説明

生検試料の定着支持剤、生検試料の定着支持剤の製造方法、及び生検試料の定着支持方法。

【課題】 定着支持剤を安定してゲル化することが可能となる生検試料の定着支持剤、生検試料の定着支持剤の製造方法、及び生検試料の定着支持方法を提供すること。
【解決手段】 生検試料の定着支持剤は、アルキルオキシダイズドグルコマンナンと、防腐剤とを有する。このような定着支持剤を用いて生検試料を支持することにより、生検試料及び定着支持剤にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検試料を変質しないように定着するための生検試料の定着支持剤、定着支持剤の製造方法、並びに生検試料の定着支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理や臨床検査分野で、高分子多糖類、例えばマンナンを用いた包埋支持剤が報告されている(例えば、特許文献1参照)。このマンナンを用いた包埋支持剤では、包埋カセットに生検試料を収容し、その生検試料の周囲の空間にマンナンと防腐剤とからなる定着支持剤を注入した後、これをメタノールとホルマリンからなるゲル化剤に浸漬することによって、定着支持剤をゲル化して生検試料と包埋カセットとを一体的に支持している。
【特許文献1】特許第3049537号公報(段落[0019]〜[0027])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のマンナンを用いた定着支持剤においては、定着支持剤をゲル化する際に、安定的にゲル化することができず、定着された細胞に不均一な部分が存在するために生検試料が定着支持剤内部で分散もしくは試料が破壊してしまうという問題があった。また、定着支持剤をゲル化する際の反応性に部分差が生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、定着支持剤を安定してゲル化することが可能となる生検試料の定着支持剤、生検試料の定着支持剤の製造方法及び生検試料の定着支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係る生検試料の定着支持剤は、アルキル化高分子多糖類と、防腐剤とを有することを特徴とする。
【0006】
本発明のこのような構成の定着支持剤を用いて生検試料を支持することにより、生検試料及び定着支持剤にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。これにより、定着支持部材内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止又は阻止することが可能となる。従って、生検試料を変質しないよう安定して定着することができる。
【0007】
また、本発明の他の観点にかかる生検試料の定着支持剤は、アルキルオキシダイズドグルコマンナンと、防腐剤とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明は、このように高分子多糖類としてグルコマンナンを用い、これをアルキル化したアルキルオキシダイズドグルコマンナンを定着支持剤に用いることができる。本発明のこのような構成の定着支持剤を用いて生検試料を支持することにより、生検試料及び定着支持剤にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。これにより、定着支持部材内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止又は阻止することが可能となる。従って、生検試料を変質しないよう安定して定着することができる。
【0009】
本発明の一の形態によれば、前記アルキルは、メチル、エチル、プロピルのいずれか一つであることを特徴とする。このように、アルキルはメチル、エチル、プロピルのいずれか一つであってよい。
【0010】
本発明の一の形態によれば、前記防腐剤はホルムアルデヒドを有することを特徴とする。このように防腐剤としてホルムアルデヒドを有するものを用いることができる。
【0011】
本発明の主たる観点に係る定着支持剤の製造方法は、グルコマンナンを酸化し酸化グルコマンナンを生成する工程と、前記酸化グルコマンナンを乳化し第1乳化物を生成する工程と、前記第1乳化物を脱水する工程と、前記脱水工程後、生成物をアルキル化する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のこのような構成により製造された定着支持剤はアルキル化したアルキルオキシダイズドグルコマンナンを有する。このような定着支持剤を用いて生検試料を支持することにより、生検試料及び定着支持剤にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。これにより、定着支持部材内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止又は阻止することが可能となる。従って、生検試料を変質しないよう安定して定着することができる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記アルキル化工程は、メチル化、エチル化又はプロピル化のいずれか一つであることを特徴とする。このようにアルキル化工程は、メチル化、エチル化又はプロピル化のいずれか一つであってよい。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記アルキル化工程後、生成物を精製し、これをアルコールにて乳化して第2乳化物を生成する工程と、前記第2乳化物を乾燥、粉末とする工程と、前記粉末を防腐剤に溶解する工程とを有することを特徴とする。このように製造された定着支持剤を用いて生検試料を支持することにより、生検試料及び定着支持剤にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。これにより、定着支持部材内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止又は阻止することが可能となる。従って、生検試料を変質しないよう安定して定着することができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記アルキル化工程では、前記脱水工程により得られた生成物に塩酸を加えて加温下で攪拌した後、自然放冷することを特徴とする。このように、自然放冷することにより、いわゆる熟成といわれる自己反応を促進することができ、アルキル化を十分行うことができる。
【0016】
本発明の主たる観点に係る生検試料の定着支持方法は、包埋カセットに生検試料を収容する工程と、前記生検試料の周囲の空間にメチルオキシダイズドグルコマンナンと防腐剤とを有する定着支持剤を注入する工程と、前記生検試料及び前記定着支持剤を、ゲル化剤からなる液中に浸漬してゲル化する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のこのような構成によれば、定着支持剤としてメチルオキシダイズドグルコマンナンと防腐剤とを有するものを用いるので、ゲル化剤によってゲル化する際に、安定したゲル化状態を得ることができる。これにより、定着支持部材内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止又は阻止することが可能となる。従って、生検試料を変質しないよう安定して定着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(生検試料の定着支持剤用粉末及び生検試料の定着支持剤の製造方法)
【0019】
以下、本発明の生検試料の定着支持剤用粉末及び生検試料の定着支持剤の製造方法について図1〜図5を用いて説明する。本実施形態においては、高分子多糖類としてグルコマンナンを用いた。
【0020】
図1は定着支持剤用粉末及び定着支持剤の製造工程図である。図2はグルコマンナン酸化工程における粘度変化を示す図である。図3は第1乳化工程におけるホモジナイザーの回転速度及び処理時間と粘度との関係を示す図である。図4はメチル化工程における本実施例及び比較例それぞれの処理条件を示す図である。
【0021】
酸化工程(S1)においては、まず蒟蒻製粉200gを5wt%過酸化水素水3リットルに溶解し、20℃、30℃、40℃、50℃の処理温度条件で約7日間反応させた。溶解物は、反応初期には固化状態を示すが、酸化が進行するに従って流動性を持ち、攪拌が可能の状態となる。図2に示すように、いずれの処理温度条件でも反応開始から3日目には攪拌可能な状態、すなわち流動性が観察され、7日目以降には溶解物の粘度はほぼ横ばい状態となった。尚、溶解物の粘度の測定は、攪拌機のトルクは無視し、最低回転数15rpm、粘度測定条件25℃で行った。酸化工程の終了は流動性の度合いで確認し、処理温度に関わらず、その粘度が65000mPa・s以下となった時点で酸化工程が終了されたものと判断した。尚、酸化工程における処理温度は20〜50℃が好ましく、更に好ましくは35〜45℃の処理温度が最適である。処理温度が20℃よりも低いと反応速度が著しく低下し酸化反応終了までは14日を要した。逆に50℃よりも高いと期待しない極低粘度状態を呈した。この酸化工程により酸化グルコマンナンが生成される。
【0022】
次に、第1乳化工程(S2)においては、純度99.5%のメタノール2リットルに等量の酸化工程で得られた酸化グルコマンナンを添加して凝集させる。この凝集物をホモジナイザーにて乳化する。この際、凝集物の塊状化を防止するため、微細化に用いるホモジナイザーはファインジェネレーター装着型とし、5000rpm、15分の処理条件で乳化した。尚、15分を越えて処理を行うと、ジェネレーターの摩擦熱により第1乳化物がガム状となり以後の工程での反応が不可能となった。尚、ホモジナイザーの機種及び処理条件によってガム状となるまでの時間が異なるので、ガム状に変化しないような処理条件を設定する必要がある。図3に示すように、いずれの回転数においても処理時間15分でほぼ乳化の進行が終了する。乳化工程の終了は液粘度で確認し、粘度測定温度25℃の下で、その粘度が1000mPa・s以下となった時点で第1乳化工程が終了されたものと判断した。この第1乳化工程により第1乳化物が生成される。
【0023】
次に、脱水工程(S3)においては、第1乳化工程で得られた第1乳化物にメタノールを添加し、エバポレーターを用いた蒸留を行って、5回混合脱水を行って、これをメタノール浸漬グルコマンナンとする。脱水工程の終了は、得られた溶液の擬似アルコールランプによる着火により確認した。もし擬似アルコールランプにて着火しなかった場合は、脱水が完全に終了していないと判断した。本実施形態においては、1〜4回の脱水では、擬似アルコールランプによる着火が確認されず、脱水が完全に終了していなかった。脱水が完全に終了していない場合、メチル化工程にてメチル付加反応の阻害と反応速度の低下を引き起こす恐れがある。
【0024】
次に、メチル化工程(S4)においては、脱水工程で得られた生成物であるメタノール浸漬グルコマンナンに15N塩酸を加えて0.75vol.%の濃度とし、これを湯煎にて60℃下、200rpmの回転速度で攪拌させた状態で約5時間反応させメチル化を行う。その後、加熱を停止し、湯煎につけた状態で放置し室温まで温度を下げて反応を停止させた。確実にメチル化を行うため、15N塩酸添加後の濃度は0.5〜0.8vol.%、反応温度は60〜65℃、また撹拌は反応器から反応物が溢れ出ないような範囲の任意の回転数に設定する。反応はいわゆる熟成といわれる自己反応を促進させるため、冷水添加による反応の強制停止はせず、反応器を過熱する湯煎が自然放冷されて15〜30℃まで除冷されることにより反応を停止することが好ましい。これに対し、比較例として、脱水工程で得られたメタノール浸漬グルコマンナンに15N塩酸を加えて1.0vol.%の濃度とし、これを湯煎にて55℃下約2時間、無攪拌の状態で反応させてメチル化を行った。その後、水を添加して温度を下げて強制的に反応を停止させた。このように得られた比較例の生成物では系内に塊状物質の生成を確認した。この生成物から生成される定着支持剤を24時間の経時変化を観察したところ、系の黄変と塩酸の臭気を認めた。これはメチル化が完結されていないためと考えられる。
【0025】
次に、精製工程(S5)においては、メチル化工程で得られたメチル化物を純水中に分散させ、55℃の加温下、エバポレーターを用いた真空状態で攪拌洗浄を行う。これにより、未反応の酸化剤である塩酸がガス化して除去され塩化物が分離される。これを常温下にて濾過し、塩酸を失ってさらに析出する残渣を除去するため、得られた溶液を再び常温下にて濾過することにより、精製物を得た。
【0026】
次に、第2乳化工程(S6)においては、精製工程で得られた精製物を純度99.5%以上のメタノールにて乳化し、第2乳化物を得た。
【0027】
次に、乾燥、粉末工程(S7)においては、第2乳化工程で得られた第2乳化物を乾燥して粉末とする。これによりメチルオキシダイズドグルコマンナンからなる生検試料の定着支持剤用粉末が製造される。
【0028】
次に、溶解工程(S8)においては、定着支持剤用粉末を、任意の濃度、例えば15〜75%の濃度のホルムアルデヒド水溶液に溶解する。これにより、アルキル化高分子多糖類としてのメチルオキシダイズドグルコマンナンと、防腐剤としてのホルムアルデヒド水溶液とを有する定着支持剤が得られる。
【0029】
(生検試料の定着支持方法)
【0030】
次に、上述の製造方法にて製造された定着支持剤を用いた生検試料の定着支持方法について図5〜図12を用いて説明する。
【0031】
図5は包埋カセットの斜視図であり、蓋3の図示は省略している。図6は、包埋カセット内に定着支持剤を注入する工程を示す縦断面図である。図7は、ゲル化工程を示す縦断面図である。図8は、脱水、脱脂、透徹して包埋剤を浸透する工程を示す縦断面図である。図9は、定着支持剤に埋設された生検試料の状態を示す縦断面図である。図10は、生検試料の包埋工程を示す縦断面図である。図11は、図10の包埋工程を終了した後の生検試料の状態を示す縦断面図である。図12は、図10に示す生検試料を薄切りする状態の縦断面図である。図13は、図12によって得られる薄切りされた薄切り断片を示す斜視図である。
【0032】
まず、生検試料を収容する包埋カセットについて図5〜図13を用いて説明する。この包埋カセットは、人体から摂取した生検試料が変質しないよう収容するものである。
【0033】
包埋カセット4は、長方形状の平面状枠体41の中央部に扁平な容器42の下縁部43を平面状枠体41の下面に向けて突設してなる。容器42の蓋3及び底面1の少なくとも一方は透明な多孔板2で形成されている。容器42の開口縁の周囲における平面状枠体41の上面には突状縁44が設けられており、容器42の周囲における平面状枠体41にその上下両面に通ずる連通孔45が設けられている。包埋カセット4の前端部に前方掛止片46を、後端部に後方掛止片47を、それぞれ設け、これらに蓋3を着脱自在に嵌合している。包埋カセット4は合成樹脂で形成されている。
【0034】
次に、生検試料の定着支持方法について説明する。
【0035】
まず、図6に示すように底面1が透明な多孔板2で形成された蓋3付の扁平な包埋カセット4をシャーレ12上に配置する。そして、包埋カセット4の内部に生検試料5を収容し、生検試料5の上方及び全周囲に、上述の製造方法にて製造した定着支持剤6を定着支持剤容器13から矢印A6に示すように流し込んで充填する。これにより生検試料5を変質しないように定着すると共に包埋カセット4に支持する。この際、検査者、例えば臨床医の希望する生検試料5の検査面が包埋カセット4の底面1に接着するように定着支持剤6で支持する。
【0036】
ここで、定着支持剤の定着とは蛋白質の凝固作用を利用して、生の組織を経時的に変質しないように固定し、生検試料の各成分の形態を生前に近い状態に保つことである。また、支持とは、生検試料を包埋カセット内の底板上面に移動しないように確実に接着してその位置を保つことである。
【0037】
図6に示す状態の包埋カセット4と生検試料5と定着支持剤6を、図7に示すようにカプセル14とその蓋15内に入れられている99.5%メタノールとホルマリンからなるゲル化剤7に浸漬して、定着支持剤6をゲル化することによって生検試料5を包埋カセット4中に一体的に支持する。この状態で例えば臨床医室から病理室に郵送などで包埋カセット4が搬送される。ここで、ゲル化剤7に浸漬して定着支持剤6をゲル化しているが、本実施形態においては、メチルオキシダイズドグルコマンナンとホルムアルデヒド水溶液とを有する定着支持剤6を用いているため、ゲル化剤7によるゲル化の際、安定したゲル化を行うことができる。すなわち、グルコマンナンをメチル化することによって、親水性が低下して周囲の水分の浸入なしに粘弾性体となり、安定したゲル化を行うことができる。これにより、定着支持剤内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止または阻止することが可能となる。
【0038】
ゲル化剤7としては、上述に記載したものの他に、例えばアルコールホルマリン、アルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール及びアセトンが用いられる。
【0039】
病理室においてカプセル14から、包埋カセット4に固定されている状態で生検試料5を取り出して、図8に示すようにそこに予め用意されている処理容器9内のアルコール等の高脱水処理剤8aに浸して脱水処理する。その後、順次図示しない別の処理容器内の脱脂、及び透徹の各処理剤8b、8cに順次浸す。これにより、脱水、脱脂、及び透徹し、パラフィンまたは樹脂等からなる溶融包埋剤を浸透させる。
【0040】
その後、処理容器9内から包埋カセット4を取り出し、更にその包埋カセット4の中から前記溶融包埋剤の浸透した生検試料5を図9に示すように定着支持剤6中に埋設されているゲル状ブロック36の状態で取り出して、そのまま図10に示すように包埋皿10上に載置する。
【0041】
生検試料5の上部における包埋皿10に空の包埋カセット4を配置し、その上からこれらに包埋剤として溶融状態のパラフィン11を注入し、これを冷却することによって冷却固化する。この固化したパラフィン11の中に定着支持剤に埋設された生検試料5を包埋カセット4の一部と共に包埋する。
【0042】
パラフィン11が硬化した後、図10に示す状態の包埋皿100から包埋カセット4を取り除く。これにより、図11に示すように包埋カセット4の底面1の多孔板2をパラフィン11で鋳込んだ状態で、しかもその中に生検試料5を包埋した生検試料の包埋ブロック18を得る。
【0043】
その後、包埋ブロック18を図12の支持台19で保持し、ミクロトームの刃17を矢印A17方向に往復動して薄切りし、図13の生検試料の薄切り切片20を得る。
【0044】
以上のように本実施形態においては、定着支持剤としてメチルオキシダイズドグルコマンナンとホルムアルデヒド水溶液を有する定着支持剤を用いることにより、安定したゲル化を行うことができ、定着支持剤内部における生検試料の分散もしくは破壊並びにゲル化時の不均一な反応を抑止または阻止することが可能となる。
【0045】
本実施形態においては、定着支持剤用粉末としてメチルオキシダイズドグルコマンナンを用いたが、エチルオキシダイズドグルコマンナン、プロピルオキダイズドグルコマンナンを用いることができ、同様にゲル化剤を添加した際に安定したゲル化を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態においては、アルキル化高分子多糖類としてメチルオキシダイズドグルコマンナンを用いたが、高分子多糖類として寒天やゼラチンなどを用いて、これをアルキル化したものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態における定着支持剤及び生検試料の定着支持剤用粉末の製造工程図。
【図2】グルコマンナン酸化工程における粘度変化を示す図。
【図3】第1乳化工程におけるホモジナイザーの回転速度及び処理時間と粘度との関係を示す図。
【図4】メチル化工程における本実施例及び比較例における処理条件を示す図。
【図5】包埋カセットの斜視図。
【図6】包埋カセット内に定着支持剤を注入する工程を示す縦断面図。
【図7】ゲル化工程を示す縦断面図。
【図8】脱水、脱脂、透徹して包埋剤を浸透する工程を示す縦断面図。
【図9】定着支持剤に埋設された生検試料の状態を示す縦断面図。
【図10】生検試料の包埋工程を示す縦断面図。
【図11】図10の包埋工程を終了した後の生検試料の状態を示す縦断面図。
【図12】図10に示す生検試料を薄切りする状態の縦断面図。
【図13】図12によって得られる薄切りされた薄切り断片を示す斜視図。
【符号の説明】
【0048】
6 定着支持剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル化高分子多糖類と、
防腐剤とを有することを特徴とする生検試料の定着支持剤。
【請求項2】
アルキルオキシダイズドグルコマンナンと、
防腐剤とを有することを特徴とする生検試料の定着支持剤。
【請求項3】
前記アルキルは、メチル、エチル、プロピルのいずれか一つであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の生検試料の定着支持剤。
【請求項4】
前記防腐剤はホルムアルデヒドを有することを特徴とする請求項1から請求項3いずれか一項に記載の生検試料の定着支持剤。
【請求項5】
グルコマンナンを酸化し酸化グルコマンナンを生成する工程と、
前記酸化グルコマンナンを乳化し第1乳化物を生成する工程と、
前記第1乳化物を脱水する工程と、
前記脱水工程後、生成物をアルキル化する工程と
を有することを特徴とする生検試料の定着支持剤の製造方法。
【請求項6】
前記アルキル化工程は、メチル化、エチル化又はプロピル化のいずれか一つであることを特徴とする請求項5記載の生検試料の定着支持剤の製造方法。
【請求項7】
前記アルキル化工程後、生成物を精製し、これをアルコールにて乳化して第2乳化物を生成する工程と、
前記第2乳化物を乾燥、粉末とする工程と、
前記粉末を防腐剤に溶解する工程と
を有することを特徴とする請求項5または請求項6記載の生検試料の定着支持剤の製造方法。
【請求項8】
前記アルキル化工程では、前記脱水工程により得られた生成物に塩酸を加えて加温下で攪拌した後、自然放冷することを特徴とする請求項5から請求項7いずれか一項に記載の生検試料の定着支持剤の製造方法。
【請求項9】
包埋カセットに生検試料を収容する工程と、
前記生検試料の周囲の空間にメチルオキシダイズドグルコマンナンと防腐剤とを有する定着支持剤を注入する工程と、
前記生検試料及び前記定着支持剤を、ゲル化剤からなる液中に浸漬してゲル化する工程と
を有することを特徴とする生検試料の定着支持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−76347(P2008−76347A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258837(P2006−258837)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(501126490)アジア器材株式会社 (2)
【Fターム(参考)】