SH基を有する蛋白などを意味し、コレステロールエステルが主要な被酸化性基質である。
本発明の方法における酸化反応は、酸化開始剤を加えることにより、紫外線もしくは放射線のような照射を行うことにより、または自働酸化により開始させることができる。しかしながら、酸化開始剤の使用は、その種類や添加量の増減により酸化反応の強さを調節するのが容易なことから、好ましい開始方法である。用いられる酸化開始剤には、例えば、過酸化水素およびt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物;塩化鉄および硫酸銅のような金属塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド(AAPH)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ系開始剤;銅、鉄およびヘミンのような遷移金属;ならびに次亜塩素酸、ヘム鉄およびヘモグロビンなどが含まれる。また、酸化開始剤として酵素を用いてもよく、それらには、例えば、リポキシダーゼ、シクロオキシゲナーゼおよびラクトペルオキシダーゼなどが含まれる。
これら酸化開始剤は、単独でも二種以上を組み合わせてもよい。適切な強さの酸化反応に調節できる点でAAPHを単独で使用するのが好ましい。
本発明の具体的な態様においては、酸化開始剤にAAPHを用い、生体試料が血漿のときに、AAPH濃度が5〜30mM、好ましくは5〜20mM、より好ましくは8〜12mM、最も好ましくは10mMである。照射により酸化反応を開始させるには、紫外線または放射線を用いるのが好ましい。自働酸化は、試料を空気中もしくは酸素中に曝すことにより開始することができる。酸化を開始させる温度は一般に20〜50℃であり、好ましくは37℃である。
本発明の方法において用いられる“1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下”という用語は、抗酸化成分が酸化種との酸化還元反応によって消費され尽くされていない状態を意味する。そのような状態を維持することで、従来から被酸化性基質の酸化を阻止すると考えられてきた抗酸化成分によっても阻止できない酸化またはそれにより促進される酸化が進行する状況をつくり上げたのである。場合により、生体試料に抗酸化物質を添加することにより抗酸化成分の存在下の状態を人工的に創り出してもよい。この際、添加する抗酸化物質は、生体試料中に生来的に含有される抗酸化成分と同一であっても異なっていてもよいが、生体試料中に生来的に含有される抗酸化成分と同一物質であるかまたは生体試料に含有される抗酸化成分のうちの1種であることが好ましく、生体試料に含有される抗酸化成分のうちの1種であることがより好ましい。生体試料中に生来的に含有される抗酸化成分と異なる抗酸化物質には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような脂溶性抗酸化化合物およびトロロックスのような水溶性抗酸化化合物が含まれる。
開始後に継続される酸化反応の種類はその開始手段に依存する。一般に、酸化開始剤や照射により酸化を開始する場合にはラジカル酸化反応となる。酸化反応の具体的な条件は、被酸化性基質の酸化が進行し、かつ酸化反応が停止するまで抗酸化成分が存在している条件であればよい。しかしながら、具体的な酸化反応の条件は、試料濃度、酸化開始剤濃度、温度および時間などの条件を様々に変えることにより設定することができる。温度は、20〜50℃であり、好ましくは37℃である。一般に酸化反応の開始時と同じ温度で行われる。開始後に酸化反応を継続する時間は2〜10時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
本発明の具体的な態様においては、生体試料が血漿であり、酸化開始剤がAAPHであってその濃度が5〜30mM、好ましくは5〜20mM、より好ましくは8〜12mM、最も好ましくは10mMであり、反応温度が20〜50℃、好ましくは37℃であり、そして反応時間が24時間以内、好ましくは8時間以内である。
被酸化性基質の酸化生成物は、酸化反応の速度を測定することによっても、酸化反応が停止した後に酸化反応液中の成分の量を測定することによっても行うことができる。
酸化反応速度の測定法には、酸化により被酸化性基質が減少する割合を測定する方法、マーカー物質を添加してその変動により酸化の進行をモニターする方法、被酸化性基質の酸化により生じる酸化生成物が増加する割合を測定する方法などが含まれ、酸化により減少する被酸化性基質を測定する具体的な方法としては、例えば、酸素消費量の測定、不飽和脂質の減少の測定、グルタチオンの減少の測定などがあげられる。また、マーカー物質を添加してその変動により酸化の進行をモニターする具体的な方法としては、例えば、スピンとラップ剤をマーカー物質として用いる方法、蛍光物質をマーカー物質として用いる方法などがあげられる。被酸化性基質の酸化により生じる酸化生成物が増加する割合を測定する方法は、以下に記載する酸化反応停止後の酸化反応液中の酸化された被酸化性基質の定量と同様である。
酸化反応停止後の酸化反応液中の成分の測定による場合、酸化された被酸化性基質を定量しても、酸化された被酸化性基質の濃度と酸化されていない基質の濃度とを測定しその比率から酸化率を決定してもよい。いずれの場合も、酸化反応の停止もしくは減弱は、通常は酸化反応液を含む容器を氷水中に浸けることによる急冷、強力な抗酸化剤を添加することによる酸化阻止などによって行われる。次いで、その酸化反応液から酸化された被酸化性基質および/または酸化されていない被酸化性基質を分離する。分離は、抽出、電気泳動、カラムクロマトグラフィーなどの方法により行われる。有機溶媒による抽出が好ましい。この目的に適する有機溶媒には、n−ヘキサン、クロロホルム、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸、水およびそれらの混合溶液が含まれる。酢酸を含むメタノール/n−ヘキサン混合溶液が好ましい。抽出に使用する有機溶媒の量は、生体試料またはその希釈液の0.1〜1000倍、好ましくは1〜100倍である。抗体を用いて定量する場合などのように定量の特異性が高い場合には、分離を省略することができる。
酸化の進行をモニターする為に添加するマーカー物質、および酸化されまたは酸化されていない被酸化性基質の定量を行う手段は、被酸化性基質がいかなる物質であるかに依存する。分析対象物質がコレステロールエステル、中性脂質およびリン脂質などの脂質またはそれらの酸化生成物である場合は、一般的な酸化脂質の測定法やTBA反応性物質の測定法を用いることができ、ヘモグロビンなどの蛋白またはそれらの酸化生成物である場合は、一般的な蛋白の測定法または酸化変性蛋白の測定法を用いることができる。また、HPLC法、LC−EDC法、TLC法、質量分析法、ELISA法、および発色による吸光度変化もしくは蛍光強度変化による定量を用いることができる。しかしながら、あらゆる種類の分析対象物質の測定に用いることができる点、および分析対象物質の同定も可能である点で、HPLC法もしくはELISA法が好ましい。特にUV検出器を装備したHPLC法が操作性やコスト等の点で好ましい。
本発明の1つの態様において、被酸化性基質が脂質である場合、その酸化生成物には、酸化により分子内にペルオキシ結合(−O−O−)を有するに至った脂質過酸化物、オキシ結合(−O−)を有するに至った脂質酸化物、およびそれらの脱離により形成されるジエン結合を有するに至った脂質があげられる。したがって、被酸化性基質がコレステロールエステルである場合、その酸化生成物には、例えば、コレステロールエステルヒドロペルオキシド、コレステロールエステルヒドロキシド、酸化ステロールエステル、コレステロールエステルアルデヒドなどがあげられ、コレステロールエステルヒドロペルオキシドとコレステロールエステルヒドロキシドとの総量を測定することが好ましい。
被酸化性基質がコレステロールエステルであり、生体内抗酸化成分がα−トコフェロールであり、酸化反応の開始がAAPHで行われ、そして酸化反応が8時間行われる場合に、抗酸化成分の存在下の状態を維持するには、AAPHの濃度を好ましくは8〜12mM、最も好ましくは10mMであるようにする。
本発明の別の側面では、上記の方法により評価された生体試料の抗酸化能力に基づいて、対象患者の疾患の診断または病態の予後評価および/または進展予測を行うことができる。対象となる疾患および/または病態としては、酸化ストレスが増悪因子になることが知られている疾患、例えば、白内障、糖尿病、アルツハイマー、癌、動脈硬化症、心肺疾患、高コレステロール血症、慢性炎症性疾患、虚血性疾患などが挙げられ、その中でも特に酸化ストレスの関与が深い疾患、例えば、糖尿病などの慢性内分泌疾患、アルツハイマーなどの脳疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような肺疾患、非アルコール性脂肪肝にともなう肝疾患(NASH)のような肝疾患、慢性腎不全のような腎疾患、動脈硬化症のような循環器疾患、クローン病、リウマチのような慢性炎症性疾患、および癌、を挙げることができる。また、本評価を健康診断の1つの指標とすることも可能である。
本発明の更なる側面は、抗酸化成分と被酸化性基質とを含有する生体試料中に抗酸化性被検成分を加えて、酸化反応を開始させ、その抗酸化成分が酸化種によって消費し尽くされない状態でその酸化反応を継続させ、そしてこの酸化反応により酸化された被酸化性基質を定量することを含んでなる、抗酸化性被検成分の抗酸化能力を評価する方法である。
この方法は、抗酸化性被検成分を、抗酸化成分の存在下で起こる生体試料中の被酸化性基質の酸化反応のメカニズムの下に置くことにより、その環境下での抗酸化性被検成分の抗酸化能力を評価しようとするものである。評価の対象は生体試料ではなく、抗酸化性被検成分の抗酸化能力である。この方法によれば、生体内抗酸化成分が存在する状態でも進行する酸化反応に対する、抗酸化性被検成分の抗酸化能力を評価することができる。生体試料、生体試料中に含まれる被酸化性基質、生体試料中に生来的に含有されても添加されてもよい抗酸化物質、酸化反応を開始および継続させる手段、および被酸化性基質からの酸化生成物の定量などは上記の通りである。しかし、生体試料は検査材料の1つに過ぎないから、その組成や抗酸化能力に変動がないのが好ましい。典型的には、予め標準的な生体試料が調製されるのがよい。評価に際して、生体試料は、抗酸化性被検成分と混合されるほか、抗酸化性被検成分との比較のためにコントロールとして使用されてもよく、また、その抗酸化能力が固定値として使用されてもよい。抗酸化性被検成分には、抗酸化性を有することが期待される合成されたかまたは天然の化合物が含まれる。これらは、今後その抗酸化性が期待される化合物であるから、その構造や由来を予め特定することはできない。しかしながら、合成された化合物には、例えば、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン(以下、BO−653という)が含まれる。抗酸化性被検成分の、生体試料中に含有される抗酸化成分に対するモル濃度の比率は、0.001〜1000:1、好ましくは0.002〜500:1、より好ましくは0.01〜100:1、更に好ましくは0.1〜10:1である。
【実施例】
実施例1:血漿試料中のコレステロールエステルの酸化生成物の定量再現性
正常人の血漿試料中のコレステロールエステルを被酸化性基質ととらえてその酸化生成物の定量再現性をみた。
インフォームドコンセントを得た一人の正常人からヘパリン採血を行ってプール血漿を調製した。
このプール血漿を1.1mLづつ9本の試験管に分注して−80℃で凍結保存した。
凍結された血漿試料を含有する3本の試験管A、BおよびCを37℃に5分間保温することにより内容物を解凍した。解凍後それら試験管を氷中に維持した。
それぞれの試験管から取り出した300μLの血漿に10μLのAAPH(和光純薬(株)製、Lot No.DWF 1183)水溶液をAAPHの濃度が10mMになるように加えた。次いで、37℃に保温することで酸化反応を開始させた。
酸化反応開始後37℃で8時間してからそれぞれの反応液の入った3つの容器を氷中に浸けることにより反応を停止させた。それぞれ100μLの反応液に1mLの0.02%酢酸を含むメタノール溶液と5mLのヘキサンを加えて反応液中の脂質を抽出した。そのヘキサン抽出液4mLをSpeed Vac(ThermoSavant社製,AES1010)で濃縮し、それぞれの濃縮物を200μLのイソプロピルアルコール中に溶解させた。
C18逆相カラムを用いる下記条件のHPLCにより脂質を溶離させた。234nmのUV光で検出を行った。
HPLC条件:
カラム: C18逆相カラム(250x4.6mm,Supelco社製、LC−18)
移動相: エタノール:メタノール:イソプロパノール:水=2950:900:150:15
流速: 1.0mL/min
温度: 室温
検出: UV検出器(234nm、Agilent 1100 UV variable wavelength detector、G1314A)
外部標準:コレステロールリノリエートヒドロペルオキサイド
このHPLC条件では、コレステロールエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)とコレステロールエステルヒドロキシド(CEOH)の両分子種を含んだコレステロールエステル酸化生成物が約9分の保持時間で溶離され、α−トコフェロールが約5分で溶離された。α−トコフェロールが存在したことで、この試験ではα−トコフェロールが存在している状態で酸化反応が進行しかつ停止されたことが確認できた。この測定における代表的なHPLCチャートを図1に示す。
同じ測定験操作を残る6本の試験管に含有される血漿試料についても行った。なお、それらのうち3本を用いた測定は上記測定日の翌日(第2日)に行い、残る3本を用いた測定は翌々日(第3日)に行った。結果を表1に示す。

表1において、日内変動幅とは、同日に測定した試料A、BおよびCの日内平均値に対する標準偏差のパーセンテージであり、日間変動幅とは、第1〜3日の日間平均値に対する標準偏差のパーセンテージである。
表1から明らかなように、日内および日間変動幅(CV%)がいずれも20%以内である。また、9試料の全体の変動幅は18.2%である。この程度の変動幅は、コレステロールエステルの酸化生成物が再現性良く測定できることを示している。
実施例2:抗酸化成分が存在する状態のAAPH濃度への依存性
血漿試料中でのAAPHの濃度を0〜48mMで変動させた以外は実施例1と同様な測定を行うことにより、本発明の測定法において抗酸化成分が存在する状態を維持することのAAPH濃度への依存性を検討した。結果を図2に示す。
図2から、AAPH濃度が5mM以上であればCEOOHとCEOHの酸化が進行することが分かる。一方、AAPH濃度が29mM以上になると、抗酸化成分であるα−トコフェロールが存在しなくなることがHPLCにより確認された。α−トコフェロールが消失した酸化反応液の代表的なHPLCチャートを図3に示す。
したがって、α−トコフェロールが存在する状態でコレステロールエステルの酸化反応を進行させるには、AAPHを酸化開始剤にした場合には、その濃度を5〜30mM程度にする必要があることが明らかとなった。
実施例3:α−トコフェロールの脂質酸化促進作用の確認
実施例1の血漿試料に、AAPHの添加5分前に抗酸化物質であるα−トコフェロール、プロブコールまたは4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン(BO−653)を種々の濃度になるように添加した以外は実施例1と同様な測定を行うことにより、試料中に存在する抗酸化物質の種類によってCEOOHとCEOHの生成量がどのように変化するかを調べた。なお、BO−653は、WO94/08930号公報、米国特許第5,574,178号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0665208号公報記載の方法により製造することができる。
プロブコール(SIGMA社製、Lot No.61K1121)およびBO−653(中外製薬株式会社製、Lot No.009002)のリノール酸ペルオキシラジカルとの反応速度は、α−トコフェロール(ACROS Organics社製、Lot No.A015821301)についての速度を1とした場合、それぞれ1/17.5および1/2と報告されている(Gotoh N,Shimizu K,Komuro E,Tsuchiya J,Noguchi N,Niki E.Antioxidant activities of probucol against lipid peroxidations.Biochim Biophys Acta.1992 1128:147−54;Noguchi N,Iwaki Y,Takahashi M,Komuro E,Kato Y,Tamura K,Cynshi O,Kodama T,Niki E.2,3−Dihydro−5−hydroxy−2,2−dipentyl−4,6−di−tert−butylbenzofuran:design and evaluation as a novel radical−scavenging antioxidant against lipid peroxidation.Arch Biochem Biophys.1997 342:236−43)。リノール酸ペルオキシラジカルとの反応速度を調べる方法は従来の抗酸化能力の評価方法なので、α−トコフェロール、プロブコールおよびBO−653はいずれも従来の評価方法では抗酸化能力を有するとされた物質である。
結果を図4に示す。なお、図4に示された抗酸化物質の濃度は血漿試料中に外部から加えたものの濃度だけを表示してある。現実には、全ての血漿試料に生来的なα−トコフェロールが存在する。したがって、α−トコフェロールを外部から加えた試料のα−トコフェロール濃度は表示された値より大きい。
図4から、α−トコフェロールでは、その濃度の上昇とともにCEOOHとCEOHの生成量が有意に上昇するが、BO−653では、その濃度の上昇とともにCEOOHとCEOHの生成量が有意に低下している。これは、α−トコフェロールは、従来の抗酸化能力の評価方法でBO−653よりも大きな抗酸化能力があるとされているのに、コレステロールエステルのような脂質の酸化については、むしろそれを促進することを示している。
この結果は、生体試料中のα−トコフェロールに代表される生体内抗酸化成分の総量を抗酸化能力として評価してきた従来の方法では、酸化ストレスによって増悪する病変の真のリスク評価ができていなかったことを示すとともに、生体内抗酸化成分の存在下でも起こる酸化を捉えられる本発明の測定方法が、そのようなリスク評価を的確に行えることを示している。
【産業上の利用の可能性】
本発明によれば、α−トコフェロールなどの抗酸化成分が存在する状態で起こる酸化反応に対する生体の抗酸化能力を評価することができる。特に、酸化ストレスによって増悪する病態においては、抗酸化成分であるα−トコフェロールが存在する状態で起こる酸化反応が重要であると考えられることから、本発明は臨床検査法として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料の抗酸化能力を評価する方法であって:
(a)少なくとも被酸化性基質を含有する試料を生体から取り出す段階;
(b)前記被酸化性基質の酸化反応を開始させる段階;
(c)前記酸化反応を継続する段階;および
(d)前記酸化反応の進行中にその速度を測定することにより、または前記酸化反応を停止させた後の測定により、前記被酸化性基質からの酸化生成物を定量する段階
を含んでなり、前記段階(b)および(c)が1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下で行われる方法。
【請求項2】
前記生体試料が、血液、血漿または血清である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1種の抗酸化成分がα−トコフェロールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記酸化反応の開始が酸化開始剤によって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記酸化反応の開始時における前記酸化開始剤の濃度によって前記抗酸化成分が前記酸化反応の間存在し続けることができるように調節される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記酸化開始剤が2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリドである、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記酸化開始剤が2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリドであり、前記濃度が5〜30mMである、請求項5載の方法。
【請求項8】
前記被酸化性基質が脂質であり、前記脂質からの酸化生成物が脂質酸化物と脂質過酸化物とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記脂質がコレステロールエステルであり、前記脂質酸化物がコレステロールエステルヒドロキシドであり、そして前記脂質過酸化物がコレステロールエステルヒドロペルオキシドである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記被酸化性基質からの酸化生成物の定量が前記酸化反応の停止後の測定により行われる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記被酸化性基質からの酸化生成物の定量が、その定量を可能にする分析対象物質のHPLCによる溶離を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記分析対象物質がUV光により検出される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記生体試料が、前記段階(b)および(c)を抗酸化成分の存在下で行うのに十分な量の抗酸化成分を含んでいない場合に、前記段階(b)を行う前に、前記生体試料に抗酸化物質を添加する段階を更に含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記生体試料に添加される前記抗酸化物質が、前記生体試料に生来的に含有される抗酸化成分のうちの1種である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法により評価された生体試料の抗酸化能力に基づいて、対象患者の疾患の診断または病態の予後評価および/または進展予測を行う方法。
【請求項16】
前記疾患が、慢性内分泌疾患、脳疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、循環器疾患、慢性炎症性疾患または癌である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抗酸化性被検成分の抗酸化能力を評価する方法であって:
(a)少なくとも被酸化性基質を含有する試料を生体から取り出す段階;
(b)前記生体試料に前記抗酸化性被検成分を添加する段階;
(c)段階(b)の混合物の酸化反応を開始させる段階;
(d)前記酸化反応を継続する段階;および
(e)前記酸化反応の進行中にその速度を測定することにより、または前記酸化反応を停止させた後の測定により、前記被酸化性基質からの酸化生成物を定量する段階
を含んでなり、前記段階(c)および(d)が1種またはそれを越える抗酸化成分の存在下で行われる方法。
【請求項18】
前記生体試料が、前記段階(c)および(d)を抗酸化成分の存在下で行うのに十分な量の抗酸化成分を含んでいない場合に、前記段階(c)を行う前に、抗酸化物質を添加する段階を更に含んでなる、請求項17記載の方法。

【国際公開番号】WO2004/083869
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503775(P2005−503775)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003873
【国際出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【出願人】(502189155)ザ・ハート・リサーチ・インスティチュート・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】