説明

生地結合編成におけるまたは生地結合編成に関する改良

生地結合編成の分野において、各生地品の固有の柔軟性を維持しながら、生地品を別の生地品に接合する必要性が存在する。生地取付形成体(10、50)は、第1の糸(16)の一連のインターロック・ループ(14)により形成された生地構造(12)を備える。生地構造(12)は、第1の糸(16)に隣接して設けられた伸長結合要素(20)をさらに含む。第1の糸(16)の周囲(22)における結合要素(20)の位置は、第1の糸(16)の長さに沿って変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地取付形成体、活性化生地取付形成体を含む生地支持組立体、生地支持組立体を含むケーシング組立体、生地支持組立体またはケーシング組立体を含む乳房支持編成、生地取付形成体を製造する方法、および生地支持組立体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
品物を接合するために接着剤を用いることが周知である。例えば、液体またはテープの形態の接着剤を用いて、天然または合成繊維で形成された生地品を別の生地品または別の基材に接合することができる。
【0003】
液体またはテープ状の接着剤は、生地品と他方の生地品との間にパターン状に形成され、接着剤が硬化すると、生地品と他方の生地品との間に結合が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の手法の1つの欠点は、接着剤が硬化することにより生地品と他方の生地品との両方が硬くなることである。これにより、組み合わせられた品物を加工することが困難になり、それらの品物が組み込まれた衣服を着用することが快適でなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、第1の糸の一連のインターロック・ループにより形成された生地構造を備え、生地構造は、第1の糸に隣接して設けられた伸長結合要素をさらに含み、第1の糸の周囲における結合要素の位置は、第1の糸の長さに沿って変化する、生地取付形成体が提供される。
【0006】
第1の糸の周囲における伸長結合要素の位置を変化させることは、結合要素の別個の部分が取付形成体の所与の側に露出することを意味する。その結果、結合要素が活性化、例えば硬化前に融解されると、生地取付形成体の少なくとも一方側に、別個で不連続な結合形成体が形成される。
【0007】
これらの別個の結合形成体は、取付形成体を別の基材に結合させるか、または第1および第2の基材の間に設けられた取付形成体が第1および第2の基材をともに結合させるためには十分である。しかし、結合形成体は別個であるため、生地取付形成体は、そのインターロック・ループ構造により提供される柔軟性を保持することが可能であり、生地取付形成体が結合されたそのまたは各基材は、同様に固有の柔軟性を維持することが可能である。
【0008】
任意選択で、第1の糸の周囲に対する結合要素の位置はランダムに変化する。位置がランダムに変化することにより、結合要素を活性化させたときに別個の 結合形成体が形成されることを維持しながら、生地取付形成体を製造することができる方法が簡略化される。
【0009】
好ましくは、生地構造の第1の側において露出した結合要素の部分は、別個の結合領域を画定する。構造の第1の側が別個の結合形成体を画定することにより、取付形成体および基材がそれらの柔軟性を維持するような方法で、生地取付形成体が少なくとも1つの基材に接着可能であることが保証される。
【0010】
本発明の好適な実施形態において、生地構造は、第1の糸に沿って設けられた第2の糸をさらに含む。第2の糸を含むことにより、生地取付形成体は、2つのより小径の糸を利用することができ、単一のより大径の糸により提供されるのと同じ引っ張り強度を維持しながら、形成体の固有の柔軟性を増加させることができる。
【0011】
加えて、伸長結合要素を第1および第2の糸の間に選択的に挟むことにより、第1および第2の糸を越えて露出しない結合形成体が(第1および第2の糸の間に)形成される。かかる隠れた結合形成体は、取付形成体の基材へのまたは基材間での結合に寄与せず、結合された編成の柔軟性がさらに維持される。
【0012】
第1の糸および/または第2の糸のうちの少なくとも一方は、マルチフィラメント糸であってもよい。マルチフィラメント糸を含むことにより、生地構造の固有の柔軟性が、同じ全径のモノフィラメント糸で達成される柔軟性に比べて増加する。さらにその上、隣接するフィラメント間の空間は、活性化された結合要素を受容し、生地取付形成体の所与の側において露出する結合要素の量を制限する。これにより、露出した結合形成体のサイズが、適正な接着を保証するためには十分であるが、結合された編成の柔軟性を損なうほどには大きくならない。
【0013】
本発明の別の好適な実施形態において、伸長結合要素の直径は、第1の糸または第1の糸と第2の糸との両方の直径よりも小さい。より小径の結合要素を有することにより、結合要素が生地構造のインターロック・ループ内に容易に組み込まれることを保証することが助けられる。また、結合要素を活性化させたときに構造に導入される結合要素の量が制限される。
【0014】
任意選択で、生地構造は伸長中空構造を画定する。生地構造が中空構造を画定することにより、所望される柔軟度を維持しながら、そうでなければ生地取付形成体の縁部の仕上げに伴い得る困難が低減される。
【0015】
本発明のさらなる好適な実施形態において、中空構造は中空筒状構造である。中空筒状構造を含むことにより、例えば生地取付形成体が基材間のパターンに形成される際に、生地取付形成体のよじれを低減することが助けられる。
【0016】
本発明の第2の実施形態によれば、第1および第2の端部を含む弾力的に変形可能な湾曲した支持部材を備え、第1および第2の端部の各々には、本明細書中において上記の活性化生地取付形成体が接着され、前記または各活性化生地取付形成体は、複数の別個の第1の結合形成体により支持部材に接着されている、乳房支持編成用の生地支持組立体が提供される。
【0017】
少なくとも1つの生地取付形成体を含むことにより、本質的に従来の組立ステップ、すなわち本質的に従来の生地をベースとする組立ステップを介して、本発明の生地支持組立体を支持編成、例えば乳房支持編成に容易に組み込むことができる。
【0018】
任意選択で、そのまたは各活性化生地取付形成体は、伸長中空構造を画定し、各伸長中空構造は、支持部材のそれぞれの第1または第2の端部を受容する。伸長中空構造を含むことにより、前記または各生地取付形成体を支持部材の対応する端部に係合させる簡便な方法が提供される。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、一方の活性化生地取付形成体の中空構造は、他方の活性化生地取付形成体の中空構造に一体的に形成されている。かかる編成により、中空構造を単一物として構成することができ、それにより、生地支持組立体の製造が能率化され、製造コストを低減することが助けられる。
【0020】
第1の糸の部分は、別個の第2の結合形成体により互いに結合されていてもよい。第1の糸の部分を互いに結合することにより、そのまたは各伸長中空構造が所望される構成、例えば支持部材に摩擦係合した状態のままであることを保証することが助けられる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、第1および第2のケーシング端部を有するとともに本明細書中において上記の生地支持組立体が内部に設けられた中空筒状生地ケーシングを備え、生地支持組立体の、前記または各活性化生地取付形成体は、対応するケーシング端部に対して固定されている、乳房支持編成用のケーシング組立体が提供される。
【0022】
前記または各活性化生地取付形成体を上述のように固定することにより、生地支持組立体のケーシングに対する移動が抑止され、支持部材が筒状生地ケーシング内において不正確に位置決めされることおよびきしみ音の問題が回避される。
【0023】
一方、結合形成体の別個で不連続な性質は、生地支持組立体がその柔軟性を維持し、ケーシング組立体が衣服に組み込まれたときに快適なものになるということを意味する。
【0024】
前記または各活性化生地取付形成体は、1つ以上の縫い目によりそれぞれのケーシング端部に対して固定されていてもよい。縫い合わせは衣服における他の場所で利用される可能性が非常に高いので、かかる縫い目は、衣服組立プロセス内に容易に組み込むことが可能である。
【0025】
本発明の第4の態様によれば、本明細書中において上記の生地支持組立体を組み込んだ乳房支持編成が提供される。
【0026】
本発明の第5の態様によれば、本明細書中において上記のケーシング組立体を組み込んだ乳房支持編成が提供される。
【0027】
上述の乳房支持編成は、対応する生地支持組立体およびケーシング組立体に関連する利益を共有する。
【0028】
本発明の第6の態様によれば、
(a)第1の糸の周りに伸長結合要素を巻き付けるステップであって、第1の糸の周囲における結合要素の位置は、第1の糸の長さに沿って変化する、ステップと、
(b)組み合わせられた結合要素と第1の糸とを一連のインターロック・ループに形成することで、生地構造を形成するステップと
を含む、生地取付形成体を製造する方法が提供される。
【0029】
第1の糸の周囲における伸長結合要素の位置を変化させることは、結合要素の別個の部分が露出することを意味し、結合要素が活性化されると、生地取付形成体の少なくとも一方側に、別個で不連続な結合形成体が形成される。
【0030】
かかる別個の結合形成体は、結合が生じたときに生地取付形成体がその柔軟性を維持することを可能にしながら、十分な結合を提供することが可能である。
【0031】
任意選択で、第1の糸の周りに伸長結合要素を巻き付けるステップは、第1の糸の周りに伸長結合要素をランダムに巻き付けるステップを含む。かかるステップにより、製造プロセスにおいて要求される制御が削減され、比較的単純な機械および比較的未熟な工員により制御を行うことができる。
【0032】
本発明の第7の態様によれば、
(a)第1および第2の端部を有する弾力的に変形可能な支持部材を準備するステップと、
(b)本明細書中において上記の生地取付形成体を第1および第2の端部の各々に係合させるステップと、
(c)そのまたは各生地取付形成体を活性化させることで、それぞれの生地取付形成体を複数の別個の第1の結合形成体を介して対応する第1または第2の端部に接着させるステップと、
を含む、生地支持組立体を製造する方法が提供される。
【0033】
本明細書中において上記の生地取付形成体を利用することにより、生地取付形成体と支持部材との間に別個の結合形成体を形成しながら、同時に両方の品物を組み合わせることができる。上述のように、かかる別個の結合形成体は、品物の柔軟性を維持しながら、品物間の所望される結合度を提供する。
【0034】
好ましくは、生地取付形成体を第1および第2の端部の各々に係合させるステップは、各端部をそのまたは各生地取付形成体の伸長中空構造に挿入するステップを含む。
【0035】
かかるステップは、自動化された製造プロセスにより容易に行うことができる。
【0036】
生地支持組立体を製造する好適な方法は、前記または各伸長中空構造を長さ方向に伸張させることで、前記伸長中空構造を支持部材の少なくとも対応する第1または第2の端部に摩擦係合させるステップをさらに含む。
【0037】
前記または各伸長中空構造を伸張させることにより、前記または各構造が支持部材に所望される初期の程度まで固定される。
【0038】
前記または各生地取付形成体を活性化させるステップは、結合要素を融解させるステップを含むと簡便である。かかる活性化は、製造プロセス中に制御下で、例えば加熱および/または超音波振動により、容易に行うことが可能である。
【0039】
続いて、以下の添付図面を参照して、非限定的な例により本発明の好適な実施形態を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態による生地取付形成体の一部分を上方から見た拡大平面図である。
【図2(a)】図1の断面A−Aを示す断面図である。
【図2(b)】図1の断面B−Bを示す断面図である。
【図2(c)】図1の断面C−Cを示す断面図である。
【図2(d)】図1の断面D−Dを示す断面図である。
【図3】図1に示す生地取付形成体の斜視図である。
【図4(a)】結合要素の活性化後における図2(a)に示す編成を示す。
【図4(b)】結合要素の活性化後における図2(b)に示す編成を示す。
【図4(c)】結合要素の活性化後における図2(c)に示す編成を示す。
【図4(d)】結合要素の活性化後における図2(d)に示す編成を示す。
【図5】結合要素の活性化後における図1に示す生地取付形成体の概略図である。
【図6(a)】本発明の第2の実施形態による生地取付形成体の断面を示す第1の断面図である。
【図6(b)】図6(a)に示す生地取付形成体を示す第2の断面図である。
【図6(c)】結合要素の活性化後における図6(a)に示す編成を示す。
【図7】本発明の第3の実施形態による生地支持形成体を上方から見た平面図である。
【図8】図6に示す生地支持形成体を一方側から見た部分断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態による生地支持形成体を上方から見た平面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態によるケーシング組立体を上方から見た部分断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の第1の実施形態による生地取付形成体を全体的に参照番号10で示す。
【0042】
生地取付形成体10は、第1の糸16の一連のインターロック・ループ14により形成された生地構造12を有する。図示の実施形態において、第1の糸16は、マルチフィラメント縫い糸18である。本文において、縫い糸とは、ISO4915;1991において規定されている最小靭性を達成する糸である。
【0043】
好適なマルチフィラメント縫い糸18は、Coats社のEpic(登録商標)、Gral(登録商標)、Delta(登録商標)、もしくはSeamsoft(登録商標)糸、またはOxley社のLubrilox(登録商標)もしくはAptan(登録商標)糸などのポリアミドまたはポリエステル糸を含む。
【0044】
本発明の他の実施形態(図示せず)において、第1の糸16は、モノフィラメント糸であってもよい。
【0045】
また、生地構造12は、図1に示すように、第1の糸16に隣接して設けられた伸長結合要素20も含む(明瞭化のため、ループ14のうちの1つのコース上の結合要素20のみを示す)。
【0046】
結合要素20は、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、もしくはポリプロピレン、またはこれらの材料のいずれかの組合せなどの熱可塑性材料であるか、またはそれらを含む。好ましくは、結合要素20は、Luxilon Industries NV社のThermolux(登録商標)撚糸またはEMS Chemie AG社のGrilon(登録商標)撚糸などの低融点、すなわち110℃未満のモノフィラメント撚糸から形成される。
【0047】
結合要素20の直径は、第1の糸16の直径よりも小さい。図示の実施形態において、結合要素20の直径は、第1の糸16の全径の大凡5分の1である。本発明の他の実施形態(図示せず)において、第1の糸16の直径対結合要素20の直径比は、2:1〜10:1の範囲であることが可能である。
【0048】
図2(a)〜図2(d)に示すように、第1の糸16の周囲22における結合要素20の位置は、第1の糸16の長さに沿って変化する。図示の実施形態において、周囲22における結合要素20の位置は、ランダムに変化する。
【0049】
図1に見られるように、生地構造12の第1の側24は、結合要素20の一部分が露出したいくつかの領域を含む。そのため、第1の側24は、複数の別個の結合領域26を画定している。
【0050】
また、図3に示すように、生地構造12は、伸長中空構造28、とりわけ中空筒状構造30を画定している。
【0051】
使用に際し、生地取付形成体10は、基材に対して、または2つの基材間に、所望されるように位置決めされる。次いで、結合要素20を活性化させる、例えば加熱により融解させる。図4(a)〜図4(d)に示すように、結合要素20は、マルチフィラメントの第1の糸16における隣接するフィラメント32の間の空間に流入する。第1の糸16の周囲における結合要素20の変化する位置により形成される露出した別個の結合領域の各々、例えば生地構造12の第1の側24における露出した別個の結合領域26は、硬化したときに生地取付形成体10を1つまたは両方の基材に結合させる第1の別個の結合形成体34を形成する。
【0052】
互いに重なった第1の糸16のそれぞれの部分の間には、第2の別個の結合形成体36が形成される。これらの第2の結合形成体は、生地構造12の一体性を維持することを助ける。
【0053】
第1および第2の別個の結合形成体34、36は、所望される結合度を提供するために十分であるが、それらの別個で不連続な性質により、生地取付形成体10がそのインターロック・ループ14構造により提供される柔軟性を維持することができ、次いで、そのまたは各基材がその固有の柔軟性を維持することも可能になる。
【0054】
図6(a)は、本発明の第2の実施形態による生地取付形成体50の断面を示す断面図である。第2の生地取付形成体50は、いくつかのフィーチャが第1の生地取付形成体10と共通であり、これらのフィーチャは、同じ参照番号を用いて示す。
【0055】
第2の生地取付形成体50は、その生地構造12が第1および第2の糸16、52の一連のインターロック・ループにより形成されているという点において第1の生地取付形成体10と異なる。第2の糸52も、マルチフィラメント縫い糸18であるが、第2の生地取付形成体50における第1および第2の糸16、52のそれぞれの直径は、第1の生地取付形成体10における第1の糸16の直径よりも小さい。
【0056】
使用に際し、第2の生地取付形成体50は、第1の生地取付形成体10と同様に機能する。2つのより小径の第1および第2の糸16、52を含むことは、第2の生地取付形成体50が第1の生地取付形成体10と同じ引っ張り強度を有しながらも、さらに柔軟な構造を有することが可能であることを意味する。
【0057】
加えて、図6(c)に示すように、結合要素20を活性化させると、重なった第1および第2の糸16、52の間に第3の結合形成体54が形成される。これらの第3の形成体54は、露出していないため、第2の取付形成体50の1つ以上の基材への結合には寄与しない。
【0058】
第1および第2の生地取付形成体10、50の各々は、結合要素20が第1の糸16の長さに沿って延在するに従って第1の糸16の周囲22における結合要素20の位置が変化するように、伸長結合要素20を第1の糸16の周りに巻き付けることにより作製される。次いで、組み合わせられた結合要素20と第1の糸16とを一連のインターロック・ループ14に形成することで、生地構造12を形成する。
【0059】
一連のインターロック・ループ14は、編み込みにより形成してもよく、とりわけ丸編み機により形成してもよい。結合要素20は、編み機に進入する際に第1の糸16に巻き付けてもよい。かかる巻き付けにより、結合要素20が第1の糸16の周囲にランダムに撚り合わせられがちになる。
【0060】
本発明の第3の実施形態による生地支持組立体を全体的に参照番号70で示す。
【0061】
図7に示すように、生地支持組立体70は、第1および第2の端部74、76を有する弾力的に変形可能な支持部材72を含む。
【0062】
支持部材72は、金属から形成されている。本発明の他の実施形態(図示せず)において、支持部材72は、プラスチック材料などの別の弾力的に変形可能な材料から形成されてもよい。
【0063】
各端部74、76には、活性化生地取付形成体78が固定されている。
【0064】
各活性化生地取付形成体78は、上述の第1の生地取付形成体10と本質的に同じ生地構造12を有する。しかし、活性化された形態において、結合要素20は活性化、例えば融解されており、生地構造12は、複数の別個の第1および第2の結合形成体34、36を含む。
【0065】
各活性化生地取付形成体78の伸長中空構造28は、支持部材72のそれぞれの第1または第2の端部74、76を受容する。
【0066】
図示の実施形態において、各伸長中空構造28は、支持部材72の対応する端部74、76に摩擦係合している。
【0067】
第1の糸16の部分は、各伸長中空構造28を支持部材72の対応する端部74、76に摩擦係合した状態に維持するように、別個の第2の結合形成体36により互いに結合されている。
【0068】
加えて、第1の糸16の部分は、複数の別個の第1の結合形成体34を介して支持部材72に直接結合されている。
【0069】
支持部材72のそれぞれの端部74、76を越えて延在する各活性化生地取付形成体78の領域は、平坦化された断面プロファイルを採っている。
【0070】
別個の第1および第2の結合形成体34、36の形成は、各活性化生地取付形成体78の全体がその柔軟性を維持することを意味し、各活性化生地取付形成体78の支持部材係合領域82と対応する平坦化領域84との間のスムーズな遷移80を可能にする。
【0071】
上述のように、各活性化生地取付形成体78は、柔軟なままであるため、縫い針により容易に貫通することが可能であり、各形成体78を1つ以上の縫い目により乳房支持編成内に固定することができる。次いで、乳房支持編成は、衣料品、乳房支持下着品、またはブラジャの形態としてもよい。
【0072】
本発明の第4の実施形態による生地支持組立体を全体的に参照番号90で示す。
【0073】
図9に示すように、第2の生地支持組立体90は、いくつかのフィーチャが第1の生地支持組立体70と共通であり、同様のフィーチャは、同じ参照番号を用いて示す。
【0074】
第2の生地支持組立体90において、1つの活性化生地取付形成体78の伸長中空構造28は、他方の活性化生地取付形成体78の伸長中空構造28に連結されている。とりわけ、伸長中空構造28は、互いに一体的に形成され、ともに単一の中空筒状構造30を画定する。
【0075】
中空筒状構造30は、支持部材72(図9において破線で示す)の全体に摩擦係合している。
【0076】
第1の糸16の部分は、中空筒状構造30を支持部材72に摩擦係合した状態に維持するように、別個の第2の結合形成体36により互いに結合されている。また、第1の糸16の部分は、別個の第1の結合形成体34を介して支持部材72に直接結合されている。
【0077】
使用に際し、活性化生地取付形成体78のそれぞれの端部により、支持部材72を1つ以上の縫い目を介して乳房支持編成内に容易に固定することができる。
【0078】
図10は、本発明の別の実施形態によるケーシング組立体110の部分断面図である。
【0079】
ケーシング組立体110は、第1および第2のケーシング端部114、116を有する中空筒状生地ケーシング112を含む。好適なタイプの生地ケーシング112は、Stretchline UK Limited社により製造および販売されているFortitube(登録商標)ケーシングである。
【0080】
生地ケーシング112内には、第2の生地支持組立体90が設けられている。ケーシング組立体の他の実施形態(図示せず)では、第1の生地支持組立体70が生地ケーシング112内に設けられていてもよい。
【0081】
第2の生地支持組立体90の活性化生地取付形成体78の各端部は、対応するケーシング端部114、116に対して固定されている。
【0082】
図示の実施形態において、活性化生地取付形成体78の各端部は、複数の縫い目118(明瞭さのため、第1のケーシング端部114における縫い目のみ示す)により固定されている。
【0083】
使用に際し、柔軟な活性化生地取付形成体78が第2の生地支持組立体を生地ケーシング112に対して固定することで、生地ケーシング112内における支持組立体90の移動を抑止している。
【0084】
ケーシング組立体110は、従来のケーシング組立体と同様に、例えば縫い合わせにより、乳房支持編成内に容易に固定することができる。次いで、乳房支持編成は、衣料品、乳房支持下着品、またはブラジャの形態としてもよい。
【0085】
第1の生地支持組立体70は、第1および第2の端部74、76を有する弾力的に変形可能な支持部材72を提供するとともに第1の生地取付形成体10を第1および第2の端部74、76の各々に係合させることにより製造される。
【0086】
第1および第2の端部74、76の各々への第1の生地取付形成体10の固定は、各端部74、76を対応する第1の生地取付形成体10の中空構造28に挿入することにより達成される。
【0087】
一旦、支持部材72の各端部74、76が対応する中空構造28内に挿入されると、各中空構造28は、長さ方向に伸張され、前記中空構造28を支持部材72の対応する第1または第2の端部74、76に摩擦係合させる。
【0088】
次いで、第1の生地支持組立体70を加熱し、結合要素20を融解させる。
【0089】
冷却後、各活性化生地取付形成体78における第1の糸16の部分は、別個の第2の結合形成体36により互いに結合され、第1の糸16の他の部分は、それぞれの別個の第1の結合形成体34を介して支持部材72の対応する第1または第2の端部74、76に直接結合される。
【0090】
第2の生地支持組立体90は、第1の生地支持組立体70と同様の方法で製造される。
【0091】
しかし、第2の生地支持組立体90の製造においては、単一の第1の生地取付形成体10が第1および第2の端部74、76の各々に係合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の糸の一連のインターロック・ループにより形成された生地構造を備え、前記生地構造が、前記第1の糸に隣接して設けられた伸長結合要素を含み、前記第1の糸の周囲における前記結合要素の位置が、前記第1の糸の長さに沿って変化する、生地取付形成体。
【請求項2】
前記第1の糸の周囲に対する前記結合要素の位置が、ランダムに変化する、請求項1に記載の生地取付形成体。
【請求項3】
前記生地構造の第1の側において露出した前記結合要素の部分が、別個の結合領域を画定する、請求項1または2に記載の生地取付形成体。
【請求項4】
前記生地構造が、前記第1の糸に沿って設けられた第2の糸をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の生地取付形成体。
【請求項5】
前記第1の糸および/または前記第2の糸のうちの少なくとも一方が、マルチフィラメント糸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生地取付形成体。
【請求項6】
前記伸長結合要素の直径が、前記第1の糸または前記第1の糸と前記第2の糸との両方の直径よりも小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の生地取付形成体。
【請求項7】
前記生地構造が、伸長中空構造を画定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の生地取付形成体。
【請求項8】
前記中空構造が、中空筒状構造である、請求項7に記載の生地取付形成体。
【請求項9】
第1および第2の端部を含む弾力的に変形可能な湾曲した支持部材を備え、前記第1および第2の端部の各々には、請求項1〜8のいずれか一項に記載の活性化生地取付形成体が接着され、前記または各活性化生地取付形成体が、複数の別個の第1の結合形成体により前記支持部材に接着されている、乳房支持編成用の生地支持組立体。
【請求項10】
前記または各活性化生地取付形成体が、伸長中空構造を画定し、各伸長中空構造が、前記支持部材のそれぞれの第1または第2の端部を受容する、請求項9に記載の生地支持組立体。
【請求項11】
一方の活性化生地取付形成体の前記中空構造が、他方の活性化生地取付形成体の前記中空構造に一体的に形成されている、請求項10に記載の生地支持組立体。
【請求項12】
前記第1の糸の一部分が、別個の第2の結合形成体により互いに結合されている、請求項9〜11のいずれか一項に記載の生地支持組立体。
【請求項13】
第1および第2のケーシング端部を有するとともに請求項9〜12のいずれか一項に記載の生地支持組立体が内部に設けられた中空筒状生地ケーシングを備え、前記生地支持組立体の前記または各活性化生地取付形成体が、対応するケーシング端部に対して固定されている、乳房支持編成用のケーシング組立体。
【請求項14】
前記または各活性化生地取付形成体が、1つ以上の縫い目によりそれぞれのケーシング端部に対して固定されている、請求項13に記載のケーシング組立体。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の生地支持組立体を組み込んだ乳房支持編成。
【請求項16】
請求項13または14に記載のケーシング組立体を組み込んだ乳房支持編成。
【請求項17】
(a)第1の糸の周りに伸長結合要素を巻き付けるステップであって、前記第1の糸の周囲における前記結合要素の位置が、前記第1の糸の長さに沿って変化する、ステップと、
(b)組み合わせられた結合要素と前記第1の糸とを一連のインターロック・ループに形成することで、生地構造を形成するステップと
を含む、生地取付形成体を製造する方法。
【請求項18】
前記第1の糸の周りに伸長結合要素を巻き付けるステップが、前記第1の糸の周りに前記伸長結合要素をランダムに巻き付けるステップを含む、請求項17に記載の生地取付形成体を製造する方法。
【請求項19】
(a)第1および第2の端部を有する弾力的に変形可能な支持部材を準備するステップと、
(b)請求項1〜8のいずれか一項に記載の生地取付形成体を前記第1および第2の端部の各々に係合させるステップと、
(c)前記または各生地取付形成体を活性化させることで、それぞれの前記生地取付形成体を複数の別個の第1の結合形成体を介して対応する前記第1または第2の端部に接着させるステップと
を含む、生地支持組立体を製造する方法。
【請求項20】
前記生地取付形成体を前記第1および第2の端部の各々に係合させるステップが、各端部を前記または各生地取付形成体の伸長中空構造に挿入するステップを含む、請求項19に記載の生地支持組立体を製造する方法。
【請求項21】
前記または各伸長中空構造を長さ方向に伸張させることで、前記伸長中空構造を前記支持部材の少なくとも対応する第1または第2の端部に摩擦係合させるステップをさらに含む、請求項20に記載の生地支持組立体を製造する方法。
【請求項22】
前記または各生地取付形成体を活性化させるステップが、前記結合要素を融解させるステップを含む、請求項19〜21のいずれか一項に記載の生地支持組立体を製造する方法。
【請求項23】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、生地取付形成体。
【請求項24】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、生地支持組立体。
【請求項25】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、ケーシング組立体。
【請求項26】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、乳房支持編成。
【請求項27】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、生地取付形成体を製造する方法。
【請求項28】
添付図面を参照して本明細書に記載した、および/または添付図面に示した、生地支持組立体を製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2(a)】
image rotate

【図2(b)】
image rotate

【図2(c)】
image rotate

【図2(d)】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4(a)】
image rotate

【図4(b)】
image rotate

【図4(c)】
image rotate

【図4(d)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6(a)】
image rotate

【図6(b)】
image rotate

【図6(c)】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2013−501861(P2013−501861A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524277(P2012−524277)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001527
【国際公開番号】WO2011/018625
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512034933)
【Fターム(参考)】