説明

生地計量コンベア及び生地計量切断装置

【課題】軽く小さな食品生地の計量切断を行うときに食品生地の切断片を安定して迅速に送ることのできる生地計量コンベア及び生地計量切断装置を提供する。
【解決手段】食品生地1の計量を行うための生地計量コンベア5であって、食品生地1の重量を計量するための計量手段13と、食品生地1を搬送するための搬送手段17と、当該搬送手段17の上方において食品生地の浮き上りを防止すべく食品生地を前記搬送手段17に押さえる生地押え手段25A,25Bとを備え、上記生地押え手段25A,25Bは、計量コンベア5のフレームに一体的に備えられている。そして、生地計量切断装置は、前記生地計量コンベア5に対して食品生地の搬入を行うための搬送コンベア3と、食品生地の切断を行う切断装置9と、前記食品生地から切断された切断片1Aの計量チェックを行うための計量チェックコンベア19とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパン生地などのごとき食品生地の計量を行うための生地計量コンベア及び当該生地計量コンベアを使用した生地計量切断装置に係り、さらに詳細には、計量した重量に食品生地を切断装置によって切断するとき、上記切断装置における切断刃に切断された食品生地が付着(粘着)して持上げられることを防止した計量コンベア及び生地計量切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパン生地などのごとき帯状の連続した食品生地が搬送コンベアによって計量コンベア上に搬入され、計量コンベアの計量値が設定値になると、切断装置によって食品生地を所定重量に切断することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−101886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1において、連続的に搬送される食品生地を所定の重量に切断するための構成は次のとおりである。
【0004】
すなわち、図2に示すように、食品生地1を搬送する搬送コンベア3の下流側に、食品生地1の計量を行うための計量コンベア5が配置してある。そして、この計量コンベア5と前記搬送コンベア3との間には、前記食品生地1の切断を行うための切断刃7を上下動自在に備えた切断装置9が配置してある。この切断装置9における前記切断刃7は、例えばエアーシリンダなどのごとき適宜の上下動用アクチュエータ11の作動によって上下動されるものである。
【0005】
前記計量コンベア5は、前記食品生地1の重量を計量するための計量手段としてのロードセル13を架台15上に備えており、上記ロードセル13上には食品生地1を搬送するための搬送手段としてベルトコンベア17が備えられている。そして、上記計量コンベア5の下流側には、切断された後の切断片としての食品生地の計量チェックを行うために、前記計量コンベア5と同一構成の計量チェックコンベア19が配置されている。
【0006】
上記構成において、搬送コンベア3から計量コンベア5上に食品生地1が搬入されて、計量コンベア5の計量値が予め設定された設定値と一致すると、切断装置9が作動し切断刃7によって食品生地1の切断が行われる。そして、切断分離された後の食品生地の重量が正確であるか否かが計量チェックコンベア19においてチェックされ、前記切断装置9における切断タイミングが制御されるので、食品生地1を予め設定した重量に正確に切断することができるものである。
【0007】
ところで、食品生地1から切断分離された後の食品生地の切断片の重量が比較的大きい場合には、切断装置9における切断刃7に付着(粘着)して切断片が持ち上げられるようなことはなく、切断直後に計量コンベア5及び計量チェックコンベア19を早送りすることができ何等の問題はないものの、前記切断片が小さくなって軽量になると、前記切断刃7の上昇時に、切断刃7に切断片が付着して一体的に上昇することがある。
【0008】
前述のように、切断装置9における切断刃7に切断片が付着(粘着)して一体的に上昇すると、食品生地1の切断直後に計量コンベア5の早送りを開始しても、上記切断刃7の上昇途中において切断片がベルトコンベア17上に落下し、このベルトコンベア17上において転がり等を生じることがあり、下流の計量チェックコンベア19へ切断片を搬入するまで時間を要することがある。したがって、前記切断刃7に切断片が付着して一時的に持ち上げられるようなことがあると、持ち上げられている時間だけ切断片の移送に無駄を生じることがある。
【0009】
ところで、計量コンベア5の早送りを開始して切断片を計量チェックコンベア19へ送るとき、上記切断片が計量コンベア5の終端部付近に移送されると、生産性の向上を図るために、次に切断すべき食品生地1の先端部の一部は、上記計量コンベア5の始端部上に移送されている。したがって、次に切断すべき食品生地1の計量をより正確に行い切断するには、切断された切断片を、計量コンベア5から計量チェックコンベア19上へ速やかに移送する必要がある。すなわち、切断片と次に切断すべき食品生地1の先端部の一部が共に計量コンベア5に搭載されている時間を可能な限り短くすることが望ましいものである。
【0010】
ここで、前述したように、切断片が切断刃7に粘着(付着)して持上げられるようなことがあると、前記計量コンベア5上に切断片及び次に切断すべき食品生地1の先端部の一部が共に乗っている時間が長くなり、場合によっては次に切断すべき食品生地の計量時には、切断すべき重量を超えてしまうこともある。したがって、切断片が計量チェックコンベア19上へ搬送された後に、次に切断すべき食品生地の計量切断を行うとき、計量コンベア5の計量値が切断すべき設定値を超えないように、搬送コンベア3の搬送速度を遅くしなければならず、次に切断すべき食品生地を計量コンベア5上へ迅速に移送することができないため、生産性の向上を図る上においてさらなる改善が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、食品生地の計量を行うための生地計量コンベアであって、食品生地の重量を計量するための計量手段と、食品生地を搬送するための搬送手段と、当該搬送手段の上方において食品生地の切断片の浮き上りを防止すべく食品生地を前記搬送手段に押さえる生地押え手段とを備え、上記生地押え手段は、計量コンベアのフレームに一体的に備えられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記生地計量コンベアにおいて、前記生地押え手段は上下調節可能に備えられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記食品生地の計量を行うための生地計量コンベアと、上記生地計量コンベアに対して食品生地の搬入を行うための搬送コンベアと、上記生地計量コンベアと搬送コンベアとの間において食品生地の切断を行う切断装置と、前記生地計量コンベアの下流側に配置され、前記食品生地から切断された切断片の計量チェックを行うための計量チェックコンベアとを備え、前記生地計量コンベアの上方において食品生地の切断片の浮き上りを押さえるための生地押え手段と、前記計量チェックコンベア上に搬入された前記切断片の後端部を検出するための後端検出センサとを備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、食品生地の計量を行うための生地計量コンベアと、上記生地計量コンベアに対して食品生地の搬入を行うための搬送コンベアと、上記生地計量コンベアと搬送コンベアとの間において食品生地の切断を行う切断装置と、前記生地計量コンベアの下流側に配置され、前記食品生地から切断された切断片の計量チェックを行うための計量チェックコンベアとを備え、前記生地計量コンベアの上方において食品生地の切断片の浮き上りを押さえるための生地押え手段と、前記切断装置による切断終了時からの前記生地計量コンベアの搬送時間が設定値に一致したとき、又は前記切断位置からの前記生地計量コンベアによる切断片の搬送距離が設定値に一致したときに、次に計量すべき部分の計量を前記計量コンベアにおいて開始する構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、食品生地から切断分離される切断片が小さく軽くなった場合であっても、切断装置における切断刃に付着して上昇するようなことはなく、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以上、図面を用いて、本発明の実施形態について説明するに、前述した従来の構成と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0017】
概念的、概略的に示す図1を参照するに、本発明の実施形態に係る生地計量切断装置21は、前述した従来の構成と同様に、食品生地1を搬送する搬送コンベア3の下流側に、食品生地1の計量を行うための計量手段としての計量コンベア(生地計量コンベアも同義)5が配置してあり、この計量コンベア5と搬送コンベア3との間には切断装置9が配置してある。そして、前記計量コンベア5の下流側には、従来同様に計量チェックコンベア19が配置してある。
【0018】
前記計量コンベア5は従来構成と同様に計量手段(ロードセル)13を備えると共に搬送手段としてのベルトコンベア17を備えている。
【0019】
したがって、生地計量切断装置21においては、従来の構成と同様に、搬送コンベア3から計量コンベア5上に搬入された食品生地1の計量値が予め設定した設定値と一致したときに切断装置9を作動して、食品生地1の切断を行うことができる。そして、食品生地1から切断分離された切断片1Aを計量チェックコンベア19上へ搬送して、当該切断片1Aの計量チェックを行うことができる。そして、この計量チェックコンベア19の計量チェックの結果に基づいて、従来と同様に、前記切断装置9の切断タイミングを制御装置によって制御することにより、前記切断片1Aを、設定値に一致した状態でもって切断することができるものである。
【0020】
ところで、前記切断片1Aが小さくなりかつ軽くなると、前記切断片1Aが切断装置9における切断刃7に付着して一体的に上昇し、上記切断刃7の上昇途中でベルトコンベア17上に落下し、転がることがある。したがって、ベルトコンベア17上において切断片1Aが着地して安定するまで時間を要し、計量チェックコンベア19の上流端側に備えた後端検出センサ23によって切断片1Aの後端が検出されるまでの時間がかかり、前述したように、生産性の向上を図る上において問題がある。
【0021】
そこで、前記計量コンベア5のフレーム(図示省略)に上下調節可能に取付けたブラケット24に、食品生地1の切断片1Aの切断面が切断刃7に付着して一体的に持ち上げられることを防止して計量コンベア5に押さえるための押え手段の1例としての押えローラ25A,25Bが回転自在に備えられている。上記押えローラ25A,25Bは、前記計量コンベア5の上流端側の上方に備えられており、計量コンベア5の適宜位置に備えたサーボモータなどのごとき制御モータ27とチェーン,ベルト等を介して連動連結してある。なお、前記押えローラ25A,25Bは、切断片1Aが粘着(付着)し難い材質であり、例えば超高分子量ポリエチレンなどであることが望ましい。
【0022】
上記押えローラ25A,25Bは、前記制御モータ27の駆動によって切断片1Aの送りを行う方向へ回転されるものであって、その回転速度は、前記ベルトコンベア17が切断片1Aを搬送する速度よりも多少速い速度で切断片1Aの送りを行うように回転されている。したがって、押えローラ25A,25Bが切断片1Aの上面に接触しているときは、上記切断片1Aの下面よりも上面の方が速く送られる傾向にある。よって、切断装置9における切断刃7によって食品生地1の切断を行うときには、切断片1Aの切断面を前記切断刃7から離すように機能するものである。なお、前記押えローラ25A,25Bは、切断刃7に近接してあればよく、単数でもよいものである。また、前記押え手段としては、押えローラ25A,25Bに限ることなく、例えば両押えローラ25A,25Bにベルトを掛け回した状態のコンベアとすることも可能である。なお、上記ベルトの表面に油分を含浸させると共に微細な凹凸面を形成して切断片1Aとの剥離性を向上させた構成とすることが望ましい。
【0023】
前記後端検出センサ23は、切断片1Aの先端部が計量チェックコンベア19上に搬入された後に、上記切断片1Aの後端部が通過したことを検知できればよいものであって、例えば光学センサを採用することができる。また、ブラケット24の高さ位置を調節する構成としては、例えばブラケット24の複数箇所に上下方向の長穴を備え、この長穴を貫通したボルトによってブラケット24をベルトコンベア17のフレームに固定する構成とすることができる。
【0024】
以上のごとき構成において、切断対象となる食品生地1の厚さに対応して、押えローラ25A,25Bが食品生地1の上面に近接接触するように、又は僅かに押圧した状態に接触するように、ブラケット24の高さ位置を調節すると共に制御モータ27によって前記押えローラ25A,25Bを回転し、搬送コンベア3側から食品生地1を計量コンベア5におけるベルトコンベア17上に搬入すると、食品生地1の上面は押えローラ25A,25Bによって押さえられる。そして、計量コンベア5における計量値が予め設定された設定値に一致すると、切断装置9における切断刃7が下降して食品生地1の切断が行われる。
【0025】
この際、押えローラ25A,25Bは計量コンベア5のフレームに一体的に備えられているので、食品生地1の切断片1Aが切断刃7に付着して持ち上げられることのないように押えている押え力が計量コンベア5の計量値に影響を与えることはないものである。また、押えローラ25A,25Bの回転によって食品生地1における切断片1Aの切断面は、切断刃7から離される傾向にあるものであり、切断刃7に対する切断片1Aの付着が効果的に抑制されるものである。
【0026】
上記切断刃7が上昇するとき、切断された切断片1Aは切断刃7に付着して一体的に持ち上げられる傾向にある。しかし、切断片1Aの上面は、押えローラ25A,25Bによって押さえられており、かつ押えローラ25A,25Bの回転による送り作用によって切断刃7から離れる傾向にあって、切断片1Aが切断刃7によって持ち上げられるようなことはないものである。
【0027】
したがって、切断片1Aは、食品生地1から切断分離されると直ちに計量チェックコンベア19側へ速送りで移送され、計量チェックコンベア19上に移送された切断片1Aの後端部を後端検出センサ23が検出すると、食品生地1の次に計量すべき部分が計量コンベア5によって計量開始されるものである。
【0028】
ところで、上記例においては、後端検出センサ23を用いて次に計量すべき生地の重量の計量を開始するよう説明したが、切断された生地片の持ち上がりが防止され、生地片が計量コンベア5の搬送に従って時間的に無駄なく計量チェックコンベア19上に移送されるようになったことにより、例えばタイマーで所要搬送時間を計測したり、計量コンベア5の搬送距離に基づいて前記計量時間を開始するように構成することもできる。
【0029】
すなわち、前記切断装置9による切断終了時からの時間を計時手段(図示省略)によって計時し、この計時時間が制御装置に予め設定してある設定時間(切断片1Aが切断位置から計量コンベア5の終端付近に達する時間)に一致したときに、前記制御装置の制御の下に前記計量コンベア5によって次に計量すべき部分の計量を開始する構成とすることができる。また、前記切断装置9の切断位置から前記計量コンベア5の終端までの距離は一定であるから、計量コンベア5におけるベルトコンベア7の回転を測定することによって、前記切断位置からの切断片1Aの搬送距離を計測し、この搬送距離の計測値が制御装置に予め設定してある設定値と一致したときに、前記制御装置の制御の下に前記計量コンベア5によって次に計量すべき部分の計量を開始する構成とすることができるものである。
【0030】
上記説明より理解されるように、食品生地1から切断片1Aを切断分離するとき、軽く小さな切断片1Aが切断刃7に付着して持ち上げられることが防止されるので、切断片1Aが計量コンベア5におけるベルトコンベア17上において、落下して転がるようなことがなく、計量チェックコンベア19方向への搬送を安定して円滑に行うことができるものである。したがって、切断片1Aの搬送を迅速に行うことができ、生産性の向上を図ることができるものである。すなわち、実験によれば、従来の構成において数10gの軽く小さな切断片1Aを食品生地1から切断分離するとき、例えば1分間当り70回の切断であったのを、1分間当り90回の切断にすることができ、約20%〜30%の生産性向上を図ることができた。
【0031】
ところで、本発明は前述の実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、他の形態においても実施可能である。すなわち、押えローラ25A,25Bを支持したブラケット24を、架台15に対して上下調節可能に設けた構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る生地計量切断装置の構成を概念的、概略的に示した説明図である。
【図2】従来の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
3 搬送コンベア
5 計量コンベア
7 切断刃
9 切断装置
13 ロードセル(計測手段)
17 ベルトコンベア(搬送手段)
19 計量チェックコンベア
21 生地計量切断装置
23 後端検出センサ
24 ブラケット
25A,25B 押えローラ(押え手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品生地の計量を行うための生地計量コンベアであって、食品生地の重量を計量するための計量手段と、食品生地を搬送するための搬送手段と、当該搬送手段の上方において食品生地の切断片の浮き上りを防止すべく食品生地を前記搬送手段に押さえる生地押え手段とを備え、上記生地押え手段は、計量コンベアのフレームに一体的に備えられていることを特徴とする生地計量コンベア。
【請求項2】
請求項1に記載の生地計量コンベアにおいて、前記生地押え手段は上下調節可能に備えられていることを特徴とする生地計量コンベア。
【請求項3】
食品生地の計量を行うための生地計量コンベアと、上記生地計量コンベアに対して食品生地の搬入を行うための搬送コンベアと、上記生地計量コンベアと搬送コンベアとの間において食品生地の切断を行う切断装置と、前記生地計量コンベアの下流側に配置され、前記食品生地から切断された切断片の計量チェックを行うための計量チェックコンベアとを備え、前記生地計量コンベアの上方において食品生地の切断片の浮き上りを押さえるための生地押え手段と、前記計量チェックコンベア上に搬入された前記切断片の後端部を検出するための後端検出センサとを備えていることを特徴とする生地計量切断装置。
【請求項4】
食品生地の計量を行うための生地計量コンベアと、上記生地計量コンベアに対して食品生地の搬入を行うための搬送コンベアと、上記生地計量コンベアと搬送コンベアとの間において食品生地の切断を行う切断装置と、前記生地計量コンベアの下流側に配置され、前記食品生地から切断された切断片の計量チェックを行うための計量チェックコンベアとを備え、前記生地計量コンベアの上方において食品生地の切断片の浮き上りを押さえるための生地押え手段と、前記切断装置による切断終了時からの前記生地計量コンベアの搬送時間が設定値に一致したとき、又は前記切断位置からの前記生地計量コンベアによる切断片の搬送距離が設定値に一致したときに、次に計量すべき部分の計量を前記計量コンベアにおいて開始する構成であることを特徴とする生地計量切断装置。

【図1】
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【図2】
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