説明

生分解性基材からの金属殺生物剤の浸出を減らすためのハイブリッド方法

ハイブリッド方法は、概して、金属殺生物剤が少なくとも2つの相の間に分配され、かつ平衡反応によって2つの相の間を移動するような、少なくとも2つの相を有する防腐剤組成物で生分解性基材を処理することを含む。少なくとも処理中の一部において両相が互いに接触するような方法で、両方の相を基材と接触させる。実例となる実施態様では、第一の相は液体キャリヤーの中に溶解した錯体形成した金属殺生物剤を含む液相であり、第二の相は金属殺生物剤を含む粒子(多くの場合、沈殿した粒子および/またはコロイド粒子)からなる。その方法ならびに関連する組成物、プロセスおよび処理は、その方法が不均一系(不溶性)の金属殺生物剤成分と均一系の金属殺生物剤成分の両方を含むという意味でハイブリッドである。不均一系の方法と異なり、ハイブリッド方法は粒子サイズの制約を受けにくく、より広い範囲の粒子サイズの殺生物剤粒子を使用することができる。均一系の方法と異なり、ハイブリッド方法はpHの影響を受けにくく、トリエタノールアミンのような穏やかにアルカリ性のアミンを含む、より広い範囲の錯化剤を使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫、菌類、微生物などによって腐朽しやすい木材、他のセルロース系製品、デンプン系製品などのような基材を保護するのに有用な金属殺生物剤含有防腐剤組成物であって、金属殺生物剤成分の少なくとも1つが可溶性の形態および不溶性の形態の両方で存在するものに関する。該組成物は、組成物が不溶性金属のみを含む場合よりも生分解性基材中への浸透がずっと完全でかつ均一でありながらも、組成物の全体が可溶性金属を含む場合よりも耐浸出性に優れる。したがって、不均一系組成物と均一系組成物の両方と関連した利点が多く得られ、一方、不均一系組成物と均一系組成物を個々に使用したときの主要な欠点は劇的に低減されている。
【背景技術】
【0002】
内装または外装用途に使用される木材、デンプン系および他の生分解性製品のような基材は、昆虫、菌類、微生物などによる攻撃に弱い場合がある。これらの攻撃に起因しがちである腐朽を防ぐために、そのような基材は、腐朽から保護しそして寿命を延ばすために防腐剤で処理される場合がある。歴史的に、1つの広く使用されている防腐剤組成物は、CCAの名称で知られている。この名称はクロム酸化ヒ酸銅(chromated copper arsenate)を表わす。CCA組成物は、甲板、柵、造園用木材などに使用される木製品(たとえばサザンイェローパイン)を処理するために広く使用されていた。
【0003】
CCA組成物は、腐朽に対する優れた保護を提供する。しかし、比較的最近、この組成物のヒ素およびクロム含有量に関して、健康および安全の懸念が持ち上がってきた。その結果、規制ガイドラインは、住居用途へのCCAの使用を2004年1月1日に中止させた。その結果、産業界は、CCA組成物の代替品として新しい防腐剤を開発してきたし、開発し続けている。クロムおよびヒ素を含まない有効な代替品の発見への挑戦が続いている。
【0004】
1つのより新しい種類の銅系防腐剤は、水溶性の銅錯体の形態を使用している。結果として生じた溶液は、溶液が基材に適用されるときに単一の液相であるという意味で、均一系であると見なされる。多くの態様において、銅はアルカノールアミンのような錯化剤と錯体を形成する。銅錯体を含む防腐剤の例としては、銅ポリアスパラギン酸(copper polyaspartic acid)、アルカリ性銅第四級アンモニウム塩(alkaline copper quaternary)(当業界では「アルカリ性銅第四級(alkaline copper quat)」または「ACQ」のような用語でも呼ばれている。)、銅アゾール(copper azole)、銅ホウ素アゾール(copper boron azole)、アンモニア性クエン酸銅(ammoniacal copper citrate)、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)銅(copper bis(dimethyldithiocarbamate))、およびエタノールアミン炭酸銅(copper ethanolamine carbonate)が挙げられる。一般に、これらはすべて、銅と錯体を形成する窒素塩基および結果として生ずる錯体を安定化する炭酸イオンを有する。アルカノールアミンと錯体を形成した銅を含む防腐剤組成物は、銅アミンの名称で呼ばれ、現在、住居木材用途の防腐剤市場において優位に立っている。
【0005】
肯定的には、均一系防腐剤溶液は、均一にかつ完全に基材に浸透する傾向がある。不運にも、CCA物質で処理された生分解性製品に比較して、これらのより新しい銅錯体系物質で処理された生分解性製品は、野原への銅の損失がより高い。その錯体の水溶解度のために、銅は、雨または他の水にさらされたときに、処理された生分解性製品からより容易に浸出する傾向がある。銅の損失が浸出によって起こるだろうという予想は、これらの予想損失に適応させるためにより多くの量の銅で処理する原因になる。これは費用がかかり無駄でもある。また、銅の溶液は、pHが低すぎると可溶性錯体が沈殿する場合があるので、比較的、pH変化に敏感な傾向がある。これは、例えば、配合融通性を、アルカリ性錯化剤のみの使用に制限する。
【0006】
不均一系防腐剤組成物もまた、最近、開発されている。これらにおいては、金属殺生物剤は、液体キャリヤーの中に分散した不溶性の微粒子の形で存在している。この分散液、乳濁液などは、その後、生分解性基材を処理するために使用される。超微細銅含有粒子(micronized copper containing particles)の分散液の形態の不均一系防腐剤組成物の具体例は、例えば、米国特許出願公開第2004/02587671号明細書、米国特許出願公開第2005/0118280号明細書、米国特許出願公開第2005/0249812号明細書、米国特許出願公開第2005/0265893号明細書、米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0112850号明細書および米国特許出願公開第2006/0147632号明細書に記載されている。
【0007】
肯定的には、不均一系処理組成物中の銅含有粒子は優れた保持特性を示し、可溶性の錯体形成した銅と比較して、耐浸出性が高い。不運にも、不溶性粒子は、基材の細孔または他の隙間の空間の中にのみ存在しそして気泡などの中には十分に浸透しない傾向がある。これは、より完全でより均一の基材浸透によって得ることができるバイオ効能よりもずっと少ないバイオ効能に帰着すると考えられる。不均一系の方法もまた、粒子が大きすぎたり小さすぎたりすると、処理の効果が落ちる場合があるので、粒子の大きさの制約の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、不均一系処理方法も均一系処理方法も、完全に満足できるものではない。均一系の方法は、少なくとも初期は、良好なバイオ効能を有するが、浸出が大きすぎる傾向がある。不均一系の方法は、良好な保持性を有するが、望まれるバイオ効能より少ないバイオ効能を有する傾向がある。欠点がより少なくかつこれらの利点を最大限に達成することができる方法が非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも部分的に、ハイブリッド防腐剤方法に基づく。本発明のハイブリッド方法は、概して、少なくとも2つの相を有する防腐剤組成物で生分解性基材を処理することを伴う。金属殺生物剤は少なくとも2つの相の間に分布し、平衡反応によってその2つの相の間を移動する。両相は、処理中の少なくとも一部においてお互いに接触するような態様で、基材と接触させられる。実例となる実施態様において、第一の相は、液体キャリヤーの中に溶解した錯体形成した金属殺生物剤を含む液相であり、一方、第二の相は、金属殺生物剤を含む粒子、多くの場合、沈殿したおよび/または分散した粒子(例えば、コロイド粒子は実例となる分散粒子の1種である。)を含む。別個の第二の相の中の粒子は、固体、液体、および/またはゲルであることができる。もし望むならば、粒子は、ラテックス、乳濁液などの成分であることができる。その方法および関連する組成物、プロセス、および処理は、その方法が不均一系(不溶性)の金属殺生物剤成分と均一系の金属殺生物剤成分の両方を含むという意味で、ハイブリッドである。
【0010】
意味深いことに、本発明は、不均一系の方法と均一系の方法の各々の欠点を最小限にしながら、不均一系の方法と均一系の方法の両方の利点を大いに達成する防腐処理方法を提供する。すなわち、本発明の防腐処理方法は、不均一系組成物を単独で使用して達成することができるよりも完全でかつ均一な基材浸透を可能にし、しかも均一系溶液を単独で使用するよりもはるかに大きな基材保持特性を示す。不均一系方法と異なり、ハイブリッド方法は、粒子サイズの制約にそれほど敏感ではなく、広範囲の粒子サイズの殺生物剤粒子を使用することができる。均一系方法と異なり、ハイブリッド方法は、pHにそれほど敏感でなく、広範囲の錯化剤およびトリエタノールアミンのような穏やかにアルカリ性のアミンを含む他の成分を使用することができる。
【0011】
1つの態様において、本発明は生分解性基材を処理するための防腐剤組成物に関する。該組成物は第一の相および第二の相を含み、金属殺生物剤の少なくとも第一の部分は第一の相の中に含まれ、金属殺生物剤の少なくとも第二の部分が第二の相の中に含まれ、第一の相の中の金属殺生物剤の少なくとも一部が第二の相の中の金属殺生物剤の少なくとも一部と平衡状態にある。本発明は、また、基材を処理するためにこの防腐剤組成物を使用することに関する。その処理は、少なくとも一部、該組成物を基材と接触させることによって行なわれる。
【0012】
別の態様において、本発明は生分解性基材を処理するための水性防腐剤組成物に関する。該組成物は、水性液体キャリヤー、少なくとも1種の金属殺生物剤および少なくとも1種の錯化剤を含む成分から誘導され、金属殺生物剤の一部は前記液体キャリヤーの中に溶解した金属錯体の中に含まれ、金属殺生物剤の少なくとも一部は前記液体キャリヤーとは別個の相の中に含まれるような条件下で、少なくとも1種の錯化剤は少なくとも1種の金属殺生物剤に比べて化学量論的に不足した状態で存在する。本発明は、また、この防腐剤組成物を基材を処理するために使用することに関する。その処理は、少なくとも一部、該組成物を基材と接触させることによって行なわれる。
【0013】
別の態様において、本発明は、次の工程を含む防腐剤組成物を製造する方法に関する。
金属殺生物剤および錯化剤を含む成分から誘導された、錯体形成した金属殺生物剤を含む均一系溶液を用意する工程、および
第一の液相が錯体形成した金属殺生物剤を含み、金属殺生物剤の少なくとも追加の部分が第二の相の中に含まれるような2つの相を含む混合物を形成するのに有効な条件下で、金属殺生物剤を含む追加の物質の十分な量を加える工程。
別の態様において、本発明は、この方法によって調製された防腐剤組成物を基材と接触させる工程を含む、生分解性基材を保存する方法に関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、次の工程を含む、防腐剤組成物を製造する方法に関する。
固相の金属殺生物剤を含む不均一系組成物を用意する工程、および
第一の液相は錯体形成した金属殺生物剤を含み、金属殺生物剤の少なくとも追加の部分は第二の相の中に含まれるような2つの相をもたらす条件下で、金属殺生物剤に比べて錯化剤が化学量論的に不足した状態を該組成物の中に存在せしめる工程。
別の態様において、本発明は、この方法によって調製された防腐剤組成物を基材と接触させる工程を含む、生分解性基材を保存する方法に関する。
【0015】
別の態様において、本発明は、次の工程を含む、防腐剤組成物を製造する方法に関する。
固相の金属殺生物剤を含む不均一系組成物を用意する工程、
金属殺生物剤の錯体を含む均一系溶液を用意する工程、および
混合物が金属殺生物剤を含む固相および金属殺生物剤を含む可溶の相を含み、そしてそれらの相が平衡状態にあるような混合物を形成するような量の前記不均一系組成物と前記均一系溶液を混ぜ合わせる工程。
別の態様において、本発明は、この方法によって調製された防腐剤組成物を基材と接触させる工程を含む、生分解性基材を保存する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下に記載する本発明の実施態様は、すべてを網羅するものではなく、また本発明を次の詳細な説明に開示されたまさにその形態に限定するものでもない。むしろ、それらの実施態様は、当業者が本発明の原理および実施を認識しそして理解できるように選ばれ、記載される。
【0017】
多くの代表的な実施態様において、ハイブリッド処理方法は、1種またはそれ以上の成分を含む少なくとも1種の液体キャリヤー、少なくとも1種の錯化剤、および前記錯化剤と反応し得る金属殺生物剤を含む少なくとも1種の源を含む成分から誘導された流体組成物と、基材を接触させることを含む。ただし、錯化剤は金属殺生物剤に比べて不足した状態で存在し、その結果、金属殺生物剤の一部だけが錯体を形成して液体キャリヤー中に溶解している。錯体を形成していない過剰の金属殺生物剤の少なくとも一部は、液体キャリヤーとは別個の相の中に存在するであろう。ここで使用するときは、そのような金属殺生物剤に対する錯化剤の不足は、「化学量論的な不足」ともいい、存在する金属殺生物剤の一部と錯体を形成する量の錯化剤しか存在しないことを示す。前記成分は、第一の液相が液体キャリヤーの中に溶解した錯体形成した金属殺生物剤を含み、過剰の金属殺生物剤の少なくとも一部が、多くの場合沈殿および/または分散した粒子の成分として、第二の別個の相の中に含まれるような二相混合物を提供するのに効果的な条件の下で混合される。第一の相の中の錯体形成した金属殺生物剤の少なくとも一部が、第二相の中の金属殺生物剤の少なくとも一部と平衡状態になるように、錯化剤が選択される。結果的に、平衡効果により、金属殺生物剤は時間とともに2相の間を移動するであろう。ハイブリッド組成物は最初に調製され、その後、処理を行なうために使用されてもよいし、ハイブリッド組成物は同時にまたは連続してまたはオーバーラップ様式などで基材に塗布される2つ以上の成分の組成物から現場で形成されてもよい。
【0018】
不均一系の金属殺生物剤組成物だけを使用した処理と比較して、ハイブリッド手法は、まず第一に金属殺生物剤のすべてが不溶性の形態であった場合よりも、基材の体積の中に、より完全でかつより一様な浸透をもたらす。総量は同一であるが均一系金属殺生物剤組成物だけを使用した処理と比較して、ハイブリッド殺生物剤組成物は、まず第一に金属殺生物剤のすべてが可溶性の形態であった場合よりも、基材におけるより良好な保持性(例えば低減された浸出)を示す。少なくとも一部は、この改善された保持性は、本発明のハイブリッド組成物の金属殺生物剤のかなりの部分が、どの時点においても、不溶性の、より固定した状態(例えば粒子)で存在するという要因に起因すると考えることができる。さらに、下記の実施例に示されるように、金属殺生物剤の保持性は、不溶性物質と可溶性物質の相対的な比率から期待されるよりもずっと良好である。結果的に、ハイブリッド手法は相乗効果的保持性保護もまた提供する。
【0019】
要するに、ハイブリッド方法は、不均一系防腐剤組成物の固定された見事な保持特性から利益を得て、それにもかかわらず、均一系組成物の固持性の多くをもって基材の中に浸透する。均一系と不均一系の各々の利点は大いに発揮され、一方、欠点(劣った浸透および過度の浸出)は劇的に減らされている。意味深いことに、基材の中への金属殺生物剤の改善された浸透は、液体キャリヤーの中に溶解すべき金属のすべてを必要とせずに達成される。改善された浸透は、より少ない浸透をもたらす処理より、より良好なバイオ効能、より良好な金属殺生物剤保持性およびより長く続く効能を提供すると考えられる。
【0020】
意味深いことに、ハイブリッド配合物の使用は、また、pHの影響を受けにくい配合物にすることができる。従って、配合物は、典型的には均一系溶液により適したpH値よりもずっと低いpH値を含む、広範囲のpH値にわたって配合することができる。これは、より低いアルカリ性のpH値、例えば約7〜約8.5で、実例となる実施態様において、ハイブリッド配合物を配合することができることを意味する。通常は、例えば、pHが低すぎた場合、銅の化学種は、錯体形成した銅のそうでなければ均一系の溶液から沈殿すると予想されるが、沈殿の存在が望まれるハイブリッド配合物では沈殿は問題ではない。
【0021】
アルカリ性がより強いpH値では容易に使用することができない広範囲の成分もまた、配合物において使用することができる。例えば、トリエタノールアミン(TEA)はありふれたシャンプーや化粧品の成分である弱塩基である。TEAは、より低いpH値で、例えば約9.0未満でまたは約8.5未満でさえ配合された実施態様において、本発明の実施における有用な錯化剤である。pHが約10.0以上であるような、よりアルカリ性の配合物においては、TEAはそれほど適していない。
【0022】
別の例として、約8.5未満のようなより低いpH値で配合することができることは、KATHONの商品名でローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)から入手可能な防かび剤のようなpHの影響を受けやすい殺生物剤のより有効な使用を可能にするであろう。KATHON防かび剤は、産業界において広く使用されている。そのような防かび剤の特に好ましい具体例は、KATHON WTの商品名で入手できる。この特定の製品は、約3質量部の5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾリノンと約1質量部の2−メチル−3−イソチアゾリノンを含む混合物である。これらの防かび剤は、一般に、酸性のCCA配合物中では全く安定しているが、8.5より高いpH値のACQまたは類似のアルカリ性配合物中で使用されたときに、劣化しやすい場合がある。結果的に、KATHONまたは類似の防かび剤は高価であるにもかかわらず、ACQ配合者は、劣化損失を補填するためにアルカリ性の防腐剤組成物においては相対的により多く(例えばCCA配合物中で使用される量の約2倍の量)のそのような防かび剤を使用する傾向があった。アルカリ性がより弱いpH値で本発明のハイブリッド組成物を配合することができることは、劣化損失が低減されるので、より有効である。好都合なことに、これは、より少ない量の高価な防かび剤成分が使用されることを可能にするであろう。
【0023】
非常に意味深いことに、ハイブリッド配合物は、不均一系配合物と比較してはるかに、特に初期の処理時の不溶性物質の大きさに関して、粒子サイズの制約と無関係である。米国特許出願公開第2004/02587671号明細書、米国特許出願公開第2005/0118280号明細書、米国特許出願公開第2005/0249812号明細書、米国特許出願公開第2005/0265893号明細書、米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0112850号明細書、および米国特許出願公開第2006/0147632号明細書に記載されているように、従来の不均一系配合物の超微細銅粒子は、大きすぎてもいけないし、小さすぎてもいけない。大きすぎると、粒子は木材基材のより細かい細孔の中に入ることができないであろう。しかし、小さすぎると、粒子は浸出しやすすぎるであろう。対照的に、本発明のハイブリッド配合物の不溶性粒子は、従来の不均一系組成物に対して推薦されるような大きさで提供することができるだけでなく、もっと粗い粒子で提供することもできるし、もし望むならばより細かい粒子で提供することもできる。上に説明したように、可溶性相と不溶性相の間の平衡効果に起因すると考えられるハイブリッド配合物の特性は、不溶性粒子として供給された金属殺生物剤のより完全でかつより一様な浸透を保証するのに役立つ。
【0024】
本発明において不溶性物質の比較的粗い塊を含む出発原料を使用することができることは、実験において実証された。顕微鏡で、米国特許出願公開第2004/02587671号明細書、米国特許出願公開第2005/0118280号明細書、米国特許出願公開第2005/0249812号明細書、米国特許出願公開第2005/0265893号明細書、米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0112850号明細書、および米国特許出願公開第2006/0147632号明細書に明示された大きさの限界より大きな、塩基性炭酸銅粒子の大きな粗い塊が、木材基材の表面上の塊として観察された。表面は乾燥していた。錯体形成した銅を含有する溶液の数滴を、ピペットでその塊に適用した。比較的短い時間で、塊は完全になくなった。塊は、ほんの約30分後にずっと小さくなっていた。塊はわずか24時間後になくなった。その領域の色相が変化し、それは不均一系の塊がピペットで付与された均一系溶液と共に基材の中に移動し浸透したことを示す。
【0025】
最初に比較的粗い形で供給されたときでさえ、不溶性物質は、より細かく分けられた形で基材内に分布するようになる。再び、平衡効果は、最初に、非常に細かい大きさの錯体形成した金属として、その物質を溶解すると考えられている。平衡が沈殿に帰着するときは、生じる沈殿物質は非常に細かく分割されている傾向があり、多くの物理的な粉砕方法によって生じるものよりもずっと細かい傾向がある。
【0026】
要するに、従来の不均一系の処理組成物は、これらの組成物中の不溶性粒子が木材のような基材の細孔構造の中に移動することができる度合が物理的分布機構によってかなり制限される。本発明のハイブリッド処理組成物にはこの制限がない。ハイブリッド組成物では、粗い粒子でさえ、すなわち、一般に物理的機構のみによっては木材基材の細孔構造の中に効果的に浸透していくには粗すぎる粒子が、それにもかかわらず、作用し始める他の機構によって基材の中にずっと深く浸透することができる。理論に束縛されることを望まないが、再び、少なくとも一部は平衡力学に起因する化学機構は、最初は粗く不溶性の物質が、基材の中により良く浸透することができるより可動性のより可溶性の錯体形成した形に変換される能力に寄与すると考えられている。
【0027】
理論に束縛されることを望まないが、1つ以上の不溶状態と1つ以上の可溶状態の間の、基材の中で動的に生じる平衡がこの性能につながる主要因であると考えられる。いつの時点においても、錯化剤の量に化学量論的に対応する金属殺生物剤の部分のみが、可溶性錯体の状態にあり、一方、残りが平衡によって不溶状態にある傾向にあるのが真かもしれない。そのような時点においては、現在の溶解した部分が比較的可動性であり、結果的に、基材の中に、より完全にかつ一様に浸透することができる。例えば、溶解した金属殺生物剤は、かなり効果的に木材基材の気泡の中に浸透することができる。対照的に、典型的には微粒子の形で存在する、現在の不溶性金属殺生物剤部分は、より固定され、可動性がより小さい。不溶性の形態は、主として木材基材の細孔の中に存在する傾向があってもよく、例えば、無傷の気泡の中への浸透はほとんどなくてもよい。
【0028】
しかし、金属殺生物剤の異なる部分が1つ以上の不溶状態の中に連続的に沈殿しており、逆もまた同様であり、一方、他の部分が1つ以上の可溶性錯体の状態に変換されており、逆もまた同様であるように、利用可能な金属殺生物剤の実質的にすべてが平衡反応において沈殿すると考えられる。時間とともに、金属殺生物剤のすべてが錯化剤と結合することができなくても、錯化剤と結合できる金属殺生物剤の割合よりもずっと大きな割合の金属殺生物剤が、実際に、溶解し、可動性である。要するに、金属殺生物剤のいくらかのみが常時可動性の第二の錯体状態にあるかもしれないが、動的には少なくとも実質的にすべての金属殺生物剤がいつかは可動性である。連続する部分が溶解し可動性になるので、これらの部分は基材により一様にかつより完全に浸透することができる。
【0029】
本発明のハイブリッド防腐剤組成物において金属殺生物剤として使用することができる金属の例としては、ランタニド系列およびアクチニド系列元素を含む1種またはそれ以上の遷移金属元素が挙げられ、たとえば、銅、ストロンチウム、バリウム、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉛、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、亜鉛、クロム、カドミウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、これらなどの組み合わせなどが挙げられる。好ましい金属殺生物剤は銅である。現在の規制を配慮すると、住居用途におけるCrおよび/またはAsの使用を制限または回避することが望ましい。したがって、本発明のハイブリッド組成物のいくつかの実施態様は、少なくとも実質的にヒ素を含まない、少なくとも実質的にクロムを含まない、または少なくとも実質的にクロムもヒ素も含まないことが望ましい。しかし、本発明の原理が、微粒子形態の浸透を改善するのを助け、および/または木製品のような生分解性の基材からCrおよび/またはAsの可溶形態の浸出を減らすのを助けるのになおも有用であろうこと、そしてそれ故に、いくつかの用途におけるこれらの添加物の一方または両方を含む木材用防腐剤の使用に関連した規制配慮を大いに緩和することができるであろうことは十分に理解される。たとえば、(産業界においてCCA配合物として知られている)銅、クロムおよびヒ素を含む均一系防腐剤組成物、またはそのような組成物に対応する成分のいくらかの量は、規制によって許容される用途において効能を増強するために、ハイブリッド組成物の中に含めることができる。
【0030】
ハイブリッド防腐剤組成物の比較的不溶性の金属殺生物剤部分に関して、1種またはそれ以上の金属殺生物剤は、最初に、種々様々の固体の形態において、組成物の中に含められるべき成分、または組成物の成分として、供給されてもよい。あるいは、比較的不溶性の金属殺生物剤物質は、現場で不溶性物質を形成する成分から得られてもよい。これらの現場の反応は、比較的不溶性の物質と可溶性の物質の間の平衡反応と同一でもよいし、異なっていてもよい。固体物質および/または現場で形成された場合は結果として生じた固体物質は、沈殿、粒子、ペレット、グラニュール、繊維、複合材料、これらの組み合わせなどの形をしていてもよい。粒子は得るまたは作るのに経済的であり、組成物を配合しおよび適用する際に取り扱いが容易であり、および/または現場で容易に形成できるので、多くの場合、固体物質は粒子の形で供給される。
【0031】
本発明のハイブリッド組成物を最初に配合するための粒子の選択に関して、非常に広範囲の粒子サイズが、本発明の実施において適切であろう。一般に、望まれる製造、包装、および/または使用技術に合理的に適合する任意の粒子サイズが適切である。より望ましくは、粒子は、最初に基材の少なくとも最大の細孔の中に浸透することができるほど十分に小さく、その後に上に説明したような平衡効果はその物質がより完全でかつより一様な基材浸透を達成するのを助けることができる。一般的な指針として、粒子サイズは、約2mm以下、望ましくは約10−6mm〜2mmの範囲内、より望ましくは約10−5mm〜約0.1mm、さらに望ましくは約10−4mm〜約0.05mmである。
【0032】
用語「粒子サイズ」とは体積基準粒子サイズをいう。特定の粒子については、体積基準粒子サイズは、その粒子と同一の体積を有する球の直径である。粒子の母集団を含む粒子試料については、体積基準粒子サイズは、粒子の少なくとも90質量%が0.4μm〜2mmの範囲内の平均体積基準粒子サイズを有する粒子試料については、レーザー回折法を使用して、たとえばベックマン・クールターから商業的に入手可能なレーザー回折粒子サイズ分析器(これらはLS(登録商標)13 320シリーズ・レーザー回折粒子サイズ分析器、好ましいLS(登録商標)2シリーズ・レーザー回折粒子サイズ分析器、およびLS(登録商標)100Qレーザー回折粒子サイズ分析器を含む。)のいずれかを使用することによって、決定されるような、その試料の体積分布の平均体積基準粒子サイズである。より小さな粒子サイズについては、0.1μm〜約4μmの範囲内の粒子サイズについては、所望によりシンクロトロン源を装備した、X線回折法を使用することができる。
【0033】
粒子は、いかなる種類の粒子サイズ分布を有していてもよい。例えば、正規分布を有する本発明のいくつかの粒子成分に加えて、ハイブリッド組成物を配合するのに使用される他の微粒子成分は2つまたはそれ以上のサイズ分布ピークを有する粒子サイズ特性を含んでいてもよい。異なるまたは同様の分布プロフィールを有する粒子成分の組み合わせもまた使用してもよい。例えば、微粒子成分は、相対的に粗い粒と相対的に細かい粒から誘導されたブレンドであってもよい。これは、2種の異なった金属殺生物剤が使用されている実施態様において望ましいかもしれない。基材浸透を容易にするために極端に細かく分割した形で粒子を供給する必要はないが、粒子は、所望により代わりに望まれる粒子サイズ形態でそれらを提供するために、機械的に、物理的に、化学的にまたは他の方法でサイズ調整してもよい。
【0034】
1種以上の金属殺生物剤を含有する相対的に不溶性の物質は、最初は、平衡反応によって相対的に可溶性の物質と反応性である種々様々の化学形態にあってもよい。いくつかの実施態様においては、相対的に不溶性の物質はイオン性であってもよいし、非イオン性であってもよい。いくつかの実施態様においては、相対的に不溶性の物質は結晶質であってもよいし、部分的に結晶質であってもよいし、非晶質であってもよい。相対的に可溶性の物質が1種以上の金属殺生物剤の1種以上の錯体を含む場合は、実例となる不溶性の形態としては、純金属、金属合金、金属間組成物、複合材料、酸化物、オキシハライド、オキシ水酸化物、水酸化物、炭酸塩、ギ酸塩、塩基性炭酸塩、キノラート、カルバミン酸塩、オマジン、ホウ酸塩、その他の塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0035】
例えば、銅の場合は、錯化剤と反応性の適切な相対的に不溶性の物質としては、酸化第一銅、酸化第二銅、水酸化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、オキシ塩化銅、銅−8−ヒドロキシキノラート、ジメチルジチオカルバミン酸銅、銅オマジン(copper omadine)、ホウ酸銅、銅金属副生成物、硫酸銅、フッ化ホウ素酸銅、フッ化銅、ギ酸銅、酢酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩基性リン酸銅、塩基性ホスホル硫酸銅(copper basic phosphor-sulfate)、塩基性硝酸銅、これらの組み合わせなどが挙げられる。単純化した式Cu(OH)−CuCOによって表わすことができる塩基性炭酸銅は、1つの好ましい相対的に不溶性の銅の源の例である。
【0036】
好ましい実施態様においては、金属殺生物剤の相対的に可溶性の状態は、金属錯体の形をしている。錯体は、水性試薬中で金属殺生物剤の適切な源を1種以上の錯化剤と反応させることによって容易に得られる。適切な金属殺生物剤源としては、金属殺生物剤の不溶性形態について上に示した源が挙げられる。錯化剤は、錯体形成した金属殺生物剤または金属殺生物剤含有化学種を溶解するおよび/または分布させるのに役立つ。結果として生ずる錯体は製造、包装、貯蔵、種々の水の供給による希釈、保存処理および/または他の取り扱いの間に沈殿および/または沈降に対してより耐性があるので、Cuが非常によく水に溶ける供給源から供給されたときでさえ、錯化剤の使用は望ましいかもしれない。錯化剤の使用は、水性媒体中で金属殺生物剤を溶解しそして基材中の金属殺生物剤のより一様な分布を容易にする簡単で経済的な方法である。
【0037】
錯化剤は、配位化学の分野において、配位子、キレート化剤(chelant)、キレート化剤(chelating agent)または金属イオン封鎖剤とも呼ばれる。錯化剤は、望ましくは、錯化剤の1つ以上の原子を介して、中心金属含有化学種(多くの場合、イオン)に結合するものである。これらの結合は、配位結合および/またはイオン結合のような1種またはそれ以上の異なる種類の結合の組み合わせであってもよい。種々様々の錯化剤を本発明の実施に使用することができる。錯化剤としては、アスパラギン酸、クエン酸およびシュウ酸のような有機酸;アンモニア;エチレンジアミンのようなポリアミン官能性化合物;アルカノールアミンのような窒素含有アルコール;これらの組み合わせなどが挙げられる。アルカノールアミンの例としては、モノエタノールアミン(MEA);イソプロパノールアミン;1,1−または1,2−ジアミノエタノール;ジエタノールアミン;ジメチルエタノールアミン;トリエタノールアミン(TEA);アミノエチルエタノールアミン;これらの組み合わせ;などが挙げられる。アルカノールアミンは、銅との錯体に、特に好ましい。MEA、TEAおよびこれらの混合物は、MEAとTEAのモル比が1:100〜100:1、好ましくは1:10〜50:1、より好ましくは1:2〜25:1の範囲内にあるとき、特に好ましい。実例となる実施態様においては、10:1のモル比が適切であろう。
【0038】
錯体安定度定数Kは、金属または金属含有種が金属または金属含有種の錯体形成した対応物との平衡にどの程度関与することができるかを評価するために有用である。一般に、錯体安定度定数Kは次式で表される。
=log([LM]/[L][M])
ここで、Lは配位子であり、Mは錯体形成した金属と平衡にある金属または金属含有種であり、そしてLMは錯体形成した金属である。一般に、Kが増加するにつれて、配位子は金属により強く結合する。Kが高すぎると、配位子は、金属に強く結合しすぎるかもしれず、そして望まれる平衡反応に望まれる程度に関与しないか、または基材との相互作用に関与しないかもしれない。Kが高すぎるときは、錯体が浸出する傾向もまた、増加する傾向がある。他方、Kが低すぎると、錯体の溶解度および/または基材中への輸送は、望まれる程度以上に抑制されるかもしれない。これらのバランスを考えると、より好ましい実施態様においては、25℃におけるKが下限で少なくとも約2.5、好ましくは少なくとも約3であり、上限で約6.5未満、好ましくは約6未満、より好ましくは約5.5未満である金属と対応する配位子とが含まれる。
【0039】
例えば、MEAとCu+2に関する定数Kは約4.5である。そのK値はきわめて適切なので、MEAは、銅と一緒に、木材用防腐剤において非常によく機能する。同様に、TEAと銅の組み合わせは約4.0の適切なKを有する。対照的に、EDAと銅の組み合わせはKが10であり、EDAが銅に非常に強く結合するので、すなわち、MEAより100,000倍以上強く結合するので、この用途においては、特にEDAが唯一の錯化剤として単独で使用される場合は、それほど望ましくない。
【0040】
錯化剤は、結果として生じるハイブリッド組成物の中に存在するであろう全金属殺生物剤の一部とだけ錯体を形成するのに有効な量で使用される。ハイブリッド組成物が均一系成分と不均一系成分をブレンドすることによって得られるか、または複数の成分から他の方法で得られるときは、すべての成分の組み合わせが全体として化学量論的不足に帰着する限り、これらの成分の1種以上は累積的に錯化剤の化学量論量または化学量論的に過剰な量を含んでいてもよい。不溶性物質と可溶性物質の間の平衡効果に起因すると考えられるハイブリッド手法の利点の多くは、望ましくは、金属殺生物剤に比べて錯化剤の十分な化学量論的不足を伴うことを強調することは重要である。化学量論的に過剰な錯化剤があれば、実質的にすべての金属殺生物剤が溶解するであろうし、その状態のままでいる傾向があるであろう。錯化剤の化学量論的不足があるが、不足が小さすぎると、結果として生じた組成物は、本質的に、意義深いハイブリッドの利点の重要な実現なしに、実際に均一系溶液として挙動する。
【0041】
他方、化学量論的不足が大きすぎると、結果として生じた組成物は可溶性物質に比べてあまりに多くの不溶性物質を含むであろう。結果として生じた組成物は、浸透、サイズ制限または意義深いハイブリッドの利点の重要な実現なしに、不均一系組成物と非常に似た挙動をする傾向があるであろう。
【0042】
従って、本発明のハイブリッド配合物の好ましい実施態様は、金属殺生物剤の全量の約20質量%〜約95質量%、好ましくは約30質量%〜約90質量%、より好ましくは約50質量%〜約85質量%が錯体形成するのに十分な量の錯化剤を含むことが望ましい。1つの実例となる実施態様においては、銅のような金属殺生物剤の約60質量%を錯体にする量のMEAおよび/またはTEAのような錯化剤の使用が適切であろう。この実施態様は、完全に不均一系の組成物に比べて増強された浸透および完全に均一系の組成物に比べて改善された保持性を含む、多くのハイブリッドの利点を大いに示すであろう。
【0043】
前記組成物の中に含まれる金属殺生物剤の質量%は広い範囲にわたって変わってもよい。少なすぎる量が使用される場合は、前記組成物の殺生物活性は所望の活性より少ないかもしれない。多すぎる金属殺生物剤が使用される場合は、殺生物剤を保持するための基材の飽和水準を超える過剰の金属殺生物剤は無駄であり、より浸出しやすい傾向があるかもしれない。結果的に、飽和水準を超えるより多くの量の金属殺生物剤を使用することは、過剰分の浸出により、追加の殺生物性保護を、もしあったとしても、ほとんど提供しないであろう。違う言い方をすれば、より強く殺生物剤を保持する基材の容量の範囲内でより少ない量の金属殺生物剤を使用することは、より多くの量を使用するのとちょうど同じ位の殺生物性保護を提供するが、無駄がないであろう。
【0044】
場合によっては、生産、包装および船積を容易にするために、最初は、より濃縮した形でハイブリッド組成物(または別々に基材に適用される2つ以上の部分に配合され、現場で組み合わされる場合はその成分)を配合することが望ましいかもしれない。その後、最終使用者は、木製品を処理するために所望の最終の濃度に組成物を希釈するであろう。その点を配慮すると、本発明の組成物は、結果として生じる組成物の全質量を基準として、約0.02〜約15質量%の殺生物性金属、より好ましくは約0.04〜約11質量%の金属を含んでもよい。組成物が2つ以上の別々の成分を混ぜ合わせたときに形成される場合は、この質量%は混ぜ合わせられた後の成分の合計質量を基準とする。一般に、約3質量%の金属、より典型的には約7質量%の金属より高い質量%は、防腐処理前に最終使用者によって希釈されるであろう、より濃縮した態様を表わす。
【0045】
組成物の中に含まれる金属の質量%を計算する際は、金属源の中に金属と共に含まれているかもしれない他の化学種の質量を含まない、金属自体の質量のみが計算を行うために使用される。たとえば、単純化した式Cu(OH)−CuCOを有するとみなされる塩基性炭酸銅15gが、追加の塩基性炭酸銅を含めて全質量が100gである組成物の中に含まれる場合、この組成物中の銅の質量%は8.6質量%である。
【0046】
ハイブリッド組成物またはその成分は、液体キャリヤーの中で配合される。多くの場合、組成物は水性また部分的に水性であり、処理溶液のための液体キャリヤーは少なくとも部分的に水である。多くの実例となる実施態様において、液体キャリヤーは、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%、より好ましくは少なくとも90質量%が水である。水に加えて、防腐剤組成物の液体キャリヤーは、さらに、他の組成物成分を溶解するまたは分散させるのに役立つ1種以上のオプションの溶媒を含んでもよい。成分間の相分離を回避することが望まれるときは、そのような追加の溶媒は、水と完全に混和するか、または控えめな量で使用される。そのようなオプションの溶媒の具体例としては、エタノールおよびイソプロパノールのようなアルコール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0047】
ハイブリッド組成物は、製造、使用、性能などを増強するために、さらに、1種以上の他のオプションの成分を含んでもよい。たとえば、銅のような金属殺生物剤は、微生物、菌類、害虫などに対して望むほど十分な範囲の殺生物性を有しない場合がある。したがって、より十分な殺生物性の範囲を付与するために、防腐剤組成物の中に1種以上の追加の補助殺生物剤が含まれてもよい。追加の補助殺生物剤としては、殺真菌剤(fungicidal biocide)、殺虫剤(insecticidal biocide)、殺カビ剤(moldicidal biocide)、殺細菌剤(bactericidal biocide)、殺藻剤(algaecidal biocide)などの1種以上を挙げることができる。これらの補助殺生物剤は、水溶性であってもよいし、部分的に水溶性であってもよいし、水に不溶であってもよい。難溶性または不溶性である場合、防腐剤組成物中にこれらを分散させるのを助けるために、分散剤またはキレート化剤を使用してもよい。
【0048】
したがって、多種多様の無機および/または有機の殺生物剤を慣行的実務に従って使用してもよい。適切な殺生物剤の広範囲な目録が、米国特許第5,874,025号明細書、ならびに米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0162611号明細書、米国特許出願公開第2005/02566026号明細書および米国特許出願公開第2005/0249812号明細書などの特許文献に提供されている。これらの特許文献の各々の全体が、すべての目的のために、引用によって本明細書に組み入れられる。特に好ましい補助殺生物剤としては、第四級アンモニウム塩、ならびにトリアゾールおよびイミダゾールなどのアゾール物質が挙げられる。塩化ベンザルコニウムまたは炭酸ベンザルコニウムは一つの好ましい第四級アンモニウム塩であり、塩化ジデシルジメチルアンモニウムまたは炭酸ジデシルジメチルアンモニウムはもう一つの一般によく使用される第四級アンモニウム塩である。典型的なアゾールとしてはテブコナゾールおよびプロピコナゾールが挙げられる。
【0049】
別の性能関心事として、金属殺生物剤の可溶の状態または容易に分散した状態に関する問題は、これらは雨または他の水の供給源にさらされたときに処理された生分解性基材からより容易に浸出する傾向があるかもしれないということである。好都合なことに、含浸組成物の中に浸出低減剤を含ませることは、劇的にそのような浸出を減らす。特に好ましい浸出低減剤は、2007年12月13日にキンバリー・エス・ヘイソン、ウィリアム・シー・ホフマン、アルバート・エフ・ジョセフ、ブライアン・ティー・キーンの名義で出願された譲受人の同時係属の米国仮出願第61/007,614号「処理された木製品から水溶性金属殺生物剤の浸出を減らす方法(STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF WATER-SOLUBLE METAL BIOCIDES FROM TREATED WOOD PRODUCTS)」(代理人整理番号66117(DOW0007/P1))(この出願の全体があらゆる目的のために引用によってここに組み入れられる。)に記載されている。この同時係属の出願によれば、またここで使用するときは、金属殺生物剤の浸出を減らす好ましい薬剤は、水溶性であり、水性媒体中で実質的に非イオン性であり、約100より大きな分子量(薬剤が分子量分布を有するときは質量平均分子量)を有し、水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。
【0050】
ここで使用するときは、浸出低減剤に関して水溶性とは、蒸留水100mLに0.5g(いくつかの実施態様においては1.0g、そしていくつかの実施態様においては2.0gさえ)の薬剤を溶解することによって均一な溶液を調製することができ、その後、結果として生じた溶液を25℃において貯蔵したときに、薬剤の少なくとも90%が少なくとも2時間溶液の中に留まることを意味する。単一の薬剤を使用する予定の場合は、使用される単一の薬剤が水溶解度を評価するために水の中に溶かされる。2種以上の薬剤の混合物を処理溶液に使用する予定の場合は、使用される予定された割合の混合物の適切な試料が、溶解度を評価するために水に溶かされる。
【0051】
一般に、分子量は、浸出を防止する薬剤の能力に影響を与える1つの因子である。分子量が低すぎる場合、たとえば約100未満である場合、または約80未満でさえある場合は、物質はまったく浸出を防止することができないかもしれないし、場合によっては浸出を増加しさえするかもしれない。他方、約100より大きい分子量を有する本発明の薬剤は、より大きな浸出防止を提供する傾向がある。確かに、分子量または該当する場合は質量平均分子量が増加するにつれて、浸出防止は増加する傾向がある。これは、より高分子量の薬剤は、一般に、より低分子量の薬剤に匹敵する浸出防止またはそれより良好な浸出防止を提供するために、より低い使用率で使用することができることを意味する。したがって、本発明の浸出低減剤は、望ましくは少なくとも100、より望ましくは少なくとも約150、さらに望ましくは少なくとも約200、さらに望ましくは少なくとも約500の分子量(または該当する場合は質量平均分子量)を有する。
【0052】
しかしながら、それを超えると薬剤の使用が非実用的になるかもしれない最大の分子量が存在する傾向がある。たとえば、薬剤が大きすぎると、含浸溶液はゲル化しまたはさもないと粘度が高くなりすぎ、および/または含浸ははなはだしく困難になるかもしれない。したがって、本発明の薬剤は、約100,000以下、望ましくは約50,000以下、より望ましくは約30,000以下の分子量(または該当する場合は質量平均分子量)を有することが好ましい。
【0053】
本発明の浸出低減剤は、また、標準温度で水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。これは、製造過程において含浸後の乾燥段階で、および/または含浸された木製品がその耐用年数の間に水(たとえば雨など)にさらされた後に、浸出低減剤が水よりゆっくり蒸発するのを確実にするのに役立つ。言いかえれば、浸出低減剤は、有機相として、相対的により揮発しやすい水がより速く蒸発するので、水に比べて濃縮する傾向がある。限定されるのは望まないが、相対的に濃縮された有機相は、分配係数効果により、錯体形成した金属殺生物剤が、存在する水に溶解する性向を減少させるのに役立つと考えられている。これは、木材が水に比べて金属殺生物剤を保持する能力を増強し、さもないと生じるであろう浸出を減少させる。概略的に述べれば、木材と水の両方は金属殺生物剤を獲得するために競争する。浸出は、水が相対的により強い競争者であるときに生じる傾向が大きい。しかし、本発明の添加物の存在下では、生分解性基材は、添加物の存在しないときよりも相対的により強い競争者となり、その結果、浸出がより少なくなる。
【0054】
望ましくは、本発明の好ましい浸出低減剤は、25℃で15mmHg未満、好ましくは10mmHg未満、より好ましくは1mmHg未満、さらに好ましくは0.1mmHg未満の蒸気圧を有する。比較として、水は、25℃で約24mmHgの蒸気圧を有する。本発明の浸出低減剤のいくつかの実施態様は、それ自体は、室温において固体の状態であってもよい。そのような物質は、非常にわずかに昇華する傾向があるが、本発明の目的のためには25℃で0.1mmHgよりはるかに小さい無視できる蒸気圧を有するものとして見ることができる。
【0055】
本発明の実質的に非イオン性の浸出低減剤は、場合に応じて、調製されたとき、または商業的な供給源から入手したときに、いくらかの非イオン性および/またはイオン性の不純物を含む傾向がある。そのような不純物の潜在的な存在を考慮すれば、本発明の好ましい実質的に非イオン性の浸出低減剤は、非イオン性および/またはイオン性の不純物を5質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満含むものである。しかし、少なくとも1種のそのような実質的に非イオン性の物質が浸出を防止するのを助けるために使用される限り、もし様々な目的のために望まれるならば、防腐剤組成物は所望により1種以上のイオン種を含んでもよい。そのようなイオン種の例としては、金属塩、第四級アンモニウム塩、その他の無機および/または有機塩、これらの組み合わせなどが挙げられ、たとえば米国特許第5,304,237号明細書および米国特許第5,874,025号明細書に記載されたPEGブロックを含む高分子第四級アンモニウムホウ酸塩が挙げられる。
【0056】
上記の特性の組み合わせに加えて、好ましい浸出低減剤はまた、さらに浸出防止を増強するために、1種以上の追加の特性を、単独でまたは組み合わせて、有していてもよい。たとえば、ある実施態様においては、浸出低減剤は実質的に中性であることが好ましい。ここで使用するときは、「実質的に中性」とは、100mLの蒸留水に0.5gの薬剤、好ましくは1.0gの薬剤、より好ましくは2.0gの薬剤を溶かした溶液が、25℃で約4〜約10、好ましくは約5〜約9、より好ましくは約6〜約8の範囲のpHを有することを意味する。単一の薬剤を使用する予定のときは、使用されるその単一の薬剤がpH特性を評価するために水に溶かされる。2種以上の薬剤の混合物を使用する予定のときは、使用される予定された割合の混合物の適切な試料が、pH特性を評価するために水に溶かされる。
【0057】
もう一つのオプションの望ましい特性として、好ましい浸出低減剤は、少なくとも約4質量%、より好ましくは少なくとも約4〜約55質量%、さらに好ましくは少なくとも約20〜約45質量%の酸素を含むものである。これらの好ましい浸出低減剤の例としては、(ポリ)エーテルおよび/または分子の主鎖中におよび/または置換基として1個以上のオキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤が挙げられる。ここで使用するときは、エーテルに関して用語「(ポリ)」は、そのエーテルが1個のオキシアルキレン単位を有していてもよいし2個以上のオキシアルキレン単位を有していてもよいことを示す。括弧なしの用語「ポリ」は、物質が2個以上のオキシアルキレン反復単位(それらは同一でも異なっていてもよい。)を含むことを示す。ある実施態様においては、耐浸出性を改善するのに役立つ成分は、各々そのようなオキシアルキレン基の1個以上を含む(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。本発明の(ポリ)エーテルの代表的な態様は、1つ以上の直鎖、分枝および/または環状の2価のオキシアルキレン反復単位、またはこれらの組み合わせを含む。その(ポリ)エーテルは、単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合し得る物質の共重合体であってもよい。もし2種以上の共重合し得る物質から作られるときは、異なる物質は(ポリ)エーテルの中にランダムに含まれてもよいしブロックで含まれてもよい。
【0058】
本発明の実施において、2価のオキシアルキレン単位は一般に式−RO−を有する。式中、Rは任意の2価の直鎖、分枝または環状のアルキレンまたはアラルキレン基であり、多くの場合、1〜10個、望ましくは1〜5個、より望ましくは1〜3個の炭素原子を含む。もし望むならば、より大きな炭素原子数の反復単位が(ポリ)エーテルの中に含まれてもよい。しかし、当該単位があまりにも多くの炭素原子を含む場合、または(ポリ)エーテルが比較的大きな炭素原子数を有する反復単位を多すぎる比率で含む場合、または浸出低減剤が大きすぎる場合は、(ポリ)エーテルの水溶解度および/または(ポリ)エーテルによって付与される浸出防止は損なわれるかもしれない。具体例としては、−CHO−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−CHCH(CHCH)O−、−CH(CHCH)CHO−、−CHCH(CH)CHO−、−CH(CH)CHCHO−、−CHCHCH(CH)O−、−CHCH(CHCH)CHO−、−CH(CHCH)CHCHO−、−CHCHCH(CHCH)O−、オキシアルキレン主鎖の2つ以上の置換基がアルキル基である追加の変形物、これらの組み合わせなどが挙げられる。(ポリ)エーテルは、望ましくは、H、1〜12個の炭素原子の直鎖、分枝または環状アルキル;1〜12個の炭素原子のアルコキシ;およびこれらの組み合わせから選択される末端基を有する。多くの場合、−RO−反復単位の数が平均で1個より多い実施態様においては、商業的に入手可能な製品は、それらの個々の分子内に2種以上の−RO−基を含むであろう。さらに、商業的に入手可能な製品は、異なる(ポリ)エーテル分子の個数分布を含む場合がある。
【0059】
適切な(ポリ)エーテルは、多くの場合、異なる反復単位数を有する(ポリ)エーテル重合体の分布およびそれに対応する分子量変動を含む混合物として商業的に入手可能である。この種の好ましい(ポリ)エーテル母集団は、一般に、これらの2価のオキシアルキレン反復単位を平均して少なくとも2個、好ましくは約1〜約3000個有することができる。より好ましい実施態様においては、(ポリ)エーテルは、(ポリ)エーテル物質が少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するのに十分な数のこれらの反復単位を有する。
【0060】
(ポリ)エーテルは好ましくは少なくとも1つの(ポリ)エチレングリコール(PEG)を含む。PEGは、2個以上のオキシエチレン(EO)反復単位を含む直鎖の(ポリ)エーテル重合体であり、次式によって表わすことができる。
O−(CHCHO)−R
式中、RおよびRは各々独立にHまたは直鎖、分枝または環状のアルキル、好ましくはHまたは1〜12個の炭素原子、多くの場合1〜3個の炭素原子のアルキルであり、そしてnは1〜3000、好ましくはPEGが少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するような数である。
【0061】
本発明の実施に有用な(ポリ)エーテル物質のもう一つの種類は、1個以上のオキシエチレン反復単位および1個以上のオキシプロピレン(PO)反復単位を少なくとも含む次式の共重合体である。
O−(CH(CH)CHO)−(CHCHO)−R
式中、RおよびRは各々独立にHまたは直鎖、分枝もしくは環状のアルキル、好ましくはHまたは1〜12個の炭素原子、多くの場合1〜3個の炭素原子のアルキルであり、mは1〜3000であり、nは1〜3000であり、そしてm+nは好ましくはPEGが少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するような数である。望ましくは、m:nの比は約1:4〜約4:1、好ましくは約1:1.5〜1.5:1の範囲内である。この式において、オキシプロピレンのいかなる他の異性体が存在してもよい。
【0062】
所望により、オキシアルキレン単位に加えて、本発明の実施に使用されるいかなる(ポリ)エーテルも、さらに、70質量%以下、望ましくは25質量%以下、より望ましくは10質量%以下、さらに望ましくは2質量%以下の他の共重合し得る物質を含んでもよい。他のそのような物質の例は、炭素−炭素二重結合のような遊離基重合性官能基を含む単量体である。これらの物質としては、オレフィン(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系物質、これらの組み合わせなどのような単量体が挙げられる。
【0063】
PEG重合体およびEOとPOの共重合体を含む(ポリ)エーテル重合体を調製する方法は、当業者に知られている。さらに、多くの場合EO、PO、ブタノール、グリセロールおよび水素を含む出発原料は、商業的に入手可能である。
【0064】
商業的に入手可能な(ポリ)エーテル物質の具体的な例は、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Co.)から商業的に入手可能なCARBOWAX PEG8000(質量平均分子量:約8000)およびCARBOWAX PEG1000(質量平均分子量:約1000)ポリエチレングリコール製品である。他の例としては、ブトキシトリグリコール、トリプロピレングリコールブチルエーテル、テトラエチレングリコールのようなグリコールエーテル類、ならびにダウ・ケミカル社から商品名CELLOSOLVE(たとえばButyl CELLOSOLVE SolventおよびHexyl CELLOSOLVE Solvent)で入手可能なグリコールエーテル類が挙げられる。
【0065】
防腐剤組成物の中に含まれる浸出低減剤の量は、広い範囲にわたって変化してもよい。代表的な実施態様は、金属殺生物剤1質量部当たり浸出低減剤を約0.01〜約200、望ましくは0.5〜約50質量部含むことができる。前記の組成物中の金属殺生物剤の質量%を計算する場合と同様に、金属に対する浸出低減剤の相対的な質量部は、金属源の中に金属と共に含まれているかもしれない他の化学種の質量を含めないで金属自体の質量を基準とする。
【0066】
浸出低減剤は、また、耐浸出性を促進するのを助けるために1種以上の非イオン性界面活性剤の形態であってもよいし、または、さらに別の薬剤と組み合わせて1種以上の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。特に、(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の両方を含む防腐剤組成物の実施態様は、(ポリ)エーテルに比べて非イオン性界面活性剤を相対的に少ない割合で使用したときでさえ、優れた耐浸出性を示す。非イオン性界面活性剤とは、界面活性剤が防腐剤組成物中に溶解または分散したときに個別の陽イオン電荷も陰イオン電荷も持たない少なくとも1つの疎水性部分に結合した少なくとも1つの親水性部分を有する化合物をいう。
【0067】
多種多様の非イオン性界面活性剤を使用することができる。好ましい実施態様においては、非イオン性界面活性剤の親水性は、式−(RO)−のポリオキシアルキレン部分によって付与される。式中、Rは1〜5個の炭素原子のアルキレン、特に−CH−(メチレン)、−CHCH−(エチレン)、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンまたはイソブチレンであり、そしてwは多くの場合1〜約100である。Rは好ましくはエチレン、プロピレンまたはイソプロピレンである。このポリオキシアルキレン部分は、水と強い水素結合を形成することができ、望ましい親水性を与える。
【0068】
非イオン性界面活性剤の疎水性は、一般に、親水性部分に結合した無極性部分によって付与される。無極性とは、望ましくは、該部分が6個〜100個の炭素原子、好ましくは10個〜100個の炭素原子を含み、そして6個の炭素原子当たり、好ましくは10個の炭素原子当たり、より好ましくは15個の炭素原子当たり、O、S、N、Pなどのようなヘテロ原子が2個以下であることを意味する。代表的な実施態様においては、疎水性部分は、線状、直鎖もしくは環状のアルキル、アリール、アラルキル;またはアルコールである。好ましいヒドロキシル基は第二級である。
【0069】
非イオン性界面活性剤の代表的な実施態様は、EOまたはEO/PO(ポリ)エーテルとアルコール(望ましくは第二級アルコール)との付加体である。そのような付加体は次の式を有することができる。
O−(RO)−R
式中、Rは、10〜100個、好ましくは10〜50個の炭素原子の直鎖、分枝または線状の非極性基、環状またはアリールであり、Rは各々独立に1〜4個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、RはHまたは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む一価の基であって、アリールでなくてもよいしアリールであってもよく、そしてpは1〜200である。そのような付加体の特に好ましい実施態様は、独立に、次の式を有する。
10O−(CHCHO)−(CH(CH)CHO)−H
10O−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−H
10O−(CHCHO)−(CH(CHCH)CHO)−H
10O−(CHCHO)−(CHCH(CHCH)O)−H
式中、R10は、各々独立に、10〜50個の炭素原子の炭化水素基であり、kは各々独立に0〜80であり、qは各々独立に0〜40であり、ただしk+qは1以上である。付加体がq反復単位の総数に寄与する分枝のオキシアルキレン単位の混合物を含むような変形またはq反復単位の総数に寄与する1個以上の炭素原子からのペンダントアルキル置換基を2個以上含む分枝のオキシアルキレン単位の変形もまた含まれる。多くの場合、商業的に入手可能な製品は、分子量、kおよびqの値が平均値として表わされるようなそのような付加体の個数分布を含むであろう。そのような混合物においては、分子量とは、別段の明示がない限り、この明細書の全体にわたって、質量平均分子量をいう。
【0070】
浸出を低減させるのを助けるのに有効な非イオン性界面活性剤のいかなる量が防腐剤組成物において使用されてもよい。しかし、非イオン性界面活性剤に対する(ポリ)エーテルの質量比が約1より大きな場合に、耐浸出性が増強されることが見いだされた。したがって、(ポリ)エーテル/非イオン性界面活性剤の質量比は、1/1より大きく、好ましくは約2/1〜約50/1、より好ましくは約3/1〜約20/1である。
【0071】
他のオプションの成分も、慣行的実務に従って防腐剤組成物において有益に使用してもよい。たとえば、製造過程において、前記組成物を調製し、輸送し、貯蔵し、または他の方法で接触するために金属容器が使用される場合は、前記組成物は腐食抑制剤を含んでもよい。腐食を抑制する量で使用されるホウ酸のようなホウ素含有抑制剤がこの目的に適切であることが見いだされた。他の補助剤としては、慣行的実務に従って使用される分散剤、乳化剤、結合剤、色止め剤、防水剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、乳化剤、帯電防止剤、乾燥剤;沈殿抑制剤;緩衝液;難燃剤;これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0072】
本発明のハイブリッド組成物は様々な方法を使用して調製することができる。実例となる方法としては、限定するものではないが、次のものが挙げられる。単一の一成分組成物は、1種以上の金属殺生物剤、1種以上の錯化剤、液体キャリヤーおよび1種以上のオプションの成分を含む成分から調製することができる。ただし、金属殺生物剤の可溶形態と不溶形態の両方が平衡にあるように、金属殺生物剤に比べて錯化剤の十分な化学量論的不足がある。上記したように、錯化剤の化学量論的不足は、望ましくは、金属殺生物剤の全量の約20質量%〜約95質量%、好ましくは約30質量%〜約90質量%、より好ましくは約50質量%〜約85質量%が錯体を形成するような状態である。錯体を形成しない残りのかなりの部分は、沈殿する傾向があるであろう。沈殿は1つ以上の形態をとってもよいと考えられ、それは、まず第一に組成物を調製するための成分として金属殺生物剤が最初に供給された固体の形態と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0073】
まず、金属錯体を形成するために混合しながら水のような液体キャリヤー中で一般に望まれる濃度で金属源と錯化剤を混ぜ合わせることが有益である。その後、追加の成分を1つまたはそれ以上の工程において加えることができる。実施の1つの様式によれば、金属錯体を形成する反応は、室温より低い温度で、室温で、または室温より高い温度で行なうことができる。錯化剤の熱劣化を回避するために、反応混合物を加熱しすぎないようにすることが望ましい。
【0074】
ハイブリッド金属殺生物剤成分の溶解度は、組成物のpHに依存するかもしれない。例えば、錯化剤が存在しない銅の場合には、銅は、酸性のpH値において液体キャリヤー中によく溶けすぎるかもしれない。従って、銅の場合には、金属殺生物剤の少なくとも一部が沈殿として存在することを確実にするのを助けるために、組成物はアルカリ性のpHを有することが望ましい。約10より大きなpH値を有する強いアルカリ性溶液がより望ましい均一系組成物と異なり、ハイブリッド組成物は、これらのpH値とともに、より穏やかなアルカリ度、例えば約7〜約11、好ましくは約7〜約9.5、より好ましくは約7〜約8.5のpH値で配合することができる。
【0075】
ハイブリッド組成物を調製するための代替の方法としては、液体キャリヤー中に錯体形成した金属殺生物剤を含む均一系防腐剤組成物を、まず第一に用意することができる。そのような組成物の実例となる具体例としてはACQ防腐剤組成物が挙げられる。上に引用した譲受人の同時係属の出願は多くの適切な実施態様を記載している。他のものは米国特許第4,929,454号明細書(この明細書の全体があらゆる目的のために引用によってここに組み入れられる。)に記載されている。追加の商業的に入手可能な具体例は、NATUREWOOD(オズモース社(Osmose, Inc.))およびPRESERVE(ケミカル・スペシャルティーズ社(Chemical Specialties Inc.))の商品名で入手できる。その後、添加後に存在する錯化剤が適切な化学量論的不足状態になるように、金属殺生物剤を含む十分な量の不溶性物質が添加される。分散剤または錯化剤さえなどのような追加のオプションの成分もまた、すでに存在していなければ、または望まれる量で存在していなければ、添加してもよい。
【0076】
ハイブリッド組成物を調製するための別の方法によれば、不均一系防腐剤組成物をまず第一に用意することができる。これらの組成物は、典型的には、液体キャリヤーの中に分散した不溶性粒子を含み、その粒子は1種またはそれ以上の金属殺生物剤を含む。ここに記載された追加のオプションの成分のような1種以上の追加のオプションの成分をこれらの組成物の中に含めることもできる。不均一系防腐剤組成物の実例となる具体例は、米国特許出願公開第2004/02587671号明細書、米国特許出願公開第2005/0118280号明細書、米国特許出願公開第2005/0249812号明細書、米国特許出願公開第2005/0265893号明細書、米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0112850号明細書、および2006/0147632号明細書(これらの全体があらゆる目的のために引用によってここに組み入れられる。)に記載されている。これらの不均一系組成物の追加の商業的に入手可能な具体例は、MICROPRO(オズモース社)の商品名で入手できる。その後、化学量論的に不足な量の1種以上の錯化剤が、不溶性金属殺生物剤粒子の一部のみを溶解するために不均一系組成物に加えられることができる。分散剤または錯化剤さえなどのような追加のオプションの成分もまた、すでに存在していなければ、または望まれる量で存在していなければ、添加してもよい。
【0077】
ハイブリッド組成物を調製するための別の方法としては、別個の不均一系組成物と均一系組成物を調製することができる。これらはハイブリッド組成物を形成するために一緒にブレンドすることができる。個々の組成物は、例えば、結果として生じたブレンドが金属殺生物剤に比べて錯化剤の所望の化学量論的不足を有するように、配合される。組成物は、処理前にあらかじめブレンドされ、その後、ハイブリッドの形態で適用されてもよい。別の選択肢として、ハイブリッド組成物がその場で生成するように、それらの成分を基材に段階的に適用してもよい。
【0078】
もし望むならば、防腐剤組成物は、最初に、1つ以上の濃縮物(たとえば一液型または二液型濃縮物)として調製し、貯蔵し、および/または出荷してもよい。その後、濃縮物は、生分解性製品を処理するために、2つ以上が使用される場合は混合され、希釈されることができる。広範囲の濃度/希釈スケジュールが使用されてもよい。たとえば、濃縮物は、実際に生分解性製品を処理するために使用される組成物の希釈状態の少なくとも5倍、望ましくは5〜500倍、より望ましくは5〜50倍、最も望ましくは6〜40倍の濃度であってもよい。希釈の時に、多種多様の液体を希釈のために使用することができる。好ましい希釈液体としては、水および/または水混和性液体が挙げられる。水と混和しない物質は、相分離を回避するために、控え目に使用されるべきである。経済的な理由から、水を単独で使用することが、ほとんどの場合に適切であろう。希釈水が金属殺生物剤または組成物の他の成分の過度の沈殿を誘発する化学種を含む場合は、希釈前に水を処理することが望ましいかもしれない。処理の代表的な例としては、物理的または化学的な濾過、抽出、蒸留、逆浸透、軟化、不純物を除去するための他の物質移動技術などの1つ以上が挙げられる。もし望むならば、組成物中に沈殿抑制剤をも含めてもよい。
【0079】
濃縮物は、従来の方法によって調製することができ、たとえばAWPA標準P5−07(最新版(2007年に発行された標準P5のことをいう。))の方法によって調製することができる。その後、含浸処理を行なうために使用される最終濃度に希釈する前に、希釈中に、および/または希釈後の任意の時に、オプションの浸出低減剤を濃縮物に加えることができる。浸出低減剤は、濃縮物に直接加えることもできるし、適切な液体キャリヤー(多くの場合、水)にあらかじめ溶かし、その後、濃縮物に加えることもできる。浸出低減剤は、素速く加えてもよいし、時間をかけてゆっくり加えてもよく、その時間は10秒〜8時間である。素速く加えようがゆっくりと加えようが、成分は望ましくは十分に混合しながら加えられる。適度の加熱は均一な組成物を得るのを助けるために用いられてもよい。濃縮物は一般に長い貯蔵寿命を有するので、濃縮物は、浸出低減剤を加える前、相当な時間、貯蔵することができる。
【0080】
任意の実施態様の本発明の防腐剤組成物は、広範囲の用途において広範囲の天然および合成の生分解性製品を処理するために用いることができる。セルロース系生分解性製品の例としては、紙、厚紙、ロープ、ベニヤ単板、木材、製材、セルロース系複合材、加工木材、ならびに合板、ハードボード、パーティクルボード、チップボード、ファイバーボード、ストランドボード、パネルなどのようなシート物品が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な最終用途としては、住居用、商用、工業用、および船舶用の内装または外装用途が挙げられ、たとえば、構築木材、縁飾り、羽目板、甲板、梁、鉄道枕木、枕木、橋部品、桟橋、木製車両、船渠、被覆材、箱、パレット、電話線電柱、窓、ドア、ボートおよび船、下張合板、基礎杭、柱、フェンス、マリーナ建造物、ならびに昆虫、菌類、微生物および/または風化の1つ以上による腐朽に弱いその他の構造物が挙げられる。
【0081】
防腐剤組成物は、様々な処理方法を用いて、生分解性製品を処理するために用いることができる。これらの処理方法としては、噴霧、はけ塗り、浸漬、流し塗りのような流掛方法などのような手動方法が挙げられる。これらの処理方法としては、加圧含浸、交互圧力含浸、真空含浸、二重真空含浸などのような自動方法も挙げられる。合成木製品のためには、防腐剤組成物は、製品を形成するために用いられる他の成分と混合することもできるし、組み立て前にそのような製品の部品を含浸させるために用いることもできる。1つの実例となる方法によれば、生分解性製品は、AWPA T1−02(2002年の商業処理規格)に従って処理することができる。
【0082】
所望により、木製品から最初に生じる浸出のかなりの部分が飽和水準を超えて存在する過剰の金属殺生物剤に関するものであることを認識すると、もし望むならば、処理された木製品を、たとえば、適切な時間、水と接触させることによって、事前に浸出させることができる。そのような事前浸出は、噴霧、浸漬などによって行うことができる。事前浸出は、周囲条件下で行ってもよいし、高圧もしくは減圧および/または高温もしくは低温で行ってもよい。事前浸出効果を促進するために、撹拌を用いてもよい。実例となる事前浸出時間は20秒から10日の範囲である。
【0083】
本発明の組成物の浸出性能は種々の試験方法によって評価することができる。1つの最新の広く認められた試験方法がAWPA E11−97に説明されている。しかし、この試験方法は、たった1つの試験を完結するのに長い時間(300時間超)と多くの費用を必要する。これらの長い時間と多くの費用の負担は、実際には、経済的に合理的な方法で実行することができる試験の数と割合を制限する。したがって、これらの負担は、木製品の防腐剤組成物の分野において、知識の獲得を制限してきたし、発展を遅らせてきた。
【0084】
代替の方法(以下、加速浸出試験という。)は、セルロース系基材からのこれらの組成物の浸出特性のより迅速な評価を提供する。その試験は、迅速であるだけでなく、長い試験期間に及ぶより厳格な方法の使用より、ずっと費用効率も高い。加速浸出試験は、比較的少ない費用で短時間に多くの試料のデータを集めるのを経済的にする。加速浸出試験によって得られた浸出データは、AWPA E11−97のより厄介な産業規格試験と相関があり、浸出金属%による試料の同一の格付を基準として非常に高い相関が見いだされた。加速浸出試験は、増加した速さで防腐剤組成物について浸出知識を得る機会を大いに拡大した。浸出データを得る方法の使用は著しい利点である。
【0085】
その方法によれば、調査対象の処理組成物の試料は、セルロース系基材を含浸するために用いられる。処理組成物は、銅のような金属殺生物剤を含んでいてもよく、この加速試験は含浸させた試料から銅がどのように浸出するか評価するために用いることができる。試料の調製および含浸はAWPA規格E10−01によって行うことができる。その後、含浸させた試料ブロックは、室温で一晩乾燥し、続いて、金属殺生物剤のような1種以上の成分の一部を基材に直接または間接的に固定させるのを助けるために、35℃のオーブンの中に5日間置く。用語「固定させる」とは、成分を基材に化学的におよび/または物理的に結合させることを意味する。固定は、たとえば、金属含有殺生物剤が長時間、乾燥した基材に接触しているときに自然に生じる傾向があるが、固定は熱処理によって促進される。
【0086】
固定後、含浸した試料ブロックの6つは、浸出を評価するために撹拌しながら25℃で30分〜72時間の時間、0.30リットルの蒸留水に浸漬する。撹拌はイノバ(Innova)4000定温振盪機によって提供される。撹拌は試験進行を促進するのに役立つ重要な特徴である。浸出期間中に浸漬した試料を撹拌した結果として、試験される試料の浸出特性は、屋外における対応する含浸製品の浸出特性と高い信頼度で相関関係を有することができる。1回以上、たとえば試験を始める前、浸出期間中に1回以上、および/または浸出期間後に、試料からの浸出する度合を評価するために、水のCu濃度を試験することができる。
【0087】
加速浸出試験を用いることは知識の著しい獲得につながった。特に、その試験は、木製品が銅のような金属殺生物剤で含浸するための飽和点を有することを示すために用いられた。実用的な効果において、そのデータは、木製品がCu含浸剤を比較的強く結合する有限の容量を有することを示す。飽和水準を超える過剰のCu含浸剤は、それほど強く結合せず、屋外においてはるかに浸出しがちである。飽和は種々のデータによって示される。裏付けデータの1つの種類は、ほとんどの浸出が最初の22時間以内にリアルタイムで非常に迅速に生じることを示す。その後、浸出の速さは非常に遅くなり、木製品のCu含有量ははるかに安定する。これは、飽和水準を超える過剰のCuは緩く保持され、木材から比較的速く浸出するであろうという見解と一致している。
【実施例】
【0088】
本発明の種々の態様を、次の例証となる実施例によって説明する。次の実施例中で、パーセントおよび部はすべて、別段の明示がない限り、質量基準である。実施例はすべて、別段の明示がない限り、典型的には20℃〜25℃の範囲の外界温度で行われた。
【0089】
例1
木材処理濃縮物の調製
ACQ−C木材処理濃縮物は、1ガロンの容器に765gのモノエタノールアミン(MEA)を加えることによって製造された。ガラスまたはポリエチレンの容器が好ましい。1554gの水をMEAに加え、混合した。その後、384gの塩基性炭酸銅を混合物に加え、次の工程に移る前に、塩基性炭酸銅が完全に溶解することを確実にするためによく撹拌した。159gのホウ酸を腐食抑制剤として加え、撹拌した。138gの塩化ベンザルコニウム(ウイスコンシン州ミルウォーキーのフルカ・ケミカル社(Fluka Chemical Corp.)から入手可能なFluka 12060,purum)を加え、撹拌した。
【0090】
例2
処理溶液の調製
例1の木材処理濃縮物を、蒸留水を使用して、質量で、6/1、10/1、17/1および28/1にそれぞれ希釈した。撹拌しながら、各々の溶液に、ドライアイスの形態のCOを、pHが8.8〜9.2になるまで、加えた。
【0091】
例3
浸出を防ぐ追加保護を提供するための添加物としてポリエチレングリコールを含む処理溶液の調製
3質量%の約8000の質量平均分子量を有するポリエチレングリコール(ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Co.)市販のCARBOWAX PEG8000)をも希釈溶液に溶解させた以外は、例2に記載されたように、質量で28/1の希釈度の処理溶液を調製した。その溶液は、まず希釈し、その後、PEGを加えた。
【0092】
例4
木材ブロック
2つの種類の木材ブロックを実験のために手に入れ、調製した。試料セットA、B1、B2およびCとして使用される木材ブロックを調製するために、ミシガン州グランドラピッズのユニバーサル・フォレスト・プロダクツ社(Universal Forest Products)製の「PROWOOD MICRO」の名称で入手可能な処理された木材を使用した。この市販の処理された木材は、活性の殺生物剤として銅および第四級化合物を含んでいる。銅は超微粒子化され、細かく粉砕された粒子として木材の中に組み入れられている。選んだ未処理のサザンイェローパイン材を購入し、試料セットD〜Hおよび比較例1〜4に使用される木材ブロックを調製するために使用した。すべての実施例のために選ばれた木材は、一貫した木目およびきめのものであった。場合に応じて、およそ3/4インチ×3/4インチ×3/4インチの木材ブロックを、処理されたまたは未処理の木材源から得た。ブロックは試験のために選ばれ、一定の湿度の室の中に一晩置かれた。湿度は50〜60%の間に維持された。
【0093】
例5
試料セットA〜Cおよび比較試料1〜4の木材ブロックの処理
各試料セットのために、例4の節と傷のないブロック9個を処理のために選んだ。ブロックの質量を量り、処理のために台に載せた。ブロックの質量は、±0.2gの標準偏差を有していた。超微粒子銅(micronized copper)で処理されたブロック(試料セットA〜C)の最初の銅の含有量はおよそ0.26%であった(消化、そして誘導結合プラズマ(ICP)によって決定された。)。したがって、これらのブロックについて初期のCuOのpcfの合計(ここで使用するときは、用語「pcf」はポンド/立方フィートを意味し、この文脈においては基材の1立方フート当たりの含浸された銅金属殺生物剤のポンド数をいい、銅金属殺生物剤はこの業界では通常CuO換算で表現される。)は約0.12であった。試料セットAのブロックはさらに処理溶液で処理することはしなかったので、超微粒子銅および第四級の殺生物剤のみで処理された不均一系の試料であった。しかし、試料セットB1およびCの木材ブロックは、本発明のハイブリッド処理ブロックを調製するために、例2の28/1および17/1処理溶液で処理された。試料セットB2の木材ブロックは、例3のPEGを含む28/1処理溶液で処理された。
【0094】
各セットのブロックを処理するために、9個のブロックを、サイドアームを備えた500mLの三角フラスコの底に置いた。後で木材処理溶液Aを加えたときにブロックが沈んだ状態に維持するために、ブロックの上に穴のあいた可撓性のプラスチックの秤量皿をくさびで固定した。200mLの木材処理溶液Aを含む250mLの均圧添加漏斗が、三角フラスコの塔頂に連結された。フラスコサイドアームは250mmHgに設定された真空装置に接続された。250±5mmHgに維持しながら、20分間、減圧に引いた。20分後、木材処理溶液をブロックに加えた。すべての溶液を加えた後、減圧を止めた。ブロックは、30分間、木材処理溶液の中に留めた。30分後、溶液をブロックから取り除いた。余分な液体を取り除くために、ペーパータオルの上に各ブロックの各面を軽く押し当てた。その後、各ハイブリッドブロックの質量を量り、棚に置いて乾燥した。ブロックの各セットを室温で一晩置いた後、それらを35±1℃に維持した温度で5日間強制空気対流オーブンの中に置いた。ブロックの乾燥速度を制御するのに役立つように、蒸留水の容器をオーブンの底に置いた。
【0095】
試料セットB1、B2およびCのブロックの中に適用された活性な銅の合計は、市販の状態でもともと存在していた超微粒子銅と、この実施例のそれぞれの溶液処理で適用された可溶性の銅との両方を含む。実施例B2は、例3の処理溶液を使用することによって処理溶液の中に3%のPEGを溶かした以外は、B1と同じであった。
【0096】
実用的な効果において、試料セットB1、B2およびCの含浸は、実例となる実施の方法を例証し、その方法においては、ハイブリッド処理が連続して実行され、処理のハイブリッド特徴はその場で基材の上に実現される。まず、これらの試料セットにおいて使用される木材ブロックに、最初に、超微粒子銅を含浸した。その後、木材ブロックに錯体形成した銅の溶液を含浸し、その場で、ハイブリッド処理を行った。順次的な処理は他の方法で行なうことができる。例えば、最初に溶液を使用し、次に超微粒子銅を使用してもよい。ハイブリッド配合物をあらかじめ形成し、その後、処理に使用する、例証となる一工程処理を、さらに後で記載する。
【0097】
例6
比較例の木材ブロック
比較のために、例2において調製した6/1、10/1、17/1および28/1の希釈溶液を、例4で得られた未処理木材ブロックの比較試料セット1〜4のそれぞれに含浸するために使用した。例5の含浸手順を使用した。したがって、結果として生じた試料セットの含浸木材ブロックは、溶液含浸からの銅および第四級殺生物剤のみを含んでおり、超微粒子銅での共含浸を含んでいなかった。従って、これらのブロックは均一系溶液で含浸された。上記の試料セットAも、それが超微粒子銅の含浸のみを含んでおり、錯体形成された銅またはその他の形態の溶解した銅の共含浸を含んでいないので、比較例である。
【0098】
例7
銅浸出試験
5日後に、例5および6において調製されたブロックを、オーブンから取り出した。各試料セットについて、吸収された質量が最も近い6つのブロックを、対応する1パイントの瓶の中に置き、銅浸出量を測定するために、蒸留水300mLを加えた。瓶を振動撹拌器の上に置き、120rpmで22時間撹拌した。撹拌器から各瓶を取り出した後に、浸出液の試料をろ過し、銅のppm(質量基準の百万部あたりの部数)をICP分析によって測定した。試料セットA〜Cおよび比較例1〜4の浸出結果を、表1に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
注:表1において使用するときは、pcf=62.4GC/100Vである。ただし、pcfは、CuOで表示された、基材1立方フィート当たり、基材中に組み入れられた銅の、平方フィート当たりのポンドであり、Gは、gで表示された、吸収された溶液の質量であり、Cは溶液中のCuOのwt%であり、そしてVはmLで表示された体積である。
【0101】
銅が本発明の範囲内の2工程プロセスで適用されたハイブリッド試料セットB1、B2およびCは、銅がすべて完全に可溶の状態で適用された比較例の試料セット1〜4より著しく少ない銅の浸出を示す。実のところ、試料セットB1、B2およびCによって示された銅浸出の減少は、可溶性の銅を適用した場合の減少に比べて、予想以上である。さらに、割って中を開いて見ると、試料セットB1、B2およびCのブロックは、(分散した銅を示す)一様な緑色を示し、均一系では処理されていないブランクの例Aにおいて観察されたような、溶解していない塩基性炭酸銅の大きな粒子は存在しなかった。この増加した銅分散は、顕微鏡検査によって証明された。比較試料Aの木材ブロックは、超微粒子銅の特徴である低い浸出性を有していたが、超微粒子銅の分布は良くなかった。割って中を開いて見たとき、それらのブロックは一様な緑色を示していなかった。緑の筋および溶解していない銅の大きな粒子は光学的試験によって見ることができた。比較試料セットAの木材ブロックの中への超微粒子銅の不十分な浸透は、それらのブロックの中の超微粒子銅が本発明のハイブリッドブロックの中のより完全に分散した超微粒子銅よりも少ないバイオ効能を有することを示す。
【0102】
例8
ハイブリッド処理組成物Dの調製
蒸留水を使用して、例1の木材処理濃縮物を、質量基準で28/1に希釈した。28/1の溶液に塩基性炭酸銅を加え、17:1に希釈した木材処理濃縮物の中に存在する塩基性炭酸銅と等しくなるように塩基性炭酸銅だけを増加させた。この方法により、可溶塩基性炭酸銅と不溶の塩基性炭酸銅の両方を含む懸濁液が生じた。ICP分析によれば、可溶の銅は加えた銅の総量の69%であった。
【0103】
例9
ハイブリッド処理組成物Eの調製
生じた懸濁液の中に、溶液の全質量を基準として3質量%のポリエチレングリコール(CARBOWAX PEG8000)を溶解させた点以外は、例8の方法を使用して、ハイブリッド処理組成物Eを調製した。ICP分析によれば、可溶の銅は、加えた銅の総量の67質量%であった。
【0104】
例10
ハイブリッド処理組成物Fの調製
ACQ木材処理溶液を次のように製造した。1ガロン容器に9.6gのモノエタノールアミンおよび2.41gのトリエタノールアミンを加えた。そのアミンに約34.4gの水を加え、混合した。その後、その混合物に7.7gの塩基性炭酸銅を加え、よく撹拌した。2.8gのFLUKA 12060第四級殺生物剤とともに、約3.2gのホウ酸を加え、撹拌した。この混合物に1680gの水を加えて希釈し、質量基準で28/1の溶液を得た。撹拌を続けながら、その混合物に、ドライアイスの形態のCOを、pHが9.2〜8.8になるまで加えた。この混合物は、基材に適用される銅の総量に換算すると、(質量基準で)28/1のACQ希釈溶液に相当する。ICP分析によれば、可溶の銅は、加えられた銅の総量の61%であった。
【0105】
例11
ハイブリッド処理組成物Gの調製
ACQ木材処理溶液を次のように製造した。1ガロン容器に19.2gのモノエタノールアミンおよび4.8gのトリエタノールアミンを加えた。そのアミンに約68.8gの水を加え、混合した。その後、その混合物に15.4gの塩基性炭酸銅を加え、よく撹拌した。約6.4gのホウ酸を加え、完全に溶解するまで、撹拌した。その後、5.5gのFLUKA 12060第四級殺生物剤を加えた。この混合物に2040gの水を加えることにより17/1の稀釈度に希釈した。ICP分析によれば、可溶の銅は、加えた銅の総量の76%であった。
【0106】
例12
ハイブリッド処理組成物Hの調製
混合物を水で質量基準で1:1に希釈した点以外は、懸濁液Dを組成物H用に使用した。これは、質量基準で35:1の希釈度において見いだされる塩基性炭酸銅の合計含有量に等しい塩基性炭酸銅の合計含有量に帰着した。ICP分析によれば、可溶の銅は、適用された銅の総量の68%であった。
【0107】
例13
木材ブロックの一般的な一工程ハイブリッド処理
ハイブリッド処理組成物D〜Hの各々を使用して試料セットを調製するために、9個の節および傷のない未処理木材ブロックを選んだ。各試料セットについて、ブロックの質量は、±0.2gの標準偏差を有していた。ブロックの質量を量り、サイドアームを備えた500mLの三角フラスコの底にブロックを置いた。穴のあいた可撓性のプラスチックの秤量皿をブロックの上にくさびで固定し、後で木材処理溶液を加えたときにブロックが沈んだままでいるようにした。200mLの木材処理溶液を含む250mLの丸底フラスコを、可撓性の管によって、三角フラスコの頂部に接続した。連続的な撹拌を維持した。フラスコのサイドアームを250mmHgに設定した減圧装置に接続した。250±5mmHgに維持したまま、20分間、減圧に引いた。20分後、木材処理溶液を対応するブロックの試料セットに加えた。すべての溶液を加えた後、減圧を切った。ブロックを30分間木材処理溶液の中に留めた。30分後、ブロックから溶液を取り除いた。余分な液体を取り除くために、ペーパータオルの上に各ブロックの各面を軽く押し当てた。その後、各ブロックの質量を量り、棚に置いて乾燥した。ブロックの各セットを室温で一晩置いた後、それらを35±1℃に維持した温度で5日間強制空気対流オーブンの中に置いた。ブロックの乾燥速度を制御するのに役立つように、蒸留水の容器をオーブンの底に置いた。
【0108】
この処理レジームは、含浸のための一工程プロセスを含む本発明の1つの実施の様式を例証する。ハイブリッド処理組成物D〜Hからそれぞれ調製された各試料セットについて、例7の方法を使用して、浸出を試験した。適用された銅の総量(CuO換算pcf)、可溶の銅の%および銅の浸出量を、各試料セットについて表2に示す。例D〜Hにおける銅の浸出はすべて、表1の適切な比較試料セット3および4よりも実質的に少なかった。さらに驚いたことに、銅浸出の減少は、可溶性の銅の減少によって期待された量を超えている。銅の良好な浸透および分散がすべての例において観察され、良好なバイオ効能の潜在力を示した。浸透および分散は顕微鏡検査によって証明された。例Eは、3%のPEG8000が配合物に加えられた点以外は、例Dと同じである。PEGの使用により、銅浸出の一層の減少が観察された。
【0109】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の相と第二の相を含む生分解性基材を処理するための防腐剤組成物であって、金属殺生物剤の少なくとも第一の部分が第一の相の中に含有され、金属殺生物剤の少なくとも第二の部分が第二の相の中に含有され、そして第一の相の中の金属殺生物剤の少なくとも一部が第二の相の中の金属殺生物剤の少なくとも一部と平衡状態にあることを特徴とする防腐剤組成物。
【請求項2】
第一の相が液相を含み、そして金属殺生物剤の一部は少なくとも一部が溶解した金属錯体として第一の相の中に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第二の相が粒子を含み、そして金属殺生物剤の追加の部分が粒子の中に含有されていることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
粒子が固体であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
溶解した錯体が金属殺生物剤の源を含む成分とトリエタノールアミンを含む錯化剤とを反応させることにより得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
溶解した錯体が、金属殺生物剤の源を含む成分と、トリエタノールアミンおよびモノエタノールアミンを含む錯化剤とを反応させることにより得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
モノエタノールアミン:トリエタノールアミンの質量比が約1:2〜約25:1の範囲内にあることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
溶解した錯体が、金属殺生物剤の源を含む成分と少なくとも1種の錯化剤とを反応させることにより得られ、存在する金属殺生物剤の一部のみを錯体形成するのに必要な量の錯化剤が存在するように、錯化剤が化学量論的に不足の状態にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
約20質量%〜約95質量%の金属殺生物剤が液体キャリヤーの中に溶解するように、1種または2種以上の錯化剤が化学量論的に不足の状態で存在することを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
金属殺生物剤が銅を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が約7〜約8.5の範囲内のpHを有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
溶解した錯体は、金属殺生物剤の源を含む成分と、少なくとも1種の化学量論的に不足な量の錯化剤とを反応させることにより得られ、金属殺生物剤と少なくとも1種の錯化剤の錯体安定度定数が3〜6の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも約100の分子量を有しかつ25℃で水の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有する少なくとも1種の水溶性の実質的に非イオン性の薬剤をさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物は前記薬剤を欠く以外は同一の組成物に比べて組成物を含浸させた生分解性基材からの錯体形成した金属殺生物剤の浸出を減少させるのに有効な量の前記薬剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
浸出低減剤が少なくとも10質量%の酸素を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
浸出低減剤が1種または2種以上のオキシアルキレン単位を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
該組成物が金属殺生物剤1質量部あたり約0.01〜約200質量部の浸出低減剤を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
浸出低減剤が(ポリ)エーテルを含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
浸出低減剤が(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
(ポリ)エーテルが、少なくとも1個のオキシエチレン基を有し、かつH、直鎖、分枝または環状アルキル、およびこれらの組合わせから選択された末端基を含む(ポリ)エチレングリコールを含むことを特徴とする請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
(ポリ)エーテルが式
O−(CHCHO)−R
(式中、RおよびRは各々独立してHまたは直鎖、分枝もしくは環状アルキル、好ましくはHまたは炭素原子1〜12個のアルキルであり、nは(ポリ)エーテルが100〜50,000の範囲内の質量平均分子量を有するように平均値を有する。)
を有することを特徴とする請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
(ポリ)エーテルが約300〜約30,000の範囲内の質量平均分子量を有することを特徴とする請求項17または18に記載の組成物。
【請求項22】
(ポリ)エーテルが約500〜約20,000の範囲内の質量平均分子量を有することを特徴とする請求項17または18に記載の組成物。
【請求項23】
非イオン性界面活性剤が少なくとも1つのオキシアルキレン単位を含む反応原系とアルコールの付加物であることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
アルコールが第二級アルコールであることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
生分解性基材を処理するための水性防腐剤組成物であって、該組成物は水性の液体キャリヤー、少なくとも1種の金属殺生物剤および少なくとも1種の錯化剤を含む成分から誘導され、金属殺生物剤の一部が液体キャリヤー中に溶解した金属錯体の中に含まれ、かつ金属殺生物剤の少なくとも一部が液体キャリヤーとは別の相の中に含まれるような条件下で、少なくとも1種の錯化剤が少なくとも1種の金属殺生物剤に対して化学量論的に不足の状態で存在することを特徴とする組成物。
【請求項26】
a)金属殺生物剤および錯化剤を含む成分から誘導された、錯体形成した金属殺生物剤を含む均一系溶液を用意する工程、および
b)第一の液相は錯体形成した金属殺生物剤を含み、金属殺生物剤の少なくとも追加の部分が第二の相の中に含まれるような、2つの相を含む混合物を形成するのに有効な条件下で、十分な量の、金属殺生物剤を含む追加の物質を加える工程
を含む防腐剤組成物を作る方法。
【請求項27】
a)固相の金属殺生物剤を含む不均一系組成物を用意する工程、および
b)第一の液相が錯体形成した金属殺生物剤を含み、金属殺生物剤の少なくとも追加の部分が第二の相の中に含まれるような、2つの相を生じる条件下で、金属殺生物剤に比べて化学量論的に不足な量の錯化剤を組成物中に存在させる工程
を含む防腐剤組成物を作る方法。
【請求項28】
a)固相の金属殺生物剤を含む不均一系組成物を用意する工程、
b)金属殺生物剤の錯体を含む均一系溶液を用意する工程、および
c)平衡状態にある、金属殺生物剤を含む固相と、金属殺生物剤を含む可溶の相とを含む混合物が形成されるような量の不均一系組成物と均一系溶液とを混合する工程
を含む防腐剤組成物を作る方法。
【請求項29】
請求項1〜25のいずれか1項によって調製された防腐剤組成物を生分解性基材と接触させる工程を含む、生分解性基材を保存する方法。
【請求項30】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の防腐剤組成物を生分解性基材と接触させる工程を含む、生分解性基材を保存する方法。

【公表番号】特表2011−515348(P2011−515348A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550692(P2010−550692)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/001586
【国際公開番号】WO2009/114171
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】